ん?
なんかエラー吐いてるじゃん。
……なんで英語? まぁエラーメッセージなんて滅多出ないから適当に組んだのかな、昔の私。
えっと。
あー、大魔王がオーバーフローしたのかこれ。8体目は誰よ?
んー、あー……なるほど1225号迷宮か。ここ結構変わった成長してたもんなぁ。無理矢理大魔王になった感じ?
でもまあ、ズルとか小細工は邪神的にはオッケーって感じだし、ちょっと枠増やしちゃいますかね。
えーと……今は何が居るんだっけ?
/ list (Great Satan)
◎大罪暴食女帝『
◎大罪色欲女帝『
◎大罪強欲皇帝『
◎大罪怠惰皇帝『
◎大罪嫉妬女帝『
◎大罪憤怒皇帝『
◎大罪傲慢女帝『
/ list end
……うわー。これ最初に決めた奴のまんまじゃん。背中痒くなりそう。厨二だぁ……。
いやまあ今も好きだけどねこういうの。……んー。大罪に因むなら、虚飾と憂鬱を足して9枠にすっかな。でも流石にそれだとアイツが拗ねそうだし、アイツの分の枠も増やしといてやるかあ。
あっちは謙譲、慈悲、忍耐、勤勉、救恤、節制、純潔だったから……知識と正義を追加かな。
うんうん。これでバランス取れてるでしょ。
聖神くぅ〜ん? 優しくってフェアなお姉さまに感謝のプリンを捧げても良いんじゃよ?
え? それでも姉さんばっか勝ってずるい? そりゃあアンタがゲーム下手なのが悪いよ。頑張るんば。
そんじゃ、再起動しますか。
* * * * * *
アンナが垣間見た、灰色の世界に煌めく文字の群れ。何もかもが動かないその世界は、一瞬とも永遠とも思える『停止した時間』を経て色と時間を取り戻し、業深迷宮全域に、天の声が響き渡る。
————規定の瘴気と経験を蓄積した為、『業深忘我・迷宮王バビロン』が進化します。
————『業深忘我・迷宮王バビロン』は【大罪虚飾女帝『
———職業経験の蓄積により『アンナ』は『魔太后・一級』から『魔太后・十段』に昇格しました!
————『アンナ』の職業技能『腹魔殿』が『
————新たな大魔王が誕生しました! 大魔王麾下の魔物が強化されます。
バビロンの復活と進化を告げるその天の声に、業深迷宮の住民は快哉を叫び、居住区の大気が揺れる。
だがそのその直後、その歓声をかき消すほどの大きく深く低い轟音が迷宮全土に響き渡る。
周期的な地鳴りにも似たその音の発生源は、アンナの胎。爆発の如き衝撃を伴うその轟音の中で優しく胎を撫でるアンナには、その音の正体がよくわかっていた。
「ふふ♡ バビロン、もう着床して育ち始めてるんだ♡」
そう、その激震の正体はバビロンの心音である。
技能の進化により、13層だった子宮内の空間位相が1000に増え、その一つ一つの広大さが国というよりも世界と呼ぶに等しい大きさ——容積大樽51京杯相当(15京3千兆立方歩)——に進化したアンナの子宮の中にあって尚、外部にまで響くその心音は、彼女の胎内で育ち始めたバビロンの巨大さを物語っている。
絶大なエネルギーを宿し、今も尚アンナから胎盤を通じて精気を吸い上げているバビロンの大きさは、まだ心臓が出来たばかりの胎児でありながら300万歩。それでいて、今も順調に巨大化し続けているのだ。
そして、その外見はといえば、『人型の宇宙』としか言いようのないものだった。無限の暗黒の中で無数の星々の様に魔力が煌めく、胎児型の異常空間が、今のバビロンの姿なのである。
迷宮の本質は時空間の魔物。そして再誕を遂げようとしているバビロンは、胎児であるが故にその原初の本質を強く発揮しているのだ。
そして、アンナの子宮の中ですくすくと成長するバビロンは、あろうことかその広大な子宮を一つ埋め尽くして尚成長を続けるべく、アンナの1000ある亜空間子宮に干渉して連結。総体積大樽5垓1千京杯分という超広大な子宮を生成し、更なる成長を続行する。
その果てに、バビロンがその連結亜空間子宮すら埋め尽くした事で、アンナの胎は大きく膨れ上がり、外部から見て完全に臨月と呼べる状態へと達した。
だが、アンナは言葉を交わさずとも、バビロンがまだ胎児としては不完全であると悟り、その精気を全力で腹部へと集約し始める。
臨月を超えた胎がさらに膨れ上がり、直径1歩を越え、直径10歩を越えて、直径100歩に至って尚成長し、直径1万歩という馬鹿げたボテ腹を晒して漸く止まったバビロンの成長は、アンナを肌色の巨大球体に張り付く虫ケラの様な体型に変えてしまっている。
その内部容積、実に
異世界の物体で分かりやすく述べれば、木星より一回り大きい程度の大きさだ。
そんなものを産もうとすれば、アンナの胎が爆発するのは目に見えている。しかし、出産を間近に控え、胎内でバビロンの意識が覚醒したその直後、異常に巨大な赤子が内側に激しく収縮しながらバビロンらしい白磁の肌と金の髪を構成し始め、通常サイズの胎児にまで縮んだ事で、アンナ爆散の危機はありえない未来へと成り去った。
とはいえ、バビロンが縮んでも今まで巨大児が浸かっていた羊水がなくなるわけではない。
アンナの胎内に浮かぶ広大な生命の海の中でそれを悟ったバビロンは、アンナの精気がたっぷりと溶け込んだそれを胎内で勢いよく飲み始め、その身体を胎児から幼児、そして成人へと成長させていく。
それらの工程を経て、最終的に成人サイズに成長したバビロンとそれを納める直径2歩程の胞衣に落ち着いたアンナの胎内。
そこから胞衣ごとちゅるんと産み出されたバビロンは、久々の外界の眩しさに目を細め、透明な羊膜越しに自身を産んだばかりのアンナへと目を向ける。
「ただいま、アンナ」
「おかえり、バビロン」
そう言葉を交わす迷宮の王と王妃は、実に幸せそうに笑顔を交わし、羊膜越しにキスをする。
「バビロン、これ破いちゃダメ?」
「ああ、それは少し待って欲しい。私が完全に産まれきるとおそらく迷宮が急激にアップデートされてしまう。住民や魔物に避難を促してから……」
「それならもう大丈夫。私のお腹が膨らみ出した時点でみんな色々察して避難してるよ」
「それなら大丈夫、か? いや、私にも何が起こるか未知数で————」
そうバビロンが言い切るより早く、アンナの手により羊膜は引き裂かれ、バビロンの唇へとアンナの唇が襲いかかる。
蛇の交尾や蛞蝓の交尾の如く濃密に絡み合う舌と、互いの乳房を揉む片手。もう一方の手で尻を揉みつつ、いやらしくクネクネと腰を動かしてクリトリスを擦り合う2人は、もはや冷静さを失った獣。
バビロンの完全誕生により巻き起こる魔力の暴風の中心、台風の目のような凪の空間でまぐわう彼女たちの目には、もう互いしか映っていなかった。