TSした陰キャ地下アイドルオタクが、バリタチふたなり推しアイドルにロックオンされるお話 作:非健康者
私の名前は、
イギリス人の母と、日本人の父の間に生まれた所謂ハーフと呼ばれる人間だ。
私が、
私は自分のことが嫌いだった。
ギラギラとヤンキーのような金髪で、目は気持ち悪い緑色をしている自分の容姿が、何よりも嫌いだった。
父の影響で、イギリスから日本に渡って来て数年。
日本で精神が確立された自分は、周りとは全く違う自分が気持ち悪い物だった。皆とは全く違う文化で、女子からは壊れ物のように。男子からはイタズラばかりされて。
周りに自分のことを上手く伝えられず、どうしてもモジモジして恥ずかしがっていると自分の中で何かが蠢く感覚があるのだ。
私が自分のことを嫌いだった理由。その1番は、
女の子たちは、私が着替えの時も自分の体をあんまり見せないし、プールにも入らないところから私を壊れ物のように扱っていたのだろう。
だがそれは大きな間違いだ。
私は男の子よりも、女の子の方が恋愛対象に入っていた。自分のことを心配そうに見てくる女の子を、何度オカズにしてしまった事か。
それで自分が自己嫌悪に陥り、どうしたら良いのか分からなくなっていた頃。
父の妹さん……つまり、叔母様が私の元へ来た。
『彩亜ちゃん……大丈夫?』
「…………っ、大丈夫です……」
私は優しげな女の人の声に、布団越しで答えた。
自分の股からぶら下がった肉棒は、今やどんな人でも見境なく反応するようになってしまった。こんな恐ろしい獣のような物が本性の私なんて、誰が愛してくれるだろう。
私は誰かに否定される事が怖くて誰も来ないよう、遠ざけるようになっていた。
誰かに傷付けられ、傷を付けてしまうくらいなら自分を殺した方が良い。本気でそう思って、自分のことを殺したいと思うくらい嫌悪していたのだ。
そんな引きこもる私に、叔母様…ヤスコさんは、1つの歌を歌った。
『…〜♪』
「………………ぁ……」
それは、迷っている誰かを導く歌だった。自分がどれだけ嫌な奴で、好きになる人なんていないと腐っている人間の背中を、優しくさすって励ましてくれる歌だった。
爽やかな歌声と、泣きそうになるくらい真剣な歌詞が、私の胸にすすっと入り込んでいき。
気付くと私は布団から出て、ヤスコさんに拍手をしていた。
「…すごい…!すごいですヤスコおばさん!わたし、こんなに元気になっちゃった!」
そう言うと、ヤスコさんはおばさんは付けないで良いわよ?と笑った後、(目は笑ってなかった。)
「今の歌を気に入ったなら私のライブハウスに来てちょうだい。きっと満足するわよ?」
と言って自分の青色のメモ帳に住所を書き、私の部屋に置いていった。
後日、父と共にそのライブハウスへとライブを見に行った。
色鮮やかなライブハウスと、ファンと一体となり可愛い空間を作り出す叔母様たちに、私は目を奪われた。
地下アイドル、という物があまり浸透していない時期だったが、結果的に私は地下アイドルにのめり込み、結局地下アイドルにまでなってしまったのだ。
父と母は、引きこもるよりかは活動してくれていた方が見ていて安心出来ると嬉しいことを言ってくれて、今でも楽しい仲間と優しいファンの皆と充実した日々を送っていた。
ある
「ねーねー姫〜〜。結局、良い人見つかんないの〜?」
そう言って私に垂れかかってくる黒髪で泣きぼくろが特徴的な女の子。
「……うん…まだ見つかんないかな………なんたって、
そう。私が最もコンプレックスを持っているもの。数ある衣装の中で、唯一水着や露出度の高い服を着れない理由が、そのまま人生の多くの事に支障をきたしていた。
「難儀だね〜お腰にそんな立派な
「こぉら!ダメでしょ、
「いやいや…でもさぁ
そう言いながら、ぺちぺちと私の股間を叩く
ふたなりのせいなのか、性欲が有り得ないくらい強いのだ。
なんなら、ライブの時も調子が悪い時はビンビンになってしまう事がある。
Twotterでは今のところバレたような気配はないが、それはそれで皆に隠れて興奮してしまっている所に興h………こほん。罪悪感を覚えてしまう。一応、貞操帯を着けてスカートの下にフリルの多い衣装を着てはいるのだけれど。
大切な仲間ですらそういう目で見てしまう自分に苛立ちを感じる。可愛い、天使と持て囃されているが、中身はケダモノなのだ。
そんな中で、私は運命の出会いをした。
例のウイルスで全くライブが出来ず、フラストレーションが溜まっていたある日。
マネージャーさんからようやくライブのOKが出た私たちは、直ぐに特別ライブを企画した。反応は上々で、Twotterの方でもたくさんの応援や喜びのリプが飛び交った。
そこからは必死になって鈍ったカンを取り戻し、文字通り血のにじむような努力をした。当然、途中で何度も挫けそうになったけど、ずっとエールを送ってくれている人からのメッセージで笑顔が零れる。
思わず笑っちゃうくらい長くて愛のこもったメッセージだ。
そして、キツくて長い練習の中で、私は少し変なことを考えてしまった。
もしもこのぐらい私のことが好きな人が女の子だったらな、と。
言ってはなんだけど、クラクイのファンの殆どは男の人だ。女の子は本当に絶滅危惧種と言っても差し支えない。このファンの人も勿論、男の人だ。少し背が小さくて可愛いけど。
馬鹿なことを考えていると、ダンスコーチの先生から厳しい叱咤を受ける。こんなじゃダメだ。私はアイドルへの強い気持ちで心を震えさせ、立ち上がってまた練習を続ける。
そこからはまた怒涛の勢いで時間は流れていき、ついに本番の時となった。
「みんな。今日は久々のクラクイのライブだよ!気を引き締めて、楽しんでいこう!」
「分かってるよ〜そう言う姫こそ、準備はオーケー?にしし」
「も、もう〜!みりーちゃん、からかっちゃダメだよ〜!アイリスちゃんが一番このライブを楽しみにしてたんだから…!」
「………ふふっ」
少しだけいつもよりも緊張していた私の心が、2人のいつもの調子で解される。………うん。そうだね。楽しんで、楽しませよう。
「いくよー………We're?」
『Crown Queen's!!!!!』
よし、行こう!
「みんなー!!!!元気にしてたー?私たち、愛されヒロイン…」
『Crown Queen'sでーす!!!!』
「みなさーん!今日は私たちの特別ライブに来てくれてありがとうございます!」
「ウイルスでここのところ全然ライブできてなかったもんね〜みんな楽しんでいってね〜」
「それじゃあ早速行くよー!まず1曲目は__」
(…………えっ?)
そう言いながら客席に目を向けた時、私は視線が釘付けになった。
ファン席に居たのは、艶やかな黒髪にパッチリとした目の、ジャージ姿の女の子だった。
いつもそこで応援しくれていたファンの人によく似ている。もしかして、親戚の子だろうか?それにしてはそのファンの人が居ないような…
「……………姫?」
左隣の
ファンの人を見るに、溜めだと思われたようだ。これ幸いと何事も無かったように曲へと移行する。だが、私の目はその女の子に度々釘付けになるのだった。
アンコールが終わり、恒例の握手会となる。
ウチではあまりチェキをやっていない為、サクサクと握手会は進んでいく。と、その間に私はさっき出会った女の子のことを考えていた。
『アイリスっ!アイリスっ!マイラブぃーエンジェル、アーイーリースー!』
『はいっ!はいっ!はいはいはいはいっ!!』
『ふぅぅぅ!!!!』
他のファンが私たちだけじゃなく、その子のことをチラチラと見るくらいあの子は目立っていた。
当然だ。見たことのあるような子ならともかく、今日初めて見たような子が私を特別に推してて、ファンコールも完璧……見ないわけが無い。
それでも見続けていたのは一部だけだが、私はその女の子を見ていて気づいたことがあった。
あの女の子……………すっごい、タイプ………。
ジャージであんまり分からなかったが、ぴょんぴょんと飛び跳ねた時には服で隠しきれないほど、ばるんっ!ばるんっ!と胸が動いてた。間違いなく着痩せしている。
それでいて、目は私にずっと向けられているのだ。悪い気はしない。というよりもちょっと興奮した。
背は小さかったが、まさか小学生というほどではないだろう。
気になってスタッフの山本さんに聞くと、やっぱりあのいつも来てくれているファンの人の親戚らしかった。
そこまで聞いてから私は少し考えて、その女の子に連絡先を教えようと思った。
本来ならばアイドルとして決して許されない行為だが…その時の私は熱に浮かされたようにその子のことばかり考え、結果本当に渡してしまった。
「…………姫。良かったの?あんなことしちゃって」
「……………………うっ…」
「確かに姫は最近ご無沙汰だったみたいだけどさ〜…でもまさか、あの我慢強い姫があそこまで独占しようとするとはね〜……ウケる笑」
「つ、疲れてたんですよ彩亜ちゃんも……ほ、ほら…人間疲れて死にそうになると、番を探そうとするとか…………なんとか…………」
「なにそれ(笑)愛衣って、結構耳年増なとこあるよね〜」
「…えっ!?あ、こ、これは………その…知識として…」
2人がいちゃついているのを見ながら、私はさっき自分がやった事を恥じていた。
アイドルが…それも地下アイドルが、女の子にとはいえ連絡先を渡すなんて絶対にあってはならないことだ。
だけど、他の男の人から向けられていた視線や、どこか場慣れしていないような彼女の姿が目に焼き付いて離れない。
馬鹿なことだけど、私は心の中で"もしかしたらあの女の子は、女体化したあのファンの人なんじゃないか"という考えを作っていた。
つまり私がしたことは。
(……唾付けするなんて…)
また自己嫌悪になりそうになった時、スマホが震えた。
見ると、知らないアカウントからのメッセージ。
開かないでロック画面から見ると、あの女の子からのメッセージだと分かった。
『こんばんは。自分は今日、こちらのアカウントの電話番号を手渡された者です。心当たりがありますでしょうか?もし無かったら、無視して頂いて結構です』
焦る気持ちを抑えながら私は返事を書いていく。
『大丈夫です✨ちゃんと電話番号を信じてくれたんですねっ❗ありがとうございます❗』
『地下アイドルのアイリスこと、彩亜アリアって言います❗これから宜しくお願いしますね❗❗』
その女の子が、慌てながら感激の返事をして来たのを見ながら私は、心の中でドス黒い感情が渦巻いたのを感じた。
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