深夜の侵入者(天上院明日香1)
私は間違っていたのだろうか?
みんなが困っていたから。
みんなが喜んでくれるなら。
そんな考えで私は引き受けていた。
でも、そこに私の意思はあったのだろうか?
今はもう、分からない。
「「デュエル!」」
直人 LP4000
明日香 LP4000
明日香は最近多発していたオベリスクブルーの生徒の夢遊病事件の調査をしていた。
突然夜中に生徒が居なくなり、暫くするといつの間にか帰って来ている。
その調査の途中、島を徘徊する不審者を見つけたのだ。
存在しない黒いアカデミアの制服を着た黒髪の少年、名前を闇乃直人と名乗って来た。
「私が勝ったら貴方の目的、聞かせて貰うわ」
「あぁ良いさ。 ただ……勝てはしないがな! オレのターン!」
不審者は明日香の問いかけに対してデュエルで決めることを提案してきた。
明日香としてもデュエルで決めるのに異論はなく、むしろやる気である。
「場にフィールド魔法が存在しない時、ライフを500払い、デッキより【奴隷コロシアム】を発動!」
「えっ!? これは……?」
直人 LP4000 → LP3500
いきなり発動した魔法カード。
それにより夜間の道であったフィールドが巨大なコロシアムに変わっていく。
そしていきなり飛んできた首輪が直人と明日香の首に嵌められた。
「これはオーナーの証……まぁすぐ分かるさ。 オレは【奴隷闘士バンサー】を攻撃表示で召喚。 このカードは場に【奴隷コロシアム】があり、他にモンスターが存在しない時、攻撃力を800上げる。 そしてカードを1枚セットしてターンエンド」
奴隷闘士バンサー 星4 攻2500 守0
「条件付きとはいえ1ターン目から攻撃力2500……やるわね。 私のターン!」
現れた黒豹の戦士のパラメーターには多少驚いたが、明日香は怯まず自らのターンを迎えた。
相手が強くても構わない。
むしろそれが糧になる。
この3年間で明日香が覚えたことだ。
「私は手札より【サイバープチエンジェル】を召喚! デッキより【機械天使の儀式】を手札にくわえて発動! 手札の【サイバー・エンジェル韋駄天】をリリースして【サイバー・エンジェル弁天】を儀式召喚!」
明日香が得意とするのは儀式召喚。
それはリソースは消耗しがちだが、1ターンに強力なモンスターを出すのは得意だった。
「【サイバー・エンジェル韋駄天】の効果で【サイバー・エンジェル弁天】の攻撃力を1000上げる! バトルよ! サイバー」
「おっと待てよ。 フィールド魔法【奴隷コロシアム】の効果発動。 バトルフェイズに入る際にそのプレイヤーは一体のモンスターを選び、そのカード以外で攻撃することは出来なくなる」
「連続攻撃封じってことね……私は【サイバー・エンジェル弁天】を選ぶわ! 【サイバー・エンジェル弁天】で【奴隷闘士バンサー】を攻撃!」
黒豹にむかい身を跳躍させる弁天。
次の瞬間、一閃した扇による一撃は黒豹の首を落としていた。
そして明日香は驚きの光景を見ることになる。
「グァアアアア!!」
「な、なに!?」
直人 LP3500 → LP3000
直人に付けられた首輪から明日香からも確認出来る目に見える電流が走ったのだ。
その電流は呆然とする明日香が見る中、直人を責めたてるも暫くすると止まった。
しかもライフの減り方も違う。
本来なら弁天と黒豹の攻撃力の差は400。
だが実際に受けているダメージは500であった。
「ぐ……はぁぁ……【奴隷コロシアム】がある限り、モンスター同士の戦闘ダメージは発生せず、代わりにモンスターが破壊される度に500のダメージを受ける。 ククッ安心しな明日香。 お前の首輪は痛みは出ねぇよ」
「っ……ターンエンド」
不意に名前を呼ばれながらもまるで電流に怯えてる扱いをされた明日香は少しだけ頭に血が上りかけたが、それを耐えた。
1年以上前なら冷静さを欠いていたかもしれないが、今の明日香にあの頃のスキはない。
「オレのターン。 手札より【生贄の準備】を発動。 デッキから【奴隷闘士オーガス】と【奴隷入場】を手札に加え、【奴隷入場】を発動。 手札の【奴隷商人】をリリースして【奴隷闘士オーガス】を儀式召喚!」
奴隷闘士オーガス 星6 攻2000 守0
「儀式召喚……きゃあ!?」
直人もまた儀式召喚の使い手だったことに驚く明日香だったが、更に現れたモンスターを見て思わず女の子の悲鳴を上げてしまった。
現れたのは巨大なオーガのようなモンスターだったが、全裸だったのだ。
本来ソリッドビジョンでも表現されない、その巨体に合った巨大なチンポが曝け出されていた。
「な、なんなの! そのふざけたモンスターは!」
自他共に認めるデュエルに恋した女である明日香。
ただそんな明日香でも流石に見るに耐えない存在であった。
「ハハッ戸惑ってる暇はないぞ? 【奴隷闘士オーガス】で【サイバープチエンジェル】を攻撃!」
「っ!」
今はデュエル中。
そう言いたげな直人の言葉に気付かされた明日香は
目を背けるのを止めた。
サイバープチエンジェルを破壊されるのを止める方法は今ない。
ライフは500しか減らないが、きっとあの電撃が自分にも来るだろうと明日香は気を引き締める。
だが明日香の予想とは違うものが来ることには気付いていなかった。
「う、ふぁぁああぁぁぁぁ!?♡♡♡」
確かに電撃はきた。
だがそれが与えるものは痛みではなく快楽であった。
それはデュエル一筋の明日香には未知のもの。
故に全身を襲う快楽電流に明日香は声を抑えることも忘れ嬌声を上げていた。
そして電撃が終わる頃には明日香は呆けた表情で座り込んでいた。
明日香 LP4000 → LP3500
「な……に今の?」
「なんだ知らねぇのか勿体ねぇ。 今のはな快楽だ」
「快……楽」
明日香とて快楽を得るために自らの慰める行為自体は知っている。
だがあまり興味がなかった上に少しだけ自らの秘部をそういう目的で触ったことがあるが、痛かったのですぐ止めてしまったのだ。
故にその快楽の一撃は少なからず明日香の心に一本の楔を打ち込んでいた。
まだ明日香自身は気付いていなかったが……。
「ならこのデュエルでたっぷり教えてやるよ。 女の幸せをな。 【奴隷闘士オーガス】がモンスターを破壊した際、ライフを500回復して攻撃力を500上げる。 ターンエンド」
「え……あ、わ、私のターン!」
向かい合う不審者である直人の目線はクラスメートから聞いたいやらしい目線だが、何故かその言葉はふざけてばかりだが実は自らを大切にしてくれる兄を思い出させた。
その思考をぼんやりとした頭で考え座ったままであった明日香だったが、直人の言葉にデュエル中だったことを思い出してすぐに立ち上がった。
少しだけふらつくがまだ大丈夫だ。
(デュエルに集中しないと……まだ攻撃力は勝ってる。 でもライフを回復してきたということは長期戦狙い……なら)
サイバー・エンジェルデッキにはライフを回復する手段はある。
だが今はデッキの調整上入っていなかった。
ならば長期戦になるなら不利になるのは明日香。
明日香自身はそう考えた。
「私は【サイバープチエンジェル】を召喚してデッキから【機械天使の絶対儀式】を手札に加え、そのまま発動! 墓地の【サイバー・エンジェル韋駄天】をデッキに戻して手札より【サイバー・エンジェル韋駄天】を儀式召喚! 墓地の【機械天使の絶対儀式】を手札に加える!」
奴隷コロシアムがある限り攻撃出来るのは一体。
それを考えればモンスターを増やすこの行動は無駄だったが、明日香の考えは違った。
(相手も動かせるモンスターは1枚、このままモンスターを増やしていってコロシアムを破壊すれば勝てる!)
奴隷コロシアムの破壊を視野に入れたのだ。
長期戦になればお互いのモンスターを破壊し合うことになる。
それを考えた明日香はある程度のダメージを覚悟して短期決戦をしようとしているのだ。
「バトルよ! 【サイバー・エンジェル弁天】で【奴隷闘士オーガス】を攻撃!」
素早い動きでオーガスに迫る弁天。
その扇による一閃はオーガスの首を落とすかと思われたが、そうではなかった。
首には当たっていたが、切り落とせはしなかったのだ。
「【奴隷闘士オーガス】の効果発動。 このカードはデュエル中一度だけ攻撃力を500下げ、破壊を無効化する」
「くっ……ターンエンド」
今明日香が考えている戦略において相手のモンスターを減らせなかったのは痛手である。
一気に攻撃する際、相手モンスターが少なくなければ倒し切れない可能性は高いのだ。
「目論見が外れたみたいだな。 オレは手札より【奴隷補充】を発動。 デッキから2枚奴隷と名の付いたカードを手札に加える代わりに相手は2枚ドローする。 手札に加えたのは【暴走奴隷ギガ】と【奴隷入場】」
「……私も2枚ドロー」
お互いの手札補充。
この意味を考えなければならない明日香だったが、既に意識は次に訪れることに向けてしまっていた。
ライフを削られる判断はした。
だがその際に訪れる快楽に関しては覚悟が出来ていなかった。
都合上直人の連続デュエル。
理由があり暫くちょっと単調気味です。
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