雫ちゃんは靡かない 作:リデウス
「う、すごい臭い」
僕はあまりの異臭に表情を顰めた。
けれどそれが不味かったのだろう、それを望んでいたかのように男の手が僕の顔に伸びた。
目元を隠すように伸ばした前髪を払われ、顔全てを露にされる。
「へぇ、可愛い顔してんじゃん。当たりだな」
「僕はハズレクジを引いた気分だよ。はぁ、憂鬱だ」
グニグニと先端を頬に擦り付けられ、匂いを擦り込ませている。
何が楽しいのか男はヘラヘラと笑っており、対して僕は泣きそうになっている。
はぁ、遅刻はするもんじゃないな。
こんな男に良いようにされて、朝から散々だ。
生理でもないのにこの世の全てが憎くなる。
「さ、蛹から蝶になる時間だ。この花から蜜を吸う練習をしよう」
「正気?」
「ここまで来て何もせずに返すと思う?」
「すぐに人が来るし、僕が叫べば!」
「悪いがこの時間帯にこっちの男子トイレに入って来る人はいない。来ても女が多いのはお嬢ちゃんならよく分かるだろう?」
男の回答に対して僕は確かにそうだと思い至った。
僕の向かっていた先は降り口。
その先には通学先の女学院の玄関しかない。
徹底した女主義の学校は生徒から教師まで女だけで構成されて居る。
そして駅の乗り換えはまた別にあって、通学時間の今は確かに男は来ない。
「そこまで調べて……今まで何人僕みたいな子をひどい目に合わせてきたんですか?」
「五人から先は数えてないな。でもよぉ、最初は嫌がるけど、最後はみーんな気持ち良くなって以降もお付き合いしてるんだぜ? だからよ、お嬢ちゃんも気持ちよくなろうや?」
気が狂ってる。正気じゃないと僕は思った。
僕の気持ちも知らずにその先端が固く閉じた唇にあてがわれ、押し込まれる。
「おほっ、良い締め付けだ。その調子でしめつけてくれよぉお?」
僕の精一杯を簡単に解かれ、口腔内に不快な味が広がった。
「うえっ、んぶ! おえっ、おごっ!」
不味い苦い汚い臭い。不快のオンパレードを否が応でも味合わせられた。
泣きそうになるけどそれも抗えず、前髪を乱暴に掴み上げられながらおもちゃのように扱われた。
「あー、出るわ。お嬢ちゃんの口まんこで初フィニッシュいただきまーす」
「ん〜〜〜〜〜〜!?!?!!」
頭の両端を掴まれ、喉の奥に差し込まれたそれらが食道を通って胃に落とし込まれた。
不快オブ不快。耳に届く放り出す音が、何をされたのかを鮮明に記憶し、強烈な嗚咽と共にこの世の終わりが僕に齎された。
「あーーすっげ濃いの出た。サンキューな。お嬢ちゃん、フェラの才能あるぜー?」
「嬉しくない。今は最悪の気分だ」
「ま、最初はみんなそうだよ」
本当か?
僕は未だに妹や母がこんな行為に夢中になれる気が知れないのだが。
あと僕の前髪で僕の唾液まみれの男性器の汚れをとっていた。
やめろよ! 本当にろくでもないな!
「あー、ちょっと残ってたわ。吸ってくれる?」
「ごめん被る」
「そっかー、じゃあしょうがない」
男は僕の眼前で萎え萎んだそれをシコシコと扱き、残された白濁を顔面に浴びせかけたのだ。
「はい、マーキング完了! もうお嬢ちゃんは俺の女ね?」
「は?」
何を勝手なことを!
「怒ってる顔も可愛いぜ。お礼におっぱい揉んでやろう」
「もう好きにして。早く終わらせてよ」
「およ、お嬢ちゃん真面目さんだねー。学校楽しい人?」
あまり育ってない旨をスポーツブラ越しに揉みしだかれつつ、そんなことを聞かれる。
むにむに、モニモニと、何が楽しいのだろうか?
「楽しくはない。けど、せっかくお母さんが働いて通わせてくれてるんだ。卒業はしたいじゃないか」
「ふーん親思いなんだね。じゃあ孫の顔を見せてあげればもっと親思いになれるよ?」
「は?」
何言ってるんだ? 男の考えがわからない。
確かに生理中にヒットすれば妊娠する。
けど僕はまだ16だぞ? 社会的飛翔もなければお金だってない。
なのに目の前の男は自分の子供を孕ませる気で居るみたいで心底背筋が冷え込んだ。
なんでこんな危険人物が野放しにされてるんだよ、警察は何をやってるんだ!
「へー、白峰雫ちゃんて言うんだ。可愛い名前だね」
いつの間にか抜き取られていた生徒手帳をじろじろ見られながら、それを男は自分のポケットに押し込んでいた。
「返せ! それは僕のだ!」
「だーめ、セックス終わるまで返しませーん。途中で逃げ出さないように人質にさせてもらいまーす。住所は……ふーん近くじゃん。駅三つ分か。俺車持ってるからいつでも会いに行けるよ。良かったね」
「今の会話のどこに喜ぶ点があったんだ?」
「えー、それ聞いちゃう?」
言わなきゃ良かった、と言ってももう遅い。
僕のショーツがストッキングごとずり下ろされたのだ。
スカートを穿いたまま、下腹部を曝け出された。
「見事なぴっちり具合だね。普段触ってないのかな?」
「答える口は持たない」
「ま、勝手に弄るんだけどさ」
じゃあ聞くなよ、と思いながら胸と同じように良いようにされた。
男はしばらく触りながら、僕の体に異変が起きたかのように慌てだす。
「あれ、全然濡れてない。おかしいなぁ、なんで?」
「知らないよ。僕に聞かないで」
「本当に普段から触ってないんだ。勿体無いなぁ、濡れやすい子の方がモテるよ? 入れ食い状態だよ?」
「そんなモテ方望んでない」
「うーん、これは困った。しょうがない、ちょっとヒヤッとするけど我慢してね?」
何をする気だ?
僕は男の様子を食い入るように見つめた。
ウェストポーチから何か液体の入ったボトルを取り出し、それを手のひらの上に垂らして居る。トロッとしているけどサラサラに液体に僕は思い当たるものがなかった。
その手に溜め込んだものを両手で擦り合わせて僕の縦筋に丁寧に塗り込んでいく。
「んっ、冷たい」
「だから言ったでしょー。でも時期にあったかくなるから、すぐにね」
男は笑っている。僕はむすっとした。
◇
それからしばらくすると、塗り込まれた液体が徐々に熱を持ち始めて体全体が暖かくなっていくのがわかった。体の中心、お腹がほかほかしている。
同時にその奥がジワジワと熱を持ち始めたのがわかった。
「ようやく火がついたかな?」
「何をしたんだよ」
「媚薬入りのローションを塗り込んだんだよ。雫ちゃんみたいな不感症の子でもすぐに濡れ濡れになっちゃう即効性のやつ♡」
「はぁ」
「あー、その顔は信じてないなー。さっきより乳首が敏感になってるのに気付いてないでしょ?」
胸を揉まれる。さっきは何も感じなかったのに、今は先端に触れられただけでビリビリとその場所に電気が走ったように刺激を強く感じていた。
「あぅ」
「ほーら、気持ちよくなってるだろ。よーし、今のうちにおっぱい開発しちゃうぞー? 雫ちゃんのおまんこを雫で満たしてあげるからなー?」
「親父ギャグかよ。クソ寒いんですけど……んっ、くぅ」
「そう言いながらも感じてる雫ちゃんに俺のちんぽもビンビン来てるぜ?」
「そうかよ、勝手にしろ」
僕は負けない。
こんなよくわからない道具に負けてやるもんか。
強い意識を保てば負けないと小説の主人公は言っていた。
僕もそれを見習って……
「んあ♡」
みようとしたけど、ダメだった。
おかしいなぁ、僕はもっと我慢強かった子の筈だ。
なのに男の揉み方が上手いのか、僕の体が弱くなったのか。
胸を揉まれた程度で音をあげてしまう。
うぅ、こんなはずじゃなかったのに。
「そろそろこなれてきたかな? おっぱいはお終いにしよっか?」
「えっ」
「次からはちょいと刺激が上がるぜ?」
うそ、これ以上があるの?
それは是非試して……って何を言いそうになったんだ僕は。
男のペースに飲まれるな。
こんなので負けない。さっきそう誓ったじゃないか。
◇
「んほぉっ!?」
すごく恥ずかしい声が出てしまった。
なんだこれ? 触られた場所がまだビリビリする。
胸の比じゃないぞ?
こんなのに今から耐えないといけないのか、僕は。
「雫ちゃんはおまんこよわよわだなぁ。ま、このローションを使えば処女でも熟女並みの快楽漬けになるからな」
「なんてものを僕に使ってくれるんだ!」
「そりゃ雫ちゃんにセックスの気持ちよさを理解してほしいからだよ。女に生まれたからには遅かれ早かれ知るもんだ。それが早くなっただけだよ」
「早くしてくれぇ、こういうのって僕を気持ちよくする必要まではないと思うんだ。そっちの処理が済めば終わる話じゃないのか?」
「何言ってるんだ。セックスはお互いの合意あってするもんだぜ?」
「僕は合意してないのだが?」
「今はな。その内おちんぽくださいってケツ振って懇願しに来るようになるよ。今日はそのレクチャーだ。合意は必要ない」
「支離滅裂じゃねーか! ひぁん、もう、ここら辺でやめへくれよぉ、普段の僕にもどれなくなふぅ。それは困るんらよぉ」
「そんなに固く生きてて人生疲れねーか? セックスを知って柔軟に生きよーぜ?」
「知りたくない、知らなくて良い! だからこれ以上はやめて!」
僕の精神状態は幼児並みに落ちていた。
力では叶わない男に、精神まで陥落しようとしている。
こんなところで死ぬのか、僕は。
そう思うと不思議と涙が込み上げた。
死にたくない、死んでたまるか!
「何も泣くこたねーじゃねーか」
「己の純潔を散らされようとしてるんだぞ? 普通は泣くだろ?」
「おう、泣いて済むならいくらでも泣け。俺がギュッて抱き止めてやるからさ。ちんぽ突っ込んでから」
「それって腰を動かすために僕の体を掴む必要があるからじゃないのか?」
「お、正解。なんだよ、わかってるんじゃねぇか。雫ちゃんのすけべ」
「あんたにだけは言われたくなかった」
「じゃあ、入れるぞ。力抜いてろよー。力むと余計に痛いからな」
「はやくひて」
「ったく雫ちゃんはせっかちだなぁ。そらよ」
「ん゛っっ!?」
ずぷん、と一息に貫通させられ、僕は便器に純血を垂らす羽目になった。
人は大人の階段を登ると蛹から蝶になると人は言うけど、僕は何になるんだろうか?
今なら魔王とか召喚できそうなくらい負の感情が溜まっているのは確かだった。