※この作品はR-18です。

IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜   作:イズモ

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今回は本番無しのエロです。
下準備は終わっているので、もうすぐ琴乃との本番に入ります。

感想、お気に入り、評価、アンケートありがとうございました!


琴乃編② 3

「……遂に四聖獣の方々に旦那様の事が知られてしまったのですね」

 

 出雲学園の地下。

 其処に作られたリンド達の秘密のアジトで、我が子を抱いた桃花は、深夜に訪れたツクヨミからの報告に険しい声を出した。

 地上から持って来た柔らかな椅子に身を預けて、着物の上からでもハッキリと分かる程にお腹が大きくなった蔓も、心配そうな顔をしている。

 

「ええ、とは言っても下手な事は白虎は言わなかったわ。あの様子だと『真の契りの儀式』の悪い部分に関しては知らないみたいね」

 

 ホッと桃花と蔓は安堵の息を吐いた。

 ツクヨミもその件は安堵している。もし『真の契りの儀式』の悪影響の部分が知られれば、アマテラスとカグツチに不信を抱かれかねない。

 特にツクヨミはバレたら、嫉妬に狂ったアマテラスが暴走しかねないと危惧していたので心から安堵している。そして何よりも……。

 

(アマテラスに知られたら、大手を振ってカグツチと睦事が出来なくなるじゃないの! そんなの絶対に嫌よ!)

 

 最早ツクヨミにとってカグツチとの睦事は、何にも勝る甘美な一時。

 その甘美な一時を失うなど耐えられる訳がない。白虎が余計な事を口にしようとしたら、口を挟むつもりだったが、幸いにもそうならずに済んだ。

 だが、安心している訳にはいかない。

 

「……やっぱり四聖獣達を堕とすべきかしらね」

 

「………ツクヨミ様。それはいけません」

 

「ええ、あの方々はネノクニの守護神達です。幾ら主様が精霊を孕ませられるとは言え……少々性急だと思います」

 

 桃花と蔓は明らかに不機嫌な様子で、ツクヨミの提案に異を唱えた。

 何せリンドには既に桃花と蔓だけではなく、佐久夜、琴乃、そしてアマテラスと言う手を出している三人もの女性がいるのだ。幾ら『一族再興』と言う目的があるから仕方ないとはいえ、更に女性が増えるのを好ましいと思える筈がない。

 

(これ以上、女性が増えたらますます旦那様と出来る回数が減ってしまう! 現に今日は昼前に来る予定だった筈なのに、旦那様と佐久夜様が来たのは昼過ぎでした! あの艶やかな佐久夜様の肌! 間違いなく一度で終わらずに何度もしたに決まっています!)

 

(ただでさえ最近は琴乃様があの家を出た事で、佐久夜様が泊まるようになってしまったのです! しかも私はもう臨月で身体の負担が大きい事は出来ないのですから!)

 

((これ以上、旦那様(主様)に女性が増えるのは認められません!!))

 

 理屈では分かっていても、桃花と蔓の女としての情念が、更にリンドに女性が増える事を認められなかった。

 

(まっ、仕方ないわよね。私もヒカルにアマテラス以外の女が近づくのは許せないし)

 

 四聖獣に関しては別の対策をしなければならない。そうツクヨミは考えたが。

 

「その四聖獣達なんですけどね……宝珠から孕ませろって指示が出されました」

 

『………っ!?』

 

 地下の一番奥で座禅を組んでいたリンドの発言に、桃花、蔓、そしてツクヨミは目を見開いて驚愕した。

 

「ちょっ、ちょっと待ちなさい! 言った私が言うのも何だけど、相手は四聖獣よ!」

 

「そ、そうです、旦那様! 四聖獣の方々は私や蔓さん、そしてツクヨミ様と違い、このネノクニに最強の守護神の方々なのです!」

 

「その方々と主様が『真の契りの儀式』を結ばれたら、このネノクニの悪影響が大きすぎます!」

 

 三体の精霊は流石に冷静でいられなくなり、リンドに問い詰めるように声を荒げた。

 すると、桃花の腕の中で安らかに眠っていた李花の目がパチリと開き、目を潤ませる。

 

「ふぁっ……ふぇぇぇん! ふぇぇぇぇん!!」

 

「ああっ! ごめんね、李花。急に大声を上げたりして。ほら、泣かないで」

 

 桃花は慌てて泣き出した李花を宥める。

 我が子の泣き声に座禅を組んでいたリンドも立ち上がり、桃花の腕の中で泣いている李花の頭を優しく撫でる。

 

「大丈夫だよ、李花」

 

「ふぇっ……えくっ」

 

「ほら、お父さんがいるからね」

 

 リンドはぐずる李花を桃花の手から受け取り、慣れた仕草であやし始める。

 明らかに堂に入ったその慣れた仕草に、流石にツクヨミも面を食らう。

 

「……リンド。貴方もしかして他にも子供がいるの?」

 

「ツクヨミ様。幾ら僕でも、呪詛がなかったらまだ子供を作れない年齢ですよ。李花が僕の最初の子供です。ただ一族の中にいた赤ん坊の世話をしていたんです。家はそれぞれあっても、皆家族でしたから。当主だったお母様も、別に偉ぶったりしていませんでしたし。寧ろ里で子供が出来たら、『自分が取り上げるから、安心しなさい』って里の皆に言っていたので、必然的に僕とお父様も赤ん坊の面倒を見る事に慣れてるんです」

 

「……そう。悪い事を聞いたわね」

 

 かの一族の生き残りが、リンドのみとなれば、つまりその世話をしていた赤ん坊も。

 聞いてはいけない事を聞いたとツクヨミは申し訳なさそうな顔をし、桃花と蔓はリンドを心配そうに見つめる。

 色々と女性関連でやらかしているリンドだが、共に暮らしていた里の家族を奪われている事に変わりはない。

 ただ優先対象が復讐よりも、『一族の再興』となっているおかげで心の奥底に押し込めている感情に流されずに済んでいるだけなのだ。

 李花が再び目を閉じて眠りにつくと、地下室に木の根と枝、そして大きな葉で作り上げたゆりかごに寝かせる。

 

「それで話は戻しますが、宝珠は現在の四聖獣の四人をネノクニの守護神として不適格だと判断したみたいなんです」

 

「不適格ですって? あの四人は間違いなく強いわよ。このネノクニで間違いなく最強格で神聖視されている存在なのよ?」

 

「……その四聖獣と僕達の一族は古の時代に盟約を交わしているんです。『四聖に深く関わる者がネノクニの崩壊を企んだ場合、ネノクニの守護神の資格剥奪。かの一族と交わり、次代の四聖を産む』と言う盟約を」

 

「そ、そんな盟約を、四聖獣の方々は旦那様の一族と交わしていたのですか?」

 

「そ、それでは主様の一族の秘宝である宝珠が四聖獣様達を守護神として不適格だと判断したと言う事は……まさか」

 

「……ヒミコ軍と四聖獣が繋がっているとでも言うの?」

 

 あり得ないと言うように桃花、蔓、ツクヨミは顔を見合わせた。

 何故なら四聖獣は長き時を過ごし、このネノクニを守護して来た。ヨモツオオカミを相手にした時は封印されてしまったが、そもそもヨモツオオカミはイザヨイだったので、四聖獣達でも戦う訳にはいかない存在。

 四聖獣の内、二人ほど真面目なのか不真面目なのか分からない性格をしているが、それでもネノクニに仇を為す行為をするとは三人には思えなかった。

 

「実際、四聖獣達はネノクニの崩壊を望んではいませんよ。ただ盟約では『四聖に深く関わる者がネノクニの崩壊を企んだ場合』と決まっています。僕も宝珠から一方的に情報を与えられるだけなので、整理に時間が掛かったんですけどね」

 

(でも、寄りにも寄って佐久夜お姉ちゃんとの情事の最中に送って来ないで欲しかったよ)

 

 しかも千里眼の術を使って、白虎とアマテラス達の会談の様子を右目に映させるという事までリンドはされていた。子作りを積極的に推し進めるくせに、気遣いが足りない事に不満を覚えるが、そもそも無機物。

 望むだけ無駄だとリンドを含めた一族の誰もが諦めている。

 

「それで漸く宝珠が教えてくれたんですけど、どうにもヒミコの正体は嘗て古の時代に四聖獣達が人間だった頃に仕えていた女性……『徐福』らしいんです」

 

「まさか、そんな……いえ、言われてみれば、四聖獣達が霊地を護りながらも、幾つかの霊地が枯らされたって白虎が言ってたわね」

 

 聞いた時は弱っていても相手がヒミコだからと考えたツクヨミだが、今のリンドの話を聞いた後では別の可能性が脳裏に浮かんだ。

 

(四聖獣達の行動を予測して、その隙に霊地を枯らしたとすれば、あの四人が出し抜かれるのも納得出来るわね……ああ、だとすると充分に盟約に反してるわね。ヒミコが悪霊達を従えだしたのは、最低でも二十年前。それに気付かずに放置して、挙句の果てに坊やの一族も滅ぼされたんでしょう……どうやっても盟約が破られてるわ)

 

 ヒミコが四聖獣達とリンドの一族と交わした盟約を知っていたかどうかは不明だが、知っていたとしても一族の人間全部を滅ぼせば、そもそも盟約は果たされる事がないので事実上無効となる。

 だが、こうしてリンドは生き残っている。リンドと四聖獣の誰かが出会えば、盟約を果たさなければならないのだ。

 その事実に行きついた桃花と蔓は、絶望したように顔を暗くした。更にリンドの虜になる女性が増えるのだから。

 

(いえ、例え四聖獣の方々が相手も負けません! 旦那様の真の名は……)

 

(主様を諦める事など出来ない! 何としても尊き御名は……)

 

((私に告げさせて貰います!))

 

 こればかりは桃花も蔓も譲るつもりはない。その2人の女の情念をツクヨミは感じ、僅かに下がるが、何も言う事はなかった。

 

(私も桃花と蔓の事は言えないからね)

 

 ツクヨミにしても、もしカグツチに新しい女性の影が見えたら全力で排除するつもりだからだ。

 

「……と言うよりも、そんな重要な情報はもっと早く話して欲しかったわ。そしたら霊地だって枯れずに済んだかも知れないのよ」

 

「僕もそう思うんですけど……」

 

 申し訳なさそうにリンドは俯く。

 ヒミコの正体が嘗て四聖獣達が仕えていた『徐福』だと分かっていれば、確かにツクヨミの言う通り霊地が枯れずに済んだ可能性もある。

 だが、そもそもリンドも今日までヒミコの正体を知らなかったのだ。今はアマテラスの手元にある宝珠が情報源で、しかも一方的に情報を伝えて来る事が多い。

 四聖獣達と出会う可能性が増えたから、こうして情報を送って来たと判断するしかなかった。

 

「……とにかく、どちらにしても四聖獣に関しては後回しですよ。僕が勝手に彼女達が守っている場所の霊地に行くなんて出来ませんから」

 

 行こうとすれば怪しまれる。

 今だって、佐久夜の体力の限界まで犯し尽くして気絶させて布団に寝かして地下空間に来ているのだ。ネノクニで最も崇められている四聖獣達の下に行くことは不可能。

 せっかく里内で得た立場を棒に振ってまで、会いに行くのは躊躇う。

 

(それにあっちの方から僕に会いに来るかもしれないしね)

 

 盟約が破られた今、四聖獣はリンドと出会えば嫌でも次世代の四聖獣を産むために子作りをしなければならない。

 古の盟約はそれほどまでに重いのだ。何せ盟約を破りさえしなければ、四聖獣達は精霊でありながらもリンドの一族を相手に全力で戦えたのだから。

 桃花、蔓、ツクヨミもリンドの言葉に頷く。それに今は、四聖獣に構っている場合ではない。

 

「それで、『迷い人』はどれぐらいで来るの?」

 

「はい……感知した範囲では、既にこの『アシハラノクニの学び舎』の……え~と、ぐらうんど? でしたっけ? 其処の上空に穴の入口が薄皮一枚の空間の厚さで完成してしまっています」

 

 リンドの報告にツクヨミは険しい顔をする。

 桃花は李花の眠るゆりかごに近寄り、安楽椅子に座っている蔓は自らのお腹を護るように手を当てた。

 三人には何も感じられないが、世界の外側からの脅威と戦って来たリンドは感じていた。ゆっくりと……それこそ牛輔の歩みだが、確実に此方の世界に向かって来ている『迷い人』の依り代となった存在を。

 

「……一応聞くけど、今から私がアマテラスから宝珠を奪って、貴方に使わせれば道は閉じるの?」

 

「無理です。道を閉じるとしたら、誰も通っていない時じゃないと駄目なんです」

 

 『迷い人』が作り上げた道は、アシハラノクニで言うところのトンネル。

 そのトンネルを崩す事は可能。その術もリンドの一族は開発しているからだ。だが、崩す為には『迷い人』の依り代となった人間が通っている間は駄目なのだ。

 その時に道を崩せば、道を通っている依り代は勿論助からない。脅威を排除出来るならと考える人間はいるかもしれないが。依り代の生死は関係なく、通っている最中に道を崩せば依り代がつっかえ棒のような役割を果たしてしまい、空間が滅茶苦茶になってしまうのだ。その時に発生する被害は甚大。

 だからこそ、今は決して道を閉じてはならないとリンドは三人に説明した。

 

「はぁー、厄介な悪霊もいたものね」

 

「本当だったら、こんなに早く『迷い人』が道を作れるはずがないんです。お母様とお父様の話では、早くても数ヶ月かかる筈だったんですけど……琴乃お姉さんがネノクニに来てしまった時の『世界の揺らぎ』を利用されたみたいです」

 

 琴乃一人が来たぐらいでと思ってしまうが、そもそもネノクニとアシハラノクニは決して交わる事が無い世界。

 神であるアマテラスとカグツチ、そして宝珠の所有者となっているリンドが感じた『世界の揺らぎ』は、とても大きなものだった。

 幾らヒミコが卓越した術師だとは言え、アシハラノクニから人を呼び出すのはどうやってもネノクニに何かしらの影響を及ぼす。

 その悪影響を『迷い人』に利用されてしまったのだ。

 

「……『反魂の術』やアシハラノクニからの召喚が、本来禁忌として定められている理由が良く分かるわね」

 

「もっと早く気付けていればと僕も思いました……でも、どうやっても此方に来る『迷い人』の依り代と戦って、僕かツクヨミ様が例の術を使って本体を消滅させるしか手はありません」

 

 ツクヨミは、既に『迷い人』に関する巻物と共に解禁した九つの対抗術を会得している。

 無論、アマテラスもだ。佐久夜も頑張っているが……残念ながら九つ全ての術を会得し切れるかは分からない。

 リンドは勿論会得しているが、カグツチも一緒に前線に来るので、ツクヨミに頼るしかない。

 

「ツクヨミ様。どうかお願いしますね」

 

「はいはい。私も『迷い人』なんて迷惑な悪霊は、さっさと消したいからね……ただ……」

 

 ツクヨミは、ゆっくりと安楽椅子に座っているもうすぐ臨月を迎える蔓を見た。

 

「蔓の出産がどうなるかよね」

 

「はい。私も経験しましたが、臨月から出産後は多少なりとも一定の間、力が弱まります」

 

「……その……申し訳ありません」

 

 現在、蔓は出産への準備期間に入ってしまっている状態になっていた。

 同じ植物の精霊である桃花が一緒にいるので、佐久夜には怪しまれていないが、『迷い人』が出現した時に戦える状態ではいられない。

 最悪……『迷い人』が出現すると同時に陣痛が始まっても今の蔓はおかしくないのだ。

 不安そうに顔を俯かせる蔓の手に、リンドは自身の手を乗せる。

 

「安心して蔓。もし『迷い人』が現れても、蔓は戦わなくて良いから」

 

「で、ですが、主様。私は本来はこの神聖な地を護る役割を担っている精霊です……『迷い人』なる悪霊との戦いの時に、私が力を見せなければ、カグツチ様と佐久夜様に不信を抱かれるのでは?」

 

「フフッ、大丈夫。蔓の分まで僕が精霊の力を使うからね」

 

 既に布石は打っている。それに嘘から出た誠ではないが、現実にリンドの力は以前よりも遥かに強まっている。

 相性の良い植物の精霊である桃花と蔓と『真の契りの儀式』を結んだのもあるが、本当に『迷い人』が接近して来ている事で、リンドに流れる血が活性化している。

 佐久夜と琴乃に厭らしい事をするだけの力ではないのだ。

 

「だから、安心して……んっ」

 

「んっ……あ、主様♥」

 

 軽く唇同士が触れ合うような口づけだったが、蔓は頬を赤く染めた。

 その様子を見ていた桃花は不機嫌そうにしながら口元に袖を当て、ツクヨミは呆れたように溜め息を吐く。

 

「それでリンド。何時『迷い人』は来るの?」

 

「一月以内には来ます。巻物にも書いてありますけど、『迷い人』に憑りつかれた人が元の世界に戻る為には、此方の世界に定着する前に憑りついている『迷い人』の分身体を葬らないといけません……定着した後に元の世界に戻すとしたら、道を崩さずに閉じて儀式を行なわないと無理です」

 

「分かってるわ。その儀式が凄く面倒で時間が掛かるものだって事も、ちゃんと巻物の中に書かれてたしね。大丈夫よ。前線で戦うのは私とヒカルなのよ。定着に掛かる時間は最大で一日。戦っていても半日かかるんでしょう? だったら問題無いわ」

 

 実際、カグツチとツクヨミが手を組んで戦えば勝てる者の方が少ない。

 佐久夜とリンドは後方支援に徹するし、桃花も出現する悪霊の相手をする予定だ。

 出産を控える蔓はこの地下室に留まる。この地下室に張られている結界は、上級の悪霊でさえ破れないし、神聖な空気に満ち溢れたこの空間では悪霊が出現する恐れもない。

 一族の宝の中から、護衛役の式神なども配置する。

 出来うる限りの万全の体勢を整えたとリンド達は自負する。

 ……だが、彼らは知らなかった。

 

『……■■■……■■■■■(お兄ちゃん)』

 

 混沌とした空間の中をまるで己の意思に反して足が前に進んでいるかのように、牛歩の歩みで進む者の正体を。

 

 

「……はぁー」

 

 自身の宛がわれた部屋の中で開いている窓から空に浮かぶ月を眺めながら琴乃は、昨夜と同じように重い溜め息を吐いていた。

 

「……結局私って……お客なのね」

 

 思い出すのは四聖獣の白虎と名乗った少女との出会いの後のこと。アマテラス達と琴乃は分かれることになった。

 それがアマテラス達の気遣いだという事は、琴乃も分かっている。

 

(……戦うだなんて、私には無理よ)

 

 チラリと琴乃は宛がわれた部屋の中に用意された机の上に置かれている横笛を見た。

 横笛を鳴らして音楽を奏でれば、悪霊を弱めたり、消滅させたりする不可思議な笛。だが、戦えない自分が持っていても、宝の持ち腐れとしか琴乃には思えないが、横笛は離れようとしない。

 

(……私はお母さんと違う)

 

 このネノクニで母で綾香が戦っていたという話を、琴乃は最初は信じられなかった。

 だが、里の人達の中には綾香の事を覚えている者達もいて、間違いなく綾香は戦っていたのだと琴乃はこの数ヶ月で理解させられた。

 

「……近い内に、お母さん達と話そう」

 

 猛の件で暫らくは話をしたくないと思っていた琴乃だが、今は少しだけ話がしたいと思えるようになっていた。

 或いは僅かに感じるようになってしまった疎外感から、逃れたいのかも知れないと琴乃は思った。

 アマテラス達が悪い訳ではない。ネノクニの存亡とか言われても……ただの女子高生でしかなかった琴乃には困る。戦いなんてない方が良いと思うのが当然だが……このネノクニではそれはあり得ないのだ。

 少なくとも琴乃をネノクニに召喚したヒミコを倒さない限り、ネノクニの戦いは終わらず、琴乃もアシハラノクニに戻る事は出来ない。

 

(どうしてヒミコと言う人は、私をネノクニに呼んだの?)

 

 その理由も琴乃は知らない。

 母である綾香との間で何かあったのではないかと疑った事もあったが、綾香は知らないと言っていた。実の母親である。嘘をついているのかどうかぐらいは、琴乃も分かる。

 ……綾香は猛の時のように誤魔化していないと、琴乃には分かる。

 

「っ……思い出したくないのに」

 

 大切な人だった猛を思い出すと、今でも琴乃の胸の奥に痛みが走る。

 最初に自棄を起こしてしまった時に比べれば小さくなったが、今でも猛の事を思い出せば鈍い痛みが走る。

 その痛みから逃れたいのもあって、リンドのマッサージに琴乃は溺れてしまう。

 

「……佐久夜さん…リンド君……今頃はもしかしたら……」

 

 琴乃の中では、佐久夜が今回の出雲学園への宿泊でリンドに告白すると決め込んでいた。

 昨晩見た佐久夜の少女ではなく、女としての顔。その顔を見てから、猛を思い出す時に走る痛みとは違う痛みが琴乃の胸に走るようになった。

 その痛みはまるで、ネノクニに来る前に目撃した猛と凪が仲良く話している時に感じた痛みに似て……。

 

「違う! 違うわ!!」

 

 出そうになった答えを否定するように、琴乃は慌てて敷かれた布団に横になり毛布を頭まで被った。

 

(違う違う違うのよ! リンド君には佐久夜さんがいるの。あの時のは私が自棄になってしてしまっただけ! 考えたくないのに、どうして考えてしまうの!? もう!)

 

 嫌な事を思い出したくないと言うように、琴乃は自然と着ている服の襟を口で噛む。

 声が出ないようにし終えると、服の上から左手を胸に当て、右手で腰の帯を解く。

 服の締め付けが緩み、そのまま右手を秘所を隠している厚手の下着の中に入れて指を動かしだして、くちゅりくちゅりと音が鳴り始めた。

 

「ふぅっ……んぅっ♥ んむっ……♥」

 

 声が漏れないように力を込めて服を噛みながら、琴乃は秘所を弄る。

 自慰など、ネノクニに来る前はあまりした事がなかった琴乃だが、リンドの家でマッサージが出来ない時は自然とするようになってしまっていた。

 それもアシハラノクニにいた頃に興味本位でしていた秘裂を優しくなぞり上げるような子供騙しではなく、秘裂の奥までほじくり返すような激しい指使いだった。

 指を秘裂に挿入して膣内を弄るのは当たり前になり、包皮から飛び出た肉芽を摘まんで擦るのも当然になっている。

 

「ふうぅぅ……♥ ん、ぐぅっ……んうぅぅ♥」

 

 服越しでは足りないと言うように、緩んだ事で出来た服の隙間に左手を入れて直接胸も揉み出す。

 アシハラノクニにいた頃は清楚で可憐な大和撫子のような美少女だった琴乃は、自身よりも幼い少年の手によってその魅力的な肢体を開発され、性を貪る快楽を覚えてしまった。

 じゅぶじゅぼと音が鳴ってしまう程に激しい自慰をしている琴乃が脳裏に浮かべるのは、勿論アシハラノクニにいる想い人である八木猛……ではなく、自ら懇願して処女を捧げたリンドの顔だった。

 

(ああっ♥ リンド君見て♥ お願い見て……私の秘所はこんなに濡れてるの♥)

 

 毛布の中で琴乃は大胆に両足をM字に開いた。

 それは処女を奪って貰った時に、リンドの目の前で自慰をして見せた時と同じ姿勢。くいくいと腰まで揺らし始め、膣内をほじくり返す事で零れた愛液で下着と陰毛が濡れていく。

 しかし、琴乃は構わずに胸と秘所を弄り続け、まるで目の前にリンドがいるかのように妄想する。

 

(リンド君、見て♥ 私の此処、こんなに愛液が零れてるの♥ マッサージの時だけじゃなくて楽器演奏の時から濡れてるの♥)

 

 決して本人には口に出せない事を琴乃は心の中で叫ぶ。

 

『……酷いよ、琴乃お姉さん』

 

(ごめんなさい、リンド君♥ 何時も我慢させていてごめんなさい♥)

 

 妄想の中のリンドに琴乃は謝罪する。だが、それでも膣内をかき回してる指や胸を弄る手を止める様子はなかった。

 そして琴乃の妄想の中では、遂に我慢し切れなくなったリンドが自身を押し倒し、その身に不釣り合いな黒々とした剛棒を下腹部に押し当てていた。

 

『琴乃お姉さん。僕もう我慢できないよ。挿入して良い?』

 

(良いの、良いのよ、リンドくん♥ 私もずっとリンドくんに挿入して欲しかったの♥ だから……挿れて♥)

 

 決して現実では吐露できない事を妄想の中で言いながら、琴乃は最近少し更に大きさを増した乳房を揉みしだき、先端の乳首をなぞりあげ、もう片方の指先で肉芽を摘まみ、膣穴から湧き出る愛液を掻き出す。

 

「ふぐっ♥ んんんっ♥ んあぁっ♥」

 

(欲しいの♥ 欲しいのよ♥ リンド君のが欲しいの♥ 本当はずっと挿れて欲しかったのに、何時も身体に擦り付けるだけで……酷いのはリンド君の方よ! リンド君の馬鹿!)

 

 積もり積もった憂さを晴らすように、マッサージの時に挿入されるリンドの指の動きを真似して膣内の感じやすいところを掻き混ぜる。

 

「ふぅぅぅぅんっ♥ んんんっ……う、ふぅぅ……ぁっ♥」

 

 リンドの真似をしているおかげか、或いは本人も気付いていない溜まっている欲求不満が後押ししているのか、明らかに琴乃は快楽を感じていた。

 

『じゃあ、挿れるよ』

 

(挿れて♥ 挿れて♥ リンド君♥)

 

「ふぐぅぅぅぅ――――っ♥」

 

 リンドの剛棒が膣内に挿入される妄想をした直後に、琴乃の背筋が震え、はしたなく絶頂へと達した。

 布団の中で琴乃の肢体がブリッジするように反り返り、穿いている下着が溢れ出た愛液でぐっしょりと濡れてしまう。やがて布団の上にどさりと琴乃の背中が落ちる。

 

「はぁっ……はぁっ……足りない……」

 

 絶頂したにも関わらず、琴乃の顔は満たされない欲求に歪んでいた。

 確かにアシハラノクニで自慰をしていた頃に比べれば、遥かに気持ちいい絶頂だが……既に琴乃の身体はそれ以上の絶頂を知ってしまっている。現にリンドにマッサージして貰った後は、忘我の極致に至ってしまう程の快感を与えられ、絶頂する時に必ず潮を噴いてしまうのに、今は愛液が溢れただけ。

 満足できない絶頂に、琴乃の顔には不満が募る。そして考えるのは……出雲学園で泊りがけで向かった佐久夜とリンドの事。

 

(……きっと……今頃はもう2人は結ばれて……っ!)

 

 佐久夜とリンドが口づけを交わし、そのまま行為に及ぼうとする光景を想像した瞬間、再び琴乃の指が膣内を弄りだす。

 

 くちゅっ、くちゅっ、くちゅりっ!

 

(リンド君♥ リンド君♥ ああっ、気持ち良いの♥ もっと、もっと私の奥を突いて♥)

 

 たった一度。しかし、その身にしっかりと刻まれてしまった悦楽を思い起こしながら琴乃は疲れて気を失うまで自慰を続けた。

 だが、幾ら絶頂しても本当の意味で満足する事は出来ずに、性への欲求が募っていく。

 琴乃は気付いていなかった。絶頂する直前に思い浮かぶ相手の顔が、想い人である筈の八木猛ではなく、リンドの顔になってしまっている事に。

 そして……『白鳥琴乃』はもうすぐ重要な選択を迫られる事になる。

 ただのアシハラノクニからの客でいるのか。それともこのネノクニで生きる1人の人間となるのかの岐路に、琴乃は迫られるのだった。




因みにこれは初日の出来事。
つまり、あと数日琴乃は満たされない自慰を行ない続ける事になります。

四聖獣に関しては、この作品では盟約を深く関わるヒミコが破ってしまったので孕ませルートになります。
因みにヨモツオオカミにヒミコが協力していたのは、ギリギリ盟約は破られていません。これはヨモツオオカミがイザヨイでもあるので、仕方がないとリンドの一族は判断しました。まぁ、それよりも世界の乱れの修復で忙しかったのもありますが。
だけど、現在は完全にアウト。

アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。

  • 琴乃が堕ちた段階で孕ませる
  • 四聖の社全て攻略後に孕ませる
  • サヨ関連終了後に孕ませる
  • イザナミも加え、四人そろって孕ませる
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