パスワードを入力せよ。
画面に出てきた文字に優一郎はため息をついた。やはりガードは固い。優一郎は脱力して椅子に深く腰掛け直した。背もたれに身体を預け、少し離れたところから画面を眺める。
「向こうも完成させているのは確実なんだ」
今現在、吉良研究所はヒューマノイド工学の最先端技術を誇る。そしてヒューマノイド理論の生みの親の名は吉良総一郎。優一郎の父親だ。そしてヒューマノイド理論の一部分は世間に公表されている。それが現在の大学で学べるヒューマノイド工学の実態だ。たとえ大学等でヒューマノイド工学を専攻したとしても、それだけではヒューマノイドを作成することは出来ない。重要な情報は今でも研究所の外に漏れないようにされているのだ。
だが、ヒューマノイド工学をある程度学び、知り得た理論を展開することは誰にでも可能だ。もちろん、そうするには様々なことを学ばなければならないが、出来ない話ではない。現に優一郎も総一郎には全く頼らず、独自にヒューマノイドについての勉強を進めてきた。
今、吉良研究所を全面的にバックアップしているスポンサーが吉良瀬財閥だ。そして吉良瀬財閥と並ぶと言われる財閥がある。それが木村財閥だ。木村財閥も吉良瀬財閥と同様に多くの謎に包まれている存在だ。そんな木村財閥がスポンサーについている研究室がある。優一郎は画面を見つめながら親指の爪を噛んだ。だがすぐに思い直して手を下ろす。
考え事をしている時につい手が口許に動いてしまうのは優一郎の幼い頃からの癖だ。母である由梨佳はそんな優一郎を見つけるといつもたしなめる。由梨佳の困ったような顔を思い出しながら優一郎は苦笑した。
画面に視線を戻す。木村財閥がバックアップする研究室の情報バンクにアクセスすることに成功した。だが、肝心のヒューマノイド開発状況を読むことが出来ないのだ。優一郎は眉を寄せて当てずっぽうでパスワードを入れてみた。リターンキーを押す。だがエラーを知らせる画面に切り替わる。さっきからこの繰り返しなのだ。
「これ以上は、無理だね……。気取られるわけにはいかないから」
優一郎はため息混じりに呟き、探っていた研究室への通信手段をごまかすための処置を行った。万が一、ということがある。データバンクに侵入されたと知れたら、あちらも躍起になって犯人を探し始めるだろう。そうなってはたとえ逃げることが出来たとしても、今まで以上にあちらのガードが固くなる。優一郎は憂鬱になりながら手早くウィンドウを閉じた。
木村財閥についての噂は大抵、ダークなものが多い。売春、人身売買、密輸、臓器売買など、挙げればきりがないほどだ。どれが真実なのかは優一郎には判断することは出来ない。だが、それでも木村財閥のバックアップする研究室や開発室などが、あらゆる実績をおさめているのも確かだ。そもそも、木村財閥を立ち上げた大元の人物は薬剤師関係だったらしく、木村系列の病院や製薬会社は山ほどある。
財閥同士の争いには興味はない。優一郎が興味をもっているのはヒューマノイドについてなのだ。吉良研究所の研究成果は、優一郎が科学者として一人前になればじきに目にすることが出来る。総一郎は誰もが驚くほど大らかに研究成果を拝ませてくれる人物だからだ。吉良瀬からの通達がなければ、ヒューマノイドのことに関してすらあっさりと公表してしまっていただろう。
だが木村側の情報は、じっとしているだけでは永久に手に入らないかも知れないのだ。逆に言えば、もしかしたら探れるかも知れないということだ。研究成果があれば、の話だが。
優一郎はため息をついてゆらりと視線を下げた。先ほどから優一郎の腿に手をかけているのは斎姫だ。膝で身体を支えた斎姫が潤んだ目を上げる。優一郎は苦笑しながら頷いた。
先ほどから斎姫は熱心に優一郎のペニスをしゃぶっていたのだ。斎姫の口に咥えられていたペニスは勃起している。優一郎は自分の股間を目で確かめてから、斎姫を見やった。
「上手くなったよね」
そう告げると斎姫は今にも泣きそうな顔で優一郎から目を逸らした。優一郎はくすくすと笑いながら無造作に斎姫の足に手をかけた。スカートをめくったままで舐めるように命じていたために、斎姫の股間は剥き出しになっている。濡れた内腿をなぞりながら優一郎は小さく笑った。
「お返ししてあげようかと思ったんだけど、もしかしていらない?」
学校の地下室で二人きり。部長室と名付けられた部屋の中で優一郎は微笑みを浮かべた。もう、他の部員たちは帰宅している。今は斎姫と自分だけだ。優一郎は微笑みながら少しだけ手を動かした。下着をつけていない斎姫の陰部からは淫水が滴っている。斎姫は真っ赤になって目を潤ませた。
「……ください」
消え入りそうな声で斎姫が囁く。優一郎はくすくすと笑いながら机の上に乗っていたキーボードを退けた。ディスプレイの前に狭い空間が出来る。机の空いた部分を指差し、優一郎はにっこりと笑った。
「それじゃあここで開脚して、女性器ユニットを露出させてくれるかい?」
机を指差した優一郎を見て斎姫が真っ赤になる。だがすぐに素直に頷く。斎姫は小さな声で詫びながら優一郎の目の前に腰を下ろした。机に腰を乗せ、足を開く。斎姫は机の縁を踵で押さえ、器用にバランスを取った。優一郎は微笑を浮かべ、黙って斎姫を見守っていた。
濡れた陰唇を指で割り開く。斎姫が陰部を晒した時、優一郎は目を細めて微かな吐息をついた。いつ見ても斎姫の女性器は凄い。間近に見ただけで優一郎のペニスは硬く張りつめた。
「なに恥ずかしがってるの? 君はここを、毎日僕に晒しているのに」
斎姫のクリトリスの真下には小さな金属のパネルがはめ込まれている。その小さなパネルに並んでいるのは幾つかのランプだ。その極小のランプは斎姫の感情や、体感などを如実に示す。そのランプを正確に読み取って優一郎は薄く笑った。
「ごめん……なさい」
部員の女性器ユニットは個体差を持たせてある。だが斎姫の身体だけは優一郎の手で作り上げたものではない。なのに斎姫の女性器は優一郎のもっとも好むものだ。小さな声で詫びた斎姫を見つめ、優一郎は首を傾げた。どうして謝るのだろう。ボタンのようなクリトリスも、わざと露出させてある陰唇を留めるボルトも、何もかもが自分の好みなのに。優一郎は苦笑して斎姫のクリトリスを軽くつついた。
「ごめん、ちょっと意地悪言ったかな。いくら機械仕掛けでも、性器を晒したら恥ずかしいにきまってるよね」
そう言った途端、斎姫のランプが色を変える。恥ずかしさと被虐の快感が同時に示される。優一郎はくすくすと笑いながら斎姫のパネルを指でなぞった。指先にランプの感触がある。優一郎は笑いながら斎姫の秘部のパネルを優しく弄った。
「僕だから、恥ずかしくてもいいんだよね? それどころか、恥ずかしければ恥ずかしいほど、感じちゃうんだよね?」
優一郎は唇を歪めて薄い嗤いを浮かべた。斎姫は声を殺して震えている。痴態を晒すことが斎姫の快楽を余計に煽る。そしてそのことを優一郎は誰よりもよく知っていた。触れるか触れないかの柔らかなタッチで斎姫の秘部を攻める。
いつもながら修正していません(泣)
冥界への案内人という別作品に出てきた木村とかいう名前が出てきます。