IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜 作:イズモ
予定通りアンケートは次回で終わりです。
しかし、思っていた以上に彼女は人気ありますね。流石片方はサブキャラでしたが
、IZUMOシリーズ二度出た女性ですね。
お気に入り、アンケートありがとうございました!
青龍は緊張していた。
長き時を過ごしていながらも、これほどまでに緊張したのは人間だった頃以来だと思いながらそっと両手を伸ばして抱き上げる。
「あぅ~」
「ふふっ」
自らの腕の中にいる母親と同じ紫色の髪の赤子-李花-に青龍は微笑んだ。
その微笑みは李花と共に植物で作られたゆりかごに寝かされながら、姉を抱く青龍を見つめている新緑色の髪の樹理にも向けられる。
「……この子達がリンド様と貴女達の子供。李花と樹理なのですね」
「はい、青龍様。今腕に抱かれているのは私と旦那様の娘である李花です」
「ゆりかごに居る子は私と主様の子。樹理です」
青龍の質問に共に、地下の隠れ家にやって来ていた桃花と蔓が答えた。
佐久夜、琴乃、美由紀、そしてリンドが社に向かう準備をしている中、青龍は精霊同士の話し合いがあると説明して、こうしてかの一族の隠し財産と、リンド、桃花、蔓の本当の宝物である子供達がいる地下室に訪れた。
あどけない顔で自身を見つめる李花と樹理に、青龍は優しく微笑む。
(不思議なものですね。リンド様と『真の契り儀式』を結ぶ前は、赤ん坊を見ても可愛いとは感じても、此処まで愛おしさなど感じたことがなかったと言うのに……今は何よりも私の子の姉であるこの子達を護りたいと思ってしまいます)
「……必ず護りましょう、桃花、蔓」
「勿論です、青龍様……ですが……」
「主様と青龍様が『真の契り儀式』を結んだ事は……アマテラス様とカグツチ様はどう認識されているのでしょうか?」
桃花と蔓が一番気に成るのは、やはりその点だった。
状況から考えて、間違いなく青龍がリンドと『真の契り儀式』を結んだのは昨日の早朝頃。
そして場所は間違いなく里にあるリンドが暮らしている家。どうやってアマテラスとカグツチに不審を抱かれずに、四聖獣である青龍とリンドが『真の契り儀式』を結べたのか気になって仕方がなかった。
青龍は丁寧に李花をゆりかごに戻して終えると、微笑みながら告げる。
「アマテラスとカグツチは不審を抱いていませんから安心してください。その代わりに……私がリンド様と一番最初に『真の契り儀式』を結んだ精霊となりました」
ビキッと空気が硬質化した。
その原因である桃花と蔓は、米神が怒りで歪みながらもあくまで口元は微笑みを浮かべる。
「フフッ、それは面白い話ですね、青龍様……旦那様と『真の契り儀式』を結んだのは、この私が一番最初ですよ」
「その次は私です。貴女は三番目ですよ、青龍様」
「ですが、アマテラスとカグツチの認識ではそうなってしまったのですから、仕方ありませんよ、桃花、蔓」
再び三人の間で見えない火花が散る。
(私が旦那様に一番最初に『真の契り儀式』を結んで頂けたというのに!? 形だけとは言え、その座が奪われるなんて!?)
不変の筈の座が、形だけとは言え奪われてしまった事実に桃花の胸中は荒れ狂う。
蔓もまた、このままでは自身がリンドと『真の契りの儀式』を結んだ順番が三番目だと思われてしまう事実に怒りを禁じえなかった。
(私がその座をどれだけ欲したと思っているのですか!?)
怒りの念を向けられている事に青龍は気付いているが、構わずに微笑み続け一瞬即発の気配が満ちる。しかし……。
「あうっ、あぁ~」
「んあ~、あぶぅ~」
李花と樹理が不安そうな声を上げると、瞬時に険悪な雰囲気は霧散した。
まるで喧嘩は駄目と言うように、李花と樹理は身体をゆりかごの中で動かしている。
我が子達の姿に大きく溜め息を吐いた桃花と蔓は、肩を降ろす。
「……分かりました。非常に不本意ですが……李花と樹理の弟か妹を宿す貴女を相手には出来ません」
「万が一の危険を犯す事など出来ませんから」
「感謝します、二人とも……ですが、この子は何れ姉妹と別れる運命にある子なのです」
僅かに憂いを帯びた顔をしながら、青龍は自らの下腹部を撫でる。
青龍の子は精霊として生まれ、新たなネノクニの守護神となる運命にある子。李花と樹理は外敵に対処する為に、影に潜む運命にある。
リンドを含めたかの一族が古の時代から、一族が滅びるまでネノクニの表に出なかった事から考えても、青龍の子は、血の繋がりがある相手と永遠に別れる事になるかも知れないのだ。
その事実に行きついた桃花と蔓は、仕方がないと言うように不本意ながらも認める気持ちになる。
(ふふっ、私からは会いに行きますけどね)
狙い通りに事が進められたことに、内心で青龍は微笑む。
事前にリンドにも確認して、頻繁は困るけど、時々ならば会いに行っても問題ないと言われている。
その事実を悟られないようにするために話を進める。
「しかし、流石はあの一族ですね……万が一の時にこれほどの財をネノクニに隠していたとは」
青龍は李花と樹理以外に、地下に隠されていたかの一族の財産を見回す。
長き時を守護神として過ごしていた青龍から見ても、信じられないような宝の数々。地下の床に突き刺して結界を補強している刀剣類を見ても、凄まじい霊力や神力が宿っている。
(かの一族はイザナギとイザヨイの悲劇が起きた以降、常に最悪の可能性を考えて行動するようにしていたようですから……最もヒミコと麒麟の行動は流石に予想外だったのでしょうね)
嘗ての仲間だった二人の所業に青龍が頭を痛そうにしている間に、桃花は一つの大きめの箱を開けて、その中に納まっていた二つの小箱と、その他に守護の呪具を取り出す。
小箱の中に入っているのは『宝貝』。その片方を開けて、一枚の貝を自分が持つと、残りの片方が入った小箱と開けていない小箱を青龍に差し出す。
「此方が連絡用の『宝貝』です」
「ありがとう、桃花。これで緊急時には此方と連絡が取れますね……ですが、もう片方は?」
片割れの一枚があれば充分なのに、何故もう一組『宝貝』が入っている箱が必要なのかと青龍は疑問に思う。
「旦那様がもしかしたら佐久夜様達と、途中で別行動するかも知れないので……その時の為に青龍様が所持している事にした『宝貝』があればとの事です」
「なるほど。確かにそうなる可能性もありえますね」
納得がいったと言うように、青龍は懐に『宝貝』が入っている二つの小箱を仕舞う。
「それと此方が青龍様の身とお腹の子を護る呪具です。どうぞお使いください」
「ええ、そうさせて貰います」
既に己の身は自分の一人のものではない。それを理解している青龍は、葛藤などせずに守護の呪具を身に付ける。
(これで多少は激しい動きをしても大丈夫ですね)
自らの下腹部を青龍は大切そうに撫でる。その奥に宿っている命は、青龍にとって最早何よりも大切な命なのだから。
「……青龍様。最後に確認いたします。主様と李花、樹理、そして貴女の宿った命と、他の四聖獣様達。優先するのは……」
「勿論、リンド様達です」
迷いなく青龍は蔓の質問に答えた。
こうしてリンドと『真の契りの儀式』を結んだ後も、青龍にとって明確な裏切りを見せたヒミコと、恐らくだがほぼ確実に裏切っているであろう麒麟はともかく、残りの玄武、白虎、そして朱雀が仲間であることは変わりないが、優先対象が大きく変わってしまっている。
桃花と蔓はライバルであり仲間。玄武、白虎、そして朱雀は必要ならば対立もする。
「青龍様の覚悟は分かりました。ところで、主様は他の四聖獣様達と接触するのは……」
「暫らくは会わないつもりのようです」
その説明に桃花と蔓は安堵して良いのか、女として嫉妬すべきなのか複雑な気持ちになる。
暫らくはと言う事は、いずれは会うつもりと言う事なのだから。あくまで今、会わないのはこれ以上四聖獣を戦えなくするのは危険だからという判断から出たもの。
青龍からの話で『真の契りの儀式』の悪影響部分を、他の三人も知らないと分かった今、戦力低下を控える為に会わない事にしたのだ。無論、アマテラスとカグツチに不審を抱かれない為なのもある。
あくまで青龍と『真の契りの儀式』を結べたのは、事故と言う形を装わなければならない。
最も何れは、『真の契りの儀式』を結ぶつもりでリンドはいる。
「勝負に負けた私には、本来何も言えませんが、やはり複雑ですね」
「勝負ですか? 青龍様と旦那様はどのような勝負を?」
「……その、実は……」
青龍は桃花と蔓を招き、李花と樹理の耳に届かない場所でリンドとした勝負を語った。
最初にリンドに三度も中出しされた事に嫉妬を覚えた桃花と蔓だったが、深く説明を聞いたら恐怖を感じて身体を震わせる。
「もしアレが私の意思ではなく、リンド様のご意思で卵子を出せるようにされていたら……拷問となっていたかも知れません」
途中で既に肉体は子を欲して、リンドに足を絡めるという行動を行なってしまっていた。
逆に屈服してしまった時には、これ以上に無いほどの幸福感を感じてしまう。人間で言うところの麻薬に近い。
(とは言え、あの術が再び使われる事はないでしょう)
この時、青龍はそう思っていた。
向かう先になった社にほど近い場所で、再びあの術が使われ、リンドと共に自身も一人の精霊を泣き叫ぶまで責めることになる未来が待っている事を。
荷物をそれぞれ背負った四頭の馬が、一路白虎の社がある西の方角を目指して走っていた。
アシハラノクニのような舗装された道もないので、獣道を駆け走る。先頭を走る青龍とリンドが乗る馬の前方には、風が幕が張られていて後続の馬が通りやすい様に簡易的な道が作られていた。
おかげで青龍とリンドが乗る馬に続く佐久夜達は、思ったよりも快適に進む事が出来ていたのだが……。
(むぅ~! どうしてリンドが青龍様の馬に一緒に乗ってるの!?)
(リンド君……)
佐久夜と琴乃は絶世の美女である青龍と共に乗る大切な相手の姿に、嫉妬を覚えずにはいられなかった。
出来る事ならば、リンドは自分と一緒に馬に乗る事を佐久夜と琴乃は心の中で望んでいたが、少しでも移動速度を上げるためと言う青龍の主張に反論する事は出来ず渋々認めるしかなかった。
最も、青龍と一緒に乗るのは今日だけで、明日は佐久夜と琴乃のどちらかに乗ると告げたのもある。
因みに美由紀が自分もと提案しなかったのは、リンドを除いた三人の中で馬に乗る経験が一番少なかったからである。
(でも、どうして私? リンド君が青龍さんと一緒に乗る時に胸が騒めいたんだろう?)
そう美由紀が疑問を抱いていると、駆けていた森を抜けて少し広い丘に出た。
(思っていたよりも早く進めていますね。この分ならば、予定よりも早くっ!?)
「わっ! せ、青龍様!?」
急に青龍は握っている手綱を引いて馬を急停止させた。
慌てて佐久夜、琴乃、美由紀も馬を止める為に手綱を引く。この時、リンドは瞬時に佐久夜達が乗る馬に鎮静の効果を持つ空気を送る事で馬を落ち着かせて落馬を防いだ。
表面上は慌てながらも、リンドは何故馬を青龍が急停止させたのか分かっていた。
続いて佐久夜も感知したのか、慌てて青龍が見ている方に顔を向ける。
琴乃、美由紀も釣られて其方に目を向けてみると……。
「えっ? 空に?」
「真っ黒な雲?」
自分達が居る場所は晴天なのにも関わらず、空の一か所だけ不自然な真っ黒な雲が出来ていた。その雲からは稲光が迸り、雷雲であることを示している。
琴乃、美由紀は感じていないが、雷雲からは膨大な霊力が迸っている。その迸る霊力が何のためのものなのか悟った青龍、リンド、佐久夜は目を見開く。
「すぐにこの場を離れます! 佐久夜! 先行を!」
「琴乃さん! 美由紀さん! ついて来て!?」
「は、はい!」
「い、一体何なの!?」
訳が分からないながらも、琴乃と美由紀は返事を返してすぐさま佐久夜の後を追うように馬を走らせた。
今度は最後尾に青龍とリンドが乗る馬が走る。更に防御するように、青龍は後方に風の防壁を張り巡らせる。
加えてリンドは身に付けている腕輪に『金玉』、『奇玉』、『荒玉』を取り付けて、佐久夜、琴乃、美由紀に呪法を施していく。
「レジストメタル! バリア!! シールド!!」
「これって!? 呪法!?」
「リンド君! 佐久夜さん! 青龍さん! 一体何が!?」
金属性の呪法を無効化する護りと呪法防御、更に物理防御を施された琴乃と美由紀は、訳が分からないというように質問した。
その質問に対して青龍が後方の上空に浮かぶ雷雲を警戒しながら、二人の質問に答える。
「アレは白虎が生み出した雷雲です! 自らの固有呪法の威力を更に引き上げる為に、雷雲を呼び放つつもりなのでしょう。その威力は、距離がありながらもこの辺り一帯にまで被害を出しかねません!」
『ええっ!?』
「だから急いで少しでも距離を取らないと!」
一番前で馬を走らせる佐久夜は、下りに差し掛かると共にさらに速度を上げる。
琴乃、美由紀も急いで後を追いかける。青龍はその後を追いかけながら、白虎が戦っている相手について考える。
(白虎が周囲の被害も考えずに戦わなければならない程の相手となれば……っ! どうやら当たってしまったようですね!)
四聖獣が周囲の被害を考えずに、戦わなければならないほどに追い詰められる相手は、ネノクニでは限られている。
敵はミナカタやオオナムジではなく、もっと別の誰か。ヒミコでないとすれば、青龍の脳裏に浮かぶのは一人だけ。
「青龍……君達よりも強い精霊が近くにいるよ」
「っ!?」
小声でリンドが告げた報告に青龍は確信を得た。
前を走る美由紀に気付かれないように、小声で青龍はリンドに確認する。
「いかがいたしますか?」
「……佐久夜お姉ちゃん達でも、今はまだ早い相手だ。琴乃もまだ笛を扱いきれていないから精霊には効果が弱い。美由紀さんとは相性が悪い……あの雷雲が放たれたら、皆と別れる」
「……分かりました」
(的確な情報判断……流石はリンド様)
そう青龍が思った直後に、雷雲が光り輝き、強い雷光が地上に向かって放たれた。
『きゃああぁぁっ!!』
「くぅっ!!」
「どうやら本当に彼方は余裕がないようですね!!」
地上に激しい雷撃が落ちた衝撃は、距離がありながらも佐久夜達にまで届き、思わず悲鳴を上げてしまう。
青龍は風を操り、衝撃で飛んで来る石や木々を吹き飛ばして佐久夜達を護る。しかし、その顔には焦燥が浮かんでいた。
(白虎の限界を超えた一撃!? ですが、それを以てしても彼女には!?)
青龍の危機感が正しいと証明するかのように、今度は大地が鳴動を始める。
(やはり!?)
鳴動を始めた大地の意味を悟った青龍は、これから起きる事を察して馬を止めた。
「せ、青龍さん!?」
急に馬を止めた青龍に気付いた美由紀は慌てて振り返る。
「美由紀! 振り返らないで進みなさい! それと!!」
青龍は懐に入れて、其処に仕舞っていた『宝貝』の片方を風で飛ばし、美由紀が着ている服の中に入り込ませた。
「それは『宝貝』と言う連絡手段です! 使い方は佐久夜に聞きなさい!」
「美由紀さん! 早く行って!!」
「リンド君! 青龍さん!?」
覚悟を決めた様子の二人に、美由紀は慌てて馬を止めようとするが、幾ら手綱を動かしても馬は止まる事無く駆け抜けていった。
「必ず僕らも社に辿り着くから! 社の近くで待っていて!」
「ああっ!」
背後から聞こえるリンドの声に美由紀は振り返っていると、次の瞬間、暴風がまるで壁のように吹き荒れ、その直後に襲い掛かった大地が捲り上がらんばかりの衝撃と激突した。
「かはっ!」
ドゴンっと大きな激突音が発せられると共に、舞い上がった大地と共に遥か上空から落下して来た白虎は苦痛に満ち溢れた声を上げた。
白虎の姿は見るも無残な状態だった。纏う白い服は着ている意味がないほどに破れてしまっている。その下に隠されていた白い素肌と未成熟な肢体は傷だらけで赤い血で染まっていた。
特徴的な獣耳も尻尾も傷だらけで、最早白虎は立ち上がるどころか指一本も動かす事が出来ない。其処まで必死になって戦ったというのに……。
「腕を上げましたね、白虎。おかげで連れて来た悪霊達を護り切れませんでした」
麒麟にはかすり傷一つ付ける事が出来なかった。
圧倒的な差。白虎は四聖獣の中で朱雀に次ぐ実力者だったが、麒麟には及ばなかった。
ゆっくりと麒麟は、地面に倒れ伏している白虎に近づく。
「……麒麟……何故だ? ……何故ネノクニに……仇を為す……?」
全身を襲う痛みに苦しみながらも、白虎は最後の力を振り絞って嘗ての仲間に問いかけた。
その問いに麒麟の顔に僅かに悲しみが浮かんだ。
「仇を為すですか……そうでしたね。そう言えば、貴女達四人は知らなかったのでしたね。仇を為すと言うのなら、遥か昔二千年前から私とあの方は、ネノクニに仇を為しています」
「……ど、どう言う事だ……そ、それに……あの方? ……ま、まさか……ヒミコの正体は」
白虎は気が付いた。
麒麟が唯一、忠誠を誓い従う存在。その相手を白虎は知っている。嘗て自らも仕えた相手。
「今更隠し事はしません。ヒミコ様の正体は、ヨモツオオカミが滅んだ事で解放された『徐福』様です」
「っ!?」
嘗ての主がネノクニに災いを引き起こそうとしている。その事実に白虎は言葉を失うが、同時に……。
(青龍!?)
社の危機をアマテラス達に、伝える為に里に向かった仲間の安否が白虎の脳裏に過ぎった。
今、アマテラス達の里には唯一生き残ったかの一族の男子がいる。盟約が破られてしまった今、かの一族の男子と青龍が出会ってしまえばどうなるかは明らか。
しかし、盟約の事を知らない麒麟は白虎に手を伸ばす。
「白虎。この場にて貴女を封印します。今暫らくは私とあの方の事を、アマテラス、カグツチ、そして他の四聖に知られる訳には……」
「もう遅いですよ、麒麟!!」
「っ!?」
響き渡った声に麒麟はすぐさま、その場から飛び去る。
同時に直前まで麒麟が居た場所に鋭い旋風が吹き抜けて、大地を抉った。
地面に着地し、そのまま前を向いて見ると、白虎を護るように立つ青龍が構えを取っていた。
「……せ、青龍」
「白虎。無事ではないようですが、生きているようですね……そして」
振り向く事無く白虎に声を掛けた青龍は、嘗ての仲間である麒麟に敵意と殺意を込めた視線を向けながら油断なく構える。
「麒麟……こんな形で再会するとは思っていませんでした」
心の底から苦々しそうな声を出しながら、青龍は驚いた顔をしている麒麟を睨む。
「青龍……何故貴女が此処に? オオナムジの話では、貴女の社にも異変が起きている筈。それに……どうして私の事を知っているでしょうか?」
明らかに青龍は麒麟に対して、最初から容赦のない攻撃を放った。
加えて先ほどの発言。麒麟には青龍が白虎と違い、事前に自身が敵だと知っていたとしか思えなかった。
「ええ、私は既に貴女と徐福さ……いいえ、ヒミコが敵だと言う事を知っていました。そしてその情報はアマテラスとカグツチ達も既に知っています」
「っ!? な、何故!?」
知られないように細心の注意を払って隠していた自分達の存在が、敵対しているアマテラス達に知られている。流石の麒麟も動揺を隠す事は出来なかった。
その動揺を見逃さず、青龍はすぐさま足元から暴風を発生させて麒麟の呪法で砕けていた大地を舞い上げる。
「逃がしません!」
青龍が逃げるつもりだと悟った麒麟は、即座に追いかける為に駆けだそうとする。だが……。
(っ!? 木の根!?)
何時の間にか麒麟の足に地面から飛び出している木の根が絡みついていて、動きを阻害した。
同時に青龍が発生させた暴風によって舞い上がっていた地面が落下し、麒麟の頭上に落ちる。
「……してやられましたね」
視界を遮る土砂を吹き飛ばしながら、麒麟はあっさりと脱出するが、既に青龍と白虎の姿はない。
気配も探るが、どういう訳か青龍と白虎の気配も消えている。自身の足に絡みついていた木の根も、足を動かせばあっさりと切れた。
「んっ?」
一瞬何か違和感のようなものを麒麟は感じた。
(何でしょうか?)
先ほどの木の根が原因かと思って目を向けるが、木の根は切られたまま力なく地面に落ちている。
「……気のせいですね……それにしてもまさか、既にアマテラスとカグツチに私とヒミコ様の事が知られているとは」
由々しき事態。しかも白虎も取り逃がしてしまった。
(ですが、少なくとも白虎は当分は戦闘不能。青龍も社には向かわずに、先ずは白虎の治療を優先するでしょう。私の動きを一瞬とは言え邪魔した根は、恐らく『妖やかしの森』か或いは『アシハラノクニの学び舎』の精霊のどちらか……どちらも私の敵ではない。ならば、白虎が治療されている間に白虎の社に居る何者かを捕らえなければ)
そう決めた麒麟は空へと浮かび上がり、白虎の社のある方角に向かう。
「……んっ」
自らと白虎との戦いの余波で倒れた木々の上空を飛んでいた麒麟だったが、フッと微かにだが地上に霊力を持つ者がいることに気付いた。
(……気になりますね)
感知できた霊力はかなりのもの。疑問を抱いた麒麟は、
『ブルルッ!』
降り立った場所には一頭の馬が倒れた木々の近くで、地面を掘るような動きをしていた。
「何故このような所に?」
近くに寄って馬を確認してみると、旅用の荷物を背負っているほかに……。
「花?」
この時期には珍しい花が馬が背負っている荷物の中で大切そうに布に包まれていた。
疑問に思う麒麟だが、馬は構わずに木々を掘る仕草をしている。もしやと思って麒麟が確認すると……。
「やはりですか」
感じた霊力は木々の下から発せられていた。
(私と白虎の戦い、或いは青龍が巻き起こした風によって巻き添えを受けたようですね。運が悪かったとしか言えませんが……)
僅かに悩むような顔をした麒麟だったが倒れている木々を退かす。無論、善意からではない。
(この下にいる者の霊力はかなりのもの。力を失ったヒミコ様の糧にしましょう)
本命は白虎の社にいる四聖獣に匹敵する何者かだが、他の場所に向かっている者達が成功するかは分からない。故に麒麟はまるで何かに
「……子供?」
僅かに驚いたような顔を麒麟はしながら、地面に倒れ伏して気絶している子供を見つめる。
こうして麒麟は出会ってしまった。自身の全てを変えてしまう福音にして猛毒である少年と。
麒麟は嘗て四聖獣の長だったので、白虎では時間稼ぎしか出来ませんでした。
次回は微エロまでは入りたいところ。
以前のアンケート通り最終的には和姦になりますが、最初は抵抗しますのでその点はご了して貰えると助かります。
アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。
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琴乃が堕ちた段階で孕ませる
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四聖の社全て攻略後に孕ませる
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サヨ関連終了後に孕ませる
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イザナミも加え、四人そろって孕ませる