※この作品はR-18です。

交わる物好きたち   作:沖 一

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炎岳バトル回です

実装前に書き始めていたせいでチョンユエがバリバリの上位種な設定になってますが許して下さい。
許せない人は炎年がえっちなこと始めるまで飛ばしてください。



炎の潜熱

 

 たゆんたゆん。ぽいんぽいん。

 

 何の擬音かは言うまでもないだろう。

 目の前で揺れる胸に私の脳が補完した音である。

 

「でっかぁ……」

「ほぉ? 気になんのか?」

「ちょ、いけませんよニェンさんそんなに、あぁっ」

 

 むっちり、ぽい〜ん。

 

 胸を持ち上げようとするニェンさんの細い指が埋まってしまいそうな柔らかさは、しかし確かな弾力によって弾かれる。

 

「なんてことだ」

「へへ、すげぇだろう」

 

 思わず椅子に身体を預けて天を仰ぐ。無機質な天井を見ていても、あの揺れの残像が網膜を走っている。これほど立派なモノにこんな至近距離で出会うとは。

 

 こんな立派な胸筋に。

 

「ニェン、私は彼の秘書としてここにいるんだが」

「いいじゃねぇか兄ちゃん、私は暇なんだよ。そーれ」

「でかすぎて移動都市が停泊できるな」

 

 仕事はまるっきり進んでなかったが仕方ない。そもチョンユエさんに秘書に来てもらったのは親睦を深めたかったからというのもあるのだし、ニェンさんにそれを手伝ってもらってると考えよ。わーすっごい揺れてる。とんでもないね、これは。

 

 リィンさんやチョンユエさんがロドスに来てからはニェンさんのこういう一面を見る事が多くなったように感じる。

 ハツラツとした我の強さというか、ワガママさというか、そういった部分は前からあった所だが、もっと無邪気な感じが一部の人に向けられている風に見える。

 今も子どものように笑いながらチョンユエさんの胸をたわんたわんと揺らして遊んでいる。

 

「でもなんでニェンさんがここにいるんです?」

「暇つぶし。久々に小僧と手合わせしようと思ったんだけど花見てたからな。ちょうど兄ちゃんが番してるって思い出してここで時間潰してんだよ」

「へぇ、手合わせ。珍しいですね」

「映画のネタが行き詰まってんだよ、たまには気分転換もしねぇとなぁ」

 

 息抜きでエンカクと手合わせしたって、血みどろのサルカズが剣を振り回しながら追いかけてくるような映画になるだけじゃないのかな。

 言わぬが吉だな。

 そう思っていたがチョンユエさんは何かを言いたげにして口を開けた。

 

「小僧、というのはお友達かな?」

 

 おや、そう来たか。

 

 これはなにか面白くなりそうな予感だと直感が囁いた。定時までに仕事を終わらせて訓練場に顔を出せばきっと面白いものが見れる。というか予定通りニェンさんとエンカクが手合わせするってだけでも立派なエンターテイメントだし。

 

 私は引き出しから虎の子の理性回復剤を取り出し、封を開けた。

 さぁ、仕事に片をつけよう。

 

「お、もう時間じゃねぇか」

「ではドクター、失礼する」

「え? もう定時かぁ」

 

 どうやらお乳ユサユサに気を取られているうちに無情にも時は流れ去ったらしい。

 絶望する私を置いて揺れる乳を持つ者と乳を揺らした者は執務室を出て行った。

 私のそばには開けられた理性回復剤があるだけ……。

 

「ひぃーん……」

 

 仕事は終わらなかった。

 

◇  ◆  ◇

 

 訓練場に見慣れない姿が二つあった。一つはもちろんニェンで、彼女から訓練場に訪れる事を聞いていたエンカクはむしろ隣を歩く男が気に留まった。

 

 背丈は自分と同程度。がっしりとした体格にブレの無い歩き方からは、明確な武の匂いがする。筋肉のつき方からして鎧を着込むタイプでもないが……と観察した所でよりはっきりとした特徴に気がついた。

 尾と角。ヴィーヴルやサルカズ、その他あらゆる先民(エーシェンツ)とも違う芸術品めいた造形はニェンのきょうだいか。

 

「小僧〜!」

 

 ニェンが手を振って呼ぶのに合わせて、エンカクも素振りを止めた。ニェンと共に近づいてきた男を見れば、なるほど。人間ならざる者が放つ独特のプレッシャーがそこにあった。

 

「エンカクだ」

「私はチョンユエと言う。貴公の事はニェンからよく聞いている」

 

 穏やかな面持ちをしていながら、その紅い瞳はエンカクの姿を捉えた時から彼が持つ二振りの刀剣に注がれている事にエンカクも気づいていた。

 チョンユエは何事も無いように視線をニェンに払って言う。

 

「彼との手合わせだが、私が変わってもいいかな」

「ん〜、いいぜ。小僧もいいよな」

「……構わない」

 

 エンカクの返事を聞くやニェンはスタスタと二人から離れていき、両手で二人を収めたフレームを作りながら遠くざかったり近づいたりを繰り返す。映画に使えそうな画角でも探しているのだろうかと考えていたエンカクにチョンユエは話しかけてきた。

 

「その剣はあの子が鍛えたものだろう」

 

 エンカクが向き直ったチョンユエはそれ以上を言わずどこか遠く微笑みを浮かべるばかりで敵意はなく、かといってただの世間話という様子でもなかった。

 

「お前たちの掟にでも触れたか?」

「まさか、そう角を立てなくともよい。ただあの子が剣を鍛えた者がどれほどか——」

 

 チョンユエの視線は好奇混じりにエンカクを貫いている。

 エンカクより背丈は同等、むしろ僅かにエンカクの方が高いはずなのに不思議と岸壁の上から見下ろされているような、寒気。

 

「——試したくなっただけさ」

 

 なんとも清らかな構えだった。黄金比で象られた水晶を思わせるほど美しく、しかし流れる水のように隙はない。

 匠が作り出した名刀が人を魅了するように、美ではなく武を究めたはずのそれは確かに美しかった。

 

 拳闘、ではなく炎国の拳法(ケンポー)だったろうか。殴る、貫く、掴む、潰す、と触れた箇所を問わず必殺に繋げられる最強の武術……などと嘯いていたのはどうせ何かの映画(フィクション)だったはずだが、これほどの構えを見せられた以上、警戒するに越した事はない。

 

 エンカクは刀を抜くとそのまま片手は空けたまま下段に構えて前に出た。ゆっくりとした歩みだが、いずれどちらかの間合いが相手を捉える。無手対刀であれば当然、相手を先に間合いに入れたのはエンカクだった。

 胴を薙ぐ逆袈裟に対してチョンユエはほんの僅かな身じろぎですり抜けるように躱した。息のあった演舞のようだが、その実はチョンユエが一方的に技術をぶつけたに過ぎない。

 払った腕を掴もうと伸ばされた手は刀を握らず空けておいた手ではじいた。

 流れるように続く拳も躱した。

 だがその時にはチョンユエの姿はエンカクの視界から消えている。

 

 深く沈み込んだ身体を眼が追いきれなかったのだ。

 気づいた時には蹴りが腹にめり込んで、エンカクの口から苦悶が漏れた。

 

 まさに流麗、とニェンが心の中で評そうとした時、エンカクが首を傾げて何かを躱す。掠めていったのはチョンユエの貫手だった。

 ビョウッ、と空気を裂く音が不吉を孕んでいたのは、きっと気のせいではない。

 

 応えるように刀が火を吹く。

 エンカクが炎を逆巻いて振るった刀だが、しかしチョンユエは刃が届く前にエンカクを蹴り飛ばした。

 腕で受け、距離を取ったエンカクの瞼に血が一筋流れ込む。貫手が掠めた時に額を切ったらしい。

 

「悪癖だな」

 

 一人言のように告げたチョンユエは言葉と裏腹に侮蔑も嫌悪もなく、やはり品定めする目でエンカクを見ていた。

 指で血を拭うエンカクは獰猛に、しかし喜ばしげに視線を返す。

 

 腹に入った蹴りよりも貫手の方が遥かに技として鋭かった。にも関わらずエンカクは蹴りを喰らいダメージを受けてなお躱してみせた。

 なぜか?

 

「命が賭けられていなければ興が乗らないか」

「……性分でな」

 

 あの一撃には殺気があった。

 

 だというのに、エンカクにとってはそれが何よりも大事なようでチョンユエは少し呆れて息をつく。

 だが再び同じ構えを取った。

 

「ならばこれは試させてもらっている私からの礼だ」

 

 同じ構えの筈だった。

 猜疑せざるを得ないのは美しい筈のそれが途端に恐ろしく感じさせるからだ。ショーケースの向こうに飾られていた刃が、今は目の前に突きつけられている。

 エンカクは思わず笑みを漏らした。

 

「お前のようなタイプは殺生を好まないと思っていた」

「言ったろう、私からの礼だと。今この時は一人の拳士としての技のみで闘うと誓おう。この契りが私の命と考えてほしい」

 

——だから私は貴公の命を奪う為の拳を振るおう

 

 言葉にこそされなかったが二人の間にははっきりと刻まれた。

 止めるなら、今だった。始まればニェンとて止められまい。エンカクの為に彼女が護りを展開すれば、それこそチョンユエは人外の力を持ってそれを打ち破るだろう。

 今、彼は一人の武人としてエンカクを殺す。

 

「礼を言おう」

 

 エンカクも、刀をまたゆっくりと下段に構えた。

 すでに重い一撃を腹にもらったエンカクは苦しげな汗を流していたが、それでも気迫は衰えるどころかむしろ赤く立ち上る大火のようだった。

 一歩、また一歩と歩むごとにエンカクのアーツは静かに臨界点へと近づき、熱の余波が彼の残す足跡を黒く焦がした。

 

 距離が近づき、間合いが相手を捉えそうに縮まるほどに殺気はより濃密に香り立つ。

 

 ついに刀が振り抜かれた。チョンユエの脚を狙った斬撃はその起こりから見切られたか、刃の通過点より脚はすでに上げられており、むしろ踏み落とす体勢に入っている。

 しかし刀に火が灯った。空気を食らいながら炎を吐いた刃は加速し、踏み蹴りは刀を踏み落とさずに訓練場のコンクリートを叩いた。

 アーツの点火は刀だけではない。刀を握らず空いていた手は既に大剣にかかっている。

 大剣が炎の尾を引いて大円を描いた。刀に火が灯ってから音も立てぬうちの連携だった。

 しかし剣は床を砕くのみ。チョンユエは半身で避けただけで髪の毛一本とて触れてはいない。

 

 いよいよ命を獲る時が来た、とチョンユエが動きを見せた瞬きにも満たない時間の中。チョンユエは自身に切先を向ける刀が焔の華を背負うのを見た。

 刃の背ではなく、柄の底から一点を貫くように吹き出した炎は弾かれた矢よりも鋭い刺突を可能にする。

 

 刃は刹那に上がった爆音とエンカクの裂帛さえ置き去りにした。

 

 だが。

 

 チョンユエの喉元へ走るエンカク最速の太刀へ——舞い落ちる葉が川の流れに垂れるように——チョンユエの二指が触れるのをエンカクは見ただろうか。

 羽よりも柔らかく鎖よりも確かに、二指がわずか数cmの制動で刀を受け止めた事に気づいただろうか。

 つまんだ刀から伝達した力がエンカクに刀を手放させないままに彼に膝を着かせた理合を理解できただろうか。

 

 できなかった。

 エンカクはただそれらが人の技によって行われた事のみを理解し、引き伸ばされた一瞬の中で額から落ちた汗が空中で球になって落ちていくのを見た。

 

 しかし汗の粒が床に落ちた染みになってもエンカクに死は訪れていなかった。それどころかチョンユエの放つ殺気は今になって霧散している。

 

 何事かと思いチョンユエを睨みつけたエンカクにチョンユエはただ片手を上げた。止まれとでも言うように。

 

「受け無しの技とは、私とした事が見誤ったようだ」

「なに?」

 

 エンカクの困惑も他所にチョンユエはヒョイと刀を取り上げて眼前にかざした。見れば、静かな黒刀の向こうに光る眼は立ち上る陽炎で揺らめいている。

 それは光として無駄に放出せずに刀に蓄えられた熱が、触れた空気分子を加熱する事で起きていた。

 刃は冷ややかな鋼に見えながらその実、赫灼として触れるものをみな焼き焦がす炎刃だ。

 尋常の物理現象で起き得ないこれは、アーツによるものか。

 

「このような刃であれば流石に人の身では掴めまい。すまなかったな、私の負けだ」

「ふざけ——」

 

 憤ったエンカクだったが、音もなく肩に手が添えられるとまた片膝を地に着いた。

 今度は立ち上がれない。手が肩を離れてもなお、膝は痺れたように動かない。

 

「再戦はまた今度にしよう。私も悪戯に人を殺めたい訳ではない」

「貴様……!」

 

 エンカクの眼光はもはや彼の刀剣に勝る程鋭かったが、チョンユエは静かな笑みをたたえては背を向けて歩き去ってしまった。

 エンカクはしばし後ろ姿を睨んでいたが、やがて視線は傍観していたニェンに向けられた。

 

 彼のアーツの領分は炎による加速だ。

 熱を刃に閉じ込めるなど、知らない。

 

◇  ◆  ◇

 

「もういい、放せ」

「なんだよ、礼の一つも無しか? なんなら頭の上に掲げて運んでやってもよかったんだぞ?」

 

 軽口を叩くニェンに一瞥だけして、エンカクはまだ痺れの残る片足を引きずりながら刀剣をベッドのそばに置いて倒れるように寝転んだ。同じくベッドに胡座をかいて座り込んだニェンに目を向けようともしない。

 

「なぁ、小僧」

 

 ニェンの尾の炎が薄暗い部屋に不安げに揺れた。

 

「なぁ……悪かったよ。でもあの仕(・)込(・)み(・)は刀が受けた熱を逃さずに溜め込むってだけで、お前が斬れないモノを斬れたりするような代物じゃねぇんだぞ」

 

 分かっていた。

 振りやすく斬れ味も鋭いが、御伽話にあるような担い手に力を授ける魔剣などの類でないことは。無論そのような剣ならば今頃ホコリを被っていただろう。

 そして刀の仕(・)込(・)み(・)が無ければ、チョンユエの殺気はあのまま霧散したりはしていなかっただろう事も。

 

 エンカクは自分の中で煮える苛立ちが抑えられるものか、抑えていいものか、むしろその正体さえも分からなかった。

 ニェンがエンカクの腿を枕にして顔の方を見ている事を視界の端に感じながら、エンカクはただ所在なくフラフラと高く揺れるニェンの尻尾だけを見ていた。

 

 やがてニェンが子どもを宥めるように、ぽん……ぽん……とエンカクの腹を叩いていた。痛くも痒くもないそれに、慣れない事をしていると考えていたが、やがてニェンの手は下に動いていき、ベルトに手がかかってカチャカチャと音を立てながら外し始めた。

 

「何のつもりだ」

「ご無沙汰だったしいいじゃねぇか」

 

 ジィィ、とジッパーも下ろすと下着もグイグイと無理にずらされて、顕になったエンカクの愚息がニェンの舌にねぶられた。

 くすぐるように亀頭を舐めるとピクリと跳ねて、ニェンがしたり顔で笑う。

 

「仏頂面でも体は正直じゃねぇか」

「おっさんか、お前は」

 

 気を良くしたか、ニェンは口を開けてパクリと咥えこむ。口をすぼめて吸いついて、音を立ててしごく度に一物が何かを堪えるように口の中で震えるのをニェンは感じた。「出してもいいぞ」と咥えながら言ったのが伝わったか、エンカクはニェンの頭を掴んで動かし始めた。口淫はより下品な音を立てて、程なくしてエンカクは絶頂した。

 ニェンは口の中で脈打ちながら吐き出された精子を喉奥に浴び、頭を掴む手の少し伸びた爪で後頭部をカリ……と掻かれながら、自分の手が知らずの内にシーツを握りしめていた事に気がついた。

 

 苦しくは、ないはずだが。

 

 ひとしきり出したエンカクもニェンがシーツを握るのを見て少し怪訝そうな目で見たが、ニェンは気にせず舐め上げて、はぁ、と息を漏らしながら口を離して。

 少し粘ついた唾液が糸を引く陰茎はまだ勃起している。

 

「まだいけるよな?」

 

 そう言ったニェンは下を脱いでそのままエンカクの上に跨った。陰茎にあてがった秘部には既に熱を帯びた雫が垂れていた。

 

 ニェンの蜜壺は愛おしそうにエンカクの一物を呑み込んだが、ほぐされていないせいでまだ少しきつかった。馴れるのを待つようにニェンはエンカクの上に手を着いて、やがて腰をゆっくりと動かす。奥に押し当てるように大きく動かしながら浅く息を漏らすニェンはエンカクの胸をなぞりながら尻尾で脇腹をくすぐっては笑みを浮かべていた。

 だがエンカクに尻尾の尻尾の付け根を掴まれて体を震わせた。

 

「っ、小僧……」

 

 ニェンの恨み節にエンカクの手は一度離れたものの、再び掴まれてまたニェンは体を震わせた。

 今度は短く喘いだだけで、言葉が出なかった。

 身体を反らせて浮いた腰にエンカクが深く突き入れると一段と高い声でニェンは喘いだ。

 

 ぐり、と奥をえぐるとニェンは開いたままの口からとろけきった声を漏らす。目は焦点を失い、ぼんやりとエンカクの方を向いていた。

 そのままエンカクが突き始めると膣口はより一層激しい水音を立て、その一突きごとにニェンは声を震わせ、一際大きな声を上げると同時に絶頂した。

 

 締め付ける膣壁に呼応するようにエンカクも射精した。二度目の絶頂にも関わらずニェンの中で勢いよく精を出す。

 

 ニェンはまるで味わうようにエンカクの上で手をついたまま、口から甘い息を漏らしていた。

 

 程なくしてニェンは我を思い出したか、力の抜けた四肢で腰を上げてエンカクの陰茎を抜くと、ベッドに身体を沈めるようにエンカクの隣に寝転んだ。

 一仕事を終えたとばかりに息をついたニェンが隣にいるエンカクを手で探ったが、すでにいなかった。

 どこかに行ったかと目を開けるとエンカクはそばにいたが、ニェンの上に覆い被さっていた。

 ニェンの秘部にあてがわれた一物は二度の吐精も忘れたように屹立している。

 

「な……あっ」

 

 驚く暇もなくエンカクの男根がニェンの肉をかき分けて入って来た。

 

「おめぇ……何度、あぁっ」

 

 既にほぐれきった膣肉に抵抗などなかった。欲しがるように締め付けては剛直が押し返す反発に否応もなく快楽が供給されてしまう。

 ただ入れられているだけでも限界が訪れそうだというのに、エンカクはニェンの腰に手を回し動き始めた。

 胎の奥からじわりと滲むように熱がニェンの体に響き渡る。

 

「あ、あし、は……?」

「これぐらい動ける」

「ああっ、こぞ、もう」

 

 ニェンが出す声はもう色に染まり切っていた。一度絶頂した体に快楽は、砂漠に降る慈雨よりも浸み渡ってしまう。

 濁流のように流れ込む快楽に耐えることは出来ない。

 気が付けばエンカクに脚と尾を絡ませて絶頂の波に溺れていた。

 

 前後も分からぬ状態で快楽の逃げ場を探し求めるようにシーツの上を動いていた手がふと、エンカクの手に触れた。

 自分の手よりも遥かにぬるいはずのそれが、どうしてか温かい。

 

「なぁ、エンカク……」

「……なんだ」

「あたま、なでてくれよ……さっき、みたいに」

 

 ニェンが“エンカク”と呼ぶことは以前から稀に、あった。

 だがこんな態度はあっただろうか?

 

 ニェンはなおも突かれて胸を揺らしながら、ねだるようにエンカクの手を撫でている。ニェンの言う“さっき”を思い出しながら頭に手を伸ばせて髪に指を通し、撫でた。

 不器用な撫で方だと自嘲したエンカクにニェンは頬を上げて力なく笑い、そのまま絶えぬ快楽に任せて静かに、深く果てた。

 エンカクが三度目の絶頂を迎えたのも、それからすぐだった。

 

◇  ◆  ◇

 

 自分の胸が弄ばれているのに気が付いてエンカクは目を覚ました。見ればニェンが寝ぼけ眼のまま、たしたし、と彼の胸筋を叩いて遊んでいる。

 

「ん、起こしたか」

「分かったなら手を止めたらどうだ」

「んー」

 

 言いながらもニェンはまた弾力を確かめるようにゆっくりと揉んでは、手を止めそうにない。

 

「私はもう少し寝る……小僧も寝とけ」

 

 そう言うとニェンは胸筋に頬を置いて、もう寝息立てていた。

 エンカクは起きようか迷ったが、結局まぶたを閉じ、ニェンの頭に手を添えてまた眠った。

 

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