「ん……」
カーテンの隙間から差し込む朝日に、カレンは目を覚ました。
「んぅ……え?」
眩しさのあまり寝返りをうつと、目に飛び込んできたのは輝く銀髪と綺麗な背中。隣には裸のライが眠っていた。寝ぼけたままだったカレンの瞳が、驚きで大きく見開かれる。そして、徐々にだがその経緯を思い出していった。
「あ……そっか……昨日……」
そこまで言って、カレンは耳まで真っ赤になってしまった。
股に違和感を感じて、ペラリと布団をめくって中に目をやると、そこには愛液と処女の証と精液が混じってまだらにピンク色になった、卑猥な液体がシーツを濡らしていた。カレンの股からも、腟内に残ったであろうその液体が、体を捻った拍子にコプッと音をたてて零れ落ちる。
「うわぁ……」
その光景に、カレンの頭は昨日のライとの情事がまざまざと思い出されていた。
濃密なキスから始まり、胸や乳首の愛撫、ライの指で一回絶頂を迎えて、最後は自分の中にライ自身を受け入れて同時に果てた。
最初は優しかった彼が自分に興奮して雄々しくなっていく
最終的にカレン自身も夢中になって、最初の破瓜を破った痛みなど、全然わからなくなるほど感じた。
待ち望んでいたライとの初めての行為は、なんというか…………すごく良かった。
「うぅ……初めてなのに、あんなに乱れるなんて……」
エッチな子だと思われたかな……と心配するカレンは、真っ赤な顔のまま寝ているライの横顔を見る。
「すー……すー……」
「…………」
規則正しい寝息をたてて、普段では絶対に見れない無防備な姿のライ。何の気なしに指で頬をつついてみるが、起きる気配はない。
「…………えへへ」
その姿に自然とニマニマと頬が緩んでしまう。
昨夜の情事の乱れっぷりは確かに恥ずかしいものであったが、それよりもライと結ばれた事による嬉しさが上回っていた。
それに、普段は気配に敏感で小さな物音でも気付いてしまう彼が熟睡している。それはつまり、ライはカレンに対して完全に気を許しているという事だ。
その『自分は彼の特別』というのが、とてつもなく嬉しい。
カレンは起こさないように、そっとライの背中に抱きついて頬をすり寄せる。
肌と肌が触れ合う感触がとても気持ちいい。密着した全てから相手の熱が直接伝わるのは、情事とはまた違った気持ちよさがあった。
「ふふ、ラーイ。チュッ」
穏やかな寝顔に愛しさが溢れて、普段ならば恥ずかしくてめったに出来ない自分からのキスも出来てしまう。
カレンはライの頬にキスを落とす。が、一回では終わらない。
「ん〜〜……チュッ、チュッ、ふふっ、かわいい……チュッ」
頬以外に、首や肩、項。所有痕は残していないものの、まるで自分のだとマーキングするようにキスの雨を降らしていく。
「チュッ、ん、はぁ……ライ大好き」
「んんッ……ん?カレン……?」
「ふぁ!?……あっ、えっと……い、今のはね……」
調子にのって続けていると、さすがに熟睡していたライもくすぐったかったのか起きてしまった。
指でつついても起きなかった為に、完全に油断していたカレンはわたわたと動揺してしまう。流石にやりすぎた、どう言い訳をしようか……と考えていると、寝ぼけ眼だったライがガバッと起き上がった。
いきなりな事にびっくりしているカレンに、ライは向き直ると心配そうに眉根を寄せる。
「カレン!その……体の方は大丈夫か?」
「え?」
「ほら……昨日の……」
そこまで言ってライはほんのり顔を赤くして視線を逸らした。しかし偶然にもその視線の先は、先程カレンも見た色々な液体が混ざって汚れたシーツに向いていた。
「うわ……」
あまりの光景にカレンと同様、頬が赤くなりながら視線を戻しても、自分の陰茎にも同じ液体がベッタリと着いている事に気がついて、慌てて布団で隠した。ライはそれを見て、しかし本当に申し訳なさそうにカレンに頭を下げる。
「すまない。本当にごめん。ああ、やっぱり……君に無理をさせてしまった」
昨夜の情事で、初めてであるカレンに対し、優しくすると約束しておきながら最終的には自分の好きなように激しく抱いてしまった。
最初の剛直が入った時の痛がりようを見て、動かないでいたら大丈夫になったとは言ってくれたが、もしかしたら無理に頑張ってくれていたのかもしれない。
「痛かっただろう?激しくしてしまって本当にすまない……」
項垂れて謝るライに、カレンはとんでもないと言いたげに手と頭をぶんぶんと振った。
「あ、謝らないでよ!いいよって言ったのは私なんだから!…………そりゃ、最初は痛かったけど、ライが痛みが引くのを待っててくれてたから本当に大丈夫だったし……そ、それに……」
そこまで早口でまくし立てたカレンは言葉を区切ると、口を閉じたり開けたり言い辛そうにして、最後の最後に蚊の鳴くような声で絞り出した。
「最後は、その……私も気持ちよかったし……」
「そ、そうか……それならよかった……」
そのカレンの言葉に、二人共耳まで赤くして黙ってしまった。お互い昨夜の情事を思い出し、もじもじそわそわと落ち着きなくしている。
そんな初々しい反応をする二人だが、いつまでもそうしている訳にはいかない。
「と、とりあえず、カレンは体が汚れたままだろう?先にシャワーを浴びてきてくれ。僕はその間にシーツを何とかするから」
話題を変えようとライはカレンをシャワーに行くよう促した。
言ってる事の半分は本心であるが、もう半分は、先程のカレンの言葉と扇情的な彼女の裸体に、ほんのりとまた情欲の火が灯ってしまった為、落ち着かせるために遠ざけようとしていた。
「でも血も付いちゃってるし、これだけ範囲が広いと浴室で一回手洗いした方がいいんじゃない?」
「まぁ、確かにその方がいいとは思うが……」
カレンの言う事はもっともであるが、ライが先に風呂に入りシーツを手洗いする……というのは、時間がかかるしカレンにも申し訳がない。
どうしようか悩んでいると、横からカレンが声をかけた。
「……ねぇ、提案なんだけど」
「うん?」
赤い顔のまま、またもやもじもじと気恥しそうにしているカレンだが、小さく深呼吸をすると意を決したのかその提案を口にする。
「あの……一緒にお風呂に入らない?」
「…………は?」
予想していなかったその提案に、ライは一瞬固まった。それを見たカレンはまた、わたわたとしながら説明をする。
「ほ、ほら!お風呂でシーツ洗った方がいいなら一緒に入っちゃえば時間短縮になるかなー?って……ライだって昨日の事で体ベタベタだろうし……ダ、ダメ……かな?」
眉を八の字にして、恥ずかしいのか真っ赤な顔と少し潤んだ瞳でライを見るカレン。
その表情だけでもかなり危ないのに、そんな事を言われるとライの陰茎がぴくっと反応してしまう。
「ダメではないが……君はその言葉の意味をわかっているのか?」
「う、うん……まあ……」
おそらく、いや確実に第二ラウンドが始まるだろう。しかし、カレンもそれはわかっているみたいだった。
チラチラとライの顔と、隠している布団を持ち上げ始めた陰茎に視線が行っている。
ライは恥ずかしそうに布団の上から手で隠して、異論を唱えた。
「その……ここはこうなってしまっているが、昨日の今日だし、今日は体の事を大事にした方がいいんじゃないか?」
「だ、大丈夫よ!本当にもう痛くないし、心配し過ぎ!」
「だが……」
なおも心配するライにカレンはそう言い返す。
しかしライの反応は無理もない。なんせカレンは痛みも伴ったし血も出ていたのだ。仕方のない事とはいえ、カレンの事を大事にしたいライは彼女に無理をさせたくなかった。
しかし……
「むう…………だって、もうちょっとライと一緒にいたいんだもん……だめ?」
少し頬を膨らませたかと思えば、今度は上目遣いでライを覗き込んでくるカレン。
豊かな胸が両腕に挟まれてギュッと深い谷間を作り、近付いた事でカレンの甘い香りが鼻を掠め、そして可愛くおねだりをする様な聞き方に、昨夜のように、ライは抑えていた理性がピシピシとひび割れていくのを感じた。
「はぁーーっ……!なんで君はそうっ……かわいい言い方をするんだっ!」
「え?ひゃあ!」
ライは目元を押さえて一つ深いため息を吐いたかと思えば、おもむろにカレンを抱き寄せた。
突然の事にカレンは小さな悲鳴をあげるが、ライの陰茎が完全に勃ちあがっているのを見ると、また真っ赤になってしまう。
「あ、あの……ライ、これって……」
「心配していたけど、もう無理だ。君がそんなに可愛いことを言うからもう我慢が出来ない。君だってこうなるってわかっていただろう?」
「そ、それは……きゃあ!?」
ライはベッドから立ち上がると、そのままカレンを横抱きに抱きかかえた。布団に隠れていた恥部があらわになり、ライの情欲の火がさらに大きくなる。
カレンは慌てて手で隠すが、その恥じらう姿すらも火に油を注ぐだけだった。
「ちょっ!?ライ!?」
「本当は今すぐにでもここでしたいけど、もう朝だから誰か起きてるかもしれない。それなら浴室の方がまだ声や音が聞こえ辛いだろう。すぐに行くぞ。ここでゆっくりしている時間も惜しいんだ」
そう言って、ライは浴室に向かってズンズンと足を動かしていく。
「ちょっ、ちょっと待って!」
「待てない。言っただろう?時間が惜しいって。カレンがあんなに可愛い事を言ったのが悪い。君が言った『大丈夫』という言葉、信じるからな?覚悟しておいてくれ」
「うえ!?ううっ……」
先程のものすごく心配していた態度から一変、急に積極的になってしまったライに、カレンは自分から提案したにも関わらずストップをかけた。が、容赦なく一蹴されてしまう。
(ライがこんな風になるなんて……も、もしかして私、すごいこと言っちゃった!?)
今更ながら大変な事を言ってしまったのでは、と少し後悔したカレンだったが、ライの力強い自身を求める言葉と行動に、恥ずかしい気持ちと同時に、嬉しさと期待で胸が高鳴っていた。
カレンはそんな感情を胸に、ライに横抱きにされたまま、浴室に連れていかれるのだった。