雫ちゃんは靡かない 作:リデウス
妹の前で格好をつけたまでは良かったけど、食事会の正装は常識を覆すモノだった。
「な、ななな……なにこれ!」
「わー、お姉ちゃん綺麗。それと……もうすっかりこっちのお口が欲しがってることはモロバレだね♡」
正装どころか、紐でできた衣装はもはや下着としての機能を投げ捨てていた。
羞恥が浮き上がる僕はここでは異端者で、前を隠そうとする事自体が悪目立ちする。
胸や陰部がまるで隠されず、それでいて美しく僕を彩ってくれるドレスはこの場所でのみ受け入れられるのだろう。こんな姿で外に出れば即御用である。
故にサキュバス専用だと妹は言外に言っている。
そんな僕の姿を見てか、おじさん達の股間がみるみる逞しくなっていくのを肌で感じ取った。僕の体で、あんなになっちゃうの?
それとも、そっちの趣味なのかなぁ?
普段なら否定ばかりしている僕も、ここの空気でなら満更でもなさそうにそれを見つめる。
「ほら、見て。お姉ちゃんのおまんこに早速種をつけたい男の人が居るみたいだよ。もちろん、お姉ちゃんは受け入れるよね? だってそのために来てるんだもんね?」
「うぐぐ……」
確かに欲しい。それは認める。
でもだからって、誰でもいいとは思ってない。
しかも明らかに年齢の高いおじさんだと反応に困る。
「あらお姉ちゃん、ここで食事を振る舞うシェフは皆一流よ。身も心も委ねてればきっと病みつきになっちゃうわ」
「でも、怖いし」
「じゃあ目を瞑ってなさい。すぐによくしてくれるから」
母はそう言うけど、僕は気が気じゃない。
そんな僕へ、物腰の優しそうなおじさんがやってくる。
「相席、いいかな?」
「はい、えっと。僕こう言うところ初めてで……不束者ですが」
雰囲気は人の良さそうなおじさんだけど、ぶら下げてる凶器はどことなく凶悪で、不思議と喉を鳴らしてしまう。
「ああ、はは。そんなにかしこまらなくてもいいよ。でもここの食事会は口開けが済んだサキュバスしか来れない筈だよ? 親御さんは君をそうだと断定して連れてきたはずだ。なのに恥ずかしがっているのは珍しくてね」
「あの、はい。今朝開いたばかりなのでお手柔らかに」
会話の一文字一句を恥ずかしさで死にそうになりながら紡いで、僕は見知らぬおじさんに組み敷かれた。壁に手を突いてお尻を上げるように要求されて、言われるがままにしている。
そして淫部に指が入り込み、何かを確認するように執拗な動きをさせた。
「ん、ふふ。それでもうこんなに欲しがっているんだ?」
ぐちゅ、くちゅと汁気を纏わせた愛撫で、僕は腰くだけになりそうだ。
「あん──もう、揶揄わないでください。あん、そこ。気持ちいいです」
「素直で結構。それじゃあ本番に入る前におじさんのおちんぽをしゃぶって貰おうかな?」
「ほえ?」
にこり、と笑っておじさんは僕のおまんこから指を引き抜き、淫水塗れの手でおちんぽを塗りつけて擦り始めた。その様子を見ながら僕は呆けたまま素っ頓狂な声をあげる。
そのまましてくれると思ってた僕が、心の中で悔しそうにしていた。
「フェラは履修済みかな?」
「えっと、一応は」
「君の痴態を見てこんなに大きくなってしまったよ。責任をとって欲しいんだ。出来るかな?」
出来るか出来ないかで言えば出来る。
今朝もあの男に上手いと褒められたし。
全くもって嬉しくないけど、それでもこの場においては少しくらい自信につながった。
ぶるん、と振われた肉棒が僕の顔に下される。
僕はそれを両手で挟んで掴むと、前後に振って薄皮を剥がしてから唾液を含ませた舌で丹念に舐めしゃぶる。
ひどく強い性臭が僕の劣情をくすぐる様だ。
れろ、ちゅ、じゅるるる。あむ。はぷ、れろれろ。
丁寧な愛撫で半勃起していた肉棒がバキバキになった。
肉茎が震えていることから、射精が近いのかな?
僕は先端を舐めしゃぶりながら竿をこしこしと擦って、やがて吹き出したそれを口から溢れさせていた。
濃厚なカルペス味。
ああ、やっぱりあのジュースってこれだったんだ。
目は完全に虚で、熱に浮かされた様に呆けている。
だと言うのに僕はそのおちんぽを愛おしそうに舐めしゃぶる。
長年愛してきたアイスキャンディーとそっくりなその味を口の中に溶かし込む様に馴染ませた。
れろ、ぺろ。じゅずずず!
吸い込む様にして口いっぱいにぬるぬるが広がる。
「もういいよ。すごく上手で出しすぎてしまった。苦しくはなかったかい?」
「あっ」
おちんぽが僕の口から離されたのをきっかけに正気に戻った。
困惑しているおじさんの顔に、僕は羞恥心を思い出して顔を真っ赤にする。
「そんなに寂しそうな顔をしないで。次は私がお嬢さんをいっぱい楽しませてあげるからね?」
そんな風にポンと頭を叩かれて、僕はふにゃふにゃになった。
不本意ながらも、僕はそれだけで達してしまう。
弛緩し切った全神経。
ぷにぷにのお腹の上に硬い鉄の棒が添えられた。
全く力が入らない手でそれを確かめると、僕はどこか安心した様に表情を緩めた。
「えへへ、おちんぽ。硬くなってる」
「お嬢さんのおまんこをこれで今からメロメロにしてあげるからね?」
「うん、うん♡」
こんな風にがっつく様な返事。
生まれて初めてだった。
ずぷり、と硬いものが臓器を押しのける様に侵入してくる。
「──ん、くぅん♡」
「痛いかな?」
「ううん、ちょっとくすぐったくて」
「それじゃあもう少しゆっくりとした挿入にしてみよう」
「ごめんなさい」
「良いんだよ。この食事会は私達インキュバスも楽しんでいるのだから。人間と違って純粋なサキュバスを食べられる機会というのはあまりないんだ。そして挿入しただけで射精したくなるほどの極上おまんこにお目にかかれることも、ね」
極上、そう言われて今朝のことを思い出した。
すごいたくさん中に出された。
あれってあの男が悪いってより、僕に原因があったんだ。
そんな風に思ってしまう。
男が言っていたように、僕も楽しんでいた?
覚えはない。なのに、否定できない自分がいる。
最奥へと硬い感触。
僕の一番奥のお部屋へとおちんぽがたどり着いた証明だった。
お腹にはぽっこりとおちんぽが浮き出ており、なぜか嬉しい気持ちに満たされる。
「えへへ」
「無邪気に嬉しがるあたり、お嬢さんもサキュバスだね。まだ淫紋すら浮かび上がってないと言うのに、恐ろしさを感じるよ」
「そう、ですか」
「気に障ったかい?」
「いえ、そんな風に言われたのは初めてだったので。んっ♡」
「セックスはピストンだけではないと言うことをお教えするとしよう。この様な極上おまんこ。そうそう味わえないからね」
「わひゃあ」
おじさんは僕のお尻をむんずと掴んでは、背中が浮くぐらいに持ち上げた。
ピストンが無いと言うのも驚きだけど、それでお腹の疼きを解消できるのか甚だ疑問だった。
しかし上下に擦り付ける運動でも、おちんぽは縦横無尽におまんこにカリを擦り付けて、僕を楽しませてくれる。
先程まで刺激が少ないんじゃ無いかと思っていた僕は、後頭部をガツンと殴られた気持ちで正気に帰る。
さっきまでの僕はセックスを舐めていた。
男を射精させた自尊心が屈服し、今ではすっかり手玉に取られている。
「あ、ん! ふゃあ、あん」
「どうだい? 気持ちいいだろう? ずっこんばっこん出し入れするだけが芸ではないんだよ」
「初めての感覚です。僕、僕!」
「達っしそうかな?」
コクコクと頷く。
正直声に出して返事をするのはしんどかった。
「では一緒に果てようか? 絶頂と同時にザーメンを刻みつけるのは堪らなく美味だと聞くよ」
「♡♡♡」
「すっかり気に入ってくれた様だね? では受け取ってくれ給え」
「────っ♡、───♡♡♡」
言葉が出ない。
脳が焼き切れそうなほどの絶頂に飲まれ、しかし体の奥をやけつく性の感触が頭にこびりつく。絶頂と同時の射精はまるで年月をかけて同化したかと見紛うほどの一体感で、僕の中におちんぽがなくてはならないものになった瞬間だった。
思考が乱れる、正しく認識できない。
目の前にいるおじさんの顔が、おちんぽにしか見えなくって、おちんぽを見るたびに僕のお腹はきゅうとなった。
「はぁ〜〜♡」
「すっかり心ここに在らずだね。どうかな? もう一戦」
「お願いします。僕の未熟おまんこに熟練おちんぽで指導してください♡」
「お嬢さん、自分が何を言ってるか正しく理解してる? それを受け取ったら私は君を今までの様に扱えないよ? 男と女の本気セックスをするしかなくなるんだ」
おじさんは僕をまっすぐに見下ろし、品定めをする様に僕の顔を見る。
そんな好きだらけの唇に、がっつく様に舌をねじ込んだ。
じゅるるるる、と貪る様におじさんの口の中を味わう。
最初は面食らっていたおじさんだったが、僕がその気があると知って、すぐさまやり返してきた。垂れた唾液を拭い、悪戯を思いついた顔で、僕をテーブルに押し倒す。
つい先程までおちんぽを頬張っていた場所に頭を埋めると、長く伸びた舌でゆっくりと愛撫していた。
それは尋常ならざる刺激で、本来では到達し得ない場所まで侵入し、責め立てる。
「──♡──♡♡♡」
それは本能で理解させられる快楽の渦。
何度も何度も果て、再起するのは脳にパチパチとした電気信号を送り続ける様だ。
オンとオフを連続で受け取った脳は焼きただれ、僕は今何してるんだっけと言う気持ちになった。
◇◆◇◆◇◆
「はふぅ、少し疲れちゃいました」
お腹がぽっこり膨らむ様は少しではないくらいの量を絞った証である。
軽く跳ねるとお腹の中で、タネが泳ぐ様を想起できた。
相手をしてくれたおじさんはその場に座り込んでいる。
急に元気になった僕とは対象に、疲労困憊といった具合だ。
やっぱり僕ってサキュバスなのかもしれない。
えっちして疲れるどころか元気になっちゃってる。
そしていつの間にか胸も少しだけ膨らんでいた。
それを再確認したのは背後に忍び寄った妹に抱きつかれたからである。
「おねーぇちゃん!」
「うわっ、もうゆずぅ」
男に揉まれるくらい激しいのに、いうほど気持ちよくならないには何でか?
同性同士だと性感帯がシャットアウトされるのだろうか?
そんなアホな思考をしつつ、妹はなおも弁舌を早める。
「さっきの喘ぎっぷり。聞いてたよぉ♡ お姉ちゃんの声聞いてたらあたしも欲しくなっちゃったもん。それに一度達してからのおねだりっぷりと来たら、相手が可哀想になるくらいだったし♡ 本当のお姉ちゃんはあんなにえっちだったんだね? あたし一緒に暮らしてたのに気がつかなかったよぉ〜」
外部からの情報は僕の体験とは一部異なるようだ。
「僕、そんなにおねだりしてた?」
「え、自覚なかったの? ヤバッ」
ヤバいそうだ。
なんだか自分が自分じゃないような感覚に陥りながらも、もう一つかけられた声に身を引き締められる気持ちになる。
「雫ちゃん、貴女やっぱりこっち側の住民だったのね」
そこに居たのは、僕の隣の席の須藤ひかりちゃん。
やっぱりという通り、彼女もサキュバスなのだろう。
妹に負けず劣らずの豊満なバディ。
ボンッ、キュンッ、ボンっといった感じで。
なんだったら角が生えている。
その姿は母親を想起させるモノで、妹ですらまだツノは生やしてない。
「お姉ちゃん、知り合い?」
「うん、僕と同じ高校の同じクラスのひかりちゃん」
「お姉ちゃんと同じ学校……って事は女子高生!? 見えない!」
妹がそう思ってしまうのも仕方はない。
普段はその凶暴なまでのボディは分厚い制服に覆い隠されているし、角まで生やしている姿は今日初めて見る。
「お姉ちゃん、ていう事は妹さん?」
「うん、妹の柚子だよ。それよりひかりちゃんはこういうところ結構くるの?」
「そうだね、普段は来ないけど、今年はダイエットしようと思って通う事にしたの。そうしたら見知った顔があるんだもん、びっくりしちゃった」
普段は来ないけど、今年から?
つまりは中学時代は妹と同じように色んな男から吸引していたのだろう。
なるほど納得のボディの持ち主。
けどダイエットって何?
「柚子、ここで言うダイエットって普通のダイエットって意味じゃないよね?」
「そりゃそうだよ。多分だけど一日の摂取量の制限てところじゃない?」
「妹ちゃん、正解よ」
「やった。合ってた!」
「今までは少し搾精しすぎて人間に目をつけられちゃったの。だから女子高似通ったのだけど我慢できなくなっちゃって。初めて来たけど良いところね。ここでならのびのびと搾精できるし、誰からも咎められないもの。まさに私達のためにある場所だとは思わない?」
ひかりちゃんのトークの熱の入りっぷりにドン引きしつつ、ぽっこり膨らませたお腹を撫でる。
彼女を否定する言葉を僕は吐けない。
どの口が言うんだと言われてるみたいで、二の句が告げずにいた。
「雫ちゃんもそうでしょう? あんなに普段死にそうなのは我慢してるからだよね?」
笑いかけてくるひかりちゃんに、僕はあれが素だとは言えずに居た。
だが実際はそうなんだろうな。
サキュバスという種族が、今まで男を知らずに居た事は逆にドン引きされかねない。
ようやく家族に認められたんだ。
やっとできた友達の期待を裏切る事もないと、僕は口裏を合わせるように頷いた。
「やっぱりバレちゃうか。実はそうなんだ」
「やっぱり!」
僕の肯定にひかりちゃんは合いの手を打つ。
妹はちょっとジトっとした視線を僕に向けるけど、ちょっとくらい虚勢張ったって良いじゃないか。普段貼ってないから良いでしょ!
「お姉ちゃん、正直に話した方がいいよ? こう言うのは後を引くからさ」
「妹ちゃん、どう言う事?」
「柚子、辞めて。良いんだ」
「雫ちゃん、本当は違うの?」
「えっと……」
まっすぐと見つめてくる瞳から逃げるように僕の瞳は泳いだ。
「妹ちゃん、雫ちゃんの秘密を教えてもらえる? 彼女は同じクラスの唯一の親友とも言える存在なの!」
ひかりちゃんの真剣な声に、というか圧に負けてしゃべってしまう。
僕が最近まで、と言うより今朝まで処女だった事を。
ひかりちゃんがそれを聞いてゆらりと揺れた。
そしてガシッと僕の両肩を力強く掴んだ。
「なんで、なんでそんな我慢してたの!?」
今までずっと黙っていたのは恥ずかしかったからだ。
けど彼女の表情は心配そのもの。
サキュバスにとって精液はそれだけ成長に必要なもので、それを摂取しないと言う事は死を意味する。それでも僕が生き延びたのは単にカルペスのお陰だ。
口からの摂取でも性欲は治まるらしいが、それは人間が水だけ飲んで生活しているようなものらしい。だからこその心配だったのだろう。
ひかりちゃんは僕に抱きついて、肩に涙を落とした。
「もう我慢しなくて良いからね? 我慢できなくなったら私を頼ってくれて良いから。せっかくできた同類の友達を見殺しになんてできないもん」
本気で心配してくれる彼女が泣き止むまで、僕は自分がいかに愚かな選択をしていたのかを痛感する。同時にこれからはもっと自分に素直になろうと心に決めるのだった。
だからって誰とでも、と言うわけではないぞ?
その、行為中はそう言う事も忘れちゃうけど、僕にだって選ぶ権利はあるんだからな!
良い話風に落ち着けるまで時間がかかりました。