異世界に女の子麗桜《リオ》として転生して生きていく 作:リュウコウ
光魔法
『界光』結界を張る。指定相手は触れられる
治癒魔法
『快抱』傷を癒す(外傷)
リオとフウ
リーリャとセツ
銀貨10枚=小金貨1枚
~~~街道~~~
やっと街道に着いたけど、ここからどっちに行けばいいのかわからないのよね?
道は南北に続いている。ハルーラは東の方角の
どちらかに進めば更に分かれ道とかあるんだろうけど、適当に進んで間違っていたら戻ってくる羽目になるんだよね......どうしよう。
周囲を見回すと東の方に小さい林が見えた。道と林の間は少し開けてい、簡単な野営地として使える様にちょっとした広場になっている。
まだ少し日が高いけど、今日はあそこで休もうかな?もしかしたら誰か人が通るかもしれないしね。
もし本当に人が通ったらその人に道を開けばいい。うん、決定。
という訳で林に向かって移動。誰か居ませんか?誰も居ませんね?
流石に道から丸見えの場所で寝る勇気はないので、ちょっと林に入った所で野営の準備に取りかかる。薪は【ストレージ】に大量に入っているので、火の準備は問題ない、自作の簡易テントも設置。いくらなんでもこんな所に家を出す様な目立つ真似はしないよ。平穏が1番ですからね。
寝床の準備が終わったら次は食事の準備に取りかかる。2人分の器と小鍋を出して食事の準備です。オークの肉が結構と言うかかなり余っている、2人では食べきれない、それを使ってスープでも作ろうかな?
食事の用意をしていると北の方から大きめの馬車がやってきて広場に停まった。
林の中から様子を窺っていると男達が馬車から降りて来て、野営の準備を始める。
(どうしよう、リーリャ声を掛ける?)
(困っていたら助けよう、リオ)
(わかったわ)
2人ともマントは羽織ったままだし、フードも被ったままだ。フードで顔を隠した不審人物に声を掛けられて、快く対応してくれるだろうか?自分たちだったら......疑ってしまう。
がりがりと何かを
いざとなったらフウとセツも居る。でも
という訳で敢えて無視して、そのまま食事の用意を進める事にした。でもその前に、私たちはちょっと変装。ちゃきーん!
『
この眼鏡は、この数日間の移動中に【創造魔法】を使って作ったもの。
そして伊達眼鏡といいつつ、実際は唯の眼鏡ではありません。実は!2つの眼鏡は掛けると!なんと【鑑定】スキルが使える様になるのです!
ただし効果はLv 2相当。ついでに1回使う度にMPを10消費。とっても使い勝手は悪かったりする。
でもこれを作った最大の理由は私の【鑑定】を誤魔化す為なので、そこは問題ない。というかMP消費設定はわざとつけた。【鑑定】を持っていて、しかもLvがカウンターストップしているとか、バレたらややこしいことに巻き込まれるからね♪リーリャに渡した伊達眼鏡はMP消費無しで、【鑑定】Lv 2相当が使え、リーリャ本人しか使えないように限定している。それと、盗られてもリーリャの元に戻ってくるようにしてある。2つともに施してあるので抜かりはない。
それと、完成した時に【魔力付与】と【技能付与】ってスキルが増えていた。時間を見て調べておかないとね。
という訳で眼鏡を掛けて料理再開。しばらくすると小鍋がグツグツと音を立て始め、いい香りを漂わせてくる。うん、今日も美味しそうに出来上がるね♪
「こんにちは、あなたたちもここで休憩ですか」
「あ、はい」
「そうですよ」
うーん、商人風?20代位かな?ちらりと視線をやると、向こうの方で数人が食事の用意をしているのが見える。ひとり、ふたり.....この人を合わせて全員で4人?私の【探知】とリーリャの『報光』にはもう少し反応が有った様な気がしたけど......?
「お二人で?」
「いえ、連れが居ます」
「おいで、フウ、セツ」
「ガウッ」「ワウッ」
フウとセツが、私たちの隣にやってくる。私がフウをリーリャがセツを撫でて可愛がる。
「お...狼ですか?それも、2頭。失礼ですが、テイマーの方たちでしたか?」
「ええ」
「まあ」
全然
「その、随分と大きいですね。グレーターウルフですか?」
「ええと、似たようなものです」
曖昧に頷いて誤魔化す。すみません、この娘たちフェンリルなんですよ。生物としての格が全然違います!
ちなみにグレーターウルフというのは狼型の魔獣の中でもかなり上位種の事だ。魔獣化した狼は普通の狼よりも大きく成長するんだけど、元から魔獣であるグレーターウルフはそれらよりもかなり大きく成長する、らしい。
フウとセツはかなり大きい誤魔化すには妥当な選択だと思う。ちなみに小型のものはワイルドウルフとかレッサーウルフとか呼ばれる。生息場所や国によっても呼び方が変わるので、魔物や魔獣の呼称は割と曖昧だったりする。
「なるほど、見た所女性の2人旅かと、大丈夫なのかと心配したのですが.....護衛に魔獣がいるのでしたら......余計なお世話だった様で」
「いえ、ご心配ありがとうございます」
「
「ええ、オニールからの帰りでして。ハルーラまで帰る途中です」
ハルーラ!
(ねえねえ、リオ。わざわざ道を尋ねる手間が省けたね♪)
(そうだね、リーリャ。どう切り出して、聞こうか悩んでいたからね)
(オニールって、孤児院がある街だよね。リオ)
(孤児院のみんなには会いたいな、元気かな?寄ると連れ戻されるけどね。リーリャ)
「お嬢さんたちはどちらから?」
「私たちは、あっちの方の村からです」
流石に本当の事は言えないから、これも誤魔化しておこう。さっきから嘘ばっかりでちょっと嫌になる。
「お父さん、ご飯の準備できたよ!」
小さい女の子が声を掛けてきた。良かった、子連れだった。という事は全部で5人だね。と言うか先ほどから護衛風の2人が此方をちらちらみてたので、もしかするともしかするかもしれないと思っていた。
もしかって何だって?行商を装った野盗の類だよ。
「おお、そうか。では、お嬢さんたち」
「はい、では」
商人の人は馬車の方に去って行った。
その後、私たちは食事を取って直ぐに寝た。夜中に此方の様子を窺っている気配を感知したけれど、それ以上は何も無かった。まあ何かしてきてまフウさんとセツさんが無想で即解決だけどね。
日課?旅の最中は流石にしないよね!
え?大丈夫なのかって、何が?私たち、ちゃんと我慢できる娘ですよ!
翌朝、会話が声が大きくて目が覚めた。うーんもう少し寝たい......。
聞こえてくる声に耳を傾けると、昨日の商人さんと護衛が揉めている様だ。
....揉め事はごめんだけど。
(どうする、リオ)
(う~ん、あの商人さん。悪い人じゃなさそうだから、助けよう。リーリャ)
「どうしたんですか?」
「ああ、お嬢さん」
......事情を聞くと、水が足りなくなるかもしれない、との事。
積んでいた水の量自体はいつもと同じ位は積んでいたらしい。でも、今回はいつも頼んでいる冒険者が雇えず、臨時で別の人を雇ったのだそうだ。
所がその今回雇った2人が想定以上に水を飲んでしまった、次の水の補充ができる野営地に着くまでに、このままでは足りなくなる可能性が出てきた。
護衛にその事を伝えた所、俺達のせいにするな、ちゃんと準備しなかったのが悪い、と怒り出したららしい。
まあ、聞いた限りだとどっちもどっちだよね、正直な所。
うーん、面倒事にまきこまれるのは嫌だけど......小さい女の子も居るしなあ。
「あの、良かったら、私たちが水をお分けしましょうか?」
「え、いいんですか?その、見た所荷物もそんなに無い様に見えるのですが......」
「ああ、私たち水魔法が使えるので」
「その、大分お若いように見えるんですが.....分けてもらっても大丈夫なんですか?」
商人の人は少し驚いている様子だ。
2人旅と馬車の5人旅とでは、必要になる水の量はまったく違う。そして、水魔法で生み出す水は当然MPを消費して創る。当然5人分の水を出すにはそれなりにMPがないと無理だ。マントにフードの格好だけど私は見た感じ小柄で、どう見ても子供が2人。5人に水を分けても余裕がある程の魔力があるとは思わなかったのだろう。
「ええ、大丈夫ですよ。ね、リーリャ」
「私たち、水魔法はそれなりに得意ですから」
それなりどころか本当は、私がLv 6、水魔法がカウンターストップしているリーリャ。
と、そんな感じで水をだばだばーっと、2人で。分けて上げたら大層感謝され、お礼と言って、私とリーリャに銀貨10枚づつ頂いた。銀貨10枚となると小金貨1枚に相当する額。破格である。
更に目的地が同じと知ると一緒に乗せて行ってくれる事になった。
人助けはしてみるものだね、らっきー!
でも護衛の2人がじっとりした視線で此方を見てくるのがちょっと不安なんだが!見られるなら、リーリャがいい。
(リーリャ。あの護衛の2人が気持ち悪いから、光魔法で守れる?)
(光魔法『
(私がリーリャに触れることは出来るの?)
(大丈夫。私がリオに触れるのも問題ないよ)
馬車に揺られながら日向ぼっこ。なんとらくちんな旅路でしょう。道はボコボコだし馬車にサスペンションなんてないから、乗り心地は劣悪だけどね。
「「こんにちは皆様」」リオとリーリャです。
(水)商売に
さて、乗せてもらう事になったこの馬車、大きめの
御者は商人さんと若い
丁稚の少年はロイド君、13歳。近所に住んでいた子だそうで。
荷台の前部に私とリーリャと一緒に乗っている女の子がエルザちゃん。ニコルさんの娘さんで7歳。いつもは息子さんが付いてくる所を今回は無理やり付いてきたらしい。もしかして結構お転婆なのかな?
あと、荷台の後部、荷物を挟んだ向こう側に護衛の2人。名前はたしか、キンブルとジギー。20代後半位?正直男2人には全然興味ない。
ちなみにフウとセツはちょっと離れて付いて来ている。あまり近くに居ると馬が怯えるからね。
そして私とリーリャは馬車に揺られながらエルザちゃんのお相手。交代で。
「でね、でね!それでお兄ちゃんがね!」
うん、凄いしゃべるね、この娘。舌
このエルザちゃん。今回の行商に無理やり付いてきたもののニコルさんとロイド君はお仕事に忙しく、護衛の2人はいつもの人達ではない上に柄が悪いし
そんな所に割合歳の近い、しかも同性の私とリーリャが同乗する事になったのが嬉しくて堪らないらしくて、テンションが上がりまくって良くしゃべる。
もう、ずっとしゃべりっぱなし。
こんな娘の様子にニコルさんは苦笑気味。ロイド君?御者に精一杯って感じですが何か。
尚、護衛の2人はそんなエルザちゃんの途切れない話し声にイラついてずっとしかめっ面。感じ悪いね、この2人。
「もー!お姉ちゃんたち、ちゃんと聞いてるの!?」
今は、リーリャがエルザちゃんのお話を聞いている。その間に、私は手の中で練鉄している。
鉄素材の品質を上げてみようかと思いましてね?冬の間の私の手作業。作った鍛鉄を【創造魔法】で玉鋼に変えてみようかなあ、と。
んー、出来る事は出来るけど、鍛鉄から玉鋼に変えるのはまだまだ負担が大きいなあ。もうちょっと効率上がると、これでも短剣が作れそうなんだけど。あ、既に作った短剣の品質上げる方が先かな?
そんな事をしている内に昼の小休憩を取る事になった。
ここも野営地向きの場所の様で、開けていて多少は整地されているようだ。少し離れた所に小さな林も見える。
辺りを軽く見回しているとニコルさんがやってきた。食事の準備は此方でやるので、少しエルザちゃんをお願いしたい、との事だった。ぶっちゃけお花摘み。
(女の子ならわかるよね。私も此方に女の子として転生して、11年になるので、男だった頃の感覚はもう無い)
私とリーリャはエルザちゃんの手を繋ぎ、林の方へ移動。その後ろをフウとセツも付いて来た。
そんな訳で馬車からは見えない辺りまでやって来ると、エルザちゃんを促して私とリーリャは待機。え?一緒にしないのかって?いやいやこういうのは順番でしょ?と言うのは建前で、実は私の魔法でちょっと色々やっているので、しないでもいいのだ。
ちなみに使っている魔法は生活魔法【洗浄】。ちょっとある時に思いつきまして。いつ思いついたのか、詳しくは秘密。
え?いいから教えろ?3日間、私たちのラブラブイチャイチャ日課の最中にね、トイレに行く時間が
と言うかね、さっきから『報光』に護衛の1人が反応しているんだけど。でもフウとセツが思いっきり威嚇してこっちに近づけない様にしてくれているので大丈夫。
エルザちゃんが戻ってきた。なぜかちょっと涙目。
「どうかしたの?」
「護衛の変態が近づいているからできなかった?」
「ちょっとかかっちゃった......」
「「あー....」」
服に掛かっちゃったらしい。よく見てみれば結構大きな染みが......可哀想なので【洗浄】をかけてあげた。すると染みになった部分が一瞬光って服の染みが消えて無くなった。
「凄い!何したの!?」
また騒がれるのも面倒なので内緒って言っておいた。
馬車の所まで戻ると、変態護衛も戻っていた。とりあえず、エルザちゃんにも(光魔法『界光:リオ・リーリャ・エルザ・ニコル・ロイド』)。これで、あの変態護衛が何をしても私たちには触れることさえもできない。
「また保存食を戻した
「そうだそうだ!その時の為にも、ちゃんと飯位食わせてもらわないとな!」
「そうは言いますが、そもそも契約の条件に...」
ニコルさんが
「あの、私たちの手持ちも出させてくれませんか?馬車にも乗せていただいて、食事も、となると」
「おお!そりゃいいや!」
「え?いや、それは」
「この袋に入っていますので」
「ちゃんとした飯が食える」
この袋は、前もって作っていた。私とリーリャが【ストレージ】が使える事がバレない様にする為。
いや、あんたたちの許可はいらない!ニコルさんとエルザちゃんとロイド君の為。
「そのなんだか気を使わせてしまった様で、.....申し訳ない」
「「いえいえ」」
食事も終わって一息ついているとエルザちゃんが居ない事に気付いた。がリーリャの光魔法『報光』をたどれば、直ぐに見つかった。
今日ものんびり馬車に揺られてエルザちゃんのトークにお付き合い。同乗してかれこれ2日は経つけど、良くそんなに話題続くね。正直尊敬する。
それでは2人のステータスご開帳~。
【名前】キンブル
【種族】人族
【職業】Dランク冒険者
【年齢】31歳
【HP 250/250】
【MP 12/12】
【STR 12】
【VIT 13】
【AGI 5】
【DEX 4】
【INT 4】
【MGC 4】
【CHA 3】
【LUK 5】
スキル
【強撃:Lv 1】
【名前】ジギー
【種族】人族
【職業】Dランク冒険者
【年齢】30歳
【HP 300/300】
【MP 10/10】
【STR 13(+4)】
【VIT 14】
【AGI 4】
【DEX 3】
【INT 4】
【MGC 4】
【CHA 3】
【LUK 4】
スキル
【剛力:Lv 2(STR+4)】
え、なにこれ。しょっぼぉぉぉ。
ええ?こんなものなの?ステータス自体は、なんていうか......うん。予想通りというか。スキルレベル
【名前】ニコル
【種族】人族
【職業】商人
【年齢】29歳
【HP 180/180】
【MP 50/50】
【STR 9(+2)】
【VIT 11】
【AGI 7】
【DEX 10】
【INT 15】
【MGC 8】
【CHA 9】
【LUK 9】
スキル
【生活魔法:Lv 3】
【目利き:Lv 4】
【値切り:Lv 3】
【交渉:5】
【サバイバル:Lv 2】
【剛力:Lv 1(STR+2)】
【耐性:空腹Lv 1】
【耐性:疲労Lv 1】
あっれー?ニコルさんの方が強くない?どういう事?
と、そんな事してるうちに今日の野営場所に着きましたよーっ。
水のお礼に相乗りさせてもらえる事になったとは言え、流石に何も手伝わないなんて事はない。
という訳でご飯の準備。前回の揉め事以降、食事当番は私たちになった。他のみんなは馬の世話とか野営の準備とかしてるからね、この位はするよ。
適当に具材を切って鍋にお湯をだばー、野菜どーん、オーク肉どぼー。味の調整は最後。うん、こんなものでしょう。他の人には手際が良い様に見えるみたい?あなたたちに会う前に私は【料理Lv 7】、カウンターストップした、リーリャの【料理】スキル。
ちなみに鍋はニコルさんの持ち物。私は小鍋しか持ってないので、食材を提供。野菜とオーク肉。
「うーん、今日もすっごくおいしい!ね!お父さん!おいしいね!」
「ああ、そうだな。美味しいな」
(お姉ちゃんたち、なんでずっとフードを被ってるの?そんなに美人さんなのに
(それはね、あの護衛の2人が変態さんだから)
(変態さんなんだね)
ギルドの登録は10歳から出来る。それは冒険者ギルドも同様だ。但し、他のギルドと違って冒険者は命の危険がある依頼も少なくない。
新人や駆け出しの死亡率を下げる為に討伐系の依頼は13歳以上でなければ受けられないと定められているのだ。だから、提供しているオーク肉はフウとセツが狩ってきた事にしている。持っている半分は私たちが狩ってきているけど。
不安要素は多々あるけれどもう1~2日程でハルーラに着くらしい。やっとこの状況から解放されるのかと思うと、非常に待ち遠しい。厄介事が。
魔物の襲撃、しかもオークが6匹。私たちに平穏というものは訪れないのか、嘆かわしい。
だが心配する事無かれ!今回此方にはベテラン冒険者のお2人が護衛についているのだ!出番ですよ♪
「おいおい、よりにもよってこんな所でオークかよ!それも12匹だと!?」
「おいジギー!こりゃ無理だ!さっさと逃げるぞ!」
((はい...?))
(リオ、何言ってるのこの人達)
(リーリャ!これは、冒険者として悪い見本だね)
「おい、旦那!そういう訳だから俺達は逃げさせてもらうぜ!」
「なにを言ってるんだ!ふざけるな!」
「別にふざけちゃ居ねえよ!誰だって死にたかねえだろ?俺たちだって同じだ!」
「そうそう、そういう訳だから旦那、俺達が逃げ切るまで時間稼ぎ宜しくな!」
そんな事を言ったかと思うと、事もあろうに2人はニコルさんの足を切りつけた。あまりに有り得なさ過ぎる行動に、目の前で起きている事が理解できない。あまりの事態に思考が追いつかず頭が真っ白になってしまった。
......とことん救えない連中だ。今すぐ殺してやろうか。
そんな物騒な考えが頭をよぎったが、リーリャとセツがニコルさんの元に駆け寄り治癒魔法『
出遅れた私もフウと一緒にニコルさんの元に駆け寄る。
「お願いします、エルザを」
「「申し訳ありませんが、お断りします」」
「え....」
リーリャが回復魔法をかけ終わるのを見て、私たちは黙って立ち上がり、3人を私たちの間に
「フウ、狩るよ」
「ガウッ!」
「セツ、私たちも狩るよ」
「ガルッ!」
フウの【風魔法:
セツの【氷魔法:
「「終わりましたよ」」
私たちが振り返ってそう告げると、3人ともぽかんと口を開けて
結局その後、みんな落ち着いてから相談して、今日はもう長距離移動せずに休む事になった。
まあ、当然だと思う。死にかけた訳だしね。そういう事で今日はもう少し先にある野営地で設営。
ちなみに倒したオークは全て私たちが
獲れたて新鮮!なんて思っていたらニコルさんとロイド君は複雑な顔をしていた。そりゃ殺されるかもしれなかった相手だもんね。エルザちゃん?エルザちゃんは私もやっつけるんだ!って大喜びだったよ。
今夜の献立はトンテキ。味付けは和風。
「まさか醤油でこんな味になるとは......凄く美味しいです」
この世界、醤油も
食事の後は逃げた護衛の扱いについてのお話し合い。
あの2人は職務放棄どころか、依頼主を害し
街に戻ったらギルドに直行して訴えるとの事。ギルドは除名、財産は没収されて慰謝料に、本人達は奴隷落ちは確実だろう。あの2人はそれだけの事をした。
で、私たちには一緒についてきて証人として証言して欲しいとの事。その程度の事は別に構わないので了承した。ギルドに登録もしたいしね。
護衛が居なくなった分、馬車のスペースが空いたので今日はそっちで寝かせてもらう事に。エルザちゃんには大不評だった。私たちのテントは下にチート性能のマット敷いてあったから寝心地が天と地だからね、仕方がないよね。あまりにエルザちゃんがうるさいので、仕方なくマットだけ出して使う事に。でも...ねエルザちゃん、私たちのおっぱいは枕じゃありませんよ?っていうか、私たちのおっぱいで挟まれて寝たいみたい。
次の日朝早くから移動開始。ハルーラの街にかなり近い所まで来ていたらしいので、ちょっと急いで街まで戻ってあの2人のことを報告したいらしい。私たちは座っているだけなので別に問題はない。エルザちゃんはもうすぐ別れるのが名残惜しいのか、交互に私たちに抱きつきおっぱいを堪能している。
そして私たちはやっとハルーラに着いた。
色々と問題はあったけど、とうとうハルーラの街に到着。日が落ちる前に着いて良かったね。
ハルーラは城壁に囲まれたそれなりに大きな規模の街で、ひとまずはここを拠点に生活する予定だ。いつまでいるかはまだ未定。
街には着いたものの、すぐ街の中に!、という訳にはいかない。
この世界では街への立ち入りに色々制限がある。
まず、街に入るには『市民カード』と呼ばれるカードが必要。正式名称は別にあるらしいけど、私たちは知らない。
この世界は意外な事に戸籍管理が割としっかりしていて、生まれたら直ぐに役場で出生届を出して魔力パターンを登録する事になっている。そして登録が終わると市民カードが発行される。
このカードには持ち主の名前、生年月日、出身地が書かれており、更に持ち主の魔力パターンも登録されている。これによって他人のカードを使う事など出来ない様になっている。偽造しても直ぐにばれるらしい。
そして街に入る時にはこのカードを提出し、専用の魔道具にかざす。ついでに持ち主も別の魔道具に手をかざす。これで本人確認して犯罪歴などを確認するらしい。魔法技術って凄いわ。
.....私たちが孤児院に捨てられていた時、このカードを持っていなかったらしい。更に魔力登録もされていなかったとかなんとか。私たちが本当はどこで生まれたのか、よくわかっていない。
とは言え、孤児院に保護された後直ぐにカードは発行されたので今はちゃんと持っているからね?
その辺りの入街チェックも問題なく済んでやっと街に入る事が出来た.....となれば楽だったんだけど、予想通り止められた。
理由は簡単、フウとセツ。
そもそも私たちは冒険者ではないので、そのまま街の中に入れる訳も無く.....フウとセツの安全性が保証されないと入れてもらえなさそうな雰囲気。
どうしたものか、と悩んでいたらニコルさんが口添えしてくれて事なきを得た。この狼は言う事を良く聞くし、とても大人しい娘達です、って。
でも入街の際にフウとセツの分もお金を取られました。2匹で銀貨2枚。たっかい!従魔登録していないからだって、酷くない?これは早急に冒険者登録して2匹共従魔登録しないとダメだね。色々面倒すぎる。
ちなみに街の住民と冒険者は入街税は免除。商人は商品の持ち込み税や持ち出し税がかかったりするらしい。更に馬車もお金がかかるらしい。お金、お金、お金!本当に、世知辛い.....。
さて、やっと街の中に入れたけど、まずはギルドへ。ニコルさんとの約束があるからね。ついでに冒険者登録もしたい。
そして街中の移動も引き続き馬車。トラブルになっても困るのでフウとセツも一緒に乗せてもらった。
門から少し進むと直ぐに冒険者ギルドに到着。利便性を考えての立地だとかなんとか。商業ギルドは逆にもっと街の中に近い、店の多い辺りにあるらしい。なんて話しながらニコルさんと一緒に扉を潜って建物の中へ。うん、もの凄い見られている。私はフウの背中に乗り、リーリャはセツの背中に乗って入ったから目立ってしまった。仕方ない。これは自分たちを守るために乗っている。
「なんだ、あれ。でかい
「他所から来た冒険者か?」
「商人っぽいやつ居るし護衛とかじゃね?」
「テイマー?小さくねえ?」
あー、もしかしなくても私たちとフウとセツ?
ニコルさんと一緒に窓口のひとつへ。基本的に買い取り以外はどの窓口で用件を言ってもいいらしい。買い取り用窓口はカウンターの端の方に2ヶ所あった。時間帯に気をつけよう。
私たちがギルド内をきょろきょろ見回している間にニコルさんが報告を済ませて対応待ち。窓口の奥でばたばたしだした。
暫く待っているとギルドマスターが出てきた。厳ついおっさんだった。
そしてそのまま奥に通されてお話し合い。でも基本的に私の出番は無い。当事者の2人ではあるけれど私たちは依頼主ではないし、ここには証人として来ている。まあ一応の被害者でもあるけれど、それは取り敢えず置いておく。証言をしつつ話し合いを聞き流していたら話題が私たちの事に。
「うーん、あの2人がやらかしたって事は利害関係人した。証言もあるしそれは間違いないだろう。日頃から問題行動も多かったからな。でもなあ.....この小さいお嬢さんたちが2人でオーク6匹を倒したと言われてもな.......その狼の従魔が全部倒したって言うならまだ分かるんだが」
ですよねー。
ちなみに今の私たちはフードを下ろして顔を見せている。一応空気は読んでるよ。ここは奥の執務室。
エルザちゃんはニコルさんが指示してロイド君と馬車で先に帰らせたよ。
「倒したオークを出しましょうか?」
「少し食べちゃいましたけど」
「お嬢さんたち、【アイテムボックス】持ちか?もしかして6匹全部入っているのか?」
「私が6匹。リーリャが6匹」
「いえ、私とリオは魔法の
「なるほど......なら後で確認させてくれ。買い取りもさせてもらえると助かる」
私たちは頷く。
報告も終わったので、私たちは倉庫に移動してオークの確認と売却。ニコルさんも一緒についてきてくれた。
「本当に12匹.....頭が粉々になっている.....こっちは首が
「「えーと、秘密です」」
「まあ、そうだな。冒険者がそう簡単に手の内を明かすって訳にはいかんか。オークを簡単に倒せるような強い奴は大歓迎だ。期待してるぜ」
「あ、それなんですが」
「どうした?」
「私たち、冒険者じゃありませんよ」
「は?」
「なので、私たち冒険者登録したいんですが」
「いやいやいや、ちょっと待ってくれ。これだけの事ができて、冒険者じゃない?」
「そうは言われても.....ああ、それと私たち、まだ11歳なので、討伐依頼は受けられません。ですのであまり期待されても困りますよ」
「はあ!?」
11歳って言うとみんな驚くよね。
「......取りあえず、分かった。本来なら買い取り価格が下がる所なんだが、今回は直ぐに登録してくれるなら規定額で買い取らせてもらう」
素材買い取りというのは一般人が持ち込んでもやってくれるけど、その場合は多少安くなるという。
......結局、年齢に関しては市民カードを見せるまで納得してくれなかった。
そんなに老けて見えるのかと尋ねたら、一部分を見ながら背が低めの15歳~16歳位だと思った、との事。
この胸部の厚みが原因だったとは!
買い取り代金を受け取ってそのまま窓口に移動。ギルドマスターは奥の部屋に戻っていった。買い取り額は1匹小金貨2枚の、計24枚。一気にお金持ちだよ。
さて、冒険者登録だ。
「冒険者登録がしたいのですが」
「は?あ、え?登録ですか?」
こっちを見て、フウとセツを見て、またこっちを見て困惑する女性職員さん。そうだよね、まさか未登録だとは思わないよね。
「「はい、登録です」」
「あ、はい。登録ですね」
市民カードを提出して確認、ギルドの魔道具に魔力登録。更にフウをリオの従魔として、セツをリーリャの従魔として魔力登録。こうすることで街への出入りの際も面倒が無くなるし、フウとセツの分の入街料もかからなくなる。
冒険者ギルドへの登録は無料。この辺りはギルドによって違う。そしてギルドカード発行完了、あっという間に終わ、らなかった。
「ええと、11歳、ですか?」
またか!またなのか!一部分だけ凝視するのは止めてくれませんか!?ね!
「「11歳です」」
「すみません、少しフードを取っていただいても?」
「「......取らないとダメですか」」
「出来れば......」
「「......わかりました」」
諦めてフードを取った。黙り込んで私たちの顔を見つめる職員さん。見すぎ。あと、こっちをちらちら見てた他の冒険者達がざわついている。
「「あの、もういいですか」」
「あっ!はい!もう大丈夫です。はい、11歳ですね。大丈夫です」
後ろのほうで「11歳?」「.....いける!」とか聞こえてくる。きっと気のせいだ。その
その後、幾つかのギルド規定を聞いた。
冒険者ランクについて。ランク上昇の規定。素材買い取りについて。依頼の成功と失敗の基準。討伐の年齢制限。問題行動や犯罪行為を行った場合の処罰。等々。
大体は既に知っている事ばかりだったけど、流石に聞き流さないでちゃんと聞いた。
それとギルドには資料室なるものがあるとの事。魔物の生態や薬草の詳細、絵姿。後は、スキルについての資料なんかがあるらしい。
スキルは覚えても詳細が分かる訳ではなく、実際使ってみないと効果が分からない、それらのスキルの効果や習得するための条件等、過去の冒険者からの報告等で集めた情報がまとめられているらしい。
私の場合、ステータス確認してる時【鑑定】を使うとスキル詳細がわかるんだけど、習得条件等は分からないから色々便利そう。時間を、みて見に行っておきたいかな?
ちなみに利用者はあまり居ないらしい。皆脳筋なのかな?それでいいのか、冒険者。
話が終わるとやっとギルドカードを渡された。これで私たちも今日からFランク冒険者だね。
漸く登録も終わったので、待っててくれたニコルさんと一緒にギルドを出る。
「ニコルさん、わざわざ待っていてくださりありがとうございました」
「いえ、そもそもこちらが先に証言をお願いした訳ですから、この位。それはそうと、この後はどうするおつもりで?」
「あー、それなんですが、どこか良い宿を知りませんか?フウとセツも泊まれて、できればお風呂があって、ご飯が美味しいといいんですけど」
それからニコルさんと別れて暫く歩くと、紹介された宿に着いた。
かなりお高い宿らしい。1泊食事付きで小金貨1枚。食事は朝昼晩出るけれど、食べても食べなくても料金は変わらない。今はオークを売ったお金がある。余裕。
.....という訳でもないよね。追加料金としてフウとセツの分銀貨5枚取られた。この宿、ちゃんと従魔や使い魔用の
1人部屋に案内してもらい暫く休んだ後、食堂へ移動して晩ご飯を食べた。パンと腸詰めと生サラダとスープ。量はちょっと多め。スープは多分、
その後お風呂へ。共同のようだけど、洗い場も広いし湯船も大きめだった。約1週間ぶりのお風呂にゆったり浸かって疲れを取る。やっぱり【洗浄】で誤魔化すのとは違うね。気持ちいい。......他の女性客が妙にこっちを見ていたけど、気にしない。シャンプーとボディソープを使ったら更に視線がより強いものになったけど、私たちは気にしない。
お風呂を上がったら髪を乾かして部屋で直ぐに就寝。やはり疲れが