※この作品はR-18です。

IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜   作:イズモ

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白虎の社到着の話で、ある相手との微エロです。
彼女とのエロを入れるか悩みましたが、暫らくエロシーンがなかったので。

感想、お気に入り、評価、アンケートありがとうございました!
現在のアンケートは次回で終わりです。


渚編 2

「と、遠くから見た時から分かっていたけど……や、やっぱり渚先輩の家だよ」

 

 白虎の社に到着した美由紀は、ネノクニではあり得ない大きな屋敷を見上げながら呟いた。

 佐久夜と琴乃も、ネノクニではあり得ない形式の建物を驚いた顔をしながら見ていた。

 

「近くで見るとお母さんの屋敷よりも、ずっと立派だね」

 

「出雲学園以外にも、私達の世界の建物が」

 

 三人はそれぞれ白虎の社を見つめる。

 その間に馬から降りた青龍は先ず、地面に触れてみる。

 

(っ!? ……霊脈の力が弱まってしまっている)

 

 感知した霊脈の状態に、青龍の顔色が悪くなった。

 四聖獣の社の下に存在している霊脈は、ネノクニにとって重要な霊脈。制圧されてもそう簡単には弱まったりはしない筈なのだが……。

 

(こうしている間にも霊脈の力が吸収されてしまっている……幸いと言うべきではありませんが、その影響で白虎が施していた防衛用の悪霊を模した影も消えているので邪魔は入らずに済みますが……やはり、リンド様の言っていた通り、侵入した悪霊の目的は社の霊力を使う事……もし侵入した者が、新たな悪霊へと変異してしまったら……私達四聖獣を超える強大な悪霊が誕生してしまうかも知れません)

 

 本来四聖獣を超えるほどの悪霊など、神秘が溢れるネノクニでも簡単には発生しない。

 ましてや人間から悪霊に変じて強大になる存在など、2000年の間でもヨモツオオカミに見初められたツクヨミと、ヨモツオオカミに吸収されていたヒミコの二人だけ。

 だが、今、新たな強大な悪霊が生まれようとしている事を霊脈の異変を感じた青龍と、自らに流れる血の鼓音を感じているリンドは理解した。

 険しい顔をして、白虎の社を見ているリンドに佐久夜が質問して来る。

 

「リンド。どうなの?」

 

「うん。間違いなく此処に『迷い人』の分体に憑りつかれた人がいる。その気配を感じるんだ」

 

「っ!? じゃあ、すぐに助けに行こう!」

 

「待ちなさい、美由紀! 入る前に話す事がっ!」

 

 入口に向かって駆けだした美由紀に青龍が声を掛けるが、構わずに美由紀は入口の扉に手を掛ける。

 その瞬間……その場にいる全員の脳裏に一つの光景が浮かび上がった。

 

『渚っ!? 此処には俺とアマテラスだけが入る!』

 

(お兄ちゃん?)

 

 浮かんだ光景の中には、美由紀の兄である『塔馬ヒカル』が誰かを必死に説得している様子だった。酷く追い詰められた様子で。

 

『ヒカルさんの言う通りです! これは明らかに罠です! このネノクニに渚さんの家がある時点でおかしいのです!?』

 

(お母さん?)

 

 今、里に居る母よりも若く、佐久夜と同年代ぐらいのアマテラスが必死な様子でヒカルと共に誰かを説得していた。

 

『大丈夫よ! だって、此処は私の家なのよ?』

 

(この人を説得している? でも『私の家』って。じゃあ、この人は美由紀さんが言っている『渚』さん!?)

 

 ヒカルとアマテラスが説得しようとしているのは、綺麗な金髪の髪の毛をツインテールにして古い出雲学園の制服を着ている少女。

 腰には武器なのか、西洋の剣であるレイピアが鞘に収まっている。

 

(アレ? でも……)

 

 琴乃はおかしな点に気が付いた。

 

(お母さんの話だと、カグツチさんを含めた五人で一緒にネノクニを旅したって言っていたのに?)

 

 脳裏に浮かぶ光景には三人しかいない。

 何故と疑問に琴乃が思っていると、光景は進み、ヒカルとアマテラスの静止を振り切った渚が家の扉に手を掛ける。

 

『大丈夫よ! 自分の家に嫌な思い出なんて在る筈ないんだから! それにあの悪霊が出て来たら、捕まえて二人の居所を聞き出せばいいのよ!』

 

『待って! 渚!』

 

『渚さん!?』

 

 最後に渚が家の中に入り、その後をヒカルとアマテラスが慌てて追いかけるところで光景は終わった。

 

「……今のって?」

 

 扉を開けようとしていた美由紀も、思わず取っ手から手を離して佐久夜達に困惑しながら顔を向けた。

 

「うん。若い頃のお父さんとお母さんだったよね? それに渚さんって人も出て来た」

 

「あ、あの。そうだとしても、ちょっとおかしいように思いました。私がお母さんに聞いた話だと、最初にネノクニを旅をした時は、カグツチさんとアマテラスさんの他に、お母さんと後二人の人と一緒に旅をしたって話でした。でも、今の光景にはお母さんと後もう一人の人がいませんでした」

 

「………やはり、アマテラス達が危惧していた最悪の可能性は当たってしまっていたようですね」

 

 青龍の心の底から苦い声に、佐久夜、琴乃、美由紀は顔を向けた。

 

「青龍様……そのお母さん達が考えていた最悪の可能性って?」

 

「……今から話します。全員、落ち着いて話を聞くように。特に美由紀は」

 

「わ、私ですか?」

 

「ええ……アマテラス達が危惧していた最悪の可能性。それは……『迷い人』なる悪霊が、此方の世界に更に送り込もうしていた三人の人間達は、『水瀬七海』、『橘綾香』、そして『倉島渚』の三人なのではないかと言う事です」

 

『ええええええっ!?』

 

 告げられた驚愕の事実に美由紀、琴乃、佐久夜は驚愕の声を上げた。

 特に美由紀と琴乃は信じられないと言うように、青龍を見つめている。

 

「『迷い人』なる悪霊は、カグツチとツクヨミを前にして確実に勝てる可能性があるという確証があるようだったと聞きました。もし、それが美由紀同様に私達四聖獣に匹敵する器の持ち主達をみつけていたとすれば、可能性が高いのはその三人なのです」

 

「そ、そんな!? ど、どうして七海ちゃん達が!?」

 

「……美由紀。これは此方の世界の美由紀も知らずに終わった事です……アシハラノクニで暮らす貴女達には本来知る必要ない真実ですが……聞く覚悟はありますか?」

 

「っ……」

 

 真剣な眼差しを向ける青龍に、美由紀は戸惑う。

 だが、やがて覚悟を決めたのか真っ直ぐに青龍を見ながら頷いた。

 

「分かりました……では、貴女、七海、綾香、渚の真実を語ります。貴女達四人は、アシハラノクニで産まれた者ではありません。このネノクニで生を受けて、嘗てこの世界の神であり、カグツチの母親でもあったイザヨイの力でカグツチと共にアシハラノクニに送られたのです」

 

『っ!?』

 

 告げられた真実に美由紀は目を見開き、綾香の娘である琴乃も驚きの余り固まってしまった。

 

「まだカグツチの母であったイザヨイが神であったころ、その力は自らの半身であるヨモツオオカミに徐々に奪われていきました。全ての力が奪われる前に、イザヨイは残された力を使ってカグツチを産み、ヨモツオオカミの手が届かない場所。アシハラノクニに彼を送ったのです。仕えていた神官達の四人の赤子と共に」

 

「じゃあ、私の本当の両親は!? ネノクニの人だったんですか!?」

 

「ええ……あくまで此方の世界での話ですが、私も力が弱まっているイザヨイの補助をする為に、その場に居ました……貴女を送り出す時、ご両親は別れを涙ながらに惜しみ、健やかに育って欲しいと願っていました」

 

「………青龍さん。話してくれてありがとうございました」

 

 目から涙を溢しながら、美由紀は青龍に向かって頭を下げた。

 美由紀は、自身が育ての親である六介の養子であることを知っている。心の何処かで考えていた、実の両親からは捨てられたのではないかと言う不安が晴れるのを美由紀は感じた。

 

「勿論、幾つかの予想外もありました。本来ならばヒカルと同年代である筈の貴女達が、世界を超えた影響で出現する時期が大きく変わってしまった事です。その最たるものとしては綾香です。彼女はヒカルがアシハラノクニに現れる十年も前に現れていたのですから」

 

(っ!? お母さんがネノクニで産まれた!? じゃあ、私がこっちに来て身体の調子が良くなったのは、もしかして……)

 

 話を聞いていた琴乃は、思わず自身の手を見つめた。

 ネノクニに来てから調子が良くなり、今では数日野宿する事になっても体調に問題がない健康的な身体。

 

(その理由がネノクニの環境の方が私に合っているからだとしたら……元の世界に戻れても私の身体はまた病弱になってしまうんじゃ)

 

 琴乃は不安を感じて僅かに顔が暗くなる。その様子をリンドは気が付き、内心でニヤリとする。

 その間にも青龍の話は続き、話は『迷い人』が何故他の三人を見つけられたのかに進んでいた。

 

「聞いた話なので私には推測しか出来ませんが、『迷い人』なる悪霊は、美由紀の他に七海、綾香、渚にも目を付けていたのでしょう。その為に当時は悪霊側だったツクヨミに協力していたと思われます」

 

「う、うん……確か、そんな事を美由紀さんに憑りついていた『迷い人』は口にしていたよ。伯母様の配下だった悪霊と一緒に行動していたって」

 

「その悪霊はかなり厄介な悪霊でした。的確に彼女達の心の闇を突き、その心を追い込んでいきました。そして『迷い人』なる悪霊もまた、人の心の闇を好む悪霊だと聞いています」

 

 青龍の説明に、佐久夜はこの場で最も『迷い人』に詳しく知っているリンドに顔を向ける。

 

「うん。青龍様の言う通りだよ。強い負の感情。怒りや悲しみ、憎しみ。この感情を『迷い人』は好むんだ」

 

「……私もそうだったよ」

 

 直接憑りつかれた美由紀も、リンドの言葉に同意を示した。

 全員の視線が白虎の社の入口に向かう。先ほど脳裏に浮かんだ光景では、既に七海と綾香の姿はなかった。

 追い詰められたような様子だったヒカルとアマテラス。そして先んじて自身の家なのだから大丈夫だと思って入った倉島渚。

 何が起きたのかは、すぐに理解できた。倉島渚もまた憑りつかれたのだ。悪霊『迷い人』の分身体に。

 

「……中に入りましょう」

 

「じゃあ、僕が開けますね」

 

 青龍の重々しい声に応じるように、これは自身の仕事だと言うようにリンドが扉の取っ手に手を掛ける。

 

「リンド君。アシハラノクニの扉は横に動かすんじゃなくて、押したり引いたりして開けるものもあるからね」

 

「は、はい!」

 

 美由紀の説明にリンドは頷き、恐る恐る扉を引いて中に足を踏み入れる。

 その後に続いて、警戒しながら全員が内部に足を踏み入れた。

 

「うわ~、中も凄く広いね」

 

 自分が暮らしている屋敷よりも広い家に佐久夜は中を見回しながら感嘆の声を上げた。

 

「敵は恐らく白虎の祭壇がある中庭にいるでしょう。其処から強大な力を感じます」

 

「じゃあ、こっちですね」

 

 子供の頃から遊びに来ているので、美由紀が先頭に立って歩いて行く。

 そして美由紀の案内で中庭に続く扉に辿り着いたところで……。

 

「っ!? 美由紀さん! その扉に触れないで!?」

 

「えっ?」

 

 突然佐久夜が声を荒げ、リンドと青龍も警戒するように扉を見ている。

 ただ事ではないと美由紀と琴乃も、それぞれ扉を警戒する。

 

「佐久夜お姉ちゃん……ちょっと僕が試してみるね」

 

「気を付けて、リンド」

 

「大丈夫。直接は触れないから」

 

 そう告げると、何処からともなく木の蔦が伸びて来て中庭に続く扉の取っ手に巻き付こうとする。

 だが、巻き付く直前に電撃のようなものが走り、蔦は一瞬にして焼け焦げてしまう。

 

「っ!?」

 

「リンド君!?」

 

「大丈夫。僕の力で操っているに過ぎないから」

 

 心配してくれる琴乃を安心させるようにリンドは微笑みながら答えた。

 青龍は扉に向かって手を向けて、張り巡らされている結界を感知する。

 

「結界が張られていますね。しかも、少々厄介な事に条件付きの高度な結界が」

 

「条件付きの結界……じゃあ、破るのが難しいよ」

 

「そ、そうなの、佐久夜ちゃん?」

 

 呪法の類を良く知らない美由紀は、恐る恐る佐久夜に質問した。

 

「うん。条件付きの結界はね。特定の方法なら簡単に破れるんだけど、逆にそれ以外の方法で破るのが大変なの」

 

「美由紀に分かりやすく言うのならば、今、中庭に入る為には専用の鍵が必要な状況と言う事になります」

 

「じゃあ、その鍵はこの屋敷の中に在るんですか?」

 

 もし、屋敷ではなく他の何処かに隠されているとすれば探すのが大変だと思いながら美由紀は質問した。

 そんな美由紀を安心させるように青龍と佐久夜は説明する。

 

「この類の結界は、専用の鍵が近くになければ効果は無意味になってしまいます」

 

「青龍様の言う通りだよ。きっと鍵はこの屋敷の中に在るから探そう」

 

「でも、広い屋敷ですから、探すのは大変ですよね」

 

 琴乃の指摘通り、屋敷はかなり広く、部屋数もかなりのもの。更に上の階まである。

 全員一緒になって探索すべきか、それとも効率を重視して分かれて探すべきかと佐久夜達が悩んでいると、リンドは瞬時に青龍に目配せを送る。

 

(彼女と探索すると言う事ですか……女としては複雑ですが……少し不安もありますから、リンド様にお任せしましょう。ですが、代わりに後で私も構って下さいね)

 

 青龍は頷き返すと共に佐久夜達に顔を向ける。

 

「状況的に急がなければならないので、此処は二班に分かれて探索しましょう。美由紀。貴女の知る限り、この屋敷で渚に関わる物が多いのは一階と弐階。どちらの方ですか?」

 

「え~と……確か渚先輩のおじさんとおばさんの部屋は二階の方だったと思います」

 

「では二階の方を私と美由紀、そして佐久夜が。一階の方は琴乃と彼に探索をお願いします」

 

「えええっ!?」

 

 青龍の班分けに佐久夜は思わず声を上げてしまった。

 出来る事ならば、此処数日離れていたリンドと一緒に居たいと言う気持ちが佐久夜にあったからだ。そんな佐久夜を諭すように、青龍が班分けの説明をする。

 

「佐久夜。彼が貴女の従者だと言う事は分かっていますが、同時に彼は『迷い人』に関して詳しい子でもあります。精霊としての力も少なからず使えるのですから、此処は戦力として期待するしかありません」

 

「で、でも……分かりました」

 

 多少の不満はあったが、ネノクニの守護神である青龍に佐久夜は強い意見を言う事が出来ずに頷いた。

 そのまま五人は一先ず入口の方に戻って、青龍、佐久夜、美由紀は二階の探索に向かって行った。

 

「じゃあ、僕らも行きましょうか、琴乃お姉さん」

 

「ええ、リンド君」

 

(青龍さん! ありがとうございます!)

 

 降って訪れたリンドとの二人きりの機会に、琴乃は心から嬉しさを感じながら笑顔を浮かべて返事をした。

 佐久夜だけではなく、此処数日リンドが無事なのか心配で仕方がなかったのだ。二人は無意識に手を繋いで一階の探索を進めていく。

 

「此処は食堂かしら?」

 

「広い場所だね。宴などで使うのかな?」

 

 佐久夜達に聞かれなくなったので、敬語を止めたリンドは琴乃と共に広い食堂内を探索する。

 

「何もないわね」

 

「奥の方にも部屋があるみたいだけど」

 

「多分、それはキッチン。調理場よ、リンド君」

 

 二人は調理場へと進むが、やはり何も見つからなかった。ただキッチンに在る水道やガスコンロを動かした琴乃は、ある事に気付いていた。

 

(やっぱり不思議。ガスも水道も電気も、学園と同じように使える)

 

 今の状況では意味のない事だが、それでも不可思議だとしか思えない印象を琴乃は覚える。

 

(リンド君なら何か分かるのかしら?)

 

 そう思ってリンドが居る方を見てみると、真剣な表情でキッチンの棚を開けたりして中を見回していた。

 年相応とは思えない凛々しいその横顔に、琴乃の胸が高鳴ってしまう。無意識にリンドの股間の辺りに、琴乃の視線は向き……。

 

(っ!? こ、こんな時に私何を考えているの!? こ、これから悪霊に憑りつかれた人を救わないと行けないのに!?)

 

「琴乃」

 

「っ!?」

 

 久々に呼び捨てでリンドに呼ばれた事に、琴乃の胸は更に高鳴った。

 ゆっくりと下の方の棚を見ていたリンドが立ち上がり、真っ直ぐに琴乃の目を向ける。

 

「やっぱり、青龍様の話で不安になった? 当たり前だよね。別次元だからって、琴乃のお母さんになるかも知れない人が悪霊に憑りつかれているんだから」

 

(あっ……別次元のお母さん)

 

 リンドに言われて琴乃は青龍が告げた別次元の綾香の事を思い出した。

 未だ、自身の父となる相手とは出会えていない。しかし、自身と確かに血の繋がりがある相手。

 

(正直、どういえば良いのか私にはまだ分からない)

 

 直接その顔を見れば、思うところはあるかも知れないが、まだハッキリと琴乃の中で別次元の綾香と言う存在に対する答えは出ていなかった。

 

「き、気にしないでリンド君。その……まだ顔も見ていないから、ハッキリとどう思ったら良いのか分からないの」

 

「そう。だったら良いんだけど……他に不安な事はある?」

 

「不安な事? ……リンド君。私、これから始まる戦いの役に立てるのかしら?」

 

 琴乃はずっとその事が不安だった。

 相手は地形を変えるほどの力を持った白虎と同等の力を持っていると言われている。対して自身が出来るのは、戦いの場で笛を吹く事のみ。悪霊に効果があるのは既に知っている。

 だが、今回の敵に通じるのかは分からない。

 その不安にリンドは答える。

 

「記憶が戻ったから今なら分かるけど、琴乃が持っている横笛は音を司る僕の先祖に当たる精霊が作った物なんだ。そして僕らの一族の敵には、悪い精霊も含まれている。その笛は悪霊以外にも効果を及ぼせるんだよ」

 

「っ!? あ、悪霊以外にも……じゃあ、もしかして」

 

「うん……人間や精霊にも効果がある」

 

 告げられた事実に琴乃は身体を震わせた。

 これまでは琴乃の認識では悪霊にしか効果がないと思っていた。だが、そもそも精霊は人間とも戦う事が出来る。当然、琴乃が持つ横笛は人間にも効果を発揮する。

 今までその力が発揮されなかったのは、琴乃が無意識に抱いていた人に影響を及ぼしたくないと言う意志を、横笛が叶えていたからだった。

 

「勿論、音楽で相手を眠らせたり、相手の気分を高揚させたりとかが主だった使い方だけどね」

 

「人を傷つける訳じゃないのね」

 

「うん」

 

(琴乃が望まなければね)

 

 安堵している琴乃だが、時に音楽は人の気持ちを暗くしたり悲しくしたりしてしまう時がある。結局のところは使用者の気持ち次第なのだ。

 

(さて、じゃあそろそろ、琴乃を一時的に強化しないとね)

 

 横笛の力は凄いが、使用者である琴乃はまだ未熟。

 無意識に掛けていた枷は今取り払ったが、それでも今この屋敷の中にいる味方の中で一番弱い。そんな琴乃を強化する方法を、精霊としての力が高まり、また青龍と麒麟と言うネノクニで強力な精霊と『真の契りの儀式』を結んだ事で今のリンドは得ていた。

 

「あっ!」

 

 突然力強くリンドは琴乃の両手首を掴み、そのまま調理場の壁に押し付ける。

 

「だ、駄目よ、リンド君!? こ、これから戦いが始まるんだから! そ、そのこういう事は戦いが終わってからに……」

 

 リンドが何をしようとしているのか悟った琴乃は、拒否の姿勢を示し首を横に振るう。だが、首は振っても手首を振り払う様子はなかった。

 心から拒否していない様子にリンドは愛おしさを抱きながら、掴んでいる手首から右手を離して、そのまま琴乃が纏っている白衣の上から豊満な胸を揉み出す。

 

「あんっ♥ だ、駄目……本当に駄目よ。んっ♥ リ、リンド君、分かって」

 

(フフっ、そんなに期待するような目で、僕を見てるのに?)

 

 琴乃本人は拒否しているつもりのようだが、その瞳は雄に蹂躙される事を期待する雌としての情欲に満ちていた。

 その証拠にリンドが胸を幾ら揉んでも口だけしか嫌がる素振りは見せず、掴んだままの左手も振り払う様子はない。リンドと言う雄に開発され、沸き上がる情欲にたった三日しか耐えられなくなってしまった琴乃の肢体は、これから始まる情事への期待を隠せずいた。

 白衣の下に隠されている下着に覆われた豊満な双丘の頂点では、桜色の乳首がポツンと下着に浮き出ている。

 それが分かっているリンドは、厨房で琴乃の調理(・・)を開始する。

 

「琴乃。良く聞いて。これはね。これからの戦いに必要な事なんだよ」

 

「ひ、必要な事?」

 

「そう。琴乃。分かっているよね。この社に来た中で……君が一番弱いって事を?」

 

「っ……」

 

 胸を弄られる快感も思わず忘れ、琴乃は悲しそうに頷いた。

 思わず目尻から零れ掛けそうになる涙を、リンドは左手で拭いながら話を続ける。

 

「大丈夫。琴乃はこれからもっと強くなれるから。今は弱いだけ」

  

「ほ、本当? 私強くなれるの?」

 

「うん。なれるよ。でも、今は弱い。だから、琴乃。僕と疑似だけど『契りの儀式』を交わして欲しいんだ」

 

「契りの……儀式?」

 

「うん。本来は上位の存在である精霊が、人に仕えたり積極的に力を貸せるようになる為の儀式。それが『契りの儀式』だよ」

 

 リンドが琴乃に行なおうとしている事。

 それは精霊としての側面が強くなり、青龍と麒麟と言うネノクニで最高位の精霊と『真の契りの儀式』を交わした事で可能となった疑似的な『契りの儀式』。

 無論、本来の『契りの儀式』と違い、人間としての側面を持っているリンドでは宝珠を渡す事も出来ず、精霊の力が弱まれば繋がりは解け、その都度儀式を行なわなければならない。

 しかし、契約した相手は呪的強化と肉体的な強化を得られる。言うなれば一時的な強化である。

 説明を聞き終えた琴乃は考え込む。

 

「……どうして私なの? 佐久夜さんや美由紀さんでも良いんじゃ」

 

 寧ろそっちの方が現実的だと、心に痛みを感じながら琴乃はリンドに質問した。

 その質問に対してリンドは首を横に振るい、真っ直ぐに琴乃の目を見つめながら話す。

 

「『契りの儀式』は人間なら複数の精霊と結べるけど、精霊は一人だけ。僕が琴乃と結ぼうとしている今は、精霊側として結ぼうとしている。だから、契約者に選べるのは一人だけなんだ」

 

 ドクンっと琴乃の心臓が興奮で張り裂けそうなぐらい高鳴った。

 

(リンド君が選んでくれた! 佐久夜さんや美由紀さんじゃなくて私を!)

 

 事情があるとはいえ、それでも好意を抱いている相手が選んでくれた事実に琴乃は女として喜びを感じずにはいられなかった。

 琴乃の中の天秤が大きく傾いているのを感じたリンドは、たたみかけるように空いた左手を細い腰に回して抱き締め、白衣越しに胸を揉みまわす。

 

「んんっ♥」

 

「勿論、佐久夜お姉ちゃんや美由紀さん、そして青龍様だって僕は護りたい」

 

 ネノクニの守護神の一角である青龍を護るなど、恐れ多い発言だが、そう言った事情を知らない琴乃は気付かずに胸を弄られる快感に悶える。

 

「でも、今一番危ないのは琴乃だから……お願い、琴乃。僕と疑似の『契りの儀式』を結んで欲しいんだ」

 

「リ、リンド君……」

 

「探索の方は安心して。力が強まっているから、木の蔦を伸ばして探索できるからね」

 

 告げられると共にリンドの足の下から木の蔦が伸びて、調理場の出入り口から出て行った。

 それを見た琴乃は、自身の中で答えが決まり、声を出す為に口を開こうとする。だが、琴乃が声を出す前にリンドは名残惜しそうにしながら離れた。

 そのまま調理場の台の上に腰かけ、琴乃に良く見えるように股間部分の盛り上がりを示す。

 

「じゃあ、琴乃。一時的にだけど、僕と疑似の『契りの儀式』を結んでくれる?」

 

 その問いに応じるように、琴乃は自由になった両手で自ら白衣の胸元をくつろげる。

 すると、リンドの視界に胸元からまろびでた『ライトグリーン色のブラジャー』に包まれた琴乃の双丘が映る。

 

(フフッ、桃花と蔓に頼んで沢山下着は用意して貰っていたけど、琴乃が選んだ下着はソレか。佐久夜お姉ちゃんの制服姿も良かったけど、琴乃も良く似合っているよ)

 

 調理が完了した事にリンドは嗜虐的な雄としての笑みを浮かべる。

 その笑みに琴乃の雌としての本能が激しく疼き、熱くなる身体の芯に突き動かされるように前のめりになってブラジャーに包まれていた胸の谷間を強調する。

 

「リンド君♥ 私と、んっ♥ ……ち、『契りの儀式』を結んで下さい♥」

 

「うん。結ぼうね」

 

 琴乃の調理が完了した事を確信したリンドは、台の上に座りながら微笑むのだった。




次回は久々の琴乃とのエロです。

現在のパーティーのレベルを説明すると。
リンド:レベル70(精霊の力と一族の呪法使用可能になった。但し精霊としての特性上、刃物の類は装備出来ない。武術に関しては時間が無く、美由紀からは僅かに基礎を習っただけ)
佐久夜:レベル65(ゲームの技全て解禁。琴乃が奏でる音楽と合わせて舞の威力を引き上げる連携技を習得中。武器は鉄扇に変わった。)
美由紀:レベル100(一番強いが武具は初期装備のグローブで、勾玉系統はまだ全てレベル1)
琴乃:レベル30『疑似の契りの儀式後は一時的に45』(精霊の神具と言う一番強い武器を装備。しかし、まだ使いこなせていない。勾玉の呪法に関しては回復がレベル3で補助が2。攻撃系はレベル1)
青龍(お助けキャラ。しかし、妊娠中なので人間状態でしか戦えない。神獣の姿になると、子を護る母性本能が暴走して、周囲の被害も考えずに敵を滅ぼす)

と言う感じです。

独自設定
『疑似契りの儀式』:半人半精など、精霊の血を引く者が行なえる『契りの儀式』の下位互換。効果としては、『契りの儀式』同様に対象者一人だけに、一時的に契りを交わした相手に呪的加護と物理加護を施す。
『契りの儀式』同様に破棄も可能だが、それは精霊の血が濃い者であり、リンドの場合は青龍と麒麟の最高位の精霊と『真の契りの儀式』を交わし、それに加えて精霊の血が高まっている時でないと不可能。精霊の血が再び治まれば、契りを交わし直さなければならない。
また、一度結んだ相手との再契約は数日時を置かなければ副作用が発生し、身体が暫らく火照り続け、発情状態(別作品の神楽シリーズであった淫乱化状態)に置かれてしまう。

アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。

  • 琴乃が堕ちた段階で孕ませる
  • 四聖の社全て攻略後に孕ませる
  • サヨ関連終了後に孕ませる
  • イザナミも加え、四人そろって孕ませる
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