※この作品はR-18です。

IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜   作:イズモ

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今回はメインではありませんがちょっとした微エロ。
そして後々の布石となりました。
そして次回は遂に??編のメインキャラが!

アンケートの結果は
青龍の社へ(22票)
玄武の社へ(17票)
白虎の社へ(40票)
となりましたので、金髪お嬢様がメインとなりました。
次のアンケートのシュチュエーションは、後書きになります。

感想、お気に入り、アンケート、ありがとうございました!


麒麟編 3

「はぁっ、はぁっ」

 

「白虎……手酷くやられましたね」

 

 血塗れの白虎の姿に痛ましそうに青龍は顔を歪める。

 麒麟との戦いの場から逃げ延びた青龍は、それなりに離れた距離にあった小川に辿り着いて白虎の治療を行なっていた。

 回復系の呪法を用いて傷を塞ぎ、風を操って運んで来た水を用いて血塗れの白虎の身体を青龍は洗う。

 洗い終えた後には綺麗な素肌が見えるようになったが、治療を施した青龍は険しそうに白虎を見つめる。

 

(私達精霊の傷は人間よりも早く治りますが……微かに呪詛のようなものが白虎に施されている……消滅させるつもりはなくても、そう簡単には戦線に復帰できないようにされているようですね)

 

 表面上は治ったように見える白虎だが、魂にまで及ぶ傷は治癒し切れていなかった。

 用意周到な麒麟のやり方に青龍が顔を歪めていると、閉じていた白虎の瞳が微かに開く。

 

「……青龍」

 

「白虎。今は無理しないように。麒麟に負わされた怪我は、表面上だけしか治っていないのですから」

 

「……き、麒麟が……言っていたのだ……ヒミコの正体は……『徐福』様だと……」

 

「ええ、私もアマテラスとカグツチから聞かされています……そしてヒミコと麒麟は……2000年前から私達を裏切っていたのかも知れません」

 

「っ……麒麟も……同じ事を言っていた……2000年前からネノクニに仇を為していたと……青龍……私達に課せられていた盟約は既に……」

 

「……破られてしまっています。そして私は……彼と『真の契りの儀式』を結び、子を為しました」

 

「っ!?」

 

 告げられた事実と下腹部を愛おしそうに撫でる青龍の姿に、白虎は全身を襲う痛みを忘れてしまう程の衝撃を感じた。

 

「彼は確かに二次性徴を迎えていませんでした……ですが、盟約は私達の考えていた以上に重く、彼を見た瞬間、私は子を為すという意識に支配されてしまい、彼もまた無理やりに盟約の力で子を為せる身体にされたのです」

 

「な、何と言う事だ」

 

「私はこの事実を他の皆に伝える為に、佐久夜達と同行していたところで貴女と麒麟の戦いの気配を感じてやってきました」

 

「では……佐久夜達は?」

 

「大丈夫。途中で分かれましたが、今は貴女の社を目指している筈です。それよりも今は、貴女の方が危険です」

 

 ゆっくりと青龍は、身体の小さな白虎を抱き上げる。

 

「今から急いで出雲学園に戻り、桃花に治療して貰います」

 

 桃花は癒しを司る精霊でもある。

 麒麟が施した傷を完全に癒やせるかは分からないが、少なくとも可能性はある。故に青龍は出雲学園に戻ろうとしていた。

 

「治療が終わった後は、アマテラスがいる里に送るように桃花と蔓には頼みます。既にアマテラスも彼と私達四聖獣の事情は知っていますから、会わせないようにしてくれる筈です」

 

「……済まない……青龍……後をたの…む……」

 

 意識を保つのが限界を迎えたのか、白虎は青龍に抱き抱えられながら深い眠りの淵へと落ちて行った。

 白虎が眠りに落ちたのを確認した青龍が安堵の息を吐いていると……。

 

「白虎は眠ったの、青龍」

 

「リンド様」

 

 聞こえた声に振り向いてみると、其処には『宝貝』を片手に持ったリンドが木に寄りかかっていた。

 

「佐久夜お姉ちゃん達とは連絡が取れたから安心してね。あっちも無事だってさ。合流に関しては、このまま社のすぐ近くでって事になったから安心してね」

 

「それは何よりです……ですが、リンド様……お身体は大丈夫なのですか?」

 

 確認するように青龍は抱えている白虎と目の前にいるリンドに、それぞれ視線を向けた。

 

「フフッ、大丈夫だよ。この影(・)の身体じゃ子作りなんて無理だからね。盟約には触れないよ」

 

 今、青龍の目の前にいるリンドが術で作り上げた己の影。

 四聖獣達が自身の社の防衛の為に己の影や悪霊の影を生み出す術を、リンドも用いて己の影を生み出し、こうして操っている。

 この方法ならば、『真の契りの儀式』を結んでいない四聖獣に会っても、盟約による強制力は発生しない。影は、霊力と気を用いて作り上げた精巧な操り人形に過ぎない。生殖能力の無い肉体では、どうやっても子作りできない。盟約の穴をリンドは突いたのだ。

 本物の方は今頃、麒麟に意識を失った状態で見つけられている頃だろう。何せリンドの意識は今、影に全て移しているのだから、本物の身体に意識がある筈がない。

 その事を心配した青龍は、リンドに質問する。

 

「しかし、少々危険ではないでしょうか?」

 

 意識を影に全て移していると言う事は、本物の身体は無防備と言う事。しかも、傍には麒麟が居るはず。危険すぎると青龍は思ったが……。

 

「だからこそやるんだよ」

 

 決意に満ちた声で、リンドは答えた。

 リンドからすれば、麒麟を騙すのならばそれぐらいの危険は必要だと確信していた。

 

「僕は、あくまで不運にも巻き込まれた子供と思い込ませないとね」

 

 麒麟に勝つ道筋は既に見えている。後は其処まで事を運ぶだけ。

 その為ならば危険を恐れる訳にはいかない。無論、恐怖を感じていないわけではない。

 今、この瞬間に麒麟が自身の本当の身体に手を掛けないとも限らない。

 

(だけど、その可能性は低い。ヒミコに僕の霊力を献上する為には、直接本人の前に連れて行かないと行けないからね)

 

 その恐怖をリンドは自らの理性を使って押さえ込む。

 これが強力な悪霊ならばともかく、麒麟はネノクニに仇を為していても精霊。

 そして麒麟が共に連れて来ていた悪霊は白虎が倒してくれた。リンドの霊力をヒミコに献上する為には、直接連れていく以外に手段はない。

 更に言えば麒麟の今の目的は、白虎の社に居る四聖獣に匹敵する力を持った者。

 白虎と青龍の二人に、自身の姿を見られてしまった今、麒麟は一度ヒミコの下に戻るという選択肢が取れない。

 

「そして麒麟を戦闘不能に追い込むためには、白虎の社の近くに行く必要がある。今、社には僕の一族の敵である外敵の『迷い人』の分身体がいるんだから、近づけば僕の血が目覚める筈だよ」

 

 今だハッキリとは気配を感じられずにいるが、白虎の社に近づくに連れてリンドは僅かながらも自らに流れる血が反応し始めている事に気付いていた。

 

「機会は一度。その一瞬に賭ける以外に麒麟を無力化は出来ない」

 

 麒麟を撤退をさせる事は、リンドが正体を明かせば簡単に出来る。

 ヒミコ達にとって、リンドは最早居るはずのないかの一族の生き残り。その情報を麒麟が知れば、何が何でもヒミコにリンドの存在を伝えようとするはず。

 加えて言えば、麒麟はリンドの一族と青龍達よりも深い関わりを持っていた。リンドという存在の恐ろしさを知っているに違いない。故に逃げられない状況を作り、不意を突かなければ麒麟は捕らえられない。

 

(この方は!? ……なるほど。かの一族がリンド様を逃がしたのは血を繋げる為だけではなかったのですね)

 

 説明を聞き終えた青龍は、リンドの知略に恐ろしさを覚えた。かの一族の者達は確信していたのだ。

 リンドならば短期で『一族再興』を成し遂げ、ヒミコ達の目的を阻むに違いないと。次期当主の最有力候補にリンドが選ばれていたのは、受け継いでいた呪法だけではなく、寧ろその知略にこそあった。

 

(アナタの父親は凄い人ですよ)

 

 そう青龍が誇らしそうに自らの子宮に宿っている我が子に語り掛けていると、リンドが近づいて来て眠る白虎を見つめる。

 

「フフッ、それにしてもこうして直接会ってみるとやっぱり僕よりも少し年上にしか見えないね、白虎は」

 

 改めてリンドは青龍の腕に抱かれている白虎の肢体を見つめる。

 胸の大きさは触れなければ分からないほどの細やかな膨らみしかなく、言うまでもなくこれまでリンドが抱いて来た女性の誰よりも胸は小さい。

 その分、しなやかな手足は細い腰は美由紀よりも鍛えられているのが分かる健康的な魅力があった。秘所には陰毛は生えておらず、綺麗な縦筋がリンドの視界に映る。

 女性的な起伏と言う点では乏しい白虎だが、その分手を出した時に怪しい背徳感を感じさせる魅力があった。他にも獣耳や尻尾など、他の女性達にはない魅力が白虎にはあるのだから。

 

(不愛想っぽかったけど、僕の前でだけ甘々に擦り寄って来るとか良さそうだね。それにシている時に、尻尾を弄られたら感じるようにするのも良いかもね)

 

「……何を為さるつもりですか?」

 

 青龍の眉根が寄り、不機嫌そうに問いかけた。

 リンドの目の中に、情欲の気配が感じたのを青龍は見逃さなかった。

 

(私がいながら、白虎にその目を向けられるのは不愉快です)

 

 そう青龍は不機嫌そうにしているが、逆にリンドは嬉しそうに青龍を見る。 

 

「そんなに怒らないで。白虎には手を出せないからね」

 

 顔を見るのは大丈夫だが、下手に干渉すれば盟約が反応し兼ねないのはリンドとて分かっている。

 

(まっ、今日は何れ僕のお嫁さん候補になる白虎の裸体を見れた事で我慢しよう……あっ、でも布石ぐらいは打っておこう。序でに……)

 

 リンドはそう決めると、次にすべきことをする為に青龍に顔を向ける。

 

「じゃあ、青龍。ちょっと僕に顔を近づけて貰って良い」

 

「? 分かりました」

 

 疑問に思いながらも、リンドの指示に従い白虎を抱えながら屈んでリンドに顔を近づける。すると。

 

「んっ!」

 

「んんっ!?」

 

 いきなり、リンドは青龍の唇に自身の唇を重ねた。

 突然の出来事に青龍は目を見開いて固まってしまう。だが、口づけをした当人であるリンドは構わずに口内に舌を入れて搔きまわす。

 

「んっ、ふぁ……くぅ、ん……んっ♥」

 

 突然の口づけに驚いた青龍だったが、すぐに陶酔した表情を浮かべて自身も舌を動かして相手の舌と絡めさせる。

 

(本当に不思議です……口づけだけでこんなにも暖かな気持ちになってしまうなんて……本当に酷いお方♥)

 

 口づけを交わしているリンドは影ゆえに唾液などの交換は出来ないが、それでも舌を絡める度に淫靡な音が鳴り響く。

 同時に青龍は触れあう唇と絡め合う舌から、自身に霊力と気が流れ込んで来ている事に気が付く。

 

「ん、ちゅ……ん、ぁ、んんっ♥ ふぁっ♥」

 

(これはリンド様の影を維持している霊力と気……ああっ♥ 私に下さるのですね♥)

 

 まるで愛する相手を自らに取り込むような感覚に、言葉に出来ない陶酔感を青龍は感じてしまう。

 もっと欲しいと言うように今度は青龍の方から舌を激しく動かして、リンドの舌と絡め合わせる。残念ながら影ゆえに唾液など出ないので、その代わりだと言うようにリンドは霊力と気を送っていく。

 

「ん、ちゅっ♥ むちゅ、んちゅうっ♥」

 

 絡めるだけではなく相手の舌を吸ったりと、二人は間に眠る白虎がいるのにも構わずに深い口づけを交わしていく。

 青龍が着るチャイナドレスの胸元では、感じている事を示すように二つの小さな盛り上がりが浮かんでいる。両足を合わせてモジモジさせているのでショーツも濡れ始めているのかも知れない。

 

(ああっ♥ 無理です……この方から離れる事はもう私には出来ない♥)

 

 リンドと言う幼い少年の虜にされてしまったのだと、青龍は自覚されてしまう。

 やがて影を維持している霊力と気が青龍へと殆ど行き渡ると、これが最後だと言うようにリンドは青龍の舌を激しく吸い込み、そのまま残された全ての霊力と気を一気に送り込む。

 

「んんんんっ♥ んぅぅ――――――っっっ♥」

 

 流し込まれた霊力と気によって、青龍は絶頂させられた。

 くぐもった甘い声が挙がり、穿いているショーツが噴き出た愛液と潮でグッショリと濡れてしまう。

 

(く、口づけだけで……イカされてしまうなんて♥)

 

 絶頂の衝撃で青龍は蕩けた顔をしてしまう。腕の中に抱いている白虎の事も、忘れてしまっている。

 だが、時間切れだと言うようにリンドの身体は薄れて最後に青龍に向かって微笑む。

 

「あっ♥」

 

 行かないでと言うように青龍は手が塞がっているので、舌を伸ばす。その時、舌から唾液が零れて、狙い澄ましたかのように白虎の唇に落ちて口内へと入った。

 それを目撃したリンドは狙い通りと内心で笑いながらも、青龍に優しく微笑む。

 

「青龍。手筈通りにお願いね」

 

 言い終えると共にリンドの姿は音もなく消失した。

 残された青龍は、地面に膝をついて濡れた瞳でリンドが居た場所をジッと見つめる。

 

「……本当に酷いお方……リンド様、ご武運を」

 

 そのまま青龍は、火照らされた肢体が落ち着くまでその場に留まるのだった。

 

 

(さて……どうしたものでしょうか?)

 

 木の下敷きになった少年を助けた麒麟は、一緒に居た馬の背に乗って白虎の社を目指して走らせていた。

 無論、そのまま放置する事も出来たが、麒麟にはその判断が出来なかった。何故なら助け出した少年が宿している霊力を改めて調べたところ、人間にしては大きすぎる霊力がその身の内に宿っている事が分かったからだ。

 

(これほどの霊力をむざむざ見逃すのはやはり惜しい。ヒミコ様が吸収すれば、間違いなくお力が更に回復出来る)

 

 今はカグツチの軍を引き付ける為に、戦場に出ている主を麒麟は思う。

 オオナムジの必死の探索によって、四聖獣に匹敵する三つの力の居所を見つける事が出来た。だが、その三つの力のいる場所は寄りにも寄って四聖獣達を祀る社だった。

 自らの社に異変が起きたとなれば、間違いなく四聖獣達は動く。そして四聖獣達は麒麟達が敵対しているカグツチ達の仲間。故にカグツチ達の動きを封じるために、オオナムジは動かすには不向きな時期に軍を動かした。

 総大将であるヒミコが居る事を示すような陣形で動いているので、カグツチ達も放置は出来ない。

 

(そしてヒミコ様がカグツチ達を引き付けている間に、私達が精鋭の悪霊を連れて社に向かい、四聖獣に匹敵する力を得る予定でしたが)

 

 麒麟は途中で白虎に見つかってしまった。そして更に青龍まで。

 2000年ぶりに出会った嘗ての仲間達の姿に懐かしさを覚えずにはいられないが……。

 

(滑稽ですね……私とあの方にはあの四人を仲間と思う資格など、遥か昔に失っているというのに)

 

 アシハラノクニとネノクニ。

 二つの世界に分かたれた時に麒麟とヒミコは、青龍達と共にネノクニに渡って来たが、ネノクニに住む事になってしまった人々を悪霊から護る青龍達と違い、麒麟とヒミコが選んだ道は悪霊の長であるヨモツオオカミと手を結ぶという道だった。

 何故イザヨイではなく、寄りにも寄って悪霊の長である邪神ヨモツオオカミとヒミコが手を結んだのか。それはヒミコの目的が人を護るよりも、『自分達の過ちによって分かたれてしまった二つの世界を再び一つに繋げる』事だったからだ。世界は在るべき姿で在るべきと思ったヒミコは、目的が一致しているヨモツオオカミと手を結んだ。

 ネノクニの存続を願うイザヨイは、ヒミコの目的と一致しない。故にイザヨイの半身であるヨモツオオカミと手を結んだのだが……結局袂を別った。

 

(ですが、私とヒミコ様だけではどうやってもヨモツオオカミに勝つ事は出来ない……他の地で人を護っていた青龍、玄武、白虎、朱雀の力も必要でした)

 

 事前に集まる必要がある時の合図は決めていたので、ヒミコはその合図を送り青龍達を呼び戻した。

 集まった四人にヨモツオオカミと決戦に挑むとヒミコが宣言すると、青龍、玄武、白虎、朱雀は遂にと意欲を燃やして共に戦うと宣言してくれた。

 各地に散っていた青龍達は、ヨモツオオカミの蛮行に怒りを燃やしていたからだ。

 深い恨みの念の結晶であるイザヨイの半身、ヨモツオオカミ。その行動はネノクニに住まう人里を支配した悪霊達に襲わせて、焼き尽くすと言う事が主だった。そんな光景を目にし続けていた青龍達は、ヨモツオオカミの討伐にこれ以上に無いほどに熱意を向けていた。

 ……そのヨモツオオカミとヒミコと麒麟が手を結んでいた事も知らずに。

 

(そして……結局私達は破れた。ヒミコ様が時間を稼いでくれたおかげで、私達は逃げ延びる事が出来た)

 

 ヒミコが生死不明になった事に、青龍達は悲しんだ。

 麒麟はそれを見ていられなかった。騙しているという自覚があったからだ。

 自らが自力で精霊に至ると共に、すぐに青龍達から離れた。青龍達の話の中に、イザヨイの下に向かうと言う話題があったのもある。そして噂で青龍、玄武、白虎、朱雀と言う四人の守護神がネノクニに誕生したと知った時はホッとした。

 

(そんな資格は私にはないのですがね……それにしても、既に私の存在だけではなく、ヒミコ様の正体までカグツチ達に知られているとは)

 

 その事実だけは隠す事に力を入れていた。

 昔は隠し通せたが、今の四聖獣達は明確なネノクニの守護神。ヒミコの目的にネノクニの崩壊が関わっている以上、決して協力は得られない。

 故に麒麟自身も出来るだけその身を晒さないようにしていた。自分が協力していると知られれば、ヒミコの正体が『徐福』だと気づかれる恐れもあったからだ。だからこそ、これまでずっと裏方に徹していたのだが。

 カグツチ達はどうやってかヒミコの正体を既に知っている。

 

(……考えられるとすれば、アシハラノクニにいるヒミコ様の邪魔をした蜘蛛の精霊。彼女がカグツチ達の手の者と接触した。だとすれば……危険ですね)

 

 ヒミコがスサノオの転生体をネノクニに呼び出そうとしている事も、既に知られている恐れがある。

 

(そうなればオオナムジが送り込んだ手の者も危険……やはり、この少年は逃せませんね)

 

 既に手荷物なども確認している。武器らしいものは所持しておらず、支援系の勾玉を幾つか所持していた。後は数日分の旅の荷物とこの時期には少々珍しい花が幾つか。

 そして青龍の仲間ではないと麒麟は確信していた。

 

(青龍ならば、仲間である者を放置はしないでしょうからね)

 

 途中で合流する予定だったとしても、それならば青龍が近づいて来る筈だが、その気配はなかった。

 そう、麒麟が思っていると、背に乗せている少年の身体が揺れる。

 

「……うぅ……アレ? 此処は?」

 

「気付きましたか?」

 

「えっ!? だ、誰!? わあぁっ!」

 

 目覚めると共に見知らぬ相手の背が目の前にある事に、少年は慌てて身体を後ろに向けて倒れてしまう。

 しかし、少年は目覚めたばかりで気付いていなかったが、今麒麟は馬を走らせている最中。そんな状況で後ろ向きに倒されたりすれば、馬から投げ出されてしまう。

 

「うわっ! 落ちる!!」

 

「危ないですよ」

 

 落ちかける少年に麒麟は片手を伸ばして、右手を掴んだ。そのまま馬に戻す。

 

「あ、ありがとうございます……で、でも、貴女は誰ですか?」

 

 助かった事に安堵しながらも少年は恐る恐る麒麟に質問する。

 警戒の視線を麒麟に向けていると、耳の辺りから伸びている角に気が付いて目を見開く。

 

「つ、角!? そ、それにこの神聖な気配……も、もしかして貴女様は……せ、精霊様なのですか?」

 

「……ええ、その通りです」

 

 麒麟は一先ず話を聞くために手綱を操って、馬を止めた。

 馬を止められた少年は、恐る恐る周囲を見回す。

 

「え~と……僕は確か休んでいたら木がいきなり倒れて……それから」

 

「意識を失って木の下敷きになっていました。幸いにも運よく木が折り重なるような形で倒れていたので、貴方への負担は軽かったようですね」

 

「ええっ!? ほ、本当ですか!? い、いえ、精霊様が仰られるのでしたら、その通りなのでしょうけど……た、助けて頂きありがとうございました!」

 

 少年は慌てて馬から飛び降りて、麒麟に向かって敬うように地面に土下座する形で頭を下げた。

 このネノクニに生きる者達にとって、精霊とは神聖な存在として崇めるべき存在。アシハラノクニの人々からすれば、過剰な反応に思えるが、基本的に少年の対応は精霊と会った者がする対応だった。

 変わらぬ人の対応に麒麟は微かに息を洩らしながら、声を掛ける。

 

「顔を上げなさい。助けたのはただの気紛れです」

 

「は、はい」

 

「……それで貴方は何故こんな場所に一人でいたのですか?」

 

「びゃ、白虎様の社に献花に向かおうと思っていたのです……こ、この時期は悪霊も少なく、僕1人でも馬に乗ればいけますから……アシハラノクニに旅立った母と父に届けばと思いまして」

 

「なるほど」

 

 麒麟は少年の説明に納得したように頷いた。

 白虎の社がアシハラノクニの建物であることは、このネノクニでは有名な話だ。信心深いネノクニの人々が、勝手にアシハラノクニと繋がっていると思い込んでしまう事は在り得る。

 

(本当に偶然のようですね)

 

 青龍が慌ててやって来る気配も感じられない。

 

(つまり、この少年と青龍が無関係なのは間違いないでしょうね)

 

 何故かその事実に麒麟は奇妙な安堵を感じる。

 

(何故私は安堵を?)

 

 自分でも分からない奇妙な感覚を麒麟は振り払うように首を横に振るい、改めて自身を地面に手足を着きながら見上げている少年に目を向ける。

 

「あ、あの……貴女様は、もしや白虎様ですか?」

 

「いえ、違います。そうですね。私の事は『麟』とお呼びなさい。仮の名なので問題はありません」

 

「は、はい。『麟』様……え~と、本当に危ないところを助けて頂き、ありがとうございました。今更ですが、僕の名はリンドと申します」

 

「リンドですか」

 

 ホッとするような息が麒麟の口から零れた。

 

「それで……貴女はこれからどうするのですか?」

 

「……出来れば、白虎様の社に行きたいと思っています。やっぱり母と父に花を届けたいので」

 

(意味のない行動なんですけどね)

 

 そうリンドが言う行動には何の意味もない。

 確かに白虎の社はアシハラノクニの建物だが、アシハラノクニと繋がっている訳ではない。加えて言えば、今、白虎の社には危険な存在がいる。

 

(この少年の霊力が奪われるのは困ります。その霊力は………ヒミコ様にお渡しするのですから)

 

 せっかく見つけた膨大な霊力の持ち主は見過ごせない。一瞬躊躇のようなものを抱きかけたが。

 

(今更何を。私がどれだけのネノクニの人間達を殺して来た事か)

 

 今は主にカグツチの軍と戦っているが、そうなる前は多くの人里を焼き尽くして来た。

 

(かの一族の者達さえヒミコ様が滅ぼすと宣言した時に止めなかったのですから……そのせいでネノクニに侵入したと思わしき外敵……罪滅ぼしになど決してなりませんが、せめて私の手で白虎の社に居る外敵は何とかしましょう……そしてこの少年と共にヒミコ様の糧に)

 

 その目的を遂げる為には、一緒に行動して貰わなければならない。

 ゆっくりと麒麟は相手に警戒されないように、リンドに声を掛ける。

 

「白虎の社に向かうつもりならば、丁度良い。一緒に行きますか?」

 

「麟様とご一緒にですか? そ、そんな恐れ多い」

 

「構いません。私も丁度白虎の社には用があります。此処で出会ったのも何かの縁でしょう。さっ、乗りなさい」

 

 麒麟は馬の背に乗りながらリンドに向かって手を伸ばした。

 しかし、恐縮したようにリンドは身体を縮こませる。

 

「そんな!? 精霊である麟様と共に一緒に馬に乗るなど恐れ多くて無理です!」

 

「この馬は、元々貴方の馬なのですから気にすることはありません」

 

 リンドの対応を麒麟は別に不快とは思わない。

 何故ならばリンドの精霊への対応は、このネノクニに生きる者達が自然とする行動。アマテラスも人間だった頃は、精霊に対して様付けで呼んでいたのだから。

 

(私は敬われるような精霊ではないのですけどね)

 

 人に仇を為す精霊である自身が、人であるリンドに敬われている事に場違い感を麒麟は感じる。

 しかし、何時までもこのままではいられないと思った麒麟は手を伸ばして、リンドを軽々と片手で持ち上げる。

 

「うわわっ! す、凄い!」

 

「確り掴まりなさい。私も少々急ぐので! ハッ!」

 

『ヒヒィィィーーン!!』

 

 麒麟が手綱を振るうと共に、馬は勢いよく走り出した。

 慌ててリンドは麒麟の腰に手を回して、振り落とされないようにしがみ付く。

 

(白虎の社に共に向かうのですから、この子供の願いぐらいは叶えてあげましょう。その後は眠らせ……白虎の社に潜む者と共にヒミコ様への生贄に)

 

 そう心に誓いながら麒麟は馬を走らせる。

 自身の胸の内で微かに起き始めている変化に気付かずに。そして……。

 

(フフッ、頑張って早く白虎の社に近づいてね、麒麟。そして、最後にもう一回裏切って貰うよ。君の元(・)主人になるヒミコ、いや徐福をね)

 

 必死にしがみ付いている演技をしているリンドが、その目の奥で情欲に満ちた視線を向けている事にも、麒麟は気付いていないのだった。




白虎にリンドが施したのはあくまで布石です。
青龍の気と交わっているので、リンドの気とは言い難い状態なので盟約には反しません。

次のアンケート内容。

青龍の社へ:金髪お嬢様救出後に向かい、弓道少女と精神世界で行為(内容:負の感情の源に向かう為に、弓道少女の精神世界であるアシハラノクニに入り、両親の親戚の子供として割り込み、弓道少女に自身を刻む)

玄武の社へ:金髪お嬢様救出後に向かい、序でに玄武の気配が消えたのを青龍が感知。保険医のお姉さんと精神世界で行為(内容:負の感情の源に向かう為に、保険医のお姉さんが高校生だった頃に介入。一番酷い状態の精神回復の為に自身を刻む)

一日休憩:何故か青龍の事を労わるリンドに佐久夜が動く(内容:出雲学園の教室で制服姿の佐久夜と行為)

報告:金髪お嬢様の救出と敵に麒麟が居る事を里に残っているアマテラスに報告(内容:記憶が戻った事と青龍を妊娠させてしまったことで、少々無理をしているリンドを気遣い、ビキニの水着姿で一緒に温泉。手コキとパイズリで癒やす)

この四つとなります。

期間は白虎の社編三話終了までです。

アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。

  • 琴乃が堕ちた段階で孕ませる
  • 四聖の社全て攻略後に孕ませる
  • サヨ関連終了後に孕ませる
  • イザナミも加え、四人そろって孕ませる
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