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「……おのれ、吉良絵美佳……!」
要は長机を平手で叩いて唇を噛んだ。智美が木村財閥の諜報員であることはわかっている。だがその智美でも科学部の全容はまだ判らない。紫芋のレポートしか出来なくされているのだ。そのことに要は苛立ちを感じていた。
きっと絵美佳が智美の目をかく乱しているのだ。要はそう信じきっていた。それほど、木村財閥という名前の持つ力は大きいのだ。そして智美はそんな木村から派遣された諜報員なのだ。間違っても無能である筈がない。要は怒りに肩を震わせてレポートを握り締めた。紙の束が握り潰される。
「あの、要様」
控え目な声に要は無言で顔を上げた。目だけで促すと声をかけてきた周藤が困惑気味に続けた。
「もし要様がお望みであれば、私が直接、科学部に潜入いたしますが」
「駄目よ!」
要はきっぱりと返して首を振った。周藤が失礼しました、と詫びる。要は机についた手を震わせて強く紙を握り締めた。それきり、周藤は何も言わない。だが要の頭の中にはまざまざと屈辱の記憶が蘇っていた。
要は得体の知れない科学部を探るために、生徒会の諜報部員を送り込んだことがあるのだ。当時、まだ要は生徒会会長の任に就いたばかりだった。もちろん、母親からは科学部と生徒会の因縁については聞いていた。だが、科学部の本当の恐ろしさをまだ要は知らなかったのだ。
一人、また一人と送り込んだ諜報部員は、だが誰も帰ってこなかった。正確に言うと、生徒会諜報部には戻ってこなかったのだ。絵美佳に洗脳されたか、それとも別の何かがあったのか。送り込んだ諜報部員は悉く科学部に正式入部してしまった。彼らは要の命令を無視し、絵美佳に従うことを選んでしまったのだ。
恐るべし、吉良絵美佳。要は無意識にそう呟いた。生徒会諜報部に属する生徒たちに至るまで、生徒会関係者の全ては要自らが選んだ生徒たちだ。それを絵美佳に横取りされた。その屈辱を思い出し、要は歯軋りした。
「とにかく、あなたたちを送り込む訳にはいきません。大丈夫。彼女は木村の諜報員ですもの。きっと次には有益な情報を持ち帰ることでしょう」
そう言って要は自分の席についた。皺だらけになったレポートを机の中に放り込む。たとえ芋に関するレポートでもないよりはましだ。要はため息をつきながらコンピュータを立ち上げた。
全ての科学部員についての情報。それが本当に手に入れば目的は半分以上、達したことになる。要はディスプレイに一枚の写真を表示させた。端正な面立ちの男子生徒を見つめ、そっとため息をつく。
今度は負けませんわよ、吉良絵美佳。あの方を必ず手に入れてみせますわ。要は心の中でそう呟いてうっとりと目を細めた。
要のセリフがブレブレです。すみません(汗)
キャラはほぼ確定してるんですけどもw