IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜 作:イズモ
『そう……ヒカルとツクヨミは、あの『黄泉平坂』に向かったのね』
カグツチ達が出立した後、出雲学園に向かったリンドと青龍達の見送りも終えたアマテラスは佐久夜と琴乃と共に屋敷に戻って、アシハラノクニにいる嘗ての仲間である渚と『宝貝』を使って連絡を取っていた。
本当は佐久夜もリンド達と共に出雲学園に向かいたかったが、今回は表向きは自分達の前に突然現れた本来ならばカグツチ達が向かった『黄泉平坂』に居るはずの『サヨ』の分体と思われる存在の治療と調査。加えて、佐久夜にも秘密にしている桃花の出産があるので、アマテラス達が行くのを諦めさせたのだ。
代わりに佐久夜には、本格的な巫女としての修業を始める事になった琴乃を見るように頼んでいる。
『横笛の精霊武具』を正式に授与された事もあるが、何時繋がってしまっている縁を利用してヒミコが仕掛けてくるか分からない。少しでも安全を確保するために、
無論、アマテラス達は当初は難色を示した。何れアシハラノクニに帰還する予定の琴乃に、これ以上負担を背負わせるべきではないと思ってはいるが、実際ヒミコの干渉に対して抗う為に一番必要なのは琴乃自身の実力が上がる事。
類稀なるどころか鬼才である琴乃ならば、巫女としての正式修業を受ければ短期間で、巫女頭である葉子を含めた巫女衆以上の実力を得る事が出来る。
最終的に現状で必要な事だとアマテラスとカグツチも認めるしかなく、琴乃の巫女としての修業は始まった。
監督役には同じ音術を扱える穂乃香と、巫女と術師として実力を上げた佐久夜が担当している。他にも、
時間があれば巫女頭の葉子とアマテラス自身も琴乃の修業を見る予定でもある。
『それにしてもヒミコって奴、本当に何なのよ? 幾ら青龍達の昔の仲間だって言っても……正直琴乃ちゃんの件があるから許せそうにないわ』
「ヒミコに関しては、四聖獣達は全員敵だと見做しています……それで渚さん、『楓』さんの転生体を名乗るお方は誰か尋ねに来られましたか?」
『今のところは誰も来てないわ。連絡を貰ってから、屋敷で働いている皆や汀にも言っておいたけど、まだ何の連絡も無し』
「そうですか……」
(姉さんは『楓』さんの影を、アシハラノクニに転生した相手に還す術を施した。確実に『楓』さんの転生体が記憶を取り戻す保証はないとはいえ、連絡が無いのは、前世の記憶を受け入れるのを拒絶してしまったからでしょうか?)
ツクヨミの手によって『楓』の影は、確かに来世の下に還った。
だが、確実に前世の記憶を取り戻す保証はない。アマテラスとしてはより詳しく、嘗てのヨモツオオカミと徐福の関係を知りたいので、出来るならば記憶を取り戻した『楓』の転生体が唯一アシハラノクニで連絡が取れる渚に接触して欲しかった。
『まぁ、もう少し待ちましょう。遠い場所で暮らしているのかも知れないし、忙しくて連絡が取れないだけなのかも知れないんだから』
「……ええ、そうですね」
『アマテラスもあんまり気を過ぎない事。大丈夫よ。だって、ヒカルとツクヨミよ。無事に戻って来るに決まってるわよ!』
「……ありがとうございます、渚さん」
大切な夫と姉が兵を率いて危険な地帯に向かった事に不安を感じている自分を励ましてくれる渚に、アマテラスは感謝しながらお礼を告げた。
その後は少し軽い雑談をアマテラスと渚は行なっていく中で……。
『そう言えば、遂に産まれたんでしょう!? 青龍の子供が!』
話題に青龍の子である青蘭についてが出た。
知らされた時には驚いた渚は心の底から驚かされた。何せあの青龍が子を妊娠して、アマテラスの里で養生していると知らされたのだから。
「ええ……出産の時は本当に大変でしたが、無事に青龍は娘である青蘭を産み終えましたよ」
『そう、良かったわ。私も汀を産む時は大変だったし……それにしても青龍がね』
古い友人が、しかも特異な存在である青龍が娘を産んだのだから渚としては本当に驚くしかなかった。
『青龍には私が『おめでとう』って言っておいたって伝えておいてね』
「分かりました」
渚としては『宝貝』越しで直接伝えたいが、アシハラノクニでの仕事が何かと忙しいのでタイミングが合わなければ青龍と話をする事が出来ない。なので、アマテラスに伝言を頼んだ。
アマテラスはそれを快く受け入れ、其処で時間が来てしまい、一先ず渚との通信を終えた。
「ふぅ~……」
(やはり友人との会話は心が弾みますね)
不謹慎かもしれないが、アマテラスは友である渚と会話出来る事が心から嬉しかった。
それと言うのも、アマテラスにはネノクニで友と呼べる相手は数少ない。生れながらにして次の里長になる事が決まっていて、里の誰もがアマテラスを敬っていた。なので、カグツチ達が里に来るまでは友人と呼べる相手がアマテラスにはいなかった。
四聖獣は今では友呼べる相手だが、昔はアマテラスも敬っていた立場だっただけに、渚達と比べるとどうしても劣ってしまう。
そんなアマテラスにとって二度と会話を交わす事が無いと思っていた渚との会話は、密かな楽しみだった。無論、アマテラスは里長であり、渚は彼方で家を継いでるので頻繁に連絡は行なえないが、それでも気心が知れた友人との会話は安らぎを感じさせてくれた。
因みにアマテラス、佐久夜、琴乃の調教はカグツチ達が遠征を無事に終えるまでしない事にリンドは決めた。本来ならばカグツチのいない間に更に三人を己の雌に堕としたいところなのだが、今回は嫌な予感がずっと止まらないので、何が起きても良いようにするために調教は一先ず中断。
リンドの命ならば素直に葉子達は従うので、何事もなくアマテラスは友人との語らいの余韻の心地よさに浸れた。
(ですが、何時までも浸っている時ではありません)
今回の『黄泉平坂』への遠征は以前から決まっていた事だが、ヒミコ側がリンドの一族の遺産の在処を見つけてしまっている可能性も出てきている。
(そうでないと思いたいのは楽観視が過ぎますね……力を失ったヒミコが最も効率よく力を回復させる手段は、かの一族の遺産を見つけて、その身に吸収する事なのですから)
牛頭と馬頭の討伐に加えて、ヒミコが送り込んでいるかも知れない勢力と戦う事になる可能性は高いが、どちらにしても戦場に赴けないアマテラスが出来るのは里を治めて守護する事。
その為に為さねばならない事は多いとアマテラスが思った瞬間……。
ドクンッ!!
「っ!?」
何かがアマテラスの胸の奥底で何かが鼓動を打った。慌てて周囲を警戒するように見回すが、異変らしき物は感じずに困惑する。
もしやと思い、リンドから預けられたままの『八尺瓊』を小箱を開けて確認するが、以前のカグツチとツクヨミが『真の契りの儀式』を結んだ時と違い、『八尺瓊』は沈黙していた。
(……気のせいでしょうか? いえ、確かに何かが起きたように感じた)
アマテラスが感じた異変。その異変を感じたのと同時刻に、『黄泉平坂』の最深部で異変の根源は目覚めた。
だが、その詳細をアマテラスが知るのは一日後。そして知った時には既に……手遅れだった。
「あぅぅ~」
「きゃぅ~」
出雲学園の地上にある教室の一室。何れは子供達用の部屋として使う為に、教室内に置かれていた椅子や机の類は退かされたその教室の中で、事前に転移陣で里から学園に運んでおいた青蘭用の揺り籠に入っている青蘭を、揺り籠の端で身体を支えた李花が覗いていた。
同じ父親を持つ李花と青蘭。姉妹は互いに興味深そうに相手の顔を見ていた。
「青蘭。貴女の姉ですよ。役目は違いますが、仲良くしましょうね」
二人のすぐ傍に居る青龍は慈愛に満ちた微笑みを浮かべながら、その手に握った紙に『転写の術』で光景を写していく。
そして開いてる方の手で、青蘭を見ている李花の髪を慈しむように撫でる。
「李花も、妹と仲良くしてあげて下さいね」
「あいっ!」
「っ!?」
明らかに返答としか思えない李花の返事に、青龍は驚く。
しかし、青龍の驚きになど構わずに、李花はニコニコと微笑みながら揺り籠の中にいる青蘭を見つめる。
「白虎……今のは?」
この部屋の中で自分と共に子供達のお世話をする為にいた白虎に、青龍は顔を向けて質問した。
質問された白虎は、青龍同様に覚えた『転写の術』を使って桃花に頼まれた光景を写した紙を床に丁寧に置いて答える。
「うむ。此処数日ぐらいだが、李花は返事を返すようになった。もう間もなく言葉を発してもおかしくはない筈だ」
「……前に会ってから半月ほどしか経っていないと言うのに……子の成長とは早いものですね」
精霊の血を引いているが故に普通の子供よりも成長が早いのは分かっていたが、それでも離れた期間があっただけに青龍は驚くしかなかった。
(半人半精の李花がこうだとするならば、青蘭はもっと早いのでしょうか?)
成長が早いのは良い事ではあるかも知れないが、青龍としては待望の我が子が自分が考えている以上に早く手を離れてしまうのでは心配になってしまう。
実際、産まれて間もないに青蘭は、四聖としてアマテラスの里の者達を見極めようとしたので青龍の不安はあながち間違っていなかった。
(青蘭を産んだ私が次に子を為せるのは百年後……リンド様の精霊の側面が濃くなった事で寿命が延びたようですが……それは何事もなければの話……数十年後に必ず起きるはずのアシハラノクニの神々との戦を考えれば、恐らく青蘭が私の唯一の子になる)
だからこそ青龍は青蘭の養育に手を抜くつもりはなかった。
二千年の間培った己の技や知識を全て伝え、立派な次代の四聖獣『青龍』へと育てるのが、今の青龍の夢だった。
「……より母の顔となった青龍」
「白虎もその子を産めばそうなりますよ」
未だ膨らみはない、しかし、確かに命が宿っている白虎の腹部に目を向けながら青龍は微笑んだ。
言われた白虎は自らの腹部に手を当てる。リンドや桃花と違い、命に関わる側面を持たないが故に詳細までは分からないが、確かな命の鼓動のようなものを白虎は感じる。
「しかし、青蘭と李花の御守は私だけでも大丈夫ですよ」
「いや、私が地下に居ても出来る事は無い。確かに新たな命の誕生の場を見たい気持ちはあるが、それはやはりこの子が産まれる時で良い」
それこそがこの場に青龍と白虎だけが居て、李花の母親である桃花と二人の子の父親であるリンドが居ない理由。
本来ならば漸くの姉妹の出会いの場に、李花の母である桃花ならば必ず同席する筈なのだが、そうも言っていられない事が起きてしまった。
端的に言ってしまえば、『蔓が産気づいたのだ』。
予定より一日ほど早いが、リンドと青龍達が半日かけて出雲学園に到着するとほぼ同時に蔓が産気づき、急いで出産の準備が始まった。
リンドと青龍、青蘭と共に来た雌犬巫女達と事前に出雲学園にいた雌犬巫女達も伴って、今地下では蔓の出産が始まっている。
李花を産湯に浸からせたのは蔓だったので、今回は桃花が蔓の子を産湯に浸からせるのは決まっていたので、李花を白虎と青龍に預けて、蔓に気を送る役割を担っているリンドと共に頑張っている最中だった。
「無事に産まれてくれればいいが」
「そうですね。霊地の後押しが良いのは、私の件で明らかになっていますから大丈夫だとは思いたいのですが……」
子を産み終えるのに丸一日かかった難産だっただけに、経験者となった青龍でも蔓が無事に産み終えるとは断言できなかった。
(蔓には霊地の問題はありませんから、大丈夫だと思いたいところですね)
青龍の出産が難産になった一番の要因は、霊地からの力の供給不足。
そもそも本来ならば次代の四聖獣の誕生は、本来守護を担っている霊地で執り行うべきなのだが、青龍が守護を担っていた霊地は洞窟の奥深く。
嘗ては洞窟の前に社があったのだが、ヨモツオオカミ率いる悪霊の軍勢との戦いで、当時青龍に仕えていた神官達と共に崩壊した。他の四聖獣の社と違い、洞窟の奥深くに霊地が中心があったので悪霊達も社を壊す事に躊躇いは無く、跡形もなく社はなくなってしまった。
再建しようにも青龍に仕えていた神官達は誰一人生き残りがおらず、結局社の再建は為される事は無かった。
洞窟の中で過ごし、青蘭を産むのを拒否した結果があの難産に繋がってしまった。
(リンド様は一児の子を産んだツクヨミと、ご自身の経験を頼りにしていましたが……)
チラリと青龍は青蘭が入っている揺り籠の横に置かれている別の揺り籠に目を向けた。
その揺り籠は李花と青蘭が使っている揺り籠よりも、少々形が悪いように見える。実際、その揺り籠はリンドが子供達用に作っていた揺り籠の試作品。
本来ならば使わずに破棄する筈だったその揺り籠の中には、青龍の大恩人である二頭身で可愛らしくデフォルメされた『サヨ』が目を閉じて眠っていた。
「白虎。彼女については何か分かりましたか?」
「いや……此処に運ばれて来た時点で危うい状態だったために、桃花が癒し施しただけで終わりにした。ただ普通の分体の類で無いのは間違いない……私達の精霊は影を生み出せても、
「……ええ、その通りです」
そもそも生み出された
その分体から更に新たな分身体を作る事など出来ない。では、危機に駆け付けてくれた『サヨ』は何者なのか。
本来ならば術師として優れているリンドが出雲学園に訪れると共に調べるはずだったが、蔓の出産が始まったので当然後回しにするしかなく、『サヨ』はこの場に運ばれていた。
青龍と白虎は頭を悩ませる。すると、目を閉じてスヤスヤと眠り出した青蘭を見ていた李花が何かに気付いたかのように『サヨ』の入っている揺り籠に顔を向けた。
「あうぅ~」
「李花。どうしました?」
急に声を上げた李花の方に、青龍は顔を向けた。
ゆっくりと寄りかかっていた揺り籠から李花は身体を動かして、そのまま床に手を着いてハイハイで移動を始める。その先にあるのは、『サヨ』が入っている揺り籠。
「あうあう」
「こらこら、眠っている相手の頬を触ったりしては駄目だぞ」
眠る『サヨ』の頬を強く小さな手で押す李花を、白虎が窘めた。
一見すれば愛らしい人形のように思える『サヨ』の事が気になっているのか、李花は興味深そうに眺めて柔らかな頬を押したり、起こすように身体を揺すっている。
「あぅっ! きゃう!」
「いけませんよ、李花」
強くサヨを揺すり出した李花を止める為に、青龍は優しく抱き抱えた。
詳細は不明だが、揺り籠の中で眠るサヨは、紛れもなく青龍にとって大恩人。
サヨが駆けつけてくれなければ、青蘭をその手に抱く事も出来ずに青龍は終わりを迎えていた。故に起こそうとしているのだろうが、李花の行動を嗜めて離れさせようとする。
「……んっ……んんっ……」
『っ!?』
李花を抱えて離れさせようとしたところで、眠っている筈の『サヨ』の目蓋が動き、微かに呻くような声が唇から零れた。
「きゃう! きゅうっ!!」
目を見開いて驚く青龍と白虎と違い、李花は喜びの声を上げて『サヨ』を見つめる。
すると、閉じていた『サヨ』の目蓋がゆっくりと開き、アマテラスの里で見た人ならざる証である縦に瞳孔が開いた龍眼が露わになった。
「……うぅ……
まだ目覚め切れていないような微睡んだ声を出しながら、『サヨ』は顔を動かし、視界に李花を捉える。
「………ああっ……」
李花を捉えた『サヨ』の目から自然と涙が零れた。
今は
その末裔が一人を残して滅ぼされた。赦せるわけがない。だが、
言うなれば『理性』こそが、小さな『サヨ』の中心だった。
だが、どちらの『サヨ』も心の底から自らの末裔を心の底から愛している事に変わりはない。意識は戻っても動かすのも辛い手を震わせながら持ち上げ、李花に『サヨ』は手を伸ばす。
まだ赤ん坊に過ぎない李花が何処まで理解しているのか分からないが、それでも青龍の腕の中から自分も小さな手を伸ばして『サヨ』の手に触れた。
「きゃう!!」
「……ああっ……この身にこんな法外な幸福が訪れるなんて……思ってもいませんでした」
仮初なれど確かに伝わって来る李花の温かさに、『サヨ』は微笑みを浮かべながら涙を流した。
だが、何時までも幸福に浸っている訳には行かないと言うように青龍と白虎に顔を向ける。
「……末裔と『真の契りの儀式』を結んだ四聖獣ですね?」
「はい。青龍と申します。青蘭の出産の時は、本当に助かりました。改めてお礼を申し上げます。ありがとうございます!」
「白虎と言います。
「あうぅぅ!!」
青龍と白虎に続くように、李花まで礼を言うように声を出した。
ホッと『サヨ』は安堵の息を吐く。産まれたばかりの赤子が、親殺しの罪過を背負わずに無事に産まれた事を心から喜び、安堵しているのだ。
(無茶をした甲斐はありました……それにしても名前は青蘭ちゃんですか……出来る事ならすぐに顔が見たい!)
これが本来のサヨならば、無理をしてでも起き上がって這ってでも青蘭の顔を見に行こうとしていた。
だが、『理性』の側面が強い『サヨ』は、断腸の思いで、それこそ内心では血の涙を流しそうなぐらい苦しい思いを抱きながら話を進める。
「……どれぐらい私は寝ていましたか? 後、末裔は何処に?」
「私を助けてくれてから、半月近く経っています」
「主人様は地下で、蔓と言う私達とは別に『真の契りの儀式』を結んだ精霊の出産を手伝っています」
「うぐっ! ……動けないこの身が恨めしいです」
動けたのならば、即座に地下に向かって新たな子の誕生を手伝いたい『サヨ』だが、流石に意識は取り戻せても青龍を助ける為に無茶な事をし過ぎた為に手足は思うように動かず、宙に浮かぶ事も出来なかった。
(か、覚悟はしていましたが……此処まで状態が悪くなったままなんて……術が全く行使できないどころか、宙に浮かぶ事も出来ない……コレでは私には
唯一の幸いは、『呪』が掛かっている桃花がこの場に居ない事だけ。
もしも『サヨ』が目覚めた事が知られれば、『黄泉平坂』で桃花と視覚と聴覚を共有している本体の『サヨ』がすぐにでも動き出していた。
だが、どちらにしてもこれ以上、『黄泉平坂』にいる本体であるサヨと桃花の視覚と聴覚を共有される訳にはいかない。
そう判断した『サヨ』は、今この場で最も力を持っている白虎に問いかける。
「……白虎。出産して間もない青龍に無理はさせられませんが、貴女はまだ力を使えますね?」
「うむ。まだ私は子を為したばかりだから、力の使用には問題はない。だが、何かあるのですか?」
「い、良いですか……桃花には、視覚と聴覚を共有する『呪』は施されています。その『呪』を解呪しなければなりません」
『っ!?』
いきなり驚くべき事実を告げられた事に青龍と白虎は目を見開いて固まった。
精霊である桃花は、術の類に耐性を持っている。その耐性はそう簡単に突破できるものではない。そうだと言うのに『サヨ』は『呪』が桃花に施されていると告げたのだ。
しかも、その事実に桃花本人も、術師として優れているリンドも気づいていない。
もしも、霊脈操作を行なった『サヨ』から告げられなければ、偽りだと青龍と白虎は思ったに違いない。
「た、確かなのですか?」
「ええ……他ならぬその『呪』を施したのは……
『なっ!?』
「今、その『呪』は『黄泉平坂』にいる本体の
「まさか、そんな……」
「だが、貴女は
自分の知る知識から白虎は疑問を述べた。
それは白虎達が知る当たり前の事。だが、その常識を覆す方法を『サヨ』は遥か昔に編み出してしまった。
「いいえ……蘇ったんです、
「……そんなことが……」
信じられないと言うように青龍は呟き、白虎も呆然と『サヨ』を見つめる。
だが、それ以上に信じられない事が今、『黄泉平坂』では起きていた。
「そして『黄泉平坂』にいる本体の
「あの方? それは一体誰なのですか?」
明らかに強い敬意が込められていると分かる『サヨ』の声音に、青龍が質問する。
『黄泉平坂』で起きている異変は、牛頭と馬頭が引き起こしていた異変を遥かに超えるものと変貌してしまって入る事は青龍と白虎も察した。
其処に加えて更なる異変。しかも一族の次期当主候補筆頭だったリンドも知らないかの一族の秘密まで関わっている。一体それは何なのかと二人が不安を感じる中、『サヨ』は口にした。
「………
それは在りえるはずが無い事。先代のネノクニの神であるイザナミは、アマテラスとカグツチに役目を受け継がせて旅立った筈。
だが、青龍と白虎は不思議とそれが事実なのだと察し、驚愕の余り言葉も出せずに固まるしか無かったのだった。
次回で琴乃編を終わらせて、アマテラスとの契りの儀式に向けて動き出します。
新たなアンケートの内容を此方にも書いておきます。
『社の攻略』
1.青龍の社(佐久夜番堕ち)
2.玄武の社(玄武番妊娠堕ち)
3.白虎の社(天目一箇妊娠番堕ち)
4.朱雀の社(朱雀番妊娠堕ち)
となります。
アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。
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琴乃が堕ちた段階で孕ませる
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四聖の社全て攻略後に孕ませる
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サヨ関連終了後に孕ませる
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イザナミも加え、四人そろって孕ませる