TSした陰キャ地下アイドルオタクが、バリタチふたなり推しアイドルにロックオンされるお話 作:非健康者
楽しんで下さると嬉しいです!
「………ふひっ……きょ、も…あぃりすちゃん可愛ぃ…」
僕は気持ち悪いニヤニヤを隠しもせずに、スマホを見て悶える。
僕の名前は
黒髪でメガネの大学生だ。とは言っても今は冬休み中なのだけれど。
そんな僕の視線の先の画面には、超絶美少女の天使が映っていた。
『今日はね〜?最近フォロワーさんにオススメされたこのお店でご飯食べてみようと思いますっ☆』
スマホの中に、金髪でとても日本人とは思えない程綺麗な翡翠色の目をコチラに輝かせている少女がいた。帽子を被っているにも関わらず、その尊さは全然隠せていない。無理だ、しんどすぎる…。
彼女の名前は、アイリス。地下アイドルグループ〈Crown Queen's〉……略してクラクイのリーダーで、自称世界一可愛いハーフアイドルだ。
趣味は家庭菜園と料理で、特技はけん玉。イギリス人であるお母様の実家で幼少期を暮らしていたので、英語は堪能。ダンスも歌もリアクションも、どれを取っても一級品のパーフェクトアイドルなのだ!
「……だけど…友達に話しても、地下アイドルだからって…」
そうなのだ。
どれだけ彼女が可愛くて綺麗で、美しくて完璧な存在だと言っても世間からの地下アイドルだというフィルターは取れない。
アイリスちゃんは昔に、お父様の故郷である日本に訪れた時に紹介して貰った叔母様がやっていた、地下アイドルを紹介して貰った所から地下アイドルに憧れたらしい。
その時、アイリスちゃんが叔母様に何を感じ、そして教えてもらったのかは分からない…けれど、その時確かに、アイリスちゃんは輝く何かを掴んだんだと思っている。
言っては悪いかもしれないけど…アイリスちゃんは地下アイドルらしくない。
けれど、僕みたいなファンともとっても仲良くしてくれるし、ファンサの量やファンへの熱量は僕の知る、地下アイドルのソレだ。
いつかのライブで、どれだけ自分が有名になったとしても自分はこのクラクイを辞めたくない。今のメンバーと離れたくないという事を言っていた。
アイドルとして、とてもワガママかもしれない。でも僕はそんな彼女がとても眩しく感じた。
彼女は人一倍地下アイドルという職業が好きなのだ。勿論、その地下アイドルを一緒にやっている仲間の事も。
長くなったけど、彼女はとにかく地下アイドルを愛し、地下アイドルに愛された女の子と言ってもいい。
どんなに来てくれるファンの数が少なくなっても、生ライブじゃなくて配信しか出来なくなっても、彼女は諦めない。
僕は…いや、僕達はそんな彼女の姿を見るのが好きなのだ!
…………………だから……ぼ、僕も……彼女の姿をどんな風になっても見に行きたいのだ………………。
ようやく…ようやく彼女達が生ライブを行えるようになったのだ…………見に行かない訳がない……………。
例え僕が………………今朝目覚めたら、
「ど、どぅしてぇ……」
目の前が歪む。こんな姿で行ったら、彼女のライブが綺麗に見えなくなる………。折角のライブが………………。
けど、僕に行かないという選択肢はない。背が縮み、130センチもあるかも分からない体を頑張って動かし、服を着る。
幸い、胸は大きくなったお陰で、服が下に落ちる事はない。
だが………その、先っぽが少し気になるのでオタク知識由来の伝家の宝刀、絆創膏を先っぽに貼る………………………ちょっと足りないかもしれないので、追加でいくつか貼っておく。
ズボンも油断すると落ちるので、中の紐と外につけるベルトを今の腰に合わせてギッチギッチにする。これならば激しく動かなければ落ちることはないだろう。
トランクスはゴムがあるので、落ちることはない。
よし、これで後はライブハウスに行くだけだ…………。
靴下と靴に悪戦苦闘しながらも、靴の中に靴下を詰めるという荒業で攻略した僕は、いつものオタクグッズ(軽量済)が入ったバッグとメガネを手に持ち、玄関を出た。
いつものようにバスと電車に乗る。何だか視線を感じるが、見た目でいえばロリなので一人でいるのが珍しいのだろう。
ライブハウスがある駅で降り、いつもよりも短い歩幅を懸命に歩いてライブハウスに辿り着く。
地下ライブハウスの中に入ると、検問所のようなところがあった。十中八九例のウイルスのせいで出来た物だろう。入場する為に、検問所で立っていた顔なじみのスタッフさんに声をかける。
「山本さーん。これ、入場する為のものですよね?」
最初、山本さんはギョッとした顔をした。
話しかけてから自分の失態に気付く。そうだった。僕は今いつもの体じゃない。いきなり知らない人に話しかけられたような物だ、そりゃービックリするだろう。
「…ぁっ、えっと…………ぁの…」
僕がモジモジし出すと、山本さんは何かに気づいたようで、恐る恐る話しかけてくれた。
「もしかして……………………三河くんの親戚ちゃん…?」
どうやら僕とは気付いていないようだ。
咄嗟に、そうだと頷きお茶を濁す。僕が女の子になったなんて、絶対に理解されない。それなら親戚という事にしておくと無難だろう。
「………ぇっと、なんか……みかわが、旅行?に行くみたぃになっちゃって………それで代ゎり?みたいな感じ……なんですけどぉ…」
自分のコミュ障具合に反吐が出そうになる。普段ならこれ程どもらないはずなのだが、嘘をついているという罪悪感とバレないようにしなければいけないという緊張感からか喉が干上がる感覚を受ける。
そんな自分の挙動不審な様子を見て、果たして山本さんは少し考え込んでから話した。
「……ウイルスは既に収束していますし……………お得意様の三河くんの親戚ちゃんという事で、特別にOKにしますね?どうぞ、楽しんで下さい」
そう言って、山本さんは僕を入場させてくれた。
山本さんの優しさに、胸がどんどんと締め付けられる。消え入りそうな声で、ありがとうございますと言うと、僕は俯きながら中に入った。少し鬱屈とした空気がライブハウスの中に混じってしまったような気がした。
それから、ライブ開始の時間となり、アイリスちゃん達がでてきた。
「みなさーん!今日は々
「今日はぁ、目いっぱい楽しんでいってくださいねー!」
うおおおお!とファンの人達と一緒になって叫ぶ。
弾けるように明るい色と、爽やかな笑顔に心が洗い流されていく。
この瞬間、僕達は生きていると実感することが出来るのだ。
叫び声は自然と心から溢れ、顔には血が集まって笑顔を作る。
アイリスちゃんも、同じクラクイメンバーであるテレサちゃんやみりーちゃん達も、今日も可愛い!!これがどれだけ大変な事か僕ははっきりとは分からないけど、僕がどれだけ救われているかを全身を使って表すのだ!!!!
「………………!?」
ぼ、僕に指を向けて笑った……?よくアイリスちゃん達にはレス目配せを貰えることがあるけど、あそこまで可愛らしく笑って見られたことあったかなぁ…!?やばい幸せすぎる…。
その後も、ばちっと僕と目が合うアイリスちゃんにドキドキしながら、あっという間にライブの時間が終わってしまった。
ライブ後の握手会の待ち時間を使って、僕のTwotterに指に従って打ち込んだ長文感想を流して置き、幸せに浸かっていると、ようやく僕の番が来た。
順々に今日のライブ良かったです!と言って握手していき、アイリスちゃんと握手しようとした時、事件が起こった。
「……ぁ、アイリスちゃん……………そのっ、きょっ…きょぉも可愛かっ…………っ…」
口にものが詰まったようにどもってしまい、心が耐えられないくらいどもってしまったのだ。
どうしたものかと他のクラクイのメンバーが、心配そうにこちらを見てきた時、アイリスちゃんが僕の手を握って安心させてくれたのだ。
「……大丈夫。貴方の伝えたい事、しっかり伝わりましたから…」
アイリスちゃんがにっこりと笑い、僕の顔に朱を帯びさせた。
と、手の中にくしゃ、と感触があり疑問に思って開こうとするとアイリスちゃんから小声で、後でそこにかけて。と言ってきた。
何が何だか分からず、呆然としてしまっていると、係員の人におしまいでーすと言われ、引き剥がされた。
ライブハウスから出て、さっき手渡された紙を見るとそこには電話番号が書いてあった。
「………なっ…なっ…………?」
頭の中に痺れるような衝撃が走る。まさか、電話番号を貰えるなんて!!!
天にも昇る気分になって、ドキドキとした気持ちのまま、一目散に家に帰っていった。
家に帰り、どたどたとベッドの所まで走ってからボヨン!とスプリングに身を任せる。
クリアケースに入れ、丁寧に扱ったそれには、アイリスちゃんのサインに書いてあった文字と同じ字体の数字の羅列が確かにあった。
ドキドキとしながら、LONEでその番号を打ち込んでみる。すると、出てきたのは彩亜、と書かれたアカウントだった。
彩亜………?アイコンは、けん玉のイラストだ。これがアイリスちゃんのLONEアカウントなのだろうか……?
流石にここに来て、不安な気持ちの方が出て来たが、好奇心と期待には勝てず僕はそのアカウントにメッセージを飛ばしてしまった。
『こんばんは。自分は今日、こちらのアカウントの電話番号を手渡された者です。心当たりがありますでしょうか?もし無かったら、無視して頂いて結構です』
誰の失礼にもならないよう、ドキドキしながら打った文だ。
ほんの僅かな可能性で、間違いじゃありませんように…と願いながら反応を待っていたが、僕のドキドキとは裏腹にあっさり既読となり、返信まで来た。
『大丈夫です✨ちゃんと電話番号を信じてくれたんですねっ❗ありがとうございます 』
『地下アイドルのアイリスこと、
………こ、これ……現実……?
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