IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜 作:イズモ
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里を出立したリンド、佐久夜、護衛役のいぶきとなずなは青龍の社がある地を目指して歩いていた。
本来ならば長距離という事で馬などに乗っていくべきなのだが、里近くまで空間変異が起きているために下手に馬に乗って移動すると小回りがきかずに里付近にまで戻ってしまう恐れから、徒歩での移動となった。
因みに一番の近道である里付近の川を下っての移動は、一番警戒されているのかどんなに川を下っても上流の方に移動させられてしまうので当てにならなくなっていた。
「それでリンド。改めて青龍様の社を中心とした異変について話してくれるかしら?」
そう、質問を最初にしたのは薙刀を携えた今回の任務に護衛役として同行している長い金髪に左の耳辺りに白と赤のリボンを付けている少女『なずな』だった。
しっかり者で知られるなずなは、異変が起きている範囲に辿り着くまで改めて詳細を確認する為にリンドに質問した。
立場的には今ではリンドは里でも重要人物だったが、事前に呼び捨てにして構わないと言われていたので普通になずなは名を呼び捨てで呼んだ。因みに佐久夜の方は変わらずに敬称付けで、その代わりにリンドが名を呼び捨てにしても構わないと言う事になっていた。
余計な言葉が付かずに、リンドに名を呼んで貰える事に佐久夜が喜んだのは言うまでもない。
質問されたリンドは頷くと、歩きながら説明する。
「先ずこの空間変異ですけど、幾つもの迷路の層が出来ていると思って下さい」
「迷路って? じゃあ、入り口や出口があるって事なん?」
「うん、そうです、いぶきさん」
腰に剣を携えた長い黒髪の巫女である『いぶき』の問いに、リンドは答えた。
「もう少し近づいて見ないと詳細は分かりませんが、多分最初の迷路の層には沢山の帰還系の罠が仕込まれているんだと思います」
「帰還系の罠!? それって何!? どんな罠なの!?」
自他ともに罠作りが大好きで知られている佐久夜が、聞いた事のない罠の話が出て思わず目を輝かせながら質問して来る。
その様子になずなといぶきは苦笑を浮かべる。実は術を用いた罠に関しては、里に齎されたリンドの一族の遺産の中にあった巻物に詳細が記されていたのだが、佐久夜には秘密にされていた。
佐久夜が知れば確実に試す事が分かっていたアマテラス、カグツチ、ツクヨミが、危険かも知れないと判断して隠していたのだ。
「え~と、簡単に言うと『帰還術』って言う術があってね。危険な場所に向かう時には、必ず一族の皆が用いていた術なんだよ……高度な術だけど、精霊のご先祖様なら使えるから、その術を罠と言う形で配置したんだと思う」
「という事は、これまで調査に向かった皆が里付近に戻って来たのは……」
「その罠に嵌まったってことかぁ。ウチらも気を付けへんとなぁ」
もしも罠に嵌まってバラバラになるような事になったら、合流するのが難しいどころか任務失敗になりかねない。
「だけど、これはあくまでの最初の層の話だから、次の層からは勾玉を使用した罠も敷かれているかもしれません」
『苦玉』を使用した毒の罠。
『夢玉』を使用した眠りの罠。
『忌玉』を使用した呪いの罠。
『迷玉』を使用した混乱の罠。
『速玉』を使用した鈍足の罠。
『闇玉』を使用した盲目の罠。
その他にも術で相手を何処かに移動させてしまう『転移の罠』や攻撃系の勾玉を使用した危険な攻撃系の罠の存在をリンドは説明していく。
「そ、それってどうやって仕掛けるの!?」
罠マニアの面がある佐久夜は、是非自分で試してみたいと目を輝かせた。
「今日の夜に教えるよ。今はとにかく最初の層だけでも突破しないと。青龍の社の霊脈を利用しているから悪霊の影や獣にも気を付けないといけない」
「そうね。佐久夜様も詳しい話は夜まで待って下さいね」
「う、うん」
ソワソワとしながらも佐久夜は頷き、四人は青龍の社がある方角に向かって歩いて行く。
そして深い森が続く場所まで辿り着いた。
「本当だったらこの森を馬で進めば、二日ぐらいで青龍様の社に辿り着けるんだけど」
「なんか不気味やね……知っとる森の筈なのに、全然別の森になっとるように感じる」
本来なら森から聞こえて来る騒めきのような音さえも聞こえてこない。
だが、霊力を持つ四人は異様な気配が途轍もなく広範囲で発している事をヒシヒシと感じていた。
「……じゃあ、急ごう!」
ぺきっ!
「えっ?」
意気込んで足を一歩佐久夜が踏み出した瞬間、何かに引っ張られると共に視界が上下逆さまになった。
「ええええっ!?」
両足に絡みついた紐に持ち上げられ、佐久夜は上下逆さまに揺れ動いていた。
「……リンド、一応聞くけど此れって?」
「多分、空間が歪んでいるから里の誰かが森に張った罠が丁度此処にあったんだと思います」
「……この罠って見覚えあるんやけど……もしかして罠仕掛けたのって」
なずな、リンド、いぶきは頭上で揺れ動く恐らく罠を仕掛けたであろう犯人を見つめる。そしてその考えが正しい事を証明するように犯人が自白する。
「どうして
空間が歪んでいる事で、移動していた自分が仕掛けていた罠に佐久夜はまんまと嵌まってしまったのだった。
だが、この時に一瞬地面に映る佐久夜の影が揺らめいていた事に、
(今のは……まさか……)
静謐な音楽が机に敷かれた布の上に置かれている『宝貝』から聴こえていた。
それを聴くのは四人の精霊とその子供達、そして小夜。青龍の腕の中でその娘である青蘭は微笑み、産まれる前から聞き惚れていた音色に心から安らぐ。
桃花の膝の上に座って聴いている李花も、その音色に微笑みを浮かべて楽し気に身体を揺らしていた。
まだ産まれたばかり故に揺り籠の中にいる樹理は、母である蔓に見守られながら子守歌代わりに聴いて安らかに眠っていた。
白虎は慈しむように自らの腹部を服越しに触れながら音色を聴き、最後の小夜は過去の出来事でも思い出しているのか、瞳から涙を溢しながら聴き入っていた。
(あ、あの横笛を受け継ぐ者が現れたばかりか、此処まで使いこなし、あの子の音色を完全に自分のものにしている……これほどの逸材は絶対に一族に迎えないといけません!)
一族への愛が深いが故に、別れた本体である『サヨ』と同様に小夜も『精霊武具』の扱いには厳しい。
その小夜から見ても、『宝貝』の向こう側で『横笛の精霊武具』を使って音色を奏でている琴乃に関しては心の底から認めるしかなかった。
やがて奏でられる音楽は終盤へと至り、演奏は聴く者を全てを魅了しながら演奏が終わった。
「きゃうぅぅぅっ!! きゃううっ!!」
「だあぁぁぁっ!! あうぅぅぅっ!!」
演奏が終わると共に静かに聴いていた青蘭と李花は、喜びを表すように声を上げた。
そんな二人の様子を母親である青龍と桃花は微笑まし気に見つめながら、『宝貝』の向こう側で演奏を終えた琴乃に心からの感謝と称賛を送る。
「琴乃。本当に見事な演奏でした。長い時を生きた身ですが、此処まで素晴らしい演奏を奏でられた者は少なかった。貴女はその中でも一番の演奏家だと言えます」
「ええ、本当に。思わず聞き惚れてしまいました」
「私も同感です。とても素晴らしい演奏を娘にも聴かせる事が出来ました」
「うむ。素晴らしい演奏だったぞ、琴乃」
『あ、ありがとうございます』
超常の存在から贈られる惜しみのない賞賛に、『宝貝』の向こう側から戸惑うような、しかし何処か誇らしげな琴乃の声が聞こえた。
琴乃本人からすれば普通に奏でているつもりなのだろうが、既にその身はネノクニ内でも随一と呼んで良いほどの演奏家となっていた。元々の兼ね備えていた演奏家と巫女としての才能。内容は違くても、カグツチ同様に長い歴史の中で洗練されたアシハラノクニの技術。
そしてネノクニで得た技術や霊力の扱い方なども
巫女としての修業の監督を行なっている桂香と穂乃香が絶句したのは言うまでもない。自分達が幼少の頃から行なっていた修業で会得したものを琴乃は一足飛びどころか何足も飛んで覚えてしまうのだから。幾らリンドが構築した効率の良い修業内容を行なっていても、琴乃の規格外さには言葉を失うしかないのだ。
「素晴らしかったですよ、琴乃ちゃん。あの子が笛を奏でていた頃を思い出してしまいました。今の音色は『横笛』が教えてくれたんですよね?」
『はい……色々な楽曲が伝わって来て、覚えるのは大変ですけど、何とか覚えられてます』
(あの子の曲……難し過ぎて実の子供でも受け継ぎきれずに巻物に書き残すしかなかったほどのものなんですけど!? しかも一曲だけでも覚えるのが大変なのに、他の曲まで覚えてしまっているんですか!?)
流石の小夜も琴乃の何気ないようで、その実規格外の言葉を平然と口にしている事実に冷や汗を流さずにはいられなかった。
琴乃が認められ、その身に宿す力を積極的に貸している『横笛の精霊武具』だが、長い一族の歴史の中でも扱える者はその元となった精霊以外に現れないだろうと言われていた代物だった。ただでさえ『無属性』の精霊の力が武具化した物なので、同じ『無属性』の者にしか扱えない上に、綺麗で心に響くような音色を奏でなければその真価を発揮できない。
『浄化の音色』を扱える者はかの一族の中にもいたが、『横笛の精霊武具』に担い手に選ばれた者は現れなかった理由がそれだった。
(……漸く受け継ぐ者が現れて良かったですね)
力を遺しながらも扱える者がいないと言う事実は、やはり心に来るもの。
嘗て八人もの子を為しながらも、己の司る『呪』を受け継ぐ者が現れなかったが故に、小夜は思わず目尻に浮かぶ涙を拭って我が事のように喜ぶ。
『それじゃあ、私は修業の方に戻ります。青蘭ちゃん、
「きゃう! きゃうっ!」
青龍の腕の中に抱かれている青蘭は、大喜びで声を上げている。
普段は物静かで泣く事もなく、周囲を観察するかのような瞳をしている青蘭だが、お気に入りの琴乃の笛の音に関しては大きくはしゃぐのだ。笛の音を聴かせて貰う時間になれば、眠っていてもすぐに目をパチリと開けて起きたり、姉である李花と遊んでいてもすぐに母親である青龍に強請るように風を吹かせたりまでしてくるほどに夢中だった。
それ故に時間が過ぎて聴けなかったりすれば、即座に不機嫌になって風を吹かせながら泣き出したりまでする。特に今は繋がっていた社との繋がりが消えてしまった事で、精神的に不安になったりする時もあるので、その時にも琴乃の笛の音に頼らざる得ない。
(ふぅ、やはり少し複雑ですね。母親である私があやすよりも、琴乃の笛の方が効果があると言うのは……)
腕の中ではしゃぐ娘を青龍は憂いを帯びた瞳で見つめる。
自分があやすよりも、琴乃の笛の音の方が効果があると言う事実は母親である青龍の心に圧し掛かっていた
(……後で青蘭ちゃんが眠っている時に、相談しないといけませんね)
溜め息を溢す青龍を見た小夜は、すぐに心情を見抜く。
八人の子供を産み育て、義理の娘達や自身の後に嫁いできた者達の子育ての相談なども行なっていただけに、小夜は瞬時に青龍の心情を見抜いたのだ。
(純粋な精霊、しかも青蘭ちゃんの本質は『龍』ですからね。人から精霊に変じて『龍』となった青龍と違い、最初から四聖獣の一角で『龍』として産まれた青蘭ちゃんは、興味を覚えてしまった事に熱中しやすい。例え産まれて間もないとしても)
自らも本質が『龍』であるだけに、青蘭が琴乃の笛の音を求める理由が小夜には分かった。
(ちゃんとその辺りを説明しないといけません……それに別に青蘭ちゃんは青龍の事を嫌っている訳じゃありませんし)
大きく喜びを露わにするのが琴乃の笛の音なだけであり、その他の時はちゃんと青龍が居ないと青蘭が不安そうにするのも小夜は見ていた。
桃花、蔓、白虎もあやしたりはするが、やはり青蘭が一番安心できるのは母親の青龍の腕の中なのだ。
(この辺りもちゃんと話しておきましょう……他の皆は……)
チラッと小夜は他の者達にも目を向ける。
「
「ええ、ふぅふぅっで綺麗な音色が奏でられていましたね、李花」
青蘭同様に興奮して喜びを露わにしている李花を、母親である桃花は幸福に満ちた笑みを浮かべながら返事を返していた。
拙いながらも遂に李花は明確に言葉を発し、桃花を母と呼んでいた。最初に李花が言葉を発し、それが母と口にしたのを耳にした桃花が瞳から涙を流して喜んだのは言うまでない。
(桃花の方は問題無し。李花ちゃんも健やかに成長しています……ただ精霊の力の暴走には気を付けないといけません)
力に目覚めていないのならばともかく、精霊としての力に李花が目覚めている以上、注意は怠ってはならない。
今のところは感情が高ぶっても周囲への影響は少ないが、成長すると共に影響力は強くなっていくのは当たり前。だが、それはまだ赤ん坊である李花に制御出来るものではない
(もう少ししたら精霊の力を抑える術を施す必要もありますね……この辺りも相談と)
次に小夜が目を向けるのは揺り籠の中で眠る樹理を慈愛に満ちた顔で眺めている蔓と、自らの腹部を同じく慈愛に満ちた顔をして撫でている白虎。
そして……
「………」
クシクシと今見えた者が信じられず、小夜は自身の龍眼の眼を両手で擦る。
(……今、義娘の姿が見えましたよね? しかも、末裔が向かっている青龍の社を占拠した『弓』のあの子が……幾ら何でもこの状況で普通に尋ねて来るはずが……いえっ!? あの子ならあり得る!?)
『弓』の義娘の性格を思い出した小夜は、目を見開いて窓の外を見直す。
しかし、其処には先ほど小夜が目撃した相手の姿はなかった。
(……見間違い? まだ末裔が造ってくれた依り代に馴染んでいないんでしょうか?)
「あの? 小夜様? どうされました?」
「ああっ、何でもありませんよ、蔓……う~ん、樹理ちゃんも可愛らしい寝顔をしてますねっ!」
「ええ、そうですが……」
「何か気になる事でもあるのか、蔓?」
「いえ、その……予定よりも一日に早く産まれたのが、少々不安に思っていまして」
白虎の質問に蔓は、僅かに不安さが滲んだ声で答えた。
元気よく樹理は確かに産まれ、リンドや復活した小夜の診断からも健康に問題無いと言われている。
だが、それでも一日早く産まれた件が蔓には気になっていた。その疑問に対して小夜は蔓の肩に乗りながら口を開く。
「大丈夫ですよ。話を聞いたところ、陣痛が始まったのは末裔がこの場所に来た時のようですから、きっとその気配に反応してはしゃいだんでしょう。先日の末裔の気配の増大と共に李花ちゃんだけじゃなくて、樹理ちゃんも反応していましたから、貴女の植物としての側面を受け継いでいるんです」
「ああ、そうなのですね。この子は私の側面をちゃんと受け継いでくれた、樹理」
自身の娘が確りと自らの側面を受け継いでいる事を知り、蔓は幸せそうに微笑みながら揺り籠の中で健やかに眠る娘を見つめる。
蔓はもう大丈夫だと思った小夜は、次に白虎の方に移動して口を開く。
「白虎。貴女は言うまでもありませんが、暫らくは雷を纏うのは禁止です。お腹に宿っている事は次代の『白虎』となるので、『金』属性なのは間違いありませんが、注意する事に越した事はありません」
「うむ、分かっている」
頷きながら白虎は、愛おしそうに自らの腹部を撫でた。
まだお腹も膨らんでおらず、見た目では妊娠しているとは思えないが、確かに白虎の子宮には次代の『白虎』となる命が宿っていた。青龍同様に白虎も子を産み終えるまでは戦う事は出来ないのだ。
社の解放は番の雄であるリンドに任せるしかないと白虎が思っていると、突然子供部屋として使っている教室の外から護衛を行なっている雌犬巫女の声が響く。
「し、失礼致します! 緊急で皆様にお伝えしないといけない事が起きました!!」
『っ!?』
(ま、まさか!?)
一同が騒然とする中、小夜は先ほど見た者の事を思い出して汗を浮かべる。
教室内の小夜を除いた全員が顔を見合わせると、自分が代表すると言うように、桃花が李花を抱えながら教室の扉を開ける。
扉の向こうには廊下に平伏している蒼い髪を頭の後ろ側で結んで纏めている少女-『涼香』の姿があった。
「何事ですか?」
「は、はい! じ、実は小夜様の義理の娘を名乗る方が皆様を尋ねに来ています!?」
『………はっ?』
「あぅぅ?」
「きゃう?」
桃花、青龍、蔓、白虎は思わず呆然としながら声を上げ、李花、青蘭は母達の様子に首を傾げる。
唯一反応していないのは眠っている樹理だけ。そして肝心の小夜は……。
「あ、あ、あの義娘はぁぁぁぁぁぁっ!?」
先ほど見た相手の姿が見間違いで無い事を悟り、頭を抱えたのだった。
青龍の社及び他の社にも起きている異変は、簡単に言えば神楽シリーズでお馴染みのダンジョンと同じ物です。
次回は訪れた青龍の社を占拠した『弓』との話と佐久夜達が例の妖怪のどちらかと出会います。まぁ、今回で少しネタバレしていますが。
アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。
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琴乃が堕ちた段階で孕ませる
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四聖の社全て攻略後に孕ませる
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サヨ関連終了後に孕ませる
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イザナミも加え、四人そろって孕ませる