※この作品はR-18です。

IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜   作:イズモ

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予告通り美由紀の微エロの始まりです。
まだ、微エロなので少ないですが。

お気に入り、感想、評価、アンケート、ありがとうございました!


美由紀編 5

「ようこそ、おいで下さいました……美由紀さん」

 

「……」

 

 里へと戻って来たカグツチ達と同行して来た美由紀を、アマテラスは困惑を覚えながらも暖かく出迎えた。

 しかし、当人である美由紀は俯いたままアマテラスと顔を合わせようとしなかった。

 

(この人がお父さんの妹。私のもう1人の別次元の叔母様)

 

 席を共にしている佐久夜は、改めて確認するもう1人の叔母にあたる美由紀を少し険しい目で見てしまう。

 本人の意思でないと言う事は分かっているが、やはり大切な相手であるリンドの右腕を折られた事で複雑な感情を抱かずにはいられなかった。

 そしてこの場にもう1人同席を許された琴乃も、驚いた顔をして美由紀を見ていた。

 

(美由紀さんって確かアメリカに渡米した六介さんの……)

 

 子供の頃は病弱だったので家や病院で過ごす事が多かったので母である綾香の知り合いとは言え、此方の世界の美由紀に直接会った事は琴乃はなかった。

 それでも結婚してアメリカに家族と共に渡米した話は聞かされていた。その美由紀が、別次元から『迷い人』に操られて出雲学園に通っている頃の姿で此方にやって来た事実に、ある程度神秘に関して耐性がついてきた琴乃も驚愕するしかなかった。

 最もネノクニの住人であるアマテラス達も驚いているのだから、当然なのだが。しかし、琴乃には美由紀よりも気がかりな事がある。

 

(……リンド君)

 

 この場にいないリンドは、別室で改めて折られた右腕の治療を受けている。

 里にカグツチ達と戻って来た時に、折れた右腕を固定されているリンドの姿を見た琴乃は目の前が真っ暗になってしまうほどの衝撃を覚えた。

 こうして会合の席に呼ばれるまでは、佐久夜と共にリンドの付き添いをしていた。

 

(もっと使いこなせるように頑張らないと)

 

 改めて戦いの厳しさを目の当たりにした事で、琴乃の覚悟は強まり、無意識に巫女服の中に仕舞ってある横笛の場所を強く押さえる。

 そして改めて美由紀に顔を向けてみるが、今だ美由紀は返事を返さずに俯いたままだった。

 

(……事前に覚悟はしていましたが、やはり美由紀さんに間違いありません)

 

 カグツチから『宝貝』を使って、別次元から美由紀がやって来た事を聞かされたアマテラスだが、懐かしさを覚えるよりもやはり困惑の方が大きかった。

 二十年以上前に共に戦った相手が、当時の姿で目の前にいる。しかも相手はアマテラスはおろか、此方の世界の美由紀を保護してくれたスサノオの事も知らない。どう話しかければ良いのかとアマテラスが悩んでいると、俯いている美由紀が感情の無い声で呟く。

 

「……私……帰れるの?」

 

「そ、それは……すみません。今は不可能です」

 

 美由紀の質問にアマテラスは苦渋が滲んだ声で告げた。

 隣に座っているカグツチも俯いて、美由紀の帰還が難しい事を示す。

 琴乃のように美由紀には『死者でいる事を強制する呪い』など掛かっていないが、『反魂の術』で帰せるのは此方の世界のアシハラノクニ。つまり、目の前にいる美由紀にとっては二十年以上時が過ぎた世界。

 其処に帰すのは別の意味で不味い。

 

(爺ちゃんなら事情を話せば美由紀を受け入れてくれそうだけど……同一人物が2人も同じ世界にいたらどうなるか分からないからな。リンドの一族が残してくれた巻物にも、その辺の事は書かれていなかったし)

 

 『迷い人』と幾度か戦ってきたリンドの一族だが、流石に今回の件は過去に例がない事態だった。

 アシハラノクニにいた頃に読んだ空想の物語の中には、同一人物が同じ世界にいたら対消滅してしまうと書いてあるものもあったとカグツチの脳裏をよぎる。

 

(いや、アレは漫画とかの小説の中の話だったけど……怖くて試せるわけがないぞ)

 

 もし本当にそんな事が起きたら、アメリカで暮らしている此方の美由紀まで大変な事になってしまう。

 そんな危険は犯せないので、目の前にいる美由紀を『反魂の術』でアシハラノクニに送る案は当然却下。

 では、本来の世界に戻す案だが……実はこれには途轍もなく大変な経緯が必要になる。

 先ず、現在は宝珠の力で封じられている別次元への道を安全に開くための儀式を行なわなければならない。下手に開いてしまえば、再び『世界の揺らぎ』が起きて悪霊が大量に発生してしまうからだ。

 次に美由紀本人に『迷い人』が持っていた『世界を渡る』特性を付与しなければならない。この特性を持たなければ、別次元への道を渡る事が出来ないのだ。それら全ての準備を終える為に掛かる時間は、最低でも一ヶ月。しかもこの一ヶ月は幾度か『迷い人』との戦いを経験しているかの一族だからこそできる事。

 難解過ぎる儀式と、その儀式の為に必要な道具が揃っていないアマテラス達では……。

 

(……一年以上掛かってしまうって、巻物を読み解いた時に言っていたんだよなあ)

 

 しかも現在はヒミコ軍との戦時下中。幾らカグツチの妹だからとは言え、そんなに長い儀式を執り行っている余裕は無い。何せ『反魂の術』を遥かに超える難易度の術なので、宝珠の支援があったとしても何度も実行できない。

 

(それだけじゃなくて他の『迷い人』の依り代にされた三人も探さないといけない)

 

 元の世界に帰還させるなら、美由紀1人だけではなく、ネノクニの何処かに飛ばされた残る三人の別次元の人達も帰還させなければならない。何度も別次元への道を開ける訳にはいかないのだから。

 

(開けられるとしたら一度で全部終わらせないといけない……美由紀には悪いが)

 

 カグツチだってできる事ならば今すぐにでも本来いるべき世界に帰したい。

 だが、琴乃同様に現実的に不可能なのだ。

 改めて自分の帰還が絶望的だと理解した美由紀は更に俯き、肩を震わせる。

 

「…………フフッ」

 

「美由紀」

 

「こ、これが私の罰なんでしょう、おにい……ううん、カグツチさん(・・・・・・)」

 

「っ!?」

 

 他人行儀呼ばれた事にカグツチは衝撃を覚えて、美由紀を見つめる。顔を上げた美由紀は涙に濡れた目をして、絶望し切った顔でカグツチを見た。

 

「最低な私には相応しい罰だよね。だって、こうしてカグツチさんが『私』と永遠に会えない可能性を見せつけられるんだから」

 

「違う! 美由紀! それは……」

 

「違わないよ!? だって、もう私達が暮らしていた世界に戻れないんでしょう?」

 

「っ!?」

 

 図星を突かれてカグツチは言葉を失うしかなかった。

 アマテラスと共にネノクニに支える神に成る事を選んだカグツチは、どうあってもアシハラノクニに戻る事は出来ない。それが出来るのならば、一時でもアシハラノクニに帰還しているのだから。

 夫が苦しんでいる事を察したアマテラスは、美由紀に話しかける。

 

「美由紀さん。この人を責めないで下さい……この人が此方の世界にいる事を選択させてしまったのは、私のせいなのです」

 

「っ……」

 

 カグツチを庇うアマテラスを、美由紀は厳しい眼差しで見てしまう。

 何故ならその光景は……美由紀が絶対に見たくなかった光景だからだ。自分以外の女性が大切な兄の傍にいる。

 それが見たくなくてしてしまった罪が美由紀の心を苛ませる。

 

「知らない知らない!! もう見たくない!! 私なんてあの荒野で死んでいた方が良かったのよ!?」

 

「そんな事を言うんじゃない!」

 

「っ!?」

 

「美由紀。お前の言う通り、俺はアシハラノクニを、お前と兄妹として過ごす日々を捨ててネノクニに残った。だけど、それと妹を大切に想う気持ちは別だ……今は無理だが、必ずお前を本来の世界に戻して見せる」

 

「……戻って何になるの? 戦えって言うの、こっちの『私』みたいに?」

 

「そ、それは……」

 

(し、しまった。あっちはまだヨモツオオカミが、母さんが生きている時代だ)

 

 カグツチは美由紀に事情を説明する時に、大まかな此方の世界の歴史を話した。

 そして美由紀の世界では、未だに邪神ヨモツオオカミが世界を崩壊させようと暴威を振るっている。元の世界に戻っても、美由紀に待っているのは戦いの日常。

 その事実を忘れていたカグツチは慌てる。戦わずに済む事は先ずない。そしてそれは美由紀にとって地獄が待っているようなものなのだ。愛しい兄が別の誰かと結ばれる未来の為に、戦わなければならない地獄が。

 

「そんなの絶対に嫌!? いやいやいや、嫌あぁぁぁぁぁぁっ! ああぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 遂に耐えきれなくなり美由紀は頭を抱えて泣き出した。

 そんな美由紀を支えるように琴乃が近づいて背中を擦る。

 

「あの……アマテラスさん、カグツチさん。美由紀さんはもう暫らく休ませた方が良いと思います」

 

「……ああっ、そうだな……琴乃ちゃん。悪いんだけど、里の温泉に連れて行ってあげてくれ」

 

「はい。美由紀さん、此方に」

 

 琴乃に促されて美由紀は涙を流しながら立ち上がり、そのまま部屋を出て行った。

 美由紀と琴乃が出ていくのを確認したツクヨミは、予想よりも不味い状態に溜め息を溢す。

 

「相当追い込まれてるのね、アレは」

 

「伯母様の言う通りだと思うけど……え~と、何だか美由紀さんがお父さんに向けている感情が変なような気がしたんだけど」

 

 兄はいても、余り兄妹としての感情を持っていない佐久夜だが、明らかに美由紀が『塔馬ヒカル』に向けている感情は別のものとしか思えなかった。

 

(まるで私がリンドに向けているような)

 

 まさかと思いながら父親に佐久夜が顔を向けると、苦渋に滲んだ顔で一つの事実を告げる。

 

「……俺と美由紀の間には、血の繋がりが無いんだ」

 

「えっ?」

 

「俺も後から知った事だ。だけど、美由紀は俺よりもずっと前にこの事実を知っていて……」

 

「兄妹以上の感情を持ってしまった訳ですか。だから、ネノクニで再会した時に貴方と美由紀さんは言い争いをしてしまった」

 

「ああ……その前に美由紀はアシハラノクニで問題を起こしていたんだ」

 

「『迷い人』が狙うに充分な負の感情があの美由紀には宿ってるわね」

 

 寧ろ狙わない要素がないほどに、美由紀は『迷い人』の依り代として適していた。

 

「で、現実的な話だけど、あの美由紀は下手に里の外に出せないわよ。出して死なれるのも目覚めが悪いけれど、それ以上に……」

 

「ヒミコに狙われるかも知れません」

 

 美由紀の力は四聖獣たちに匹敵する。

 その力を、衰えているヒミコが狙わないはずがない。四聖獣級の力をヒミコが得れば、それは失われた力の回復に繋がってしまう。美由紀にはどうあっても、里に居て貰わなければならない。

 

「でも、あの様子だとこの屋敷で暮らしそうにないよ」

 

「……そうなると……リンドの家しかないか」

 

「っ!? 駄目! だって、あの人がリンドの右腕を折ったんだよ!?」

 

「佐久夜。それはあくまで『迷い人』に操られた美由紀よ。本人の意思で殴った訳じゃないでしょう」

 

「お、伯母様……で、でも……」

 

 事情が分からない訳ではない佐久夜だが、やはり琴乃の時同様に複雑な乙女心が出てしまう。

 

(佐久夜には悪いけれど、リンドから頼まれてるのよね)

 

 ツクヨミとしても早急に美由紀を堕として貰いたいので、リンドの提案に否はなかった。

 

「そう言えば、坊やで思い出したけど、佐久夜。貴女はちゃんとヒミコの容姿の事は聞いてくれたの?」

 

「ちゃ、ちゃんと聞いたから安心して伯母様。銀色の長い髪と緋色の瞳が特徴の……私と同い年ぐらいの女の子だったって」

 

(楓さんから聞いた容姿と一致しているな。もう間違いないか)

 

 カグツチはアマテラスとツクヨミに目配せをする。

 2人は同時に頷いた。自身と共に楓の残留思念から情報を聞いたツクヨミだけではなく、アマテラスにも『宝貝』を使ってヒミコについての情報を話してある。

 

「佐久夜。貴女はそろそろリンドの様子でも見て来たら」

 

「うん! 見てくるね!」

 

 母親の言葉に素直に佐久夜は嬉しそうに微笑みながら部屋を出て行った。

 佐久夜が出ていくの確認したカグツチは懐に手を入れて、例の宝珠が入っている小箱をアマテラスに差し出す。

 

「アマテラス。これはまた預かっておいてくれ」

 

「えぇ……でも、リンドは宝珠に関して何か言ってましたか?」

 

「『自分が持つにはまだ未熟だから、カグツチ様達に保管して貰いたい』って言ってたわよ」

 

「……そうですか」

 

 アマテラスは安堵の息を吐く。宝珠に関しては隠していた負い目があったが、どうやらリンドは気にしていないようだと察する。

 

(後で改めて、リンドには宝珠に関しては説明しなければ)

 

 そう心に決めたアマテラスは、カグツチとツクヨミに顔を向けて楓とリンドからの情報に関して話し出す。

 

「しかし、楓さんからの情報が正しければ、ヒミコの正体は嘗て四聖獣達が仕えていた『徐福』だと言う事ですが」

 

「楓さんが嘘をつくとは思えない」

 

「あの娘の優先対象は何よりもスサノオよ。スサノオの転生体がヒミコに狙われているのは、私達も知っている事だし……しかも、楓とは縁も所縁もない坊やが、同じ容姿でヒミコを指し示したんだから……先ず間違いないでしょうね」

 

「……四聖獣の皆から『徐福』について聞かねばなりませんね」

 

 場合によっては四聖獣達は戦えなくなってしまう事を危惧しながらアマテラスは険しい声を出し、カグツチとツクヨミも険しい表情で頷くのだった。

 

 

 アマテラスがいる部屋から出た琴乃は、美由紀を支えながら屋敷と隣接している浴場に連れて来た。

 アシハラノクニと違い、気分転換が出来るような場所が少ないネノクニで、気分転換が出来る場所となれば天然の温泉が湧く浴場しかないからだ。

 

「此方が里の温泉です、美由紀さん」

 

「あ、ありがとう……え~と」

 

「琴乃です。『白鳥琴乃』が私の名前です」

 

 微笑みながら琴乃は自らの名前を告げた。だが、実は此方の世界の綾香の娘である事を話すのは控えるつもりでいた。

 

(さっきの美由紀さんの様子……私と同じで自棄を起こしてしまうかも知れない)

 

 一度自棄を起こして大変な事をしてしまった事がある琴乃にとって、美由紀の事は他人事ではない。

 美由紀の方もこれ以上何かあったら頭がどうにかなってしまいそうな自覚があるので、詳しい事は聞かずに温泉に入る為に制服に手を掛ける。

 

「私は美由紀さんの服を用意して来ますね。あっ、脱いだ服は洗濯しておきます」

 

 何時までも制服姿でいる訳にはいかないと分かっている琴乃は、美由紀に告げた。

 美由紀も埃などで汚れている制服を何時までも着ている訳にはいかないと分かっているので頷きながら、制服を脱ぎ出す。胸元のリボンを解き、ブラウスを脱いで程よい大きさの胸を隠す白のブラジャーを外す。

 プルンと胸が微かに揺れ、そのままスカートにも手を伸ばしてホックを外して落とす。その下に穿いている白のショーツも脱ぎ、魅力的なお尻を露出させた。最後に頭のリボンを外して待っていた琴乃に脱いだ服を渡す。

 

「お願いね」

 

「はい。ゆっくりと温泉に浸かって下さい。私も此処の温泉はとても好きですから」

 

「うん……ありがとう」

 

 親切にしてくれる琴乃に礼を美由紀は告げる。琴乃がカグツチに対して想いを寄せている様子がないからこそ、美由紀も普通に接する事が出来るのだ。

 服を持って去っていく琴乃の背を見送った美由紀は、温泉場に入る。

 

「……凄い」

 

 天然の露天風呂とその広さに美由紀は驚きながら、露天風呂の傍に置いてある桶を使ってお湯を掬い身体を流す。流し終えると岩で縁取りされている温泉に身体を浸からせる。

 

「……気持ち良い……そう言えば、ずっとお風呂に入れてなかったんだよね」

 

 美由紀にとって湯に身体を浸からせるのは久々だった。湯加減も丁度良く、心地よい気持ちで胸の中にある嫌な感情が洗い流されていくような気持ちを抱く。

 

(これから私は……どうなるんだろう)

 

 心地よい感触に浸っているおかげで、少し美由紀も冷静さを取り戻していた。

 カグツチ達の事情も大まかには聞かされている。自身が元の世界に戻れない事情も、『迷い人』に身体を操られていた時の記憶があるので、美由紀は理解していた。

 元の世界に戻る為には、あの混沌とした道を再び歩かねばならない。直接歩かされたからこそ、美由紀はカグツチ達以上にその困難さを理解させられてしまっていた。

 

(それに元の世界に戻っても……)

 

 兄が誰かと結ばれる未来を見る事に、最悪此方の世界同様に永遠の別れを経験する事になるかも知れない。

 

(いや!? そんなの絶対に嫌!? 何でこっちの私はそれに耐えられたの!?)

 

 様々な経験をしたが故に、『逢須美由紀』はカグツチとの永遠の離別を耐えられた。

 だが、まだ心が弱い『塔馬美由紀』には耐えられない。加えて自身が置かれた立場と犯してしまった罪の意識に、その心は押し潰されようとしていた。

 ……その隙を美由紀を狙っている雄が見逃すわけがなかった。

 

「っ!? 誰!?」

 

 微かに聞こえたお湯が動く音に気付いた美由紀は、顔を上げて浴場の中心にある背を預ける為に設置された岩陰に睨みつける。

 美由紀の鋭い声に、恐る恐ると言った様子で背を向けながら岩陰に隠れていた相手が出て来る。

 

「あ、あの……」

 

「えっ? その声って、もしかして」

 

 聞き覚えのある声に美由紀が驚くと、岩陰から美由紀に背を向けて出て来たリンドが事情を説明する。

 

「ご、ごめんなさい! 巫女頭様から、里の方の浴場だと混雑して危ないから、家に戻る前に此方の浴場に入っても良いって言われて……入っていたんですけど」

 

「あっ」

 

 美由紀も琴乃も気付いていなかったが、先客としてリンドは温泉に浸かっていたのだ。

 

(ほ、本当だよね。だって、私が入った後は、出入り口からは誰も入って来なかったし)

 

 リンドの言葉に嘘はないと美由紀は認識(・・)する。

 最も、実は巫女達から右腕の治療を受けながらリンドは遠見の術を使い美由紀達の様子を窺っていたのだ。そして美由紀が温泉に行くと見抜き、巫女頭の認識を操作して今の時間なら誰も温泉に来ないからと許可を貰って先に浴場に潜んでいたのだ。

 説明におかしいところはないと認識した美由紀は、お湯の中で胸と股に手を当てて隠す。相手は子供とは言え、やはり余り良く知らない相手なので羞恥心が動いたのだ。

 

「あ、あの僕……出ますから、そっちを向いても大丈夫ですか?」

 

「う、うん。良いよ……っ!?」

 

 戸惑いながらもリンドは振り向き、直後に美由紀は息を呑んだ。

 美由紀の視線が向いているのは、股間でそそり立っている大人顔負けの女殺しの剛棒……ではなく、首に掛けられた布で吊られている固定された右腕だった。

 

「そ、その腕……治らなかったの?」

 

「え~と……カグツチ様から聞いていませんか? 骨折とかは子供の内は呪法で治せないんです……治しちゃうと逆に脆くなって折れやすくなっちゃうらしくて」

 

「そ、そんな……」

 

 美由紀の胸に強い罪悪感が襲い掛かった。

 呪法など特異な術が存在している事はカグツチから知らされていたので、リンドの右腕も大丈夫だと思っていたのに、それを覆す光景が目の前に広がってしまった。

 

(私がこの子の腕を!?)

 

 美由紀の手にリンドの右腕をへし折った時の感触が蘇った。

 怯える様子を見せながらお風呂場から出ていくリンドを見ていた美由紀は、胸の内から沸き上がって来る罪悪感に突き動かされ……。

 

「ちょっ、ちょっと待って貰って良い?」

 

 思わず呼び止めてしまった。呼びかけに止まったリンドは、恐る恐る美由紀に背を向けながら返事をする。

 

「な、何でしょうか?」

 

「そ、そのね……身体って洗ったの?」

 

「あっ……いえ、まだ僕も入ったばかりでしたから……で、でも、後で別の温泉場で入って洗いますから」

 

(それって他の人達も入る場所に入るって事だよね……左手しか使えないあの子じゃ時間が掛かっちゃう)

 

 覚悟を決めたように美由紀は意を決して温泉から立ち上がり、胸と股の間を手で隠しながら背を向けているリンドに声をかける。

 

「せ、背中だけでも、私が洗ってあげるね」

 

「い、良いんですか?」

 

「う、うん……その、背中だけは片手じゃ大変だから……それに……私のせいだから」

 

「……じゃあ……その……お願いします」

 

 ゆっくりとリンドは浴場に備わっている座りやすい椅子に腰かける。

 美由紀はその背に近づき、改めて浴場にはタオルの類が無い事に気が付く。

 

「え~と、タオルとかは?」

 

「たおる? もしかして布の類でしたら、お風呂場にはありません。布を作るのも大変ですから、服の方に回されているんです」

 

「ええっ!?」

 

 アシハラノクニと違い、ネノクニでは服の類を用意するだけでも一苦労。なのでタオルの類は存在していない。

 身体を拭く布ぐらいはあるが、温泉場で身体を洗う類に用いる布は存在していないのだ。予想外の事態に美由紀は狼狽えて、リンドに質問する。

 

「じゃあ、どうやって背中を洗ってるの?」

 

「普通にお湯をかけて、その後は手で擦ったりしています」

 

(ど、どうしよう……手で擦るって言われても)

 

 自身の手は目の前で背を向けて座っているリンドの右腕をへし折った。

 そんな手で背に触れても良いのかと美由紀は悩み、何か他にないかと辺りを見回す。

 

(タオルじゃなくても柔らかいものとかないかな? 私が無理やり引き留めたんだし、取り敢えず背中を擦っても傷つけない物とかが在れば)

 

 自身の両手ではリンドを傷つけてしまうと認識が強められている美由紀は、手でするという選択を出せない。

 だが、幾ら探しても浴場にはそれらしき物がなく、どうしたら良いのかと悩んでいると美由紀は自身の胸が柔らかく震えるのを目にする。

 

(っ!? ………し、仕方ないよね。この子の右腕を折ったのは…私だから)

 

 胸の内から沸き上がって来る罪悪感に突き動かされて、羞恥心で顔を真っ赤にしながらも美由紀は決意する。

 

「そ、そのね……今から背中を擦るから目を閉じて欲しいの」

 

「か、構いませんけど……その余り力は込めないで下さいね」

 

「あ、安心して……手では擦らないから」

 

「? わ、分かりました」

 

 疑問を覚えながらもリンドは美由紀の指示に従って目を閉じる。

 

(この子は、私を信じてくれるんだ)

 

 腕を折るという酷い行為をしてしまったのにも関わらず、信じてくれるリンドに感謝しながら、美由紀はリンドの背と自身の身体にお湯を浴びせる。

 そのまま美由紀は自身の程よい大きさの女性の象徴たる双丘と、鍛えていても柔らかな肢体をリンドの背に密着させて擦りつける。

 

「んっ……ど、どうかな?」

 

「は、はい。と、とても気持ち良いです」

 

「そ、そう良かった……んっ、んんっ♥」

 

 気を良くした美由紀は、子供にしては確りしているリンドの背に更に強く密着して、ゆっくりと上から下へと身体を擦る。

 開いている手で湯を更にかけて滑りを良くし、リンドの背を己の肢体を使って美由紀は洗っていく。

 

(んっ♥ 何だろう? 何だか胸が暖かくなっていく気がする)

 

 罪の意識と絶望的な状況に寒さしか感じられなくなっていた美由紀の心に変化が生まれる。

 熱い吐息が零れて、羞恥だけではなく感じる火照りに美由紀の頬は赤く染まっていく。

 

(フフッ、『媚香』の効果が出ているね)

 

 美由紀は気付いていないが、既にリンドは精霊の力を用いて無臭の発情の効果を持った『媚香』を放っていた。

 密着している故に媚香の効果から逃れられない美由紀は、精神世界に入り込まれた時に強い罪悪感を覚えるように認識されている事もあって、普通なら絶対にしない身体を使った奉仕もリンドにしてしまう。

 背中に感じるきめ細かな肌と柔らかな双丘の感触に心地よさを感じるリンドは身体を震わせる。股間に聳え立っている剛棒は、新たな獲物の気配に先走り汁を滲ませている。

 しかし、それを美由紀は認識できない。

 

「はっ、はっ、はぁ、はぁっ♥ ……はい、お、終わったよ」

 

「あ、ありがとうございました。とても気持ち良かったです」

 

 背中をお湯で洗い流されながら、目を閉じたままリンドは礼を告げた。

 

「僕はもう出ますね」

 

「じゃ、じゃあ、私もう一度温泉に入るから」

 

 頬を赤くしながら熱い吐息を洩らして、美由紀は立ち上がり温泉に向かって歩いて行く。

 そして背を向けた直後にリンドは目を開けて、フリフリと揺れる美由紀の美しい曲線を描いている美尻を見つめる。

 

(フフッ、何れ僕の全身をその肢体で洗って貰いますね、美由紀さん)

 

 そう思いながらリンドが見つめる美由紀の内腿は、お湯だけではない別の粘り気がある液体で微かに濡れていたのだった。




次回は琴乃のエロの予定です。

因みに琴乃の時よりも美由紀の具合が進んでいるのは、精神的にかなり追い詰められているからです、つまり、自棄を起こす寸前の精神。四聖獣級の力を保持している爆弾みたいなものです。そのブレーキとなっているのが皮肉にも、リンドが植え付けた罪悪感となります。

序でに言えば、美由紀を本来の世界に戻すのは本当に大変です。
それを実行できた『迷い人』が異常なだけなので。アマテラス達だと、準備も道具も足りないので一年以上は本当に掛かってしまいます。加えて他にも三人の犠牲者がいますから、その三人も見つけなければなりません。

後、精神世界に入れば認識操作は強められますが、リンドは純粋な精霊ではないので、『迷い人』の出現した時同様に血が昂ぶっていない限り入れません。

アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。

  • 琴乃が堕ちた段階で孕ませる
  • 四聖の社全て攻略後に孕ませる
  • サヨ関連終了後に孕ませる
  • イザナミも加え、四人そろって孕ませる
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