「幹人さんの子種汁...美味しかったぁ...」
外の雨より時計の針の刻みが前に出た部屋の中で、ベタベタの精液と愛液と汗に塗れたベッドの上で寝込む全裸の長い髪の女性が寝言を漏らす。
彼女は人では無い。軽く一捻りすれば人の命を簡単に奪える怪物、イッタンモメンの姫である。敵である鬼の手から逃れた姫は外見的には彼女と同じ年齢をした青年に拾われ、ログハウスに匿われる。そして制欲が抑えられなくなった姫は先程まで隣で寝ている青年の精力を喰らいに喰らった。彼女には満足だったらしく、眠りに落ちる程に幸せに満ちていた。獲物の体液を絞る為に脚力が強い青年は無惨な姿になっているだろう。
「すぅ...すぅ...」
しかしその青年は人外である彼女に犯されても死ぬどころか身体も枯れてすらおらず、すやすやと眠り続けていた。全裸に精液や愛液が大量に付着していたが、そんなことに気づくよしもない。
「助けてくれぇ〜!」
そんな時、ログハウスの外から男の危機迫った叫び声が鳴り響いた。
「ん...?」
その音に眠気から引き戻されたのか、青年は瞳を擦りながら起き上がる。
「なんかおt...わっ!! なんっっじゃこれぇぇぇぇぇ!!!」
やっと目覚めた青年は自分の姿に驚愕した。何故なら着ていた筈の服が無く、裸の身体に白と透明の液体が付着していたからである。
「うわぁ....なんでこんな跡が....」
ショックを受ける青年に男の叫び声が割り込む。
「助けてくれええええええ!!!」
「えっ!? なんだ!?何があったんだ!!?」
青年は自分の置かれた状況など忘れて外で起きている状況に対処する為、急いで隅に置かれていた衣服を見に纏う。身体に付いていた液体は拭き取れず服に張り付いていた
「少し気持ちが悪いけれど...行くか!」
青年は自らを鼓舞する様に様に頬を両手で叩くと、床に置かれた鞄を弾き飛ばす程の速度でログハウスのドアを開けにわか雨に変わった森の中を駆け出した。
「...ん?」
扉から拭いた寒風に撫でられて女は瞳を開けた。
「...幹人さん?」
ベッドの上には自分と2人の愛の水しか無い、扉は開いている、まさか自分は彼に嫌われたのでは無いかと罪悪感を抱え始めた。
「.....!」
しかし彼女は外から漂う自分と同じ気配を感じ、彼はそれに立ち向かったのだと確信した。彼女は彼を助ける為に裸のままベッドから飛び降り、床に落ちていた鞄を弾き飛ばしながら外へと飛び出した。
誰もいなくなった部屋、床に落ちていた鞄の口から飛び出したのは、鬼の顔を象った銅色の音叉だった。
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「ああああああああああっ!!」
にわか雨の降る森の中、泥濘んだ地面を蹴りながら逃げる警官がいた。
「ふっ!」
その背後からは白い顔をした怪物が両腕を広げ、まるで鳥の様に滑空しながら追いかけている。
怪物の正体はイッタンモメンの怪童子。森の中でヌリカベの妖姫との交戦中に居合わせた警官を始末するべく追い掛けていたのだ。
「なんでだよぉおおおお!! なんで俺がこんな目に遭わなくちゃいけないんだよおおおお!!!」
警官は此処にいる事を悔いながら涙目で森の中を逃げ続けた。
「ああっ!!」
警官は地面から出ていた根に躓き、身を宙に投げ出した。その拍子に小石が地面から飛び出し、後ろへと飛んで行く。
「うええっ!」
吹き飛んだ石は怪童子の瞳に撃ち込まれ、泥まみれの地面へと飛び込んで行く。
「があっ!」
地面へ倒れた警官はホルスターを壊し、警棒が落ちる。
「いってぇ...」
制服を地面で汚しながらも警官は怪童子の姿を捉えようと体勢を整える。
「ううう....」
怪童子は首元の布や顔を泥まみれにしながら立ち上がる。
男は疲労や身体を地面に打ちつけた事による痛みで立ち上がる事もままならなくなった。しかし目の前の怪物は尚も自分を狙おうと立ち上がる。このままでは生き残ることは出来ない。
「もう...駄目か...」
男は瞳を閉じた。
「大丈夫ですか!?」
そこへ、背後からとある青年が駆け寄って来た。
「君は...一体...!?」
「心配無いですから!助けに来ましたよ!」
見た感じ大学生あたりの一般人。目の前の怪物をどうにか出来るとは思えなかった。
「そうなのか...? あれっ! どうして...!?」
視線をあの方向に向けた男は再び驚愕する。そこにいたのは黒い身体をした怪物では無く痩せ型の成人男性の全裸姿だった。
「なんで...人間がっ!?」
「怪物が人間に化けたんですよ!昔話でもよくあるでしょ?」
「そっ...そう...なのか??」
混乱する警官の横で青年は冷静な瞳で分析する。
(アレは...童子か...最近見ていないから忘れていたけれどこんな顔だったな...早く彼奴を始末し...)
青年は何かを探す様に身体を弄り始める。
「ふん!!」
そんな状況を壊す様に裸体の童子は逆立ち状態になると右脚を機械に伸ばして鞭の様に振り下ろした。
「おっと!!」
「ひいいいいっ!!」
肌色の脚が大きな音を鳴らしながら地面を抉った。2人は間一髪で攻撃を避けた。
「はあ...これは大変だ...」
青年は幹に隠れて様子をうかがう。
「どうすればいいんだ...そうだ!」
警官は片方のホルスターから拳銃を抜き取り、不屈の闘志で立ち上がると、逆立ちを辞めた童子に銃口を向ける。
(効くかどうかはわからない...でも、俺がやらなきゃいけないんだ...)
警官は心で唱え、大声で叫ぶ。
「茨城県警をっっ!!舐めるなあああああああっ!!!」
怒号と共に銃口が火を吹き、童子の身体から白い体液が噴き出す。
「くふっ!」
童子は苦しみながら体勢を崩す。
「当たっ...た...」
警官は安堵感を覚えながらピストルを下す。
(当たった! でもそれだけじゃ倒せない...)
青年は幹を掴みながら周りを見渡す。
「! あれだっ!! お巡りさんこれ借ります!!」
青年は地面に落ちていた警棒を掴むと展開させて童子へと駆け出す。
「君ぃ!危ないぞ!!」
正気に戻った警官は止めようとするが、青年は聞く耳を持たずに得体の知れない存在に向けて走っていく
「はああああああっ! せやあっ!!」
青年は慣れた手付きで警棒を振り下ろすが、童子はそれを交わす。傷を負ったとしてもある程度の機敏さは残っていた様だ。
「くそっ! ふんっ!はあっ!!」
何度も攻撃を仕掛けようとするも、身軽な身のこなしで交わされていく。自分の服に童子の白い体液が付着するも、そんな事を気にする余裕など無い。とにかく目の前の怪物を倒さなければいけないからだ。
「はあ...はあ...」
警棒を構える青年と、全裸の男。小粒の雨が僅かに落ちる中で緊張の糸が張り詰めている。
「こうなれば男でも構いません。貴方の精液を搾らせて下さい...」
優しげな女の声が聞こえるも姿は男、そんな事を言われても青年には何のことか分からない。童子は右脚を伸ばして首根っこに巻き付こうとした。
「ううううっ...!!」
その時、何処からともなく白い蛇の様な触手が伸び始めて童子の首に巻きついた。
「うういうう....えええううう....」
白い触手は釣り糸の様に苦しむ童子を上へ上へと上げていく。そのおかげか童子の腹部の傷からは体液がより一層流れ始めた。
「よし...行けるっ!!」
青年は両手で警棒を構えると一気に走り出し、先を童子へ突き出す。
「うふわあああっ!!」
突き刺された腹部から体液を吹き出しながら童子は女の様な断末魔をあげる。
「でりゃあああああああっ!!!」
青年は警棒の持ち手に力を込めると刀の様に横へと動かし、童子の腹を弾き捌く。
「うぅ..うううん...うええええっ....!!!」
腹部から止めどなく体液を流し、悩ましげな呻き声をあげる童子は風船の如く爆裂。
あたり一面に枯れ葉が散った。
「やったぁ...」
青年は白い体液まみれの姿で警棒を落とすと、近所の木に背中を預ける。
「勝った...」
警官は安堵の表情を浮かべると地面に倒れ伏した。
2人を助けた存在である白い触手は木の上へと吸い込まれていく。
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「ふふふ...」
触手は人の足へと変わり、木の枝に座っていた全裸姿の長い髪の美女元の場所へ戻る。
2人を助けた触手の正体は、イッタンモメンの姫の足だった。
姫は足に付着したかつての番の体液を見て赤く染まった唇をキュッと締め、静かに呟く。
「幹人さんの精液は私だけのものです...」
姫は自ら名乗った真奈美という名を胸に刻む様に瞳を閉じる
長い髪から覗く背中が橙色に煌めく。
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