溶ろける船場 (房総のバケガニの姫)
千葉にある房総半島のとある港街、2月下旬の寒風吹き荒ぶヨットハーバーで赤いジャンパーを羽織った男が愛用しているヨットの整備をしていた。
男は余り人と関わることをしない性格で、ゆえに他のヨットの所有者が整備に来ない正午に出向いていた。隣のボートから人為的な物音もせず聞こえるのは波と風の音とカモメの鳴き声だけ、男は晴れやかな気分で整備を進めていた。
「?」
男は不意に視線を感じた、この時間はみんな近所の食堂で昼食を取ってるはず。周りの動向は何度も確認しているため間違い無いのだ。しかもこの視線の主は自分のヨットの上にいる、自分のヨットへ断りもなく乗り込んだ’誰か’への苛立ちを見せながら男は視線の先へと体を向けた。
「えっ・・・?」
そこには10代後半に見える妖艶な雰囲気を纏っていた右目の下に蟹の鋏のような模様が入っている美しい顔立ちの女性が無表情で立っていた。
怒りを見せていた男は唖然とした表情へと変わった。なぜならその女は今まで一度もヨットハーバーで一度も見たことがなかった女だったのだ。
男の驚いた理由はそれだけでは無かった。
目の前にいる女の上半身には上半分が白、下半分が紫の薄手のノースリーブのTシャツに純白のショールが程よく実った胸元で交わるように結ばれており、左腕には赤い防具、左手には赤色の指抜きグローブがはめられていた。下半身は深い赤い色のホットパンツ、膝には赤いルーズソックスと黒い革靴と言う明らかに真冬の海辺では有り得ないような服装をしていたのだ。それを女は露になった腕にも太ももにも一切の鳥肌を立てず何も感じていないかのような表情でただただ自分を見つめていたのだった。
「・・・誰だ・・・?」
男は怪しげな女に対して問いかけたが、女は返事をせず男の前をマネキンのように直立状態で見つめていた。
「おい・・・降りろ・・・降りなかったら・・・警察を呼ぶぞ・・・」
不信感を露にしながら男は女に忠告をする。
女は微笑を見浮かべたと同時に男に歩みを始めた。男は恐怖を覚えて後退りする。
女からの視線から逃れられないため後方の確認が出来なかった男は舟床で足を滑らし尻餅をついた。女はその隙を見逃さず男との間合いを音も無く一気に詰める。
「わぁっ!?」
驚きの余り男は目を見開く。眼前には話の通じない女の不気味な顔が視界を独占していたからだ。
恐怖の余り心臓の波内が波音すら分からなくなるほどにけたましく響き渡り、息も荒くなる。
女は瞬きもせず男の顔を見続けると悪戯めいた微笑みを見せると己の潤った唇を開き、白い息を出す男の唇を包み込んだ。
「んむっ!!」
女の予想だにしない行動に男はまたも驚愕の表情をするが、女はそんな事など気にする様子も無く男の口内に舌を突き出しそれをつたわせて唾液を流し込み始めた。
一度も接吻の経験が無かった男には考えられないほど甘く艶やかな香りが、広がり男の警戒心や恐怖心を解し、男の身体は女の口づけに従順になっていた。
女は一切の声を漏らさず男の唇を味わうかのように、舌を絡め、歯茎を舐めまわし、触覚のように垂れたまえがみで男の頬を撫でる。
男の口内を十分に堪能した女は顔を上げて絡まった唇と舌を話す。唾液の糸だけを繋げて。
女は口を繋ぐ糸に視線をやると左手を上げて指でじゃんけんで言うチョキの形を作ると、それを鋏のように人差し指と中指を閉じて糸を切り離した。左手にはめられた深紅の指抜きグローブも相まってその動作は獲物をハサミで切る蟹のようにも思えた。
「はぁ・・・はぁっ・・・」
表情が緩み切った男の顔を眺めると女は静かに微笑みその目を男の下半身に向ける。女の淫ら
な口づけのおかげで男の愚直はジーンズを押し上げていたのだ。
それを見た子供のような好奇心に溢れた笑みを浮かべて男の唾液が絡まった唇をいやらしく舐めると、
左手の指を全て開き、逸物へと伸ばして不慣れな手つきでジーンズのファスナーを開き、歳に似合わぬ若々しい色をした逸物を取り出す。
露になった逸物にぱっちりと開けた瞳を向けると広角の吊り上がりが増して綺麗な歯を見せた女は、赤い手袋を嵌めた左手を開き男の桃色の逸物をしかと包み込み、先程とは打って変わった手慣れた手つきでその手を上下に動かしはじめる
人のようなしっとりとした滑らかで柔らかい指と、革のような硬くくすぐるような手袋で男の逸物を揉み扱き、男の全身に痺れるような気持ちよさが津波の如く呑みこんでいき、男の帆は逞しさを増していく。
女の扱きが男の鈴口からぷっくりと我慢汁が表面張力を破りながら亀頭に向かって溢れ出し、陰茎を染め上げる。逸物を扱く女の左手からも卑猥な水音が漏れ出し、男の愛したヨットが最早淫らな寝床へと化していた。
今まで女に触れ合った事がなくこの年まで純血を貫いていた男は耐える術も気力も先程の口づけで奪われており、射精も時間の問題だった。もう耐えられない事を表情で読み取った女は左手を逸物から離し体制を変え男に背を向ける。
手の支えなくとも立派に勃ち上がった逸物に顔を近づけると、口を大きく開いてすっと咥え込み、間髪を入れずに頬を窄めた。
「ぅあっ!?」
口を窄められたのが決定打となったのか、男は情けない叫び声を上げながら女の口内に白濁の液を打ち上げる。唇と肉棒の間から白い幕がおろされるも女はちゅうちゅうと卑猥な音を響かせながら鈴口から溢れ出る白液を吸い上げていく。
「くぅぅっ・・・やめっ・あぁっ!!」
男の虚しい声が漏れる中、女は男の性器を愛撫し始めた。男から唇を離さず子種を味わうかのように喉を鳴らしていく。
女は徐に顔を上げる。愚直から顔を離すと裸の右手と白く汚れた赤手袋の左手を合わせ、”ごちそうさま”と言わんばかりに白濁に濡れた艶めく唇を結び、端を釣り上げた。一方、男は女の淫靡な笑顔を見る事もできず窶れた頬で快楽に溺れるように叫び域を上げて澱んだ雲が埋める寒空見ているしかなかった。
女は男の顔色とは反比例した最大限にまで硬直した愚直を見て男と向かい合うように前に乗り出す。女は男の汁気で湿った右手を己のショートパンツへ伸ばす。ファスナーを開けて晒す。女の秘書は一連の行為により愛液に溢れており、こぼれ落ちた雫が男の腫れ切った白濁色の亀頭を上書きするように広がっていく。
女は腰をゆっくりと下ろす。
互いの性器の先が接吻し、紅の袋が白の棒を味わうようにしかと包み込んだ。
「ううっ!?」
男は初めて感じた股間の刺激に驚愕の叫びを上げた。そして自分の置かれている状況を思い出す。
”この姿を見られたら自分はこの船場にいられなくなる。その前にこの見知らぬ女に殺されてしまう・・・!?”
男は必死な形相で女の膣から逃れようと踠きだすが、先程愚直を女に丹念に頬張られたために気力が奪われて火事場の馬鹿力すら出せなかった。更に女の膣内が男に多大なる気持ちよさを与えてわずかに残っていた力さえも奪わんとしていた。しかし本能からか男は己の精を相手に取られまいと消えかかっていた心の灯火を頼りに争っていた。
男の必死な抵抗を見て女は可愛がり甲斐のある子供を見る成人女性のような温和な笑みを見せると、男の身体へその身を落とし柔らかい乳房を男の胸板に押し当てる。船板と女の全身に挟み込まれた男にもう逃げ場は無かった。膣だけでなく、女の薄い服越しの柔らかい体に重ねられた男は全身で快楽を味わう形になり抑えていた精の耐え場すら壊されてしまった。女は仕上げとばかりに腰を浮かすと逸物を飲み込むように急降下させ、円を描くように腰を回す。
「あああああああああっ!!!!!!!」
脂汗に塗れた男は女の責めに耐えられず女の膣内に精をぶちまけた。余程女の身体が男にとって気持ちが良かったのか女の手淫や口淫とは比べ物にならない程の精液が女の膣に雪崩れ込んでおり溢れ出した聖液が男の股と女のショートパンツを白く汚していた。男には先程の抵抗の灯火すら消えており、射精した事に対する喜びで満足げな表情に変わっていた。
女は左の人差し指と中指を合わせて己の膣内から精液を掬うと唇から舌を出して艶かしく舐めとった。喜びを描いた様な顔をした男の背中に生の腕を回し身体を持ち上げると、顎を右肩に置いて優しく抱き寄せた。そして男の耳元で女は口を開いた。
『ちょっと熱いよ...』
男の赤らんだ顔は一気に青ざめた。己を抱く妖艶な女から発せられた声は自分と同じ男の様な低い声だったのだ。
間髪入れずに女の身体からブクブクと緑色の泡が吹き出した。
”人間じゃない!?“
男が確信した時にはもう遅かった。
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海岸の端にある洞窟、人が入ることのない外れに季節に似つかわしくない露出をした女が左手に何かを引きずりながら暗闇に向かっていた。入り口から数進んで立ち止まると左手を開き持っていた部位を無造作に落とす。女が引きずっていたのは、女に襲われて緑色の泡に塗れ中から骨が覗いている無残な姿となった船場の男だった。
女の見上げた先には蟹をそのまま大きくさせた様な巨大な怪生物が間接を軋ませながら鋏をあげていた。
女は唇の前に左手を上げると人差し指と中指をチョキチョキ開閉しながら低い声を洞窟内に響かせた。
『ちょっと立派な鋏だなぁ...。もしまた鬼達が来ても、その鋏でうちと一緒にちょっと相手にしてやろうよ?』
開閉する指は瞬間瞬間に蟹のハサミへと変わっていた。声を掛けた怪生物と同じ形の。
女は後退りすると、暗闇から大きな鋏が伸びて、男の亡骸を引き摺り込む。
服が引き裂かれ、骨が砕かれる音が洞窟内で響き渡る中、女は食事をする我が子を愛おしむ目で見ながら左手を下ろし、指をショートパンツにねじこむと、己の秘所を鳴らし始めた。
股の部分から愛液が雫の様に溢れると、下に落ちていた石にぴたりと落ちた。雫がブクブクと音を立てて緑色の泡に変わり、硬い石をじわじわと跡形も無く溶かしていった。
自らの番である男「童子」を鬼に葬られ、それと同時期に人間で無い自分にあるはずのない欲望を感じ、それを確かめる様に男の精を貪ったことでにある欲望を確信しそれの虜になった女「姫」は、やがて我が子と自分を倒しに来るであろう鬼の肉棒を味わう事を楽しみとしながら、束の間の快楽に浸っていた。
女の口から漏れる喘ぎ声はとても低かったが、とても色気の漂う艶かしい響きだった。
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