※この作品はR-18です。

業深迷宮日誌   作:黒山羊

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ノクターンから移植ついでに加筆修正していきます!
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迷宮日常編
プロローグ


 遊戯世界。邪神と聖神、二柱の姉弟神が悠久に競い合うこの世界において、魔物は人の欲望や苦悶から瘴気を搾り上げて『進化』し、人は魔物を狩る事で聖気を身につけ『職業』の位階をあげて力を得る。

 

 そんな中、魔物以外のどんな生き物でも生み出す精気と、快楽によって生まれる淫気を餌にセコセコと夜を這い回るのが、『淫系統魔物』略して『淫魔』と呼ばれる魔物たちだ。

 

 膂力を以って獲物を叩きのめし、その身に苦悶を与えて瘴気を搾取する強大な魔物たちに比べれば、搦手に特化している淫魔は貧弱である。

 

 だからこそ、多くの土地で彼らは冒険者の獲物となり、決して危険視はされていない。

 

 だが、この世界における唯一、大陸南方の湿地帯においてだけは、その事情が異なっていた。

 

 ネミツ湿地帯。10年前に出現した『淫魔』のダンジョンによって大陸南部有数の危険地帯と化したその場所は、同時に数多の冒険者が富を求めて集まるフロンティアにもなっている。

 

 沼地に群生する夢魔睡蓮、泥を這う魔淫蟲。そのどれもが淫系統の魔物であり、同時に強力な強壮剤の原料なのだ。

 

 古くから三大欲求の1つに数えられる『性欲』。その欲望を満たすための薬剤は身分を問わず人気が高い。故にこそ、それを売りさばく事で一山当てるというのは、決して間違った発想ではなかった。

 

 だが、そんな軽い目的で赴けるのは、あくまでネミツ湿地帯のみ。

 

 その中心に聳えるのは、自慰に耽る巨大な姫君の像。その台座である門の先、未だ踏破されぬ大迷宮『業深迷宮バビロン』にそんな軽々しい気持ちで足を踏み入れれば、決して生還することは叶わない。

 

 その声に魅了の魔力を乗せる鬼『淫角鬼』。

 

 不定形の泥の身体で物理攻撃を受け付けない美しきインキュバス『淫泥魔』。

 

 バイブレーションする拳で岩を砕き、ついでに子宮パンチをキメる凶悪な甲殻類『震撃蝦蛄』。

 

 そして蓮に宿ったアルラウネの如き妖女にして、夢魔睡蓮の進化系『淫精芙蓉樹』。

 

 それらに代表される迷宮内に犇めく淫系統魔物は、確かに秘薬妙薬の原料となり、その部位は高額で取引きされる。しかし、それはあくまで魔物に勝利出来た場合の話。

 

 大抵の場合、発生後10年を経て凶悪なまでに進化を重ねた迷宮内部の強力な魔物を前に、人間は膝を屈するしかない。それがわかっている者は、到底迷宮内部に入り込もうとは思わないのだ。

 

 だが————いつの世も、どうしようもない馬鹿や、切羽詰まって後がない者、そして自身の実力に驕る者というのは一定数存在するのである。

 

 例えば、迷宮発生の初期に迷宮に堕ち、快楽漬けの果てに苗床にジョブチェンジして、今や迷宮核バビロンの寵妃となった『アンナ』の場合は前者。スラムの出である彼女は、迷宮のもたらす快楽によって正気を失い、邪神の配下に成り下がった。

 

 あるいは冒険者として迷宮に乗り込んだ『マイノーラ』『ルウシャ』『ジェシカ』のパーティは後者。

 

 自身の実力を見誤った彼らは、マイノーラは蟲の苗床にされ、ルウシャは乳をあり得ないほどに膨らまされてミルクサーバー化、ジェシカは戦利品として淫泥魔の長シヴリンに捕らえられて悪魔の子を孕まされている。

 

 そう、この迷宮の最も恐るべき能力は、人間の堕落。一度堕ちればこの迷宮の与える無限の快楽から逃れる術は、存在しない。

 

 媚薬を越え媚毒と化した迷宮の濃霧、麗しくも狂気的な捕食者たる上位の淫魔たち。

 

 本来弱者であり、進化を望むべくも無い淫魔達にとっての唯一にして至高の楽園。

 

 

 業深迷宮バビロン。それ自体が意思を持つ淫魔であり、貴金属と貴石で形作った美少女ゴーレムを依代とする迷宮核。

 

 

 これは、そんな業深迷宮における、狂気と快楽の記録である。

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