※この作品はR-18です。

異世界に女の子麗桜《リオ》として転生して生きていく   作:リュウコウ

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【魔性】の魅了は、
ライトノベルと違います。














7 ハルーラ~領都 ~牛乳と卵を求めて~

~~~~~~~~~

 

オーガロードを倒してギルドマスターとお話しをした後、冒険者達を助けた街道まで戻ってそこからハルーラを目指して北上を再開した。

でも、MPを使い過ぎてふらふらする。うーん、ちょっと休憩したほうがいいかも......。

途中で討伐隊の緊急時の集合場所と思われる所がが遠くに見えた。さっき助けた冒険者2人もいるから、多分間違いないと思う。それにしても結構な人数がいるね。あと怪我をしている人も結構いるみたい?

あ、こっちに気付いて手を振っている。軽く会釈して通り過ぎておこう。面倒事に発展しそうな事は基本的に回避する方向なので。自分たちの為。

 

 

 

 

ふらふらしながらも昼過ぎにはなんとかハルーラの城壁が見える所まで帰ってくる事ができた。

このあたりまで来ると薬草採取している子供達がちらほら見える。うん、でももう無理。休もう。

という事で少し座って休憩。私たちは基本的にあんまり無いから、正直きつい。

街道脇に座り込んで水を飲みながら一息ついていると、オーガの討伐隊っぽい人やギルド職員っぽい人達が乗った馬車が何度も目の前を通り過ぎていく。

多分オーガの死体運搬のための人足だろう。

はー、みんな大変だねえ。

なんて、私とリーリャが考えながら眺めていたら、ギルドマスターが乗った馬車がやってきた。

 

「.....こんな所でなにやってるんだ?」

「疲れたので休憩をしていました。ねぇ、リーリャ♪」

「そうだね、リオ。私たち、あまり体力が無いもので」

「街はもうすぐそこなのにか?」

「「はい」」

「......そうか。もう少しだ、頑張れよ」

「「頑張ります」」

 

すっごい微妙な顔をされたけれど、気にしない。私たちはまだEランクだし、年齢的にもまだまだ子供だ。所詮こんなものですよ?

 

 

そのまま座り込んでいると、多分Cランクっぽいパーティーが目の前を通りかかって、こっちを指差して笑っていた。私たちを馬鹿にするような会話も聞こえる。

ああ、うん。へぼいよね。でもそのヘボい私たちに助けられたんだよ、貴方達。

でも面倒な事になるのでそんな事は言わない。

というか、私たちの両隣にいるフウとセツを見ても何も気付かないのかな?洞察力皆無?まあCランクって言ってもピンキリって事なんだろうなあ。この、ガッカリCランクめ!

 

 

 

その後、更にしばらくすると次にやってきたのは、私たちが助けた冒険者2人だ。

 

「こんな所で何してるんだ?」

「疲れたので休んでいます。ねぇ、リオ」

「あまり体力が無いもので。ねぇ、リーリャ」

「.......そうなのか」

 

また微妙な顔をされた。いや、わからないでもないけれどね。

 

「ああ、そうだ。改めて礼を言わせてくれ。本当に助かった、ありがとう」

「「いえ、気になさらずに」」

「そうは言うがな.......そうだな、この後はまたしばらくはハルーラにいるんだろう?なら、何か困った事やわからない事なんかがあったら声を掛けてくれ。俺達にできる範囲でだぁ、力を貸そう」

「おう、あくまで俺らにできる範囲でだけどな」

「親切の押し売りになってもなんだしな、覚えてたらでいい」

「「わきりました、何かあった時はお願いします」」

 

うん、押し付けがましくなくて感じがいい人達だね。誰かさんと違って。

 

「な、なんだよ、それ!俺の時と全然違うじゃないか!」

 

わあ、その誰かさんがいた。なんでこういつもいつもタイミング良くいるかなあ?

 

「俺だって助けるぞ!なんでも言ってくれ!」

「「いえ、結構です」」

「なんでだよ!」

「貴方からのお礼はもうお野菜を受け取ってますし、森を出た事に関しては貴方は関係ありません。ねぇ、リーリャ♪」

「そうね、リオ。それに森からはそのうち出る予定だったので、多少予定が早くなったという程度の違いでしかないです」

「それは.....でも......」

「ニール!なんでそんなにその子たちに構うのよ!」

「テス......」

「ほら!早く帰るわよ!」

「ああ.......」

 

テスに引き摺られる(スラレテ)ようにニールが連れていかれる。私たちの心の平穏のためにも、もっとしっかりと手綱(タヅナ)を握っていてくださいね?

その様子を眺めているとコリーがこちらに軽く手を振った後、2人を追いかけていった。あれ?

そういえば常識人のベックさんがいない?別行動でもしてるのかな?.....まあ、どうでもいいか。

さて、気分も楽になってきたし、そろそろ街に入ろう。

 

 

 

体力も回復したところで街に入ると、もう既に大騒ぎになっていた。オーガの群れが実は統率者付きの厄介な途中で。しかもそれの討伐に成功したのだから当然といえば当然なんだけれど。

でも討伐隊に参加した冒険者達の大半は微妙な顔をしている様子だった。まあオーガロードも自分達で倒したわけじゃないし、群れの半分も私たちが倒しているわけだからね......それでも我が物顔(ワガモノガオ)で威張っている連中もいて、凄いね、ある意味尊敬する。

でもまあ私たちは分け前がもらえて、且つ(カツ)、自分たちの平穏が守られればそれでいい。

という事で騒ぎを尻目に宿を目指す。以前泊まっていた高級宿だ。いや、あのコックさんには辟易(ヘキエキ)なんだけれど、実は他にフウとセツが泊まれる設備がある宿屋、無いんだよね。いや、他にも厩(ウマヤ)がある宿屋はあるにはあるんだけれど、間仕切りでフウとセツを隔離できるような厩がある宿屋が無いんだよ。

 

 

 

 

宿に着いて早速中に。

 

「あの、泊ま」

「なんで泊まれないんだ!ここに泊まるためにわざわざ王都から来たんだぞ!」

「申し訳ございません、ただいま満室でして」

「クソ、噂(ウワサ)の料理が食いたくて来たってのに......」

 

受付カウンターで大声を上げていた男がぶつぶつ言いながら宿を出ていく。

......え、なに?

 

「あ、リオさん!リーリャさん!」

「「リリーさん」」

 

私たちに気付いたリリーさんが食堂の方から駆け寄ってきた。

 

「戻ってこられたんですね!南の村までって言ってたのに1ヶ月経っても戻って来ないから、もしかしたら何かあったのかと.....」

ちょっと色々ありまして......むしろこちらのほうは何かあったんですか?」

「お客さんの数が凄いみたいだけど」

「ええ、そうなんです。その.....以前リオさんとリーリャさんが作った料理をうちのコックが真似して作った、出来損ないの料理があったじゃないですか、あれが多領の領都や王都で噂になってるらしくて.....それを食べるためにわざわざハルーラまで来る人が結構いるみたいで」

「......あれを食べるために?」

「お腹....壊さないかな?私たちは、いらないよ」

「ええ、私もちょっと、とは思いますけど。でも、お陰で商売繁盛!嬉しい(ウレシイ)悲鳴というやつですね」

「それはそれは.....でも、ちょっと困りました。満室では泊まれませんよね?」

「フウとセツが一緒に泊まれる所は他には無いし.....」

「あ!」

「「え?」」

 

リリーさんが声を上げたかと思えば、こちらに近寄ってきてひそひそと小声で話し出した。

 

「それなんですが、大丈夫です」

「「.......?」」

「ええとうちのオーナーがですね、リオさんとリーリャさんのために以前泊まってた時に使われていた部屋を空けておくようにと」

「「え?」」

「その、今のこの繁盛はリオさんとリーリャさんのお陰ですし、そのリオさんとリーリャさんがまた戻ってくると言っていたと私が伝えたところ、帰ってきた時にまた泊まってもらえるようにと」

「その、ありがたいんですが、いいんですか?」

「さっきのお客さんとか......」

「いいんですよ!経営者の方針ですから!」

 

.......本当にいいんだろうか。でもここに泊まれるのはありがたいので、お言葉に甘えよう。

宿泊のための手続きを済ませると、リリーさんの案内で部屋まで移動する。ちなみに今回も連泊するつもりなのでまとめて払っておいた。

 

「あ、リオさん、リーリャさん。私この後、晩ご飯の時間に休憩なんですけど.....めしよかったらご一緒してもいいですか?」

「「はい、大丈夫ですよ」」

「ありがとうごさいます!」

 

うん、いい笑顔です。相変わらず反応が可愛い。

 

部屋に入って一息。晩ご飯まではまだ時間があるけれど、ちょっと仮眠でも取ろうかな。

流石に今日は疲れた......。

 

 

 

 

こんばんは、リオとリーリャです。仮眠は寝過ごすような事も無く晩ご飯の時間にちゃんと起きられました。少し寝ただけでも大分すっきり。そしてぐうぐうお腹が空きました!

 

 

というわけで早速食堂に移動ー!あ、当然フードを被っているよ?

でも食堂に着いて中を見回すと、満席。超満席。あ、でも4人掛けのテーブルが空いている。リリーさんが取っておいてくれたみたい。凄い笑顔で手を振っているね。可愛い。

リリーさんの所に合流して軽く会釈。

 

「「リリーさん、こんばんは」」

「こんばんは、リオさん、リーリャさん」

「こんばんはー!」

 

((え、誰?))

 

「あ、この子アリサっていいます。一緒にここで働いてるんですけど、丁度休憩時間が同じで。それで、一緒に誘ったんですけど.....迷惑でしたか?」

「「いえ、はい。大丈夫ですよ。リリーさんが連れてきたなら、特には」」

「あ、はい。そういうのは大丈夫です。いい子ですから」

「はい」

「ちょっとー、なに3人だけでわかり合ってるのー?」

「「いえいえ、そんな事はありませんよ?」」

「そうだよ、アリサ」

「えー」

 

素直ないい子って感じ?見たとこら、青みがかった黒髪(クロカミ)ツインテール。背はやや低めで、おっぱいはそこそこ。顔つきは可愛い系?あと、間延びしたしゃべり方だけど、元気系っぽい。

 

「さてさて、それでは早速ご飯にしましょうか?」

「「えっと、今日は何があるんですか?」」

「あー......」

 

この宿は基本的に2~3種類程度の料理が用意され、客は好きなものを選んで食べる、という形だった。とはいっても基本的にメインは1つで、スープが数種類あるとか付け合わせのサラダが若干違うとか、そういう程度。

 

「それがですね、例の料理のお陰でお客さんが増えてるという関係上、用意されてるのは.....」

「「ああ.....」」

 

アレしか無いのか、何という事だ!あの油でギトギトの、『オーク肉の....』なんだっけ?

まあ、なんでもいいか。何にせよ、アレしか無いというのは困る。また夜中に頻繁にトイレのお世話になる羽目になってしまう。それは流石にもうごめんだ。

 

「「えっと、他には何か無いですか?」」

「一応もう1つあります。そっちもリオさんとリーリャさんの作ったやつですけど」

 

(あれ?なにかあったっけ?リーリャ)

(いいえ、リオ。うどんは無理だろうし....)

 

「他に何か作り方がわかるようなもの、作った事ありましたっけ?」

「ありますよ?覚えてないんですか?『腸詰めのパン挟み』です」

「「腸詰めの.....ああ、ホットドッグ」」

「ほっとどっぐって言うんですか?」

「「はい」」

 

この世界、どうやらホットドッグも無かったらしい。薄切りにしたパンにハムなどを挟む。という感じのサンドイッチっぽいのは見た事があるけれど、わざわざ食材を挟むためだけに切り込みを入れるという発想が無かった模様。サンドイッチっぽいのはあるんだから、そのくらいは思いつきそうなものだけれどねぇ?

 

「取りあえず持ってきますね」

「私も一緒に行くー!」

 

って、2人が料理を取りに行ってすぐに戻ってきた。ついでに私たちの分も一緒に持ってきてくれた模様。ありがとー。

「これはこれで美味しいんだけど、こっちは作り方が単純なので他の所でも真似して作るところが結構出てきたみたいです」

「「挟むだけだしね~」」

「あー.....でもこれ、このままじょまだ未完成なんですよ。ねぇ、リオ♪」

「え!?」

「そうなの!?」

「はい、本来はこれと、これ。この2つのソースを掛けて完成です」

 

【ストレージ】マスタードとトマトケチャップを取り出しながら説明する。この2つは南の村にい時に完成させたものだ。

トマトケチャップは基本的にトマトを煮込んで他にも色々調味料やらなんやら加えて味を調えれば良いけれど、マスタードは芥子(カラシ)の実の他にも色々必要なものが多くて大変だった。

りんご酢が無いからワインビネガーで代用しようと思ったら、時期が悪いのか酢が品切れで買えなくて、仕方がなくワインから自作してみたり。

ターメリック.....ウコンが見当たらなくて諦めかけていたところで、南の村にいた行商人がたまたま扱っていて買い占めてみたり。

その時にわかった事だけれど、香辛料やハーブは薬草として扱われているものが多くあるようで、それらを手に入れるには薬を扱っている店や商人を訪ねるほうが良いらしい、という事だった。

 

「「こんな感じで......掛けて、完成です」」

「おおー......」

「これがこの料理の真の姿.......」

 

大袈裟(オオゲサ)な。

 

「「どうぞ召し上がれ?」」

「そ....それでは」

「いざー」

 

私たちも手にとって食べる。もしゃもしゃ。うん、この辛みと旨みが合わさって最強に思える。いや、他にも美味しいものなんてたくさんあるけれどね。

ふと2人の様子を見てみると、恍惚(コウコツ)とした顔をして夢中でホットドッグにかじりついていた。見事に蕩け(トロケ)きっている。正直言って、若い女の子が公衆の面前でしていい表情じゃないよ?

 

「なぁに、これぇ.....」

「おいひぃ......」

 

この世界、今まで見た限りでは調味料とかソースの類い(タグイ)ってあんまり無いからなあ。仕方がないといえば仕方がない。いや、庶民レベルに無いだけで貴族料理にはあるのかも?うーん、なんとかして1度くらいは食べてみたい。

 

「「おかわりもありますよ?」」

「いただきます!」

「私もー!」

 

((はっはっはっ、たーんとお食べ?))

 

ちなみに私たちはひとつ食べた後はスープとサラダを食べてお腹一杯。でも2人は最終的に3つずつ食べて苦しそうにしていた。

そしてそんな私達の様子を窺っていた(ウカガッテイタ)周囲の視線がとても痛いので、マスタードとトマトケチャップは早々に仕舞っておいた。なんだか使いたそうにしてる人とか盗ろうとしてるっぽいとかいたからね。これは私たちの持ち込みで、ここの備品しゃないのであしからず。

 

「はあぁぁぁ......」

「うわぁぁぁ......」

 

2人はまだ恍惚としているけれど、流石に周囲の人達が声を掛けようとタイミングを計ってるっぽいので、さっさと逃げる事にする。こういう時は逃げるが勝ちなのだ!

 

「それじゃ私たち」

「もう部屋に戻りますね」

「ふぁい......」

「おやすみなひゃい......」

 

 

 

「あ、ちょっと待っ.......」

 

近くにいた知らない人が声を掛けてきたような気がするけれど、聞こえなーい。面倒事はごめんですよー。ばいばーい。

 

 

 

 

その後、時間ギリギリにお風呂に入ってから、『防音(ボウオン)』し、就寝までリオとリーリャは食堂での邪な(ヨコシマナ)視線を消すために、慰めあい、眠りにつく。おやすみー。

 

 

 

 

朝!

でも朝食の時間に食堂に行ったら確実に面倒な事になるのがわかっているので、今日は宿を出る時間をずらす事にしました!いや、昨日は日課のイチャイチャと眠気もあり、そっちを優先にしたけど、ちゃんと対策は取るよ、えん。

というわけで朝食は自室でとる事にした。【ストレージ】にいくつか仕舞っておいたのがあるから問題はない。あ、食費込みの宿代がちょっと無駄になるかな?少し勿体(モッタイ)ないけど仕方がないね......もぎゅもぎゅ。

 

 

 

 

食事の後は少し時間を潰して、朝の早い時間帯を避けてこそこそと宿から脱出。もちろんフウとセツの回収も忘れない。

さて、取り敢えずは昨日のオーガのあれこれを片付けておこうかなーという事で、ギルドへ行く事にしようか。

 

 

 

 

というわけでやってまいりました。冒険者ギルド。まあやる事と言ってもギルドマスターとのお話し合いくらいのものだけれどね。

とにかくまずは窓口に行って......あれ?なんだかいつもよりも見られているような気がするせれど、何?

 

「おい、お前」

 

ちょっと立ち止まってきょろきょろ見回していたら冒険者達に声を掛けられた。結構手練れ(テダレ)っぽい感じの男と、その仲間達、かな?

うーん、見覚えがあるような無いような......?あ、昨日の帰り道で私たちを指差して笑っていた連中だ。

 

「おい、聞いてるのか!」

「「えっと、なんでしょうか?」」

 

なんだか感じ悪いなあ.......。

 

「その狼(オオカミ).......って事は、やっぱり昨日のあれはお前たちなのか?」

「「........」」

「昨日、あれを倒したのはお前たちなのか!?」

 

(どうしようこれ。リーリャ?)

(ギルドマスターが何とかしてくれるはずだけれど。リオ?)

(これって、全然約束を守れていないよね。リオ?)

(うーん、取り敢えず何か返事をしておかないとまずいね。リーリャ?)

 

んーと、私たちがやったのは援護射撃だけで、実際にオーガロードの首を狩って(カッテ)倒したのはフウとセツだから、倒したのは私たちじゃないよね?うん、何も(ナニモ)問題はない。これでいこう。

 

「「違います」」

「おい、ふざけるな!あの時」

「何をしてる!」

 

ギルドマスター登場ー。早くなんとかしてー。

 

「.........」

「何をしているのかと聞いてるんだ」

「......昨日の事で、こいつに聞きたい事が」

「その件に関しては何も聞かないと、さっき契約書も書いたはずだ。だというのに早々(ソウソウ)にそれを破るのか?破った場合どうなるかはわかっているな?領都にも王都にも連絡を入れると言ったはずだが?その意味を理解していないのか?」

「それは......」

「ならこの件に関しては終わりだ。もう何も言うな」

「......」

「それと、わかっているだろが余計な事を言って回ったりするなよ?何かあ)ばお前達がやった事として対処するからな?」

「.......わかった」

 

おおう、なんだが思った以上にしっかりやっていたみたい。今の冒険者がお馬鹿なだけだったのか。

 

「おう、嬢ちゃんたち。なんだが馬鹿が迷惑掛けたな」

「「いえ、そこまででは」」

「ここじゃなんだ、ちょっとこっち来い」

 

 

 

 

という事で奥の執務室っぽい部屋に連れ込まれました。前にニコルさん達と一緒に話し合いをした部屋と同じ部屋。テーブルを挟んでソファーに座ると、ギルドマスターが大きく溜め息(タメイキ)をついた。

 

「「なんとなくわかります」」

「安心してくれ、と言うのはちょっとおかしい気もするが、騒いでたのはあいつくらいだ。あいつらは領都の方から来たパーティーでな......後はニールか?あいつもいい加減にしないと何かしら処罰しないといけなくなるんだがなあ」

「「あー」」

 

ニールに関しては何かあっても自業自得だと思うので、普通にどうでもいい。

 

「まあ、ここを拠点に動いてる奴らは基本的に大丈夫だろう。軽く釘を刺しておいたが、それを抜きにしても嬢ちゃんたちに絡んでくるようなのはいないだろうさ」

「「なにかあるんですか?」」

「......嬢ちゃん、自分たちがやってた事でどれだけの連中が助かってたのか、わかってないのか?」

「「はい?」」

「嬢ちゃんたちは毎回大量に薬草を持ち込んでいただろう?アレでどれだけの回復薬が作れるかわかるか?そして主(オモ)にそれを使うのはどういった連中だと思う?」

「「えっと、冒険者?」」

「そうだ、冒険者だ。つまり嬢ちゃんたちは遠回りにだがここの連中を助けてたって話だ」

 

リオとリーリャは、お互いに顔を寄せて内緒話をする。

 

(ねぇ、リーリャ。これって素直に受け取っていいの?)

(いいんじゃない、リオ♪)

 

「「そういう事になるんですか?」」

「おう。長く活動してる冒険者ってのは基本的には義理堅い連中が多い。だからここの連中は何も言ってこないだろうさ」

「「そうですか」」

 

知らなかった。

 

「それで、今日来たのは取り分の件か?そっちはもう用意してある。これだ」

「「はい」」

 

革袋を2つ受け取ると、ずしりと重い。いくら入ってるんだろう?

 

「合計で金貨2000枚で。1人当たり金貨1000枚になる」

「「は?」」

「本来ならもっと多くなるんだがな......今回は討伐隊まで組んでるし、それに参加した連中にも分配しないといけないからな。かなり減っちまったが、そこはすまん」

「「え?いや、これで減ってるんですか?」」

「本来ならオーガロードが1匹だけでも2000は下らない。それが2匹。そこにオーガが20匹だろう?半額以下だ」

「「はあ.......」」

 

うーん、正直ピンとこない。でもまあ本来なら討伐は受けられないんだから、そう考えるともらえるだけでも感謝しないとね。

 

「そこは本来なら討伐は受けられないですから。ねぇリーリャ♪」

「そうね、リオ♪別に気にしませんよ。もらえるだけでもありがたいです」

「.......本当に嬢ちゃんたちは理解できんな。でもまあ文句が無いって言うならこっちは助かる」

「「いえいえ.......あ、そうだ」」

「ん?どうした」

「「実は........」」

 

南の村で書いてもらった手紙を渡して事情を説明しておく。これもちゃんと処理しておかないと後々問題になるかもしれないからね。

 

「マッドブルか........それは売らないのか?」

「「えーっと、その......食べたいので」」

「あー........わかった、気持ちはわかる。下手すれば超が付くような高級食材だしな」

「「すいません」」

「いや、いいさ。なら、素材は?」

「「ちょっと色々作ろうかと........」」

「........残念だ」

 

さて、色々話も終わったし、そろそろお暇しようかな?時間的にもそろそろお昼だし。

 

 

 

 

ギルドマスターと一緒に執務室から事務室に移動してくると、見覚えのある顔が並んでいた。リリーさんとサレナさんだ。

 

「「あれ?リリーさん?どうしてここに?」」

「あ、リオさんとリーリャさん!えっと、お昼だから姉さんと一緒に食べようかなと思って、誘いに来たんです」

「「ああ、なるほど」」

 

(ねぇ、リオ♪これから、宿に戻ってもまた、あのコックと面倒な事になるからここ.....)

(わかってるよ、リーリャがいうことなら、伝わってるよ)

 

2人を誘ってこのままここで、っていうのもありだね♪

 

「あのよかったら私たちもご一緒してもいいですか?」

「そうそう、料理は私たちの持ち出しという事で」

「いいんですか!?是非!是非!」

 

(リリーさん食い付きがいいね♪リーリャ)

(宿で餌付......私たちの料理を)

(可愛い子への餌付けは私たちの趣味だからね!)

(えー、リオ。餌付けって言っていいの?)

(リーリャだって、餌付けって言おうとしてたでしょ?)

(リオには、バレてたか。てへっ♪)

 

「あの、私としても凄く嬉しい(ウレシイ)お誘いなんですけど、よろしいんですか?」

「「ええ、大丈夫です」」

 

(はい、サレナさんのトロ顔も正直興奮しますので♪)

(あー、今、リオ。イヤらしい顔してた!まだ、男だった事を思い出して!)

(ご......ごめん、リーリャ♪1番はリーリャだから、拗ねないで♪)

(本当に?)

(本当、本当)

 

「あの、よかったらギルドマスターもご一緒しませんか?」

「お?俺か!?いいのか?」

「「ええ、もちろん」」

 

その、さっきから色々疲れた顔をしてるから、ちょっと申し訳ないといいますか.......この程度の事で労えるなら安いかなーってね?

 

((........いや、なるべく恩を売っておきたいというのもあるんだけどね))

 

 

 

 

 

というわけで今日はギルドの事務室でみんなとご飯です。

場所が場所なので安全だろうという事で、流石にフードを下ろした。けど、やっぱりリリーさんとサレナさんがガン見で、ちょっと反応に困る。ギルドマスターはそんなに気にしてないみたい?

後は周囲の他のギルド職員達だけど、そこまで気にしてたらご飯どころじゃなくなるので、なるべく気にしないように意識を切り替える事にしよう。

 

 

さてさて!今日のお昼は私たちの奢り(オゴリ)!というか私たちが作ったやつ!では早速メニューの紹介ー!

まずは、スープ。海老のスープです。

海老の頭と殻を懇懇(コンコン)と煮込んで丁寧に灰汁(アク)取りして作った濃厚なやつ。一応ちゃんと最後に味は調えた。これだけでイチコロだと思うけど、まだあるよ。

次、海老チリ。これは作るのにちょっと苦労した。衣をつけるための片栗粉(カタクリコ)は既に作ったものがあったんだけど、豆板醤(トウバンジャン)が無くて......作るにも材料が足りなくて、結局【創造魔法】で豆板醤を作りました。

ラー油は以前北東の川上の森で唐辛子を見つけていたので暇な時に作っておいたのがあるからなんとか。

ケチャップや酢も作ったやつがあるし、長葱(ナガネギ)や他の材料も揃って(ソロッテ)いたのでそれで一応作ってみたんだけど、個人的にはちょっと物足りない感じかなあ。要は、微調整。

主食には『炊いた』ご飯。この世界の米のレシピって基本的に煮るか炒める(イタメル)かの2択で、個人的には物足りなかったので土鍋を作って炊いてみた。

この国ではお米は不味いととく言われてるんだけど、そこはおそらく精米していないのが原因だろうという事でちゃんと精米してから炊いてみた。結果、出来は上々。

 

(箸が進むよ。リーリャ♪)

(やったね!リオ♪)

 

いや、まだ食味が微妙なんだけどね......品種が違うんだろか......?うーん?

 

 

 

かんわきゅーだい!

 

 

 

 

私たちが取り出して並べた料理を見ても、みんな何も言わない。誰も動かない。

 

(どうしたんだろう、リーリャ?)

(びっくりしたんじゃない、リオ♪初めて見る料理だから、私がそうだったからね♪)

(そうだったね。リーリャの世界にも、このような料理はなかったんだよね)

 

「「えっと、召し上がれ?」」

「その、これ、なんですか?」

「海老を使った料理ですね」

「海老って、あの、じゃりじゃりして生臭い?」

「俺も前に領都で食った事があるが、あれはちょっとなあ......」

 

(おおう、それは背ワタの処理をしてないって事?)

(どうしたの、リオ?)

(もしかしてこの世界の海老料理って、私が居た世界のように、料理の下拵え(シタゴシラエ)をしないのかな?リーリャはどう思う?)

(多分、そうだとおもうよ。私が居た世界でも、料理の下拵えは怠らないから)

(だよね♪)

 

私たちの海老チリは【ストレージ】を使って処理済みだからそういうのは大丈夫だけどね。

 

「あー、それは下拵え(シタゴシラエ)をちゃんとやってなかったんでしょうね」

「下拵えですか?」

 

んー、海鮮類はレシピが少ないっぽいから、下拵えもやり方がわからない感じなのかな?南の村で出た海鮮料理は当然のようにちゃんと処理してあったけど、海鮮品の下拵えや処理は内陸部の料理人ではできなくても仕方がないのかもしれない。

 

「えーと、とにかくそういうのは大丈夫です。食べてみてください」

「..........わかりました、では」

 

恐る恐るフォークを伸ばすリリーさん。残る2人は固唾を呑んで(ノンデ)見守っている。年下に毒味させるとか、貴方達は鬼か。

リリーさんが海老チリをひとつ口に運び、咀嚼(ソシャク)する。もぐもぐ.......1度、ぴたりと止まったかと思えば、肩が震え出した。そしてごくり、と飲み込むと。

 

「.........なんですか、これは!」

大声を出したかと思えば、その後は猛然と食べ始めた。

 

「こんな!こんな料理!初めてで!もう!」

 

そんなリリーさんの様子を見て固まっていた2人も、ハッと正気に戻ると料理を食べ始める。

 

「.......なんだ、こりゃ。こんな美味いもの初めて食ったぞ」

「王都や領都の一流レストランでもここまでのものは........」

「それに、このスープだ。恐ろしく濃厚で.......これが海老の味なのか?前に食った時はあの食感と生臭さが気になってよくわからなかったが」

「でもこの濃厚な旨みがこのお米とよく合います。このスープだけでもいくらでもお米がおかわりできそう」

「だが、こっちの海老の料理か?これがヤバイ。手が止まらん」

「この辛さが後を引いて、もう........ちょっとリリー!貴方1人で食べ過ぎよ!」

 

(ははははは。おかわりはまだまだあるよ♪)

(たくさんあるから、たぁーとお食べ♪)

 

結局3人はおかわりしまくって打ち上げられたトドのようになってしまった。まさか用意していたお米ご全て無くなるとは.......ちょっと食べすぎじゃないですかね?

 

「もう無理です.......」

「もう、食べられません」

「食い過ぎた......動けん」

 

((でも、まだ、私たちのターンは終わっていないんだよね♪))

 

「「じゃあ、これは食べられませんね」」

 

「「「!?」」」

 

取り出しましたるは、フルーツゼリーでございます。中には果肉も入ってたりする。

いや、色々考えたんだよ。メープルシロップのお陰で砂糖の代用品は手に入ったけど、牛乳は無い、卵も無い。バターがちょっとあるだけ。

この世界、大豆はあるし南の村で豆腐も食べた事もあるし、豆乳は普通に作れたんだけど、でもそれだけだと焼き菓子なんかはつなぎがないから食感が悪いし.....と南の村で試行錯誤してた時に天草が打ち上げられているのを発見したんだよね。後はそれを採ってきてもらって加工してー、と。

オーク素材がたくさんあるからそっちから膠(ニカワ)をとってゼラチンに加工してもよかったんだけど、そっちは煮込んでる時の臭いが本気でくっさいから、今回は断念。

 

「なんだこれは........」

「........透き通ってて綺麗(キレイ).......宝石みたい」

「それに、とてもいい香りがします」

 

今回作ったのは葡萄(ブドウ)のゼリー。赤ワインも少し混ぜたので凄くいい香りがする。ちょっと大人向けっぽい感じ?絞った果汁とメープルシロップで味も調えてあるけど、甘さは控えめにしておいた。結構色々と頑張ってみた。

え?時期的に葡萄はおかしい?いやいや、これ採ったの去年の秋だから。森に引き籠っていた時に自生してるのを見つけていたので、その時に採って【ストレージ】に保存しておいたのね。野生種のはずなのに品種改良したもののように甘く粒も大きくて、やっぱりこの世界の植生はおかしいってしみじみ思いました、ええ。

 

「皆さんお腹一杯みたいですから、食べるのは無理ですよね......」

「いえいえ、食べますよ!むしろ食べさせてください!」

「私も食べます!甘いものは別ですから!」

「俺も食うぞ!さっきのやつはとんでもなく美味かった!これだってとんな味がするのか想像がつかん!」

「えっと、では、召し上がれ?」

 

でもこれも初めて見るものだからか、3人ともおっかなびっくりスプーンを差し込んで口に運んでいる。そして咀嚼、嚥下(エンゲ)。

 

「ふわあ.......」

「甘いが、くどくないな。程よい甘さで葡萄の風味とのバランスが凄くいい。そして口の中に香りが広がって........これは、やばい.....」

 

リリーさんは無言で食べてるし、サレナさんは恍惚(コウコツ)としてる。ギルドマスターは何かグルメレポーターみたいにぶつぶつ解説しながら食べ続けてる。

 

 

 

 

 

うん、私たちの完全勝利だね。何に対してかはわからないけど。

 

 

 

 

 

昼食終了。でも3人とも放心して使いものになりそうにない。話しかけても反応が鈍いとでそのまま放置してお暇(オイトマ)する事にした。

んー、もうお昼過ぎてるし、今日はこれから薬草採取とか行く気はまったく起きない。

そういえば、南の村への行き帰りで色々スキルが増えたんだよなあ。スキル効果はステータス開いて【鑑定】使えばわかるんだけど、習得条件とかはよくわからないし、ちょっと調べてみようかな?そうと決まれば資料室へレッツゴー。

 

 

 

 

というわけで色々調べてみた。

まずは【ゴーレム生成】【ゴーレム制御】【オートマタ作成】。自動人形の作成にちょっと行き詰まってる感があるから、ちょっと困っていたのだ。

で、わかった悉く。多分前提てきにスキルが足りない。

そもそも【オートマタ作成】は【ゴーレム生成】の上位互換のスキルで、その【ゴーレム生成】も元を辿ると【錬金術】スキルからの派生、という事らしい。ちなみにポーションを作る【調合】も【錬金術】からの派生。【錬金術】スキルの覚え方は調べても載ってなかった。んー........困ったぞ。

【創造魔法】を使って生産をしてると、それに近い類似系統のスキルを覚える、というのはなんとなくだけどわかってた。ただ、そのせいでこういう前提スキルが足りないという奇特な状況になってる、という事かな?便利だけど不便だなあ、【創造魔法】って、MP消費が多いし、取り敢えず【錬金術】関連は保留かな。

 

 

 

次に調べたのは【身体制御】スキル。

これは【肉体維持】スキルの上位互換のスキル、との事。【肉体維持】は怪我や病気で寝込んだりした時の筋力低下を軽減したり、病気になりにくくなるスキル。

上位互換になる【身体制御】の場合はそれらの効果がより高いものになって、更に身体を使ったスキルに補正が掛かったりするらしい。他に身体を使う系統のスキルを覚えやすくなったりするとかなんとか。また、トレーニング効果を高める効果もあるとかで、戦士系の肉体改造に大いに役立つらしい。つまり効率よく身体を動かすためのスキル、という事だね。

まあ、スキル効果については【鑑定】使って調べたら大体はわかっていたので、一応の確認だったんだけど。

覚えるには筋トレとか柔軟とか、そういった身体をより理解して効率よく動かしたり鍛えたりするようなトレーニングをすると覚えやすい、とかなんとか。

 

(私たち、日課の最中(サイチュウ)に覚えたんだけど......。ねぇ、リーリャ♪)

(そうだね、リオ♪イヤな事があると、慰めあっていたからね。お互いの身体(カラダ)で♪)

 

そして、もう1つ。

【身体強化:魔力】。オーガロード戦の後に覚えていたスキル。使用するとSTR・VIT・AGIを上昇させるという非常に強力なものだ。でも使用中はMPを消費し続けるという、燃費が悪いスキルである。

で、調べた結果。覚える条件はよくわからない。私たちの場合は多分だけど、眼に魔力を通して視力を強化したのが原因じゃないかと思う。

そしてこの【身体強化】スキル、魔力による強化以外にも闘気によって強化するタイプもあるらしい。頑張れば両方を覚える事もできるらしいけど、それを成した冒険者はあまりいないとか。

ちなみに闘気っていうのは戦士系の人が必殺技的に使う剣技とか戦技とかに必須のもにで、斬撃を飛ばすとか、広範囲を吹き飛ばすとか、漫画みたいな技を使うのに必要な戦士版の魔力みたいなもの。魔法はMPを消費するけど、闘気の場合はHPを消費する。なお、HPとMPはどっちも使い過ぎて0になると死にます。

最後に消費の悪さについてだけど、これに関してはそれを補うスキルがあるらしい。

それは魔力、闘気、それぞれにあるらしいけど、ここにある資料にはそのスキルが何という名前なのかは書いていなかった。むーん。

 

【錬金術】のアレコレとか【身体強化】の事が最後までわからなかったせいで、ちょっと消化不良気味で微妙な気分のまま資料室を出た。でもまだまだ日が高い。この後どうしよう?

んー、さっき消費した分のお米を補充するためにニコルさんのお店に行く事にでもしようかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「こんにちは」」

「これはこれはレンさんとリーリャさん、こんにちは。お米ですか?」

「「はい、お願いします」」

ニコルさんのお店に行った時は必ずお米を買っているので、顔を出せばこの反応だ。というかお米を買う時にしか行かないとも言うけど。

 

「あ、今日は小麦粉もお願いします」

「小麦粉もですね。ロイド、小麦粉も頼む」

「それと製粉前のものもあれば、それもお願いします」

 

南の村に遠出した時に小麦粉も使いきってしまっていたので、これも補充。一気に懐が温かくなったので、どちらもかなりの量をまとめて買う。

製粉前のものに関しては、麦茶とか作ってみよえかなーと思い付いたので、ついでに。他に麦芽糖を作って飴(アメ)なんかも試したい。後は、おビール様とか。

保存を考えると、個人でこんなに大量に買い込んだりすれば普通なら怪しまれるところだけど、そこはニコルさん。私たちの事情を色々察して何も言ってこない。

 

「そういえば最近見かけませんでしたが、どこか遠出でもしてたんですか?」

「「はい、ちょっと南の村まで」」

「南の村ですか、声を掛けてくださればご一緒したのに」

 

それだと私たちの自由行動ができなくなるんだよね。そう言ってくるような気がしていたので敢えて挨拶をしないで出かけたのだ。

 

「海の魚も扱えれば色々儲かる(モウカル)んですが、私は水魔法も氷魔法も使えませんからね、残念です」

「距離的にはここまでなら多少は頑張れるのでは?」

「冬場なら少しは扱えますが、夏場は無理ですね。それに冬は冬で雪が降ればそれだけで移動が困難になりますし」

「「ああ、そういうのもありますか」」

 

やはり内陸の街で海の魚を食べるのは難しそうだ。

たまに市場で塩漬けのさかなを見た事があるけど、旨みも何も無いらしい。どちらかというと保存食の類(タグイ)だしね.......干物なんかの作り方は知ってるけど、別に教える義理は無い。というか、また別の騒ぎの種になるだけだと思うし。というわけで一夜干しとかは個人でこっそり楽しむのである。

 

「あれ、これって蕎麦粉ですか?」

 

世間話をしながら商品を見ていると覚えのある香ばしい香りがした。蕎麦粉だよね、これ?

 

「ご存知なんですか?ええ、蕎麦粉です。水で練って焼いて食べたりしますね」

「.......これも頂けますか?」

「それは構いませんが、これも多めに?」

「はい」

 

(ねぇ、リオ。蕎麦粉ってなに?)

(今、ニコルさんが言っていた通り、水を少しずつ加えながら練っていくと、均等に細く切っていくと、お蕎麦ができるのよ♪あと、ガレットも作れるよ♪)

 

「そういえばちょっとお聞きしたい事があったんですが」

「なんでしょう?」

「「卵と牛乳って、どうすれば買えますか?」」

「卵と牛乳ですか?」

「「はい。ちょっと料理で使いたいもので......」」

 

そう、卵と牛乳だ。これらがあるのと無いのとだと、作れるレシピの幅が全然違う。料理もお菓子も。

 

「そうですね......この街で扱ってる卵は領都との間にある村から仕入れています。そこでは養鶏が行われてるので。村の場所は北東の川を越えた先のあたりですね。ですが、この街で卵を買うとなると商業ギルドで直接買い付けるしかありません。ただ、リオさんとリーリャさんがギルドで買うのは少々難しいかと......私が仕入れてそれをお売りする、という形なら可能ですが、販売の際の値段の最低額などの取り決めもありますので、あまりお安くするわけにもいきません」

 

詳しく聞いてみると、この街の卵の消費は基本的に代官の貴族様、1部の商人、平民の富裕層のごく1部がほぼ独占してる模様。私たちが泊まってる宿でたまに食事で出てくるのは余剰分が出た時に仕入れた時だけみたい?ちなみに販売価格の最低額が決まってるのも市場(シジョウ)を乱さないためだとか。

そして、養鶏自体は王都周辺のいくつかの村で行ってるらしいけど、この街の近くだと領都との間にある村ひとつだけで、その村も基本的には領都の方に多く卸しているらしい。んー。

 

「「村の方に行って直接買い付けるというのはできるんでしょうか?」」

「そうですね、交渉次第ではできると思います。ただ、商業ギルドに登録してないと少し難しいかもしれません」

 

うーん、でもそっちのほうがまだ買える可能性はあるのかな?

 

「次に牛乳のほうですが、残念ながらこちらは無理でしょうね」

「「無理ですか」」

「まず、商用に乳牛を育ててる村王都周辺にしかありません。次に輸送に掛かる時間の問題があります。王都の近くからここまで運ぶとなると、その間に腐らせてしまいます」

 

((ですよねー。なんとなくそんな気はしてたよ))

 

「ですので、代用できるかはわかりませんが山羊の乳(チチ)どうでしょう?」

「山羊ですか......」

 

(山羊の乳はダメなの、リオ?)

(前世で昔、飲んだ事がある。正直癖が強くて個人的にはちょっと遠慮したおんだよ、リーリャ)

 

「山羊の乳は使えない事は無いんですが、好みにあまり合わなくて」

「ああ、たまにそういう人もいますね。となると、王都の近くまで行かないと難しいですね.......ああ、でも」

「「なにかあるんですか?」」

「確か、ここから北の方に行った村で少数ですが乳牛を育てていたような記憶が........村内消費の余剰が出た時にたまにここに売りに来たりしていたはずです」

 

((北かー。ちょっと行ってみようかな?))

 

「えっと、具体的な場所をお聞きしても?」

「リオさんとリーリャさんにでしたら構いませんよ。ええとですね.......」

 

商人にとって仕入れをするための場所は重要な機密だったりするから、教えてもらえるとは驚きだ。でもこれの代価に変な事を言い出されても困るので、そうなる前にここから逃げよう。

 

「「ありがとうございます。ちょっと行ってみようと思います」」

「あ、私もご一緒しますよ?」

「「いえいえ、今すぐにというわけでもありませんので。それに私たちの都合でそちらの予定を狂わせるのも気が引けますから.......それでは」」

 

買ったものは既に全て収納済み!早々に離脱!

 

 

 

 

 

 

 

(危なかったね、リオ♪)

(そうだね、リーリャ♪あのまま、流されて行く事になっていたら)

(私たちの楽しみ、イチャイチャができないからね。リオ♪)

(ね。リーリャ♪)

 

さて、大体の村の場所はわかったので、次の遠征先はそこだね。どっちに先に行こうかな?買うためのお金は多分大丈夫。オーガロード様様だ。

あ、でもその前に子供達にも顔を見せておきたいかな?

 

 

 

 

 

子供達へ顔を見せるのは明日以降に薬草採取に行った時でもいいかなあ?であれば今日は少し早いけど、もう宿に戻る事にしよう。色々作りたいものもあるし。

 

 

そんなこんなで宿にという戻ると、出迎えてくれたのはアリサさんだった。いつもならリリーさんが出迎えてくれるのに、どうしたんだろう?さっきお昼の時にサレナさんの所にいたから、今日はお休みかな?疑問に思ったのでアリサさんに聞いてみたところ、今日は休みではなく出勤日らしい。でも昼に外に食事に出て、帰ってきたら使いものにならなくなっていたとかなんとか。ごめんなさい、私たちのせいです。

アリサさんも何か察してくれたのか、あるいは自分も、と思ったのか......じっとりとした目付きで私たちを見つめていたけど、気付かない振りをして部屋に逃げ込む事にした。

 

部屋に着いて一息。お風呂はいつも混む時間よりも少し早めの時間か、逆に遅めの時間に入ってるんだけど、どっちにしてもまだまだ早い。晩ご飯の時間もまだまだ。でも時間どおりに食堂に行くのは色々と気が引ける。今日からは晩ご飯も時間をずらそうかな?うん、そうしよう。

でもそうすると大分(ダイブン)時間が空く。ならば色々作る事に時間を使おう。

お米も手に入ったし、まずは日本酒とみりん、どちらも料理で必要だからね。ちなみに日本酒は海老チリでも使った。海老を漬けておくとぷりぷりに仕上がるのだ。麹(コウジ)は以前米を手に入れた時にふらふらになりながら作ったのが残ってるのでよゆーよゆー。ただ、日本酒は匂いが結構出るから部屋に染み付かないように気をつける。

しかし、お酒......飲んでみたい。超飲んでみたい。

前世の私たち2人は、17歳でこちらに転生していた。

この世界での成人は15歳。そこからは飲酒は認められているけれど、今の私たちはまだ11歳だから流石に飲むのは色々とまずい。だから我慢我慢。

いや、別に未成年だからって飲んでもそんなに咎め(トガメ)られる事は無いんだけれどね。とかいえ流石に子供が飲み過ぎていたら顔をしかめられるけど。

でも料理に使うのでワインは買っているし、日本酒も作っているし、将来的に飲むためにもおビール様も作るつもりではいる。ホップが薬屋で胃薬として売っているのを発見したんだよね。小麦もニコルさんの所でたいりょに買い付けたしね!後々にはウイスキーとかも作る予定。いくら時間があっても足りないなあ。

むーん、お酒は飲んでみたい.......でも我慢。今は料理の下拵え(シタゴシラエ)中だから、それをやって誤魔化すしかないわけで、ぐぬぬぬぬぬ!

気を取り直して、次は何にしよう?うどん?あ、蕎麦粉(ソバコ)も手に入ったし蕎麦も作ろう。というわけで次は麺類。捏ねる(コネル)捏ねる。

麺類といえばパスタも食べたい。ロングパスタを作った後にショートパスタも数種類作る。ソース系は結構匂いが強いので宿では作れない。

匂いが強いものといえば、そろそろカレーを試作したいところ。香辛料は大分揃って(ソロッテ)きたから、いけるとは思うんだけれどなかなか踏ん切りがつかない。

いや、この世界色々とバランスがおかしいよね?

醤油(ショウユ)と味噌(ミソ)があるのにレシピがあまり無いとか、技術も色々と偏っていておかしい。いや、多分全部転生者のせいなんだとは思うんだけれど、それにしても料理人の転生者とか今までいなかったの?

で、そういう推測や実際ここのコック関係で色々とあった事を考えると、カレーはおいそれと誰かに食べさせていいものじゃないと思うわけで。

コンソメスープも洋食レシピでは大活躍だけれど、ここの宿で出た記憶は無い。貴族料理にはあるのかもしれないけれど、流石に食べる機会が無いので確かめようもない。割と何も考えずにリリーさんやサレナさんに色々と食べさせていたり、冒険者の孤児達に色々と教えたりしているけれど、冷静に考えると色々まずいと最近になって気付いたのだ。いや、もう本当にこういううっかりが多い。もうちょっと気をつけるようにしないと。

前世の記憶のお陰で同年代よりも大人のつもりではいるけれど。

あまり匂いの強くないものを重点に調味料とか食材を加工していくうちに、晩ご飯の時間を少し過ぎたくらいの時間になっていた。

んー、そろそろご飯を食べに行っても大丈夫かな?流石にピークは過ぎているはずだから人は少ないはず.......。

 

 

なんて考えていたらドアをノックする音が。誰だろう?

出てみるとリリーさんとアリサさんだった。手にはトレイを持っていて、2人は私たちの食事を。私たちが食堂に下りてこないから持ってきてくれたようだ。

折角なので部屋に通す事にした。

 

「いやー、下りてこないから寝てるのかとも思ったんですけどー、リリーがリオさんとリーリャさんをお出迎えできなかったからって、部屋まで食事を持っていくってきかなくてー」

「も.......もう、アリサったら、全部話さなくてもいいじゃないのよ」

「「私たちは、アリサさんのお出迎えが新鮮で、ドキドキしてしまいましたよ♪」」

「それって、アタシより、アリサが出迎えた方が嬉しいの?」

 

リリーは、そう言うと、頬を膨らまして、プイッと私たちの顔を見てくれない。

 

(ね......ねぇ、リオ。リリーさんが拗ねちゃった)

(私はリリーさん、好みなんだけどな♪リーリャはどうなの?)

(私はアリサさん、好きですよ♪)

 

「私はリリーさんが好きですよ♪」

「........アタシも好きですよ、リオさん♪」

 

リオの返答にリリーさんは、抱きついてきた。

 

「私はアリサさんが好きですよ♪」

「.........私も好きですよ、リーリャさん♪」

 

リーリャの返答にアリサさんは、抱きついていく。

1通り、落ち着いてから、私たちが口を開く。

 

「2人が晩ご飯を持ってきてくれたの?」

「今、ちょうど下りる準備をするところだったんだ」

「それには、及びません。お2人を待っているっぽい人が結構いましたからー」

「アタシたちが晩ご飯を部屋まで持ってきたんですよ♪」

「「ありがとう、リリーさん、アリサさん♪」」

 

ちなみに、今もまだ食堂で待ち伏せしているらしい。もうこの宿の食堂で静かに食べる事はできないかもしれない。

 

「「私たちがいる時ならがっちりガードしますので、大丈夫です(ですよー)」」

ありがたい話である。お礼にゼリーを渡しておいた。リリーさんは昼御飯のデザートに1つ食べているので1つ。アリサさんにはゼリーを2つ渡した。

あ、さっき気をつけようって決めたばっかりなのに、また.....。

 

 

 

 

気を取り直してご飯を食べて、お風呂に入った後は、【時空間魔法】『防音』を張り、日課の愛撫(アイブ)を1通り楽しんでから、就寝。ちなみにベッドは自作のものを使っていたりする。寝る前に備え付けのものと取り替えるのだ。

いや、備え付けのベッドはベッドって言うか、寝台なんだよ。台。硬い。

この宿に泊まった最初の日は疲れのせいかぐっすり眠れ(ネムレ)たんだよね。人間贅沢(ゼイタク)に慣れるとダメだねー.......。

なお、使っているベッドは自宅の寝室にあるやつじゃなくて、客室用に用意したやつ。なので、1人用なので、私たちは抱き合いながらねている。寝室のやつはキングサイズなのでこの部屋には収まらないんだよね。客室用のは普通に1人用のシングルサイズ。

 

 

 

さて、日課の愛撫を終え、明日は久しぶりに薬草採取をしにいこうかな?なんて考えているうちに眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

朝だ朝だーよー、というわけで起床!

昨日は晩ご飯の時間にしか会えなかったが、今日は朝からリリーさんもいるアリサさんもいるという事なので、早い時間に食堂に行って朝ご飯を食べた。メニューは、ホットドッグ。しかもソース付き。早速試したらしい。

もぐもぐ、もぐもぐ。うん、全然違うね、これ。いや、合ってないわけじゃないけれど、なんだろう?から......くない。ウスターソースのような.......なんか違うような........うん、わからん。

何にせよ今日は静かにご飯を食べられた。というか声を掛けようとする人がいると2人のどちらかが牽制(ケンセイ)して追い払っているという感じだった。

 

食事も終わってフウとセツを連れて宿を出ると、そのまままっすぐ街の外へ。今日は子供達に顔を見せに行こう。

そう思って門の所まで来て、ひとつ思いついた。そうだ、アレを作ろう。そうと決まれば早速行動開始である。街の外に出る前に門のあたりでちょっと色々と観察。

うーん、外から見ただけだとよくわからないなあ。何か、もっと、こう.......内部構造もわかるようなスキルがあればいいんだけれどなあ。

うんうん唸り(ウナリ)ながら目に魔力を通してみたり色々やっていると、新しいスキルが生えた。【解析】。どうやら【鑑定】の上位互換らしい。また厄介なものを.......でもスキル効果を鑑定してみると今まさに欲しかったスキルだったようなので、早速使う。ばれなきゃいいんだよ!

そんなわけで覚えたてのスキルを使って知りたかった事もわかったので、改めて街の外へ。

 

街の外に出るとすぐに子供を捜す。でも、いない。あっちが気付いても寄ってくるだろうし、んー?

あ、そういえば森の浅い所で採取するようにするって言っていたっけ?という事はもう森の方に移動しているのかな?

そう思い至って移動しようとしたところで声を掛けられた。

 

「リオお姉さん!リーリャお姉さん!帰ってきたんですか!」

「「ユイ、元気だった?」」

「はい!お陰さまで!」

 

ユイだ。なんとなく前よりもほっぺたがふっくらしているような気がする。ちゃんと食べられているらしい。後ろにはシンもいるし、他の子供達もこっちに向かって駆けてくる。

 

「「ただいま。これからまたしばらくはここにいますよ」」

「しばらくって事は、またどこかに行っちゃうんですか?」

「そうですね、ちょっと欲しいものがあって近くの村に行こうかとは思ってますけど」

「ずくにってわけじゃありませんから」

「そうですか........」

 

ちょっと残念そうだけど、こればっかりは仕方がない。

 

「「これから薬草採取でしょう?一緒に行ってもいいですか?」」

「もちろんです!」

 

にっこり笑顔。うん、元気がいいね。私たちも微笑み返してすぐに移動を始めた。

 

 

 

森に着くと、以前薬草採取をしていた奥の方で採取しようという事になった。やはり浅い所だとあまり集められないらしい。確かにこのあたりは以前よりも人を見かけるようになったし、その分1人当たりが採れる量も減ったんだろうからね。

 

 

 

色々を考えたけど結局、以前の採取場所よりも更にもう少し奥まで移動する事にした。主(オモ)に私たちの都合で。ちょっとやりたい事があるんだよね。

採取予定地に着くと早々に、子供達は薬草採集を開始した。リーリャにはセツと一緒に子供達の警戒をしながら薬草採集に、私はフウと一緒に行動する。当初の目的に取り掛かる。テントを出して作業開始だ。

私が作ろうとしているめの、それは馬車だ。当然それを引く馬も作る。ゴーレムの馬だ。つまり、馬型ゴーレムの引く馬車を作るというわけだ。

 

 

こんなものを作ろうと思ったのには訳がある。それは前世の記憶を取り戻し、HPが格段に上がっても、所詮、私たちの身体は11歳の女の子。ペース配分が下手くそである。

先日、オーガロードを倒した後に街に帰ろうとして、途中でスタミナ切れでへばったのは記憶に新しい。非常時には問答無用でスタミナ回復ポーションを使ってはいるけれど。

そこで馬車だ。今までにも馬車に乗る機会はあった。ニコルさんとロベルトさんの馬車だ。

馬車は楽だ。歩かなくても勝手に進む。でも馬を操るには御者(ギョシャ)が必要だが構想はある。がまずは馬車だ。私たちは楽がしたい。そこでゴーレム馬の出番というわけである。本物の馬は維持費がかかる。馬の食費もだけど世話をするのが非常に手間なのだ。だから、ゴーレム馬とバレないように、構想を練っていた自立支援型、名を『エイリア』。を御者にする。

簡単な命令に従うゴーレムは既に作れる。街道に沿ってすすむ、対向車には気をつける、そのくらいの命令はこなせるだろう。何より私たちには馬を操る能力もない。リーリャは元の世界では、貴族の出自だそうで、馬を扱えないらしい。どこの世界でもお貴族様は馬車に揺られて行動する。

 

ゴーレムの制御には魔力を食う。更に造詣(ゾウケイ)で関節を曲げると大量に魔力を食う。でもそれは関節機構を作れば問題ないとわかっている。つまり、関節をつければいいわけだ。とはいえ流石に馬の骨格がどうなっているのかなんてわからない。

そこでさっきの門での観察につながる。

早朝の門は混む。馬車用の受付は特に。そこで私はじっくり馬を観察。リーリャは私たちに危害を加える人たちがいないか、警戒を頼んで。その間に、解析した。骨格に筋肉の付き方。いつでに馬車の基本的な構造。覚えたばかりの【解析】が大いに役に立った。

 

 

 

とまあそんなわけで、早速制作に取りかかる。今回作るゴーレムとはいっても内骨格フレームを採用した内骨格構造。後々作る予定のオートマタの練習も兼ねてたりする。

基本術式の書き込みをした魔石をゴーレムの核にし、補助動力には魔力電池として手を加えた魔石を組み込む。メイン動力は私たちとの同調で魔力供給する形で運用する。エイリアには機動力の術式と防御力の術式を書き込んだ装備を作る。

作成自体は【魔力感知】と【魔力操作】があるからなんとかなると思うけど、基本的に【創造魔法】でごり押し。きっとなんとかなる。

私がいきなり変な事を始めるのには慣れてしまったのか、リーリャと一緒に薬草採集に勤しんでいる。魔力同調の時にリーリャが必要だけど、まだ、その時ではない。

えーと、基本骨格フレームはチタンで、外装は木に金属をコーティングして、基本術式を書き込んだ魔石はオーガのを使う。魔力タンクの魔石にはマッドブルのものがあるから、私たち2人の魔力を流し込んでそれを組み込もう。

作業をやっているうちにあっという間にお昼。

うーん、私たちの愛の魔石(結晶)が今、手元にある。気分が乗っているから、さっさとゴーレムの続きをやりたい。何か簡単に作れそうなのは、パスタ?うん、そうしよう。

昨日作ったショートパスタのフィジリを使ってミートソースでいこう。トマトケチャップもトマトもあるし、挽き肉(ヒキニク)もすぐ作れる。ローリエもすぐそこに生えていた。

鍋でお湯を沸かしつつトマトを魔法で水煮状態にしてボウルに移して潰す。セロリはすじを取って玉葱・人参と一緒にみじん切りにしてフライパンで炒める。火が通ったら挽き肉を投入。ほぐすように更に炒めて、色が変わってきたら先ほどのトマトと塩胡椒と赤ワイン少々。更に軽く炒める。こっちはこれでひとまず置いておく。

お湯を沸かしていたほうの鍋に塩をひとつまみ、フィジリを茹でる。

フィジリの茹で汁をフライパンのソースに適量移してローリエを入れて1煮立ちさせて、味見。まあ、こんなものかな。ウスターソースとかオイスターソースがあればもう少し味に深みが出せるんだけれど。

それはさておき、茹で上がったフィジリに絡めて出来上がりー。

量はかなり多めに作った。リーリャと子供達を呼んでさっさと食べてしまおう。もっきゅもっきゅ、もっきゅもっきゅ。私たちはこの世界に転生(来て)待ちに待った久しぶりのパスタ。今まで、カツサンド、ホットドッグ、海鮮丼だった。子供達も無言で掻き込んでいる。しっかりと噛みなさい。昼御飯は逃げないよ♪

お昼を食べ終わったら私はゴーレムの続き。子供達はお腹一杯パスタを食べたせいか目がとろーんとした感じになっていたけどリーリャが子供達を引率して採取に向かわせた。子供達には悪いけど、ちょっと餌付けし過ぎた?

 

午後もゴーレムに付きっ切り。子供達の所にはリーリャとセツが居てるから安心して作業に没頭できる。その結果、なんとかそれっぽいものは出来上がった。見た目は一見、普通の馬に見える。オークの革たどを使って色々と表面加工をした結果だ。でもよく見ると色々と違和感がある。でもまあ多分大丈夫でしょ。

早速試しに動かしてみる。うん、大丈夫そう。基本命令の実行中に別の命令を出したりと、色々と動作確認。軽く走らせてみても問題は無さそうだった。ゴーレム馬はこれでひとまず完成でいいかな?後は実際に馬車を引かせてみてから?

一応ステータスを確認してみたら【オートマタ作成】【ゴーレム生成】【ゴーレム制御】のスキルレベルが少し上がっていた。感覚的にはもう少し上がっててもいいような気もするんだけれど、レベルが上がりづらいのは基礎になるスキルが足りないからだと思う。なんとかして【錬金術】スキルが欲しい......。

どこかで覚えておきたいけど、どうすればいいんだろう?

 

そんな事を考えながらふとふと後ろを見ると、リーリャ&セツは警戒をしていて、子供達が目を丸くしていた。まあ、驚くよねえ?

何も言わずに黙ってゴーレム馬を【ストレージ】に仕舞うと、街に帰る準備をするように告げる。質問は受け付けないよ。

 

「あの、リオ姉さん、あれは.....」

「ないしょ」

「そうだよ、ないしょだよ♪ユイ。女の子にはないしょが1つや2つはあるものなのだよ」

「そうなんだね、リーリャ姉さん」

 

ユイが色々聞きたそうだけど、リーリャが気をきかせてくれた。まだ、秘密なんだ。

 

 

 

さて、明日は馬車の制作かな?

 

 

 

 

 

 

馬車制作2日目ー!

といってもやる事は昨日よりも難しくないけどね。馬車の基本構造はわかってる。後はいかに揺れないようにするか。以前馬車に乗せてもらった時、あの揺れには正直参った。

街道も常に平坦(ヘイタン)というわけではないので、いい感じにうとうとしているところでいきなり大きく揺れて危なく舌を噛み(カミ)そうになったり、頭をぶつけたり、といった事があった。

だから私が作る馬車は限りなく揺れないものだ。

ならばサスペンションは必須だろう。揺れないものとなると......なんて色々やっていたらあっという間に夕方。あれ?まだ設計すら終わっていないよ?

 

 

 

結局設計が終わるまでに1週間かかった。いや、わかってた。わかってた事だよ、ははは。

設計しながらジュラルミンやチタンなどの軽量な材料を作っていたので当初の予定よりかなり軽くなりそうだった。あとでゴーレム馬のフレームの部品も取り替えておかないとだね。

ちなみにそれらの金属の材料は地面。地下深くの地殻が材料っぽい。生成時のMP消費が多いのはどうやらそのせいらしい。

 

そんなこんなで設計も終わり、やっと馬車本体の制作に。

部品を作るのが【創造魔法】頼りなのはゴーレムの時と同じだけれど、ゆっくりやる事にしたので普通に時間がかかりそうだ。

いや、設計だけでここまで時間がかかっちゃったから、別にもう急がなくてもいいかなーって思ってね?

そんな感じで急がずにゆっくり作業を進める事、更に1週間。とうとう馬車が完成した。

 

あ、一応作業の時も【ストレージ】の薬草の買い取りはしてもらったよ。リーリャが採集した薬草と一緒に。色々とギルドも助かるらしいし、そもそもまだまだ大量に在庫があるからね。

 

閑話休題(カンワキュウダイ)。

 

で、完成した馬車は箱馬車。安全性と居住性重視。定員7名。女性限定。

居住性を重視にしたのは、野営の時に中で眠れたら便利じゃない?そもそも荷物全般は私たちの【ストレージ】があるし。もしもの時のために、馬車内の定員数を7名にしている。

馬車は御者台の後ろからも内部に入れるようになっている。一応扉付き。御者台の後ろにはちょっとしたスペースを作ったので、そこにも人が座れたりもできる。

箱部分の中に入るための扉は、正面を向いた時の左側につけた。逆側には無い。それと一応後ろ部分にも荷物を収納するスペースを作って、そこにも扉をつけておいた。ちなみに扉は全て鍵付き。

居住スペースは後方に正面を向いて座れるようにソファー。当然ポケットコイルでふっかふか。折りたたみ式なので引き伸ばしてベッドにする事もできる。7人が寝られるように馬車内は広く作っている。

後は壁に折りたたみ式のテーブル。飲み物を立てるためのホルダーもつけてみた。ついでに扉と右側には窓もある。

え、車輪?当然ゴム使ってますが何か?中にチューブ当然でしょ!

正直ちょっとやり過ぎた感は否めない。でも快適な生活のためだから仕方がないのだ!

でも調子に乗り過ぎたせいか、1頭引きというのはちょっと無理がある感じの見た目になった。

これは諦めてもう1頭ゴーレム馬を作らないとダメかな。いや、完成した馬車本体の重量的には1体でいけると思うんだけどね。軽量フレーム様様だ。

ともあれ、ひとまずは1頭引きで試運転。ここからはトライアンドエラーで馬車の改造だ。

まったく舗装されていない森の中でも全然揺れない。我ながら素晴らしい完成度だね。

まあ、実際街道を走らせている時は御者台に座っていないといけないけれど。

でもゴーレム馬が若干馬力不足っぽい。やっぱり1体では無理があるみたいだし、諦めて2体目を作る事にしよう。明日から。

というわけで次の日から早速2体目のゴーレム馬を作る事にした。

でも前回のように急いで1日で作るつもりは無い。むしろ1体目の改造も併せて(アワセテ)行う。

数回の試運転で負荷がかかった部分はわかっているので、そういった箇所の強化を行うのだ。

 

私が色々ゴーレムの改造をしていると、子供達がリーリャとセツの指示で角兎(ツノウサギ)を仕留めたと喜びながら報告に来た。

いくら、リーリャとセツの指示があったとはいえ角兎は角が生えた大型のうさぎの魔物で、一般家庭で最も手軽に食べられている肉だ。そして、冒険者にとっては討伐年齢制限に引っかからない数少ない魔物のひとつでもある。

そもそも一般人でも気をつければ普通に倒せるのだから、討伐依頼がある事もまず無い。でも放って(ホウッテ)おくとどんどん増える。ゴブリン並みの繁殖力らしい。そして畑を荒らす外獣でもある。そういった理由から、年齢制限を外してあるのだそうだ。

13歳未満の冒険者は孤児が多い。当然食事も儘(ママ)なならいだろう。一般家庭の子も兼業というか、自衛技術を身につけるために冒険者になっている場合もある。そういった子の場合は自宅の食卓を豊かにするために狩る。

でも、雑魚とはいっても魔物は魔物。油断すれば大人でもお腹に風穴が開く。だから慎重な子はあまり積極的には狩らない。死にたくないから。

この子達も自分の安全を優先していたので基本的に角兎は狩らなかった。

でも最近は金銭的に余裕が出てきたので武器や防具を買い始めた。そして、全員分の装備を揃えて(ソロエテ)初の討伐なので、今日は、リーシャとセツの指示に従って、1匹の角兎を仕留めた。

そこからは、子供達、自らが判断して、角兎を狩れるようにリーシャとセツは、少し離れた所で見守っている。

私たちは、褒めた上で、怪我が怖いので、無理は絶対にしないように念を押しておく。『まだ行けるはもう危ない』の心構えだ。

 

 

 

そんな感じで更に数日。2体目のゴーレム馬も完成して、ついに馬車が完成した。

思ったよりも時間がかかったけど、これでやっと買い出しに行けるよー。

 

 

 

 

さて馬車も完成した事だし、宿を引き払う準備をしよう。という事でギルドで買い取りも終わらせて宿に戻り、リリーさんを探す。

いや、別に受付の人に直接言ってもいいんだけど1番仲がいいのがリリーさんだから、どうしてもね。

そんなわけでリリーさんは、と......いたいた。

 

「「リリーさん」」

「リオさん、リーリャさん。おかえりなさい」

「ただいま帰りました。あ.....あの、リリーさん」

「実は明日の朝に宿を出ようかと思いまして」

「えっと、もしかしてまたどこかへ行かれるんですか?」

「「はい」」

「どちらに行くのかお聞きしても?」

「北の村と、北東の川を越えた先にある村ですね」

「牛乳と卵を買ってこようかと思いまして」

「えーっと、もしかして、料理のために?」

「「はい、料理のために」」

「.......」

 

(ああん、黙り込んじゃった。どうしよう、リーリャ?)

(仕方がないよね、リオ。あんなに餌付けされたらね♪)

 

「「あの、リリーさん?」」

「リオさん、リーリャさん、実は私、少し長めに休暇を頂いてしばらく実家に帰省する予定なんです。実家は王都なんですけど......もしよかったらなんですけど、私と一緒に王都へ行きませんか?」

「「え?」」

「王都なら牛乳も卵も普通に買えますし、ハルーラの近場で買うよりも安く、量も多く買えます。どうでしょう?」

「「........王都、ですか」」

 

(王都。いずれは行ってみるつもりではいたけれど.......それを抜きにしても卵も牛乳もたくさん買える?どうしよう、リーリャ?)

(リオが考えている料理には、牛乳も卵も多い方がいいんだよね?)

(うん)

(なら、予定を繰り上げて王都にいくのもありかもしれないよ。ねぇ、リオ♪)

 

「その、凄く魅力的な提案なので、ご迷惑でなければご一緒したいんですが......」

「あの、何か問題でも?」

「いくつか確認したい事が。いいですか?」

「ええ、もちろん」

「そうですね.....まず、同行するのは私たちとリリーさんだけですか?」

「帰省というのであればサレナさんもご一緒なのかな、と」

「えっと、一緒に行くのはアリサです。姉さんは急な仕事が入ってしまって.......その、オーガロードの事があったでしょう?その事後処理が大変らしくて、本当は帰省も延期しようか、という話もあったんですが........」

「「サレナさんではなく、アリサさん?」」

「はい。アリサも実家が王都なんです。実は幼馴染み(オサナナジミ)というやつでして、色々あって一緒にこっちに来たんですよ」

「......なるほど。では次に、女の子4人だけでの移動になるんですか?」

「流石に少々危険ではないかと思うんですが」

「あ、それは大丈夫です。こう見えて私もアリサもDランク冒険者なんです!これでも私、結構強いんですよ?ちなみにアリサは剣が使えます。それに、一応身を守るめての切り札もありますから、大丈夫です!」

「「切り札、ですか?」」

「はい!どんなのかも秘密ですけど」

「「なるほど......ちなみに移動は徒歩で?」」

「いえ、馬車を借りる予定です」

 

(ふむー、軽く確認した限りでは問題無さそう。どうする、リオ?)

(それに、馬車か....よし、リーリャ)

 

「「わかりました。私たちもご一緒させてください」」

「本当ですか!?嬉しい(ウレシイ)です!」

「あ、それと馬車ですが、私に当てがあるので借りなくても大丈夫です」

「そうなんですか?じゃあそちらはお願いしてもいいですか?」

「任せてください。それで移動はいつに?」

「そうですね、では明後日の朝でどうでしょう?」

「「わかりました、ではそれで。あ、明後日以降の宿の連泊のキャンセル処理のほう、お願いします」」

「お任せください!」

 

んー、急展開だけどなるようになるよね?

 

その後はいつもどおりにお風呂とご飯を済ませて【時空間魔法】『防音』を張り、イチャイチャしてから、就寝。次の日は念のために朝1で市場に行ってじゃが芋や野菜などを追加で買い込んでおいた。

その後は宿に戻って料理の下拵え(シタゴシラエ)。備えあれば憂い無し!たくさん用意しておいても腐らないからへーきへーき!【ストレージ】様様ですな!

 

 

 

 

なんてやっているうちに出発当日。

朝食は4人揃って(ソロッテ)宿でとって、そのまま私たちのチェックアウトを待って一緒に移動する。そして街を出る前にギルドに寄ってサレナさんに挨拶。

サレナさんには妹をよろしくお願いしますと何度も頭を下げられた。よろしくされました!

その後は何事も無く街の外へ。子供達への挨拶は馬車が完成した日のうちに済ませておいたので問題ない。

 

「あれ?街の外に出ちゃいましたけど、いいんですか?馬車は.......」

「大丈夫です、ちゃんと用意していますから。でもここだとちょっと目立つので、もう少し移動しましょうか」

「はい?目立つ?えっと、とにかく移動する、という事ですね?」

「リリー、流石にここから王都まで徒歩は無理だよー」

「だ......大丈夫だよ!リオさんもそう言ってるし、リーリャさんも大丈夫って、顔で私たちにおいでって、言ってるよ」

「そ......そうだけど」

 

お2人さん、聞こえてますよー。

 

門から出てお散歩気分で歩く。私の右隣にはフウ、リーリャの左隣にはセツ。うーん、日差しが気持ちいいね。

そのまましばらく移動すると、丁度いい感じの小さい林を発見。ここでいいかな?

 

「それじゃ、馬車を出しますね」

「え?出す?」

 

困惑する2人をそのままに【ストレージ】から馬車を取り出す事にする。

地面に光の円陣が描かれると、そこに馬車が現れた。この円陣は【ストレージ】から大きいものや大量のものを1度に出す時に現れる。範囲指定のようなものだ。ちなみに範囲指定に大きい障害物があると取り出せない場合がある。これは以前、森の奥で自宅を取り出そうとした時に判明した。

現れた馬車は馬2頭付き。御者には、自立支援型ゴーレム『エイリア』。

馬のゴーレムを2頭作った時に、関節機構の仕組みが分かっているので、後は、人間観察をして、【解析】を使い、作り上げた。

ゴーレム2体のコントロールは結局並列思考に任せる。

ちなみに馬車の外観に関してはアレから色々と手を入れて偽装してあったりする。

外装部分は貴族が乗る馬車のような豪華な装飾等は無く、頑強さ重視の実用一辺倒な無骨なデザイン。

それなりに使い込んでいる風にわざと汚れもつけてみた。

サスペンションなどの足回りのう内側部分は外から見えないように覆い(オオイ)がつけてある。これで車体下部の他のアブソーバー機構も隠れて見えない。車輪に関しても見た目は普通の木製に見えるように偽装済み。

ゴーレム馬に関してもより本物の馬に見えるように改良を加えた。つぶらな瞳が可愛いよ?

御者に関しては、先程も話したように、自立支援型ゴーレム『エイリア』を作った。性別は女性。

振り返って2人を見てみると、固まっていた。うん、そうなるよね。

 

「馬車です」

「あ、はい」

「馬車ですねー」

「「じゃ、乗りましょうか」」

「いやいやいや、待って待って待って!ちょっと待って!ごめん、意味わからない!え?どういう事?馬車だよ?収納スキル?いやいや、大きいから!これ、大きいから!あと、馬!なんで馬!?それに御者?御者なんで!?怖い!」

 

(リリーさん見事に混乱しているよ、リオ♪)

(まあまあ、落ち着いてリーリャ。説明するから♪)

(その隣でアリサさんは遠い目で虚空を見つめているよ。リオ?)

(これは、早めに説明しないとね。思考を放棄しているから)

 

「作ってみました」

「いやいやいやいや、作ったって、え?作った?これを?リオさんが?」

「はい」

「馬は?」

「ゴーレムです」

「御者は?」

「自立支援型『エイリア』女性型のゴーレムです」

「なんでゴーレム?」

「いえ、本物の馬だと食事とか場所とか、色々とお金がかかって維持が大変ですよね?でもゴーレムなら使わない時は仕舞っておけますし、邪魔になりません。壊れたら直せばいいですし」

「御者の『エイリア』は?」

「今は、リリーさんとアリサさんと旅ができますが、2人旅、できれば馬車の中でゆっくりしたいじゃないですか?折角の箱馬車ですし。『エイリア』は機動力と防御力があるし、突然の盗賊にも対処できるよ♪」

「もう、どこから突っ込めばいいのか......」

「ゆっくり飲み込んでからでもいいですよ?」

「........そうさせて頂きます」

 

リリーさんも考えるのをやめたようだ。ふはは、私の勝ちだね!

 

 

 

 

 

さて、勝利したところで早く出発しよう。

 

「お2人の荷物は、すぐに使わないものは後ろに積んでください。今開けますから」

「あ、はい。わかりました」

「収納スペースもあるんだねー」

 

見たところ2人とも両手に鞄(カバン)。それ以外にリリーさんは杖(ツエ)、アリサさんは細身の剣を持っている。2人は武器以外は収納スペースに収めるようだ。まあ武器が無かったらいざという時に戦えないからね。私たちも一応帯剣しているし。使って戦った事、1度も無いけど。

 

「「じゃあ、乗り込みましょうか」」

「.......そうですね、それでは」

「失礼してー」

 

なんでそんなにびくびくしているの?別に普通だよ。私たち基準で。

ドアを開けて中を覗き(ノゾキ)込んだ2人はぽかーんとしてしまった。半口開いてるよ、はしたない。

 

「なんですか、これ........」

「「馬車です。というか、それはもういいので早く乗ってください」」

「ハイ」

「オネガイシマース」

 

別に怖くないのに......。

 

何故(ナゼ)が2人が嫌がるので私たちが先に乗り込む事に。

車内の座席スペースは3ヵ所。後部座席側が2~4人が座れるサイズ。正面向かって右側に向かい合って座る配置で、正面向かって左側、ドアを挟んで。2人が座れる。サイズの椅子がふたつ。御者台の方に出られる扉がある。私たちは後部座席の奥側に座ると、2人を手招き。それを見て恐る恐る2人が乗り込んでくる。

リリーさんが私の右隣、アリサさんはリーリャの左隣に座る。そして椅子に座ると途端に驚きの声を上げた。

 

「なんですか、この椅子!?」

「ありえないくらいにふわふわ.......なにこれー」

「頑張りました」

「いやいや、意味がわかりませんよ、リオさん」

 

まあ、普通にオーバーテクノロジーの産物だからね。でも私は自重しない。

 

「「取り敢えず、もう出しますね?」」

「あ、そうですね。お願いします」

「はい、では」

「.........」

「.........」

「......?」

「..............」

「.......あの」

「はい?」

「まだ走らないんですか?」

「「え?もう走ってますよ?」」

「え?」

「え?」

「リリー、本当にもう走ってるよー。後ろの窓の外、見てみてー」

「あれ?本当?え、でも全然揺れてない........まるで動いてないみたいな」

「リリー、多分この馬車が色々おかしいんだよー」

「もう、何を言えばいいのか.........」

「頑張りました」

「「それはもういいです」」

 

酷い。

 

「って言うか、御者はどうしたんですか!?」

「ゴーレムの自立支援型『エイリア』がいますし」

「.......大丈夫なの?」

「大丈夫ですよ。『エイリア』は、自分で考えて行動できるから♪」

「........もういいです」

 

ああ、リリーさんがまたしても虚ろな瞳に.......。

 

その後、2人は慣れたのか何も言わなくなった。誰だってこれだけ快適な旅ができるなら、文句なんて言わないよね。

ちなみに私たちは車内では流石にフードは下ろしている。

【ストレージ】からテーブルを取り出して、足元の窪みに固定して、4人分のドリンクホルダーに木製のコップを置いて飲み物を注ぎ、1口。

うん、オレンジジュースは成功かな。元の世界のオレンジジュースではないので、果汁100%だと飲みにくいから、飲みやすいように水で薄めた。当然のように氷も入ってて、冷たくて1層美味しい。氷魔法は水を材料に【創造魔法】で氷を作っていたらいつの間にか覚えていた。

2人にもコップを渡す。テーブルのホルダーにコップを置く。ちなみに揺れてもこぼれないようにコップはちゃんと蓋付き。

 

「馬車でコップで飲み物.......こぼれないための構造、こんな単純な事で........」

「馬車で何か飲むって言ったら、水袋の革臭い水が普通なんだけどー」

 

ははは。こういうものはやったもの勝ちですよ?

 

「というか、これ、凄く美味しい........」

「こんなの初めて飲んだよー」

 

オレンジジュースも好評みたい。水で薄めただけだけどね。

 

ちなみにフウとセツは御者台のエイリアの横と後ろを交代交代(コウタイゴウタイ)に座って、警戒している。

 

「あ、そういえば私たち、道とかわからないんだけど......どう進めばいいんでしょう?一応、ハルーラの冒険者ギルドの資料室で、王都までの地図は、エイリアに覚えさせているけど?」

「このまま街道沿いに東に進んでいけば大丈夫です。途中ムロバの領都で1泊して、そこから街道を北上して王都に向かう、という感じですね」

「わかった、エイリア!覚えた通りで、大丈夫みたいだよ♪」

『わかりました、リオ、リーリャ♪』

 

エイリアが覚えた通り、簡単に着きそうだね。

 

 

 

途中何度かの御手洗い休憩を挟みつつも順調に進み、ほどほどの時間に野営地に着いた。今日はここで野営だ。

 

「「今日はここで野営ですね」」

「そうですね。リオさんとリーリャさんが作るんですか?」

「「そうですね」

「その、食材とかは.........」

「「取り敢えず1通り用意してきました」」

「お金とか........」

「「あとで気持ち程度に頂ければ、特には」

「なんだか、すみません」

「「気になさらずに」」

 

(私たちの目的は餌付けだからね。気にしなくていいのよ!ねぇ、リオ♪)

(そうだね、リーリャ♪可愛い顔を見せてくれればそれだけでお兄さん満足ですよ!じゅるり)

(もう、リオ!男の子の心が戻ってきてるよ)

さて冗談はこれくらいにしておいて、今日は何を作ろう?いや、食材は既に色々と仕込んであるから、後は仕上げるだけなんだけどね。

んー、餃子(ギョーザ)?うん、餃子にしよう。大量に仕込んでおいたから後は焼くだけで済むし。あと、白米食べたい。

早速魔導コンロを取り出して焼く準備。米は既に炊いてあるのが【ストレージ】に入っているので、それを出すだけで済む。

どのくらい焼こうかな?4人だし、40個?..........いや、2人はたくさん食べそうだ。80個いこう。ちょっと多い気もするけど、残っても仕舞っておけばいいし。

というわけでじゅーじゅー焼く。どんどん焼く。焼き上がったら冷めないように【ストレージ】に仕舞っていく。こうしておけば食べる直前に取り出す事で焼きたてを食べられる。

リーリャは、セツと一緒に警戒をしてくれている。2人は私の横でじっと見ている。ぐー。3人のお腹の音がしたけど、微動だにせずガン見。リーリャは餃子の匂いで。うん、この焼いている匂いとか、卑怯(ヒキョウ)だよね。

 

折りたたみのテーブルと椅子を馬車の出入り口の横に出して、出来上がった料理を並べる。白米、餃子、醤油(ショウユ)とラー油とお酢で作った餃子のたれ。あと一応作り置きしておいた鶏ガラスープもつけた。汁物があったほうが食べやすいようね。

並んだ料理を前にじっと見つめている3人。リーリャが元居た世界にも餃子はなかったらしいし、リリーさんとアリサさんも驚いて声もでないよね。

 

「えーと、どうぞ召し上がれ?」

 

私が声を掛けると途端に食べ始めた。物凄い勢いで。ああ、うん。食べていいのかわからなかったのね........。

っと、ほっといたら私の分が無くなっちゃう。私も食べよう食べよう。

結局、80個の餃子は全て無くなった。3人ともちょっと食べ過ぎじゃない?そんなに美味しかったんなら、リーリャにはまた、作ってあげるからね♪リリーさんとアリサさん、太っても知らないよ?

ちなみにデザートは無い。2人は若干物欲しそうにこっちを見ていたけど、気付かない振り。リーリャはいつでも食べられるから満足そうにお腹を擦っていた。

 

「うう、お腹がきつい.........動けないー」

「まだテントの用意もしてないのに」

「身体拭くのにお湯も沸かさないとー」

 

(ああ、そういうものもあったね。でも無意味だ)

 

「【洗浄】」

 

リリーさん達に【洗浄】をかけると、2人の身体は数秒淡く光る。発光が収まると2人の身体は汚れも無くぴっかぴかになった。お風呂に入れるならそのほうがいいんだけど、旅の最中(サイチュウ)はどうしてもね。自宅を出すつもりもないし。

 

「【洗浄】も使えるんですか!?」

「一応は」

「リリー、私はもう驚かない。むしろ感謝の言葉を捧げるよー(ササゲルヨー)。ありがとうございますー」

「いえいえ、どういたしまして」

「くぅ、こうなったら、せめてテントの設営くらいは頑張らないと」

「あ、それも大丈夫です」

 

馬車に向かい扉を開けると、車内のテーブルを【ストレージ】に仕舞って、椅子を倒したり引き伸ばしたりして簡易寝台にする。

 

「これでここで眠れます(ネムレマス)。4人だとゆったりと寝られるよ♪寝心地は最高だよっ」

「.......えっと、不寝番(フシンバン)は」

「「フウとセツがやってくれるそうです」」

「こんな、こんなはずじゃなかったはずなのにぃ」

 

((リリーさん、一体どんなはずだったんですか?))

 

「なにからなにまでありがとうございますー」

「いえいえ」

 

アリサさんはもう考える事を放棄してしまったようだ。うん、便利なんだからそれでいいじゃない?

ちなみにリリーさんの言うこんなはずじゃなかった、というのは長旅に慣れた自分達が私たちに色々とレクチャーして年上の貫禄(カンロク)を見せ付けたかった、との事。

いや、そもそも私たち、既に南の村まで2人旅してるからね?

 

 

 

 

王都への旅、2日目の朝。快晴。今日もいい天気だね。

馬車から出ると軽く身体を伸ばす。その後は顔を洗って歯を磨き。とはいっても【洗浄】で1発なんだけど。髪を梳かしたい(トカシタイ)けど、この野営地にいるのは私達だけではないので自重。フードを下ろしたくないから馬車の移動中にする事にしよう。私たちの顔面は自慢したり眺めて悦に入る(イル)ものではなく、もはやただの厄ネタでしかない。ちょっと泣けてくる。

そういえば昨日の晩ご飯の時も視線が痛かった。餃子(ギョーザ)の香りのせいだろうけれど、美味しいご飯のためなのでそっちは自重しない。

 

っと、そんな事を考えながら、私たちは2人が起きてくる前に朝食の準備でもしておこうかな。

朝はあまり重いものは食べたくないので鶏ガラスープを使ってリゾットを作る事にした。

鳥腿(トリモモ)、茸(キノコ)、玉葱(タマネギ)、バター少々に白ワインも少々。アクセントにチーズが欲しいけど、無いものは仕方がない。塩胡椒(コショウ)で調えて出来上がり。

鶏ガラの芳醇(ホウジュン)な香りに釣られたのか2人ものそのそと起きてきた。

 

「「おはようございます」」

「おふぁようございまふー」

「おはようござ、ふわ.........ますぅ」

 

まだ眠そうだね。せんがんようぐを洗顔用具2人に渡して促すと、馬車の陰の方で身だしなみを整え出した。でもその合間にこっちをちらちらと見てくる。別に無くなったりしないし、先に食べたりもしないから急がなくても大丈夫だよ。

ちなみにここみたいな大きめの野営地は国が整備しているので、井戸があったりする場合がある。だから野営地によっては洗顔だとか料理の準備とかには困らない場合があったりする。

とはいっても野営地の整備や井戸を掘るのにはお金が掛かるので、どの野営地に行っても井戸があるわけではない。何事もお金は大事。

 

身だしなみを整え終わった2人と朝ご飯を食べる。2人は相変わらず無言で掻き(カキ)込むように食べている。でも、物凄い笑顔。

ねえ、もうちょっとおしゃべりとかしない?私たち2人だけでは正直寂しいよ?折角、一緒に旅をしているのに!

 

「朝からこんな美味しいご飯.......幸せです」

「こんな快適な旅があっていいのだろうか?私がその恩恵に与れる(アズカレル)のならあるべき。美味しいご飯大正義ー」

 

もきゅもきゅ。2人ともやっとしゃべったかと思えば.......うん、なんかごめん。

 

ご飯が終わった後は出発の用意。椅子を畳んでテーブルを【ストレージ】に仕舞い、馬車の中も整える。

 

「リオさんとリーリャさんは簡易寝台なんて言ってましたけれど、あんな寝心地のいいベッド初めてでした」

「わかる。私、家に帰ってから自分のベッドで眠れる気がしなーい」

 

私たちとしてはやはり雑魚寝状態なので、広いといっても。2人には違ったようだ。でも自重はしない。私たちの馬車だし。

 

 

 

 

出発してからは順調に工程を消化。前にいる馬車をぐんぐん抜いていく。

アリサさんが言うには周りからは馬車を引かせるような馬ではなく、軍馬の、しかもかなり上等な部類の馬に見えてるはず、との事。お陰で目立ちまくり。おかしい、こんなはずでは.......。

 

「あのリオさん、リーリャさん。ちょっと質問があるんですが........」

「「なんでしょう?」」

「リオさんとリーリャさんってトイレ休憩の時、馬車から降りませんよね?昨日も結局夕方の野営の時までずっと乗ったままでしたし......その後もその、済ませに行った様子もありませんでしたよね?あの........大丈夫なんですか?」

 

私たちがトイレに行かないのは【洗浄】を使っているからだけど、この使い方はどうやらリオだけのオリジナルらしい。

昨日も野営地で周囲を確認していたけど、同じような使い方をしている人は見なかった。

それらを踏まえて考えると、この使い方は場合によっては何かの時に手札になり得る(ナリエル)可能性がある。ならここで答えを言うのはやめておいたほうがいい。

だから私たちは無言でにっこりと微笑み返す事にした。こういう時は何も言わないのがベスト。

 

「あの.........」

「「にっこりにっこり♪」」

「えっと...........」

「「にこにこにこにこ♪」」

「リリー、私わかった。あれは本当だったんだよー」

「え?何かわかったの?アレって?」

「王都にいた時、近所の男連中が馬鹿な事を言っていたの、覚えてる?」

「え?どれ?いつもそんな感じだったような」

「『真(シン)の美少女(ビショウジヨ)はトイレになんて行かない』って」

「ああ、あれ?」

「そう。そして今ここにその実例がいる。つまりあれは本当の事だったんよー」

「ええー!?いや、でもそんな馬鹿な事が」

「でも今、実際に目の前にいるしー」

 

((そんなわけがあるか!でも黙って微笑む))

 

「........いやいや、リオさんとリーリャさんの事だから多分きっと何か非常識な方法があるんじゃないかなーと思うんだけど」

「私もそう思う。でも、その方法が私達にはわからない以上は、あれが事実である可能性は否定できないんだよー」

「あ!でも宿にいる時はトイレ使ってたよ!?」

「きっと偽装工作だよー」

 

((【身体制御】を覚えてからは筋力低下を気にしないでいいようになったから、宿屋でもトイレ使わなくなったけどね))

 

「..........」

「..........」

 

((2人とも黙り込んでしまった。もう深く考えるのはやめたようだ。それがいいと思うよ?))にっこり。

 

その日の野営の食事の時に2人も私たちの作るご飯に慣れてきたのか、無言で掻き込むような事も無く会話をする余裕が出てきたみたいで、楽しく食事ができた。

ちなみにメニューはうどん。以前のおつゆは鶏ガラスープだったけど、今回は昆布だしで関西風にしてみた。まずは薄口から慣れさせようかと思いまして........。

 

「前に頂いた時のスープも美味しかったですけど、今回のはまた違いますね。こっちのほうが麺の味がよくわかるといいますか.......小麦粉ってこんなに美味しかったんだなあ」

「前のも食べた?リリーはずるい。私に謝罪するべきだよー」

「え!?なんで!?」

 

うどんは奥が深いからねえ.......次は鰹(カツオ)だしにしようかな?ああ、でもその前にお蕎麦(オソバ)も食べたい。折角作ったんだし。

 

 

 

 

 

という感じで賑やか(ニギヤカ)に馬車を走らせていると、次の日に村に着いた。ニコルさんから教えてもらった養鶏をかっているという村だ。

別にここでやる事は特に無いけど、様子は見ておこうかな?もし卵が買えるなら少しでもいいので欲しい。

というわけでエイリアの後ろに座ったまま村の様子を窺う(ウカガウ)私たちである。

自立支援型ゴーレム『エイリア』はよく見ればゴーレムだ。お金には余裕があるので、このまま村の中を馬車は行く(ユク)。

ちなみにリリーさんとアリサさんは宿が空いていないか話を聞きに行っている。ありがたいね。

広場の方に人が集まっているみたい?何かやっているのかな?.......お祭りとか?見に行ってみたいけど2人が戻ってこない事には移動できないし........。

あ、丁度広場の方から歩いてくる人が。ちょっと話を聞いてみよう。

 

「あの、広場の方が騒がしいみたいですけど、何かやっているんですか?」

「うん?あんたたち旅人さんかい?あの騒ぎはね、商人が料理コンテストやってるんだよ」

「料理コンテスト?商人がですか?」

「ああ。少し前にちょっと色々あってね、卵の販売量が減りそうなんだ。それでこの村の卵取引の元締めをやってる村長が、販売する商人を決めるのに卵を使った料理を作らせる事にしたんだよ。卵の事がわからん奴には売りたくない!ってね」

「はぁ、なるほど........」

「馬鹿らしいとは思うけど、俺達としても村長の言ってる事はわかるからね。売るなら確かにそういう奴らのほうがいい」

 

料理......ふむう。

 

「あの、それって、商人じゃないと参加できないんですか?」

「うん?あんたたち参加したいのかい?いや、別にそういうのは決めてなかったはずだから、大丈夫じゃないかなあ」

「そうですか.........あ、それと作るのは卵を使った料理って言ってましたけど、卵がメインじゃないとダメなんですか?」

「いや、卵を使ってれば大丈夫だよ。ただし、メインになるものを引き立てるようなものじゃないと難しいかもしれない。あるいは、新しい料理とか?」

 

なるほど、それなら余裕だ。行こうじゃないか。

 

 

 

 

 

というわけで、卵を買うために料理コンテストに参加しようと思います。

話を聞いた村人さんが見えなくなってから周囲を確認。誰もいないね?速攻で馬車を収納。フウとセツとエイリアを連れて、そそくさと私たちは広場へと向かう。卵!卵!

 

広場に着くとそこはなかなかの盛況のようだった。

広場の真ん中付近に即席で作った簡易竈(カマド)っぽいのが5つ並んでいて、その向かい側にテーブルと椅子。

椅子に座っているのは頑固そうなおぢさん。ちらほらと白髪(シラガ)が交じり始めてる感じだけど、体格はがっしりしている。あの人が村長かな?

竈には既に何人かの人が張り付いていて料理をしているみたいだ。どんな料理を作っているんだろう?

様子を見ていると、1人できたらしい。嬉々(キキ)として村長さんの所に皿を持っていく。

 

「なんだこれは!こんなものでワシが納得すると思ってるのか!」

 

大激怒。ちなみに持っていった料理はスクランブルエッグ。おいおい。

それでも口に運ぶ村長さん。うん、味付けとか色々あるかもしれないからね.........。

 

「ただ焼いただけではないか!塩くらい使おうと思わんのか!不合格だ!帰れ!」

 

焼いただけって.......何を考えているんだろう。

続けて次の人が持っていった。皿の上には目玉焼き。

 

「舐めてる(ナメテル)のか!塩を振っただけではないか!」

 

さっきの人の時の話を聞いていたんだね。でもせめてハムかベーコンも焼いて刻みキャベツとかと盛り付けようよ。

その次はゆで卵。おお、もう........。

散々な結果だった。見ていられない。

 

「次に挑戦する奴はいないのか!」

 

(この空気の中出ていくのは正直きついわー)

(どうするの、リオ?やっぱり、やめる?)

(やめないよ、リーリャ♪卵は、欲しいからね♪)

(だよね。頑張ってきて、リオ♪)

 

「あの、商人じゃないんですけど、大丈夫ですか?」

「あん!?なんだお前は!卵が欲しいなら参加すればいい!商人だろうがそうじゃなかろうがもう関係ないわい!」

 

豪快なおっさんだわー。いいね、嫌いじゃない。

 

「じゃあ参加します」

「おい、ちょっと待て。その前にそのフードを取れ」

「このままじゃダメですか?」

「参加するのに顔を隠したままの奴があるか!取らなければ参加は認めん!」

「.......わかりました」

 

仕方がない、諦めて.......。

フードを取ろう。

え?参加を諦める?目立ちたくない?今は卵のほうが重要でしょ!大丈夫!眼鏡かけいるし!

フードを下ろすと周囲から一瞬、音が消えた。その後すぐにざわめき出す。まぁ、私たちの魅力は眼鏡を掛けたくらいじゃ、抑えきれないのは、わかっていたこと!

 

「卵はメインじゃなくてもいいんですよね?」

「構わん。ただし、ただ使ってるだけというのは認めん!メインになるものを引き立てるような使い方じゃないとダメだ!」

「わかりました」

 

私はマントの下で【ストレージ】から瓶を取り出し、調理台に置いた。今回のメイン食材が入った瓶だ。

いやー、最初はオムライスあたりにしようかとも思ったんだけどね?宿屋での1件もあるし、面倒な事になっても困るからぱっと見で作り方がわからない方向でいこうかと。

 

「玉葱(タマネギ)です」

「.........玉葱?その黒いのがか?」

「はい」

 

黒じゃないよ、飴色(アメイロ)だよ。

ちなみに今回作るのはオニオンスープ。使う食材は玉葱と卵だけ。こういう時は使う食材はシンプルなほうがいい。

鍋にお湯に張り火に掛ける。出したお湯はかなり高温の熱湯なので沸くのはすぐだ。瓶から飴色の物体をスプーンで掬って(スクッテ)鍋へ投入。

 

この飴色の物体の正体は玉葱を炒めた(イタメタ)ものだ。

作り方は至って簡単。フライパンに油を引いて、それでスライスした玉葱を焦がさないように、飴色になるまで弱火延々と炒めるだけ。ただし、炒め時間は1時間くらいかかる。

時間はかかるけど、工程はこれだけ。でもたったこれだけで驚くほど美味しいスープが作れる。しかもお湯で溶くだけで。

つまりこれはインスタントオニオンスープの素(モト)なのだ。

 

でも今回はちょっと手を加える。塩胡椒(コショウ)を少し加えて味をと調え、食感に変化を加えるために新たにスライスした玉葱を入れて、シャキシャキ感が無くならない程度に軽く火を入れる。

玉葱に火が通ったら火から下ろし、そこに溶き卵を回し入れて蓋をして余熱で卵に火を通す。この時、火に掛けたままだと卵がふわふわにならない。

少し経ったら蓋を取ってゆっくりと混ぜてみる。うん、ふわふわ。

 

「できました」

 

スープ皿によそって村長さんの所へ運ぶ。

 

「.........早いな」

「そうですね」

「あの黒いのが入ってるのか?大丈夫が?」

「別に無理に食べなくてもいいですし、そのまま不合格でも構いません。気になるなら私が先に食べて見せますけど」

「いや、アンタが味見もしていたし、大丈夫だろう。それに......味が気になって仕方ない。食うぞ!」

 

うん、これは匂いがやばいからね。今も広場中に漂ってて、見物している人達が皆(ミナ)、物欲しそうな顔になっているし。

軽く周囲の様子を確認していると村長さんがスープを口にし、硬直した。でもすぐに動き出し、2口目。続いて3口目。

 

「.........なんだ、これは」

 

はい、なんだこれ頂きましたー。

 

「恐ろしく、美味い。こんなもの食ったのは初めてだ。この濃厚な味.......これは玉葱だ。玉葱の味だ。でもこんな濃い味は初めてだ。それに、卵。この卵が実にいい。ふんわりとしていて、主張し過ぎず、このスープの美味さを更に引き立てる.......これが俺の卵なのか........」

 

グルメリポーターはもういいから合否はー?

 

「合格ですか?」

「文句なしの合格だ!」

 

やっほう!

私は、リオが喜んでいる所へ駆け寄って、一緒に喜ぶ♪

 

「リオさん何やってるんですか!」

 

私が喜んでいるとリリーさんとアリサさんが人ごみを掻き(カキ)分けて私たちの所まで走ってきた。

 

「「リリーさん」」

「こんな目立つ事して、もう!ああ、顔も隠さないで......。リーリャさんが一緒にいて、止めなかったんですか?」

「ごめんなさい」

 

私のせいでリーリャにまで。

 

「えーと、あのね、リリーさんアリサさん。リーリャは悪くないの!私が参加したいっていったの。料理を作って合格すれば卵を売ってくれるというので.......」

「私が、止めていれば.......」

「リーリャは、悪くないの。あなたは止めてくれたのに、私が卵欲しさに先走って」

「リオを......好き♪」

「私も好きだよ、リーリャ♪」

「はいはい、イチャイチャするなら、私たちがいない所でしてね♪それで、卵料理を出して合格したら卵が貰えるからって、こんなところで顔を出すなんて!リオさんとリーリャさん目立ちたくないんじゃないんですか?ちょっと危機感薄過ぎませんか!?それにまだ私達も食べた事が無いようなこんな美味しそうな料理を........」

「「えっと、ごめんなさい?」」

「知りません!」

 

(拗ねた(スネタ)リリーさんも可愛いよね。リーリャ♪)

(可愛いけど、私はサレナさんが可愛いと思う。1番はリオだけどねっ♪)

(私の1番はリーリャだよっ♪)

 

「リリー、この人達全然反省してないよー?」

 

((ソンナコトナイデスヨ?))

 

 

 

リリーさんとじゃれ合っていると村長さんが声を掛けてきた。

 

「おい、もういいか?」

「あ、はい」

「今回の合格はアンタだけだ。取り敢えず売買を早く済ませたいんだが、大丈夫か?」

「はい、大丈夫です」

「じゃあこっちだ。来てくれ」

 

卵の保管場所に連れていってくれるらしい。私たちの後からリリーさん達がぞろぞろと付いていく。

 

「ところで、あのスープなんだが........」

「ああ、あれですか。鍋に残っている分はどうぞ召し上がってください」

「ありがたい。それと、あれに使っていたあの黒い玉葱(タマネギ)なんだが、譲ってもらうわけにはいかんか?」

「申し訳ありませんが.......」

「別に作り方を教えてくれと言ってるわけじゃない。金なら払う!」

「........すみません」

 

ごめんなさい。作るの結構面倒なんだよ、アレ。

工程自体は単純だけど、とにかく時期がかかる。ついでに火を使い続けるからこの世界だとかなり燃料費が掛かる。私たちが作る時は魔導コンロがあるから魔力を補充すればいいだけだけど、それでも時間がかかり過ぎる。以上の理由でお断りします。いや、理由の説明なんてしませんけどね?

 

 

 

 

「ぬう、だめか......残念だ」

 

凄い残念そうだけど、こればっかりは仕方がない。だって面倒なんだもの。

 

「あの、リオさん.......」

「今度ね?」

「はい!」

 

リリーさんが残念な子になってしまった。餌付けし過ぎたんだね!

 

「そういえば宿のほうはどうでした?」

「ありませんでした」

「「はい?」」

「そもそも、宿がありませんでした」

「え、じゃあ買い付けに来た商人ってどこで.......」

「街道から村に続く道の周囲が拓けてましたよね?あのあたり一体が全て野営地になってるそうで、商人はそこで馬車で寝るそうです」

 

積み荷を守るためでもあるらしい。なるほどねー。

 

「というか、宿探しから戻ってみればリオさんとリーリャさんはいないし、馬車も無いし、探したんですよ?」

 

((ははは、ごめんね?))

 

なんてやっているうちに保管場所に着いたらしい。というかこれって、地下に続く穴?

 

「この先だ」

「これ........もしかして氷室ですか?」

「そうだ。食い物をなるべく長く保管するにはこれが1番だからな」

 

正直驚いた。中世の保管なんて常温で放置しているイメージがあったんだけど、意外とちゃんとしているんだね。

階段を下りて進んでいくと徐々に周囲の温度が低くなっていくのがわかる。でも、なんだか......。

 

「あんまり、寒くないー?」

「アリサもそう思う?」

「「リリーさん達もですか?」」

 

どうやら私たちの気のせいでは無いらしい。

今はもう6月だ。でも、いくらなんでも溜め(タメ)込んだ雪がこんなに早く無くなるというのはちょっと考えにくい。どういう事だろう?

 

「........気付いたか。実は先月、卵を盗みに入った奴がいてな......そいつは捕まえたんだが、逃げ出す時に扉を開けっ放しにしやがったんだ。気付くのに時間がかかってな、お陰でかなり解けちまった。思い出すのも忌々しい!」

 

.......なんというか。

 

「着いたぞ。この扉の先に卵が保管してある。好きなだけ買っていってくれ」

「「え、好きなだけですか?」」

「正直、買ってもらえるなら全部買ってもらって構わん。この先売れる量が減るのは確実だからな。今のうちにできるだけ稼いでおきたい。それに変に売れ残っても困る」

「「そういう事ですか.......」

 

扉を開けてもらって中に入りながらそんな事を話す。扉の先には卵が載ったざるがいくつも置かれていた。

 

「それでは、選ばせてもらっても?」

「構わん」

 

【鑑定】を使って卵を選んでいく。選定基準は産みたてのもの、サルモネラ菌に感染していないもの。

【鑑定】のレベルが10になってからこういった細かい事に関してもわかるようになった。

気を取り直し、ひょいひょいと選んでいく。全体の3割くらいはサルモネラ菌に感染しているっぽい。

 

「......なあアンタ、もしかして食ったら腹壊すやつがわかってるのか?」

「.........」

 

答えない。余計な事は言わないのが吉だ。

しばらくすると選別完了。ここにあった卵の半分くらいの量だ。大体500個くらい?多いように感じるかもしれないけど、料理で使っていればこれくらいの数はすぐに無くなる。お菓子も作ればあっという間だ。

 

「........こんなに買うのか。いや、助かる事は助かるんだが」

「はい。色々と作りたいものがあるので」

 

この世界の卵は高い。以前宿屋で譲ってもらった時は1つで銀貨1枚だった。大体1000円くらいだろうか?いや、もっとする?

村長さんに値段を確認したところ、仕入れ値という事で1個小銀貨5枚だと言う。

それを500個。およそ25万円。金貨2枚と小金貨5枚。高っ!

 

「じゃあこれが代金です」

「うむ。確かに」

 

何はともあれこれで卵ゲット!色々作れるよ!村長さんありがとう!........んー、ここで恩を売っておいたら、次に来た時もまた売ってくれるかなあ?

 

「あの、卵を売って頂いたお礼というわけじゃないんですが」

「うん?」

 

【ストレージ】から大量の雪を取り出す。

今年の1月、2月の大雪の時、家が雪に埋まってしまった時に雪かきのつもりで家の周囲の雪を収納した事があった。

その時、周囲の雪が一瞬で無くなるのがなんとなく面白くて家の周辺の雪を全部収納して回ったのだ。そしてその時収納した大量の雪が丸々【ストレージ】に残ったままになっている。

正直、今出した分だけでも1割も減っていない。

 

「......え?」

「このくらいあれば冬まで持ちますか?」

「ちょっと待ってくれ。なんだこれ?え?なに?」

 

((混乱しておられる))

 

「「気にしないでください。まだまだたくさん余っているので」」

「.......もう、色々考えるのが面倒になってきた」

「難しく考えないほうがいいですよ。この人たち、色々規格外なので」

 

((リリーさん、ちょっと酷くない?))

 

「そうだな..........理解できない事を無理に理解しようとするよりも、今は目の前にあるもののほうが重要だ。それで、その.......本当にこの大量の雪をもらってしまっていいのか?はっきり言って、今この村ではその卵500個よりも貴重なものだぞ?」

「「構いませんよ。さっきも言いましたが、まだまだたくさんありますから」」

「そうか.......感謝する。正直、救われた。あんたたちはこの村の恩人だ!この金は返す。アンタたちから金はもらえない。金を返すくらいじゃ全然足りないが........」

 

((よくわからないけれど卵代儲けた(モウケタ)?って事でいいのかな?でも流石にちょっと悪い気がする。うーん?

 

「「気にしないでいいです。あ、あとこれもどうぞ」」

「これは.......さっきは譲れないと」

「ついでという事で」

「........ありがとう。本当に、ありがとう」

 

私が渡したのはさっきのオニオンスープの素が入った瓶だ。

詳細なレシピを教えるつもりもないし、さっき作ったスープのレシピを改めて教えるつもりもない。

さっきは譲るのを渋ったけど、ぶっちゃけると実は同じ瓶があと4つあったりする。まとめてたくさん作ったのだ。

とはいってもまた作るのは時間がかかるから、それが嫌で渋ったんだけどね。

 

でもここで恩を売っておけばまた次来た時に卵を売ってくれるかもしれないし、無駄にはならないはずだよね?

 

 

 

卵を買った後、今日は結局村の外で野営する事になった。

移動して先の野営地を目指すにも、時間的に微妙だったから仕方がない。村長さんは家に泊まって欲しいと言ってくれたけれど、辞退しておいた。

いや、リリーさんとアリサさんが馬車の簡易ベッドのほうがいいって我が儘(ワガママ)を言いましてね........個人的には7人が寝られるように、余裕をもってベッドは作っているけど、馬車よりは屋根の下で寝たほうがいいと思うんだけど。

 

何はともあれ、もう割といい時間になったのでさっさとご飯の準備をしよう。

今日は卵も手に入ったので折角だからアレを作ろうと思います。カツ丼。

トンカツならハルーラの宿で働いてた2人にも馴染み(ナジミ)があるだろうし、ありじゃないかなーと。いや、作るのはその発展系だけどね。

まずはカツを揚げる。じゅわわーっと。

「まさか、あの肉料理ですか!?」

「リリーしか食べた事が無いという、あの肉料理のオリジナル........」

 

((残念、外れ))

 

今日作るのはカツ丼だからね。更に手を加えるよ。

揚げたカツを休ませている間にフライパンを用意。専用の調理器具は流石に作っていないし、面倒だから4人分まとめて作っちゃうのだ。

スライスしたたま玉葱(タマネギ)を敷き詰め、調味料を投入。加熱。煮立ったら一旦火を止めて休ませる。

その間にカツをカットし、フライパンに投入。溶き卵をかけて三つ葉も乗せ、再び火をつけたら蓋をして少し置く。卵は半熟くらいでいいかな。

どんぶりにご飯をよそってその上に盛っていく。うん、食欲をそそる香りがやばい。お腹がきゅるきゅる鳴ってる。

付け合わせは昼にも作ったオニオンスープ。2人が食べたいってしつこいから......私としては味噌汁(ミソシル)にしたかったんだけど。後は箸休めの漬物があれば完璧だったんだけど、無いものは仕方がない。でも今度作っておこう。

出来上がった料理をテーブルに並べると2人が目を丸くして料理を見つめる。

 

「なんですか、これは.......パンに挟むんじゃないんですか......?」

「もうなんでもいい、凄くいい香りがするー。我慢できなーい!もう食べてもいいですかー?」

「「構いませんよ。どうぞ召し上がれ」」

「「頂きますー」」

 

2人が先割れスプーンを使ってカツ丼を1口。私たちは箸で。

 

「ふわあ.......美味しい.......」

「これ、凄いぃ!肉が、卵が........!」

「お米に凄く合いますね!手が止まりません!」

「リリーはこんな美味しいものを先に食べてたんだねー、ずるい!謝罪を要求するー!」

「お肉だけをパンに挟んだやつは食べましたけど、これは初めてですよ!?ノーカンです!」

 

((2人とも元気だねー。もっきゅもっきゅ、もっきゅもっきゅ。うん、美味しい))

 

「こっちのスープも凄く美味しいです!あの村長がベタ褒めしてたのもわかりますね!」

 

カツ丼も玉葱と卵を使ってるから、食べあわせとしては同じ物を使っているこのオニオンスープも悪くないんだけど......これも結構味が強いから、同じように濃い味付けのカツ丼を食べた後は口をさっぱりさせるのであれば、やっぱり味噌汁のほうがよかったね。

 

2人はあっという間に完食。少し物欲しそうに私たちを見てるけど、これは私たちの分だからあげないよ。ついでにおかわりも無いよ。そっちに残ってるのはフウとセツの分だから。いや、昼に不機嫌にさせちゃったから......いや、ご機嫌取りじゃないよ!フウとセツにはいつもお世話になっているからね♪

 

 

 

 

閑話休題(カンワキュウダイ)。

 

 

 

 

((..........というか、リリーさん達2人の分は大盛りだったかならね?私たちの1.5倍はあったからね?))

 

ここ数日ちょっと食べ過ぎじゃない?ホントに、太っても知らないよ?

そう伝えると2人は少し青い顔をして慌てていた。自業自得って知ってる?私たちのせいにしないでね?

 

「凄く美味しかったです!」

「満腹ー満足ー」

 

「「御粗末様(オソマツサマ)です」」

「でも、なんだかわかった気がします」

「何がー?」

「いつもこんな美味しいものを食べてるから、リオさんとリーリャさんは大きいんだなって」

 

((私たちが大きい?正直、背はそんなに大きくないと最近は自覚してますが。あはははは.......はぁ))

 

「........あー、なるほどー」

 

リリーさんは私の方を見ていて、アリサさんはリーリャの方を見て頷いて(ウナヅイテ)いる。正確には私たちの1部を。あー、そういう事ね。

 

「このままリオさんとリーリャさんの作るご飯を食べ続ければ、いつか私も........」

 

((リリーさんは自分の胸に手を当ててなにか言っている。))

(.........いや、その部分の成長って基本的に遺伝だと思うよね、リーリャ♪)

(そうだね、リオ♪世の中には本人の努力ではどうにもならない事もままあるわけで)

((私たちは別に好き好んでこんなに大きいわけではない。日課のイチャイチャのお陰です♪むしろ私たちは胸より背が欲しいです))

 

そんな私たちのなんとも言えない感情が顔に出ていたのか、私たちの表情を見たリリーさんとアリサさんの表情が険しくなっていく。

 

「.......持たざる者の気持ちなんてわからないんですよ!アリサはリーリャさんのを!こんな大きなものをぶら下げてる人には!」

「ひゃあああああ!?」

「リリー、何してるの、リオさんが」

「アリサもリーリャさんのを揉んでみたら、わかるから」

 

怒り狂ったリリーさんが私の胸を鷲(ワシ)づかみにするという暴挙に!そして、リリーさんはアリサさんに叫ぶ!

リリーさんに言われた通り、アリサさんはリーリャの胸を鷲(ワシ)づかみにする。

 

((リリーさん、アリサさん、ちょ.....やめて、それまずいから!))

 

「「こんな!こんなものがあるから!」」

 

((もにゅもにゅ、もにゅもにゅと胸を揉み(モミ)しだくリリーさんとアリサさん。だからそんなにすると!))

 

「んはぁっ......!や.......だめ、です......んんっ!」

「あぁあんっ.....!リオっ.....大丈夫っ?はあぁん......!」

「んはっ.......!リーリャ.....こそ、んん......んはっ!」

 

((変な声が出ちゃうから!))

 

「「........」」

 

リリーさんとアリサさんの動きが止まり、ばっと勢い良く私たちから離れてくれた。助かった......のかな?

 

((変な声がほんの少し零れ(コボレ)落ちたけれど))

 

「「すすすすすすす、すみません!」」

「はぁ.....は......いえ、大丈夫.....です」

「はふぅ.......大丈夫ですけど.......」

 

(人様の前で変な声を出してしまった、恥ずかしい。リーリャ、大丈夫?)

(はぁ.....大丈夫、この身体凄く敏感なんだから。ねぇ、リオ♪)

((ちなみに日課のせいじゃないから、元からだから))

 

「「こういうのはやめてください」」

「「本当にすみません。もうしません。でも、リオさんとリーリャさん.......その.......」」

「「なんですか?」」

「その、怒ってるんでしょうけど、顔を真っ赤にしてそんな表情で睨まれ(ニラマレ)てもですね」

「逆効果といいますかー.........私が変な気分にしまいそうになるのでー、やめて頂きたいなあー、と」

「「!?」」

 

((慌ててフードを被る。え、私たちそんな顔をしているの!?))

 

フードと手の間からちらりと(私はリリーさん、リーリャはアリサさん)を見てみると、真っ赤な顔で微妙な表情をしている。目が合うと視線を外すように明後日の方向に顔を逸らされた。

 

 

ちなみに、寝ている時になんとなくステータスの確認をしてみたら。

 

【名前】リオ

【種族】天帝人族

【職業】孤児→森の住人→Eランク冒険者(テイマー、アーチャー、エンチャンター)

【称号】探求者/狙撃手

【年齢】11歳

【性別】女

【HP 500/500】

【MP 750/750】

【STR 10】

【AGI 10】

【VIT 10】

【DEX 15】

【INT 1600】

【MGC 1300】

【CHA 150】

【LUK 7】

スキル

【鑑定:Lv 10】

【解析:Lv 1】

【ストレージ:Lv 10】

【創造魔法:Lv 10】

【魔法付与:Lv 2】

【技能付与:Lv 2】

【魔法適正:全属性】

【火魔法:Lv 10】

【水魔法:Lv 8】

【氷魔法:Lv 5】

【土魔法:Lv 7】

【風魔法:Lv 10】

【光魔法:Lv 6】

【狙撃:Lv 7】

【連射:Lv 3】

【身体強化・魔力:Lv 1(STR・VIT・AGI+10)】

【魔力操作:Lv 3】

【魔力感知:Lv 3】

【オートマタ作成:Lv 1】

【ゴーレム生成:Lv 3】

【ゴーレム制御:Lv 4】

【魔道具作成:Lv 4】

【調合:Lv 6(DEX+3)】

【鍛冶:Lv 3(VIT+1)】

【金属加工:Lv 7(DEX+3)】

【革加工:Lv 6(DEX+3)】

【木工:Lv 6(DEX+3)】

【服飾:Lv 6(DEX+3】

【生活魔法:Lv 10】

【身体制御:Lv 5(DEX+2)】

【警戒:Lv 6】

【探知:Lv 7】

【隠身:Lv 7(AGI+3)】

【鷹の目:Lv 3】

【料理:Lv 8(DEX+4)】

【家事・総合:Lv 5(DEX+2)】

【礼法:Lv 4(CHA+2)】

【ダンス:Lv 4(CHA+20)】

【農業:Lv 4(VIT+2)】

【採取:Lv 9(DEX+4)

【時空魔法:Lv 10】

【空間魔法:Lv 10】

【時空間魔法:Lv 10】

【異常耐性:Lv 10】

状態異常:精神・空腹・疲労・痛覚

【淫乱(インラン):Lv 10(CHA+50)】

【淫獣(インジュウ):Lv 10(CHA+100)】

【巨乳:Lv 10(CHA+50)】

【魔性:Lv 1(CHA+10)】

 

【名前】リーリャ

【種族】天帝人族

【職業】孤児→森の住人→Eランク冒険者(テイマー、アーチャー、エンチャンター)

【称号】探求者/狙撃手

【年齢】11歳

【性別】女

【HP 500/500】

【MP 750/750】

【STR 11】

【AGI 10】

【VIT 11】

【DEX 15】

【INT 1600】

【MGC 1600】

【CHA 150】

【LUK 7】

スキル

【治癒魔法:Lv 10】

【ストレージ:Lv 10】

【魔法付与:Lv 2】

【魔力譲渡:Lv 10】

【魔法適正:全属性】

【火魔法:Lv 5】

【水魔法:Lv 10】

【氷魔法:Lv 10】

【土魔法:Lv 10】

【風魔法:Lv 4】

【雷魔法:Lv 10】

【光魔法:Lv 10】

【闇魔法:Lv 5】

【狙撃:Lv 7】

【連射:Lv 3】

【身体強化・魔力:Lv 1(STR・VIT・AGI+10)】

【魔力操作:Lv 4】

【魔力感知:Lv 4】

【身体制御:Lv 5(DEX+2)】

【警戒:Lv 10】

【探知:Lv 10】

【隠身:Lv 6(AGI+3)】

【鷹の目:Lv 5】

【料理:Lv 8(DEX+4)】

【礼法:Lv 4(CHA+2)】

【ダンス:Lv 10(CHA+50)】

【農業:Lv 4(VIT+2)】

【時空魔法:Lv 10】

【空間魔法:Lv 10】

【時空間魔法:Lv 10】

【異常耐性:Lv 10】

状態異常:精神・空腹・疲労・痛覚

【淫乱(インラン):Lv 10(CHA+50)】

【淫獣(インジュウ):Lv 10(CHA+100)】

【巨乳:Lv 10(CHA+50)】

【魔性:Lv 1(CHA+10)】

 

変なスキルが増えていた。【魔性】スキル。なんだこれ?

私は、【鑑定】で詳細を見てみると......。

 

【魔性】

スキル所有者の意思に関係なく、周囲を魅了するスキル。対象幼女から未婚者まで。

自分が嫌悪(ケンオ)する相手には、効果がない。

スキル保有者のCHAに+(レベル×10)の値の補正。

また、このスキルを持つものは他者を惑わすものであり、他者に惑わされる事は無い。そのため、【精神耐性】を得る。

 

厄介ごとのネタが増えたよ!やったね!

って、全然よくないよ!?なにこれ!?

まあ、私たちが嫌いなコリーとテスに効果がなくて良かった。

 

 

 

 

皆さんこんにちは。そっち系のスキルばかり増えていくえっちな幼女、リオちゃんとリーリャちゃんです。

 

 

 

.........気を取り直していこう。

養鶏の村で多少のトラブルはあったものの、その後の旅路は平穏無事、気付けば領都の城壁が遠目に見え始めていた。

でもここからまだ半日くらいはかかるらしいから、領都に入れるのは明日の午前中、との事。

あの城壁どれだけでかいんだよ........なんて考えていたのが顔に出ていたようで、王都の城壁はもっと大きいとか言われた。

ちなみに道中の宿は全て野営地でした。馬車の移動速度が速すぎるせいか、タイミングよく村とかに入れなかったんだよね。うーん、街道沿いの村の宿とかご飯とか、ちょっと興味があったんだけどなあ。

 

「やっとここまで来ましたけど.......普通、2~3回くらいは魔物に襲われるものなんですが」

「ここまで何も無いのは逆におかしいよねー?」

「........リオさん、リーリャさん、もしかして何かしてます?」

「「平和なのが1番ですよ?」

 

にっこり微笑み返して誤魔化す。うん、魔物排除をしているからね。オークの群れでもない限り近寄って来ないよ。

ついでにフウとセツが新しいスキルを覚えたようで、それの効果もあるみたい。

 

【名前】フウ[双子 姉]

【種族】黄金(オーロ)風狼(ヴェントルーパ)[フェンリル]

【職業】魔獣

【称号】リオの友人→リオの親友

【年齢】51歳

【性別】雌

【HP 800/800】

【MP 430/430】

【STR 100】

【VIT 95】

【AGI 120】

【DEX 95】

【INT 95】

【MGC 95】

【CHA 95】

【LUK 15】

スキル

【魔法適正:火・風・雷・光】

【火魔法:Lv 10】

【風魔法:Lv 10】

【雷魔法:Lv 10】

【光魔法:Lv 10】

【警戒:Lv 10】

【探知:Lv 10】

【隠身:Lv 10】

【威圧:Lv 2】

 

【名前】セツ[双子 妹]

【種族】白銀(アルジェント)雪狼(ネーヴェルーパ)[フェンリル]

【魔獣】

【称号】リーリャの友人→リーリャの親友

【年齢】51歳

【性別】雌

【HP 800/800】

【MP 430/430】

【STR 95】

【VIT 100】

【AGI 110】

【DEX 95】

【INT 95】

【MGC 95】

【CHA 95】

【LUK 15】

スキル

【魔法適正:水・氷・雪・闇】

【水魔法:Lv 10】

【氷魔法:Lv 10】

【雪魔法:Lv 10】

【闇魔法:Lv 10】

【警戒:Lv 10】

【探知:Lv 10】

【隠身:Lv 10】

【威圧:Lv 2】

 

【威圧】スキル。自分より弱い相手を近づけないスキルらしい。

 

今、現在いるのはまたしても野営地。このまま飛ばしていっても夜には領都につけるかもしれないとの事だけど、その時間だと宿をとるのも大変そうなので一晩明かす事にしたのだ。別に急ぎの旅じゃないしね。

晩ご飯は適当にちゃちゃっと作った。毎回手が込んだのを作るのも面倒だし。2人は手抜きとは気付いていない様子で、相変わら ずの蕩け(トロケ)顔。正直エロ可愛いです。がリーリャには敵わない♪

 

「そうだ、リオさんとリーリャさん。領都では宿に泊まる事になりますけど、希望の宿ってありますか」

「んー、ゆったり入れるお風呂があってフウとセツも泊まれる所がいいです。ね、リーリャ♪」

「そうね、リオ♪それとご飯が美味しければ言う事ないですよ」

「お風呂に従魔用の厩舎(キュウシャ)、となるといくつかありますけど..........リオさんとリーリャさんが満足するレベルのご飯というのは......」

「リリー、無理。そんな宿無いよー」

「「あの、ハルーラの宿くらいで全然問題ないですからね?」」

「「えっ」」

 

((何その反応。私たちは一体どんな美食家だ))

 

「自分で作るのと他所(ヨソ)で食べるのとはです」

「リーリャの言うとおりです♪それに色々食べるのも勉強になりますよ」

「むーん。そうなると、あの宿か、あっちの宿か.........」

「リリー、そこまで悩まなくてもいいじゃない?領都で1泊するだけだし、外食という手もあるよー。ほら、ムバロの領都のレストランって言えばあそこあるじゃない」

「あ、あのレストランかー。ハルーラに行く時も食べたけど、確かにあそこは美味しかったね!うん、それでいこう!」

「「えーと、ご飯は外食するんですか?」」

「はい!ここまで色々お世話になってますし、私達の奢り(オゴリ)という事で!アリサもいいよね?」

「いいよー」

 

(奢りかー。餌付けのお陰、リオ?)

(もう、餌付けって、言わないでよ。リーリャ)

 

「「どんなレストランなんですか?」」

「ムバロ伯領の領都1と言われてるレストランで、そこの料理長が領主である伯爵様のお気に入りってことで有名ですね。他の貴族を招いた時の晩餐会(バンサンカイ)でもその料理長が腕を振るってるそうです」

 

(おおう、領主様御用達だよ!リオ♪)

(これは期待できるね!リーリャ♪)

 

「ここの領主の伯爵様は武人の家系で有名ですね。10年ほど前の東の国との戦争でも大活躍だったとか」

 

((ほうほう))

 

「ただ、領地運営の手腕のほうは微妙という噂(ウワサ)がー」

 

((え。それ、大丈夫なの?))

 

「でも人格者で部下に慕われてるとかで、領地運営に関しては優秀な部下がたくさんいるって聞きますね」

「そうそう。それで料理長だけど、いつだったか周辺の領主を招いたパーティーの時に、その料理長に料理を依頼して大成功したとかでー」

「それ以降伯爵様のお気に入りの料理人として有名になったんだよね」

 

((へー、そんな優秀な家臣団がいるのはありがたいねえ。でも......))

 

「「あのそんなに有名店って事は、お高いのでは.......」」

「大丈夫です!こう見えても私達結構稼いでますから!」

「それに、そのレストランもいくつかのコースがあるから大丈夫だよー」

「流石に最上級コースとかは無理ですけど、中(チュウ)の上(ジョウ)くらいなら!」

「リリー、そこはせめて上級コース行こうよ.......」

「うぐ!」

「「その、無理はしなくても」」

「大丈夫です!上級コース行きましょう!アリサとの割り勘ならなんとか!」

 

(んー、変に遠慮しないほうが良いのかな........。リオ?)

(そうだね、リーリャ。ここはお2人に甘えましょう)

 

「「えーっと、じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいますね」」

「はい!甘えちゃってください!それに正直なところ、リオさんとリーリャさんが食事や馬車を用意してくれたお陰で旅費が凄く浮いてるんです。だからあまり気にしないでください」

「「はい、わかりました。レストラン、期待してますね」」

 

(ちょっと心苦しいけど、2人もこう言ってるしお言葉に甘えよう。リオ)

(そうだね、リーリャ。ここで断って嫌われたくないしね)

 

これにしても高級レストランかー。この世界の高級レストランってどんな料理が出てくるんだろう?貴族のお気に入りって言うくらいだから貴族料理に近いものも出るのかな?

 

「「あ、そういえばドレスコードとか大丈夫ですか?その、フードが........」」

「あー、そういえばリオさんとリーリャさんはあまり目立ったりしたくないんでしたね。でも大丈夫です。そのレストランは平民の富裕層も普通に利用してますから、平民用のフロアがあるんです。それに上級冒険者なんかも結構利用してるのでマントつかたままでも大丈夫だったはずですよ。奥の方の貴族用のフロアだと流石に無理でしょうけど」

「「なるほど、それは助かりますね」」

「でも流石にフード被ったままは別の意味で目立つと思うー」

「うーん、リオさんとリーリャさんは素顔のほうがもっと目立つと思うよ?」

「.......それもそうだねー」

 

((なんかすみません))

 

領都での予定も決まったのでその後は就寝。

明日の朝は早めに立つ予定。理由?それは単純に途中から馬車が使えないから。正確には使わないから。

私の馬車の馬はゴーレムなので宿に泊まって厩舎に入れるのも色々と問題になりそうだから、こうするのが無難なんだよ。割と色々自重してない分、こういう所ではちゃんとしておかないと。それに馬車で入街すると結構なお金を取られるらしい。地味に倹約、大事。

 

エイリアも【ストレージ】に収納するのかって?仕舞いますよ。自立型とはいえ、ゴーレムなので。

 

次の日は予定どおり朝早くに出発して途中でエイリアと馬車を仕舞ってそこから徒歩移動。左右を麦畑に挟まれた街道を延々歩き、昼前には領都に入る事ができた。フウとセツを見て驚かれはしたけれど、特に問題も無く街に入る事ができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






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