親友を汚されない為にもとあなたの性欲を処理してくれる女の子の話 作:みっくん
「……少しいいですか」
教室の窓際の自席でボーッと外を眺めていたあなたに声が掛かった。そちらへ顔を向けると、あなたにとっては見慣れたような見慣れていないような顔があった。
何を言いたいのか、或いは聞きたいのか分からないが、少なくとも教室で話すような内容ではないだろう。何となく彼女が纏う空気からそう結論づけたあなたは席を立つと彼女を引き連れて教室を後にした。
半年前から付き合うようになった彼女、綾――通称あーちゃんの親友である彼女の名は小雪。親友には伝えたいらしく、あなたと付き合うようになってからは一度だけ挨拶をした覚えがある。
その時に言われたのは今でも思い出せる。まるで娘を嫁にくださいと父親に会いに行った時のようにあーちゃんを泣かせたら殺すと鋭い眼光と共に言われたそれは、今でも脳裏に焼き付いている。
「まどろっこしいのは苦手ですので、単刀直入に聞きます。お前、先週の放課後、あーちゃんと教室で何をしてましたか? いえ、怒っている訳ではありません。お前とあーちゃんが恋人なのは理解してます。ですが、幾ら何でも手を出すのが早くないですか? そう言うのはもっと……」
何を聞かれるのだろうかと身構えていたあなた。心当たりはあった。
まさにそれを聞かれたのだが、くどくどと高説を垂れる彼女に白目を剥きたくなってきた。
「……聞いてるのですか? はぁ……なんでこんな愚鈍な男をあーちゃんは気に入ったのでしょうか……」
ジト目をあなたへよこし、これみよがしに溜息をつく小雪を見ていると流石のあなたも怒りが沸いてくる。
いや、彼女は綾の親友なのだ。綾の為を思っているのだと理性が必死に言い聞かせてくる。
「とにかく、私が言いたいのはああいうエッチなのはまだあーちゃんには早いということです。したければ一人でシコってて下さい。いいですね?」
小雪は確かに綾の親友だ。だが、だからといって恋人同士の関係に口を挟まれる謂れはない。あなたは断固として首を振った。
そんなあなたを見て彼女もまた怒りが沸いたのか、あなたはその怒り故にそのまま壁に押しやられてしまった。
人も普段から通ることのないこの場所は密会にはうってつけの場所だ。昼休みということもあり、人がやってくる気配はない。
「お前、あーちゃんと付き合って調子に乗ってないですか? あーちゃんから告白されたからって、お前が偉くなった訳じゃないんですよ?」
顔を近づけ、彼女的には凄んでいるのだろう。だが、あなたからすれば可愛らしい顔が近付いてきただけだ。
怒りとは別に思わず顔を赤らめてしまう。仕方ないだろう。綾の親友である小雪もまた顔立ちは美しく、日本人形めいた魅力が彼女にはある。しかも、体格差故にあなたの顔を覗き込むように近付けてきた彼女は上目遣いになっている。
大きな瞳があなたを映している。
「……照れてるんですか? ……はぁ、あーちゃんの彼氏だと言うのに他の女にも現を抜かすとは」
綾と付き合うまでは女子と話すなんて殆どなかったあなただが、綾と過ごすようになってからはそれなりに話せるようになった。
だからこそ、つい小雪が可愛いからなと怒っていたのも忘れて、思ったことを溢してしまった。
「は? な、何を言ってるのですか!? わ、私が可愛いだなんて、ありえないです! そう言うのは、あーちゃんに言ってあげて下さい」
凄みから一転、慌てたように顔を真っ赤にして視線をあちらこちらへと彷徨わせる小雪。照れていると自分でも分かっているのか、熱くなった顔の火照りを冷まそうと手をパタパタとしているのがまた何とも可愛らしい。
彼女の親友であり、あなたの彼女である綾は天然と呼ばれる性格であるが、小雪もまた同じなのだろうか。
「お、お前私を揶揄ってるのですか? 覚えとくのです!」
休み時間が終わったことを知らせるチャイムが校舎内に鳴り響き、それを聞いた小雪は我に返るとあなたをまた一睨みし、捨て台詞のような言葉を吐いて去っていった。
気持ち大股気味に、明らかに私怒ってますなポーズで去っていく彼女の後ろ姿を眺めた後、あなたも駆け足で教室へと戻った。
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それからというものの、小雪と絡む事が多くなった。
綾と一緒にいる時であれば、綾があなたへ視線を向けていない時に敵意剥き出しな視線を向けてくるし、学校の廊下ですれ違うとあっかんべーと舌を出してあなたを挑発してくる。学校で有名なクールな彼女はどこにいったのかと言わんばかりの行動だ。
が、あなたは苦笑いするだけで彼女へ悪意は抱かなかった。彼女がまるで親を取られた子供みたいで可愛いのだから仕方がない。
そんなあなたたちの関係が変わる出来事があった。彼女――小雪は綾と一緒に行動する事が多く、その姿から学年の二大アイドルとまで言われていた。
本当の彼女を知った今のあなたであれば首を傾げてしまうが、クールで物静かで天然なあーちゃんの世話をせっせと焼く、男子生徒たちからの憧れになるのも無理はなかった。
一月前、彼女は一つ年上の先輩、それもサッカー部のエースでありキャプテンで、王子とまで言われている生徒から告白された。当然、彼女は異性に興味はなく、断った。王子はそっかと笑って謝ってから去ったらしいが、問題はその後だった。
王子を好きだという一部の生徒たちによってイジメにあったのだ。で、そんな場面をあなたは偶然、目撃してしまった。特別親しいという訳ではないが、彼女の親友な上に敵意を持たれてはいるが話す仲だ。彼女を助けるのに躊躇はなかった。
「……お前は馬鹿です。そういうカッコつけはあーちゃんにしてやるべきなのです」
助けたあと、彼女はあなたにそう口にした。棘のある言葉とは裏腹に、温かみがあった。
「……ありがとうございます。正直、助かりました」
根本的な解決にはなってないが、少なくともあなたという目撃者が現れた以上、小雪がイジメられる確率は減るだろう。あなたはホッと胸を撫で下ろした。
礼を口にしながら微笑む彼女を見て、初めて彼女が自分に笑いを向けてくれたと思うと胸が熱くなるのを隠せなかった。
「……顔が赤いようですが、風邪ですか? 私はもう大丈夫ですので、早く帰って休んだ方が良いですよ」
都合よく誤魔化せる言葉を貰ったので、あなたは頷くと小雪の傍から去った。
「……あーちゃん……」
彼女の言葉は風にのって聞こえなかった。
リクエストを消化しようと書いてみたけど、いまいち筆が乗らなかったですねぇ。
どうしてもこんなストーリーになるとドロドロとしたものになるか、小雪のあーちゃん第一主義な性格からすると身を大人しく引くの2パターンしか想像できないんですよね。
小雪と最初に関係があり、そのあとにあーちゃんだったら簡単なんですが、逆だととんでもなく難しい。性格と言うのは大事だと身に滲みましたね。