※この作品はR-18です。

IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜   作:イズモ

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長らくお待たせしました。
更新再開です!

アンケート、お気に入り、ありがとうございました!

そして誤字報告をして下さったお方! 本当にありがとうございました!


渚編 5

(殺ったわ!)

 

 閃光の速さでレイピアの切っ先を突き出しながら駆け抜ける渚は、己の勝利を確信した。

 影とは言え、四聖獣の白虎さえも反応出来なかった己の速さの前には、青龍と美由紀以外は反応出来ないと渚は思っていた。

 だが、渚の予想に反し、リンド、青龍、佐久夜、美由紀にレイピアの切っ先が突き刺さる直前、突然レイピアの切っ先が流れた。

 

『なっ!?』

 

 いつの間にかリンド達の周囲には、それぞれ円状に一定の流れで風が回り続け、その流れに乗ってしまった渚の腕は在らぬ方向に動いてしまう。

 まさかと思い、渚達の目は不敵な笑みを浮かべている青龍に向く。

 

「『守護の風』。風は荒々しいものばかりではありませんよ」

 

『くっ!』

 

 嵐のように荒れ狂う風ではなく、流れるような風に渚のレイピアは逸れてしまう。

 渚の剣はカグツチのような重さの剣ではなく、鋭い刃の剣。自らの瞬発力を利用して、相手を突き刺す剣。

 その速さは影とは言え、四聖獣の白虎さえも反応出来ないほどに恐ろしいが、嘗て此方の世界の渚と戦った事がある青龍は、対抗策を見つけていた。

 それが『守護の風』。対象者の周囲に常に流れる風を纏わせ、渚の突きを逸らしていく。

 

(とは言え、此れは長く持ちませんね)

 

 青龍は、渚の突きと自身の『守護の風』がぶつかり合う度に、風が吹き散らされているのを感じていた。

 渚の方も悟っているのか流されながらも瞬時に引き手を戻して、更に突きを放ち風を破ろうとしている。何とか破られまいとリンド達が動こうとしても、速さでは渚の方が上なのですぐに追いつかれてしまう。

 今は何とか青龍が瞬時に風を集め直しているが、『速玉』の呪法を使って更に速さを上げていく渚の猛攻の前には、何れ修復しきれなくなってしまう。

 

(こうなったら!)

 

 ジリ貧になりかけていると悟ったリンドは、自らの精霊の力を最大に発揮し、佐久夜と琴乃を護るように二人に迫る渚との間に地面から巨木の木の枝を何本も伸ばして防御柵を造り上げる。

 

『なっ!?』

 

「佐久夜お姉ちゃん! 鎮魂の舞をお願い!!」

 

「うん! 任せて!」

 

 リンドの願いの意味を悟った佐久夜は、両手に持つ鉄扇を広げて舞を踊り出した。

 流麗且つ繊細な舞を佐久夜が舞うと同時に、霊脈から渚に流れ込んで行く霊力が減少し出した。

 

『さ、させないわ!』

 

 佐久夜の舞の意味を悟った渚は、目の前に立ちはだかる巨木の枝をレイピアで突くが、青龍の竜巻のように貫く事は出来なかった。

 

(固い!? 嘘でしょう!? あの子供! 四聖獣の青龍よりも力が在るって言うの!?)

 

 渚の憑りついている『迷い人』は知らない事だが、リンドは四体もの精霊と『真の契りの儀式』を結び、その内の二体はネノクニで最高位の精霊。更に言えば『迷い人』はリンドの一族の宿敵である外敵。

 その力は限界を超えて高まり続けている。だが……。

 

(長くは持ちそうにありませんね)

 

 目の前に迫る渚に蹴りを放ちながら、リンドの様子を見ていた青龍は瞬時に察する。

 リンドの力は高まり続けているが、その分、まだ二次性徴も正式に迎えていない身体に襲い掛かる負担は凄まじい。霊力には余裕があっても、それを扱う身体の方が悲鳴を上げるのは時間の問題だった。

 それでも佐久夜と琴乃に近づけさせないために、必死に発生させた大木の防御柵を維持する。

 

(くっ! 不味いわね! アマテラスに似た娘が霊脈に干渉していて、私に流れる霊力が落ちて来てる)

 

 元々渚は無理やり霊脈を掌握しているだけなので、佐久夜の舞に寄る阻害を妨害できない。

 四人の渚は焦りを覚えて、僅かに動きが乱れしまう。その乱れを彼女が見過ごさなかった。

 

『っ!?』

 

 渚が突き出した腕を引き戻す前に、美由紀は両手でガシッと掴み取り、そのまま懐に入ると一本背負いで投げ飛ばす。

 

「はああっ!!」

 

『がはっ!」

 

 背中から叩きつけられた渚は衝撃で口を大きく開けた。

 美由紀は更に追撃を掛けるように渚の胸に手を当てて、気を叩き込む。

 

「発剄っ!」

 

 再び美由紀が気を叩き込むと、渚の姿は薄れて消滅した。

 

(やっぱり! この影の術は気を乱されると維持できないんだ!)

 

 己の影を生み出して操る術は高等術。

 本来ならば、生み出された影は並大抵の事では消滅する事はないのだが、美由紀の『発剄』は相手の身体の内部で気を炸裂する技。

 渚本人は意識せずに使えている影の術だが、内側から気を乱されれば消滅すると言う弱点は存在し、美由紀の発剄はその弱点を突く最良の技だった。

 

『本当にやるわね、美由紀ちゃん』

 

(流石は『我』が一番最初に見つけた四聖を超える器……でも、呪法の成長はまだし切れていないみたいね)

 

 ならばと言うように、防御策を破るのとリンドと青龍の牽制を残る二人の分身に任せ、本体が美由紀に向かって襲い掛かる。

 

『はああっ!!』

 

「くっ!?」

 

(この渚先輩!? 前の二人もよりも隙がない! もしかして本体! なら!)

 

 遂に本体が攻めて来たと判断した美由紀も、拳を構えて応戦する。

 だが、先の二人のように互角には戦えず、最初から美由紀は防戦一方に追い込まれていく。

 

「な、なんで!?」

 

『ふふっ、美由紀ちゃん。貴女と違って『我』に憑りつかれる前から『あたし』は悪霊と戦っていたのよ。当然ネノクニでの戦闘には慣れてるわ!』

 

 美由紀は基礎能力として既に四聖獣に匹敵する力を持っている。

 そして渚もまた、潜在能力を解放されて同じくその力は四聖獣級。其処に社の霊力。何よりも、呪法の成長の差がある。

 呪法の成長には副次効果が存在し、勾玉を装備する呪具に装着した場合、『速玉』では速さが。『荒玉』では腕力や防御力を引き上げる効果がある。その副次効果は呪法の成長度によって上がっていく。

 美由紀も呪法を覚え始めたが、本格的な悪霊との戦闘を行ない出したのは僅か数日。その前はカグツチと模擬戦をしたり、アマテラスから呪法の手解きを受けただけ。分身体にはなかったその成長の差が、大きく出てしまった。

 遂に青龍が張った『守護の風』も破られ、美由紀の身体をレイピアが傷つけていく。

 

「美由紀!?」

 

「美由紀さん!?」

 

『行かせないわよ!』

 

 防戦一方で傷ついて行く美由紀を見たリンドと青龍は援護しようとするが、その前に分身体の渚が立ちはだかった。

 もう一人の渚は、リンドが張り巡らせた巨木の柵を傷つけていく。

 

(不味い! このままでは!?)

 

 せっかく状況がよくなったと思ったところで、劣勢に立ち戻った事実に青龍は焦りを感じる。

 

(こうなれば、暴走を覚悟で神獣に戻るしか!?)

 

 青龍が持つもう一つの姿。

 蒼き東洋の龍。人間の姿の時のように小回りは利かなくなるが、その分力は大きく上がる。だが、それは獣としての本能を強めてしまうと言う事に他ならない。

 故に、その身に子を宿した青龍は、神獣の姿になってしまうと母性本能が暴走し、子を護ると言う意志に支配されてしまう。敵味方関係なく暴れ、父親であるリンドにも被害を出しかねない。

 そしてリンドもまた一つの覚悟を決めようとしていた。

 

(青龍達から与えられた呪法を使うしかない)

 

 『真の契りの儀式』を結んだ事で得た桃花、蔓、青龍、そして麒麟の呪法。その呪法を使えば、事態を好転できると考えて使用を覚悟する。

 だが、リンドと青龍が動き出す前に……鳴り響いていた笛の音が変わった。

 

「えっ?」

 

「これは?」

 

「精霊の力?」

 

 今まで鳴り響いていた音色と違う笛の音に、美由紀、リンド、青龍は思わず顔を佐久夜と琴乃がいる巨木の防御柵に向けてしまう。

 決定的な隙と言える状況だったが、渚はそれどころではなかった。

 

『ぐぅぅっ!?』

 

 急に渚の本体は頭を押さえて呻きだした。

 それだけではなく、目から涙も零れ始めていた。

 

『な、なんで今更、『あたし』が反応してるの!? もう無に帰す寸前だった筈の精神が、この音のせいで!?』

 

 訳が分からないと言うように『迷い人』は、必死に目覚めようとしている渚本来の人格を抑え込む。

 

『今更戻って来るな!! こんな!? 母親と父親の暖かい思い出なんかに!? 『我』は負けないんだから!?』

 

(そうか!? 僕と『契りの儀式』を結んだおかげで、琴乃は更にあのご先祖様が残してくれた笛と深く繋がれたんだ!)

 

 鳴り響く音色は、以前よりも軽やかで聞く者を惚れ惚れさせてしまう。

 その音色は、別次元で渚が術によって思い出せないようにされてしまっていた暖かな家族の記憶を呼び起こした。

 

(やっと……この笛の事が理解できたわ……この笛は戦う為だけにあるんじゃないのね)

 

 そもそも音楽は戦う為のものではない。

 これまでは琴乃が無意識に持っていた悪霊を拒絶する思いに、横笛が応えていただけ。そして渚に琴乃が抱いたのは拒絶ではなく、救いたいと言う気持ち。

 その気持ちで吹いた瞬間、自然と琴乃の脳裏に鳴らすべき音色が思い浮かび、その音色を奏でていた。

 

『あああああっ!? ヤメロ!? ヤメロォォォォッ!? 『我』ハ、キエヌ!? キエヌゾォォォォ!?』

 

 悍ましい声が渚の口から飛び出た瞬間、残されていた二つの分身が消え去り、本体も力が抜けたように倒れる。

 

「渚先輩!?」

 

 戦っていた美由紀は慌てて渚を受け止めた。

 すぐさまリンドと青龍は美由紀に駆け寄り、リンドは呪法で美由紀の治療を、青龍は渚の状態を確認する。

 同時にリンドが張っていた巨木の防御柵も、まるで巻き戻るかのように消え去った。

 そして内側で護られていた佐久夜と琴乃も急いで、リンド達の下に駆け寄る。

 

「リンド、美由紀さん、青龍様!」

 

「そ、その人は大丈夫ですか!?」

 

 佐久夜と琴乃は、心配そうに青龍の腕の中で力を失っている渚を見つめる。

 リンドの治療を受けている美由紀も、不安と心配に満ちた目を気を失っている渚に向けている。

 ゆっくりと青龍は、渚を地面に寝かせて険しい顔をリンド達に向けた。

 

「残念ですが、まだ終わっていません。渚に憑りついていた『迷い人』なる悪霊は、渚に憑りついたまま。その証拠に、彼……リンドの精霊の力は未だ高まっています」

 

「……うん。青龍様の言う通り、僕の精霊の力はそのまま。『迷い人』は生きています」

 

 リンドの断言に佐久夜、美由紀、琴乃の顔色が悪くなる。

 『迷い人』が存在しているのは、言うまでもなく渚の精神世界。そして精神世界に入れるのは、この場で青龍とリンドのみ。

 

(しかも、かなり根深く渚の精神に『迷い人』は食い込んでいる)

 

 以前、美由紀に憑りついていた『迷い人』は魂を掌握して肉体を操ると言う手段を用いていたが、渚の場合はそれよりも更に深刻な状態だった。

 渚本来の魂に、『迷い人』の分身体が癒着していると言う状態。それを引き剝がすのは、美由紀の時のように簡単な事ではなかった。

 

(弱っている渚の精神を回復させて、『迷い人』の魂を引き剥がす以外に安全に救う手段はありません)

 

 何せ渚の魂に癒着してしまっている状態なので、無理やり引き剥がせば渚本人も助からない。良くて幼児退行。悪ければ廃人。

 だが、どちらにしてもこのままにはしておけない。今は琴乃の奏でた笛の音で魂が活性化しているが、放置しておけば活性化が弱まり、今度こそ『迷い人』に侵食されてしまう。

 

「そうなる前に、渚の精神を回復させ、渚本人の精神に巣食っている『迷い人』を倒さなければなりません」

 

 不安そうにしている美由紀、佐久夜、琴乃に青龍は対処法を説明し終えた。

 青龍は渚を抱き上げ、中庭から屋敷内に戻り、この屋敷で唯一入らずにいた白虎の結界が張られている部屋に移動した。

 

(白虎。申し訳ありませんが、この部屋を借ります)

 

 強い神聖な結界を張られているこの部屋の中ならば、『迷い人』の浸食を僅かながらも抑える事が出来る。

 部屋の中に置かれているベットに渚を寝かせ、ついて来た佐久夜達にそれぞれ指示を出す。

 

「佐久夜。貴女は先ほどのように舞を行ない、『迷い人』と社の繋がりを断ち、そのまま霊脈を鎮静化させなさい。白虎がすぐに社に戻れず、私が渚の治療に当たらなければならない現状では、それ以外に霊脈の安定化は出来ません」

 

「分かりました、青龍様」

 

「美由紀と琴乃は、その補助をお願いします。霊脈の乱れに惹かれて、この社に悪霊がやって来る恐れがありますから」

 

「分かりました」

 

「はい……青龍さん……渚先輩の事をどうかお願いします」

 

「ええ……そして最後に……」

 

 青龍は唯一指示を出さなかったリンドに顔を向けた。

 顔を向けられたリンドは、覚悟を決めていると言うように頷き返した。

 

「分かっています。僕も精神世界に行きます」

 

「リンド!?」

 

「リンド君!?」

 

「どうして!?」

 

 佐久夜達は驚いたようにリンドに顔を向けた。

 リンドは三人に顔を向けて、事情を説明する。

 

「精神世界には僕も入る事が出来る。一人より二人の方がより確実だから」

 

「そ、それはそうだけど……前の時とは違うんだよ」

 

「うん。それは分かってるよ、佐久夜お姉ちゃん。だからこそ、僕が行くんだ」

 

「リンド……」

 

 迷いなく言い切るリンドに、佐久夜の胸は思わず高鳴ってしまう。

 それは琴乃と美由紀も同じなのか、頬を赤くしてリンドを見ている。三人に見つめられながらリンドは青龍に近づいて、手を伸ばす。

 

「青龍様。お願いします」

 

「分かりました。では、行きます!」

 

 リンドの手を確りと握った瞬間、二人の視界がぐにゃりと歪み、渚の精神世界に入り込んだ。

 

 

「よっと」

 

 渚の精神世界に入り込んだリンドの視界に広がったのは、灰色の硬い地面-コンクリートで覆われた道路-だった。

 

「……何だろう、これ?」

 

 トントンっと穿いている草鞋で、ネノクニでは決して在り得ない道路をリンドは何度も踏んだ。

 少し子供らしいその姿に、青龍は思わず微笑みを浮かべながら話しかける。

 

「リンド様。それはアシハラノクニでは普通にある道路と言うものです」

 

「ふぅーん、そうなんだ。と言う事は……」

 

 改めてリンドが周囲を見回してみると、空には薄暗い雲が広がり、夜なのか昼なのかさえも分からない。

 そして自身の周囲を見渡してみると、思わず驚きで固まってしまった。何故ならばリンドの周りには沢山の家屋が立ち並び、それはネノクニでは家屋として使われている木材とは明らかに違う材質で作られた建物が沢山立ち並んでいたからだ。

 

「もしかして此処は?」

 

「ええ、どうやら渚が暮らしていた街が精神世界で再現されているようです」

 

「つまり、疑似的にアシハラノクニを再現しているんだね……となれば……」

 

 試しにと言うようにリンドは近くの家の入口を開けようとするが、扉はどれだけ力を込めても開かなかった。

 

(なるほど。記憶を再現した世界だから、記憶にない場所は入れない。だけど、人の姿も無いのは……孤独を強調させるように『迷い人』が精神世界に人を現れないようにしているんだろうね)

 

 今度はコンコンと軽くリンドはコンクリートの塀を叩いてみた。

 

(固い……でも、呪術的な護りは感じられない。此処が精神世界だから? それとも桃花達が言っていたように、アシハラノクニには神秘の耐性が失われている? だとしたら……)

 

「ふふっ」

 

 子供らしい好奇心で建物を調べているリンドを、青龍は微笑ましそうに見つめながら下腹部に手を伸ばす。

 

「っ!? あああああっ!?」

 

「わっ! せ、青龍? どうしたの!?」

 

 突然悲鳴を上げた青龍に、リンドは慌てて駆け寄る。

 コンクリートの地面に青龍は座り込み、下腹部を両手で抱えながら恐怖で身体を震わせる。

 

「リ、リンドさま……あ、あの子が……私と貴方様との子の気が……」

 

「ああ、そう言う事か」

 

 両目の目尻に涙を青龍は浮かべ、今にも泣き出しそうにしている。

 安心させるようにリンドは青龍を抱き締める。

 

「大丈夫だよ、青龍。説明し忘れていたけど、子を宿した精霊は、以前のように肉体ごと精神に入ることは出来なくなるんだ」

 

 もしも、その身に命を宿したまま精霊が他者の肉体に入ってしまったりすれば、未熟な命は消失してしまう。

 故に母と成った精霊は、リンド同様に精神のみ他者の内側に入る。

 

「今頃は、僕の肉体と一緒に青龍の肉体も現実世界に残ったままだから。僕らの子はそっちに居るから安心してね」

 

「で、では、あの子は無事なのですね?」

 

「うん。無事だよ。桃花と蔓から渡された防護の呪具もあるし。何だったら青龍だけ一度戻って構わないよ」

 

「……いえ、このままリンド様と共に渚を捜索します」

 

 愛する相手が無事を確信しているならばと、青龍は涙を拭って立ち上がった。

 

「それでは渚の屋敷を探しましょう」

 

「いるとしたら、其処が一番可能性が高いからね。行こう、青龍」

 

「はい、リンド様」

 

 リンドと青龍は頷きあい、この世界の何処かに居る渚の本人の精神の探索を開始した。

 

 

 その少女が目覚める度に感じるのは違和感だった。

 見慣れぬ天井、見慣れぬ壁、見慣れぬ窓、見慣れぬ絨毯……その筈なのに何故か。

 

(知ってる気がする)

 

 知らない筈なのに、知っているという違和感。

 自分を此処に連れて来た誰かとは、少女はもう長く会っていない。

 

(あの女の人? 何処に行ったんだろう?)

 

 何処となく自分に似たその誰かは、『我』と自身を呼びながら、少女をこの部屋に閉じ込めた。

 代り映えのしない日々に、少女の心は疲弊し続けていたが……。

 

(とても綺麗で暖かい音色だったのに)

 

 代り映えしない初めて訪れた変化。

 それは綺麗な音色だった。その音に惹かれて思わず部屋の外に出てしまいかけたが、出る前に音色は途切れて、外は真っ暗になった。

 

(きっと……出ちゃいけないって言われたのに……あたしが出ようとしたからだ)

 

 外が真っ暗になったのは自身のせい。

 その事実に泣きそうになり、何かを抱きしめたいという思いに駆られるが、この部屋には自分以外に何もない。

 

(……寝よう)

 

 眠れば何も考えずに済む。そう思いながら少女は目を閉じようとしたところで……。

 

「これ、君のだよね」

 

 突然視界に女の子を模した愛らしいぬいぐるみが映った。

 そのぬいぐるみを見た瞬間、少女の脳裏に一つの思い出が浮かび上がった。

 

『あら、そのぬいぐるみ、気に入ってくれたみたいね』

 

(おかあさんが……くれた……ぬいぐるみ)

 

 一番最初に会った時に、母になってくれた女の人から貰ったぬいぐるみ。

 目の前にそのぬいぐるみを慌てて少女は抱き締める。そして何時の間にか自身の部屋の中に居た少年と、何処か見覚えの在るような気がする淡色の女性を警戒するように離れながら見つめる。

 幼い少女の容姿に、女性は戸惑うように視線を少年に向けた。

 

「リンド様。これは……」

 

「かなり危ないところだったね。琴乃のおかげで活性化した魂がまた弱まりかけていたようだけど、何とか間に合った」

 

 言い終えると、リンドは目の前でぬいぐるみを抱き抱えて怯えている幼児化した渚に優しく微笑む。

 

「急に来てごめんね。でも、僕らは君を傷つけたりはしないよ」

 

 微笑みながら告げるが、渚は後退りして距離を取る。

 困ったようにリンドは苦笑を浮かべながら、腰帯を解き、ズボンを床に落として下半身を露出させる。

 すると、強烈な雄の臭いが部屋の中に充満し、隣に立っていた青龍は顔を赤らめながら太腿を合わせてモジつく。

 そして渚も最初こそは強烈な雄の臭いに顔を顰めたが……。

 

(何? ……何だか甘い匂いが)

 

 雄の臭いを甘い匂いと認識(・・)した渚は、匂いの出所であるリンドの両足の間で固くそそり勃っている剛棒に視線が釘付けになる。

 

「お腹空いてるでしょう? たっぷりと……アシハラノクニだったら、みるくだったかな? 僕の気が含まれたみるくを飲ませてあげるね」

 

 こうして渚は、自身の全てを支配してしまう雄と最も無防備な状態で出会ってしまったのだった。




次回は幼児化している渚にミルク(意味深)を飲ませて、そのまま青龍と性教育。
遂にIZUMOキャラに、アシハラノクニの淫語を言わせる時が来ました。
これが渚編1で、あっさりと渚が恥ずかしい事をするのを受け入れた理由となります。

因みに今は精神体なので、青龍としてシても問題は無しです。
桃花と蔓が知ったら、そんな裏技ズルいと叫ぶやり方ですね。

アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。

  • 琴乃が堕ちた段階で孕ませる
  • 四聖の社全て攻略後に孕ませる
  • サヨ関連終了後に孕ませる
  • イザナミも加え、四人そろって孕ませる
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