長かったので四分割にしました。
多輝は廊下の影に潜み、息を殺した。人形の気配を確認しながら学校の中をうろついているのだ。しかも今は授業中だ。下手に教師などに見つかるとまずい。多輝は気配を殺したまま廊下に並ぶ教室の様子を探った。
私立明峰女学園。設立は七十四年前。由緒正しい女子高等学校と言われている。多輝は与えられた情報を心の中で思い返した。優一郎が潜入前に教えてくれたのだ。
そして明峰女学園は木村の支配下にある。現在、木村の力が一番影響している学校とも言われている。そのデータを揃えたのも優一郎だという。多輝はそっと息をついて歩き出した。平然と廊下を行く多輝を咎める者はない。各教室では授業が続けられている。
校舎の中は薄暗い。空が曇っているためだ。多輝はゆっくりと歩きながら教室の中を見やった。女生徒たちがだらけた様子で授業を受けている。隣同士で話をしたり、手紙を回したり、メールを打っていたり。それは清陵高校でも時折見かける光景だ。だが清陵高校でいつもそんな真似をしていれば、即座に授業についていけなくなる。そういうシステムだということを誰よりも知っているのは、その授業を受けている生徒本人だ。だから清陵高校では授業中に遊んでいる生徒は殆どいない。
多輝は大きな校舎の北側を歩いていた。この学校の校舎は口の字型になっており、東西南北にそれぞれの校舎が面しているのだ。多輝はスムーズに北側の校舎の二階に並ぶ教室を見て歩いた。九十度折れた廊下を進み、次に西校舎に入る。
人形をさらってきて欲しいんだよ。優一郎の告げた言葉を多輝は胸のうちで繰り返した。廊下の角で足を止め、息をつく。簡単そうに言ってくれる。多輝は心の中でそう返した。思わず苦笑する。
一日目は各教室に異常がないかを確かめる。多輝は言われた通りにそれぞれの教室を見て回った。生徒が多いからなのか、見知らぬ多輝がうろついていても誰も何も言わない。
西校舎、南校舎と見て回った多輝はゆっくりと東校舎に踏み込んだ。だが運悪くそこで女性と鉢合わせた。制服ではないから生徒ではない。多輝は咄嗟にその女性を抱き寄せた。有無を言わせず唇を塞ぐ。深く口づけた多輝はその女性が英語の教師であることを心の内から読み取った。同時に女性の混乱した思惟が流れてくる。
悪いな。多輝は内心で呟いて素早く女性のスカートの中に手を入れた。口づけしたままで女性の股間を弄る。年若い女教師は多輝の愛撫に身体を震わせた。逃げることも忘れているらしい。指先が濡れる。多輝は女教師の下着に愛液が滲み出してきたことを確認した。
下着の中に手を滑り込ませる。多輝は女教師の陰部を強く弄った。女教師は多輝の腕の中で身体を震わせている。だが、女教師の意識からは混乱はなくなっていた。多輝から与えられる快感に酔いしれている。
「悪いな。気持ち良くしてやるからおれのことは忘れてくれよ」
小さくそう囁いて多輝は再び女教師の唇を塞いだ。愛液の滲む膣に指を突き入れる。女教師は多輝の口の中で喘ぎ、自分から足を開いた。多輝の流し込んだ力に翻弄されているのだ。
やがて多輝はそっと女教師から手を離した。ぐったりとした女教師の身体を廊下の壁に預ける。激しい絶頂に襲われた女教師は眠るように目を閉じている。多輝は薄笑いを浮かべて女教師を置いて廊下を進んだ。途中にあった水道で汚れた手を洗う。
全ての普通教室を確認し終え、多輝は一度校舎から出た。周囲を見回して誰もいないことを確かめてから空へと舞い上がる。校舎を見下ろしながら多輝はため息をついた。
「見ただけで判ればなあ。そりゃ、楽なんだけど」
人形の気配は独特だ。彼女たちは人とは違う波長を持っている。当然、今の自分もそうだろう。だがその波長の違いを知るためにはある程度、対象者に近づかなければならないのだ。多輝は空中に座り、足を組み合わせた。
その時、どこかから聞きなれたメロディが聞こえてきた。おもちゃの兵隊のマーチだ。多輝は怪訝に思いながら着ている制服を探った。だが優一郎の用意してくれた制服の中には携帯電話はない。だが、確かにこの音は携帯電話などの着信メロディだ。多輝は慌てて音源を確かめようと耳を澄ました。そして引きつる。
ごく小さなメロディは多輝の身体そのものから流れているのだ。多輝は真っ赤になって周囲を見回した。誰もいない。そのことをしっかりと確認してから多輝はスカートの中に手を突っ込んだ。下着越しにクリトリスに触れ、指先で軽く押さえる。すると耳の中で小さな電子音がして、着信メロディが切れた。
「なっ、なんだよっ。いきなり!」
多輝は宙に向かって小声で告げた。すると耳の中に微かな笑い声が聞こえてくる。優一郎の声だ。それを聞いた途端、多輝の身体の奥に疼きが生まれる。
『先輩、明峰女学園の雰囲気はどうですか?』
笑い混じりに問い掛けられる。多輝は真っ赤になったまま空を仰いだ。咳払いをしてから校舎を見下ろす。
「ま、まあ普通じゃないか? 別におかしいところもないし」
そう言いながら多輝は視線を彷徨わせた。身体の疼きが酷くなりつつある。ストッパーが入っていなかったら愛液も零れていたかも知れない。多輝は情けなくなりながら優一郎の返事を待った。
『転入する必要はありますか? もし必要ならちょっと動いてみますけど』
優一郎の声はあくまでも穏やかだ。だが多輝はそれを聞きながらふと眉を寄せた。優一郎の声の向こうで妙な音がしている。聞いたことがあるようなないような湿った音だ。多輝は訝りながら素直に音の正体を訊ねた。すると優一郎がああ、と告げて小さく笑う。
『試験中なんです』
笑い混じりの声に多輝は首を傾げた。
「なんの?」
大した疑問も抱かずそう訊ねる。すると優一郎はくすくすと笑った。
『新しい、女性器ユニット冷却機構の試験をしています』
冷却。多輝は何も考えずに優一郎の言葉を繰り返した。そして目を見開く。女性器、という言葉がようやく理解できたのだ。多輝は解説しようとする優一郎を慌てて制した。解説を聞けばさらに身体が疼くに決まっている。必死で制すると優一郎は不思議なほどあっさりと解説をやめた。
だが多輝の制止の声を上回る別の声が聞こえてきた。多輝は驚きに目を見開き、次いで真っ赤になった。優一郎の向こうにいるのは玲花なのだ。そして玲花はあられもなく喘いでいる。恐らく、玲花の秘部に何らかの刺激を与えているのだろう。多輝は真っ赤になったまま黙り込んだ。
『尿道口から、冷却廃液を放出することで、過熱した女性器ユニットを急速に冷やすシステムなんです』
つまり……。多輝は優一郎の声を聞きながら俯いてしまった。玲花は要するに優一郎に放尿させられているということだ。そのことに思い当たった多輝の身体は一気に火照り始めた。慌てて考えることをやめようとするが、一度考え始めたことは急には止められない。多輝はうろたえながら何とか身体を鎮めようとした。
機械だからなんでもアリ、と思って書いてました。
なのですが……書けてない部分が多いです、まだ。
もっとちゃんと書けるようになるまで10年くらいかかってます。