スーパーキンジの野望 作:宝剣
―――自動ドアを抜けてクーラーの効いた建物に入ると、レーザー光線で彩られた噴水の有るエントランス・ホールに出る。
そう、ここはカジノ、東京の夜の代名詞……今夜もここであらゆる業界のVIP達が金を動かす。
そんな場所に、一人場違いな青年がいた、彼は本日突然ここへ現れ、勝ちに勝ちまくり真横にチップの山を築いている。
彼の名は―――
「フハハッ!また俺の勝ちだっ!!」
彼の名は遠山キンジ、しがない武偵高生だ。
はい、どうも皆さん、スーパーキンジです。
今俺は仕事でカジノ警備に来ている、他にも仲間が居るが、そいつらの紹介はまた何れ、今は俺のターンなのだ。
客に紛れて潜り込んだ俺は、本来なら偽のチップを店から用意されていたのだが、勝った分の金が入らないのは勿体ないので自腹で用意した、その額なんと一千万。
今はディーラーに変装したレキに絡んでいたどこぞの社長をルーレットで負かして、大金をゲットしている。
この短時間で稼いだのは既に10億を越えた、高レートの勝負に挑み続け、ルーレットならばこの超人的な動体視力でタイミングを見切り、ポーカーならば敵の心理を完全に読み取りズタボロに、俺の横には大量のチップの山が。
常に全額ぶちこんだ勝負は凄まじい金を俺にもたらす。
視界の隅にアリアが居たりするが、パトラが現れるまで放置、それに襲われても……こちらには仕込みがある。
というかそろそろ―――来たな!
窓を突き破って大きな……ジャッカル頭の砂人形、アヌビスを模して造られた『砂礫の魔女』パトラの手下達が現れる。
フハハッ!我がベレッタの錆びにしてくれる!
「お前らっ!出番だぞっ!」
大声で叫ぶと今回の任務に参加していた奴等が動きだす。
そのメンバーは、アリア、白雪、レキ、俺だ。
武器を構え、数体のアヌビスを相手に戦闘が始まる。
砂のステルスとは相性の悪い白雪は客の避難に回し、銃を持つ残りは敵勢力を掃討する。
「キンジ!中心を狙って撃ちなさい!」
「あいよっ!」
アヌビスの胸の中心部、そこを撃つと奴等は砂に戻って崩れ落ち、そこからは穴の空いたカナブンが、あれが奴等の核だ、それを理解した俺たちは残りも片付けていく、だが、殆どが倒れたことで一体のアヌビスが逃げ出した、その先は海。
「何してるのっ!追うわよ!」
「はいはい……」
追撃をかける気満々のアリアは、俺を呼んで、先程までは本物の店員が使っていた、屋内のプールに浮いている水上バイクを指差す。
これに乗って追撃すれば、原作でアリアが狙撃されパトラにお持ち帰りされる。
だが、俺は敢えてその策をとった。
エンジンをかけ直しそれに跨がる、直ぐにアリアも後ろに乗ったので一気にスタートした。
「ちょっ!?浮き輪まだつけてないわよっ!」
「知るか、そんなものはない!」
泳げないバカは後ろで叫ぶが溺れたくないならしがみついてろ。
「キンジィィィィィ!!!」
「うるさい!」
あーもう、騒がしい。
そうこうしながらもアヌビスに追い付いた俺は銃口を向けたところで、斜め上、向こう岸から反射光が眼に入る……狙撃、その言葉が頭をよぎるが俺は笑う。
「……かかったな。パトラ」
―――タァァ……ン―――
遠く響くライフルの銃声、しかし俺たちには何も起こらず、俺はアヌビスに向けた引き金を引く。
水面を疾走するそれの背中を撃ち、奴く崩れ落ちた。
「キンジ?今の銃声……」
「大丈夫だ、もう捉えてる」
その時だ、背後から船が近づいてきた、その黄金の船は(知らない人は原作見て)人を乗せている。
看板に立つのは凄まじい怒りを顔に張りつけた美人、パトラだ。
「くうぅ……!まさか伏兵が居ようとはっ!!」
「よう、あんたがさっきの狙撃手か?」
「それがどうしたのじゃ!」
「いやぁ、まさか陽菜から逃げるとはね」
「なん、じゃと!?」
おお、伏兵の関係者と気づいたか。
凄まじいな、あの表情、今にもとち狂いそうだ。
「先の忍はお主がけしかけたのか!」
「ご名答!」
顔を歪ませて怒るやつに俺は笑い、後ろのアリアは何が起こったのか理解できてない様子。
さらに。
「まさか読んでいたのか?」
「やっぱり来たか、兄さん」
パトラの後ろからマイブラザー金一が現れる。
カナから戻っているっぽい。
「確かにお前は強くなったようだな……」
「そう言いながら銃を構えんなよ」
「今から俺とお前の一騎討ちだ、キンジ」
「もう理由は聞かないよ……」
「教えてやる、俺に勝てば『第二の可能性』について」
まったく話の繋がらない事を言っているマイブラザーはパトラの前に出て、いきなりあの痴女の唇を奪った。
おいおい、HSSに成る為とはいえ何て奴だ。
何て俺は兄に軽蔑の眼差しを向ける。
その間にも向こうの準備は整ったようだ、目で促された俺は奴等の船にアリアを連れて上がり戦いが、始まる!
カナよりは弱い、とはいえHSSになった兄貴は『不可視の弾丸』を俺に放つ。
すかさず真横に跳んで躱す俺、振り向き様にベレッタで兄貴の足を狙う。
だが、向こうもさるもの、放たれた弾丸を『不可視の弾丸』で撃ち落とした。
「今度は油断は無しだ」
「当たり前だろ?」
睨み合う俺たち、戦闘の横ではパトラとアリアが見守っている。
「「………」」
互いに無言で銃を連射、先手は『不可視の弾丸』を使う金一に奪われるが俺のHSSは60倍のパワーアップだ、例え普通のHSSでは目で終えずとも今の俺には捉えられる。
向こうも『不可視の弾丸』が撃ち落とされて驚いて入るようだが隙は見せない。
互いに円を描くように走り、マストの根本や甲板に何故か置かれている砂金で出来た箱などの遮蔽物を使いながら銃撃戦が続く。
それがどれ程続いただろう。
遂に俺の弾が切れた。向こうを見れば銃を納しているのであちらも同じ。
仕方ないか―――
「ここからは殴り合いか……」
「兄弟喧嘩みたいで良くないか?」
俺たちは獣の如き笑みを浮かべ、拳を握る。
ここからは男の勝負だ。
「「……ッ!!」」
近づいた俺たちは互いの手で握手をし、利き手の右を振りかぶる。
ワンハンドシェイクデスマッチ、今から始まるのはどちらかが倒れるまでのガチンコの殴りあい。
ゴッ!!
互いのパンチが顔面に入る、仰け反ったのは金一、チート強化のHSSを使用中のキンジには純粋に膂力で負けている彼は本能的に其れを察知した。
直ぐ様手を引き2発目をキンジの顔面にぶちこむ。
質でダメなら量の作戦で来るようだ。
それに気づいた俺は今度はこちらからと2発目の重い一撃をくれてやる。
「このッ!」
「この頑固者ッ!」
なにか言う前に3発目を俺はぶちこむ。
そこからは、オリ主らしい戦いが始まった……。
30分後……俺と兄貴は地面に倒れ伏していた。
勝負の結果は引き分け、まさかオリ主が負けるとは……。
「ハァハァハァ……」
「ぜぇぜぇぜぇ……」
男の勝負を終えた二人は顔を向けて苦笑いをして兄弟の友情を確かめていたのだが、ここで空気が読めない娘が現れた。
「キャアぁぁぁ!!」
「「!?」」
突如甲板に響き渡るアリアの悲鳴、そっちを向けば気絶した彼女がアヌビスに捕まっているではないか。
「アリア!?」
「動くなっ!遠山キンジ」
「なにっ?」
アヌビスの後ろから現れたのはパトラ、そう言えば放置してた!と、俺も思い出す。
「パトラ、血迷ったか……」
「誰が血迷ったじゃと!?金一、妾は負けてはおらぬ!!」
「この痴女め……!!」
「誰が痴女か!!貴様、妾がイ・ウーを手に入れた暁には血祭りに上げてくれる!!」
俺の呟きを耳ざとく拾った痴女はアリアを連れて海に飛び込んだ。
直後にこの船が崩れ出す。
元々砂金で出来たこれはパトラの砂を操るステルスで造られていた、主が消えれば壊れるのは必然。
「クソッ!あのバカめ!キンジっ!海に飛び込め!逃げるぞっ」
「クソッ!あの痴女め!兄貴っ!逃げるぞっ」
まったく同じ行動をとった俺たちは海に飛び込んで沈没から逃げる。
クソッ!あの痴女め!必ずやオリ主が復讐してやる!!
そう固く誓った俺は向こう岸まで兄貴と逃げるのであった。
「ハッ!!……ここは?」
「キンちゃん!?」
飛び起きた俺を迎えたのは白雪、なんか泣きそうになってるけどごめんなさい、何が起きたのか分かりません。
というわけで説明を聞くと、あのあと岸にたどり着いた俺は気絶、それから丸12時間寝ていたようだ。
現在の時刻は朝7時、アリアがさらわれて12時間。
パトラの痴女は何も言っていなかったが、原作と同じで拐うときアリアに呪いをかけたかもしれない、ならばタイムリミットは残りも12時間だ。
其れを想定して動くことにした俺は直ぐ様武藤を呼び、予め整備と修理を頼んでおいた『オルクス』に向かう。
このオルクス、ジャンヌがここに侵入するのに使った魚雷を改造して造られた潜水艇で、メチャクチャ速い。
他のメンバーへの説明を理子に任せた俺はもう時間を惜しんで直ぐに行動に出る。
原作とは違って呪われてないから戦力になる、パトラに能力的に強いジャンヌを連れていくことに。
だが、相手のステルスのグレードは25、対するジャンヌは8~10だ。
しかし、ここで日々のエロ主の恩恵が現れる。
俺に抱かれた女は抱かれれば抱かれるほど能力が上がるのだ。
本人たちは気づいて無いだろうがジャンヌのGは16位に上がっているはず、これで準備は万端、今から始まるのは戦争じゃあぁぁぁ!!!
アリアにマーカーを仕掛けておいた為、彼女の反応の有る場所、大平洋のど真ん中に向かう。
道中オルクスの中でジャンヌと1発やって英気を養い、俺たちは戦いの地にたどり着いた。
そこは沈没船アンベリール号、兄貴が失踪したときに沈んだ筈の船だ。
その上にはデッカい砂金で出来た天辺だけはガラス製のピラミッドが立てられており、中にはアリアとパトラが居るのだ。
「いくぞ、ジャンヌ!」
「ああ、遠山」
セックス以外では普通に呼ぶジャンヌと慎重に入り口を抜け、なかを進む、途中途中でジャンヌが感嘆の息を漏らすのでそうとう魔女的にはスゴいのだろうこのピラミッド。
そして進むと巨大な扉が現れる。
書いてある象形文字を読むと『王の間』と書いてある。
巨大な扉は触ってもいないのに開き始めた。
「気を引き締めろよジャンヌ、初戦はお前にパトラを任せるからな」
「了解した、お前の騎士の力を見ておけよ」
強化については教えておいたので自信満々のジャンヌ、今回はともかく直ぐに人を信じるのは止めましょう。
開いた扉を進み……決戦の舞台へ!!
「死ねえええええ!!」
「いきなりか!!」
俺たちが入ったのは何もかもが黄金の痛い空間、奥の玉座にパトラが腰かけ、その階段の下にはスフィンクスと黄金の棺があってアリアが入っている。
偉そうな前口上をパトラが告げ、カツカツとハイヒールのサンダルを鳴らして階段から降りた瞬間、俺は銃弾をぶちこんだのだ!!
「クッッ!!」
「盾か!ジャンヌ!後は任せたからな!!」
「ああ、行け、主よ」
格好いいことを言うジャンヌにニヤリと笑いかけた俺はスフィンクスの足下にあるアリアがinしてる棺にBダッシュ、その間にもパトラを撃ち続けた。
ある程度近づけばスフィンクスが原作の如く動き出して俺を捉えようとするが……この瞬間を待っていたんだぁ!
「ジャーーンヌっ!!」
「食らええええっ!」
進化したジャンヌの放つブリザードがスフィンクスを氷づけにして動きを止める。
その間にもアリアを担いで俺は逃げる。
「よっしゃ!ここからは2対1」
「バカな!何故氷の魔女がここに!?」
今更気づいたパトラが呪いをかけた筈のジャンヌの存在に驚くが、ここからは俺たちのターンだ!!
アリアを柱に隠した俺はベレッタを二丁抜き、フルオートで撃ちまくる。
その間にデュランダルの大剣を持って切り込んだジャンヌがパトラを思いきり剣の腹でぶっ叩いた!
「へぶっ!?」
「よっしっ!!」
間抜けな声をあげて倒れるパトラ、其れを見て俺もガッツポーズ。
直ぐにジャンヌが対ステルスの銀の手錠で拘束してこちらに連れてくる。
「いやぁ、あっさり終わったな」
「ふふっ、主の作戦が上手く行ったな」
「……あれ?キンジ?」
盛り上がっているとアリアが起きた。
「おおっ!起きたか」
「ここは?」
「簡単に言えば拐われたお前を私と遠山で助けに来たのだ」
「えっ?えっ?」
混乱するアリア、説明をはしょったジャンヌだが俺たち悪くないよね?
そんな感じで床に捨てられたパトラに目を向けると。
「!!」
「?どうした、遠山」
そこには砂しかなかったのだ、まさかと玉座の方を向けば……ライフルを構えるパトラの姿が!?
ドッ!
「え?」
「遠山!?」
ドサッ!!
銃声の後、二人の声が聞こえた、俺はゆっくりと倒れ、地面に転がる。
ああ、声が遠い。
そして、眠い……。
そこで俺の意識は途切れた。
タイトルに、騙されたろ?
騙されたやつぁ感想を書けぇ!