※この作品はR-18です。

夢の隙間   作:伊駒辰葉

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性別なんかあってなきがごとし!w
TS警報!
エロシーンありです。


男と女の水輝と 1

 メールには長い説明が連ねてあった。優一郎は夕方に届いていたメールを思い出して薄く笑った。静かに流れているクラシック音楽に耳を澄ませる。今日はピアノ曲を流している。ショパンの柔らかなメロディにしばらく聴き入り、優一郎はメールの文章を思い起こしてみた。

 

 多輝の肉体に別の魂を閉じ込める術がそのメールには記されていた。元々、多輝を戻す気がなかった優一郎にとって、それは好都合なことだった。多輝の肉体に別の誰かが入ってしまえば、多輝に戻る術はなくなる。そうしたら多輝は人形の機体を使い続けるしかないだろう。

 

 優一郎にとって気がかりだったのは保護者の立城の存在だった。だがメールにはご丁寧に立城の承諾は得ているのだと記されていた。つまり、ここまでの事象をメールの差出人、もしくは立城があらかじめ予測していたということになる。

 

 誰が望んでいたのだろう。そう、優一郎は多輝を手に入れてからずっと考えていた。狙ったように水輝が現れ、次いで多輝が消えた。この裏に誰かがいるとは思っていたのだ。

 

 そして多輝の機体は今では水輝の容姿とそっくりに変質してしまっている。それは今の水輝の姿を見れば明らかだ。

 

 誰かに嵌められるのは好きじゃないけれどね。優一郎はひっそりと呟いてくすくすと笑った。好きではないが、これで貸しを作れるのなら話は別だ。財閥の権力に興味はないが、それぞれの財閥の握る情報は気にかかる。それに木村科学研と呼ばれる研究施設で開発されているヒューマノイドについてもだ。

 

 今日の夕方に届いたメールの差出人は翠。翠というのは龍神である水輝たちの仲間の一人だ。そしてどういう訳か木村の屋敷に今現在いるらしい。

 

 多輝を攫い、水輝をここに送り込んだのは翠だと今日のメールには記してあった。要するに始めから翠は優一郎のことを知り尽くしていたのだろう。多輝に似た姿を持つ水輝に、優一郎が少なからず興味を持つことを知っていたのだ。だからこそ、時期をずらしてわざわざメールを送りつけてきたのだろう。そうでなければ一度に説明してしまえば済むことだったのだ。だがそれでは多輝を攫われた優一郎は乗り気にはならなかっただろう。日をずらしているからこそ、優一郎もメールの件を本気で考えるようになったのだ。

 

 水輝の性別は本来、定着していない。だが外からの力により、ある一定期間は固定できる。そして対する性で過ごした時を覚えていることが出来ない。これは自己を保護するために意識が勝手にそう働くのだと説明にはあった。

 

 性も記憶も不安定な存在。そして水輝が動くところに様々な事象が起こる。そしてそれはほぼ計算されて行われているのだとメールには記されていた。計算しているのは水輝本人ではない。別の誰かだ。説明にはないことも優一郎はメールの文面から読み取った。

 

 幾つかの条件をクリアすれば多輝の肉体に別の誰かが宿るという。そしてその条件の一つは乱暴とも思える書き方が為されていた。

 

 君に水輝を躾られるかな?

 

 要するに白紙に近い水輝に刷り込みを行えと書いてあったのだ。メールによると、これまで水輝に刷り込みを行うことの出来た人間は少ないらしい。大抵は水輝が拒絶するのだとも書かれていた。

 

 つまり、彼女が僕を本気で感じれば問題ないのかな。そう囁いて優一郎はそっと目を落とした。ベッドが軽く軋む。優一郎は小さく笑ってシーツの上に転がしてあったカプセルを一つ、取り上げた。本来、多輝に使用していた特殊な溶液がカプセルには満たしてある。歯の間にカプセルを挟み、優一郎は水輝の腕を引いた。優一郎に寄りかかっていた水輝が軽く口を開く。水輝の焦点の合わない目を見て優一郎は声に出さずに笑った。ゆっくりと唇を合わせる。挟んでいたカプセルを舌で押す。すると水輝はされるがままにカプセルを飲み下した。

 

「これで五つ目だね」

 

 腕に細い身体を抱きながら優一郎はうっすらと嗤った。水輝は甘い息をつきながら優一郎にすがり付いている。虚ろな眼差しが宙を彷徨い、やがて優一郎に戻ってくる。だが水輝の目に宿っていた筈の強い意志はどこにもない。今はただ、与えられる感覚に酔いしれているだけだ。

 

 白いシーツの上にカプセルが転がっている。優一郎は残っているカプセルを目で数えてみた。残りは十。この全てを与える頃、水輝はどんな状態になるのだろう。それを考えると胸が躍る。優一郎は壁の時計を見上げ、正確に時間を測った。

 

 カプセルに満たされている特殊な液体の元になっているのは絵美佳の開発した薬品だ。以前、多輝がそれを絵美佳から受け取り、斎姫の機体に仕込んだことがある。その時のカプセルに入っていたのはナノマシン中心だったのだが、ごく微量の催淫剤が混入されていたのだ。事件の後、優一郎は斎姫の機体からそれらの成分を採取した。そして斎姫に投与された物質の中からナノマシンを除いた催淫効果の高い成分のみを摘出した。

 

 その後、優一郎は実験するために人形たちを使った。実験体としてちなりは街で男を、保美とカレンは女性を拾った。そして人形たちはそれぞれの生体に特殊溶液入りのカプセルを投与。実験結果のデータは優一郎にリアルタイムで送信された。




この話に限らず、水輝が出てくる一連の話では性別も何もありません。
TS上等なのでカオスタグにしました。
ちょー能力もありありですし、そのうち魔法も出てきます。

しかもこの時点でキャラぶれぶれ……(汗)
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