IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜 作:イズモ
どうしてもアマテラスと佐久夜を一緒に犯そうとすると、社に行く前に番堕ちしてしまうので、改訂する事になりました。
前半は変わっていませんが、後半の内容が違います。
そしてすぐに3も投稿して、改訂前は本日の0時頃に削除します。
シャッシャッと何かを研ぐ音が部屋の中に響いていた。
部屋の中は術で照らされているのか明るい。その明かりが照らしているのは、詳しく知らない者でも畏敬を覚えてしまいそうな気配を発する武具の数々。それらは上位の存在である精霊が、自らの血を引く子らの為に遺した『精霊武具』。
その精霊武具が置かれている部屋の中心で、無心と言った様子で武具の手入れを行っているのは、黒衣と血のように赤い袴を纏ったサヨだった。
憎しみと怒りに支配され、『理性』を切り捨て、怨霊と成り果てていながらも、『精霊武具』の手入れを行なっているサヨの顔には慈愛に満ちていた。
『精霊武具』は自身の手元になかった物も含めて、サヨにとって末裔と並ぶ大切な代物。故に雑に扱っていたカグツチの兵士達から
武具の手入れには一切手を抜かないと言った様子で扱っているサヨに、すぐ傍に置かれていた
その音を聞いたサヨの手が止まり、持っていた精霊武具を丁寧に置いて『宝貝』との通信を繋ぐ。
「愚か者達への宣戦布告は行なったわ」
『おっ! それじゃあ、お袋様! すぐに潰しに行こうぜ!』
『早合点は行けませんよ、『篭手』』
『ええ、『薙刀』に同感です。気持ちは充分に分かりますが、イザナミの御方様が回復されるまでは動くべきではありません』
『んっ。『扇』と『薙刀』の言う通り。イザナミ様に無茶はさせられない』
『……ああっ! 分かったよ! 確かにイザナミに無茶はさせられねぇしな』
不満そうにしながらも、好戦的だった筈の『篭手』と呼ばれた女性は渋々同意した。
サヨ同様にヒミコへの復讐を優先したい彼女達にとっても、イザナミは敬意を抱く存在。ただでさえ回復し切れていない状態で目覚めているのだ。此処で更に無茶をさせてしまえば、二千年に渡る一族の悲願が果たされなくなってしまう。
無茶をさせて万が一の事が起きてしまえば、役目を託してくれたサギリ達に合わせる顔が無い。
「イザナミの御方には一月ほど休んで貰うわ。貴女達はその間に、私達の血を引くを新たな四聖獣の子らの為にも社の防衛強化に専念しなさい」
ネノクニに悪影響が起きる事は、最早サヨ達には構わないが、同時に大切な子孫達の為にも動く。
一見すれば矛盾しているように思えるが、根幹は何も変わっていないのだ。
『分かりましたわ、義母上様。玄武の社に思うところも多々ありましたから』
『実際、白虎の社は酷いものでした。あっさりと社の中心に辿り着けましたもの』
『朱雀の社も、結局社の中に入って惑わせる代物だったぜ。面倒だから惑わしの結界をぶち抜いてやったら、慌てて朱雀本人が出張って来て、ぶちのめしてやったよ』
『んっ……青龍の社の防衛も不備すぎ。本人が来れないから、防衛用の影が最大になっていたけど、簡単に奥に潜入出来た』
『宝貝』の向こう側にいる者達とサヨは溜め息を溢した。
四聖の社はこのネノクニにとって重大な場所。その場所を掌握した者達が言えた事ではないが……余りにも簡単に奪え過ぎて拍子抜けだったのが本音だった。
『社を奪った身の私達が言うべきではありませんが、これでは次代の子らが苦労するのは目に見えています』
「ええ、困ったものね」
桃花の目を通して見た青蘭の顔をサヨは思い出す。
愛くるしさしか感じられない青蘭。その青蘭が将来、四聖の社で苦労するなど考えるだけでサヨは気が狂いそうになる衝動に駆られる。
(忌々しいアレが私の中にない影響ね。すぐに激情になってしまうわ)
ただでさえ怨霊の身に堕ちているが故に感情が昂ぶりやすくなっているところに加え、『理性』の部分を切り捨てた弊害。
下手をしなくても湧き上がって来る憎悪に呑み込まれそうになるが、サヨは部屋の中にある
「ふぅ~……忌々しいアレがいないのも不便なものね」
『忌々しい? ……ああ、もう一人の義母上様の事ですね』
『ああ、お袋様の『理性』の事か……いや、聞いた時は驚いたぜ。お袋様に『理性』なんて在ったんだなぁって』
『そうですわね」
『んっ。驚愕』
「義娘達。私を何だと思っているのかしら?」
『『『『一族最恐の家族主義者』』』』
「くっ!」
自身でも分かっている指摘にサヨは呻く事しか出来なかった。
ほんの僅かだけ笑いの時が訪れた。だが、それはほんの一瞬の出来事。今の彼女達には和やかな一時に浸る事は無い。
「とにかく、それぞれ社の防衛の強化に専念しなさい。『八尺瓊』も社の防衛強化を中心に動くなら、すぐに私達を葬らないわ……アレはそう言うものなのだから」
『八尺瓊』に宿る意思は、二つの世界の存続を何よりも優先すると言う強固な意志。
『八尺瓊』をイザナミが生み出した時、与えられた意思は何処までも冷酷で機械的なものだった。
二千年の時が経過した事で、完全な機械的思考ではなくなったようだが、それでもネノクニを守護すると言う意志は変わっていない。新たな一族をリンドに築かせる為に、現在のネノクニの神であるアマテラスに一族の子を孕ませようとしている点から見ても、手段を選んでいる余裕が無いからだ。
つまり、現在『八尺瓊』が積極的にサヨ達を害しないようにしているのは自身の大元であるイザナミの事もあるが、巡り巡って四聖の社の強化を行なうのならばと言う考えがあるからだ。
「宣戦布告し、私とイザナミの御方の場所が分からない以上、あの愚か者どもは先ず四聖の社を解放しようとする筈だわ。だから、迎え撃つ準備も兼ねて防衛強化を急ぎなさい」
『分かりました』
『了解っと』
『ええ』
『んっ』
「特に『弓』。末裔は貴女のところの解放を優先するから急ぎなさい」
『んっ。分かった』
『弓』と呼ばれた者の声は何処か弾んでいた。
リンドが自身を止めようとしているのは分かっているが、それはそれとして大切な末裔に会える事には喜びしかない。
『義母様から預かっている式神と社の影を総動員して動く』
「頼んだわよ、『弓』……では、各自社の防衛に暫らくは専念しなさい」
四つの『宝貝』から返事が上がり、通信が切れる。
それを確認したサヨは、部屋の中に置かれている『精霊武具』の数々を眺め、最後に懐に手を入れて四枚の紙を取り出す。
四枚の紙に精緻且つ美麗に描かれているのは、リンド、李花、青蘭、そして樹理の姿だった。まるでアシハラノクニのある写真のように色までついているその紙をサヨは心から嬉しそうに眺める。
「フフッ、『転写の術』……とても良い術を末裔は編み出してくれたわね」
桃花と視覚と聴覚を共有していた時、サヨは『転写の術』の存在を知り、桃花が使用している様子を共有して自身も扱えるようになっていた。
(事が落ち着いたら、末裔達一人一人を『転写の術』で姿だけでも遺しておきましょう)
本来ならば今すぐにでも実行したいところなのだが、サヨにはやらなければならない事が多い。
「『
そうサヨは呟くと共に、再びカグツチの兵達から
屋敷のアマテラスの執務室。
其処には正座をしている佐久夜とリンドに、上座に座るアマテラス、巫女頭である葉子に加え、四つの社の襲撃者を知っている出雲学園にいる小夜や青龍と繋がっている『宝貝』と『黄泉平坂』にいるカグツチとツクヨミと繋がっている『宝貝』もあった。
この場に一同が揃っている理由は一つ。『黄泉平坂』ごと封印されてしまった里の兵達と、サギリから受け継いだ空間に逃れる事で封印から逃れる事は出来たが、其処から出られなくなってしまったらカグツチとツクヨミ、そして封印された兵達の救出に加え、本格的に『サヨ』の手勢に占拠された四聖獣の社の解放の為だった。
「では、改めて現状と今後の対策について話しましょう」
アマテラスの言葉に佐久夜とリンドは頷く。
二つの『宝貝』の向こう側にいる者達も同意するような息遣いが聞こえて来た。
「先ず里の方ですが、緊急事態という事でリンドに『樹界降誕』を使用して貰っています。此方に関しては青龍に使用していた若木状態ですが、里に何かあればすぐに大樹に成長出来るようになるそうです」
『……そうか』
『まぁ、仕方がないわね』
『黄泉平坂』と繋がっている『宝貝』から険しいカグツチとツクヨミの声が聞こえて来た。
結界系と言う特異な呪法である『樹界降誕』は、強力な反面、巨大な光り輝く大樹を出現させる為に非常に目立ってしまう。それ故に『樹界降誕』の存在は、アマテラス達の本来の敵であるヒミコ側も知っているのだから、光り輝く大樹を目撃されてしまえば、かの一族の生き残りが居る事を知られてしまう事を意味する。
故に現状では若木状態の『樹界降誕』を発生させ、緊急時に大樹状態に成長させる事になった。それはリンドの意思次第で自由に成長出来るので、悪霊の軍勢が里を襲う様子が無い限り若木状態を維持している。序でに言えば、真の覚醒を果たしているので、若木状態でも既に里全体の植物に影響を与えて並みの悪霊では近づく事も出来ない防衛結界と化していた。
これで里の安全は護られるが、事情を知らない里の人々の事を考えれば、やはり兵達が出兵している中で巫女達を多数派遣する事は出来ない。どちらにしても奪われた四聖の社の解放には少数で挑むしかない。
『里の方は分かったわ。それでこっちの報告だけど、先ず予備の要石らしき物を一つ見つけたわ』
「っ! そうですか!」
「やった!」
アマテラスと佐久夜の顔に喜びが浮かんだ。
小夜の話では複数予備の要が用意されているそうだが、それでも幸先よく一つ目が見つけられた事は喜ばしい報告だった。
リンドと葉子も表面上は良い事が起きたと言うように顔を綻ばせる。だが、それはそれだけで終わる事が無い事を悟っているからだった。
『……ただ、この予備の要石を調べて見たら、かなり凶悪な術式が刻まれていたのよ』
「凶悪な術式? 姉さんそれは一体?」
『ああ……ツクヨミの話だと、予備の要石を破壊した場合、封印の要になっている麒麟に破壊した石の衝撃が伝わるようになっているそうなんだ』
『つまり、予備の要が破壊されればその苦痛を石になっている麒麟は味わう事になってるのよ』
『っ!?』
ツクヨミが告げた凶悪な術式にアマテラス、佐久夜、葉子は目を見開く。
だが、暴走している『サヨ』ならばそれぐらいはすると分かっているリンドと『理性』である小夜は納得していた。
『流石は私の本体。用意周到に準備しています』
幾ら凶悪な術式が施されて居ようと、小夜にとっても麒麟は怨敵の一人なので同情心は全くない。
あくまで小夜はネノクニへの悪影響を危惧しているだけで、麒麟の身体や精神がどうなろうと構わない。
『青龍。一応確認するけど……』
『壊して構いません、ツクヨミ、カグツチ。麒麟は既に敵なのですから。貴方達と兵達の解放を考えれば天秤にかけるまでもありません』
一切の同情もなく青龍は予備の要石の破壊を受け入れた。
『麒麟はネノクニに来た時から、徐福と共に私達を謀っていたのです。この件に関しては
『白虎って? まさか!? 無事なのか、白虎は!?』
「本当なんですか、青龍様!?」
カグツチだけではなく事情を知らなかった佐久夜も驚いたように出雲学園と繋がっている『宝貝』とアマテラスに目を向ける。
「ええ、この会話で報告するつもりでしたが、昨日の夜に白虎が『アシハラノクニの学び舎』に現れたそうです。負傷は負っていたようですが、桃花さんのおかげで大事には至らずに済んだと青龍から報告が来ました」
『うむ、その通りだ』
アマテラスの言葉を肯定するように件の白虎の声が『宝貝』から聞こえた。
『白虎!? 無事だったんだな!?』
「白虎様!? 良かった!」
安否が分からなくなっていた青龍を除いた三人の内、白虎の無事が確認出来た事にカグツチと佐久夜は喜びの声を上げる。
『心配をかけて済まなかった……とは言え、済まない。何とかこの身は無事だが肝心の社とイッコが社を占拠した者の手に落ちてしまった』
『いや、白虎が無事だっただけでも良かった。それで白虎の社を占拠した相手はどんな相手だったんだ?』
『うむ。『
言うまでもないが、白虎は社を占拠した相手とは相対していない。
小夜からの情報を基に、つじつまが合うような作り話をしているだけでしかない。だが、それが分かっているのはリンド、ツクヨミ、青龍、小夜、葉子、そして
『危うく囚われそうになった時に、イッコが風を撒き散らして私が逃げる隙を作ってくれた……力が及ばず、社を護り切れなくて済まない』
「いえ、白虎。貴女だけでも無事を確認出来た事は重要です。それに敵が貴女を捕らえようとしたという事は、玄武と朱雀も捕まっているだけの可能性も出て来たのですから」
『まぁ、その辺りは当然でしょう。本体とあの子達の目的には、先ず間違いなく青蘭ちゃんのように四聖獣の役割を次代に引き継がせる事も含まれているでしょうから』
「っ!? そ、それって、もしかして……リンドと……その……」
『『真の契りの儀式』を結ばせて子を孕ませる事を目論んでいるでしょう。末裔は力が増しますし、本体とあの子達からすれば役割は違っても自分達の血を引く青蘭ちゃんのように強い次代の四聖が産まれる訳ですからね』
『い、いや、流石にそれは……』
何気ない様に言う小夜の推論に、カグツチと佐久夜は言葉を失ってしまう。
カグツチはアシハラノクニの常識から。佐久夜は想い人である少年が、他の女性と子を為そうと、或いは子を産ませようとしている者達がいる事から。
『先に言っておきますが、青蘭ちゃんが産まれた時点で次代の四聖達は必ず全員誕生させなければなりません。そうしないと、四聖のバランスが崩れてネノクニの安定に影響が出てしまいますからね。それに本来四聖の盟約は破られてしまった時点で、果たさなければならない事柄なんですから』
『…………』
小夜の言葉に一同は言葉が出せなかった。
盟約を破ったのは四聖獣達本人ではなく、嘗ての仲間であるヒミコと徐福ではあるが、それも含めて四聖獣になる前の青龍達は受け入れて盟約を結んだ。
二千年経って時効となるような甘い盟約では無いのは、青龍の件から明らか。何よりも青蘭と言う次代の四聖の一角が産まれてしまった以上、残る三人も自分達の跡を継ぐ四聖を産まなければならない。カグツチ達にとって残念な事だが、この点に関しては小夜も暴走している本体達と同じ考えを持っている。
尤も既に白虎は盟約を果たし、次代の白虎となる命をその身に宿しているのだが、その事を知らないカグツチと佐久夜は深く思い悩む。
『その件に関しては後日にしましょう。それよりも、小夜と呼んで良いのよね?』
『構いませんよ、ツクヨミ。それで何ですか?』
『四聖の社を占拠した連中に関して、改めて詳しく話して欲しいわね』
『分かりました。先ず四聖の社を占拠した者達は、全員私の義理の娘達です。正確には精霊武具化した時に影のように通常の『精霊武具』よりも強い意志と記憶が宿るように調整を施していました。他の家族達にも内緒に行なった事なので、その調整を施したのは義娘達
『五人ですって?』
訝し気な声を出したツクヨミに続くように、事情を知っているリンドを除いたアマテラス、葉子、佐久夜も顔に疑問が浮かんだ。
今のところ、確認出来ているのは『サヨ』を含めて四聖の社を占拠した者達に加え、イザナミのみ。『黄泉平坂』を封印する大儀式封印には四聖の社に加えて、それぞれの社の属性に一致する
回収されてしまった『精霊武具』から新たな存在が敵として現れる事が無い事が分かったのは良い報告だが、それでも一人数が合わないのだ。
「では、小夜さん。四聖の社を占拠した四人以外と貴女の本体、そしてイザナミ様以外にもう一人、敵がいるという事でしょうか?」
そうとしか思えずアマテラスは『宝貝』の向こう側にいる小夜に質問した。
『いえ……五人目の義娘はどうやら本体達の考えに同調していないようです』
『何でそう言い切れるのかしら?』
『貴女が『精霊武具』を所持したままだからですよ、ツクヨミ』
『はっ? ……ま、まさか、貴女が言ってる五人目の娘の意思が宿っている『精霊武具』って……』
『貴女がサギリお婆様の影から拝領した『大地の精霊が鍛えた一刀』の精霊武具こそが、五人目の私の義理の娘の意思が宿っている物です』
『っ!?』
小夜の説明にツクヨミ達は息を呑み、『黄泉平坂』に居るツクヨミは慌てて己がサギリから受け継いだ『刀の精霊武具』を顕現させて警戒しながら確認する。
『この『精霊武具』に貴女の義理の娘の一人の意思が宿っているって言うの!?』
『ええ……元々は私達が影でも頭が上がらないサギリお婆様に怪しまれない為に潜ませていたんですが……相当貴女の事が気に入ったのか、本体の呼びかけにも応えずに手元に残っているなら、本体達の考えに同調しなかった何よりの証拠です』
考えに同調しているのならば、サヨが『黄泉平坂』で兵達から『精霊武具』を回収した時にツクヨミの手元から離れていた。そうならなかったと言う事は、五人目の小夜の義理の娘が敵として姿を見せる可能性は低い。
『強い意志が宿っているだけに、通常の『精霊武具』よりも認められていても簡単には力を取り込めません。その子の力を完全に貴女が取り込む時は、意思を屈服させる必要があります』
『……そう……分かったわ』
ずっと疑問に思っていた使いこなせている筈なのに、正体が分からなかった最後の強固な壁の正体を遂にツクヨミは知った。何をすればいいのかも自ずとわかる。
『精霊ツクヨミ……その子は
『分かってるわ……リンドも良いわね?』
「それがそのご先祖様の意思なら、僕は何も言いません」
サギリの影や他の先祖の影達が消えるのを受け入れたように、リンドはツクヨミがしようとしている事も受け入れた。
正座をして膝の上に置いているリンドの震える手に佐久夜はソッと自身の手を乗せる。アマテラスは何も言わずにソッと微笑みを浮かべた。
だが、すぐに顔を戻して小夜に話の続きを促す。
「それで小夜さん。私達は先ず里に一番近い青龍の社から解放しようとしています。青龍の社を含めて、残る社を占拠している者達に関して話して下さい」
『分かりました……先ずですが、既にあの子達は全員名を失っているので、精霊武具の形状で呼ぶようにしています。これは名を失う事で『精霊武具』を生み出すからです。そして青龍の社を占拠している子は『弓』です。最上位の『木』属性の義娘で、風で出来るあらゆる事があの子は出来ます。風を纏って自身の姿を屈折させて、姿を消したり、妨害なんかも可能ですね。そして一番厄介なのは自分を偏在させて、複数の自分を存在させる事ですね』
『……厄介ですね。私も風を操れますが、主に使うのは自然の驚異の現象ですから』
破壊力と言う点では、青龍の方が上回っているのであろうが、その点以外では今、青龍の社を占拠している『弓』の方が優れていた。
『それと、青龍の社に向かう道中の異変は、あの子の精霊としての力ではなく、霊脈を利用した空間変異の術ですね』
「霊脈を利用する術ですが……」
小夜の説明にアマテラスは僅かに顔を顰める。
霊脈が乱れれば、それだけで悪霊が発生しやすくなってしまう。故に霊脈の乱れを感知すれば、すぐに乱れを治す儀式を執り行うのがこれまでのアマテラス達の行動だった。
だが、つい先日小夜が青龍を救う為に使用した霊脈を利用する術は、アマテラスとツクヨミの目から見ても驚くほどに乱れは生じていなかった。この時点から見ても、リンドの一族はネノクニでは知られていない様々な術を保持している事は明らかだった。
『という事は、無理やり破ったりすれば霊脈が逆に乱れる訳ね』
『ええ、その通りですよ、ツクヨミ。因みに四聖が管理している霊脈の後押しを受けている空間変異を打ち破るのは、現実的に不可能に近いです。幾ら怨敵が強大でも、ネノクニの一端を相手にするのは無理です』
それが出来れば、アマテラスとカグツチと戦わずにヒミコはネノクニを崩壊させている。
しかし、それは同時にアマテラス達も青龍の社を中心として発生している里付近にまで及んでいる異変を破れない事を意味していた。
「……空間変異を突破して社に辿り着くしかないという事ですね」
『ええ、その通りです……話を進めますが、次の玄武の社を占拠しているのは『扇』です』
(っ!? やっぱり『扇の精霊武具』だったんだ!?)
小夜の言葉に話を聞いていた佐久夜が反応する。
以前、玄武の社を占拠した者の所持していた武具らしき物からもしかしたらと佐久夜は考えていたが、その可能性は当たっていた。
里に齎された数々の『精霊武具』だが、『扇』を扱い、舞を主体とした戦い方を主としているが為に、佐久夜は『精霊武具』を扱えなかった。今は鍛え直された鉄扇で戦っているが、どうあっても『精霊武具』として見劣りしてしまう。
『玄武の社を占拠している義娘は、元々はアシハラノクニで稀代の舞の踊り手でした。あの子の舞はあらゆるものを魅了し、何時の間にか精霊へと己を昇華させたんです。もう分かっているでしょうが、あの子が舞えばどうあっても魅入ってしまい、気がついた時には虜になっているでしょう。それは自然も上位の存在も含めてです』
『……玄武とは相性が悪過ぎますね』
『うむ』
玄武の戦い方を知っている青龍と白虎は、その相性の悪さを悟り、戦った事があるカグツチとアマテラスも同意するように頷いた。
本性が亀の神獣ゆえに、玄武は基本的に相手の攻撃を強固な防御力で受けて反撃して戦うやり方を主としている。言うなれば待ちの戦い方。序でに言えば最上位の存在である四聖獣ゆえに、魅了と言った精神攻撃が効いた事が無い。だが、今玄武の社を占拠している『扇』は、そう言った耐性を無効化してしまうのだ。
『玄武の事だ。自分の領域で試練でもない相手ならば、何をして来ても対処できると油断したのであろう』
とは言え、相手がまさか耐性を突破して魅了する力を持っているなど考え難いので、玄武を悪く言い切れない。
実際、青龍も白虎も相手の力をこうして教えられたから言える事であり、もしかすれば自分達も『扇』に魅了されていた恐れがあるのだから。
『次に白虎の社を占拠した義娘の話になりますが、あの子は『薙刀』。元はアシハラノクニで作り出された武器の化身だった娘です。元々は外敵が所持していた神聖を纏った武器だったんですが、返り討ちにして私の三番目の息子が扱っていたら、そのまま精霊化してしまいました』
力を宿した武具が、意思を持つ事はネノクニでは当たり前の事なので、その類から精霊へと至る事もある。
『白虎の説明から聞くと、雷よりも金属類を扱えるようみたいだったが』
『その通りです。あの子は雷は扱えません。その代わり物づくりに特化していて、鉱物の類を操ったり発生させる力を持っています。そして最大の力は自らの依り代である『薙刀』を振るい、あらゆるものを薙ぎ祓う力ですね。術による効果まで祓えるので、あの子と戦う時は『薙刀』を振るう時に術や力を使ってはいけません』
それは術師にとっての天敵であるという事を意味していた。
幾らリンドが術師として優れ、身の内で眠っていた力が完全に目覚めていても、相性が悪過ぎる。少なくとも何らかの対抗手段を得るまでは迂闊に攻められない。
ましてや四聖獣に匹敵する力を持った台風の化身の精霊である天目一箇が囚われて、その力を利用されているのだから。
『最後の朱雀の社を占拠している義娘は、『篭手』。既に予想されているでしょうが、あの子は火山の噴火と共に発生した精霊。しかも霊山富士の噴火で発生した子です』
『富士山の噴火だって!?』
アシハラノクニとネノクニ。二つの世界。どちらにも『富士山』は存在している。
その噴火は地形を変えるほどであり、どちらの世界でも形は変わっていても有名な山。その山の噴火から発生した精霊ならば、当然強大な精霊として産まれるのは当たり前だった。
『そしてあの子は火喰らいでもあって、どんな炎でもあの子は喰らって己の力に変えてしまうんです。しかも『篭手』から分かるように、格闘が得意中の得意です』
『此方も朱雀とは相性が最悪ですね』
『炎が通じないばかりか、格闘も得意となれば尚更だ』
普段の言動からは分かり難いが四聖獣最強なだけに、朱雀は武術を使った戦いも得意としている。
だが、最大の力である炎が通じないばかりか、相手の力になってしまう上に、武術の類も相手が優れている場合は真っ向勝負に持ち込まれるしかない。
そして社が占拠されたとなれば、朱雀の敗北は先ず間違いなかった。
「……どの相手も容易ならざる相手なのは分かりました。ですが、私達は何があっても四聖の社を全て解放し、もう一人のサヨさんやイザナミ様達がヒミコを討伐するのを何としても止めなければなりません」
ヒミコはアマテラス達にとっても敵ではあるが、今だけは討伐してしまう訳にはいかない。
最低でも一年近く先の未来で琴乃をネノクニに召喚させるまでは。それが無ければ寧ろもう一人のサヨに協力したいところなのだ。
「先ずは青龍の社を解放します。この社を占拠している者が、『宝貝』の妨害を行なえるそうなので。この任務にはリンド、佐久夜、そして巫女二人に赴いて貰います」
リンドと佐久夜は里にとっても重大な人物だが、相手を説得できる可能性があるのはリンド。
そして佐久夜は社を解放後に、青龍と青蘭が赴くまでの間、共に向かう予定の巫女二名と共に霊脈の安定を担う鎮静の儀式を行う為に。
『リンド、佐久夜……二人とも頼んだぞ』
『はいっ!』
カグツチの声にリンドと佐久夜は、揃って力強い返事を返した。
こうして方針が決まり、翌日にリンドと佐久夜は護衛役を担う二人の巫女と共に旅立つ事が決まったのだった。
アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。
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琴乃が堕ちた段階で孕ませる
-
四聖の社全て攻略後に孕ませる
-
サヨ関連終了後に孕ませる
-
イザナミも加え、四人そろって孕ませる