第一被害者(真崎杏子1)
一目見た時から怪しい人だった……。
全身黒尽くめの格好はグールズの生き残りかと思ったし、何よりフードから覗く眼、爬虫類かと思うギラギラした眼が私を見つめていた。
でも最後のあの二人の戦いを見て私はデュエルに対して想いを持てたし、何より遊戯に教えて貰ってある程度の自信を持ってしまっていた。
だから私、真崎杏子は受けてしまったのだ。
怪しい人のデュエルの申し込みを。
「「デュエル!」」
怪しい少年 LP:4000 手札5枚
杏子 LP:4000 手札5枚
デュエルの宣言と共にその異変は起こった。
周りの風景が闇に飲まれて消えていき、まるで世界に二人だけしか存在しないような感覚に陥る状態。
その状態に杏子は覚えがあった。
「まさかこれって……」
「闇のゲームの始まり始まり……ってね」
戸惑う杏子を楽しむように笑う男、いやフードから覗く顔や声からすると杏子と変わらない年齢の少年だろう。
だがその笑みには狡猾な老人のようなオーラがあった。
「もう逃げられないよ……【淫虫の卵】を守備表示で召喚。 カードを2枚セット……ターンエンド」
ソリッドビジョンにより再現されたモンスターの中には無論女性デュエリストから見れば気持ち悪いものもある。
だが少年の召喚したモンスターは色々なデュエルを見てきた杏子から見ても気持ち悪いものであった。
闇の中から生えてきた肉の塊のような物体。
何故かいつものソリッドビジョンよりも生生しく感じる存在だった。
淫虫の卵 守備表示
星1 闇属性 昆虫族
攻0 守500
「っ……私のターン!私は【チョコ・マジシャン・ガール】を召喚!効果で一枚捨ててドロー!」
恐怖に負けてはいけない。
杏子は内心感じた恐怖を振り払うように首を振って少年を睨んだ。
ようはこのデュエルに勝てば良いのだ。
「バトルよ! 【チョコ・マジシャン・ガール】で【淫虫の卵】を攻撃!」
「【淫虫の卵】が破壊された時、【淫虫トークン】を守備表示で産み出す。 更に【淫虫の卵】を破壊したモンスターの攻撃力、守備力を100落とし、相手プレイヤーに100Pのダメージを与える」
だがやはり恐怖を振るいきれてなかったのだろう。
チョコ・マジシャン・ガールの魔法による攻撃により肉の塊は弾けたが、代わりに大きいミミズのようなモンスターが現れた。
更にそれだけでは終わらず弾けた肉の塊から出たピンク色の霧が杏子のフィールドを包み込んでいた。
淫虫トークン 守備表示
星1 闇属性 昆虫族
攻100 守100
「……私はカードを一枚セットしてターンエンド……え?」
発生した霧を軽く払うようにしながらも少し不用心な攻撃をしたことを少し反省していた杏子は少し違和感を感じていた。
相手の肉の塊は初めて見たモンスターだったから気付かなかったが、自分のモンスターは見慣れている。
だから気付いた。
確かにソリッドビジョンは素晴らしい再現度である。
一部の女性型のモンスターを召喚し、いやらしい目で見る人が居ることは城之内や本田が話していたのを聞いたことがある。
その時は杏子も自身が使っているモンスターがいやらしい格好をしているかもと悩んだものだ。
だがその時とは違う。
杏子を守るように前に立つチョコ・マジシャン・ガール。
その姿はまるで本当にこの場にいるかのようで。
息遣いやほんのりかいた汗の匂いまでする。
これが闇のゲームによるものだとすぐに気付いたが、モンスターをリアルに表現する理由は分からなかった。
更に自分とチョコ・マジシャン・ガールを襲っていた異変にも。
怪しい少年 LP:4000 手札2枚
淫虫トークン 伏せ×2
杏子 LP3900 手札4枚
チョコ・マジシャン・ガール 伏せ×1
「エンドに合わせ永続罠【淫虫の巣】を発動。効果により俺のターン開始時に【淫虫トークン】を一体産み出す」
杏子が自分のモンスターに注目している中、少年の場には巨大な肉の塊の山のようなものが出現した。
そしてその塊に空いた穴から先ほどのミミズが現れ場に並ぶ。
(攻撃力は殆どない……効果ダメージで攻めてくるタイプ?)
杏子の使うマジシャンガールデッキは攻撃されて効果を発揮するタイプが多い。
一見あまり攻撃力が高くない相手のデッキを見て杏子は相性の悪さを悟っていた。
「場に2体以上の淫虫モンスターが存在する時、手札より【中級淫虫ババ】を特殊召喚。その効果により自らの場のモンスターを破壊する」
「自分のモンスターを?」
中級淫虫ババ 攻撃表示
星6 闇属性 昆虫族
攻2000 守備800
ミミズ達を潰して現れたモンスターはまたも気持ち悪いものだった。
先ほどのミミズを大きくしたような物体で、その前面には顔の部分の殆どを占める巨大な口を持ったモンスターだ。
そのモンスターにより潰したモンスターを見て杏子は疑問を思ったが、すぐに理由は分かった。
先ほどの霧が潰されたモンスターより発生したのだ。
今度は杏子には届かないが、チョコ・マジシャン・ガールを包み込んでいる。
「【淫虫トークン】が場から離れた時、相手モンスターの攻撃力、守備力を100下げる。 さぁバトルだ……【中級淫虫ババ】で【チョコ・マジシャン・ガール】を攻撃」
「っ! 【チョコ・マジシャン・ガール】の効果発動! 墓地から蘇って【アップル・マジシャン・ガール】!」
迫りくる巨大ミミズに急いで杏子はチョコ・マジシャン・ガールの効果を発動した。
それにより先ほど効果の際に墓地に送ったアップル・マジシャン・ガールが身を翻して召喚された。
その身もどこか人間のような肉体をしている。
「【チョコ・マジシャン・ガール】の効果により攻撃対象を【アップル・マジシャン・ガール】に! 更に効果により貴方のモンスターの攻撃力を半減させる!」
相手のモンスターの攻撃力は2000。
半減させれば攻撃力1200であるアップル・マジシャン・ガールで倒せる。
そう思った杏子はアップル・マジシャン・ガールの効果を発動させなかった。
「【中級淫虫ババ】のモンスター効果発動。 このモンスターは戦闘によって破壊されない」
「でもダメージは受けて貰うわ!」
「ぐぅ! はぁぁ……あー痛いなぁ……でも」
少年がダメージを受けた途端どこか過剰な反応をしたが、直後息を吐くと今までより邪悪な笑みを浮かべた。
「【中級淫虫ババ】のモンスター効果……このモンスターと戦闘し、破壊されなかったモンスターの攻撃力と守備力を1000下げる……さぁ楽しみの始まりだ」
「楽しみ……え? っ!? ぁぁァァァ!?」
一度は退けた巨大ミミズ。
そいつは再度アップル・マジシャン・ガールに近付くとその口から粘着質な液体を一気に吹き掛けた。
その時である。
杏子の全身に異常事態が起こったのは。
「〜〜〜〜熱ィ!!熱ィ!!」
痛みは不思議とないが、ビリビリと痺れ、間近でストーブに直接暖められているような感覚がする。
それが全身ともなれば杏子が自らの体を抱きしめるように座り込んでしまったのも仕方ないだろう。
だがそれは杏子だけではなかった。
粘液をかけられたアップル・マジシャン・ガールは杏子以上の反応で倒れ込み全身を真っ赤に染めて体をビクつかせていたのだ。
そこに普段の天真爛漫な様子はなく、口を何度も開いては閉じている。
「驚いたかい? この闇のゲームはね……男は痛覚を、女は快楽を、モンスターと共有するんだよ」
区切り方が難しい……。
こう書いた方がいいよ!ってアドバイスも取り入れられたら頑張ります。
まずはエタらないことを目標にします。
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