前回から一年以上間が空いてしまい非常に申し訳ありません。
エロ要素は少なめです。
「はぁ...んぁあん...っっ!!」
太陽が黒雲の海へ呑まれる時、暗い明度の空気が支配する洋館の一室、ベッドの上に寝そべった和装の女は喘ぎ声を上げながら男性器に見立てた無機物の棒を片手に己の秘所に差し込んでいた。その行為は欲求不満から起こる自慰とは違っていた。
女は魔化魍を育てる傀儡の筈ののイッタンモメンの姫が自我を持って自らが産み出したイッタンモメンの童子を手に掛けた事に喜びを感じていたのだ。そのイッタンモメンの童子は童子と姫の中でも力の強い部類に入るヌリカベの姫を倒した事もあってかその喜びも一入である。
「〜〜~〜~ッッッッ!!!」
丸い音を出しながら秘所から愛液がふつふつと流れ出し、女は声を押し殺した。ちょっとした快楽の追求であろう。
秘所からクチュクチュと音を溢し謎の器具を抜き取れば、何事も無いように乱れた和装を戻して、窓ガラス越しに騒ぎ立てる黒い木々を臨み口元を緩ませた。
「んふふふ...秩父の方も面白くなってるらしいし...次は鬼の方もどうかして見たいわね...」
一方、一階の実験室では
「うーん、折角鎧に変わるためのアレが出来たのになー」
眼鏡姿の和装の男が透き通ったビーカーの中に鎮座していた栗のイガに似た黒色の物体を見ながら溜息を吐いていた。
魔化魍を育てる為に作り出した童子と姫を強化するために作り出したこの物体、コレを作り出す為に男は10日10晩眠らず手を止めずそばで女が自慰をしていようがお構い無しという彼にとって当たり前の気力を注いで完成させたが、その結果は芳しいものでは無かった。
魔化魍を強化することに関しては情熱を注ぐ代わりに強化された存在が引き起こした被害においては関心の向かない性分である男とはいえ、自らの操るはずのクグツがそれを使う事なく煙のように消し去り、実験台にするはずだったヌリカベの童子を撲殺した上、その番である姫の口にそそり立った肉棒を差し込み犯し続けた挙句、意図をしなかった状態となった土塊人形がありもしない性欲に突き動かされ、魔化魍の育成とは関係の無い殺害を行なうようになった事には流石に驚きを隠せなかった様である。
「まあでも、もう二つあるから次の実験には困らないしね。それまで別の事に取り掛かっておくか」
ビーカーの置かれた机から離れ、男は実験室を後にした。
男は育て役を失ったヌリカベの存在は気に留めてすらいない様だ。
洋館を囲う木々から橙色の風が吹き上がり、天高く登る。 ________________________________
雲一つない澄み切った青空の中、茨城県つくば市に敷かれた自動車道のパーキングエリア。家族連れのミニバンや遠足、課題活動から戻る児童を乗せた大型、小型バスにの中にある黒色の軽バン。その中の運転席でビニール袋両手に上機嫌な茶色いジャンパーを羽織った天然パーマの髪型をした20代後半の男性がいた。レツキである。茨城北部に出没したイッタンモメン退治の帰りにパーキングエリアに立ち寄っていたのだ。
「コレだよこれこれ!コレを買うためにここで休憩したと言っても過言じゃないんだよなぁ〜」
とても嬉しそうな顔でビニール袋の中にあった包紙を開けると、その中には白い湯気に包まれた手で握ることなど不可能なぐらいのサイズをしたアメリカンドックが入っていたのだ。どうやらここのパーキングエリアでは『ツクバァン豚ビッグアメリカンドック』という名物があり、東京駅や新宿駅、渋谷のセンター街や竹下通りに専門店をオープンさせるなどの一大ブームとなっていた。
「しかもこれ買えたのはラッキーだよなあ本当に...」
それに彼が持っているカツソース味はここでしか購入出来ない。更にお一人様5本限り限定50本のレア商品なのだ。
「まあでも今はたちばなに戻らないといけないからこれはお預けということで・・」
レツキは冷静な顔になると助手席に置いてあった大きめのプラスチック製の箱を開ける。その中には9本のビッグアメリカンドックが熱を保ったまま入っていたのだ。無類のアメリカンドック好きである彼はこの店で売られている10種類のアメリカンドックを一本ずつ購入し、自宅で静かに食べる為にキャンプ用の保温ケースに入れていたのだ。一本分の隙間をカツソース味のアメリカンドックで埋め、保温ケースの蓋を閉じた時、ジャンパーのポケットからメロディーが流れた。
「おっ、あいつからだ。珍しいな」
レツキはポケットからすぐさま携帯電話を取り出し内容を着信相手を確認すると目を開く。ヌリカベ退治に栃木へ向かっていたツルキからだった。レツキは着信のボタンを押すと携帯を耳に当てる。
「おう、もしもしツルキ? お前から電話をかけるなんて初めてだなぁおい!」
『あっどうもレツキの先輩、まあほとんど俺は受け取る側ですからね』
「いまイッタンモメンを倒した後筑波のパーキングエリアにいるところよ。お前の方はヌリカベ退治終わった?」
『あぁそれがですねぇ・・・』
言葉に詰まるもツルキの言葉は続く
『向こうに行ってディスクアニマルで調査しても全然当たりがこなくて、終いにはおやっさんから”君のいる下野で猟奇的殺人事件が起こって栃木県警が捜査を始めたから一旦戻ってきてくれないか”と言われたんで今タクシーで東京に向かってます』
携帯電話からはツルキの声の他にエンジン音と内容のわからないラジオが微かに聞こえていた。
「あぁー、パーキングエリアのテレビで見たよ。バラバラ死体が降ってきたアレね。」
『そうなんですよ、マスコミもかなり来ているみたいですから下手に動けないんですよ。まあこの件はヌリカベの仕業じゃ無さそうですし、今シフトが空いていた瞬鬼さんが向かっているみたいです。あの人地味だから警察の目を上手く掻い潜れますしね』
「まあね、それにヌリカベの仕業なら食い物の筈の死体をばら撒いたりしないもんな...てかお前タクシーに乗るんだな。普段電車しか使わないのに」
『それがですね?俺この前商店街の福引でタクシーチケット10万円分当てたんですよ。有効期限が今日までだったんで使わなきゃ勿体無いですし、距離的にも丁度良いんで。偶には贅沢もいいもんですねぇ〜』
電話越しから聞こえるツルキの声はどこか高揚していた
『たまにはお前も贅沢はしろよ?景気はそうしなきゃ良くならないんだからさ』
「はいはい分かりましたよ。でも今日の飲み会は出ませんからね?」
タクシーの後部座席に座るツルキはガラス越しに流れる景観を見ながら携帯電話越しにレツキに言った。車内のラジオからはトーク番組が流れている。
『ああ、分かってるよ。妹さんの店の手伝いだろ?たった1人の家族なんだから大切にしなきゃな?』
電話越しのレツキの声は僅かに同情が含まれていた。
「分かってますよ。そろそろ切りますね?」
『ああ、今日はお疲れ様』
その言葉を最後にツルキの携帯電話は沈黙した。
「お客さん、キャンプのお帰りですか?」
通話が終わった事を見計らったのか運転手が声を掛ける。
「そんな感じですね。山で一泊して夜には板橋へ、と言うところですかね?」
どうやら見た感じ運転手は猛士とは無関係の壮年の男性。自分が音撃戦士である事は言えない為ツルキは咄嗟に嘘をつく。
「へえ...でもお客さん、キャンプにエレキギターなんて持っていくんですね?」
ツルキは震えた。今まで電車で移動していた事もあり荷物の事は聞かれる事の無かった自分にとっては想定外の質問だったからだ。
2秒の沈黙の後にツルキは震えを押し殺しながらこう言った。
「...これアコギですよ?ボディは薄っぺらいですけれど?」
「.......」
「.......」
エンジン音しか流れない8秒。ツルキの冷や汗が額を伝う。
「そうなのですか?私の勘違いでしたね」
運転手の朗らかな声が沈黙を止めた。
「ええ、そうなのですよ!!電源をレンタル出来るので大自然で弾けるので解放感が半端無いんですよ!まあイヤホンを付けた状態なのですがね」
どうにか乗り切る事が出来たとツルキは安堵した。
そんな空間に先程の鋭い静寂とは違う柔らかなチャイムが流れた。
ツルキがメーターに目をやると「PM 5:00」と表示されていた。車外から僅かに聞こえるチャイムからも分かる通り、時は夕暮れを告げていた。ラジオ放送もトーク番組からニュース番組へと移行していたのだ。
『時刻は午後5時になりました、この時間に入ってきた主なニュースをお伝えします。』
スピーカーから聞こえてくる男性キャスターの冷静な口調が心地良かったのかツルキの疲労を増幅させ、瞼を重くさせる。
『東京都葛飾区柴又のスーパーで毎年恒例団子の大安売りが行われ、延べ数千人ものの来店客で店外からも溢れるほどの....』
ラジオから流れる他愛も無い情報。ツルキにとって全くもって興味の向かない内容なのですっかり眠りに落ちてしまう。
それと同時にタクシーはトンネルへと突入。赤に近い橙色の光が後方へ次々に去っていく。
『鹿児島県の屋久島で起きた東京都杉並区の小学校に通う児童2名が失踪した事件で、捜索に当たっていた男性三名の遺体が発見され、鹿児島県警は近く殺人事件に切り替えて捜査を進めていく事が関係者からの取材で明らかになりました。失踪した児童2人の通っている東京都杉並区の小学校は本日夕方に保護者へ向けての説明会を開く模様です。
またその数日後に屋久島の西部林道で大型バスが横転した事故が起こり、バスに乗っていた児童36名、教員2名、運転手1名の行方が分かっておらず、鹿児島県警はこの件と児童失踪事件に何らかの関係が無いかと捜査を続けています』
ニュースが終わったと同時にタクシーはトンネルを抜ける。市街地を貫く黒いアスファルトが瞳を閉じた男を家へと導く。ラジオの声が届くのは運転手のみだ。
『今日午後4時3分頃、埼玉県秩父市の民家に男性が人質を取り立て篭っていると言う110番通報があり現在埼玉県警が....』
ラジオが最新のニュースを伝えている中、タクシーは高層ビルが咲きわたる東京方面へとアクセルを踏み続けた。
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陽の光が南から傾き始めた頃の鹿児島県鹿児島市の港、停留しているフェリーからトラックが現れ道路を進む。運転をしている男は3年前から屋久島から受け取った荷物を遠くにある熊本市と運ぶ仕事をしている。
しかし今回の屋久島の雰囲気は異様だった。テレビやラジオのニュースでも知っていたが東京から遠足に来ていた小学生がいなくなったというから島中警官だらけ。島に1泊した男は何度も職務質問をされていた為フェリーで寝付けない程に心が疲弊していた。
「少し休むか...」
鹿児島市から熊本市までは車で2時間半のまあまあ長い道のり、疲れで事故を起こしてはいけないと男は国道沿いの大型駐車場にトラックを入れた。標高は高くは無いので見晴らしは望めないが木々が生い茂る自然豊かな場所だった。自分以外に停めてある車両は一台も無く、人の気配すら無い。身体を休めたい男にとっては絶好の環境だった。男はシートに腰掛けながら瞳を閉じた。
ガタガタ...
「?」
後方にある荷台から聞こえる物音に男の安息は邪魔をされる。睡眠不足だった男の感覚は嫌に優れていた。
”確かに荷台かから音がした。ただ今回受け取った荷物に動物はいなかった。じゃあ何なんだ?“
内に感じる疑問に居ても立っても居られなくなってしまった男はトラックから出ると後方に行き荷台のドアを開けた。
「ぐっ...!うぷっ...!!」
ドアを開けたと同時に脳味噌をスプーンで抉り出す様な血生臭い臭いが男を飲み込む。
強烈な頭痛や吐き気を催しながらも男は荷台へと視線を戻す
「!?...あぁ...」
男は驚愕のあまり後ろによろめいた。荷台の照明が灯した先には、荷台に大量に敷き詰めたはずの段ボールは一箱も無く、そのかわりに血生臭さの根本だった錆びた赤い色の壁に肉塊としか思えないボロ切れの布が引っ付いた無数の物体、筋が付き横にバックリ割れた大腿骨ほどの汚れた白い棒、顔を歪めた男性の顔が半分引き裂かれギョロ目と奥歯まで露出した口が微笑んでいる遺体としか表現できない物が肉ごとズタズタに引き裂かれたジャージ姿の胴から赤白い線に繋がれた状態で転がっていた。そして荷台の奥では黒と白の何かが静止していた。何かの白い部分には鮮血の色は無くより一層気味が悪かったのだ。
「何でだ...夢でも....見ているのか俺は...?」
あまりにも常軌を逸脱した光景に男は黒目や口の輪郭を震わせながら現実から逃避し始める。
「見ましたね?」
「へ、何?」
荷台の奥から通りの良い美しい女性の声が聞こえ、混乱状態だった男は正気へと戻る。
その刹那、荷台の奥から黒と白の物体が勢い良く飛び出し、
青々した樹々に鮮やかな紅が咲き乱れた。
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峠道の周りにある森の中、枝の上に腰掛けながら汚れた服装の少年を抱える白い着流しの女、屋久島のツチグモの姫がいた。
「これで我が子のお腹も一旦は満足でしょう...。さあ鬼さんたちから逃れる為に行かなくては...」
姫は腕の中ですやすやと眠る我が子といった少年の頭を左手で優しく撫でる。綺麗なほど長い前髪から覗く微笑みは人の母親の様だった。
書いて欲しい姫を募集します
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奥多摩のヤマビコの姫
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東雲のオオナマズの姫
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