エロはありません。
TS警報!
「彼女を眠らせて、看護をお願いできるかい?」
「承知致しました」
保美は笑顔で頷いて初めて水輝に向き合った。その瞬間、水輝が悲鳴を上げて傍のシーツをかき寄せる。
「嫌! 眠るのは、もう嫌!」
だが優一郎も保美も水輝の声を聞いていなかった。保美がおもむろに床に腰を下ろす。スカートをめくり上げた保美の足元に優一郎は静かに膝をついて腰を屈めた。下着のない下腹部が晒される。それを目に留めたのか、水輝は急に喚くのをやめた。息を飲んでシーツを抱きかかえている。
「それじゃあ、対人看護システムを起動するよ?」
「はい、お願いします」
保美が陰唇に指をかけて左右に開く。優一郎は白衣のポケットから制御ピンの入っている小箱を取り出した。通常、人形の機能はピンを使って切り替える。優一郎は軽く保美のクリトリスに指をあてがい、制御ピンを膣にゆっくりと挿入した。僅かな手ごたえを感じる。優一郎はそのままピンを軽く右に捻った。
身震いした保美の機体の中からモーター音が聞こえてくる。優一郎は微笑を浮かべてピンを抜いた。うっすらと上気した保美がゆらりと立ち上がる。そして保美はおもむろに唇を開いた。
驚愕に見開かれていた水輝の目からゆっくりと生気が消えていく。優一郎は耳を両手で塞いで水輝の様子を見守っていた。保美の唇から流れる歌に影響され、水輝はやがて瞼を閉じる。倒れかけた水輝の身体を支えたのは保美だった。
「それじゃあ仁科さん。水輝さんを頼みます」
酷い状態だから先に身体を洗浄して。優一郎はそう言い残して研究室を出た。保美はこれから水輝を風呂に入れ、着替えさせ、そしてどこかのベッドに横たえるまでに一時間程度は必要だろう。どのくらいの乱暴をされたか判らないが、膣内もきちんと洗浄するとなるとかなりの時間を要する筈だ。優一郎はそう考えながら私室に戻った。 保美から連絡が入ったのは深夜になってからだった。優一郎は保美に労いの言葉をかけ、休むように伝えた。保美は気丈に微笑んではいたが、その顔には疲労の色が滲んでいた。恐らく、水輝が看護の途中で何度も目覚めたのだろう。保美の歌は通常人に対して抜群の効き目を発揮するが、もしかしたら水輝たち人でないものには効果が薄いのかも知れない。優一郎は保美が消えたドアを見つめたまま吐息をついた。
水輝は第三研究室で眠っている。優一郎は疲れた身体を起こして私室を出た。多輝の手がかりはやはり見つからない。が、水輝がここにいるということに優一郎はどこか安心していた。水輝がいるということが多輝が安全でいるということを意味しているような気がするのだ。確証のある思いではないが、水輝が姿を現すまでの怒りは少しはおさまっている。優一郎は廊下を静かに進んで研究室に向かった。
保美たちの仮眠室を過ぎ、優一郎は研究室の前に立った。静かに扉を開ける。部屋の中は薄暗い。優一郎は目を細めて黙って扉を閉めた。ベッドに横たえられた水輝が淡く発光しているのだ。本来は真っ暗な筈の研究室がその光に照らされている。透明な青い光に優一郎はしばらく見入っていた。
多輝が水輝に似てきていると思ったのは間違いではなかった。今の水輝と人形の多輝は瓜二つだ。優一郎は静かに水輝に近づき、その寝顔をじっと見下ろした。他になかったのだろう。水輝は多輝がいつも身につけているメイド服を着せられている。いや、もしかしたら保美も世話をしているうちに、これが多輝なのかそうでないのか判らなくなったのかも知れない。
そしてこんな状況を一体誰が望んだのだろう。自分ではないことは確かだ。そう思ってから優一郎は苦笑した。違うと判っていても水輝が多輝と重なって見える。いつの間にか多輝の機体はここまで水輝に似てしまっていたのだ。そして今の水輝は女としての性をまとうだけでなく、その精神さえもが女性のものへと傾いている。しかもどうやら水輝は性別を変えただけでなく、その性質すら変えてしまっているらしい。本来持っているはずの強大な力を使わなかったことがそのことをよく示している。かつて優一郎が見たことのある水輝なら、難なくここから逃げているだろう。それに優一郎を見ただけであれほどまでには怯えなかった筈だ。
優一郎はゆっくりと手を伸ばし、何気なく水輝の髪に触れた。さっきまで黒かった髪は青く変色している。恐らく、瞼を開ければ瞳も青くなっているのが判るだろう。こうして淡い光に包まれていても髪のその色は冴えて見える。柔らかな手触りをしばらく味わってから、優一郎はおもむろに水輝の身体の下に腕を差し入れた。抱え上げると意外と軽い。
地下二階に着いても水輝は目を開かなかった。よほど疲れていたのか、優一郎の腕の中で熟睡している。時折、身じろぎする以外は殆ど動かない。優一郎は無言のままで水輝を多輝の部屋に運び入れた。
性別なんてないよ(ry
次は八章です。