立香との魔力供給を終えたジャンヌは、衣類を戻すと上機嫌で広間に向かった。藤丸立香との魔
力供給は彼女にかつてない充実感を与えていた。気を抜けば鼻歌でも歌いだしそうだ。性行為によ
る快感や、外部から魔力を供給されたことによる充足感は、もちろんあった。しかし、それ以上に
人類最後のマスターである少年を蹂躙し、凌辱してやったという事実が、ジャンヌにこれまで芽生
えていなかった愉悦感を与えていた。少年を犯すことは人類の未来を踏みにじる行為であり、神の
不在の証明でもあるからだ。神が存在するならば、人類最後の希望の少年を、竜の魔女の玩具にな
どするはずがない。また、マスターである少年が、サーヴァントの性奴隷として扱われ、慰み者に
なるのも、皮肉がきいていてよい。今後も少年からは、魔力を搾り続けてやろう。フランスを滅ぼ
した暁には、無理やり自分と結婚させて、永遠に交わり続けるのも悪くないかもしれない。
ジャンヌが立香の今後を考えながら広間に到着すると、すでに彼女のサーヴァント達はブリー
フィングを終えていた。ジル、ヴラド、デオン、アタランテ、マルタ、カーミラの6人はジャンヌ
の戻りを待っていた。ジャンヌの姿を見かけてジルが歩み寄り、声をかける。
「おお、戻られましたな。 して、あの少年の使用具合はいかがでしたか?」
「悪くなかったわ。明日からでも順番に使わせましょう」
ジャンヌはジルに答えると、他のサーヴァントたちに向き直る。
「明日からは、あなたたちもリツカから魔力を供給しなさい。方法は性行為が望ましいけど、1日
1人までよ。他の希望があるなら聞くわ」
「吸血でも問題ないかしら?」
「余もそれが望ましいな」
ジャンヌにカーミラとヴラドが問いかける。吸血鬼の無辜の怪物となった2人には、血液による
魔力供給が最も効率がよかった。
「やり過ぎないように注意しなさい」
ジャンヌは釘を刺しつつも、2人の提案を認めた。ジャンヌの言葉に、2人はうなずく。吸血が過
ぎて殺してしまっては元も子もない。
「明日からはアタランテ、マルタ、ヴラド、デオン、カーミラの順でリツカを使いなさい。気が向
いたら私も使います。いいわね?」
ジャンヌの決めた順番に、不服の声を上げることなく、サーヴァント達は同意した。アタランテ
を最初にしたのは、立香を捕らえた功績を考慮してのことで、残りの順番は、フランス滅亡への貢
献度から決めた。ジルの名がないのは、彼が前線にでることがなく、魔力も消費しないためだ。
次にジャンヌは、立香の食事を準備することにした。明日からの”肉体労働”に備えて、精をつ
けさせる必要がある。
「ジル、戦死したワイバーンが何体かいたわよね?」
「捕虜への食事ですかな?」
「そうよ。食べられる状態にして、リツカに持っていきなさい」
「承知致しました。本日中に持ってまいります」
竜種の肉は、通常の家畜の肉よりもカロリーが高く、精がつくうえに、保存がきく。ワイバーン
の肉も例外ではない。今の状況の立香に適した食材だった。
ジャンヌはジルに食事の用意を命じると、自身は戦線の拡大に向かった。魔力供給をした影響か
エネルギーが有り余っており、一刻も早くフランス軍を燃やしたい気分だった。
ジャンヌが去った後、立香は部屋の隅でうずくまり、落ち込んでいた。倒さねばならない敵の
サーヴァントに捕まり、性行為を強要された挙句、己が射精したいがために相手をご主人様呼び
して、媚びへつらったのだ。絶間なく自己嫌悪の感情が湧き上がってくる。健気に自分のために、
戦ってくれたマシュに合わせる顔がなかった。
何時間か経過した後、突然、立香がいる部屋のドアが開いた。長身の異形の男が皿を手に室内に
入ってくる。男の姿を見た立香は、すぐに彼の名を思い出した。ジル・ド・レェ――キャスターの
サーヴァントだ。ジルは部屋に入ると、手にした皿を机に置いた。皿の中では、正体不明の肉塊が
湯気を立てている。ナイフとフォークも傍らに置かれた。
「ホホホ、さあ、食べるのです。そして精をつけなさい」
「…いらない。何も食べたくない…」
皿を置いたジルが立香に笑顔で食事をすすめてきたが、気味が悪い上に食欲もなかったので、立
香は断った。
「あなたに選択肢はありません。食べないと言うなら、海魔を使って無理やり押し込むまでです!」
食事を断る立香にジルが怒りの表情で迫った。ジルの表情に狂気を感じた立香は、仕方なくナイ
フとフォークを手に取り、肉塊を切り出した。表面は焦げて一部炭化していたが、中心部は赤いま
まで、肉汁が溢れ出す。味には全く期待していなかったが、牛肉と鶏肉を混ぜ合わせたような食感
に塩のみの味付けが非常に合っていた。1口食べると、急に食欲が湧いてきて、夢中になって食べ
始める。思えば、レイシフトしてから何も口に含んでいない。ガツガツと半分くらい食べ進めて、
ふと気づくとジルがじっとこちらを見ていた。薄気味の悪い笑みを浮かべ、立香が食べ進める様を
観察している。立香の脳裏に嫌な予感が浮かんだ。ジルに恐る恐る質問をする。
「これ…何の肉?」
「これは竜種、ワイバーンの肉です。お気に召しましたかな?」
ジルの回答に立香は胸をなでおろした。人肉を食べさせられるという最悪の予想は外れてくれ
た。むろん、竜種の肉など食べたことはなかったが、なかなかの美味であり、毎日でも食べられ
そうだ。立香はその後もワイバーンの肉を食べ続け、皿の中の肉塊を完食した。立香が肉を食べ
終わると、ジルは皿を持って部屋から出て行った。
食事を終えると、それまでの疲労の影響か、強烈な眠気に襲われた。いずれ脱走を企てるにし
ても、体力を温存しなければならない。立香は素直に睡魔に従い、床の上で眠りについた。