ランス「なに青藍島?」 作:ななしさん
「あーーーっ!もう!なんなのよーー!」
女部田郁子は腹が立っていた。
「ガハハハ!どーした痴女ちゃん!」
女部田郁子はSS一番隊隊長に務めている。
SSの中でも武闘派のみで結成されている一番隊。
その隊長を務めるだけあって実力は折り紙つきである。
故に、彼女は戦いに絶対的な自信を持っており、反交尾勢力相手に敗れるということはなかった。
だが、その無敗神話が揺るごうとしていた。
「ホイホイ、ガハハ」
左、右、上段からの下段、左と見せかけ足払い―――
彼女が行う攻撃全て、常人ならば避けることさえ難しい斬撃。
しかし、目の前の男によっておちょくる様に避けられている為であった。
この男。
女部田にとってお気に入りの男との性行を邪魔し、
反交尾勢力の大総統等と宣った。
反交尾勢力のリーダーは確認していたが
大総統はデータに無かった為、
邪魔された腹いせ次いでにこの男をボコボコにしてからあれこれ尋問をかけるつもりだったが―――
現在、まるで大人にあしらわれてるように避けられている。
これは彼女にとって異例のことである。
今まで、避けられるというのは反交尾勢力との戦いでは珍しいことではなかった。
しかし避けるというのは、煙幕、フラッシュ等の道具を用いてのことであり、相手も必死で避けていた。
しかし、この男は丸腰で、しかもニタニタと笑いながら避けるなど、
彼女の常識、彼女の腕、彼女の誇りの前では許されることも、対峙した常人が叶うはずのないことであったのだから
なぜこの男、ランスが避けられているのか。
それを語るにはこの男の性質について説明せねばならない。
―――才能限界。即ちカンストレベル。
ランスの住む世界にとって凡人と天才を振り分けるひとつの指標である。
凡人は良くてカンストレベル5、天才はカンストレベル20。
天才と凡人、レベル20とレベル5、15の差は努力ではどうにもならない程深い。
40で人類最強を名乗れるほどと言えば分かりやすいだろうか。
それだけランスの世界とは残酷で、分かりやすい世界であった。
―――そしてランスの才能限界は、∞。現在のレベルは80。
故にランスは人類最強を越え人外の領域に足を踏み込むほどの強さを持っていた為、
この様に彼女の攻撃を避けることができていたのだ。
しかし、
(うーーーーむ。殴って気絶させてシッポリ仕込みたいのだが)
(……殴ったら頭飛びそうでな)
(さすがの俺様も顔面ミンチとセックスは趣味じゃないしなー)
人外の力故の加減の難しさ。
ランスは戦って彼女の強さをなんとなく計れた。
目の前にいるのは全力でぶったぎっても
涼しい顔をしているバケモノではなく、
グチャグチャの肉塊と化す「まだ」普通の範疇にいる女の子だと。
しかし、ランスはこの避け続ける現状を打破したかった。
何故ならばランスの目的とは飽くまで目の前の痴女を犯すことなのだから。
(相手の形を残しながら気絶するぐらい殴る?)
(うーーーーむ。わからんし多分出来ん。)
(そうだ。こっちも武器を使うか。それで小突けば力加減も出来る……多分)
「ウム。仕方がない」
そう言うとランスは対峙している彼女に背を向けると
「一時退却ーーーーー!」
全力で逃げ出した。
ランスは夜の林を全力で走っていた。
本来ならば手頃な枝を見付けて痴女の頭を小突く予定であったが、
「逃がすな!反交尾勢力を追え!」
「相手は1人だ!他の部隊は散開し取り囲め!」
気付けば大量のSSに追われていた。
総勢30名程だろうか。
潜伏していたSS(ランスがぶん投げた奴等)から反応が無いため不審に思い駆けつけた者達であった。
そして女部田からの説明。
曰く反交尾勢力の大総統、曰く実力者である一番隊隊長を物ともしない戦闘力。
ランスの警戒度は直ぐ様観光客から反交尾勢力の危険分子へと格上げされた。
「おわっと!」
ランスの背中は何かが擦れた衝撃と破裂音が鳴り続けていた。
音の発生源はSS支給の拳銃。
背中に掠めるは対暴徒鎮圧ゴム弾。
ランスが以前この世界にやってきた際散々浴びたものであった。
流石のランスも枝程度ではなんとかなるはずもなく、こうして一時ではなく退却していた。
「ダーーーー!バンバン撃ちまくりやがって!」
「おっ?ここは」
ランスの視界が開け、海が見えてきた。
どうやら森を突っ切り最初のヌーディストビーチに戻ってきたようだった。
景色を楽しむ間も無く響く破裂音。
ランスは急いで磯へ逃げ込み岩影へ姿を隠す。
すると先程の痴女の声が拡声器によって鳴り響く。
「反交尾勢力さーん。あなたは包囲されてまーす。大人しく出てきてくださーい。」
どうやら投降を呼び掛けているようだ。
ランスは大声を出して質問をする。
「出てきたらなんかくれるのかー!」
回答と言わんばかりに、
ランスの隠れている岩に叩きつけるような音が連続で鳴る。
そしてくれるという答えの様に、
辺りに散らばるゴム弾。
場所は割られているらしい。
「クソッ!取り入るはずが敵対するとは…」
「気付けば反交尾勢力になっとるしどーしたもんか…ん?」
ランスは辺りを見渡す。
岩を間に痴女が立っているであろう砂浜ばかり見ていたが、後ろは海と流れ着いた幾つかの金属ゴミがあった。
そして、金属ゴミの中でもランスはある物が目に飛び込んできた。
それは錆びた標識であった。先端の正方形の金属プレートの部分には貝と青蘭島の文字。
青蘭島を性産業で興す前まで使われていたもだがランスには知ったこっちゃなかった。
ランスは手に取り何度か降る。
「ちと軽いがま、いいか」
そして片手で持っていたポールの部分を、
両手でしっかり握った。
「とうっ!」
そして立上がり岩の上へ飛び乗る。
視点が上がりランスは今の現状がどうなっているか理解した。
まず目の前の砂浜に大量の人影。
それと同じ数向けられる数多の銃口。
先程の追われていた人数と合わず、60は越えるだろうか。
そして不適な笑みを浮かべる痴女。
痴女は片手で持った拡声器を口に持っていき、
こう話し出した。
「あれれ大総統。演説でもするの?
それとも引退表明?」
だが、ランスも負けないぐらい不適な笑みを浮かべる。
「そうだ。これから話すのはーーーー」
「俺様の解放宣言じゃーーーーー!」
ランスの足に力が込められたかと思うと天高く飛び上がった。
飛ぶ。人間にとって囲まれた状況の打破にはふさわしくないだろう。
何せ翼が生えてる訳でもないし、ランスも例外ではなかった。
結果、このまま落ちるのが関の山。
故に囲むSSの人々はこの行動をブラフと読んだ。
油断させてから着地後岩影に隠れそのまま逃げるのだろうと。
故に、銃口からも動揺は見えなかった。
狙うは着地寸前。ゴム弾を避けれずそのまま地に落とし確保。
しかし、SSの読みは外れる。
飛び上がったランス。
そのまま重力に従い落ちてくる。
しかし、そのまま落ちるのはそうなのだが、
落ちる際のポーズが違っていた。
手に持った標識を地面と垂直に持ち、
まるで、
そのまま叩きつけるようなーーーー
女部田郁子に嫌な予感が走る。
SS一番隊隊長の戦いに置いての勘ではなく、
女としての勘でもなく、
生物としての勘
命の危機のハザード音。
「皆逃げーーーー」
拡声器で音を広げようとするがもう遅い。
「ランスーーーー」
「アターーーーーーーック!」
地面と標識が合わさる。
そして生じるは朝日と間違えるほどの大量の衝撃波。
衝撃波は砂浜に配置されていたSSを呑みこんでいった。
17:02分頃、突如青蘭島ヌーディストビーチにて
強烈な閃光が発生。
直ぐ様駆けつけた治安警備隊が目にしたのは、
発生源近くに配属されていた治安警備隊及び、
反交尾勢力の捕縛の為出動していたSS隊員、
そして一番隊隊長女部田郁子。
その無惨な姿であった。
直ぐ様島内の病院に全員搬送。
生死の確認が取られた。
軽傷者39名、重傷者19名、
心肺停止が2名。
その1人に女部田郁子は入っていた。
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