※この作品はR-18です。

IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜   作:イズモ

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白鳥琴乃・失恋処女喪失編 17

 日が沈みに夜の帳が訪れようとしていた。

 蝋燭の火が部屋の中を照らす中、再び木箱にアマテラスは『鏡の精霊武具』を納め、封印の札を貼り付けて木箱を閉じた。

 ほんの僅か前には希望だった筈の『鏡の精霊武具』。だが、今は琴乃に絶望の未来を見せた最悪の代物となってしまった。

 その琴乃は今はもう部屋にはいない。泣き崩れ、涙が枯れ果てるほどに泣き終えた後、虚ろな目を浮かべて呆然となってしまった。今は、佐久夜と部屋の外で待機していた桂香を傍に付けて部屋で休ませている。

 

「ツクヨミ、大丈夫か?」

 

「ええ、大丈夫よ。吹き飛ばされてしまったけど呪詛返しに近い力だったから、咄嗟に霊力を身に纏って防御出来たわ。それに今は私の事よりも琴乃の方が問題よ、ヒカル」

 

「ああ……確かにそうだ」

 

 ツクヨミの言葉にカグツチは苦悩するように眉を顰めながら頷いた。

 『鏡の精霊武具』によって様々な事が明らかになったが、それを喜ぶ事は出来ない。

 封印を終えたアマテラスもカグツチとツクヨミに向き直り、三人は話し合い出す。

 

「アマテラス……貴女も気づいているでしょう?」

 

「ええ、姉さん……琴乃さんは本来ならば扱う事が難しい筈の精霊武具を初めて使った筈なのに使(・)い(・)こ(・)な(・)し(・)ま(・)し(・)た(・)。最後は暴走に近い形になっていましたが……恐らくそれこそが琴乃さんの『無属性』としての特性だったのでしょう」

 

「琴乃ちゃんの『無属性』の特性だって? どう言う事なんだ、アマテラス、ツクヨミ? 琴乃ちゃんには何の特異な力も見られなかったじゃないか?」

 

 アマテラスとツクヨミと違い、剣士と過ごしているが故に、カグツチは気付いていなかった。琴乃が宿していた『無属性』の特異な力を。

 

「確かに琴乃さんにはこれまで私達が出会った『無属性』の者のように、表立って目立つ力は見受けられませんでした。でも、既に目覚めていたんです、琴乃さんの力は」

 

「アマテラスの言う通りよ、ヒカル……私もアマテラスもさっきまで気づいていなかったけど、琴乃の『無属性』の特異な力は、直接的に発揮する力じゃなくて、間接的に発揮される力……あの子は『あらゆる呪具の力を引き出せる』特異性を持っていたのよ。精霊武具も含めてね」

 

「何……だって……」

 

 ツクヨミの説明にカグツチは呻くような声を出さずにはいられなかった。

 当たり前だった。このネノクニにおいて呪具とは様々な力を宿している物を察している。

 広義的で言えば、カグツチの剣やアマテラスの槍も呪具であり、佐久夜の扇や巫女達や兵士達が扱っている武具も呪具の類に分類される。そうでなければ悪霊を倒す事が出来ないのだ。

 無論、琴乃が武具の類を握っても扱えないが、呪具が秘めている力を引(・)き(・)出(・)す(・)事は可能。

 

「琴乃さんがその気になれば、武器として扱えなくても宿している力を発揮する事が可能と見て間違いありません」

 

「『因果確定』が発動した点から見ても、琴乃は武器としては扱えなくても精霊武具に宿っている呪法を使用できると見て間違いないわ。しかも殆ど霊力を消費しないでね」

 

「……とんでもない力だ」

 

 呻くような声をカグツチは出さずにいられなかった。

 『無属性』である者は特異な力を宿している者が多いのはカグツチも知っていたが、琴乃の力は呪具の類が必要ではあるが、規格外の部類に充分に入るほどの力。

 精霊武具と言う存在も今はある以上、琴乃の力を知れば喉から手が出るほどに欲する者が現れてもおかしくはない。

 

「となると……綾香のやった事も琴乃なら出来るでしょうね」

 

「ええ、間違いなく出来る筈です」

 

「綾香さんのやった事って?」

 

 カグツチは疑問の声を上げた。その声にツクヨミとアマテラスは揃って溜め息を吐く。

 

「ヒカル。貴方、忘れたの? 綾香は勾玉を投げるだけで呪法を発動させていたのよ?」

 

「本来勾玉の呪法の使用には、武具や装飾品などに勾玉を嵌めて使用しなければなりません。それなのに綾香さんは霊力は消費していましたが投げるだけで呪法を発動させていました」

 

「ああ、良く綾香さんが勾玉を投げて危うく手持ちが無くなりそうなこともあったな……まさか、琴乃ちゃんの力は?」

 

「ええ、そうよ。綾香からその類の力を受け継いでいて、それが『無属性』の特異性と合わさった結果、あんな規格外の力になってしまったんでしょうね」

 

「なんて……ことだ」

 

 嘗てのカグツチの仲間達の中でも綾香は異彩を放っていたが、その娘である琴乃もまた規格外の力を宿していた。

 その上、琴乃は本人は知らないが『横笛の精霊武具』に使い手として認められてしまっている。

 

「……とにかく、琴乃に関しては時間を置くしかないわね」

 

『………』

 

 アマテラスとカグツチは、ツクヨミの意見に何も言えなかった。

 直接振られた訳ではないが、琴乃が想い人である『八岐猛』と結ばれる未来が訪れない事は確定してしまった。

 『因果確定』により、今この時も因果が動き、『八岐猛』と『冬木凪』が出会う運命が巡り出している。使用したのはネノクニではあるが、そんな事は関係ない。その流れを止める事は神であるアマテラスとカグツチ、そして理を紡ぐ力と整える力を宿している『八尺瓊』をもってしても出来ない。だからこそ、『因果確定』は最悪にして最強の呪法なのだ。

 その事実は使用してしまった琴乃が誰よりも実感している。

 

(それにしても『八岐猛』君に『冬木凪』さんか……あの二人の事が妙に気にかかるんだよな)

 

 『八岐猛』に関しては自身のアシハラノクニでの家族である六介と一緒に暮らしている事もあるが、『冬木凪』の方は何処か懐かしさのようなものをカグツチは感じた。

 

(……そうだ。あの人、何処となくだけど『楓』さんに似ているんだ)

 

 嘗てカグツチが一番最初に『契りの儀式』を結び、『スサノオ』の死と共に行方が分からなくなった女郎蜘蛛の精霊『楓』。

 現在はヒミコの秘密を知っている可能性があるとツクヨミが考え、アマテラスとカグツチにも説明し、先ずは占いを用いて『楓』の捜索に乗り出した。その結果……。

 

(アマテラスとツクヨミが俺と『楓』さんの縁を使って占ったら揃って、『契りを結び地にて、再び巡り会う』なんて結果が出たんだよな。序でに具体的な時期まで)

 

 『楓』がまだネノクニに存在している事を占いは示した。

 カグツチの縁を使って『楓』を占ったのだから、『契りを結び地』に関しては『アシハラノクニの学び舎』である出雲学園を示している事は明らか。

 時期に関しては月の形で示され、丁度、反魂の術を用いるのに最も適した日だと言う事も判明している。

 つまり、本来ならば琴乃を帰還させる時に、カグツチが出雲学園に訪れれば『楓』と再会できると占いの結果が出たのだ。

 

(占い通りだとしたら、『楓』さんはヒミコがスサノオを狙っていると知っていて、反魂の術の発動に惹かれて出雲学園に現れるって事だよな)

 

 それ以外にはカグツチ達には考えられず、また出来るだけ差異を減らす意味もあって当初から琴乃の帰還の時にはカグツチ達の時とは違い、出雲学園で行なう予定だった。

 その流れでの占いの結果なのだから、無視も出来ない。だが、肝心の琴乃に問題が起きてしまった。

 

「……琴乃の事は、暫らくはソッとしておきましょう。幸いにもリンドの時と違って、あの子は里の皆に好意的に見られているわ」

 

「っ……ええ、そうですね」

 

 ほんの一瞬苦悩するような顔を浮かべたアマテラスだが、すぐに表情を戻してツクヨミの意見に頷いた。

 

(ふふっ、アマテラスの中でどんどんリンドの存在は大きくなってるわね。これなら安心して私もヒカルに専念できる)

 

 嘗てのアマテラスの嫉妬による暴走を、当事者だっただけにツクヨミは良く知っている。

 しかし、その脅威はリンドと言う存在が中和しているので問題は無い。加えてツクヨミは琴乃に対しても余り心配はしていなかった。

 

(今の琴乃は弱り切っている。この機会をリンドが逃す筈がないわ。今頃はどう琴乃を堕とすか考えているに決まって……ん?)

 

「……この音色は」

 

「琴乃ちゃんの笛の音か?」

 

 酷く物悲しさを覚える音色がアマテラス達の耳に聞こえて来た。

 それは琴乃が奏でる笛の音。だが、本来なら人を魅了してしまう音色は、今は酷く物悲しさを宿している。

 琴乃の心情を表しているような音色に、アマテラスとカグツチが申し訳なさを感じた瞬間、部屋の外からガタっと大きな音が響く。

 

『っ!?』

 

「今の音は!?」

 

 カグツチは急いで立ち上がり、部屋の襖を開けて外を見てみる。

 すると、其処には部屋の護衛を担っていた筈の二人の巫女が床に倒れ伏していた。

 

「二人ともどうしたんだ!?」

 

 慌ててカグツチは巫女の傍に駆け寄る。

 アマテラスとツクヨミも部屋から出て2人の巫女の容態を確認する。

 

「っ!? 姉さん!? これは!?」

 

「ええっ! 呪法に依って気絶させられているわ!」

 

「敵襲か!?」

 

 容易ならざる事態が起きた事を察したカグツチは、二人の巫女の事をアマテラスとツクヨミに任せて周囲を見回す。

 だが、敵らしき影は見えず、ただ笛の音が鳴り響いているだけ。しかも何処からガタっ、ドタっと次々に誰かが倒れていく音がカグツチ達の耳に聞こえて来る。

 

「一体これは!?」

 

「まさかっ!?」

 

 何かに気付いたようにツクヨミは印を組んで探り始めた。そして何かに気付いたようにすぐさま目を見開いた。

 

「笛の音よ! この笛の音事態に恐ろしいほどの呪力が籠もってるわ!」

 

「なっ!?」

 

「っ!?」

 

 ツクヨミの報告にカグツチは驚愕し、アマテラスは慌てて巫女服の内側に手を入れた。

 其処には琴乃が帰るまでは『八尺瓊』同様に離さずに封印している筈の『横笛の精霊武具』が入っている筈。

 封印の札が張られている筈の布に巻かれている『横笛の精霊武具』をアマテラスが取り出してみると……。

 

「そんな……」

 

 封印の札は破られ、まるで琴乃の笛の音に力を貸すように『横笛の精霊武具』は光を発し続けていた。

 

「っ!? アマテラス! 貴女は再封印を急いで!? ヒカルは私と一緒に琴乃の下に急ぐわよ!」

 

「そうか!? 佐久夜が危ない!」

 

 神と精霊であるアマテラス、カグツチ、ツクヨミには影響はないようだが、次々と屋敷に居た巫女や兵が倒れているのだから、琴乃と共にいる佐久夜と護衛役の桂香にも影響は起きているに違いない。

 笛を吹くを琴乃に止めさせる為にも、急いで向かわねばならないとアマテラスをその場に残してカグツチとツクヨミは通路を走る。

 

「くっ! どうしてアマテラスの封印が!?」

 

「ヒカル。貴方なら分かる筈よ。イザナギ様とイザナミ様の剣に助けられた貴方ならね」

 

「っ!?」

 

 ツクヨミの言葉にカグツチは思い出した。

 『サギリ』との戦いで剣が折れた時に、まるで助けるように目の前に現れた新たな剣の事を。

 優(・)れ(・)た(・)武(・)具(・)は(・)持(・)ち(・)主(・)を(・)選(・)ぶ(・)。それは同時に武具が使い手を欲している事を意味する。

 精神的にこれ以上に無いほどに追い込まれてしまっている琴乃の危機を、使い手として既に認めていた『横笛の精霊武具』は感じ取り、アマテラスの封印を打ち破って琴乃に力を貸してしまったのだ。

 問題はそれが最悪な状況を作りかねない事だ。封印されていたが故に、『横笛の精霊武具』は状況を察していないのだから。

 

「カグツチ様! ツクヨミ様!」

 

「葉子さん!」

 

 琴乃達が居るはずの部屋に向かっている途中で、今日は青龍の寝所の警護についていた葉子と二名の巫女、そしてリンドが別の通路から走って来た。

 

「無事だったのか!?」

 

「はい。笛の音が聴こえた瞬間、リンドが風を操って音を遮断してくれたおかげ難を逃れる事が出来ました。今は霊力を高める事で抵抗しています」

 

「そうか。偉いぞ、リンド」

 

「いえ、青龍様から指示を受けたからです」

 

 頭を撫でるカグツチにされるがまま少し嬉しそうにリンドは返事を返した。

 

(全員、『疑似契りの儀式』を結んでるわね。流石に抜け目がないわ)

 

 ツクヨミは瞬時に葉子と他の二名の巫女が、リンドと『疑似契りの儀式』を結んでいる事を察した。

 『鏡の精霊武具』を琴乃が使いこなしている以上、何があっても対処できるようにリンドは青龍に気を送り終えた後、警護についていた葉子を始めとした巫女達とも『疑似契りの儀式』を結んで態勢を整えていた。

 無論、精霊武具に関して誰よりも詳しいだけに、笛の音が聴こえた瞬間に異常を察知し、すぐさま青龍から得た風の力で音を遮断。葉子と他二名の巫女を伴ってこうしてカグツチとツクヨミと合流したのだ。

 尤もあくまで青龍の指示に従ってと言うように装い、代表として葉子が確認する。

 

「それでカグツチ様、ツクヨミ様。一体何が起きているのですか?」

 

「『横笛の精霊武具』がアマテラスの封印を打ち破って、琴乃ちゃんに力を貸しているんだ」

 

『っ!?』

 

 葉子と他二名の巫女、そしてリンドは目を見開いて驚愕する。

 

「琴乃ちゃん本人が気付いているか分からない。だけど、一刻も早く笛を吹くのを止めさせないといけない」

 

「分かりました。では、急ぎましょう」

 

 巫女頭として先に自分が行くと言うように葉子が先を進み、二名の巫女が後を追う。

 立場的に言えば、カグツチも葉子達にとっては守るべき存在であることは変わりないので、この対応は正しかった。

 先を進む葉子の後をカグツチ、ツクヨミ、そしてリンドが追い、一行は琴乃が居るはずの部屋に辿り着く。

 声を掛けることなく葉子が襖を開くと、部屋の中には琴乃の姿はなく、佐久夜と桂香が床に倒れて眠っていた。

 

「佐久夜!?」

 

「佐久夜お姉ちゃん!?」

 

 倒れている佐久夜にカグツチとリンドが駆け寄る。

 桂香の方には葉子と他二名の巫女が寄り添い、残ったツクヨミが琴乃を探す。

 

「琴乃が居ないわ! 葉子! 桂香を起こすのは後回しにして、貴女達はすぐに琴乃を探しなさい!」

 

「は、はい!」

 

「ぼ、僕も行きます! カグツチ様は佐久夜お姉ちゃんの事を!?」

 

「リンド、頼んだぞ!」

 

「はい!」

 

 力強くリンドはカグツチに返事を返し、葉子達と共にリンドは部屋を出て行った。

 

「カグツチ。私も行くわ」

 

「頼んだ、ツクヨミ。琴乃ちゃんを必ず見つけてくれ」

 

「ええ、勿論よ」

 

 返事を返したツクヨミも部屋の外に出て、そのまま霊体化し宙に浮かび上がった。

 屋敷全体を見下ろせる高さまで舞い上がると、懐に手を入れて『宝貝』を取り出した。

 

「リンド。聞こえる?」

 

『……はい、勿論です、ツクヨミ様』

 

 返って来た声の主は言うまでもなくリンドだった。

 

「一応確認するわ。この件は貴方が引き起こしたの?」

 

『いいえ、違います。本当にこの件は僕にとっても予想外でした。何が起きても対処できるように気を配っていましたが、『横笛の精霊武具』が封印を打ち破ったのは本当に予想外です』

 

 事実、今日の件は全てリンドにとって予想外の事ばかりだった。

 

『横笛の精霊武具』が力を貸してしまう程に、今の琴乃お姉さんは追い込まれている。琴乃お姉さんの中で『八岐猛』と言う男性は、それだけ大きな存在だったみたいですね。フフッ、かなり嫉妬を覚えますよ』

 

「嫉妬するのは良いけど、ちゃんと琴乃の事は補足してるのよね?」

 

『勿論です』

 

 何が起きても良いように、リンドは琴乃、佐久夜、桂香がの三人が居る部屋は注意深く監視していた。

 それだけではなく、琴乃の体内には発信機の役割を果たすリンドが生み出した種が宿ったまま。居場所は手に取るように把握している。

 

『今、葉子と一緒に琴乃お姉さんの足跡を見つけた所です。これから後を追っていきます。それと……向かっている方向から推測すると、琴乃お姉さんは滝に向かっていますね』

 

「滝ですって? ……まさか、あの子!?」

 

『ええ、そうかも知れません。でも、そんな事はさせませんよ。それとツクヨミ様……この件を利用して僕は記(・)憶(・)を(・)取(・)り(・)戻(・)し(・)ま(・)す(・)』

 

「っ!? ……そう、ちゃんとやりなさいよ」

 

 言葉の意味を違える事なくツクヨミは察し、話を終えて『宝貝』を懐にしまう。

 そのままリンドの気配を追ってツクヨミは空を飛ぶのだった。

 

 

「…………」

 

 夜の闇を月明かりが照らす中、琴乃は着ていた巫女服を丁寧に畳み終えると持って来た横笛を上に置く。

 巫女服の代わりに琴乃が着ているのは、出雲学園の女子制服である白のブラウスと黒のスカート。

 これから行なう事を借り物の服である巫女服を用いる訳にはいかないと考えたが故に、自分の唯一の服である制服に琴乃は着替えたのだ。

 琴乃の瞳は何処までも虚ろで黒く染まっているようにさえ見える。『鏡の精霊武具』を用いる前まで希望に満ち溢れていた光は消え去っている。

 ゆっくりと琴乃は大きな水音が聞こえて来る方に歩き出す。その先にあるのは激しい川の水が下に落ちている滝。

 巫女達が滝行を行なう場として佐久夜と桂香に案内された事がある場所。琴乃本人は滝行は行なわなかったが、雄大な自然の光景に見惚れた。

 これから自分が行なう事に申し訳なさのようなものを琴乃は感じるが……。

 

(でも……耐えられない)

 

 脳裏に浮かぶのは仲睦まじく寄り添い結ばれていた『八岐猛』と『冬木凪』。

 『因果確定』を発動させてしまった故に、琴乃本人は誰よりも自覚してしまっていた。『因果確定』で確定された未来はどうやっても変えられないのだと。

 アシハラノクニに帰りたいと願っていた半分以上の理由を琴乃は失ってしまったのだ。

 家族の事は当然大事だが、それ以上に琴乃にとって『八岐猛』と言う存在は、自分以上に何よりも大切な存在だった。

 猛がいたから、長い入院生活も過ごすことが出来た。

 猛が草笛を教えてくれたから、音楽に興味を持てた。

 猛がいたから、頑張ろうと思えた。

 今の白鳥琴乃と言う人間を形成出来たのは、『八岐猛』がいたから。だからこそ、琴乃は彼に想いを寄せていた。

 引っ込み思案な性格な為に、積極的な行動こそ出来なかったが、それでも猛の為に塔馬家に毎日通い続けて家事を頑張った。だが、その全てを無意味してしまったのは他ならぬ自分自身。

 

(……もう、帰って頑張っても意味がない)

 

 猛の隣には琴乃は決して寄り添えない。その隣には『冬木凪』が寄りそうと決まってしまっているのだから。

 絶望感に支配された琴乃は滝に向かって進む。急がなければ、誰かが追って来てしまう。

 少しでも気を紛らわせる意味で佐久夜と桂香に勧められた結果、得られた機会。その機会を逃したくないと琴乃は滝壺を見下ろす。

 

「……さようなら」

 

 誰かへの別れの言葉と共に琴乃は眼下の滝壺に向かって身を投げ入れる。

 同時に誰かが背後から走って来る音が聞こえるが、琴乃は構わずに落下に身を委ねる。

 

「琴乃お姉さん!!」

 

「っ!?」

 

 聞こえた声に琴乃は目を見開いて驚くが、後に続いて落下していたリンドは風の力も用いて追いつく。

 そのまま琴乃の身体を抱き締めると、眼下に迫る滝壺を見つめて呟く。

 

「……呪法……『樹界降誕』」

 

 リンドの言葉と共にその呪法は発動した。

 落下していた先の滝壺から突如として木の幹が水飛沫を上げながら出現し、リンドと琴乃に向かって伸びて来てまるでクッションのように二人を受け止めるとそのまま滝に向かって枝のように伸びて二人を激しい水で濡らしながら滝の裏側の洞窟に運ぶ。

 その間にも出現した木は成長を続け、光り輝く葉も出現して大樹へと成長した。そのまま大樹はまるで誰も近づけさせないと言うように滝の水を浴びながら聳え立った。

 

「……これがリンドが受け継いでいる呪法の一端なのね」

 

 聳え立つ光り輝く大樹をツクヨミは、空に浮かびながら静かに見つめるのだった。




遂に1のような鬼畜ショタと2人っきりの状況に琴乃はなりました。
次回は短めでカグツチ達が動けない状況と、琴乃と鬼畜ショタのやり取りを行なって、その次からガッツリ琴乃の処女が奪われて犯されます。
一日以上時間はありますので、これまでの遅れを挽回する予定です。

そして久々の作者の励みの為のアンケート。
『アマテラスが唇と後ろの処女を捧げる場所は?』

1.鬼畜ショタの部屋
2.夫妻の寝所
3.祈りを捧げていた逢引きの湖
4.仲間達と寝泊まりした出雲学園の茶室

以上の四つです。

アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。

  • 琴乃が堕ちた段階で孕ませる
  • 四聖の社全て攻略後に孕ませる
  • サヨ関連終了後に孕ませる
  • イザナミも加え、四人そろって孕ませる
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