IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜 作:イズモ
「シャアアアアアッ!!」
「邪魔をしないで! 飛鳥の舞!」
頭上から襲い掛かって来た蝙蝠の悪霊を佐久夜は手に握っていた刃物が仕込まれた扇を投げつける事で切り裂き、消滅させた。
消滅した悪霊から勾玉らしきものが出現して落ちて来るが、佐久夜は構わずに大きな木々が立ち並ぶ森の中を走る。そんな佐久夜の前に次から次へと豚ほどの大きさを持った巨大芋虫や、人ほどの大きさのキノコが立ち塞がる。
流石に佐久夜も足を一先ず止め、扇に嵌め込まれている赤い勾玉-『火玉』-を輝かせる。
「私は急いでいるの! 呪法! ファイアッ!」
輝きが最高に達した瞬間に、佐久夜が扇を振るうと炎が飛び出し、巨大芋虫とキノコを焼き払った。
佐久夜は悪霊を焼く火の勢いが弱まるのを待たずに走り出し、緋袴の裾が少し焦げても気にせずに先を進む。その表情には1人で弱いながらも悪霊退治が出来ている喜びはなく、焦燥ばかりが募っている。
(何処!? 何処に居るの!? 今お姉ちゃんが必ず見つけてあげるから、それまで無事でいて!)
深い森の中を佐久夜は、服が枝で引っかかって破れたりするのも構わずに奥へ奥へと進んで行く。
自らがいる『妖やかしの森』が方向感覚を狂わせる結界が張られるのも忘れて。
ぐぽぐぽっ……じゅるじゅるっ……ぐぽぐぽっ……じゅるじゅる……
「フフッ……ああ、とても綺麗だな、佐久夜お姉ちゃん」
「んちゅっ♥ ちゅるぅぅっ♥ ん、ふぅぅ♥」
「何時もの僕の事を弟として見る顔も、天真爛漫な笑顔も、それに……僕に卑猥な事をして背徳感に悦んでいる顔も良いけど、必死に僕を助けようと我武者羅に戦う姿も素敵だ」
「んふぅ♥ はぁぁ♥ ちゅっちゅっ♥」
「アマテラス様の方もギリギリ『認識』を変えられた。とは言え、アレを使えば流石に変えた認識を破られてしまうかも知れないから、ツクヨミ様に予定通り動いて貰わないと。もうすぐだ。もうすぐだよ。僕はもうすぐ佐久夜お姉ちゃんを手に入れる」
「ふぐぅ♥ んじゅっ、じゅるちゅぅぅぅっ♥」
「フフッ、何時もより激しいね、桃花」
股間から伝わってくる快感と激しい淫靡な水音に少年が目を向けて見ると、何処か恨めしそうな顔をしながらも恍惚とした様子で剛棒を咥えて口淫を桃花が行なっていた。
「じゅぶっ♥ んふぅ♥ ん、ぐぅぅっ♥ ん、じゅぼぼっ♥」
(佐久夜様っ! 旦那様のチンポを挿入したのは、私が初めてなのです!)
沸き上がる嫉妬心からか桃花は激しく剛棒に吸い付き、舌先で亀頭を刺激して口内に入って来るカウパー線を味わう。
自らの領域内を佐久夜が彷徨いながら、悪霊と戦っている事を感じながらも桃花は構わずに少年への奉仕に没頭する。
「んふぅっ♥ だんなさまぁ。気持ち、いいですかぁ♥」
「気持ち良いよ、桃花」
少年は桃花の綺麗な紫色の髪に両手を当てながら、快感を感じている事を示すように腰を震わせる。
最愛の相手が感じている事を察した桃花は、まだ口淫を覚え始めたばかりの佐久夜では出来ないような舌の動きで亀頭の先端やカリ首の裏を、吸う事で窄めた頬肉で竿の部分を刺激し少年に快感を与えていく。
更には吸うだけでは足りないと一旦口を放したと思えば、唾液で濡れた舌で咥えきれなかった竿の部分を舐め上げ、唇を押し付けたり、ずっしりと重い陰嚢まで口に含み、睾丸を舌先で転がし、シワを舐め広げるようにしながら、しっかり唾液をまぶしていく。
(このような事、佐久夜様にはまだ出来ませんでしょう♥)
雌として自分の方が優れていると示すように、桃花は妖艶さを滲ませた目で少年を見上げる。
少年の目が自分に釘付けになるのを確認すると、着物の胸元をくつろげ、プルンと柔らかく揺れる乳房がまろびでた。
「楽しみだな。桃花のオッパイから出る母乳は一番最初に僕が飲むからね。代わりにたっぷり僕の気が混じった子種を沢山飲んで良いよ、桃花」
「んちゅっ♥ ふぁい、だんなさまぁっ♥ 飲ませて頂きます。ぅっ♥ んじゅぅぅぅっうぅぅぅうっ♥ じゅぼぼぉっ♥」
じゅるるるるっ……ぐぼっぐぼっ……
再び口で剛棒を咥えた桃花はすぐさま首を前後に動かし、更に舌や頬肉、唇まで使って口淫を開始した。
激しい淫猥な水音がなるのも構わず、少年の剛棒に両手をまで伸ばし、咥えきれない竿の根本を優しく扱き上げ、もう片方の手でたっぷり出して欲しいと言うように陰嚢をやわやわと揉みほぐしていく。
「うわぁっ、桃花」
「だしひぇっ♥ だしてくらひゃいっ♥ だんなさまぁっ♥」
「あ、あぁぁぁ……っ! で、るっ!」
どぴゅゆっ! どぴゅぴゅぴゅどぴゅ――っ!
剛棒が桃花の口内で膨れたと思った次の瞬間、剛棒の鈴口が広がり大量の白濁液が射精された。
(ああっ♥ 旦那様の今日初めての精液っ♥)
ゴクゴクっと喉をはしたなく鳴らしながら、口内から溢れんばかりの白濁液を嚥下していく。
ドロドロと煮えたぎったような熱を持つ白濁液は、放出される量もあって少年以外で口淫の経験もある桃花を以てしても最初の頃は飲み切れず口を放してしまったが、今では慣れたという様子で飲み干していく。
やがて射精を終えた少年が剛棒を口から引き抜くと、桃花はすぐさま僅かたりとも口内に残さないというように舌を動かして綺麗にする。
それを終えるとそのまま剛棒に舌を這わせて、綺麗に残滓も舐め取る。
「ぷはっ♥ 旦那様、お掃除も終わりました♥」
「ありがとう、桃花。じゃあ、立ち上がって袴を捲り上げて見せて」
「っ……は、はい」
顔を真っ赤に羞恥で染めながら、桃花は桃色の袴の捲り上げた。
すると、袴が捲り上がると共に花の香りが周囲に漂う。その香りを発しているのは、桃花の秘裂から零れて内腿を流れる愛液だった。
「僕のチンポを咥えて感じていたんだね?」
「……はい、旦那様のチンポを咥えて……か、感じたばかりか……イ、イッてしまいました♥ ああんっ♥」
少年が双丘に触れて揉みしだくと、桃花の口から甘い喘ぎ声が上がった。
「このオッパイは誰の?」
「んんっ♥ も、勿論旦那様のものです♥ チンポが欲しいと愛液を流しているオマンコも、ヒクヒクと動いてしまっているケツ穴も、髪も何もかも……私の全ては旦那様に差し上げました♥」
喘ぎながらも、桃花は迷うことなく少年に身も心も差し出した事を改めて宣言した。
綺麗で清楚な美女である桃花が改めて自分の番になった事を知り、少年は雄としての満足感を覚えた。だが、突如として真剣な顔になると、パチンと指を鳴らして術を発動させ、桃花の身体から搔いていた汗も太腿を濡らしていた愛液も全て消え去った。
「旦那様?」
「桃花。すぐに着物を着直して……幾ら木偶でも桃花の身体を見られたくないからね」
一瞬、桃花は驚くが、少年の言う意味を察したのかすぐさま着物を着直して身嗜みを整える。
同時に森の木々の奥から何かが高速で迫り、少年と桃花の前に降り立った。
バサッ!
修行僧のような僧服を纏い、右手に棒を持ったカラスのような顔をした悪霊が黒い翼を閉じながら地面に立つ。
「……上級の悪霊。烏天狗ですね……ですが、これは……」
上級の悪霊の来襲となれば、本来ならばすぐに警戒しなければならないが、桃花はすぐに気が付いた。
目の前の悪霊は既に、『生きながら死んでいる』事に。
少年が手をかざすと、悪霊の胸元から虹色の輝きが放たれ、そのまま輝きは少年の手の中に納まった。
「……旦那様、ソレが」
「そう。僕の一族の最大の秘宝にして、この『ネノクニとアシハラノクニの理を紡ぎ整える力を秘めた宝珠
手の中で虹色に輝く宝珠を眺めながら、少年は桃花に説明する。
「一族の危機が迫った時に、当主であったお母様や他の皆は、宝珠を襲い掛かって来る悪霊の軍勢の一体。つまり、其処で立っている木偶に渡るようにしたんだ。どうにもコイツは今回の悪霊の長に力で屈服した奴だったみたいでね。内心では今の悪霊の長に取って変わろうと虎視眈々と機会を狙っていたんだよ」
本来、悪霊とは人間のように軍として統制を図る事が難しい。
最上級の悪霊は人間のように知性と理性を持っているが、そういう者達とて己の力こそ絶対だと自負している。
それでも軍として統制が取れているのは、今の悪霊の長の力が圧倒的に凄まじいからこそ。何せ今の悪霊の長は『ヤマタノオロチ』や『スサノオ』を始めとした強大な力を持つ最上級どころか、神話級の悪霊の力さえも吸収し、それでもなお従わない悪霊や名のある人間の実力者の力までも吸収し続けた。おかげで……。
「僕の一族を襲った時点で、奴の力はアマテラス様とカグツチ様、そして四聖獣全員で掛かって何とか互角なんて恐ろしい力を宿していたよ」
「っ!?」
余りの事実に桃花は言葉を失うしかなかった。
(強大な悪霊の長だとは聞いていましたが、私の想像を遥かに超えています。まさか、アマテラス様とカグツチ様、四聖獣の皆様全員で漸く互角など……ヨモツオオカミに匹敵するどころかそれ以上の……)
「とは言っても、それは少し前の話さ。今の奴には其処までの力はないよ……僕のお母様とお父様。そして家族の皆が奴の勢力と力を大幅に削ったからね」
誇るように少年は宝珠を握り締める。
「……宝珠の力をお使いになったのですか?」
「いや、
悪霊は確かに人にとっては悪しき者だが、同時に世界の一部でもある。
宝珠の力を使えば、悪霊を一掃する事は容易く一族は生き残れた。だが、どんな悪影響がネノクニに起きてしまうのかが少年の一族は恐ろしかった。
現在の悪霊の長の勢力は、それほど強大だった。加えて言えば、様々な強大な者から力を集めた悪霊の長を何の準備もなく滅ぼした場合、かき集められた力が解放されてしまう。ネノクニ内にその力が留まるのならば問題ないが、アシハラノクニ側に流れてしまった時こそが危険だった。
少年の説明に桃花は納得したように頷くが、同時に一つの事に気が付いた。
「宝珠のお力を使わなかった理由は分かりました……ですが、旦那様。今のご説明ですと……」
「そう。今回の悪霊の長は僕らの一族の事を良く知っている事になるね。一体何故って一族の誰もが最初は思っていたよ」
陰に潜り、最早ネノクニ内で存在さえ知らない筈の少年の一族を知る者。だが、既にその答えは少年の手の中に在る宝珠に寄って齎された。
「木偶を操って潜入していたコイツのおかげで、色々と分かったよ……おかげでちょっと予定を繰り上げないといけなくなったけどね」
「予定をですか?」
「そっ。詳しい話はツクヨミ様も交えてするよ。さてと」
ポンと軽い音が聞こえて来そうなほどに軽く少年は宝珠を、呆然と立っている烏天狗に投げ返した。
すると、心得ていると言うように宝珠が烏天狗の服の内に戻った。
「さあ、木偶。色々と本当に役に立ってくれたお前の最後の仕事だ。しっかり働いてもらうよ」
少年の呼びかけに応じるように、虚ろだった烏天狗の瞳に光が宿ったのだった。
「じゅ、呪法! ファイアッ!」
自らに向かって来る巨大芋虫に向かって、佐久夜は扇から火の玉を放って焼き尽くした。
「はぁ、はぁ……もう勾玉が……」
扇に空いている穴に嵌め込む勾玉がない事に気が付き、佐久夜は顔を顰めた。
急がなければと全力疾走を続けて来たが、そろそろ体力の限界に近づいていた。膨大な霊力を身に宿す佐久夜ではあるが、それを扱う精神力には限界がある。
現代日本人とは比べものにならないほどの身体能力を、見た目は華奢にしか見えない体に持っていても、佐久夜も大人達と比べればまだ子供なのだ。後先考えずに進み続ければ、疲弊するのは当然だった。
一先ず息を整える為に佐久夜は足を止めて、今倒した悪霊が落とした勾玉を拾い上げる。。
「あっ……こんなに破れてる」
ガムシャラに森の中を走ったせいで、佐久夜の着ている巫女服は所々破れていた。
緋袴は大きく破れて太腿が露出し、白衣も破れていたり、呪法の影響で黒く焦げている部分もある。更に全力疾走と戦闘を続けたせいで佐久夜は汗まみれになっている。
だが、今の佐久夜はそんな事を気にせず前に足を踏み出そうとし……。
「うわあぁぁぁぁぁっ!」
「今の悲鳴!? あっちね!」
佐久夜は悲鳴が聞こえて来た方に向かって走り出す。
その先には巨大なキノコに襲われて、地面に尻持ちをついている少年の姿があった。
「いた!」
「さ、佐久夜お姉ちゃん!?」
少年も佐久夜に気がついて顔を向けた。
その隙を逃さず、巨大なキノコ型の悪霊が少年にのしかかろうとする。
「させない!」
残り少ない霊力の全てを込めた扇の一撃が、悪霊を切り裂いた。
消滅して勾玉を悪霊が残すのを確認した佐久夜は、残心を解き、驚いて固まっている少年を抱き締める。
「良かったあ。本当に良かったよぉ」
「お、お姉ちゃん……どうして?」
「迎えに来たんだよ。ごめんね、嘘をついたりして。本当にごめんね」
嬉しさの余り目から涙を溢しながら、佐久夜は少年を強く抱き締める。
少年の方も怖かったのか、佐久夜に抱き着いて震えている。やがて落ち着いた佐久夜の全身を強い疲労感が襲う。だが、何時までも『妖かしの森』に居る訳にはいかないと自らを奮い立たせる。
「さあ、帰ろう。詳しい話は里に帰ってからね」
「う、うん」
戸惑いながらも佐久夜に手を引かれて、少年は立ち上がる。
これで一先ず安心と佐久夜が安堵感に包まれた瞬間……。
「ッ!? この妖気は!?」
今まで相手にしてきた低級の悪霊など目では無いほどの強大な気配が、自分達に近づいてるのを佐久夜は感知した。
「中級? うぅん、上級の悪霊!? どうしてそんな相手が!?」
「さ、佐久夜お姉ちゃん?」
「あ、だ、大丈夫だからね」
不安そうにしている少年を安心させるように佐久夜は宥めた。
「この森は迷いの森なの。それを利用して逃げれば大丈夫だから」
少年の手を引き、佐久夜は森の中を進んで行く。この森の特性を利用すれば逃げ切れると佐久夜は確信していた。だが……。
(どうして!? どうして!? 追って来れるの!?)
気配は明らかに佐久夜達を追って来ていた。
(そう言えば、桃花様とも会っていない)
今更ながら『妖かしの森』の主である精霊桃花と出会えていないことに気がつく。彼女と佐久夜は面識があるのに、今も高位の悪霊が出現したのにその姿を見せないという事は……。
(桃花様の方でも何かが起きて……どうしよう。もう私の霊力は殆ど残っていないし、勾玉もさっきの悪霊を倒したときに手に入れた『和玉』しかない)
『和玉』は攻撃系ではなく、治癒系の勾玉。
直接戦闘には役に立たない。どうすれば良いのかと佐久夜が少年の手を引いて必死に逃げていると……。
「佐久夜お姉ちゃん……胸が熱いよ」
「えっ?」
言われて佐久夜は気がつく。
少年の内に眠っていた膨大な霊力が、何かに鼓音するかのように目覚めかけている事に。
「一体何が起きて」
『見つけたぞ!!』
「ッ!?」
「わぁっ!?」
突然背後から佐久夜と少年の頭上へと何かが横切り、黒い羽根をまき散らした。
身構える佐久夜の視界に先には、木の上に降り立つ影があった。修行僧のような僧服を纏い、右手に棒を持ったカラスのような顔をした悪霊が背中に生えている黒い翼を広げながら、佐久夜と少年を見回していた。
「烏天狗!?」
悪霊の正体を悟った佐久夜は叫んだ。
だが、烏天狗の悪霊は佐久夜になど構わず、懐から取り出して左手の親指と人差し指に挟んである宝珠の反応を確かめるように2人にそれぞれ向ける。
「一体何を?」
烏天狗の行動の意味が分からず、警戒しながら佐久夜は相手の行動の意味を探ろうとしていた。
しかし、探る必要は無かった。突然、佐久夜が背後に庇っていた少年が、胸を押さえながら地面に膝をついたからだ。
「うぅ、熱い……熱いよ」
「ど、どうしたの!?」
『フハハハッ! そっちか! そっちの小僧がそうなのか!』
「何を!? 一体何をしたの!?」
少年の突然の不調が烏天狗の仕業だと思った佐久夜は問い質した。
その問いに烏天狗は上機嫌に答えだす。
『我は何もしていない。ただこの宝珠に小僧が鼓音しているだけの事よ』
「鼓音って……もしかして貴方がこの子の里を!?」
『確かに、我も加わりかの里を襲った。だが、我は配下の1人としてだ。滅ぼす事を決めた首魁は、『ヒミコ』だ!』
「『ヒミコ』?」
『そうだ。今の我ら悪霊の首魁。その者の名こそ『ヒミコ』。奴はその身に宿す強大な力で我ら悪霊を屈服させ、従えさせていた』
烏天狗の声には、僅かに恐れが混じっていた。
一方、佐久夜は驚いていた。まさか、こんなところで父と母が戦っている敵の首魁の名を知る事になるとは思っていなかったのだ。悪霊を統べて、力ある者達を次から次へと自身の力に変えていく存在としか佐久夜は知らなかったからだ。
しかし、驚くのはそれだけではなかった。寧ろ此処からが本番だった。
『だが!』
烏天狗は恐れを振り払うように、それ以上の激情を持って叫ぶ。
『『ヒミコ』は我らを侮辱した! 何が『人間の救世主を呼ぶ』だ!? 我らは何の為にかの一族と戦わされたのだ! ただの手駒か!? これほどの侮辱!! 許さん! 許さんぞ、ヒミコ!!』
「……人間の……救世主を呼ぶ?」
余程怒りを覚えているのか、最早烏天狗は冷静さを失いこの場にはいない相手に怒りと憎悪を撒き散らしていた。
しかし、その怒りと憎悪に満ちた視線は、胸の熱さで苦しんでいる少年に向けられる。
『小娘。その小僧を渡せ。さすれば見逃して……ん? 貴様の顔? 何処かで?』
「(不味い!)……飛鳥の舞!」
正体に気付かれる前にと、佐久夜は扇を放った。
その扇を手に持った棒で烏天狗は振り払った。
『そうか! 思い出したぞ! 貴様! アマテラスとカグツチの娘だな!?』
(気付かれた!)
『道理で宝珠が反応せぬはずだ。かの一族の生き残りは貴様らが守っていたのか!』
「に、逃げないと! もう一回! 飛鳥の……」
今は戦っても勝てないと判断した佐久夜は、もう一枚の扇を投げてけん制しようとする。
だが、烏天狗は俊敏な速さで一瞬にして佐久夜の前に移動し、握っている棒の先を鳩尾に叩き込んだ。
「ゴフッ!! ゲホッ!」
「さ、佐久夜お姉ちゃん! こ、この!」
胸の熱さに苦しみながらも、お腹を押さえて苦しんでいる佐久夜を守るように少年は立ち塞がった。
それに対して烏天狗は残忍な笑みを浮かべて、右手に持っている棒を離すと、少年の首を掴んで持ち上げた。
「グゥッ!」
『ハハッ! 弱い弱い! 所詮、かの一族の血を引いていると言っても、所詮はただの小童に過ぎんと言う事か? だが、そんな貴様にも使い道はある』
烏天狗は足をばたつかせて暴れている少年に、左手に持っている宝珠を近づける。
次の瞬間、佐久夜の視界の中で宝珠が光り輝き、少年の身体から膨大な霊力が鼓音するかのように目覚めた。
「ウワアアアアアアア!!」
『おおおっ!! 素晴らしい! やはり! やはりそうだったのか!!』
「い、一体……グゥッ、な、何が?」
苦しみながらも佐久夜は頑張って立ち上がった。
烏天狗はそれに気がつき、歓喜に包まれた顔をして振り返る。
『ふははははは! 今までこの小僧! イザナギとイザナミと共に『世界の理を紡いだ一族』の末裔を良く守ってくれていた! おかげで我は知識を得たぞ! 世界の理の知識を!』
「……世界の理を……紡いだ……一族?」
『何だ? 知らなかったのか? そうだ、この小僧こそ、このネノクニとアシハラノクニの世界の理が崩壊した時に、唯一理を修復する事が出来る一族の末裔よ』
少年の一族。それは何らかの事情で世界が破綻しかけた時、破綻しかけた世界を修復する一族。
その役割を担う一族故に、決して表には出てはならない。出たとしても身分を隠し、普通の人間を装っていなければならない。
「そんな人達がいるはず……」
『いるのだ! その証拠がコレだ! はぁっ!!』
烏天狗が左手を勢いよく振るった。
同時に地中から黒い靄のようなものが吹き上がった瞬間、靄の中からキノコや芋虫のような悪霊が現れた。
「う、嘘……悪霊を生み出した」
『す、素晴らしい。これが我ら悪霊が世界から現れる真実。それを……それを我が成し遂げた! そうだ! 最早ヒミコなど悪霊の長ではない! この我こそが真の悪霊の長! いや神となったのだ! ふははははっ!!』
絶大な力を得たことで、烏天狗は上機嫌になる。だが……。
ガシッ!
『んっ?」
小さな手が烏天狗の右手を掴んだ。
「………させたなあ」
『小僧、何を』
「……思い……出させたなあ」
『思い出させた? ……ま、まさか、貴様はっ!?』
「僕に……思い出させたなあ!」
次の瞬間、少年の叫びに応じるように地面から鋭く先が尖った太い木の枝が生え、烏天狗の胸元を刺し貫いた。
『グガアッ!?』
「……えっ?」
佐久夜は何が起きたのか分からなかった。
目の前には、突然地面から生えたとしか思えない木の枝に刺し貫かれている烏天狗の姿がある。それだけではなく佐久夜の周りを取り囲もうとしていた低級の悪霊達も、空中や地面から伸びた木の枝に刺し貫かれて消滅していく。
その様子を目撃した烏天狗は、手に持つ棒で胸を刺し貫いている木の枝を破壊して後方に下がった。
『こ、この力!? や、やはり小僧!? き、貴様、記憶を封印されて……っ!?』
何かに気が付いたように烏天狗は目を見開いた。
その視線の先には、何時の間にか少年の右手に乗っている虹色の輝く宝珠があった。
俯いている少年の口から、微かに、しかし強い憎しみが籠もった声が響く。
「……ろ」
『や、止めろぉぉぉぉぉーーーーっ!?』
絶対的な消滅が迫っていると感じた烏天狗は、なりふり構わずに少年に向かって飛び掛かった。
「悪霊なんて! 消えろぉぉぉぉっ!!」
少年の憎しみにこもった願いに応じるように宝珠は輝き、光が溢れて周囲を包む。
『ぐあああああっ!!』
「うわあああああっ!!」
「だ、駄目ええぇぇぇ!!」
佐久夜は必死に手を伸ばすが、光は烏天狗が呑み込み、勾玉さえ残すことなく消滅させた。
その光は佐久夜も包み、何か温かいものに包まれて意識は遠退いて気絶するが、それでも尚光は止まる事無く膨張し続け、『妖やかしの森』全体を包み込んだ。
「っ!? 今の力は!?」
同時刻。里の結界の強化を配下の巫女達と共に行なっていたアマテラスは、突然感じた力に目を見開いて固まった。
アマテラスが感じ取った力は霊力でも妖力でもない強大な力。まるでネノクニそのものが力を発揮したようにさえ感じ取れた。
「一体何が……」
周囲で巫女達が困惑している事にも構わずに、アマテラスは感じた力に関して考え込む。
すると、外で待機していた警護の者が室内に慌ただしく足を踏み入れて来た。
「ア、アマテラス様!? 『妖やかしの森』が!?」
「っ!? すぐに参ります!」
騒々しい様子を注意する事なく、アマテラスは物見櫓にすぐさま移動した。
そして警護の者が指し示す方向にある『妖やかしの森』に目を向けて見ると、其処には森全体を呑み込む光が見えた。
「一体アレは!?」
「……何か強大な力のようね」
「っ!? 姉さん!?」
何時の間にか里を離れていた筈の姉であるツクヨミが横に立っている事に、アマテラスは気が付いた。
「姉さん!? 今、『妖やかしの森』には佐久夜とあの子が!?」
「ええ、貴女の部下から聞いたわ、アマテラス。でも、あの光は一体?」
「……分かりません。ただあの光が現れる直前に、私は感じたんです。まるでネノクニそのもの……そう『理』が動いたように」
「ただ事では無いようね……んっ?」
「光が?」
2人の視界の先で『妖やかしの森』を包み込んでいた光が消え去った。
後に残されたのは見たところ変わった様子が見えない深い森。だが、アマテラスとツクヨミは『妖やかしの森』に何かが起きた事が分かっている。
結界の強化も大切だが、それ以上に見過ごせない事が起きてしまった今、アマテラスはすぐに『妖やかしの森』に向かおうとするが……。
「待ちなさい、アマテラス。『妖やかしの森』には私が行くわ」
「姉さん……だけど、貴女は……」
アマテラスは知っている。
ツクヨミがもう以前持っていた四聖獣に匹敵するほどの力を失っていると言う事を。正体は分からないが、ネノクニにとって重大な何かが関わっているものがあるとしか思えない『妖やかしの森』に行くのは危険なのではとアマテラスは思う。
そんなアマテラスを安心させるようにツクヨミは優しく頭を撫でる。
「心配しないで、アマテラス。確かに私はもう戦える力はないけど、それでも佐久夜と例の子を連れて逃げるぐらいの力は残っているわ。それにさっきの力が里に向けられるかも知れないんだから、その時の為に貴女はこの場にいるべきよ」
「姉さん……お願いします」
妹のお願いにツクヨミは安心させるように力強く頷き、物見櫓から飛び出して『妖やかしの森』に向かった。
そしてある程度、里から離れたところで懐に手を入れて昨晩少年から渡された貝殻の片割れのように見える通信具である『
「こっちは予定通りアマテラスを説得したわよ、桃花」
『報告ありがとうございます、ツクヨミ様。此方も……ご無事です』
(あらあら、嫉妬が隠せてないわよ、桃花)
声からにじみ出ている女としての嫉妬の気配に、ツクヨミは苦笑を浮かべた。
(あの桃花が此処まで変わるなんてね……『真の契りの儀式』の悪影響は凄いわね……だけど、私が助かるにはそれしかないわ)
例の秘薬で回復したとはいえ、今だツクヨミは器の底に穴が開いた状態のまま。秘薬があるとは言え、数が限られている以上、何れは持たなくなってしまう
新たに秘薬を作ろうにも、薬効を司る精霊かその血を強く発現している者でしかつくれない。
そうなれば、ツクヨミが助かるには『真の契りの儀式』を改めてカグツチと結び直す必要がある。そしてもう1つ……。
(先ずはカグツチと正式に側室の婚姻を結ばないとね。ニニギ、悪いけど貴方を助けるのを急ぐ必要が無くなった以上、暫らくはそのままで居て貰うわ)
秘薬のおかげで余裕が出来た事で、ツクヨミにも桃花同様に変化が訪れ始めたのだった。
次回はがっつり佐久夜の処女喪失。
鬼畜度が上がっているので、旧版の以上に佐久夜は犯されます。
アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。
-
琴乃が堕ちた段階で孕ませる
-
四聖の社全て攻略後に孕ませる
-
サヨ関連終了後に孕ませる
-
イザナミも加え、四人そろって孕ませる