※この作品はR-18です。

業深迷宮日誌   作:黒山羊

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第3回! 苗床オーディション! 【第3の試練、蠱毒のグルメ『家庭料理を作るコツ』ッ!】

 手料理を振る舞うというお題。それに対し、各々が集合知による多品目の料理や、特技である母乳や精液を使って挑んでいる。

 

 そんな中で、イゥアはそれらの面々とはまた違った手法で、調理に挑んでいた。

 

 メリメリと、彼女の1番上1対のおっぱいにある計16箇所の乳マンコの出口を開いて登場したのは、第3種目で得た休眠受精卵の一部を使って産み出した赤子。

 

 よもや人の子を喰うつもりか、と見守る観客たちがざわつくが、彼女の狙いはそうではない。産まれた子供は初乳を吸わせてやった後スタッフに預け、その後におっぱいマンコからあるものをひり出したのだ。

 

 それはいわゆるところの後産。彼女の手にあるのは、胎盤と臍の緒である。出産16回分のそれを使って、料理をしようというのが彼女の計画だった。

 

 まず、一つ目の胎盤はよく洗って表面の皮を剥き、中の赤肉を血抜きし、薄切りにして、塩と胡麻油、生姜で和えて味をつける。簡単だが、新鮮な胎盤肉の刺身はシンプルに美味い。余計な手を加える必要がないのだ。

 

 生みたてほやほやの胎盤肉の食感は、コリコリとしたホルモン系。肝臓の刺身に近い味わいだ。

 

 続いて、炒め物。これも肝臓同様の扱いでまず間違いない。今回イゥアが選択したのは野菜炒め。行者ニンニクを使った精のつく一品だ。

 

 そもそも、胎盤というのは、生薬としても人気がある物だ。ましてや、超改造を受け全身生殖器と化したイゥアのそれは、凄まじい精気を帯びている妙薬。食べれば精力絶倫間違いなしである。

 

 さてでは、胎盤以外のものとして取り置いていた臍の緒は? 

 

 こちらについては、ようするに太い血管をムコ多糖類のゲルが覆っているものだ。ゲル状でプルプルしているそれと、下処理した胎盤。それらを一口大に切ったら、刻み生姜と共に煮物にする。

 

 煮物に用いるのは、迷宮産の『蟲醤』。魔淫蟲を使って作った醤油で、ようするに魚醤の様なものだ。作り方は簡単。魔淫蟲を塩漬けにして密閉容器で1年熟成するだけ。

 

 魚醤とも醤油とも異なる点は、その風味。お察しの通り媚毒のたっぷり溶け込んだそれは、甘い香りを持つ甘塩っぱいソースになっているのだ。

 

 味醂など使うまでもなく、これ一つで煮物が出来上がる便利調味料として、迷宮では大変重宝されている素材である。

 

 もちろん、豆を使った醤油や魚を使った魚醤もあるが、煮物なら蟲醤というのが鉄板なのだ。

 

 そうして、刺身、炒め物、煮物と揃った胎盤料理。16人分もあったそれを贅沢に使ったことで、大皿料理と化しているが、イゥアはそこに勝算を見出していた。

 

 そもそも、家庭料理を作れと言われて一人前を作る方がどうかしている。というのが彼女の持論だ。何十、何百、何千何万何億の子供を産もうという苗床が、『大家族用の料理』を作らないのはちゃんちゃらおかしい。

 

 だからこそ、山盛り料理。大皿に盛られた料理を好きなだけ喰らうがいいという、大家族のママさんスタイルこそがイゥアの意図だ。

 

 そして、それが故に、イゥアが最後に繰り出す料理は決まっている。

 

 調理しながら追加妊娠しておいた赤子を産み落とし、胎盤を16人前追加。それらの下処理を迅速に行った後、性豪鼠娘のバターを溶かした大鍋で炒めて焼き色をつける。

 

 そうしたら玉ねぎを投入してさらに炒め、水と月桂樹の葉を加え、人参と芋を追加。

 

 それらを弱火で煮込む間に、イゥアは乾燥スパイスを取り出していく。

 

 クミン6掴み、カルダモン4掴み、シナモン6掴み、ターメリックをどんぶり一杯、唐辛子、胡椒、生姜適量を石臼にぶち込んで擦り潰し、フライパンで乾煎り。それらを大鍋に投入して、さらに煮込む。

 

 そうしたらその間に、大きなお釜にたっぷりの湯を沸かし、赤米をどっさり入れて茹で溢す。

 

 その後大きなザルにあけて水気を切ったら、お釜に戻してかき混ぜながら熱を通し、蓋をして蒸らす。

 

 そう。出来上がるのは、超大人数用のカレーライスだ。都合、育ち盛りっ子10人前。『大家族ばっちこい』というイゥアのスタイルを剥き出しにした大量の食事は、果たして吉と出るのか凶と出るのか? 

 

 飲み物として搾りたての母乳もたっぷり用意して準備万端な彼女。その料理が提出されたのは、他の面々と全く同時。

 

 複数の端末を操るアバドンによる、実食がいよいよ始まろうとしていた。

 

 

 * * * * * *

 

 

「ふぅむ。キルカ先生、それぞれに個性的な料理たちですが、どの選手が有力なのでしょうか!?」

「難しい質問をしますねセプゥキさん。……うーん、シンプルな屋台飯のセルゥさん、女子力とおっぱい力高めのミルクづくしメニューのヘゥーイさん、本格多品目料理のテビウさんに、大量大皿料理で大家族感のあるイゥアさん……私の趣味で選ぶとセルゥさんですが、これは会場の意見も分かれるでしょうね」

「数字で測れない種目だけに全員互角というわけですね! ちなみに私はテビウさんの本格料理が食べてみたいです!」

「うーん、本当にどれも捨てがたい。……しかし、今回はアバドン様の判定が全てです! 我々は判定結果を見守るとしましょう!」

 

 そんな実況の響く中、複数のアバドンは、同時に提出されたそれぞれの料理に食らい付いた。

 

 セルゥの作った、『白露揚げ』は、パリッと揚がった皮を噛むと中から濃厚な精液が溢れるトロトロジューシーかつジャンクな食べ応え。脂っこい揚げ物の後にセットの母乳スムージーを飲んで口内をさっぱりさせるのは中々の快感だ。

 

 一方、ヘゥーイの3種のソースで楽しむ母乳ドーナッツ。練乳、チーズ、そしてエビのソースを楽しめるのは、ちょっとずついろんな味を楽しみたい女子には嬉しい気遣いだ。練乳のまったりとした甘味。チーズの濃厚な旨味。エビの香り豊かな出汁。3つが綺麗にまとまっていて飽きが来ない。

 

 ではテビウは、といえば、単純に上手いし美味い。鯉の唐揚げはフワッと溢れる肉厚の白身が幸福感をもたらし、ピラフはいくらでも食べられそうな、魚介出汁と塩気と炭水化物のコラボレーション。そこに添えられた鴨スープはほっこりとさせてくれつつ口内に残る後味を濯ぐ名脇役。発酵乳も甘酸っぱくて付け合わせにはちょうどいい。

 

 だが。結局アバドンに選ばれたのは。

 

「うーん。これは勝者、イゥアかな。お刺身、煮物、炒め物、カレー。割とシンプルな料理が多いけど、とにかく量がたっぷり作れているのが好印象だ。味も美味しいしね。……だが。テビウの料理ははコンセプト負けしていたが、とにかく1番旨い。よってテビウには料理の腕に私のお墨付きを与える事で報いたい。ヘゥーイやセルゥも悪くは無いが、家庭料理では無いかな。しかし屋台で出すと売れそうなので、是非検討して欲しい。以上」

 

 端的に語られたその結果は、イゥアの作戦勝ち、というより、コンセプトへの理解力勝ちとなった。テビウは勝負に勝って試合に負けた形である。

 

 イゥアの料理は、それなりにちゃんと美味しく、量がたくさんな『家庭料理』としての完成度が高く、テビウは『料理』としての完成度が高かったというわけだ。

 

 良いシェフが必ずしも良い主婦とは限らない。そんな結果となった第3種目も終わり、残るは第4種目。いよいよ佳境となった第3回苗床オーディションに、観客たちのボルテージは最高潮を迎えつつあった。

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