月は平等に地上を照らす、それは天上の女神アルテミスの慈悲かも知れない。
そんな慈悲すらいらぬとばかりに影から影を渡りスラム街を進む者達がいた。黒のフードをすっぽりと羽織り、姿ばかりか足音すら隠して進む彼等が一旦止まった。フードから獲物を狙う猛禽類の如き目を向けるのはシチハ達が住むアパートだった。
「あそこにターゲットがいる。ターゲットは青髪をストレートに伸ばした女とその夫、命令は生け捕りだ。背後関係を吐かせる為だ、間違っても殺すなよ」
リーダーが残る四人に作戦の念押しを行う。
「はっ」
「なお、アパートに住む者の残りは皆殺しだ。ヴィラに逆らった者の末路を世間に知らしめろ」
アパートにはスマイリーなど知り合いもいるが大半は無関係な住人、ただ同じアパートに住んでいたと言うだけで躊躇いなく皆殺しを命令できる。
ヴィザナミ人で悪人、遠慮無く良心を捨てられる相手だ。
「お楽しみはありですか」
「駄目だ」
リーダーはきっぱりと否定する。
「そんな気張らなくても、相手は素人。今頃、昼間の騒ぎを乗り越え一件落着、ぐっすりと幸せに寝ていますよ。それとも助かった喜びを夫婦で味わっているかな」
「けっけ、最後の営みだ」
「なあ殺さなければ何をしてもいいんだろ。その夫の前で妻をみんなで輪さないか」
「駄目だ。その妻を主がご所望だ。下手に手を付けたら下水道に流されるぞ」
帝都ソフィアフォスの地下には、もしかすると帝都より広いかも知れない地下迷宮が広がっている。伝承では魔王大戦時に魔族の襲来から逃れるための地下都市であり、今いるヴィザナミ人はその末裔で、大戦後その地下都市の上に都市を築き上げていったという。
また噂では文明崩壊前チョウカガク文明の遺産が今でも眠っていて、一攫千金を夢見た冒険者が地下迷宮に挑み、ある者は大金を手にしある者はそのまま地下に消えている。
「お~こわ。それじゃ他の女ならいいのか?」
よっぽど陵辱が好きなのが一人リーダーにしつこく食い下がる。
「駄目だ。昼間の件でヴィラにこれ以上の失態は許されない。速やかに仕事を果たす。
無駄口はそれまでにしておけ、行くぞ。ん? お前どうした」
集まった五人の内一人が男がゆっくりと地面に倒れた。
「敵!!」
ここで倒れた仲間に近寄ったり、リーダーの命令を待つような者はいない。直ぐさま男達は散開しようとするが、その時点でもう一人地面に倒れた。
「どういうことだ。待ち伏せされたというのか」
リーダーは待ち伏せされ仲間が二人音も無く倒された時点で作戦を断念、部下を助けに行くどころか囮にするつもりで直ぐさま逃走に移行するのであった。
第四城壁内の商社が集まるオフィス街の一角にある建物の四階、深夜だというのに煌々と明かりが付いている部屋が合った。だが、ここオフィス街では徹夜で仕事をする光景などよくあることなので誰も気にはしなかった。
ガス灯が照らす淡い光の中でデスクに座って書類仕事をしていた部屋の主はペンを止め視線を上げ、その先には黒のフードに身を包んだリーダーがいた。
「すいません。作戦は失敗です。強襲することを読まれていました」
「相手はスラムのチンピラじゃ無かったのか」
リーダーに話しかけるのは口ひげを蓄えシルバーグレーの髪をオールバックに固める温和そうな中年。服装もビジネスライクに固めたクラシックスーツを着こなし、やり手のビジネスマンにしか見えない。
「とんでもない、結局姿を見ることも出来ず四人の部下を失いました。背後に絶対巨大な組織が関与してます。急ぎ対策を練るべきです」
ヴィラは最近急成長してきた組織で往来で人を蹴っ飛ばして歩くほどに威勢がいいが、それだけに既存勢力等の敵も多い。リーダーはそうした敵勢力の一つが背後にいると予想したのだ。でなければ自分等ほどの手練れをああも簡単に手玉に取れる使い手を用意できるわけが無いと思っている。
「他の者なら無能と処分するところですが、お前の優秀さは知っている。
分かった検討しよう。お前はもう下がっていいぞ」
「はっ」
リーダーの男が退出すると残った中年はデスクで手紙を書き出した。事態の重さを感じ急ぎヴィラの緊急幹部会を開く要請をするためだ。
スラスラスラ、数秒ほどペンを走らせたところでその手が止まった。
「ヴィラの幹部の割にはは地味なとこにいるんだな」
部屋に備え付けられたソファーに俺はふんぞり返って座っていた。態度は悪いが、此奴等相手に礼儀もクソも無いだろ。嫌われたところで何とも思わない。
それにしてもここは普通の商社の重役レベルの個室にしか見えない、ヴィラの幹部のクセにこんな普通の所に潜んでいるのか。こりゃガイフだけが特異で他の幹部はどこにいるのか探し出すのすら困難そうだ。
「ちっ付けられたのか。これは評価を見直さないと行けないですかね」
「いやいや、俺が優秀すぎるだけだ。実際彼奴結構優秀だったぜ」
慌てて逃走した割には尾行を警戒しまっすぐには帰らす、結構振り回された。実際俺でなければ途中で撒かれていただろう。
「それで何しに来た?」
中年は視線を上げて俺を見る。
「ここらで手打ちにしないか」
「手打ちですと」
「元々お前等から仕掛けてきた喧嘩だ。そちらが黙って手を引けば俺達もこれ以上関わるつもりは無い。俺も夜はぐっすり寝たいからな」
今回は臨時軍師の読みが当たったが、こんな夜を毎日してられるか。寝不足になるし、仕事も出来ない(もちろん怪盗の)。
「私も抗争などしたくはありません。抗争は儲からないですからね」
まあその結果縄張りが手に入るならいいが、俺から奪える縄張りはないしな。本当に面子だけの問題になる。
中年はやれやれとデスクから立ち上がった。警戒するが中年はペンすら持たない完全な無手だった。かといって相手はマフィアどんな暗器を持っているか分からない油断は禁物だ。
「そうだろ」
「ですが、こちらにも面子がある」
中年はつかつかと俺の方に歩いて三歩手前で止まった。あちらもこちらの隠し武器を警戒しているらしい。互いに間合いに踏み込まない距離で睨み合う。
「だから分かり易いスケープゴートを用意してやったのに」
「ふん、あんな正義の怪盗などと言う茶番に付き合ってられますか」
中年は吐き捨てるように言う。
「だが、素直にお前等がフォックスを追えば丸く収まったぞ」
正義の怪盗フォックス、それとヴィラならそれなりに釣り合うだろうに、何を好きこのんでスラムのチンピラを相手にするかね。
端から見れば完全な弱い者虐め。故に絶対に負けられない、退けない戦いを選んだ。
「見え透いたスケープゴートに引っ掛かった方がマヌケと舐められる」
まあちょいと考えれば、そんな都合良く正義の怪盗が表れるなんて事は無いと予想できる。
「そうか意外と大衆は信じてくれると思うがな」
それでも大衆はもしかしたらと正義の怪盗に夢を見る。見てしまうほどに疲れている。それに乗ってくれればそれなりにこの後も色々と正義の演出してやる積もりで、ヴィラもそれに乗っかれば良かったのに。
下手な小賢しさが命を縮める。
「でっどうしろと」
「詫び料を持ってこい。そうすれば手打ちの件考えてやる」
仕掛けておいて負けて、まだこれだけ強気に出れるのは組織が本気を出せばこちらを簡単に潰せるという自信があるからか。
初手で手打ちを切り出したのは間違いだったか、こちらが弱気になっていると取られたようだ。ただ単に駆け引きがめんどくさいから、直球で言っただけなのにな。めんどくさがらずに、ガイフの縄張りを寄越せと要求しておいた方が駆け引きで手打ちに出来たかも知れない。
がっ、どうでもいい。
「そっちから仕掛けた喧嘩だぜ」
「関係ない。ヴィラが欲しいと思ったものを大人しく差し出さない方が悪い」
強ければ何をしてもいいか。ヴィラはこんな奴らばかり、まさにヴィザナミ人を濃縮したような奴らばかりなのか。
むかつくな、ああむかつくな、今すぐぶち殺したくなってくるが、後のお楽しみのため今はまだ我慢して交渉を続けてみる。
「ラット地区の支部は潰れた。これ以上続けるなら最低でもここは潰れるぜ」
「所詮表の世界に関わるためのダミーに過ぎません」
「でも体面は更に潰れるぜ」
それに強がっているが、表の世界と関わるためこの会社には結構投資しているんじゃ無いのか、潰れたらそれなりの損害だろ。
「なるほど、その自信はよほど強力なバックがいるようですね」
ここを潰すと言ったのは別に後日の話じゃ無いんだがな。何か勘違いしている、俺は今ここで俺が潰すと脅したんだ。
「カンパールズ、それともクストーデか」
中年の眼光が俺の瞬き一つ見逃すまいと鋭くなる。俺がどっちの言葉に反応するか見定めようというのか。
「御想像に任せるよ」
正解はどっちとも業務提携ははしているが、バックでは無い。俺がヴィラに潰されても報復なんてしないだろ。
だがそんな両方に関係あるのを見抜いたのか中年の態度が変わった。
「いいでしょう。不毛は消耗戦はお互いの利には成りませんな」
中年は二歩前に出て右手を差し出してきた。
「何のつもりだ?」
「これで手打ちと致しましょう」
握手ね。馬鹿らしいが組織間の抗争の手打ちの場面では良く行われている。形だけとはいえ友好の証を見せるのが大事だそうで。
俺はソファーから立ち上がり、一歩前に出て右手を出した。中年の手を握ろうとした瞬間、掌が消えた。
「ガハッ」
ほとんど前に伸ばした状態からノーモーションでジャブが放たれたのだ、威力は申し分なし、俺は壁に吹っ飛ばされた。
「油断しましたね。数々の敵を葬ってきたノーモーションジャブ。今は紳士然としていますが、私は拳闘士としてこの拳を血に染めて成り上がってきたんですよ」
中年は俺が倒れて動かないのを確認すると鈴を鳴らた。
コンコン。
「入れ」
ドアが開けられ先程のリーダーが顔を出してくる。
「ここに倒れている小僧をアジトに連れて行って拷問してバックを吐かせろ」
リーダーは顔を出して、出して行くままに倒れた。
「!」
リーダーを踏みつけ、背後から長身の男が入って来た。
長身の男は長髪の金髪碧眼、女と見間違うほどの美形で彫刻の如き均整の取れた逞しい体つきをしている。
「・・・。だっ誰だ」
中年は一瞬見惚れたあと我に返って新たな侵入者に誰何した。
「スコルピオ。そこの男に雇われたただのアサシンだ」
「伏兵がいたのか。だが残念だったな、お前の雇い主はこの様だぞ」
「確かにな。いい加減うざいから寝たふりは辞めろ」
「やれやれ、敵が死んだらぺらぺら秘密をしゃべるのは物語の中だけか」
俺はよっこらせっと立ち上がった、少々じじ臭いか。
「おっおまえ、ノーモーションジャブを受けてノーダメージだと」
「ノーダメージじゃねえよ」
咄嗟に掌でガードし自分で壁に吹っ飛んだんだ。パンチを受けた拳がヒリヒリするぜ。流石武闘派のヴィラの幹部といったところか。
「それで片付いたか」
「ああ、全員片付けた、誰1人逃がしてない。此奴は直ぐ逃げようとしやがって」
面倒臭い目に合ったのかスコルピオはリーダーを踏みつける足をぐりぐりする。
「きっ貴様手打ち交渉をしておいて」
う~ん、手打ち交渉中に闇討ちで敵を減らしていくなんて常套手段だろ。第一騙し討ちした此奴には非難されたくない。
「仲間を闇討ちしようとしたんだ、これくらいの代償は払って貰わないとな。
それに結果的には破談になったんだから問題ないだろ。結果オーライって奴だ」
万が一手打ちになっていたら、すまん手違いとと居丈高に謝るだけさ。
「くっ~糞餓鬼が。
スコルピオさん、私に鞍替えしませんか? この男の二倍、いや三倍だそう」
「悪いが俺は金では動かない」
中年の提案をスコルピオはにべもなく断った。
「糞が~舐めやがって。私とてヴィラの幹部にして拳闘士の準マスタークラス、この程度の窮地覆してみせる」
中年はサウスポーに構えるとリズミカルなステップを刻み出す。自分で準マスタークラスと言うだけあって、軽やかなステップは埃を立てなければ足音もしない。噂に聞くここから拳闘士の華麗なフットワークが生まれるのか。
面白い、不意打ちだけかと思えば中々正統派じゃ無いか。そういう奴を嵌めてやってこそファントムマスターってもんだろ。
「俺にやらせろ」
前に出ようとした俺をスコルピオが遮る。
「其奴に不意打ちをされた恨みがあるんだが」
掌と背中がまだヒリヒリする。
「契約だ」
「雇用主だぞ」
「だからこそ契約を守れ」
「ちっしゃーねーか。アルヴァディーレはヴィザナミとは違う。約束は守るさ」
「そうか俺は嬉しいぞ、お前といると生き甲斐を感じられる」
「そうかよ。譲ってもいいが殺すなよ。其奴には色々聞きたいことがある」
「生きてたら殺さないでやるよ」
哲学的な答えをするスコルピオに顔を顰める俺、そんな戯れ言の間隙を縫って中年が静かに先制してきた。流水のように滑らかなフットワークでスコルピオが中年の方に向き直した時には間合いに潜り込み、俺に喰らわしたノーモーションから繰り出される高速のジャブが五連撃放たれた。
しかしスコルピオも得体は知れないが偶然知り合った一流の暗殺者、拳闘士に引けを取らない滑らかなスウェーとウェービングで直撃を避ける。だが無理に上半身の動きで攻撃を避けたため体勢が崩れた。
「はっ」
右手と左手が滑らかに連動し右が引かれると同時に閃光のような左ストレートが放たれた。俺は脇から見ているから見えたが、眼前に立っていては影さえ捕らえるのは難しかっただろう。だがスコルピオは反応していた。笑みすら浮かべ拳の横すれすれに顔を滑らせ中年の懐に飛び込み、カウンターで人差し指で中年の左胸を突く。
「くっ」
中年は指がめり込んでいく前に華麗なバックステップで間合いを取り直す。
「見事なヘッドスリップでし、うぎゃああああああああああああああああああ」
力が籠もった打撃では無かったが中年は目を真っ赤に染め触れられた左胸を押さえて絶叫を上げた。
これは神経の中枢に毒針を突き刺し発狂するほどの激痛を与える「蠍の一刺」という技である。見えないが中年の左胸には極小で極細のニードルが突き刺さっているのだろう。 普段は流れの鍼灸師としているが彼こそ最後に真っ赤な世界を見せて葬るというヴァーミリオン流の継承者である。そんな男がなんでこんなスラムに流れてきたのかは知らないが、ひょんなことから知り合い馬が合ったので、たまに仕事を依頼するようになった。
彼を雇うには金がいるのは勿論だが、相手が悪であることが条件である。彼は身につけた技で悪を倒した時にのみ己の人生に充足を感じることができる、まあ変人だ。
「いい勝負だった」
その変人は真っ向から戦い討ち果たしたことで満足そうな顔をしている。そのいい顔、女なら一目惚れしちゃうね。
「はあはあ」
中年は体中から脂汗を流しながらも立ち上がってきた。
「ほう発狂しなかったか」
「約束だ」
今度は俺がスコルピオの前に出る。
「まっまてもうったたかうきはない。手打ちの件、受け入れる」
勝ち目がないと悟り慌てて交渉に乗り出そうとする。
「もう遅い。あれは互角の状況でこそ出来る交渉。今はもう駄目だ」
「俺のバックには」
「バックがどうした? ん、今この状況の方が大事だと思わないか? それともお前はバックが報復してくれたら墓場の影から喜ぶのか?」
「ならどうしろと」
それでも俺が中年を殺そうとしていないことから交渉に希望を持っている。
「お前が管理する資金全て出せ。そうすれば逃走資金くらいは摘まませてやるぞ」
「欲張るな。半分だ」
「命の値段安いな」
「いいのか俺を殺したら資金が何処にあるか分からなくなるぞ。なんといっても俺自ら巧妙に隠したからな。0になるくらいなら半分で手を打て」
ふう、此奴等は一体どういう神経しているんだろうな。何で事ここに至ってまだ交渉が出来ると思っているんだ? おおかた半分くらいの損失なら隠せるとか、まだ挽回できるとか思ってるんだろうな。あの時子供だった俺には何も出来なかったように、どうにもならないものはどうにもならないというのに。
そういった意味ではセミューやマルートは見込みがあるか。
「おっまだ決着着いてなかったのか、早すぎたかな」
ノックも無くいきなりレストが陽気に部屋に入ってきた。今回の夜襲を予測した立役者ではあるが、どうにもその軽さがイラッとくる。
「決着はもう付いている、遅いくらいだ。さっさと仕事をしろ」
「はいはい、人使い荒いな~」
レストはほいほいとデスクに着くと引き出しに仕舞ってあった帳簿とかを取り出し、パラパラ高速でページを捲りだした。あれで読めて内容を理解できているのか? 出来ているなら俺とは頭の構造が違うな。
「おい何をする。散らかすな」
中年は散らかしているようにでも見えたのであろう、まあ俺もそう見えるが一応我が軍師を信じて聞いてみるか。
「どうだ?」
「う~ん、結構凝っているけど、まあ一時間もあれば資金を探し出せるよ」
レストは帳簿等をぱらぱら捲りながら答えた。
「そうか。ん?お前にしか分からないんじゃ無かったのか」
「ハッタリだ。分かるわけが無い」
いいねいいね~その焦りが浮かび出す顔、傲慢な面の皮が溶けていくのを眺めるのは、ある意味美女の裸を見るより楽しいぜ。
「あれ~僕を疑っている。なら聞くけど、13番倉庫街に随分資金を隠してない?」
「なっ」
見れば、真っ青になっている中年。
「そういう訳だ。隠し資金で取引することはもう出来なくなったぞ」
「まっまて」
「最後だ。ヴィラの他の幹部について知っていることを話せ」
「そんなこと出来る訳が無い」
結構心をへし折ってやったつもりなんだが、まだ抵抗するか。まだ残る心の支えはなんなんだろうな?
どんな探りを入れてやろうか考え出したら、勝手に中年の方から口を開いた。
「しゃべったら地の果てまで追いかけてきて、どんな報復されるか」
ああ、組織に対する恐怖か。ふっ最後に残ったのが恐怖とは、哀れだな。
「安心しろ。ヴィラは潰れる、お前の情報のおかげでな。逆に潰れなかったら、お前は報復を受けることになる。さあ、頑張ってヴィラが致命的打撃を受ける情報を言え」
優しい俺は組織に対する恐怖を取り除いてあげることにした、俺って優しいな~。これならしゃべれるだろ。
「むっ無理だ。ヴィラを潰すなんて。第一ボスの顔すら俺は知らないんだぞ」
「ふ~ん、なら今死ぬか?」
最後通達だ。哀れな中年が見えない恐怖を取るか見える恐怖を取るか、まあどっちを選んでも俺はどうでもいいけどな。その後の行動がプランAになるかプランBになるかの違いでしか無い。
この夜ヴィラは何者かの強襲を受け5人の幹部を失い資金の三分の一を失うのであった。