IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜 作:イズモ
後は琴乃の
葉子と桂香に連れられて屋敷の中を歩いた琴乃が案内されたのは、昨日アマテラス達と会話をした部屋だった。
部屋の出入り口の襖の前で葉子は膝を着き、中にいるアマテラスにお伺いを立てる。
「失礼いたします。琴乃様をお連れいたしました」
「……入って貰って構いません」
「では……」
許可を貰えた葉子は襖を開け、琴乃に中に入るように促す。
一緒に来ていた桂香も逆側に移動して膝を着く。自分だけが入るのだと分かった琴乃は、葉子が開けてくれた襖から部屋の中に入る。
「おはようございます、琴乃さん」
「おはよう、琴乃さん!」
「おはよう、琴乃ちゃん。昨日はよく眠れたかい?」
部屋に入ると共にアマテラス、佐久夜、カグツチが琴乃に挨拶をした。一見すれば朝の何気ない挨拶だが……。
(何かしら? アマテラスさんも佐久夜さん、それにカグツチさんも何処か暗いような?)
本当に何となくではあるが、琴乃は三人の様子に違和感のようなものを感じた。
「おはようございます。あ、あのところで昨日私が部屋に案内された後に、ツクヨミさんから連絡はありましたか?」
「っ……ええ、姉さんから連絡が来ました。その事については今から話しますが、もう少し待っていて下さい……琴乃さんに会わせたい人がいます」
「私にですか?」
「ああ、こっちに来て貰って悪いんだけど、今からその相手のところに案内するからついて来てくれないか?」
「……分かりました」
(やっぱり何かあったのかしら?)
すぐに事情を話してくれず、何処か険しいアマテラス、佐久夜、カグツチの様子に琴乃は一抹の不安を覚えずには居られなかった。
アマテラスとカグツチと出会ったのは昨日だが、それでも真摯に自分の事を心配してくれているのは分かった。佐久夜も妹である明日香よりもずっと確りしている。
だからこそ、すぐに話してくれない事に不安を覚えずには居られず、会わせたいと言われた相手がいる場所に向かう為に部屋から出て屋敷の中を再び歩いて行く。
部屋の外で待機していた葉子と桂香も後方からついていき、琴乃は屋敷の奥へと案内されていく。
やがて葉子や桂香以外の巫女服を着た者達が廊下の壁際に、それぞれ武器らしき物を持ちながら警護に当たっている部屋の前に辿り着く。
「琴乃さん。この部屋です」
「この部屋の中に君に会わせたい相手がいるんだ」
「あの、この部屋の中に一体誰が?」
「それは本人が自分で自己紹介をしたいって言っているから待ってくれ。ただ、俺達と同じように君のお母さんの事を知っている人だから安心してくれ」
「お母さんの事を……」
(お母さん? 一体どれぐらいこっちに居たのかしら?)
同じアシハラノクニに居て親戚付き合いに近かったらしいカグツチは分かる。
だが、アマテラスと葉子の様子からは一日や二日では得られない親近感のようなものが話の中に感じられた。
(もしかして結構長くこっちに居たんじゃ)
すぐに帰れないかも知れないと気づき始め、琴乃が不安を抱く。
その間に部屋の前に待機していた巫女の一人、うづきにアマテラスは確認する。
「うづき? リンドは出て来ましたか?」
「い、いえ、まだです……気の供給は続いています」
「むぅっ!」
うづきの報告を聞いた佐久夜の眉根が寄った。
何故ならばその報告が意味するのは、想い人である少年とライバルである美女が二人だけで一緒に部屋の中にいるという事なのだから。だからと言って嫉妬に駆られて部屋に踏み込む事は出来ない。
リンドと青龍の気のやり取りは、青龍だけではなくお腹に宿っている子の生死に関わる重大事。
流石にそんな重大事を邪魔は出来ないと、佐久夜はしょんぼりしながら俯く。
そうしている間に扉が内側から開き、恐る恐るリンドが出て来る。
「リンド。終わりましたか?」
「は、はい! アマテラス様! 青龍様に気をお分けして来ました」
「ご苦労様です」
「リンド。俺達はこれから重大な話をしないといけない。青龍が心配だろうけど……」
「分かっています……青龍様にも言われました……お願いします」
「ああ……」
(事故だったけど、ちゃんとリンドの中に青龍を大切に想う気持ちが芽生えて良かった)
強い意志が籠もったリンドの目を見て、カグツチは安堵する。娘の気持ちを考えれば複雑な面はあるのだが。
(だけど、それは記憶が戻っていないリンドだ。もし記憶が戻って、ヒミコの正体が嘗ての青龍の仲間だと知ったら……)
何れはリンドの記憶の封印は解かれる。これはどうやっても逃れる事が出来ない
今は青龍が『八尺瓊』の意思を伝えてくれているが、其処までが限界。
『八尺瓊』の真の力である『理を紡ぐ力と理を整える力』を、本当の意味で扱えるのはリンドのみ。
しかし、その為には記憶の封印を解かなければならない。ただ一人生き残った辛さと悲しみ、そして憎しみに満ちている筈の記憶を。
「カグツチ様?」
「っ! いや、何でもないんだ。気を消費しただろうから、暫らくは休んでいてくれ」
「分かりました。では、失礼します」
リンドは頷くと扉の前から退いて、巫女達と同じように壁際に待機する。
カグツチ、アマテラスは頷くと佐久夜と琴乃を伴い、部屋の中に入って行く。
「リンド。また後でね」
「はい、佐久夜
「むぅっ!」
敬称付けで呼ばれた事に佐久夜は不満そうな顔をするが、父と母の前では仕方ないと思ったのか何も言わずにそのまま部屋に中に入って行く。
琴乃もその後に続き、部屋の中に入る。
部屋の中は広く、誰かが住んでいる事を示すように家具が置かれている。その部屋の主は部屋の真ん中に敷かれている布団の上に座って、アマテラス達が来るのを待っていた。
(えっ!? もしかして妊婦さん!?)
部屋の中で待っていたのは、絶世の美貌を持つ女性だった。琴乃は、その女性の腹部を見て、目を見開いて驚いてしまう
一目見ただけ体型が分かり難いゆったりとした着物を着ながらも、大きく膨らんだお腹は隠しきれず、琴乃は部屋の中にいた女性が妊娠している事をすぐに察した。
そしてアマテラス達が来るのを待っていた青龍は、やや頬を紅潮させながら琴乃に顔を向けた。
「初めまして新たなアシハラノクニからの来訪者。私の名は青龍。このような姿では信じられないでしょうが、ネノクニの守護神
「あっ! は、はい……白鳥琴乃です」
(綺麗な人……アマテラスさんもだけど、こっちの世界って綺麗な人が多いのかしら?)
アマテラスもだが、青龍もまた絶世の美女であり、葉子、佐久夜、桂香と次々会う女性が綺麗な相手ばかりで琴乃は思わず委縮してしまう。
実際のところは琴乃も他の女性に負けない美少女なのだが、想い人である『八木猛』が一向に自分を女性として見てくれないのでその手の方向には疎かった。
「琴乃ちゃん。さっきも言ったけど、青龍も綾香さんの事は良く知ってるから安心してくれ」
「ええ、カグツチの言う通り、綾香の事は良く知っています。娘である貴女にこうして会う日が来るとは思っていませんでしたけど」
(良かった。怖い人じゃなくて)
守護神代行などと言う仰々しい名乗りをされたので警戒してしまっていたが、優しく微笑む青龍の姿を見て、琴乃は対面するように座りながら安堵する。
アマテラス、カグツチ、佐久夜もそれぞれ床に座る。そして全員が座るのを確認した青龍が口を開く。
「大体の話はアマテラス達から既に聞いています。貴女は悪霊の長によって、このネノクニに召喚されてしまった。そして帰る為には、アマテラスか佐久夜に『反魂の術』を使って貰うしかありません。他ならぬ綾香の娘である貴女の助けになりたいと思いますが……申し訳ありません。ネノクニの守護神代行を務める身として、今すぐに貴女をアシハラノクニに帰す訳にはいきません。例え、その身に掛けられた呪いを解いてもです」
「っ!? どうしてですか!? 昨日の話だと呪いが解ければすぐに帰せるって、アマテラスさん達は!?」
「その理由は簡単です。『今のアシハラノクニは、貴女が帰るべき時間ではないアシハラノクニだからです』」
「えっ? ……帰るべき時間ではないってそれは一体?」
困惑しながら助けを求めるようにアマテラス、カグツチ、佐久夜に琴乃は顔を向ける。
事情を知っている三人は辛そうに顔を俯かせ、先ず最初にアマテラスが説明する。
「……昨晩、琴乃さんが客室に向かってからすぐにアシハラノクニに向かった姉さんから連絡が届きました。アシハラノクニの方でも問題が起きていたらしく、その対処にあたっていた為に姉さんは連絡が出来なかったのです」
「問題って……も、もしかしてお母さん達に何かあったんですか!?」
自分のように家族にも悪霊と呼ばれる存在の魔の手が及んだのかと、琴乃は恐怖する。
「いや、綾香さんや他の君の家族にも何も起きていない……それは、
「……えっ? アシハラノクニにいる私って? それはどう言う?」
「琴乃さん。混乱するでしょうが、落ち着いて聞いて下さい。貴女はただネノクニに召喚された訳ではなく、私達にとっては約一年後の未来のアシハラノクニから、今のネノクニに召喚されてしまったんです」
「っ!?」
想像もしていなかった事実に琴乃は驚愕で目を見開き固まってしまう。
「信じられないだろうけど、事実だ。昨日、君には話していなかったけど、実は俺がこのネノクニに来た時には綾香さんの他にもう後三人、ネノクニに来てしまっていたんだ。その内の一人とツクヨミは昨日アシハラノクニで再会し、今、アシハラノクニにいる君が『出雲学園に通う一年生』じゃなくて『中学三年生』だって教えてくれたんだ……そしてツクヨミは術を使って遠くから確認した……家族と一緒に過ごしている君の姿を」
「……じゃ、私は、ほ、本当に?」
「……はい。琴乃さん。貴女は一年後の未来からこのネノクニに召喚されてしまった。そして
「……っ」
「琴乃さん!?」
告げられた事実に目の前が真っ暗になったように感じた琴乃は座りながら崩れ落ち、慌てて佐久夜が傍に寄って支える。
アマテラスとカグツチは、その姿に自分達の不甲斐なさを感じずには居られなかった。もっと早くヒミコに対して積極的に行動していればと後悔を抱かずにはいられない。
だが、それは無理でもあった。護るべきものがあるアマテラスとカグツチは、積極的に行動しようとしても慎重に行動しなければならない。しかも相手はヒミコだけではなく、ネノクニ最強の精霊『麒麟』、軍師『オオナムジ』、猛将『ミナカタ』という強敵達が居る。
そんな強敵達に加えてヒミコを確実に討伐する為の準備をしている最中に、こんな事が起きてしまった。まさか、二つの世界が一歩間違えば崩壊してしまう一手をヒミコが実行してしまうとは夢にも思っていなかったのだから。
だが、そんな絶望しかない状況を打開できる可能性がある術をアマテラス達は知っている。
その方法を一番最初に伝えられた青龍が説明する為に口を開く。
「ですが、琴乃。まだ貴女が本来の時間に帰る術は残されています。ただ、この方法には貴女自身の力が必要になります」
「……私の……力? ……そんなの……」
「あります。貴女は気付いていませんが、その身の内には膨大な霊力が眠っています。そして貴女が『無属性』である事が何よりも重要なのです」
「……霊力? 『無属性』? あ、あの? それって一体何なんですか?」
「琴乃さん。落ち着いて聞いて下さい。アシハラノクニでは既に忘れられていますが、二つの世界に生きる者は必ず何らかの属性を持って生まれて来るのです。これには人も悪霊も、精霊も神も関係なくです」
「例えば俺は『火』属性で、アマテラスやツクヨミは『土』属性」
「私は『水』の属性で、青龍様とリンドは『木』の属性。後琴乃さんも会った桂香が『金』の属性なの。普通なら今言った五つの属性なんだけど……」
「非常に稀な事ですが、この五つの属性以外にもう一つ、六番目の属性である『無属性』を宿して生まれて来る者が居ます。そして琴乃。貴女はその『無属性』を宿す者なのです」
「わ、私が!?」
信じられないと言うように琴乃は、自身の両手を見つめた。
「あ、あの、何かの間違いじゃ……」
「いえ、琴乃さん。昨日、呪いの状態を確認する為に身体に触らせて頂いた時に確認させて貰った結果、貴女が『無属性』なのは間違いありません。それと質問しますが、もしかして琴乃さんは今よりも幼い頃は病弱だったのではありませんか?」
「は、はい……そうですけど、それが何か関係あるんですか?」
アマテラスの言う通り、琴乃は幼い頃から身体が弱かった。しかも、何時死んでもおかしくないと医者から診断されていたほどだった。
琴乃の返答を聞いたアマテラスと青龍は顔を見合わせて頷きあう。
「それは『無属性』を宿している者に起こりやすい症状です。眠っている膨大な霊力と特異な属性を宿している事が合わさり、肉体と魂のバランスが崩れてしまっていたのでしょう。そしてこの肉体と魂のバランスを治す術はあります」
「ほ、本当なんですか!?」
幼い頃からずっと悩まされ、今も影響が残って体力が少ない自身の身体を治す術。それがあると知らされ、佐久夜に支えられながらも琴乃の目に光が宿る。
その目を見た青龍は頷き、漸く本題に入る。
「偶然ですが、貴女にして欲しい事と肉体と魂のバランスを治す術は繋がっています。琴乃、貴女には今は手元にはありませんが、『精霊の力を秘めた武具』の一つ。『無属性の鏡の武具』の力を使って、貴女がネノクニに来る日の光景を『鏡』に映して貰いたいのです」
「あ、あの? それに一体どんな意味が?」
扱えるかどうかはともかく、行動の意味が分からず琴乃は青龍に質問した。
「そうですね。先ず貴女がアシハラノクニに帰る為の術である『反魂の術』には、世界を渡った時に時間のズレが起きてしまう危険な面があります。現にその面に寄って貴女はこうして一年前のネノクニに来てしまった。他にも……」
「琴乃ちゃん。実は俺にも青龍が言う時間のズレに関しては経験があるんだ」
「カグツチさんもですか?」
「ああ、俺の妹である美由紀もネノクニに来ていたんだけど、美由紀は俺達がネノクニに来る半年も前に来てしまっていたんだ」
「は、半年も前に!?」
「それを知ったのは俺達が一度アシハラノクニに帰る直前で、慌てて次の日の深夜に綾香さんと他の二人も一緒にまたネノクニに来てみたら、二ヶ月もネノクニでは経っていたんだ」
「……」
言葉を失ったように琴乃は身体を震わせる。
自身に起きた事でもあるだけに他人事ではないのだから当然だった。
話を引き継ぐようにアマテラスが口を開く。
「この時間のズレを利用する事で、琴乃さんを本来いるべき時間に、或いは一日でも先の未来に飛ばす事が帰還の方法です。その為には青龍以外の守護神である四聖獣の協力が必要でもありますが……」
「綾香の娘ならば玄武、白虎、朱雀も問題なく力を貸してくれるでしょう。彼女にはそれだけの恩があります」
琴乃の母親である『白鳥綾香』は、ネノクニをカグツチと共に救ってくれただけではなく、当時の悪霊軍に寄って封印され、それから解放された恩が青龍達四聖獣にはある。
何よりも琴乃を無事に帰還させる事が出来れば、
「しかし、他にも問題が残っています。その為に確認しますが、琴乃。貴女は自分が来た日のアシハラノクニでの日付は覚えていますか?」
「はい! も、勿論覚えて……アレ? えっ? どうして!?」
何かに気付いたように琴乃は困惑しながら考え込む。
「お、思い出せない!? どうして!?」
出雲学園に入学してからまだ一月近くしか経っていない筈なのに、琴乃は自分がネノクニに来た日付を思い出せなかった。
過ごしていた日常はちゃんと覚えている。だが、肝心の日付になると急に朧気になってしまう。
その様子を見た青龍達はやはりと言うように頷く。
「琴乃。落ち着いて下さい。貴女が思い出せないのは、敵側の悪霊の手の者が記憶に手を施したからなのでしょう」
「き、記憶って!? そんな事も出来るんですか!?」
「残念ながら高位の術師ならば可能なのです。勿論、その類の呪法は邪法として定められています」
だが、邪法として定められていても、それを護るかどうかは結局のところ使う者しだい。
そしてヒミコは既に幾つものの禁忌を犯している悪霊の長。今更琴乃一人の記憶に手を施しても何も変わらない。寧ろ、ヒミコ側からすれば琴乃はネノクニにいて貰った方が良いのだから。
「『反魂の術』を用いて時間のズレを最も減らす為には、渡る者が渡る時に強く抱くイメージが必要なのです。琴乃さんにそれが出来ない以上、術師とそれを補助する者だけでは正確に一年後のアシハラノクニに琴乃さんを帰す事は出来ません。ですから、琴乃さんに先ほど説明した『無属性』の精霊武具である『鏡』を用いて貰うしかないのです」
「……そ、その『鏡』でどんな事を私はするんですか? た、戦ったりするんですか?」
脅えたように琴乃は両手で身体を抱き締めながら震える。
無理もない事だ。アシハラノクニでは、カグツチ達のように琴乃は武道などやった事もなく、ただ吹奏楽部に入っていて音楽をやっている少女に過ぎない。
嘗てのカグツチ達以上に、争いとは無縁な日常を過ごしているだけに戦いに関する拒否感情はより強い。
そんな琴乃を安心させるように青龍は微笑む。
「大丈夫ですよ、琴乃。武具とは言いましたが、『鏡』の精霊武具は戦闘する為の物ではなく、補助に属する物です。戦ったりはさせませんから安心して下さい。先ほども言いましたが、『鏡』の精霊武具でして貰いたいのは、貴女がネノクニに来た日の当日を映して貰いたいからです」
『八尺瓊』が青龍に伝えた『鏡』の精霊武具。
それは嘗て『見る』力に特化した『無属性』の精霊が己の力を込めて創り上げた精霊武具。直接的な破壊力と言う面では殆ど皆無に等しく、戦闘で出来るのは『鏡』を宙に浮かせて相手に叩きつけるぐらいしか出来ない。その反面、『千里眼』、『索敵』、『探知』など『見る』事に関しては抜きん出ていて、条件はあるが『未来視』や『過去視』までも可能。
そんな便利な物をアマテラス達が得た後も使えなかったのは、元々精霊武具は簡単に扱える代物ではなく、同属性の精霊ならば己の力の増幅器として扱い、何れはその力を我がものとして取り込めるようにさえなれる。
だが、人間が扱う場合は初期段階で『契りの儀式』で得た精霊の宝珠のように己の霊力を消費しなければ秘める力は発揮されない。そして大抵の場合は、初期段階で終わってしまう。
使いこなせるように成れば、霊力の消費は徐々に少なくなっていくが、精霊武具の
そして琴乃に使用して貰う予定の『鏡』の精霊武具は、他の五属性の精霊武具と違い、『無属性』の特異性故か、同じ『無属性』の者にしか扱えないのだ。
これは神であるアマテラスも例外ではなく、手にした『無属性』の『横笛』と『鏡』の精霊武具は死蔵されるしかなかった。
しかし、『無属性』を宿す白鳥琴乃ならば『鏡』を扱う事が出来る。そして『鏡』を用いて、琴乃にとっては過去にあたるネノクニに召喚された日を『過去視』で見る。
これによって日付が判明さえすれば、琴乃がアシハラノクニに帰還できる日をイメージする事が出来るようになるばかりか、上手くいけばアシハラノクニ側に居る悪霊の手の者が判明できる。
「以上が貴女が早期にアシハラノクニに唯一帰還する術です。どうするかは貴女が決めて下さい」
確実に無事に帰還できる一年後にするか。それとも早期に帰還する為に霊力を扱う術を得て、『鏡』を用いるか。
「琴乃さん。肉体と魂のバランスに関してはどちらにしても治療はさせて頂きます。また、貴女が残る事を選択しても私達は拒みません」
「君の安全は俺達が必ず護る。この里が嫌だったが、出雲学園で暮らしても構わない。今、あの学園には里の巫女達を派遣してるし、ガスや水道、電気も使えるから生活には困らないよ」
「私も力になるから、琴乃さん」
アマテラス、カグツチ、佐久夜は真摯に琴乃に言葉を掛けた。
三人の気持ちを感じた琴乃は支えられていた身体を直し、自分の答えを告げる。
「……分かりました……その……『鏡』を使わせて貰います」
(一年も皆と会えないなんて耐えられない。お母さん、お父さん、明日香、猛さん。私に力を頂戴)
大切な人達の顔を思い浮かべながら、琴乃はアマテラス達に返答した。
その選択を聞いたアマテラス、カグツチ、佐久夜は改めて琴乃の帰還の為に頑張ろうと心に誓う。
(これで宜しいのですね、リンド様?)
決意に満ちた琴乃を微笑みながら青龍は見ていたが、内心ではこのやり取りの絵図を裏で描いた番の雄の事を考えていた。
そう、『八尺瓊』が青龍に『鏡』に関して伝えた裏ではリンドが動いていた。全ては新たな番の雌として定めた琴乃を得るため。
ただ絶望的な情報だけを伝えてしまえば、琴乃は衝動的な行動をしかねない。ならば、希望となる情報を伝え、表立って肉体と魂のバランスも整えて健康的な肉体を得させ、更にはネノクニで生きていく術も覚えさせていく。
(本当に恐ろしく酷いお方)
そう思っても、自分がどうやってもリンドから離れる事が出来ない事は散々青龍も味合わされた。実際、最終的な思惑はともかく、過程では琴乃の為になる事が多いので青龍も拒否できない。
(それにしても新たな女性が寄りにも寄って、綾香の娘である彼女ですか)
今後に関してアマテラス達と話している琴乃を、青龍は注意深く見つめる。
(本来はネノクニに在るべき血筋だともリンド様には教えてしまった以上、あの方は止まらないでしょう)
寧ろ止まる理由がないと分かっている青龍は、嫉妬混じりの溜め息を零しながら己の膨らんでいる腹部を撫でる。
(本当にアナタのお父さんは困った方ですね)
トクン!
まるで同意を示すように青龍の胎内で子が動いた。
青龍の後を継ぐ新たな四聖獣となる者が産まれる日は、もうすぐだった。
次回は少しぐらいはアマテラスのエロを入れたいところなのですが、どうなるかは不明です。
琴乃の
作者の励みの為のアンケート。
出て欲しい四聖獣は?
1.玄武
2.白虎
3.朱雀
選ばれた四聖獣は蔓のように大変な事になります。
後々孕みにくい白虎と朱雀の仕込みでもあります。
相性がそれなりに良い玄武は、数回で子宮が疼くようになってしまいます。だって、玄武とかは子が出来るまでは逃げそうな性格なので、それぐらいしないと。
アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。
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琴乃が堕ちた段階で孕ませる
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四聖の社全て攻略後に孕ませる
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サヨ関連終了後に孕ませる
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イザナミも加え、四人そろって孕ませる