エロシーンはないです!
色々とキャラクターが増えます。
いつかキャラクター表が必要になりそうなら書きます~。
東校舎の地下には校舎のサイズとほぼ同サイズの地下施設が存在する。実験、研究がスムーズに行えるように整えられたその施設は、現在のところ科学部が占有している。それは父の吉良総一郎の時代から変わっていない。元々、その地下施設を作ったのは総一郎本人なのだ。それを思いながら優一郎は小さく笑った。
対する西校舎の真下には別の施設が存在する。真新しいその施設を占有しているのは、優一郎が部長を務めるロボット研究会だ。こちらの施設もやはり、科学部の使用しているそれと同等、或いはそれ以上に整っている。やはりこちらの施設も研究や実験には申し分ない作りになっているのだ。
そして東と西、それぞれの施設の北側を走るのが一本の地下鉄道だ。だが本来、その地下鉄は清陵高校の生徒が利用できないことになっていた。その地下鉄は吉良瀬財閥の私用鉄道で、本来は一般の乗客を運ぶためのものではない。だが、今は高校の地下にある駅からロボット研究会の施設にのみ、通り抜けられるルートが作られている。それもこれも、全てを整えたのは吉良瀬財閥当主、吉良瀬立城だ。
優一郎は薄笑いを浮かべながらソファに腰を下ろしていた。第一研究室と名付けられた部屋には優一郎の姿しかない。だが、研究室の壁一面を埋めている小部屋のドアの中にはそれぞれ、部員が入っている。
「あのう。ほんとにこれでいいんですかあ?」
小部屋の一つに入っていた悠波ちなりが声を上げる。優一郎は笑いながら頷いた。いいんだよ、と告げるとそうなんですかあ、という声が返って来る。他のドアからも困惑の声が聞こえていたが、優一郎はただ微笑んでいた。
やがて一つのドアが開く。着替えを済ませた斎姫が出てきたのを見て、優一郎は目を細めた。
「うん。よく似合ってるね」
優一郎は斎姫に手を差し伸べた。斎姫は赤い顔をしながら近づいてくる。
「下着は指示どおり、着けていないよね?」
にっこりと笑いながら優一郎は告げた。斎姫が途端に真っ赤になる。更に顔を赤らめた斎姫を眺めながら、優一郎はどうなの、と続けた。
「確認……する?」
視線を彷徨わせながら斎姫は挑戦的な言葉を吐き出した。だが、そう口にしながら優一郎を真っ直ぐには見られないらしい。そんな斎姫を見つめ、優一郎は笑顔で首を横に振った。
「ああっ、ずるいですぅ! 副部長っ! ちなりも部長の傍がいいっ!」
試着室のドアを派手な音を立てて開けたちなりが駆けて来る。一直線に優一郎に抱きついてくる。優一郎は苦笑しながら斎姫に差し伸べていた手を引っ込めた。黒いメイド服に身を包んでいるちなりの頭を撫ぜてやる。
「君も似合うね」
そう告げるとちなりが嬉しそうに笑いながら優一郎の胸に頬を擦り付ける。その傍には斎姫が黙って立っている。赤かった顔は元に戻り、哀しそうな表情が浮かんでいる。優一郎はちらりと斎姫を見やり、それからちなりの短い髪を優しく撫ぜた。
悠波ちなり。先週、清陵高校に新しく入学してきた新一年生だ。だがちなりは中学生三年の去年、特別にこの研究会に入部した。ちなりは愛らしい顔立ちをした子供のような女性だ。元々、ロボット研究会に属している生徒は容姿がとても整っている。それぞれの持つ雰囲気に違いはあるが、まず、優一郎の美意識に叶わぬ者はいない。そしてちなりもその条件にぴったり合った容姿をしていた。
だがちなりはそれだけでここにいる訳ではない。ちなりは昨年の夏、交通事故に遭った。酷い事故に巻き込まれたちなりは、身体の殆どの部分を失ってしまったのだ。そんなちなりを助けるべく動いたのが、優一郎の父、総一郎だった。吉良瀬グループの病院に収容されていたちなりを何とか救うことが出来たのは、総一郎の技術だった。総一郎は瀕死の重傷だったちなりに機械の身体を与えたのだ。
機械の身体。ヒューマノイド工学によって生み出されたそのボディにはメンテナンスが必要になる。それに総一郎の指示により実際にちなりの身体を作ったのは、他でもない優一郎だった。結局、その後にちなりはこのロボット研究会の特別部員になった。それが去年の冬の話だ。
「わあい。部長に誉められちゃったあ。嬉しいですぅ」
そう言いながらちなりはさらに優一郎にしがみつく。そしてちなりは優一郎の胸の中で斎姫に向かって舌を突き出した。優一郎に好意を抱いているちなりは、彼女として周囲に認識されている斎姫に対抗心を抱いているらしい。
「ちなりちゃん。きちんと着付けが出来てるか確認していいかしら?」
さりげなくちなりの肩を叩き、斎姫はそう言って微笑んだ。ちなりは不機嫌な顔をしながらも仕方なく頷く。そんな二人の様子を眺めながら優一郎は小さく笑った。名残惜しそうにゆっくりとちなりが離れていく。そしてちなりは斎姫に向き直り、ふんぞり返った。
「でも、ちなりの服ってえ、副部長のと違って洋風ですよお? 着付けとか関係あるんですかあ?」
ちなりはそう言いながら和服姿の斎姫をじろじろと眺め回した。ちなりはメイド服の中でもとびきり短いスカートのものを選択した。フリルの施された真っ白なエプロン、胸を張り出させるデザインのブラウス。そしてフリルつきのヘアバンドが巻かれている。対する斎姫は和服が基本のメイド服だ。丈は通常の着物と変わらない。だが、その上にはしっかりとフリルのエプロンをつけている。
だが斎姫は微笑んだまま、ちなりの襟元に手を伸ばした。リボンを結びなおす。ちなりが自分で結んだリボンは縦結びになっていたのだ。
「リボン。縦結びになっていたわ」
斎姫は優しくそう言ってちなりの肩を軽く叩いた。するとちなりが真っ赤になって慌てて優一郎に背を向ける。優一郎はくすくすと笑いながらそんな二人を見つめた。斎姫はにっこりと笑ってちなりを見つめている。ちなりは納得がいったのか、顔を赤くしながらも斎姫に礼を述べた。
「あの……吉良くん?」
不意に呼びかけられる。優一郎は笑顔で声のする方を向いた。試着室の一つのドアが半開きになっている。ドアから顔を覗かせているのは、保険医の名倉玲花だ。
「その、私も着替える必要があるのかしら? ……だって、私は顧問のはず……」
ためらいがちな視線を寄越しながら、玲花が呟く。優一郎はにっこりと笑って頷いた。慌てたように玲花がでも、と続ける。
「先生は顧問というよりも、このクラブのメンバーのひとりと僕は考えてますから」
優一郎は穏やかな声で玲花の声を遮った。途端に玲花が真っ赤になる。
玲花はロボット研究会が設立された時に顧問に任命された。だが実際は優一郎が生徒会に働きかけ、玲花を顧問として迎えるよう手筈を整えたのだ。玲花は科学のことなど何も判らない状態だったが、真面目に部を支えることを誓った。そして優一郎が何を企んでいるのかを知らないまま、ロボット研究会の顧問になったのだ。
そして玲花はこの春、部員とははるかに遅れて実験体になった。最新モデルなのだ。
「で、でも、こんな服……私、教師なのよ?」
玲花は小声でそう訴えた。だが優一郎はにっこり笑って首を傾げた。両隣にはちなりと斎姫が寄り添っている。彼女たちは黙って優一郎の言葉にのみ頷いているのだ。
「教師である以前に、先生は、試作型のヒューマノイドです。そして、僕は先生の管理責任者なんです」
初めて絶対者として優一郎を認識しないようにした、試作品。優一郎はそのことを思い出しながら微笑んだ。他の部員たちと同じように玲花に対しても優一郎がメンテナンスは行う。だが、玲花だけは無条件に優一郎に従うことはない。あくまでも自律していることを望む最新作なのだ。
玲花はうろたえながら視線を彷徨わせる。だがしばらくすると諦めのため息をつき、試着室の中に姿を消した。その様子を眺めていた優一郎の隣を陣取ったちなりが変なの、と呟く。
「何でせんせえはちなりと違って部長のいうこと、きかないの?」
そう言いながらちなりは優一郎の腕に腕を絡めた。弾力のある豊かな乳房が優一郎の腕に押し付けられる。優一郎は笑ってそんなちなりの頭を撫ぜた。生きた肉体とほぼ手触りの違わない髪だ。短く柔らかなちなりの髪に指を絡め、優一郎は小さく笑った。
「仕様が違うからだよ」
「仕様?」
不思議そうに目をくるりと動かし、ちなりが顔を上げる。間近にあるちなりの顔を見つめ、優一郎は静かに頷いた。ちなりと反対側に座っている斎姫はそわそわと目を動かしている。優一郎は肩越しにそんな斎姫を見つめ、ふわりと笑った。すると途端に斎姫が真っ赤になる。
「説明、お願いできる?」
「ちなりもわかんなあいっ」
斎姫が小さく告げるとちなりが声を上げて優一郎の腕を抱きしめる。優一郎は苦笑しながら肩を竦めた。軽く頭を撫ぜると不服そうにしていたちなりがうっとり目を潤ませる。優一郎はちなりの耳の後ろを指先で撫ぜながら、口を開いた。
「ヒューマノイドは精神的適性によって、その自律能力が調整される」
そう言いながら優一郎はちなりの耳たぶを軽くつまんだ。ちなりはうっとりと目を閉じている。
どんな精神の人間にでもヒューマノイドの身体が適合する訳ではない。本人が望むか望まないかという単純な話ではなく、ヒューマノイド化する際は、対象の人間の精神構造が問題になる。
被虐的な精神構造であることがヒューマノイドのボディを維持するための大原則だ。例外はない。誰かに支配されたい。誰かに操られたい。心の奥底、隠れた部分にでもそういう傾向を持ち合わせていない限り、ボディは維持できない。最初は適合したように見えても、いつか必ず破綻する。適合しない際は精神が崩壊するというのが通説だ。
だが優一郎はその理論を飛躍させた。通常、人は被支配欲を表には出さない。多くが自分の力で生きていると信じている。そして望む通りに生きたいと願っている。それなら表面的にだけでもそれを維持できないかと考えたのだ。
「本質的には君達も、先生も何もかわらない。セックスをねだるときに、いややめて! と言うか、お願い来て! と言うかその程度の違いにすぎないんだよ」
ちなりは荒い息をつきながら頷いた。斎姫は真っ赤になって俯いてしまっている。二人の対照的な様子を見ながら優一郎はくすくすと笑った。
優一郎はちなりの耳を指先で撫ぜているだけだ。だがちなりは次第に興奮してきているらしい。性感帯をちなりの身体のあちこちに施したのは優一郎本人だ。そして優一郎は誰よりもちなりの構造を知っている。部内でも最高の感度を誇るちなりは、こうして優一郎が指先で軽く撫ぜただけでも絶頂に達してしまうことがあるのだ。
吉良優一郎
吉良瀬斎姫
名倉玲花
悠波ちなり
ここまででこれだけ出てますな……(汗)
我ながら大杉。