今回のお話は息抜きで書かせていただきました。
因みに前回の続きではありません、続きも近々書かせていただきますのでご了承ください。
それと本文内容にはオリキャラと原作キャラの絡みが御座います、苦手な方はご注意下さいませ。
グレンがヴィクトリアと合流する少し前、夜も更けた幻想郷の森に佇む、二階建ての大きなトレーラーハウス。
その一室、静まり返る森の中にぼんやりと浮かぶ光の原因はグレンの寝室から漏れた光だ。
奇妙な出会いから、半ば同棲に近い形でトレーラーハウスに住み始めた妖怪。
彼女に対する扱いを考えながら、グレンは傷だらけの机に向かい、今日一日分の日記を綴っていた。
「……ハァ」
これで何回目なのか。
数えるのも面倒になる程に繰り返される溜め息。何度頭の中を整理しても鮮明に蘇るのはあの日の記憶。
初めて彼女を抱いた日。
別にグレンは抱いた女を一々覚えている程、誠実に生きているつもりは無い。
今まで性欲に任せて抱いた女は両手の指だけでは数え切れないくらいに居る。金を払って抱いた女もごまんと居る。その中でもありったけの精を吐き出させようと締め付ける女や、腰使いが驚く程に上手い女、口戯だけで満足する程に口戯が上手い女等、印象に残る女も数多く居た。
それでも…何故か彼女の顔が頭にこびりついて離れない。
彼女の苦痛に満ちた表情、段々と朱色に染まる頬、小さな傷を付ける事さえ躊躇わせる様な真っ白い肌、背格好に反してそれなりの大きさと柔らかさを併せ持つ乳房、そして噛み付きたくなる首筋……
「って、最後のは俺の性癖じゃねぇか」
思わず口から漏れ出た言葉、急に馬鹿らしくなった俺は脳内からあのガキを無理矢理追い出す。
日記を見ると無意識の内に今日あった主な出来事を、断片的に紡ぎ終えていた。
ボールペンをノートに叩き付け、気恥ずかしさからなのか、俺は荒々しくベッドにダイブすると適当に肌掛けにくるまって眼を瞑った。
(ったく、今何時だ?)
ベッド脇に置かれているデジタル時計に眼を遣ると、午前2時を少し過ぎた所だった。忙しい明日に備えて早く寝るつもりがこの時間。全く、俺は何を考えてやがるんだか…
「あの……グレンさん…?」
「ッ!」
飛び出しそうになる心臓。チラリと扉の方を見ると椛が頭だけを覗かせていて俺をジーッと見ていた。
「…何だよ」
珍しく動揺しちまってるのを悟られない様に、努めて平然に返す。俺の返事を聞いた椛は不安そうに小さな声でこう言った。
「…あの…一緒に寝ても…良いですか…?」
消え入りそうな、弱々しい声色で紡がれた言葉。
訳を訊こうかとも思った。だが椛の顔を見ると訊く気も失せる。
「…………」
俺は無言でベッドにスペースを空け、その空いたスペースを掌で叩いた。
「グレンさんは怖く無いんですか」
背中合わせの椛が不意に語り掛けた。グレンは眼を瞑ったまま答える。
「…何が?」
答えが返って来た事に、椛が安堵の表情を浮かべた。
だが直ぐにその表情は暗く、陰りを見せる。
「…独りが、です…」
その問いの中にある思考、グレンは椛の考える事が手に取る様に判った。何故ならグレンにも経験があるから。
だから、判った上でグレンは椛にこう答えた。
「……独りは怖くねぇ、だが独りに慣れるってのが想像以上に恐ろしいんだ」
「だけど心配すんな」
グレンは椛の方を向く、そして椛の小さな身体を強く抱き寄せてから宣言した。
「俺がテメェを独りに慣れさせたりしねぇからよ」
我ながらクソクセェ台詞を…吐き気がする。
だが椛が大人しく抱かれてるのを見る限り、ちったぁ効果があったみたいだな。
「グレンさんは強いです」
「ただ独りに慣れてるだけだ、慣れちまえばコッチのモンだからな」
「…これからは、私が独りにさせませんから」
「…ハッ」
「あ、鼻で笑った」
「……期待しとく」
「ふふっ、分かってますよ……お休みなさい、グレンさん」
「……お休み」
ずっと頭を撫でてたお陰か、俺が眠れたのは午前4時を過ぎてからだった、寝不足だよチクショウめ。
初めて抱いた感情のせいでデレてしまったグレンを書きたかっただけなんだ←
ではでは。