自慰に溺れる女性、それを眺めて同じく自慰に溺れた僕。
マスターベーションが呼んだ快楽のさざ波。
それが瞬時に一転した。
荒波と厚く垂れ込めた雷雲を、眺めるような気分だ。
女生徒と、ついに目があってしまった。
我慢できずに溢れ出した、僕の情欲のせいで。
「……」
彼女は何も言わず、眉一つ動かさない。
こちらに目を向け、体勢はそのまま。
ほんの数秒のことだろうけど、それはとても長く感じられた。
「あ……」
女生徒の呟きが沈黙を破る。
尻についた牡汁をサッと指で拭うと、スカートを整え、すくっと立ち上がる。
汚れた指は、ポケットから出したハンカチで拭ったようだ。
それから彼女は、反対側のポケットから何かを取り出す。
(一体……何して……?)
妙な不安と焦燥感に駆られているせいで、挙動に一々反応してしまう。
ややあって、彼女は何かを手にしていた。
下着。
淡い桜色をした、女性用の下着だった。
(うわっ……)
ドキッ、と心臓が大きく動くのを感じる。
女性用のパンツ……
生パンツ……
女生徒はそれを手際良くスルスルと履く。
「ふぅ……」
服を整えてから、ため息を一つつき、女生徒がこちらを振り返る。
正面を向いた彼女。
改めて、僕はその全身を見た。
女性にしては背は高め。
大人びた、綺麗な顔立ち。
しかし可愛らしさもある。
そして何より目を引く、大きな胸。
女性のサイズ感を相対的には知らないが、多分、大きいのだろう。
(う……見られてる……)
僕と彼女、お互い沈黙の中見つめ合う。
あんな姿を見せたと言うのに、この落ち着き様。
どう考えても、異常な振る舞いだ。
だけど、僕の胸は高鳴り、言い知れぬ緊張感が心臓を包み込む。
先ほど教室で感じた緊張とは違う。
どこか、甘酸っぱさの漂う緊張感。
「……ふふっ……」
不意に、笑みを溢す女生徒。
「!?」
突然のことに、動揺を隠せない。
胸の高鳴りは徐々に速く、強くなり、悪戯っぽく笑うその笑顔に目が釘付けになる。
「可愛いモノ持ってるね」
一瞬、何のことか分からなかった。
しかし、一言告げた彼女の目線は、下の方に向いている。
その導線を辿った先にあるもの。
ズボンからはみ出た、僕の陰茎のことを言っているようだ。
今やすっかり萎えて、弱々しい。
うっかりしていた。
彼女に気付かれたことに動揺し、仕舞い忘れていた。
拭き取るのは高速技だったのに。
こんなところでミスを犯すとは情けない。
「あ、あ……」
恥ずかしさのあまり、言葉も出ない。
そんな情けない僕を見て、相も変わらず笑顔の女生徒。
(うっ……)
すると突然、胸が詰まるような感覚と、身体の中心から熱が込み上げる感覚が同時に押し寄せる。
これは興奮か。
それに伴い、見る間に僕の分身は力強く立ち上がる。萎えていたそれは、再び雄々しさを取り戻した。
「わぁ~ぉ」
堂々とされると、何してても変に思わないんですよね……て、ありません?