※この作品はR-18です。

IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜   作:イズモ

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今回はエロ無しの回です。
次回はちゃんとあります。

アンケートの結果は。
青龍(53票)
玄武(1票)
白虎(18票)
朱雀(10票)
となりました。このアンケートの結果に関しては後書きをどうぞ。

感想、お気に入り、アンケートありがとうございました!


佐久夜・処女喪失編 前編

「さあ、どうぞ、中に入って下さい」

 

「……」

 

 何時でも刀を抜けるという意志を隠さずに警戒しているツクヨミに対して、少年はまるで警戒していないという様子で招いた。

 

(この坊や……カグツチとアマテラスは気の弱い子供だなんて言っていたけど……それは演技だったわけね)

 

 とある理由で里にいる事が少なくなったツクヨミだが、何度か戻ってきた時に妹であるアマテラスとその夫であるカグツチから少年の話は聞いていた。

 精霊である桃花が連れて来た膨大な霊力を身の内に宿した気の弱い少年だと。だが、こうして何時刀を抜ける様子を見せても、怯えた様子を少年は見せない。

 寧ろふてぶてしささえも感じるほどだった。

 

「……桃花は中にいるの?」

 

 此処にツクヨミが来た理由は、桃花に会うため。

 実を言えば、ツクヨミは昼間の内に桃花と会っていた。その時に渡された薬の事を尋ねる為に、桃花が指定したこの場所に訪れたのだ。

 それが何を意味するのかを察しながらも。

 

(桃花……この坊やと間違いなく『契りの儀式』を結んでいるわね。どうやってかは知らないけど、自分の気を隠して)

 

 『契りの儀式』を精霊と人が結んだ場合、人から加護として契約を結んだ精霊の気が感じられるようになる。

 無論、ある程度の実力者でなければ感じるのは無理なのだが、神であるアマテラスとカグツチは当然感じる事が出来る。勿論、弱(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)としてもツクヨミも感じる事が出来る。

 ましてや桃花とは一時共に戦った中なのだから、尚更に。だが、こうして改めて少年と会っても桃花の気は感じられない。

 

(或いは桃花と契約しているのは、この坊やの背後にいる者……どちらにしても今はカグツチとアマテラスに報告は出来ないわ)

 

 本来ならばすぐにでもアマテラスとカグツチに伝えるべき事実。

 だが、ツクヨミは報告出来ない事情があった。何せ自らの存(・)在(・)の行く末に関わる物を、桃花が握っているが故に。

 警戒しながら少年の後をツクヨミがついていくと、その先には家の中で桃花が待っていた。

 

「お待ちしていました、ツクヨミ様」

 

「挨拶は良いわ、桃花。率直に聞くわよ……貴女。其処の子供と『契りの儀式』を行なったの?」

 

「いいえ、私は旦(・)那(・)様(・)とは『契りの儀式』を交わしてはおりません」

 

「だ、旦那様って、貴女何を言って!?」

 

 ある意味では『契りの儀式』を少年と交わしていたという事実以上に、驚くべき事を桃花は口にした。

 

「まあ、ツクヨミ様。先ずは座って下さい。長い話に、いえ、交渉になりますから立ってするよりも座ってしましょう」

 

 言い終えるとすぐに少年は床に座った。桃花はその背後に移動して座り、明確に自分の立ち位置をツクヨミに示した。

 その様子に警戒しながらもツクヨミも床に座る。勿論、刀を瞬時に抜けるようにしながら。

 

「では、先ずツクヨミ様。此処に来たと言う事は、桃花がツクヨミ様に渡した秘薬の効果があった訳ですね」

 

「……ええ、そうよ。最初は半身半疑だったけれど、桃花が渡した薬を飲んだら身体が楽になったわ……ニニギを産んでから何をしても回復しなかった力もほんの少し回復したしね」

 

 本来ならばツクヨミは四聖獣に匹敵するほどの力を持った精霊。

 その上、奇跡の領域でツクヨミは、精霊でありながらもカグツチとの子を妊娠した。その妊娠のせいで、カグツチの妻であり、妹であるアマテラスが大激怒して、天変地異を引き起こすほどに荒れ狂ってしまった時期があったが、当事者の片割れであるツクヨミは開き直っていた。

 実際、宿ってしまった命を失う事などツクヨミは考えたくもなかった。最終的には、アマテラスも認め、ツクヨミはニニギを出産した。

 だが、その出産を終えてからツクヨミの力は失われ続けていた。子を宿し、母となる女性は子の成長の為に一時的に力が衰えてしまう。

 カグツチを宿していたイザナミも、この流れには逆らえずにその隙を突かれて不覚を取り命を失った。

 本来ならば子を産み終えた母親は、力が戻る筈。現に同じように妊娠して一時的に力が衰えていた妹であるアマテラスは佐久夜を出産してから、少しして力を取り戻していた。しかし、ツクヨミは戻らないどころか、徐々に力を失い、今では妹であるアマテラスとその夫であるカグツチにも話していないが存在が消え去る寸前にまで追い込まれてしまっていた。

 気を抜けば時折、身体が薄れてしまう事さえもある。

 その事をツクヨミは誰にも話さずに、隠し通し続けていた。妹であるアマテラスにも、ニニギの父親であるカグツチにも、姪である佐久夜にも、そして……息子であるニニギも隠し通して来た。

 

(きっと、これはニニギを宿した代償なのだから)

 

 更に言えば、ニニギを産んでから十数年の時間があった。

 立派……とは言い切れないが、それでもニニギは逞しく育ってくれた。新たな悪霊の軍勢との戦いに力が衰えた自分では戦場で役に立たないと考え、ツクヨミは後方で軍師として指揮を執っていた。

 その戦いの中で、息子であるニニギが迂闊にも自分から悪霊の軍の罠に嵌まりに行って、封印されたと知った時は頭を抱えた。しかも、その封印は神となったアマテラスでも解けず、放置せざる終えない状況。無論、ツクヨミは納得できず、残された時間が少ない事からの焦りもあって、封印を解こうと里を離れる事が多くなっていた。

 幸いにもアマテラスとカグツチもツクヨミの考えを理解してくれているので、封印解除に専念出来ていたが、やはり弱り切ったツクヨミでは、どうやっても封印は解けない。

 しかも残された力を自らの維持以外に使い始めたので、自らの消滅を速める結果になり始めていた。

 そんな時に桃花がツクヨミの前に現れたのだ。

 何をやってもどうにもならなかったツクヨミの消滅の時を引き延ばす秘薬を持って。

 そしてツクヨミの報告を聞いた少年は、やっぱりと納得したように頷いた。

 

「これでハッキリしました。ツクヨミ様、貴女の不調の原因はやっぱり『真の契りの儀式』を不完全な形で結んでしまっている影響です」

 

「『真の契りの儀式』ですって? 一体それは何なの? いえ、何でそれに坊やが気付けるのかしら?」

 

「それは……こういう事ですよ」

 

「なっ!?」

 

 突如として少年から人間以外の気配。精霊の気配が発せられた。

 それが意味する事をツクヨミはすぐに理解した。

 

「まさか!? 貴方はニニギと同じ半人半精!?」

 

「いえ、違います。確かに僕は精霊の血を引いています。ですが、此処数百年は一族の方針で精霊よりも人間の方を娶っていたので、精霊の血は薄れてしまっています。尤もそれでも沢山の精霊の血が僕の中には流れていますけどね」

 

「……何ですって? つまり……まさか、精霊が人との間に子を為す方法が実在しているというの!?」

 

「はい。それこそが先ほど言った『真の契りの儀式』です。詳細は此方になります」

 

 ツクヨミの前に少年は桃花が持って来てくれた巻物を置いた。

 警戒しながらもツクヨミは巻物を拾い上げて、広げて中身を読んでみる。

 

「『精霊が人と子を為す方法と注意事項』ですって!? まさか!?」

 

 自身に起きた奇跡に確立された方法が存在していた。その事実が信じられず、ツクヨミは巻物を広げて文を読み進める。

 

「……『真の契りの儀式』……『契りの儀式』の上位互換……これが精霊と人が子を為せる方法だというの?」

 

「事実です、ツクヨミ様。その証拠に……」

 

 少年が視線で合図を送ると、心得たと言うように桃花は立ち上がり、ツクヨミに見えるように帯を解きを、床に袴を落とす。

 突然の事に驚くツクヨミだが、着物の下に隠されていた僅かに膨らみ始めていた桃花の腹部を見て固まる。自身もその状態になったからこそ分かる。

 桃花が妊娠している事を。

 

「桃花……貴女、まさか……」

 

「はい。『真の契りの儀式』を旦那様と結び……彼の子をこの身に授かりました」

 

 慈しむように桃花は、命が宿った自らの腹部を撫でた。

 精霊と人が子を為す方法である『真の契りの儀式』が実在している何よりの証拠が示された。

 もう充分に証拠は示したと思った桃花が、着物を着直す傍らでツクヨミは、渡された巻物を読み進める。

 

「……だとしたら、私がニニギをカグツチとの間に授かる事が出来たのは……」

 

「はい。ツクヨミ様が子を授かれたのは、カグツチ様と偶然にも『真の契りの儀式』に似た形で儀式を行なってしまっていたからです」

 

「なっ!?」

 

「ですが、不完全な形でしか儀式を終える事が出来ず、ツクヨミ様は精霊が子を為すという奇跡の代償から身を守り切れていない状態になっています。桃花がツクヨミ様にお渡しした秘薬は、一族の中で薬効を司る精霊かその力に目覚めた者が製作した、何らかの要因で『真の契りの儀式』が不完全に終わってしまった時に代償の負担を和らげて回復させる効果がある薬です」

 

 当たり前の事だが子を宿している最中に『真の契りの儀式』を改めて結び直す事は出来ない。

 かと言って、悠長に子を産み終えてからすぐに結び直す事も出来るか分からない。最悪の場合、出産直後に母親である精霊が子を抱く前に消滅してしまう恐れもある。

 寧ろニニギを産み終えてから十数年以上、存在を保っているツクヨミの方が異常なのであって、普通の精霊ならばずっと前に消滅してしまっているのが当然なのだ。

 

「あの秘薬で少しでも体調と力が回復したのならば、もう間違いはありません」

 

「待ちなさい。『真の契りの儀式』とやらがあるのは分かったわ……だけど、私とカグツチは『精神世界』でシたのよ。どう考えてもこの巻物に書かれた条件を満たしていないわ」

 

「ええ、其処は桃花から話を聞きました……ただツクヨミ様? どうやってその空間を作ったんですか?」

 

「どうやってって、私(・)の(・)力(・)を使ってよ」

 

「………つまり、ツクヨミ様の力。『夢を紡ぐ力』を使ったんですね」

 

「ええ、そうよ」

 

「これでハッキリしました。ツクヨミ様……『夢を紡ぐ力』で作られた空間は、通常の『精神世界』とは違うんです。限りなく現実に近い空間。『真の契りの儀式』の条件は満たされています」

 

「なっ!?」

 

 『夢を紡ぐ力』は世界さえも創造する事が出来る力。

 現にこのネノクニも、今でこそアマテラスが引き継いでるが、最初はイザナミの『夢を紡ぐ力』によって誕生した。

 その力で作られた世界は現実そのものと言って良い。ツクヨミがカグツチと結ばれた空間は、精霊が生み出す通常の『精神世界』とは全く異なる空間だった。

 現実そのもの世界で結ばれたのならば、当然『真の契りの儀式』の最初の条件を満たしている。

 

「此処からは推測になりますが、無意識にカグツチ様はツクヨミ様に自分の気を送っていたのかも知れません。カグツチ様は普通の人間じゃなくて、イザナミ様が最後のお力で産まれたお方です。普通の人間ならば成功する確率が奇跡でしかない『真の契りの儀式』を成功させてもおかしくありません」

 

「……坊や……貴方、随分と事情を知っているみたいね。カグツチの正体は、それこそ知る者が限られている事よ……『夢を紡ぐ力』の事と言い……一体何者なの!? 答えなさい!?」

 

 返答次第では斬るというように、ツクヨミは片膝を立てながら刀を構えた。

 桃花がそれに対して身構えようとするが、少年は手で制止して止める。

 

「分かりました。これからお話します。僕の一族の事を……嘗てこのネノクニで『イザナミ様と共に世界の理を紡ぎながらも、影に潜った精霊と交わった一族』に関してお話します」

 

 そして少年はツクヨミに語りだした。

 今ではもうネノクニでもほんの一握りの者達しか知らないネノクニに隠された秘密と脅威の全てを少年は語ったのだった。

 

 

 

 早朝、佐久夜は上機嫌に手荷物を持って里の外れにある少年の家に向かっていた。

 何故ならば母親であるアマテラスから、今日は少年の家に泊まっても良いと許可を貰えたのだ。それと言うのも今朝早くにカグツチの軍の斥候が里に舞い戻り、討伐に向かった悪霊の軍勢に対して大勝との報告が届いたからだった。

 今回の軍勢を率いていた悪霊の大将と側近数体の悪霊こそ逃したものの、その他の悪霊達を全て討伐する事には成功し、カグツチの軍勢は大勝利した。

 無論、報告を聞いたアマテラス達は大喜びし、里への脅威が減った事もあって佐久夜の外泊許可が許されたのだ。

 

(そうだよ。あの子の目が他に移らないぐらいに、私に夢中にさせれば良いんだよ)

 

 里の外れに差し掛かって来て、人の目がなくなったのを良い事に佐久夜は空いている方の手を子宮があるお腹の部分に置く。

 

(……昨日は何とか我慢できたけど……今日こそ私……)

 

 日に日に佐久夜は自分の自制が効かなくなっているのを実感している。

 

(でも……あの子のがオマンコの奥に欲しいよぉ……)

 

 子供の頃に見た父親のカグツチよりも大きな少年の剛棒。

 手でする事に慣れる前は、傘のようになっている部分が引っかかって上手く扱けなかった事もあった。

 

(指じゃなくてあの部分が私の中を動く……)

 

 想像しただけで、ブルっと腰が震えて穿いている下着が濡れだすのを佐久夜は自覚していた。

 数日前のアマテラスの話を聞いている時に自覚したが、佐久夜は少年が好きになっていた。最初は純粋に境遇に同情し、その後純粋に自分を姉のように慕ってくれている少年を可愛いと思い、弟がいればあんな風なのかと想像していた。

 そんな少年が、同じように慕っている里の皆から疎まれていると知った時、佐久夜はショックを受けた。

 少年が他所の里の人間だとは知っている。その原因が悪霊の手に寄って滅ぼされた事も、連れて来た桃花から聞かされた。

 彼は何も悪い事をしていない。だが、このネノクニは明日も同じ日が続くとは限らない戦いに満ちた世界。

 ましてや今は、戦時下中。戦の為にも食料は必要なのに、無駄飯ぐらいがいては困る。

 アマテラスとカグツチは少年の事情をキチンと理解しているが、全員が全員そうだとは限らない。中には甘えた境遇を不満に思う者達もいる、だから、アマテラスが少年に『術師』としての修業をさせると言うのも、理解出来るし納得出来る……少年の目がアマテラスの豊満な胸元に行くのはイラっとするが。

 自分よりも幼いから頼りないのは分かってる。でも、佐久夜は少年が好きになっていた。

 見た目は頼りないが、あの雄々しくそそり立つ肉棒と絶倫と言うしかない精力。未成熟ながらも、淫猥な関係を続ける事で急速に成長した佐久夜の雌としての本能が、少年を伴侶として相応しいと認めてしまった。

 

(それに……あの子は、ちゃんと私を……『佐久夜』として見てくれるもの)

 

 里の皆が悪い訳では無いと言う事は分かってる。

 だが、佐久夜はこの世界、ネノクニの神であるアマテラスとカグツチの娘。どうしてもその肩書きを捨てることは出来ない。故に佐久夜は常に考えてしまう。

 

『里の皆が私を慕うのは、アマテラスとカグツチの娘だからじゃないか?』

 

 無論、佐久夜の考え過ぎと言っていい考えだが、その考えを捨てきる事は出来なかった。

 そんな時に里の外からやって来た少年。日数を重ねていく内に、積み上がった佐久夜の感情と雌としての本能は、遂に限界を迎えようとしていた。

 

(……うん。そうだよね。お母さんとお父さんだって、凄い恋をして結ばれたんだから)

 

 父親であるカグツチは、元々はネノクニの住人ではなく、アシハラノクニと呼ばれている現世で暮らしていた。

 それを当時から戦巫女として戦っていたアマテラスが現世から呼び出したのが、2人の運命の始まりだった。里の違いどころか、世界が違うという大恋愛の果てに結ばれて出来た娘なのだから、自分も同じように大きな恋愛をしても構わないと、佐久夜は認識(・・)した。

 

「そうと決まったら早く行こう!」

 

 覚悟を決めた佐久夜は、今日のお泊り道具とアマテラスが作ってくれた朝食が入った荷物を持って少年が住んでいる家を目指した。この後に待っている少年との睦事を想像して、下着を濡らしながら。

 

「おはよう!」

 

 元気よく声を出して、佐久夜は家の扉を開けた。

 そのまま勝手知ったると言わんばかりに靴を脱いで、家の中に入る。しかし、何時もだったら家の奥から声を掛けたらすぐに出て来る少年の返事がなかった。

 まだ寝ているのかなと首を傾げながら、佐久夜は奥の寝床に歩いて行く。少年はいた。寝床の隅の方で膝を抱えて座っていた。

 

「あっ、起きてた。駄目だよ、ちゃんと朝の挨拶はしないと。それで今日はお母さんから朝食を持っていくように言われたから、一緒に食べよう……その後は……ね♥」

 

 腰をモジモジさせながら、荷物を持ったまま両手を股の前に置いて佐久夜は頬を赤くした。

 だが、そんな卑猥な事を期待させるような事を聞かされながらも少年は、俯いて膝を抱えたままだった。何か様子がおかしいと気がついた佐久夜は、慌てて床に荷物を置いて少年に近寄る。

 

「ど、どうしたの!? 何処か調子が悪いの!?」

 

「……佐久夜お姉ちゃん……」

 

「うん。お姉ちゃんだよ。何かあったの? 何処か痛いの? もしそうだったら呪法を使って……」

 

「お姉ちゃんが言ってた美味しい飲み物って……嘘なの?」

 

「っ!?」

 

 不意打ちで指摘された事実に佐久夜の顔が強張った。

 その表情を少年は見逃さなかった。目に大粒の涙を浮かべて泣きだす。

 

「うわあああん! お姉ちゃんが嘘ついてた! 僕におしっこを飲ませてたんだ!」

 

「ち、違うよ! ア、アレは……」

 

 もっと恥ずかしい液体。

 流石にそれを口にするのは憚れたのか、佐久夜は顔を真っ赤にして黙ってしまう。

 だが、泣き続けている少年は更にショックを受けたのか立ち上がって家の外へ走り出した。

 

「うそつき! 嘘つき! 佐久夜お姉ちゃんなんて嫌いだ!」

 

「ま、待って!」

 

「うわああああん!!」

 

 佐久夜の制止の声も届かず、少年は何処かへと走り去っていった。

 その後ろ姿を入口の柱を支えにしながらも崩れ落ちた佐久夜は茫然と見続けた。

 

 

「……佐久夜。それは明らかに貴女が悪いです」

 

「ヒック、ヒック、ご、ごめんなさい」

 

 朝、機嫌よく家を出て行った娘が泣きながら帰って来た事にアマテラスは驚いた。

 慌てて事情を聞きだしたところ、明らかに悪いのは佐久夜だと理解し、強く叱責した。どんな嘘をついたのかまでは頑なに話そうとしないが、とにかく嘘はいけないことだ。

 ましてや天涯孤独となった身の上の所に、慕っていた相手が大きな嘘をついていた。更なる深い傷を負うのも無理はない。

 

「私に謝っても仕方ありません。ちゃんとあの子に謝らなければいけませんよ……私もとりなしますから」

 

「お、お願い、お母さん」

 

(とは言っても、これはかなり難しいところ)

 

 余所者だからと警戒され、唯一心から信頼できた相手に裏切られた心の傷は深い。

 どうしたものかとアマテラスが悩んでいると……。

 

「失礼します。至急アマテラス様にご報告したいことが」

 

「入って構いません」

 

「はっ、失礼します」

 

 扉が開き、アマテラスの配下の巫女が一人、部屋の中に入って来た。

 入室した巫女は居住まいを正し、チラリと佐久夜に視線を向ける。

 

「構いません。それで報告とは何ですか?」

 

「はい。先ほど高台から周囲を警戒していた者からの報告なのですが……『妖かしの森』の方面に、例の、里の外れに住まわせているあの少年が走って行くのを見たという報告が届きました」

 

「っ!? 何ですって!? 『妖かしの森』の方にあの子が!?」

 

「うそっ!?」

 

「里の入口の見張りをしていた者達は何をしていたのですか!? あの子を外に出さないように厳命していた筈です!」

 

 少年に宿っている霊力の大きさは、嘗て人間だった頃のアマテラスに匹敵するほどの大きさ。

 そして人間だった頃のアマテラスは、ネノクニ最強の戦巫女だった。それに匹敵するほどの霊力の大きさを持つ者が、何の守りもなく外に出る。

 霊力を欲する悪霊達にとっては、御馳走が勝手にやって来たも同然だった。

 アマテラスの部下と言う事で、少年の事情を知っている巫女は顔を青褪めさせながら説明する。

 

「も、申し訳ありません! で、ですが、入口の見張りをしていた者の話では、あの子が入口の外から出るところを見ていないと……」

 

「何ですって? では一体どうやって外に?」

 

「……あっ!」

 

「佐久夜? どうし……まさか!?」

 

 アマテラスは思い出した。娘が勝手に結界の外に出ていた事を。

 

「そ、その……多分、私が外に出る時のやり方を……あの子にも手伝って貰った事もあって」

 

「なんてこと……」

 

 アマテラスは眩暈がした。

 こんなことならば、もっと勝手に外出する事を夫であるカグツチと強く叱っておくべきだったと後悔の念が湧いてくる。

 

(いえ、今は後悔している場合ではありません! あの子を何としても里に連れ戻さなければ!)

 

 ネノクニ最高峰の人間の霊力を吸収した悪霊は、低級だとしても間違いなく強大な悪霊となる。ましてや高位、いや、今戦っているヒミコ軍の手に渡れば、硬直している戦況が一気にひっくりかねない。

 だが……。

 

(ッ!? あの人はまだ戦場に!? 姉さんも戻って来ていない!? 私が行くとしても、そうなれば里の護りが!)

 

 タイミングが余りにも悪過ぎた。

 カグツチがいれば、彼に向かって貰えたが今はいない。姉であるツクヨミも未だ里には戻っていない。少年を里に連れて来た『妖かしの森』に主である桃花に連絡を取る手段もない。里長として自身が飛び出すことも出来ない。

 

(それに桃花さんが今回も助けるとは限らない!)

 

 確かに里に少年を連れて来たのは、『妖やかしの森』の主である桃花だが、今回も同じように少年を助けるとは限らない。

 

(自分を助けてくれた桃花さんならばと思っての行動でしょうが、今回も同じように助けるとは限らないというのに!?)

 

 詳しく精霊と言う存在を知らない故に子供らしい浅はかな行動。

 このままでは不味いとアマテラスが悩んでいると、何かを決意した佐久夜が立ち上がる。

 

「お母さん! 私行くね!」

 

「佐久夜!? 何を!?」

 

「あの子が『妖かしの森』に行ったのは、きっと私のせいだもん。だから、私が行かないといけない」

 

「待ちなさい、佐久夜!? 貴女何を言って!?」

 

「……ごめんなさい、お母さん。呪法! ソニック!」

 

『っ!?』

 

 部屋の中を走った弱めの風の衝撃にアマテラスと、部下の巫女は思わず目を閉じてしまう。

 風が止み、目を開けてみると、其処には佐久夜の姿はなかった。

 

「あの子は!?」

 

「ア、アマテラス様! い、いかがいたしましょうか?」

 

 部下の巫女の声に、一先ず怒りを治めたアマテラスは考える。

 

(間違いなく佐久夜は『妖かしの森』に向かったはず。今から追えば間に合う。いえ、もしかしたら『速玉』の呪法を自分に掛けているかも知れない……そうなると先ず私がすべきなのは……)

 

 この時、一瞬だけアマテラスの気が揺らいだ。

 しかし、ほんの刹那の一瞬の事で、隣にいる巫女は気がつかず、アマテラス本人も怒りでの気の揺らぎだと認識(・・)していた。

 そして何故か(・・・)冷静になった思考で巫女に指示を出す。

 

「先ずは結界の強化を行ないます。その後は防衛強化を」

 

「はっ? ……アマテラス様? 佐久夜様はどうされるのですか?」

 

「このまま行かせます。貴女も知っての通り、『妖かしの森』の主である精霊は、私と夫の古い友人。佐久夜とも幾度か会っています。あの子だけならば桃花さんは動かないかも知れませんが、あの人ならば、佐久夜も足を踏み入れれば感知して接触してくれるでしょう」

 

「しかし、佐久夜様はまだ実戦の経験はありません。アマテラス様は無理でも、私達巫女衆が向かえば」

 

「いいえ。その必要はありません。結界の更なる強化を一時でもすれば、私が里を離れても大丈夫となります……場合に寄っては、娘に残酷な場を見せる事になるかも知れません」

 

「っ!?」

 

 巫女は気がついた。アマテラスが最悪の可能性を考えて動いている事を。

 万が一、少年の霊力が悪霊に奪われた場合、次に狙われるとすればこの隠れ里だ。佐久夜の方は、アマテラスが言うように『妖かしの森』の精霊が守ってくれる。

 アマテラスが里の事をちゃんと考えて行動してくれることに、巫女は忠誠心を強くしながら指示通りに動き出す。

 

(これで良い。私は里長の責務を果たさなければいけない……『桃花(とうか)』さん。佐久夜と貴女の森に入ってしまった幼き子をお願いします)

 

 アマテラスも動き出す。何故か全てこれで良いのだと心から認識(・・)しながら。

 その様子を気配を消しながら伺っていた者がいる事にも気づかず、アマテラスは巫女と共に部屋を出て行った。

 

(……まさか、本当にアマテラスに影響を与えるなんてね。しかも全部あの坊やの思惑通りに進んでいる)

 

 気配を殺して一連の様子を窺っていたツクヨミは、少年の演技と策に舌を巻くような気持ちだった。

 軍師であるツクヨミから見ても、少年の考えた策は見事であり、狡猾としか言えなかった。

 

(手を結んだのは正解だったわね。悪いわね、アマテラス。カグツチと『真の契りの儀式』を私が改めて結ぶ為にも、今はあの坊やの思惑通りにさせて貰うわ)

 

 ゆっくりとツクヨミは姿を消しながら、妹の後を追う。自分の出番が来るその時を待ちながら。




ツクヨミとの交渉は一先ず成功しています。
但し旧版のようにまだ悪霊としての側面は取り戻していないので、交渉の結果は一族の宝を里に三割。ツクヨミ個人の一割渡すという事で一先ず交渉終了です。

因みに『夢を紡ぐ力』で作った世界は現実と変わらないという設定は、原作IZUMO3でヒロインの1人が実際に作られた世界で行為をして孕んでいるのと、そもそもネノクニに事態が『夢を紡ぐ力』で維持されてるのでそういう設定にしました。

そして現在の『佐久夜・処女喪失編』後には、『四聖獣・青龍妊娠番堕ち編』。
その後に『アマテラス・催淫修業編』となります。
旧版と違い蔓の前に青龍が堕ちます。

アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。

  • 琴乃が堕ちた段階で孕ませる
  • 四聖の社全て攻略後に孕ませる
  • サヨ関連終了後に孕ませる
  • イザナミも加え、四人そろって孕ませる
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