無数の脚を持ち、頭部には長い触角の様な触手。シルエット的にはかなり『ムカデ』だが、長さは2歩ほど、太さも5指はある巨大な長虫だ。虫と言うにはあまりにデカい。
だが、その生態と正体は、カギムシのそれを多分に反映している。もちろん、魔物化によって変異している点もあるのだが。
代表的な変異点を挙げるのならば、雌雄同体化だ。オスの機能とメスの機能を同時に持つことで、より効率的に増えられる様に進化している。
と、いうものの、ムカデの様な地虫の性別など専門家以外にはわからないので、外見的には微差である。
では、見た目にもわかる変異点はあるのかと問われれば、ある。カギムシが持っていた『粘液腺』の増設だ。
頭部に左右1つづつ付いているのが元の姿だが、これが2つづつに増えているのだ。
そして、その四連装砲が、少年に向けて放たれた。
波打ち、広がりながら飛翔する粘液のロープ。見事なまでの面制圧攻撃は、驚く少年をその場に磔にし、一切の身動きを封じてしまう。
まるで、瞬間接着剤で出来たゴムの様なその性質は極めて厄介だ。剛性よりも粘弾性と粘着性で相手を捕らえるその仕組みは、どんな力自慢でも容易には振り解けない。
そして、その粘液で捕獲した少年に近づいた百足淫蟲は、彼の体を触手とその単眼で物色しつつ、同時に幾つもの『親指大の白い塊』を生みつけて行く。
コレは、百足淫蟲の精子がたっぷりと詰まった袋である。そんなものをペタペタと貼ってどうするんだ、と思ってしまうだろうが、百足淫蟲の精子は特別製だ。
「んッ!? んんっ♡♡♡」
全身を襲う甘くむず痒い感覚に喘ぐ少年。それは『皮膚を食い破って百足淫蟲の精子が体内に侵入した』事によるものだ。
無論、少年は男の子であるし、百足淫蟲に『問答無用で着床させる』系の能力はない。だが代わりに、その精子は濃厚な媚毒を内包しており、少年の肉体を非常に活性化させてしまう。
結果として少年は陰茎を大きく膨らませ、百足淫蟲はその柔らかな身体で陰茎に巻きつくように抱きつくと、無数の脚を使って、優しく陰茎を擦り始めた。
ビロードの様なその滑らかな表皮と、自在に蠕く脚。極上の手コキを受けている様な快感に、少年は呆気なく射精してしまう。
その精液をたっぷりと浴びた百足淫蟲の肌はしかし、まるで飲み干すかの様に精液を吸収して行く。
この現象について、聡い者ならすぐにピンとくるだろう。
そう、百足淫蟲は、『体表から精子を取り込む』という行為が基本の生殖形態なのだ。コレは、カギムシも同様である。
そして、カギムシ同様に、百足淫蟲は『虫のくせに胎盤を形成して赤ちゃんを産む』胎生である。
それを反映してか、少年のチンポに絡み付き、精液と精気を搾り取るその肉体は、次第に膨らんでいく。そして、程なくして『出産』が始まった。
百足淫蟲にとってはお尻の部分。そこにある女性器から、にょろりと這いだすのは、肌色の蟲。
だが、その姿は、何かがおかしかった。
まず色がおかしい。百足淫蟲は鮮やかなピンク色であり、決して肌色ではない。
そして次に、頭部がおかしい。そこにあるのは、触角を備え、口の構造や骨格が些かおかしいものの、確かに『人間の頭部』だ。
そして最後に、その蟲の短い脚には五指があり、まるで人間の手の様だった。
……いや、まるでというより、コレは、人間の形質を明らかに備えているらしい。
「あぅー」
そう『産声』をあげながら、生まれ落ちた赤子。人間を無理やり百足にした様なその姿は、かなりホラーチックだ。
だが、その異形の赤子は己の外観に戸惑うこともなく、器用に無数の『手』を動かすと、少年の身体に這い上がって行く。
魔人。そう呼ぶべき、呼ばれるべき存在なのだろうが、どうしても『人間のパーツで蟲を作りました』感が滲み出ていて、受け入れ難いところがある。
だが、邪神によって決定されたその種族名は間違いなく『百足淫蟲魔人』であった。
そして、生まれたばかりの百足淫蟲魔人は少年の身体を無数の小さな手で弄って性感を齎しつつ、自身の生みの親である百足淫蟲や少年に、体の後部についた小さな男性器から精液をブッ掛ける。
その精液で受胎した百足淫蟲は今度は同じ百足淫蟲を産み落とし、百足淫蟲が増殖した。
どうやら、百足淫蟲魔人の精液は『蟲としてのもの』と『人としてのもの』に分かれるらしい。今回は、蟲の方の精子が受精したのだろう。
そして、母胎である百足淫蟲の増殖が意味するのは『ネズミ算』だ。
だが、それだけではない。次々と生まれる『百足淫蟲魔人』は一応半分は人間であるが故に、精気を産み出す能力を持っている。
故に先に生まれた『兄姉』に対して弟妹が群がって精気をむさぼり、小さな男性器から溢れる精液を喰らっていく。
肌色とピンク色の蟲が絡み合い、少女の様な少年の様な顔をした蟲共が嬌声を上げる。蠱毒にしてももう少し手心が欲しいと思ってしまうようなその蟲地獄の中央に埋もれた少年は、もはや正気を失っている。
いや、無理もない。彼の体表には絶えず精子の袋が生みつけられ、もはや血管内は血球よりも精子の方が多く泳いでいる有様だ。
そして、その精子が媚毒となって吸収され、今度は自身の精子がチンコから搾り取られる。
その挙句に、産まれ落ちるのは人間の要素を持つ百足淫蟲魔人。気も狂おうというものだ。
だが、そんな彼の状況は、更に悲惨なものになる。
最初に生まれた百足淫蟲魔人。精気を喰らい、精子を喰らい、大きく成長した事で、各パーツのサイズが人間のそれへと成長した事で、いよいよ以って『高熱を出した時の夢に出るエグい化け物』としか言いようのない人間百足と化したその個体は、なんと1対の腕の間に1対の乳房を発達させたのだ。つまり、女性の腕、肩、胸を1ユニットとした構造が無数に連なっているのである。
そして厄介な事に、その乳房は『異形のそれ』であった。見た目は確かに形の良い巨乳だ。だが、その分泌物は、『母乳風味の媚毒が混ざった百足淫蟲の粘液』だったのである。
無数の乳房から放たれる、夥しい量のミルク粘液。それは少年と蟲達を絡め取り、一塊の粘液の山に変えてしまうだが蟲達はその滑らかな体表のおかげなのか、粘液の中を自由に移動して、少年の精気を貪り、繁殖を繰り返す。
そんな初実験結果によって、百足淫蟲は繁殖サイクルに魔人が組み込まれている稀有な魔物として迷宮で広く知られる事になるのだった。