IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜 作:イズモ
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「んっ! んん――っ!!」
「蔓さん! 確り!」
「お湯が足りないわ! それと清潔な布もよ! 早く持って来なさい! 式神達!」
出雲学園の地下に隠されているリンド達の秘密のアジトでは、悪霊達との戦いとは違う出産と言う名の戦いが起きていた。
遂に訪れた我が子の出産の時に蔓は幸福感を感じながらも、戦いとは違う産みの苦しみを味わいながら必死に戦う。
(あ、主様……大丈夫です。必ず私と貴方の奇跡の結晶である子を無事に産んで見せます)
この場にはいなくても、魂の繋がりでリンドが心配している事を蔓は感じていた。
傍にいてくれない事に残念な気持ちを感じないわけではないが、それでも寄り添うリンドの心を感じているので不満はない。
(主様は心から私との子の誕生を祝福してくれているのですから!)
愛する相手の子を産む幸福感。そして……心の奥底で願い続けて来た奇跡を得られた多幸感が、苦しみながらも蔓を満たしていた。
不変の存在である精霊は、子を為せず別れを繰り返して長き時を過ごし続ける。変化があるとすれば、楓のようにアシハラノクニへ転生する以外に方法はない。故に精霊達は幾多の別れを過ごし続けている内に、心の奥底で寂しさを抱え続ける。
しかし、その寂しさを忘れてしまう程の喜びを桃花、蔓、ツクヨミは『真の契りの儀式』に寄って得られてしまった。
そして今、蔓にとって幸福の象徴となる存在が遂にこの世に産まれようとしている。
「あああっ、んんっ! あああああっ!!」
……オギャアッ! オギャアッ!
神聖さに満ち溢れた地下空間で、産声が上がったのだった。
「それではリンド。思い出した事を話して貰えますか」
「はい……アマテラス様」
緊張した面持ちでリンドは、アマテラス、カグツチ、ツクヨミ、そして佐久夜と向かい合っていた。
時刻は昼頃。ツクヨミが出雲学園から戻って来ると共に、リンドはアマテラスの執務室に呼ばれた。話す内容に関しては言うまでもなく、『迷い人』との戦いの中で思い出したという記憶。
既にヒミコの容姿に関しては佐久夜を通して伝えてあるが、それだけでは終わらない。一体何が『世界の理を整える役割を担う、精霊と交じり合った一族』に起きたのか聞かねばならないのだから。
本来ならば戦う覚悟を決めた琴乃も同席すべきなのだが、美由紀の事があるので今は里の案内をしていてこの場にはいない。
「……先ず、改めて僕の事を話します。真の名は一族の決まりで話せないので、桃花様から頂いたリンドの名で語らせて頂きますが、宜しいでしょうか?」
「ええ、構いません」
「勿論だ」
「では……僕はアマテラス様達も既にご存知の通り、『世界の理を整える役割』を担っている一族の生まれです。そして……一族当主であるお母様の息子として生を受けてこの世に産まれた者です」
「一族の当主の息子!? では、リンド!? 貴方は?」
「はい。次期当主の最有力候補者です……だから、僕だけを一族の皆は逃がしてくれたんです」
深く苦悩するような顔をして、リンドは俯いた。
思わず心配の余り佐久夜は駆け寄りそうになるが、グッと堪えて我慢した。
(リンドが当主の息子……じゃあ、どうしてあんなに何も知らなかったの?)
里に来た頃のリンドは、それこそ普通の子供としか思えなかった。
呪法に関しても良く知らず、アマテラスから教えを受けるまでは本当に使えなかった。だが、それでは矛盾が生まれる。
佐久夜も次期里長の有力者なので、幼いころからある程度教えを受けていただけに、何も知らない子供としか思えなかったリンドに違和感を感じずにはいられなかった。
「ですが、次期当主候補と言っても、僕らの一族では余り関係ないところも多いんです……カグツチ様とツクヨミ様、そして佐久夜お姉ちゃんは見ましたよね? 僕が使った精霊としての呪法『樹界降誕』を」
「ああ、凄い呪法だった」
「直接的な攻撃力は無いに等しいけど、その分、敵への阻害と味方への補助に関しては私の知る中でも超一級品の呪法だったわ」
「貴方と姉さんが其処まで言うなんて」
「お母さん! お父さんと伯母様が言っている事は本当だよ! 私もリンドが呪法を使ってくれた時は、何時もよりもずっと身体が軽く感じたから」
『樹界降誕』の恩恵を受けた三人は絶賛の声を上げる。
その様子を見ていたリンドは、申し訳なさそうな顔をして重要な事をアマテラス達に告げる。
「あ、あの……誉めて貰えるのは嬉しいんですけど……『樹界降誕』は暫らくは使えません。少なくとも、僕がもっと精霊の力を高められるようにならないと」
「そうなのか?」
「は、はい。今回使えたのは、『迷い人』と言う明確な僕の一族の敵の出現に血が鼓音していたおかげです。多分使おうとしても、今は発動も出来ずに終わると思います」
強力な呪法故に使用には、やはり制限が出てしまう。特にリンドは精霊の血こそ引いているが、此処数世代は人間の伴侶だったので精霊としての血が薄まってしまっている。加えて幼い。
再び『樹界降誕』を発動できるようになる為には、精霊としての力をより高めて使いこなせるようにならなければ駄目なのだ。
「それで記憶に関してですけど、事前にツクヨミ様に話した通り、僕らの一族はネノクニを歩く時は記憶を一部封印する事になっているんです。そして僕の場合は、一族に関する記憶を全て封印されて普通の里の子供であるようにされていました」
「だから、何も覚えてなかったの?」
「ごめんなさい、佐久夜お姉ちゃん」
「ううん。良いよ。だって、もし私達の里以外にリンドが保護されていたら、大変な事になっていたかも知れないんだから」
直接リンドが宿している力と宝珠の力に触れただけに、そう言う処置をするのも必要だと認識して佐久夜は受け入れた。
(でも、後でお仕置きとして沢山絞り取ってあげるからね♥)
「では、リンド。記憶に関しては分かりました。次に聞きますが……貴方は『天帝』を含めたこのネノクニの外敵に関して何か知っていますか?」
「えーと、外敵に関してでしたら、今アマテラス様が持っている宝珠からの声である程度答えられます。ただ外敵が潜んでいる別空間とかの所在までは分かりません」
「まあ、それは仕方ないでしょうね。知ってたら、坊やの一族が無事だった頃に何か仕掛けているでしょうし」
今はアマテラスが所有している宝珠は、ネノクニとアシハラノクニの理を整える力は持っているが、『天帝』を含めた外敵が自らの力で作り上げた別空間までは干渉できない。
出来ているのならば、当の昔にリンドの一族がその空間を破壊して、『天帝』達を倒しているだろうからだ。
「聞きたいのは所在地とかじゃないから安心してくれ。だが……外敵は俺達がヒミコ達と戦っている時に攻めてくるかどうかだけは確認しておきたい」
カグツチ達が一番恐れているのは、外敵に寄る横槍。
ヨモツオオカミの時にはリンドの一族が無事だったので横槍の類は起きなかったが、今はもういない。そうなればヒミコとの戦いで横槍が入って来る可能性は高い。
その事を危惧してカグツチ達が質問すると、リンドは目を閉じて宝珠からの情報を整理する。
「……あり得る可能性はあると思います。ただ、『天帝』に関しては今は迂闊に動かない筈です」
「その根拠は?」
「はい。先ず『天帝』には配下として『飛天』と呼ばれている神々がいます。名を挙げると『弁財天』、『技芸天』、『摩利支天』、『吉祥天』、そして『閻魔天』です」
(ちょっ、ちょっと待ってくれ!? それってアシハラノクニで有名な神の名前だよな!? しかも『閻魔天』って、まさか!? 『閻魔大王』の事なんじゃ!?)
リンドが挙げた名前に、カグツチは口を引き攣らせずにはいられなかった。
何せアシハラノクニで語られる有名な神々の名前が、『天帝』の配下として挙げられたのだ。もしこの場に同じアシハラノクニの人間である琴乃と美由紀が居れば、カグツチ同様に絶句していただろう。
改めて外敵の強大さにカグツチが戦慄する。
「この『天帝』の最大戦力の内の五柱の中でも最強の神である『閻魔天』が、今は『天帝』から離れて行方不明になっているんです」
「良くそんな事を知ってるわね。もしかして行方不明にアンタの一族が関わってるの?」
「そうみたいです……宝珠からの情報だと、数百年前ぐらいにこの『閻魔天』が1人の疲弊した巫女を連れて僕達の一族に接触して来たんです。どうにもその巫女を『天帝』から匿うために、一時ネノクニに入れて欲しいと頼んで来たらしくて」
「……もしや、入れたのですか? このネノクニに?」
「はい……アマテラス様からすれば外敵をわざわざネノクニに入れた事は不満に思うでしょうが、『閻魔天』が行方不明になれば『天帝』の動きは確実に鈍ります。現に『閻魔天』が行方不明になってからは、『天帝』はこのネノクニを襲う頻度が格段に減ったらしいです」
最大戦力の中核が消えれば、敵の動きは鈍るしかなくなる。
故にリンドの一族は当時、『閻魔天』の提案を受け入れネノクニ内に入れた。まさか、『天帝』も襲っている世界であるネノクニに『閻魔天』が居るとは思わず、今も行方不明となった『閻魔天』を『天帝』は探し続けている。
リンドの一族が使った策にアマテラス達は感心する。下手に封印して所在が分かるよりも、本人の意思を含めて行方不明扱いになればネノクニが疑われる事はないのだから。
「『閻魔天』が今、アシハラノクニとネノクニのどちらにいるかは分かりませんが、自分から行方不明になる事を選んだので、『天帝』からの信用と信頼は間違いなく失っています……その『天帝』が動くとすれば、ヒミコが勝利した時だと思います。その時になれば、このネノクニが不安定になり過ぎて、神秘の流出が容易くなりますから」
「そうか……他の勢力もその時を狙ってくる可能性が高いと見るべきか」
何せ外敵からすれば勝手に内輪もめをして、ネノクニと言う世界が疲弊してくれるのだから下手に介入する必要性は今のところはない。
無論、『迷い人』のように突発的な悪霊がネノクニに襲い掛かって来る可能性はあるのだが。
「……分かった。リンド、教えてくれてありがとう」
「いえ、お役に立てて良かったです」
一先ずある程度の情報は話し終えたので、今日は此処までで終わりと言うようにアマテラス達は肩の力を抜く。
(ヒミコに関しては後日で良いでしょう。それにリンドよりも先ず四聖獣に確認しなければなりません)
楓からの情報もあるので、ヒミコの正体は判明している。
まだ幼いリンドに里が滅んだ時の事を聞くのも申し訳ないので、今は聞かずにおく。現に話が終わったと判断した佐久夜などは、すぐさまリンドの傍に近寄って慰めている。
その様子を微笑まし気にカグツチは見ていたが、すぐに思い悩むような顔を浮かべる。
「……それで、リンド……実は一つ、頼みがあるんだ?」
「は、はい、何でしょうか、カグツチ様?」
「実は……」
「きょ、今日から宜しくね」
「は、はい、此方こそ」
自らが暮らしている家の出入り口の前で、ネノクニの服を着て、他の着替えを持って訪ねて来た美由紀を緊張しながらリンドは迎え入れた。
カグツチからの頼みは、美由紀をリンドが暮らしている家で琴乃の時同様に住まわせて欲しいという事だった。これに関しては美由紀本人も受け入れている。今の美由紀にとって、アマテラス達と仲睦まじいカグツチの姿を見るのは、苦痛でしかなかった。
昨晩は琴乃が居たおかげで耐えられたが、カグツチがアマテラスかツクヨミと一緒にいると考えるだけで気分が悪くなり、余り眠ることも出来ずにいたのだ。
(お兄ちゃんが私以外の誰かと結ばれている光景なんて……やっぱり嫌!?)
違うと分かっていても、耐えられるものではない。
ましてや美由紀はそうさせたくなくて罪を犯して、親友だった少女にまで最低の裏切りをしてしまったのだから。なのにその光景があの屋敷の中では広がっている。
頭がおかしくなりそうなところで、別の家に暮らさないかと言う提案は渡り船だった。そして一緒に暮らす相手が、自身が骨折させてしまったリンドならば迷惑をかけた気持ちが強くなって気が紛れる。
(ごめんね……その分、私が君を支えるから)
片腕が使えないリンドではどうやっても不便な生活が強いられる。その介護をする気持ちで美由紀はカグツチからの提案を受け入れた。
無論、素直には聞き入れられずに嫌味を話した時には口にしてしまった。その事で更に美由紀の心中は暗くなる。
(目論見通りだ)
対してリンドは表面上は戸惑う様子を見せながらも、自身の思惑通りに事が進んでいる事を喜ぶ。
罪悪感を強く抱くようにされている美由紀は、リンドの事が関わると罪悪感に動かされてしまう。カグツチ達も美由紀の心中を考えれば、屋敷に滞在させておくのは状況を悪化させるだけとしか思えない。
しかし、他の里の者達に任せられる筈もなく、空いている住む場所と言えばリンドの家しかない。特に今はリンドは右腕が折れているので、不便な生活を送るしかなく、そのサポートとして美由紀を宛てがえば仲良くなれるかも知れないと考えたのだ。
佐久夜と琴乃は複雑そうにしていたが、美由紀の心中を考えて最終的に了承した。
「じゃあ、中にどうぞ。部屋は幾つか空いてますから、お好きな部屋を使って下さい」
「う、うん……そうさせて貰うね」
言われて、美由紀は貰った着替えを案内された部屋に置く。リンドの言う通り、平屋でありながらも複数の人間が泊まれるように部屋数はそれなりにあった。
(こんな広い家に、子供が1人で暮らしているなんて……おにい……カグツチさんは何とも思わないの?)
実際のところはリンドの意思を尊重しているのだが、その事を知らない美由紀は自身の知る兄とカグツチとの違いに困惑する。
そのまま調理場や水瓶がある場所を案内したり、加えて囲炉裏の説明もして美由紀に火を点けて貰った。
「美由紀さん。火打石の使い方が上手いですね」
「うん。琴乃さんが教えてくれたの」
これからネノクニで原始生活をする事になるので、琴乃が事前に生活に必要な事を里を案内している時に美由紀に教えておいたのだ。
なるほどとリンドは納得する。右腕が不自由なリンドと美由紀を琴乃は気遣ってくれたのだ。
(それにしても琴乃は自分が、こっちの世界の美由紀さんと一緒に戦った綾香さんの娘だと言う事は話していないみたいだね)
その判断をリンドは間違っていないと思う。
一見普通に会話出来ているが、今の美由紀は琴乃が自棄を起こした時よりも危うい精神状態におかれてしまっている。しかもその身には四聖獣級の力が宿っている。
だが、余りにも精神が未熟で脆弱過ぎる。故にアマテラス達も迂闊に強い言葉を言えない。特にカグツチは自身の言葉で別世界の妹が壊れてしまうかも知れないので尚更だ。
(だから今がチャンスだ)
『塔馬ヒカル』に罪を犯してしまう程の恋慕の感情を抱いている美由紀だが、妹と言う立場にいる限りアシハラノクニで結ばれる事はない。
そして今はアマテラスと結ばれたカグツチと、顔も知らない『逢須』と言う男性と結ばれる別世界の自分自身を美由紀は知ってしまった。罪の意識と大きすぎる違いに美由紀の心はこれ以上に無いほどに弱っている。
後は切っ掛けだけだとリンドは内心でほくそ笑みながら、美由紀が用意してくれた食事に手を伸ばす。
「はい……その、おにぎりで良かったかな?」
「いえ、寧ろありがとございます」
右腕が包帯で覆われて固定されているので、片腕が使えないリンドにとって美由紀が用意してくれた食事は助かった。
「美味しいです。琴乃お姉さんもですけど、アシハラノクニの人達って料理が上手なんですね」
「家では私が家事を主にしていたから……一緒に暮らしていたお爺ちゃんとお兄ちゃんは全然家事が駄目でね」
「そうなんですか……あのカグツチ様が」
もしこの場にカグツチが居れば止めてくれと美由紀に頼んだだろうが、いないので美由紀はアシハラノクニでの『塔馬ヒカル』を教えていく。
(後でツクヨミ様に教えよう)
アマテラスも知らないカグツチの過去となれば、ツクヨミは間違いなく大喜びする。
蔓の子の出産を手伝って貰えたお礼ではないが、気持ち程度で美由紀の話に耳を傾けていく。
「それでお兄ちゃんはね」
(やっぱり美由紀さんの中で、『塔馬ヒカル』……カグツチ様は特別な存在なんだね)
本人も無意識なのだろうが、『塔馬ヒカル』の事を話している美由紀は何処となく嬉しそうだった。尤も其処に色濃く罪悪感が募っている。
そろそろ攻め時だとリンドは思い、美由紀に神妙な顔をしながら話しかける。
「あ、あの美由紀さん……カグツチ様とは仲直り出来そうですか?」
「っ!? ……そ、それは……分からないの……だって、おにい……ううん、カグツチさんは別の私ともう仲直りしているもの」
カグツチの中では終わった事でも、美由紀にとっては現在進行形で『塔馬ヒカル』と喧嘩している最中だった。
他にもカグツチを兄と思って良いのか、他人として接するべきなのかとどうしても顔を見る度に頭が混乱してしまう。
何せカグツチは美由紀が知るよりも歳を経ていても、共に育った『塔馬ヒカル』であることに変わりはないのだから。
「……で、でも、普通に話せるようにはなりたいと思っているの」
それが難しい事を美由紀が一番良く理解しながらも、やはりこのままではいけないと言う事も分かっていた。
「そうですよね……じゃあ、僕も何か手伝えますか?」
「えっ? 手伝ってくれるの? そ、その……私は君の腕を……」
言い難そうに口を閉ざしてリンドの固定されている右腕を美由紀は見つめる。腕の事を気にしているのだと悟ったリンドは、何でもないと言うように微笑む。
「この腕の事は気にしないで下さい。あの時の美由紀さんは、『迷い人』に操られていたんですから」
「っ……あ、ありがとう」
(今の反応……もしかして佐久夜お姉ちゃんに襲い掛かった時には、美由紀さんの意思も関わっていた?)
ほんの僅かな美由紀の反応をリンドは見逃していなかった。
内心では利用できると思いながらも、それを表には一切出さずに美由紀と和やかな会話を続けていく。
「……良い子だったな」
やがて子供はもう寝る時間だと言うようにリンドは自分の部屋に戻り、美由紀も自らが選んだ部屋に入った。
しかし、一人きりになるとやはり罪悪感が出てしまう。
(あの子……佐久夜ちゃんを襲った時、私は間違いなく自分の意思で襲った)
まだ微かに残されていた美由紀の意識と『迷い人』の意識が完全に同調してしまった瞬間でもあった。
故に美由紀の右手には、確りとリンドの右腕をへし折った感触が残っていた。
「ごめんなさい……お爺ちゃん」
祖父から学んだ古武術を穢してしまったような気持ちになり、美由紀はますます暗くなる。
「……水を飲んで寝よう」
言いながら美由紀は、
(んっ……何だか……頭がぼおーっとしているみたい)
『美由紀さん』
(リンド君?)
何時の間にか自身の顔を見下ろすようにリンドが立っていた。部屋の扉が開くような音がしなかったのに何故と美由紀が朦朧とした頭で考えようとすると……。
『これは夢だよ、美由紀さん』
(夢? ……うん、そうだよね。私が寝ようとしている部屋に、先に別の部屋で寝た筈のリンド君が居るはずないんだから)
囁きかけられている言葉も全て夢だと美由紀は
その証拠に自身を見下ろしているリンドが浮かべている笑みは、美由紀を慰めてくれた時に浮かべていた笑みとは全く違うモノ。
ゆっくりと夢の中のリンドは美由紀に囁きかける。
『美由紀さん。悪い事を沢山したんだね』
(っ……うん、私悪い事を沢山したの)
『じゃあ、悪い事をした美由紀さんにはお仕置きが必要だよね?』
(お仕置き?)
美由紀の脳裏に『塔馬ヒカル』が女の子と仲良くしている時に振るってしまった拳が浮かぶ。
(……うん。悪い事をしたらお仕置きは必要だと思うよ)
『それじゃあ、美由紀さん。これから僕がお仕置きをするけど良いよね? 僕は美由紀さんに腕を折られたからお仕置きする資格があると思うんだ』
(……う、うん。リンド君がお仕置きをして良いよ)
元々抱いている罪悪感と今起きているのは夢だと認識している美由紀は、あっさりと了承した。
雄の嗜虐心に満ちた笑みをリンドは浮かべ、ますます美由紀はこれを夢だと認識していく。
『これからお仕置きを始めるね。先ずは身体を起こして着ている服を全部脱いで裸になってね』
(は、裸になるって!? そんな!?)
『好きでもない男性に、しかも僕のような子供に裸を見られるのは恥ずかしいよね。これはお仕置きの一環だよ』
(っ!? ……うん、お仕置きだから仕方ないよね)
頭が少々ぼおっとしていながらも美由紀はリンドの提案に頷き、体をゆっくりと起こして腰に巻いている帯に手を伸ばす。
今美由紀が着ているのは、此方に来た時に着ていた制服ではなく、ネノクニの服なので帯を解けば簡単に脱げる。
先ず上半身を脱いで、ネノクニの厚手の下着で隠した小ぶりの程よい胸をリンドの視界に晒す。次に下半身に穿いていた服を脱ぎ、此方も大切な箇所は下着で隠されている。だが、下着だけになった事で、女性的な柔らかさを感じさせる程よい肉づきをした細身の身体とくびれた腰が露わになった。
夢と子供とは言え異性に肌を晒す事に、美由紀は羞恥心で顔が赤くなる。だが、まだ終わりではない。
『美由紀さん。まだ脱ぎ終わってないよ。お仕置きを拒むの?』
(……っ)
意を決して美由紀は下着に手を伸ばし、女性の象徴たる二つの乳房とその頂点にある桜色の乳首と乳輪を先ずはリンドに魅せる。
次に下着に手を掛けて下ろし、髪と同じ陰毛で飾られた縦筋も晒す。恥ずかしそうに顔を真っ赤にして手で隠そうとするが。
(手が動かない!?)
双丘と秘所に当てようとした両手が動かず、手首辺りに違和感を感じながら顔の横の引っ張られた。
『これは夢だからね』
(夢? ……夢だからこんな不思議な事が起きちゃうんだ)
夢の世界だから不思議な事が起きても可笑しくないと美由紀は認識する。
そして立ったまま両手を顔の横で広げて、己の裸身を美由紀はリンドの前に全て晒した。年頃の女の子ならば異性に隠したい双丘やお尻、そして秘所も全て見せた美由紀は恥ずかしさの余り目をギュッと瞑ってしまう。
(これは夢!? 夢の中の事だよ!?)
そう念じる美由紀の右胸から、何かが胸を包み込む感触が伝わってくる。
(ひゃんっ! な、何が……っ!?)
閉じていた目を開けて前を見た美由紀は目を見開いて驚く。
何故なら程よい美由紀の右胸をリンドが動く左手で揉みしだいていた。
(な、何をしてるの!? や、止めて!?)
『駄目だよ、美由紀さん。これがお仕置きだよ』
(お、お仕置き!?)
その言葉で暴れようとしていた美由紀の動きが止まった。その隙を逃さないと言うように、リンドは円を描くように美由紀の右胸を揉み指先で乳首を撫で回す。
(んんっ……ああっ……これが……んっ……お仕置きなの?)
『そうだよ。好きでもない相手に胸を弄られるのは女の人は嫌でしょう?』
(ああっ……う、うん……お仕置きだね)
身体を震わせながら美由紀はリンドの説明に納得した。実際勝手に胸を触られて嫌悪感のようなものを美由紀は感じているので、リンドの説明に嘘はない。
納得してくれたとリンドは更に右胸を強めで揉み出し、開いている左胸に顔を近づけて少し反応し始めて乳首を舌で舐め回す。
(い、いや! な、舐めるのなんて駄目!? んんっ……んうっ)
『そう言いながらも美由紀さん。乳首が固くなって来てるよ』
(あんっ……はぁ、はぁっ……そんな筈がないよ。だって……んんっ……お、お仕置きなんだから)
『本当かな?』
リンドは嗜虐に満ちた笑みと共に右胸を左手でこねくり回し、左胸を歯や舌で弄り回していく。時折吸ったりもされて美由紀は甘い吐息を洩らす。
何人もの女性を鳴かせて来たリンドの攻めは、的確に性に初心な美由紀に快楽を与えていく。
(はぁっ、はぁっ♥ んんっ♥ な、なんなのこれ? 何でこんなに身体が熱くなって……んううっ♥)
双丘から伝わってくる快楽に、美由紀は全身を震わせ手と足の指先をぎゅっと握り締めた。
軽く絶頂したのを悟ったリンドは美由紀の胸を弄るのを止めて、距離を取る。そして見えないように認識されている
(はぁ、はぁっ……)
『良い、美由紀さん。悪い事をしたら
(……う、うん……リンド君に
『そう。今されたみたいな恥ずかしいお仕置きだよ。現実の僕はそれを知らないんだから、美由紀さんが自分から言うんだ』
美由紀の心に深くリンドの言葉が刻まれていく。
事前に仕込まれていた深い罪悪感を抱く気持ちと交わり、心の奥まで認識は刻まれた。
『じゃあ、今日は此処まで。本当にお休み、美由紀さん』
(……お休み?)
違和感を美由紀は感じるが、その意識を留める事は出来ずに深い眠りの淵へと落ちて行った。
「……んー、朝?」
鳥の鳴き声が聞こえた美由紀は眠っていた布団から起き上がる。
寝起き直後のぼんやりとした頭で、自身を確認する。昨晩横になった時と変わらず、寝る直前に着ていた服のまま。布団も乱れた様子はなく、何処にもおかしいところはなかった。
「……何か変な夢を見たような?」
思い出せずに疑問を感じながらも、美由紀は立ち上がり自身が寝ている部屋から出てリンドが寝ている部屋に向かう。
「……」
意を決して美由紀はリンドが寝ている部屋を開けた。
すると敷かれた布団ではなく、家の壁に寄りかかるようにして身体に布団を巻いて眠るリンドがいた。
「あっ……」
(私の馬鹿!? この子の右腕は折れてるのに横になって眠れない事に気付かないなんて!?)
アシハラノクニと違い、ネノクニでは骨折した時に補助する道具がない。
故に骨折しているリンドは寝返りを打つ事も出来ない。自分の事ばかりで大切な事を忘れていた自身に美由紀は怒りを覚える。
(……うん! まだ悩む事は多いけど、今はこの子の骨折が治るまで助けになってあげよう……先ずは朝食の準備をして……それから……カグツチさんとも向き合えるように頑張らないと)
複雑な気持ちは今だ胸中に溢れているが、美由紀は決意した。
尤もその決意の邪魔をするのは、他ならぬ自身だと言う事も理解していながら、美由紀は朝食の準備を始める。
(……フフッ、これで美由紀さんは改めて僕が不自由だと認識した。このまま腕が治るまで、僕の生活を助けて貰うからね。その魅力的な肢体を使ってね)
美由紀は知らない。自身が子供の姿をした雄の巣に入り込んでしまった事を。
これから淫欲に満ちた日々が始まる事を、朝食を作っている美由紀は夢にも思っていないのだった。
次回は琴乃の時同様に飛ばす予定で居ます。
ある程度調教が進行している段階です。
因みに作中で出たIZUMO3のキャラである『閻魔天』は出ません。
序でに一緒にいた疲弊した巫女が『織姫』であることもカグツチ達には話していません。あくまで『天帝』が2の戦いに参戦出来ない理由の設定の為です。
アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。
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琴乃が堕ちた段階で孕ませる
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四聖の社全て攻略後に孕ませる
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サヨ関連終了後に孕ませる
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イザナミも加え、四人そろって孕ませる