※この作品はR-18です。

IZUMO2〜鬼畜ショタ性記〜   作:イズモ

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予定通り白虎のエロですが、あくまで仕込みなのでご容赦下さい。
アンケート、お気に入り、ありがとうございました!

アンケートの結果は。
1.ヒミコ(34票)
2.白鳥明日香(18票)
3.逢須芹(10票)
4.北河麻衣(22票)

で、幕間エロの相手はヒミコになりました。



白鳥琴乃・失恋処女喪失編 12

「うぅ~っ」

 

 青龍の部屋での騒動が終わった後、酔っぱらって眠った白虎は客室の一室に連れて来られた。

 

「はぁっ、まさか、白虎が酔っぱらうとあんなになるなんてね」

 

「ええ、本当に驚きました」

 

 四聖獣とは何度か宴会を行なった事があるアマテラスとツクヨミだったが、白虎だけは頑なにお酒を飲まずにいた。

 その理由が今日のような騒動にあったのだと知って、アマテラスとツクヨミは揃って溜め息を吐く。

 カグツチはこの場にはいない。今はちゃんとアマテラスとツクヨミが白虎に服を着させたが、青龍の部屋から出る時は、白虎は裸のままだったので行動を共に出来なかったのだ。

 

「白虎がこんな状態じゃ話の続きは無理ね」

 

「ええ……葉子には三日ほど『アシハラノクニの学び舎』に居るように命じてありますから、リンドの方は大丈夫でしょう」

 

「そうね……それじゃあ、アマテラス。此処は私に任せて、貴女は琴乃の方を見て来たら?」

 

「そうさせて貰います、姉さん」

 

 白虎の方も大切だが、琴乃の方だって放置はできない。

 姉の心遣いにアマテラスは感謝しながら立ち上がり、運んでおいた綾香のスーツケースを手に持って部屋を出て行った。

 そしてアマテラスの気配が遠ざかるのを確認したツクヨミは、着物の袖から黒く太い布を取り出し、眠っている白虎の頭を持ち上げて目隠しするように巻き付けた。

 

「んっ……」

 

「念のために付けさせて貰うわよ、白虎」

 

 白虎の目を黒い布で覆い隠したツクヨミは、そのまま白虎を布団に寝かせる。

 

「準備は終わったわよ……リンド」

 

「ありがとうございます、ツクヨミ様」

 

 ツクヨミの声に応じるように『アシハラノクニの学び舎』に葉子達と共に向かったはずのリンドが部屋の中に姿を見せた。

 

「『影の術』ね」

 

 リンドの姿を見たツクヨミは、その正体をすぐに看破した。

 そう、今ツクヨミの目の前にいるリンドは、気と霊力を使って自身の分身を作り上げる『影の術』によって作り出された分身体。

 その分身体にリンドは自身の意思を飛ばして、遠隔操作しているのだ。

 この状態の時には当然本体である肉体は無防備になってしまうが、護衛として葉子の他に三名の巫女。加えて『アシハラノクニの学び舎』にいる桃花と蔓にも頼んでいるので、何の心配もなくリンドは偽物に意思を宿らせている。

 その目的は青龍以外の四聖獣の誰かをその目で確認する為と新しい情報を早期に知る為。

 そして……隙あらば後々の為の仕込みをしておく為だった。

 

「それで貴方は私達の話を聞いていてどう思ったの?」

 

 見た目は子供だが、リンドの聡明さを知っているツクヨミは、自身と同じ疑問を抱いてるかどうかを試すように問いかけた。

 その問いに対してリンドは深々とツクヨミに向かって頭を下げる。

 

「青龍を気遣ってくれてありがとうございました」

 

 一見すれば関係のないような返答だが、ツクヨミはその答えに満足そうに頷いた。

 

「やっぱりアンタも私と同じ疑問を持ったわけね」

 

「はい……でも、この答えだけは今の青龍には聞かせられません」

 

「ええ、そうね……もうすぐ出産する青龍には心労を与える訳にはいかないんだから」

 

 リンドとツクヨミは先ほど知った話である可能性に思い立っていた。

 それはヒミコと麒麟に信頼を向けていた青龍達では気付けない可能性。全ての前提が覆る恐ろしい可能性だった。

 既にヒミコと麒麟に対して番の雄であるリンドの為にも報いを受けさせると決めている青龍でも、ショックを受けてしまう程の可能性。

 出産が近い青龍にはまだ可能性の話だとしても、決して聞かせられないとツクヨミはあの場で判断して黙っていたのだ。

 

「これに関しては今夜、『アシハラノクニの学び舎』で」

 

「そうしましょう……で、本当に仕込みだけなのよね?」

 

 確認するようにツクヨミは問いかけた。

 それに対してリンドは頷きながら説明する。

 

「勿論です。そもそもこの分身体の身体じゃ、子作りは出来ませんよ」

 

 分身体は基本的に、霊力と気を用いて作り上げた精巧な操り人形に過ぎない。当然、生殖能力などある筈もなく、生殖能力の無い肉体では、どうやっても子作りできない。この方法ならば、『真の契りの儀式』を結んでいない四聖獣とリンドが会っても、盟約による強制力は発生しないのだ。

 万が一の事も考えて、白虎にはリンドの姿を見えないように目隠しもしてある。

 盟約の発動条件を踏まえて入念に準備したので、『真の契りの儀式』を白虎とリンドがこの場で結ぶ事は無い。尤も、それでも仕込みは出来る。

 

「それに賭けは僕が勝ちましたから」

 

「……はぁ、そうね」

 

 事前にリンドとツクヨミは一つの賭けをしていた。

 ツクヨミとしては今しばらくリンドには青龍以外の四聖獣との『真の契りの儀式』は控えて欲しいと思っている。

 それは青龍達とは違い、軍師としてカグツチ同様に戦力低下を嫌った故の考え。

 無論、リンドもヒミコの利になる事はしたくはない。だが、せっかく四聖獣が来るのだからそのまま帰すのは惜しい。

 そう考えたリンドは、事前にツクヨミと賭けをしていた。賭けの内容は、『やって来る四聖獣の誰かが敬称付けで徐福の名を呼ぶかどうか』。

 既にヒミコは二つの世界を危機に追いやる行為を幾度も行なっている。そのような相手を、守護神の身にある者が敬称付けで呼ぶのは見過ごせない。

 そして白虎は会談の場で口にしてしまった。『徐福様』と。

 

(白虎……悪いけど、ヒミコを相手に僅かでも手心を加えさせる訳にはいかないのよ)

 

 時期はかなり伸びてしまったが、ヒミコを討伐、或いは捕獲してその身に宿した多数の悪霊や人間の力を何とかしなければならない。

 出なければ『ヤマタノオロチ』のような例がアシハラノクニで起こりかねないからだ。

 

(最悪の場合は解放された力がネノクニで新たな悪霊として顕現しかねないし……ああっ! 本当に頭が痛くなる敵ね!)

 

 改めてヒミコの厄介さにツクヨミは頭を悩ませる。その間にリンドは白虎が被っていた毛布をどかしていた。

 

「それじゃあ仕込みをやります」

 

「はいはい。その間、私は離れてるわね」

 

 他人の情事を見る趣味がないツクヨミは、言い終えると共に姿を消して部屋から離れた。

 ツクヨミが部屋から去ると共に、リンドは術を使用して部屋の扉を開けさせないようにする。部屋の外は堕とした雌犬巫女に見張らせているが、それでも万が一の可能性もあり得るからだ。

 

「さて、少し味見をさせて貰うよ、白虎」

 

「んんっ………あつい」

 

「フフッ、熱いんじゃ脱ごうね」

 

 シュルっと締め直されていた帯をリンドは解き、そのまま胸の上まで捲り上げた。

 服は上下が一緒になっているために捲り上げるだけで、白虎は肢体を全て曝け出してしまう。

 微かにしか確認出来ない乳房の膨らみも、引き締まった腰も、そして無毛の綺麗な縦筋も、白虎の未成熟ながらも犯し難い神聖さを発している肢体がリンドの前にさらけ出された。

 

「青龍達とは違った魅力があって素敵だよ、白虎。お礼に」

 

 言いながらリンドは木で出来た轡を服の中から取り出し、その轡を白虎の口元に運ぶ。

 

「ふっふっ! はむっ!」

 

 口元に運ぶと不思議と白虎の息が荒くなり、自ら口の前に出された轡を咥えた。

 轡は咥えられると共に両端から蔦が伸びだし、そのまま白虎の頭の後ろまで伸びて互いに巻き付き外れないようになった。

 しかし、轡を咥えさせられたにも関わらず、白虎は意識がないながらも何処か嬉しそうに口を動かし、綺麗な鼻をぴくぴくと動かしている。

 目隠して隠されているが、その閉じている目元はトロンとしていた。その理由は木の轡から発せられている香りにあった。

 

「青龍から白虎は四聖獣の中でも獣の面が強いって聞いていたからね。特別に僕特性の強力なマタタビの香りがついた轡を用意しておいたんだ」

 

 轡から漂うマタタビの香りに眠りながらも魅了されている白虎に告げながら、リンドは布団の上に横になる。

 そのまま白虎の肢体に抱き着き、うなじなどの敏感な箇所に手を這わせながら眠っている白虎に語り掛ける。

 

「ふーっ! ふぅー!」

 

「来てくれたのが白虎で良かったよ。勿論、玄武、朱雀でも良いけど、一番来て欲しかったのは白虎。君だよ。君と僕は盟約があっても、簡単に『真の契りの儀式』を結ぶ事は出来ないからね」

 

 『真の契りの儀式』は上位の存在との間に子を為す事が出来る儀式だが、相性が存在している。

 桃花や蔓のように相性に関しては細かな部分もあるが、相性の良さは属性に関係している。『木属性』であるリンドとの相性が良いのは、同じ『木属性』と『水属性』、そして『土属性』の三つ。

 『水属性』の玄武とは相性が良いが、『火属性』の朱雀と、そして『金属性』の白虎の相性は悪かった。

 無論、相性が悪くても『真の契りの儀式』を結ぶ事は出来る。

 だが、相性が悪い場合は気の交じり合わせに時間が掛かり、リンドが相性の悪い『火属性』の朱雀と『真の契りの儀式』を結ぶ為には三日三晩交じり合い続けて、漸く卵子が排卵される。

 そして『金属性』の白虎と『木属性』のリンドが『真の契りの儀式』を結ぼうとすれば、長くて一月以上も掛かり、しかも一時でも気の交わりを止めればやり直しと言う過酷を乗り越えた果てに漸く卵子は排卵される。盟約があっても、相性の良さは変えられるものではない。

 だからこそ、相性が悪い精霊と『真の契りの儀式』を結ぶ場合は、事(・)前(・)の(・)準(・)備(・)は(・)必(・)須(・)だ(・)っ(・)た(・)。

 

「フフッ、じゃあ行くよ……孕(・)め(・)」

 

「ふぅっ!?」

 

 獣耳の耳元で囁かれた声に、白虎はビクッと身体を震わせた。

 震える白虎の肢体にリンドは手を這わせ、ささやかな胸の膨らみを手で包み揉みほぐしながら更に囁く。

 

『受け入れろ、盟約を』

 

「んんーっ! んくぅーっ!」

 

 声を拒絶するように白虎は微かに首を横に振るう。特別製のマタタビの匂いに酔って朦朧としている意識でも、その声を受け入れては不味いと拒否反応を示していた。

 だが、拒絶は赦さないと言うように慎ましい胸を揉みほぐされ、高まった官能によって硬くなった二つの桜色の乳首をリンドは人差し指と親指で挟んでコリコリと擦り出す。

 

「んぅっ! んんーーっ!?」

 

(初々しい反応。青龍から聞いた話だと、カグツチ様と『契りの儀式』を結んだ経験しか白虎にはないらしいからね)

 

 今日まで沢山の人間や精霊、そして神もその身が持つ女殺しの剛棒で犯して来たリンド。

 その中で白虎のように一度しか行為の経験がない相手は、初めての相手だった。容姿の幼さは関係ない。

 堕とした巫女達の中には、白虎に近しい容姿を持った巫女もいるからだ。

 そう言う相手とも経験を積んだリンドにとって、性経験が殆どない白虎に快楽を与える事は容易かった。

 

「ふぅっ……ふぅっ……んふぅーーっ!」

 

 胸の感度が高い事を示すようにリンドが慎ましい乳房を揉んだり、乳首を摘まんだりする度に白虎の肢体が震える。

 晒されている染み一つ無い白い綺麗な肌は徐々に赤らみ、汗が浮き出て来た。

 幼い容姿故か、白虎から漂う匂いは何処となく甘さが強く、その匂いに惹かれたリンドは白虎の首筋に舌を這わせる。

 

「れろ、ちゅっぱ」

 

「んんっ!? むぅぅっ」

 

「フフッ、美味しいよ、白虎の汗。ああ、早く青龍の時のように白虎も僕の番の雌に堕としたいよ」

 

 四聖獣としての誇りを捨てて自身の番の雌に堕ちた青龍の光景を思い出しながら、リンドは嗜虐に満ちた笑みを浮かべて白虎の下腹部に触れる。

 

「必ず此処に僕の子供を宿して貰うからね」

 

 言いながらリンドは、乳房を弄り回すの止めて白虎が着ていた服を脱がせる。

 全ての服を脱がせ終えて一糸纏わぬ姿にした後は、白虎を抱えて起き上がる。

 背後から白虎を抱き抱えるようにして布団に座ったリンドは、パチンと指を鳴らす。

 すると、部屋の扉が開き、それぞれ急須を両手に持った三人の巫女が入って来る。

 全員が入り終えると共に部屋の扉が勝手に閉まり、リンドは白虎を抱き抱えながら三人の雌(・)犬(・)巫(・)女(・)に声を掛ける。

 

「準備は出来た、うづき、かんな、霧」

 

「は、はい、ご主人様」

 

「し、指示通りに準備して来ました」

 

「で、ですが、その……」

 

 呼ばれた三人の雌犬巫女は頬を赤くして、チラチラとリンドが背後から抱えている白虎を見る。

 最早リンドとその番の雌達以外に対して敬う気持ちは一切持てなくなっているが、それでも嘗ては崇めていた存在である白虎が一糸纏わぬ姿を晒している光景には思うところがある。

 そんな彼女達の感慨を打ち崩すように、リンドは軽く揉みほぐして硬くなっている桜色の小さな乳首を捻る。

 

「んぐぅぅぅっ!?」

 

『っ!?』

 

 捻られた時に走った衝撃にくぐもった悲鳴を上げながら、白虎は反射的に顔を上げさせられてしまう。

 黒い目隠しをされて木の轡を咥え、口端から涎が零れている顔を。

 呆然と固まる三人に見えるように、リンドは白虎の顎に手を置いて俯かせないようにしながら告げる。

 

「何れ僕の番の雌に堕ちる白虎だよ」

 

(ああ……ご主人様には白虎様でも番の雌なんですね♥)

 

(あんな顔を白虎様はされるなんて♥)

 

(ご主人様はやっぱり素晴らしい雄♥)

 

 堕とされた三人の雌犬巫女は同意するようにリンドに向かって頷いた。

 リンドは満足そうに頷き返すと、白虎が咥えていた木の轡の蔦を消失させて外す。

 外れると共に白虎は無意識にマタタビの匂いを欲して顔を動かそうとする。そんな白虎の顔に先ずはうづきが持っていた急須を近づけて、お茶の注ぎ口を白虎の口に咥えさせる。

 

「んくっ! ……コクコクッ」

 

 注ぎ口にもマタタビの匂いが付いていたのか、白虎は嫌がる様子も見せずに口に咥え、お茶を飲んで行く。

 

(フフッ、僕の力で育てた葉を煎じただけじゃなくて、そのお茶には僕の子種を混ぜ込んだ特性のお茶。そして)

 

 白虎のなだからな下腹部にリンドは左手を押し当て、下腹部の内側に隠されている子宮に気を送り込む。

 

「うぐぅっ! むぐぅっ! ゴクゴクッ!?」

 

 拒絶するかのように白虎の肢体が激しく震えた。

 『契りの儀式』の時のように認めていない相手であり、しかも相性の悪い属性の気を送り込まれているが故に拒絶反応。酩酊状態でなければ全身から雷を迸らせていただろう。

 だが、そんな状態でも注がれる子種入りのお茶を飲むを白虎は止められず、自身を四聖獣から雌へと堕とす毒を体内に取り込んでしまう。

 

「まだまだ来るから、たっぷり飲んでね、白虎。君は蔓と同じように僕の子種を飲むのが大好きにしてあげるからね。『だから盟約に従え』」

 

「ゴクッ! ふぐぅぅぅーーーーっっ!?」

 

 『夢を紡ぐ力』を込められた声に囁かれながら肢体を弄られ、雌犬巫女達の手によって白虎は精液入りのお茶を飲まされ続けるのだった。

 

 

「はい、琴乃さん」

 

「ありがとう、佐久夜さん」

 

 横になっていた布団から身体を起こした琴乃は、看病してくれていた佐久夜が差し出してくれた御茶を飲む。

 

「美味しい。本当にこのお茶は美味しいですね」

 

 御茶を飲み終えた琴乃は微笑む。

 アシハラノクニと違い、嗜好品や娯楽品と言う物が殆どないネノクニで水以外に飲める物と言えば、葉を煎じたお茶ぐらいしかない。

 里の中にもお茶の葉の為の畑がある。その中でも最近『妖やかしの森』で発見された葉から煎じられた琴乃が飲んでいるお茶は薬効の効果が優れているだけではなく味も良く人気が高かった。

 

「こんなに美味しいお茶は、私の世界でも飲んだことが無いぐらいです、佐久夜さん」

 

「良かった! そのお茶の葉ってね、桃花様の森で最近見つかった物なんだよ」

 

「桃花様?」

 

「琴乃さんはまだ会った事が無いけど、私達の里から少し離れたところにある『妖やかしの森』って呼ばれてる森の主の精霊が桃花様なの。『アシハラノクニの学び舎』の付近で発生する悪霊達を森の中で彷徨わせて人里に被害を及ぼさないようにしてくれている方だから」

 

「そんな精霊さんもいるんですね?」

 

「うん、そうだよ。里の皆からも青龍様ほどじゃないけど崇められている精霊なの」

 

(……でも、私にとっては青龍様と同じライバルだから!)

 

 どう言う訳だか最近は自分の前にも、里にも、そして『アシハラノクニの学び舎』にも桃花は姿を見せなくなったが、佐久夜の女の勘がずっと危機感を感じていた。

 青龍と同じように桃花が自分よりも先に進もうとしていると佐久夜の女の勘は囁いている。

 かと言って『妖やかしの森』に居るはずの桃花の下に、佐久夜が勝手に行く事は出来ない。

 『契りの儀式』を結んでもいないのに、桃花は全面的に両親と里に協力してくれている。故に幾らアマテラスとカグツチの娘である佐久夜でも、個人的感情を優先できる相手では無かった。

 

(だけど、桃花様にも青龍様にも負けない! リンドの次の子供は私が孕むの!)

 

 そう、佐久夜が内心で誓っていると、部屋の扉が開き、背後に桂香を従え、片手にスーツケースを持ったアマテラスが入って来た。

 

「失礼します」

 

「あっ! お母さん!」

 

「アマテラスさん」

 

 新しく里にやって来る四聖獣の誰かと会談をしている筈のアマテラスがスーツケースを持ってやって来た事に、琴乃と佐久夜は驚いた。

 アマテラスは部屋に入ると共に優しく微笑み、スーツケースを脇に置きながら佐久夜と並ぶように床に正座をした。

 一緒に入って来た桂香は、持って来た食事が載ったお盆と腰に差していた刀を床に置いて、アマテラスと佐久夜の背後に控える。

 

「琴乃さん。身体の調子はどうですか?」

 

「は、はい。今朝は少し寒気を覚えましたけど、今は大丈夫です」

 

「そうですか。ですが、此処最近修業に熱中し過ぎた影響もあるかも知れません。数日は安静にしていた方が良いでしょう」

 

「……そうですね。分かりました」

 

 アマテラスの忠告に琴乃は素直に頷いた。

 本音を言えば、大好きな音楽を伴った修業を中断するのは惜しい気持ちはあるが、アマテラスの言う通りだと琴乃自身も感じていた。

 

(せっかく此処まで健康になれたんだから、無茶をして身体を壊したくなんてない)

 

 幼い頃から悩まされていた身体の健康が良くなっている事は、誰よりも琴乃自身が実感していた。

 今ならば以前出来なかった事も出来ると確信できるほどに元気になった。此処で無茶をして失いたくないと、琴乃は心の底から思っている。

 その様子を見ていたアマテラスは、心の中で安堵する。上手く治療と修業が行き過ぎて、琴乃自身も気づかない内に無茶が募っていたのでは心配していていたが、今の様子からその心配はないと感じる事が出来たからだ。

 

(特に琴乃さん自身に変わった様子もないようですし、『無属性』持ちの特異な力の目覚めの兆候でもなかったようですね)

 

 これならば大丈夫だとアマテラスは思い、安堵の息を吐くと、先ずは自身が運んで来たスーツケースを琴乃に示す。

 

「琴乃さん。此方が以前言っていた綾香さんの忘れ物です」

 

「それがお母さんの……」

 

 話には聞かされていたが、明らかにアシハラノクニの物であるスーツケース。

 初めてみるスーツケースに佐久夜も、興味津々な様子で見回している。

 

「これが琴乃さんのお母さんの忘れ物なの、お母さん?」

 

「ええ、そうよ、佐久夜。琴乃さん。中に入っているのは全て保護と大きさを合わせる術が掛けられていますので、痛んだりはしていませんから、使っても大丈夫ですよ」

 

「あ、ありがとうございます、アマテラスさん」

 

(もしかしたら下着とかもあるかも)

 

 母親の物を使うのは気が咎めるが、やはり慣れ親しんだアシハラノクニの下着の方が合っているので、琴乃は後で中身を見ようと誓った。

 琴乃は知らない。スーツケースに入っている綾香の使っていた服が、まるでコスプレを思わせるような衣装の数々と過激な下着の類ばかりである事を。

 開けて中身を見て即座に締めてしまう未来が待っている事を、この時の琴乃は思っても見なかったのだった。

 

「それと食事の方も用意して来ました」

 

 アマテラスは自身と佐久夜の背後に控えている桂香に視線を向ける。

 心得たと言うように桂香は頷き、運んで来た食事が載ったお盆を琴乃に差し出す。

 

「琴乃さん。此方は昼食です。どうぞ食べて下さい」

 

「ありがとうございます、桂香さん」

 

 すっかり仲良くなった桂香と琴乃は、アマテラスの前だと言うのに友人のやり取りをした。

 その事にアマテラスは微笑むだけで何も言わない。流石に他の里の上役が居る時はともかく、屋敷の中では少しでも琴乃に気苦労を掛けないように自然体で付き合って良いとアマテラス自身も思っているからだ。

 琴乃は桂香からお盆を受け取り、そのまま箸を手に持って食事をしようとしたが、フッと何故か惹かれるようなものを感じて、床に置いたままの桂香が常に帯刀している刀に目が向いた。

 

(あれ? 何でかしら? 何か気になる?)

 

「琴乃さん? どうしたの? 何か変な物でもあった?」

 

 箸を持ったまま動きが止まった琴乃に、佐久夜が心配になって声を掛けた。

 その声に我に返ったように琴乃は微かに首を横に振るう。

 

「あっ! いえ、何でもないから安心して佐久夜さん」

 

 そう言いながらも何故か琴乃の視線は桂香の刀に向いていた。

 

(どうして? 何だか気になる? 桂香さんが刀を持っているのは何時もの事なのに)

 

 琴乃の護衛役も担っている桂香は、屋敷内で警護の任についていなくても武器の所持が許可されている。

 平和な世界で育った琴乃は、想い人の猛や家族同然にお世話している六介が居ても、明らかな凶器である刀などの類には忌避感を持っている。その為に今日までは桂香の持つ刀や他の武装した巫女達の事は気にしないようにしていた。

 そうだと言うのに、今日は何故か桂香の刀が気になって仕方がなかった。

 

「あ、あの桂香さん? 今更ですけど、その刀って何かあるんですか?」

 

「この刀ですか? これは……」

 

 琴乃の急な質問に驚きながらも桂香は床に置いておいた刀の鞘を握って、確認するようにアマテラスに視線を向けた。

 桂香の視線に気が付いたアマテラスは頷き、琴乃の質問に対して答える。

 

「琴乃さん。桂香の持つ刀は、唯の武具ではなく、『鏡の精霊武具』と同じで精霊武具の一つです」

 

「えっ!? 桂香さんの刀も精霊武具なんですか!?」

 

「ええ、そうですよ。精霊武具は琴乃さんにお話しした『鏡の精霊武具』以外にもありまして、桂香のように所持を許可している者が兵や巫女の中にいます」

 

「じゃあ、もしかして佐久夜さんも?」

 

 桂香より立場が上の佐久夜も所持してるのではと琴乃は思い口にしたが、その質問に佐久夜は顔を俯かせた。

 

「うぅ……私が扱える精霊武具はなかったの」

 

 佐久夜は『扇』と言う通常なら武器としては扱わない類の武器で戦う。

 そして『鏡』や『横笛』と言った『無属性』の精霊武具を除いた他の五属性の精霊武具は、剣、刀、槍、薙刀、棍、篭手、弓と言った類しかなく、残念ながら佐久夜は精霊武具を所持していなかった。

 落ち込む佐久夜に琴乃は悪い質問をしてしまったと思っていると、桂香が琴乃に刀の持ち手の部分を差し出す。

 

「何でしたら、琴乃さん? 触ってみますか?」

 

「い、良いんですか?」

 

「精霊武具といっても、霊力を流さなければ、切れ味が鋭い刀でしかありませんから。流石にこの場では鞘から抜かせられませんけど、持ち手の部分に触るぐらいは構いませんよね、アマテラス様?」

 

「ええ、それぐらいでしたら構いません」

 

 アマテラスも微笑みながら許可をした。だが、その視線は油断なく琴乃と刀の精霊武具を見ていた。

 

(これまで興味が無かった刀に急に琴乃さんは興味を覚えた? もしや、何かの兆候?)

 

 それを確かめる意味も込めてアマテラスは許可を出したのだ。

 許可を貰った琴乃は恐る恐る刀の持ち手の部分に手を伸ばし、柄の部分に触れる。

 

「………ありがとうございました、桂香さん。もう良いです」

 

「そうですか。じゃあ、また床に置いておきます」

 

 何事もなく事態は終わり、拍子抜けを感じながら桂香は再び床に刀を置いた。

 アマテラスと佐久夜も、もしかしたら何か起きるのではと思っていたが、何も起きなかった事に安堵する。だが……。

 

(どうして私は……引(・)き(・)出(・)せ(・)る(・)って感じたの?)

 

 その場にいた誰もが、琴乃自身も含めて気が付いていなかった。

 目に見えない変化が確かに起きてしまっている事に。




次回はリンド達の考察になります。
その後に少し琴乃のエロを入れてから、本番の処女喪失に向けての絶望が始まります。

アマテラス、佐久夜、琴乃の妊娠について。

  • 琴乃が堕ちた段階で孕ませる
  • 四聖の社全て攻略後に孕ませる
  • サヨ関連終了後に孕ませる
  • イザナミも加え、四人そろって孕ませる
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