「……じろじろ見ないでくださいよ!エッチ!」
「か、勘違いだよ!……」
互いに強い言葉で虚勢を張っても、よそよそしさは互いに隠せないのは同じ。
義父の部屋で、こうして二人っきりになるのは初めての事じゃないけど、着ているものが男性用のシャツ。しかも、義父のシャツを着ているだけで、こうも雰囲気が変わり、異性を意識してしまうものだろうか?
「……くしゅん!」
突然、思わずしてクシャミが出てしまった私。
指で鼻を擦りながら、何事も無かったかのようにやり過ごそうとするも、
「由紀子さん。やっぱり寒いんだろう?無理しなさんなよ……」
そう言って腰を上げ、私をベッドへと引き上げようとする義父。
部屋のつくりは1K。ベッドがある部屋以外に部屋はない。私が独身時代に住んでいたところ。
「へっ・・・クション」
「風邪引かれたら私が困るからさぁ。・・・布団の中にでも入って……」
「大丈夫ですよ。・・・お義父さんこそ、風邪引いているんだから……」
「いいって!チラチラと見たくもないものが見えて……目のやり場に困るんだよっ私が……」
その言葉を聞くや、私は慌てて両手でシャツの裾を抑えた。
やっぱり見えていたのか……恥ずかしい。気にはしていたのだけど……
もそもそと身体を移動させては、義父が寝ていた布団の中に潜り込む私。
「す、すいませんでした……変なもの見せちゃって」
布団から顔を出し、義父を見ながら虚勢を張るも、恥ずかしくて顔が赤くなってやしないだろうか?
いや、そんな事よりも……
今日、履いてる下着は確かおろしたての白いショーツ。
生理もまだ先だから汚れてなんか無いだろうけど、生地が薄いヤツだから・・・陰毛が透けたりして……なかったかな?」
考えれば考えるほど、ショーツが気になってしまってしょうがない。
「ヘックション!」
私がそんな馬鹿な事を考えていると、突然、豪快なクシャミを飛ばしては鼻を啜る義父。
すっかり忘れていた。
私なんかより、義父の方がよっぽどひどい風邪だったんだ。
「お義父さん、また風邪がぶり返してるんじゃないですか?私はいいからお義父さんこそ布団入ってくださいよ」
そう言いながら、慌てて布団を出ると、急いで義父のもとへと歩み寄る私。
けれど、そんな私を見るや義父は、見る見る顔を紅潮させ、視線を大きく外してしまった。
「ちょっと、早く布団に入ってくださいよ!」
「だ、だからっ……由紀子さん、見えてるって言っているでしょう」
私はハッとなり、自分の姿を見下ろした。
ペロリと捲れ上がったシャツの裾から、覗き見える白い下着。無造作に大きく開かれた両脚がまた……
「気にしないでください。見られても……減るもんじゃないですから」
「減るもんじゃないって……わ、私が恥ずかしいんだよ!」
「んもうっ!とにかくお布団に入ってくださいよ!」
「うるさいなぁ!由紀子さんこそ布団に入ってなさいよ……」
「ああもうっ!んじゃ、一緒に入ればいいでしょ!」
売り言葉に買い言葉。
ああ言えばこう言う。つい、そんな事を私は口走るも、今更あとには引けず、強引に義父の手を引いては、一緒に布団の中へと潜り込んでしまった。