世界をエロに染め上げよう委員会 作:赤沙汰無破魔萢和
世界をエロに染め上げるのならばどういう風にすれば実現できるのか。
エロに染まった世界。しかし誰もがそこかしこで性的な行為を行ってばかりいては人間の社会が保てるわけが無いし、一部でそういう生活を行うのであれば別の場所ではその場所を支えるために十分以上の働きをしなければならない場所が出てくる。それではとてもエロに染まった世界とは言えない。
人間を含む世界では、当たり前のように競争が存在する。最も原始的なそれに名を付けるのであれば『生存競争』。生きるために、自身が必要とするものを、誰かの手に渡って手に入れられなくなる前に手に入れる。それが競争の根幹だ。
つまり、その競争においてより自身が有利になるような設定を用意すれば、人類及びそれ以外の生物における関係の中でその設定が使われなくなることはまずありえない。そしてその設定をエロいものにしておけば、誰もが行うありとあらゆる競争という行為においてエロが必ず絡むようになるのではないか。私はそう考えた。
私の人生の目的は、物心ついた時には既にそこに広がっていた地獄の光景から始まる。
数々の争いがあり、地球に存在していた自然の多くが消え去った。地表の多くは荒れ果てた砂漠となり、海は菌とウィルスくらいしか存在できない死の水に変わり、かつては数十億にも届いた人口は既に一億を割っている。
そんな世界を救い上げるために、かつて存在した暗く深い電脳の海を泳いだ。数々のバグが、無数の断片データが、不要な情報が犇めくそこで、私はかつて平和だったと思われる頃のデータと遭遇した。
それは、一つのゲームであった。現在使われているゲームとは規格も何もかも違うそのゲームは、しかし現在にあるどんなゲームよりも新鮮であった。
リアリティのない設定。身体の様々な比率がおかしい絵。現在の録音技術からすると話にならないような音声。しかしそれは、私の心に火をつけるのに十分な熱を持っていた。
その内容について調べてみれば、古い古い電脳の海にゴミのように捨てられていたデータの中にそのゲームについて様々な発言が記録されていた。その中の一つが、私の人生をどう使うかの方針として定めるものとなった。
『エロは世界を救う』
現在にもエロは存在する。しかし、滅びに向かっているこの時代ではどうしても下火になっていく。最盛期はすでになく、遥か過去に残骸を残すのみ。だからこそ、この世界に平和を、エロを齎すには大きな犠牲が必要になる。ただ滅びゆくだけの人生ならば、完全に滅びゆく前に派手に使い切るのも悪くない。
星をいくつも連結した巨大な機構の中心部で、世界は再生の時を迎える。機構の心臓部が唸りをあげ、世界を、宇宙を、新たな世界を作るための材料として取り込んでゆく。
その引力に耐えられるわけがなく、私は機構に飲まれた初めての人間となった。