※この作品はR-18です。

業深迷宮日誌   作:黒山羊

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ちょっとした説明回


迷宮変容

 時刻は少々遡り、迷宮の支配者であるバビロンとその妻アンナが久々の再会からの濃厚セックスに励んでいる頃。

 

 業深迷宮を擁するネミツ湿地帯周辺には、空前絶後の大被害が発生していた。

 

 大地を引き裂く程の大地震。文字通りに大地が砕け、都市や村々が瓦礫と化すその様は、災害としか言いようがない。

 

 そして、その原因は誰の目にも明白だった。

 

 轟々と地を揺らしながら盛り上がるネミツ湿地帯。広大な沼地だったはずのその場所は、成長途中の時点でその中腹に雲がかかる程の山嶺と化している。

 

 未曾有の大災害を引き起こしながらも上へ上へと伸び続ける大地。いつまでも続くかのような以上な隆起はしかし、程なくしてその成長を停止し、湿地帯は単独峰に様変わりした姿を晒す。

 

 標高、実に1万歩。積乱雲の行手を阻む程のその高さだけでも驚異的だが、何より凄まじいのはその勾配。角度で言えば75度というあり得ないほどの急勾配は、山というよりは『塔』を思わせる。

 

 ————その印象は『正解』だ。

 

 塔の如き山の表面から沸き立つように溢れ出るのは、大理石で構成された白亜の都市。上へ上へと巨大な山を這い上がるそれは、大量の女体彫刻で構築されたドスケベ摩天楼。

 

 もしこの場に異世界の勇者がいれば、『バベルの塔』あるいは『バビロンの塔』を想起するだろうその構造物は、湿地帯を軸とした白亜の塔となり、その各所に在る水路から白濁しドロドロと粘性を帯びた媚毒を垂れ流している。

 

 そしてその媚毒の流れと共に配管から溢れ出てくるのは、魔淫蟲、淫猥大蟲、夢魔睡蓮に震撃蝦蛄といったお馴染みの魔物たち。

 

 白亜の巨塔を埋め尽くす魔物の群れは、速やかに生態系を構築し始め、やがて溢れた分は塔の周囲へと拡散していく。

 

 それに呼応する様に塔の最上部からかつての湿地帯へと降り注ぐのは、大量の白濁液の雨。

 

 その発生源は塔の頂上をぐるりと囲み、四方八方睨みを効かせる『エロ蹲踞像』だ。

 

 8つの複爆乳を突き出し、股間には金玉袋と巨チンを2セットぶら下げ、その下には2つのマンコと1つのアナルを備える業深迷宮仕様のふたなり美少女を象ったその像の数は、なんと666基。

 

 そのいずれもが8つの乳首から粘度の低い母乳状の媚毒をシャワーのように吹き出し、2つのちんぽは片方が高粘度の白濁精液状、もう一方がシャバシャバの黄色透明の媚毒を噴射。そしてその下にある2つのマンコからブシャアブシャアと霧吹き状に潮のような媚毒を噴き出し、ケツ穴からは健康バナナうんちのように純白の媚毒塊をメリメリと気張り出している。

 

 そしてそれらは雲となり、雨となり、空から降る媚毒塊となってかつての湿地帯を侵蝕し、塔の周囲を特濃媚毒の沼地へと変えていく。

 

 だがそれはあくまで、外部の変化。業深迷宮の本質的な変化は塔の頂上、666基のドスケベ像に囲まれた中央に位置する、巨大な大穴の向こうで起きている。

 

 言ってしまえばこの塔は迷宮本体ですらないただの玄関口なのだ。

 

 

 * * * * * *

 

 

 その大穴の底に位置する業深迷宮第一界層、水没神殿。

 

 屍人系の淫魔と多種多様な淫系統雑魚魔物がひしめいていたこの場所は現在、かつての規模から見てもあり得ないほどの広大さと、複雑な神殿都市空間を有する魔界と化している。

 

 無数の鐘楼、聳え立つ幾つもの大神殿、複雑に入り組む小路。水中にすら広がるその都市は、まさに水没神殿と呼ぶに相応しい威容を誇っていた。

 

 だが、最も変化したのはその都市に侍る魔物の平均レベルだろう。

 

 水路を泳ぐ淫乱尾籠猥蟲竜、水底の神殿でトグロを巻く淫獄擁胎大猥蟲龍と言った龍種たちに加え、屍人系では腐乱花魁や傾国堕誘、その他にも伽藍体娃などがひしめく魔界と化している。

 

 さらにいえば鐘楼は鬼婆蜂の巣と化しており、水路の辺りに咲くのは淫精芙蓉樹。

 

 そして何より、この界層全てを包むミルクより100万倍は濃い媚毒の濃霧が、侵入者全てを阻んでいる。

 

 ————『蜃城(しんせい) 龍宮(りゅうぐう)・ 絡煙(らくえん)幻霧卿(げんむきょう)』スズム。

 

 この霧の発生源にして、バビロンの大魔王化に伴い強制的に『格上げ』され第一界層の支配者である彼女の正体は、巨大な貝類の化け物だ。

 

 だが、その容姿は単なる貝の化け物というには少々無理がある。

 

 元々、界層支配者を命じられたかつての時点で、彼女は自身の白い貝殻を『綿帽子』の様に被った白無垢の花嫁の様な姿をしていたのだ。とはいえ、その人型部分はあくまで『外套膜と足』ではあるのだが。

 

 しかし今となってはもはや、今まで通りに貝殻を被ってはいるものの、腹足や外套膜と言うには人型部分の構造が複雑を極めていた。

 

 まずは貝殻の中身だが、せめてもの貝らしさなのか彼女の内臓は全てこの中にある。それを守る純白の貝殻は魔術的、物理的側面の両方において『異常なまでに堅固』な代物であり、ドラゴンが噛み付けばその歯が砕ける絶対防壁だ。

 

 そして、その貝殻を被っているのはヒトの頭部にしか見えない器官。違いと言えば、その額から角の様に生えた触覚だろうか。これは当然ながらいわゆる『目』なのだが、本来二枚貝には無い巻貝特有の構造である。

 

 だがそれ以上に異常なのはその顔立ちだ。猫の様な瞳を持ち鼻梁が低すぎるもののたしかに美しいその面構え。その頬には鱗のような桃色の紋様が浮かび上がり、口元には牙がチラリと覗く。

 

 そして、その身体は白無垢の花嫁を模した姿ながら、袖口から覗く白い指先には螺鈿細工の様な煌めきを持つ鋭い爪と鱗模様。

 

 挙句に白無垢の裾から覗くのは、腹足の様に扁平ながらも長く伸びた『尾』

 

 総評してどう見ても『竜』を思わせる要素が多すぎる通り、スズムは『竜種』に昇格しているのである。

 

『蜃(おおはまぐり)』から『蜃(みずち)』への変革、とも言えるだろうか。

 

 そしてその進化の結果が、この異常な濃霧。体長10歩に及ぶ全身から絶えず噴き上がるのみならず、彼女の居室に繋がれた大量の配管に『蜃の吐息(ミラージュ・ドラゴンブレス)』を打ち込めば、超高濃度の蒸気が第一界層のあちこちから噴き出すのである。

 

 そして、もちろんこの蒸気、ただの媚毒の濃霧ではない。その本質は、強烈な幻覚剤なのだ。

 

 幻覚剤というものはそれ自体特段の中毒性があるものではないが、精神的作用は尋常ではなく、いわゆる『サイケデリック』な幻覚などを筆頭に種々の『幻』を脳にもたらす。

 

 この作用、もちろん進化前のスズムも有していたのだが、今回は桁が違う。

 

 この毒、体内の瘴気と聖気のバランスに対応して劇的に幻覚の作用が変化するのだ。

 

 まず、聖気が多い場合だが、これがまた酷い。『めまい』『閉塞感』『抑鬱』『希死念慮』を筆頭にありとあらゆる強迫観念が目まぐるしく脳内を駆け巡り、思考は鈍麻し何をやっても上手くいかないという確信がこびりつき、不安と虚無感が精神を鬼目鑢(おにめやすり)の如く削りまくる。

 

 その一方で、瘴気が多い場合は逆の意味で『凄い』事になる。

 

『勇気凛々』『元気溌溂』『意気軒昂』『気力旺盛』……要するに『素晴らしく元気になる』というこの幻覚剤、なんと魔物にも効くのである。そう、瘴気の塊である魔物にも、だ。

 

 しかも、バーサーカー化する訳でもなく寧ろ頭脳は冴え渡り、ただの屍人(ゾンビ)が『美しいフォームで全力疾走』し、『フェイントを織り交ぜた拳闘』を披露し始める程度にはヤバい。

 

 当然、どんな界層にも普通にいる魔淫蟲、夢魔睡蓮、震撃蝦蛄なども例外ではなく、ただの雑魚と見くびれば例外なく酷い目に合うだろう。

 

 だが、そんな第一界層の変化すら、バビロン大魔王化による変化の序章に過ぎないのである。

 

 

 * * * * * *

 

 

 さて。迷宮の魔物の中で、最も早くバビロン大魔王化による恩恵を余す事なく享受したのは当然ながらアンナの胎内に居るマンダラであった。

 

 まぁ、『爆心地が一番最初に爆風に晒されました』並みに『当たり前で一般的』な事である。

 

 だが、その変化は当たり前で一般的とは程遠い。

 

 姦淫竜王・婀軟蛇から進化したその姿は『淫界龍皇太母・ 媧嫐龍(カドゥルー)』。美しい女の上半身とその下に繋がる長大な蛇龍の身体を持つ、蛇女(ラミア)の如き邪龍である。

 

 ただ、蛇女と異なるのはまず、その大きさ。龍体の太さ50歩、長さ1億歩という馬鹿馬鹿しいほどの巨体の先端に付いている女体はその腰から上だけで150歩の身長を誇る大巨人のそれなのだ。

 

 また、その髪は一本一本が媚毒の滴る触手であり、その顔立ちは元々が山椒魚めいた龍だったこともあってかのっぺりとした両生類系。

 

 そして何より、龍体の表面を鱗のように覆う無数の触手の隙間から、直径1歩の卵が溢れ出し続けている様は、尋常のものとは言い難い。

 

 だが何より問題なのは、彼女の吐息。息をする度に漏れ出るドラゴンブレスの内容物は純粋にただひたすらに高濃度なだけの媚毒だが、ヤバいのはその濃度である。

 

 湖にその媚毒を一滴溶かし、さらにその湖の水一滴を別の湖に溶かし、その上でさらにその湖の水一滴を別の湖に溶かした場合でも、湖全体が『死体を投げ込めば蘇る』媚毒と化すほどに濃いそれが、アンナの子宮内に無制限に垂れ流しになっているのである。

 

 ただ、その垂れ流した毒の殆どの部分は恐るべき事にアンナに吸収されており、史上最強の苗床としての才能を更に強化するリソースとして使用されている。

 

 とはいえ、先も言った通りヤバいのはその毒の濃度。アンナが殆どを吸収しても、アンナの汗腺母乳や呼気に僅かに漏れ出た分だけで、マンダラの媚毒は迷宮全土を侵食できる。

 

 もちろん、その濃度は迷宮最奥から離れるにつれて薄まるが、生憎と迷宮最奥のすぐ側にあるのは居住区だ。

 

 空気と水を通じて溢れ出したマンダラの媚毒に晒された住人たちは、全身の穴という穴から体液を噴き出しつつ絶頂し、恍惚の表情で痙攣し続ける面白存在へとその身を堕とし、バビロンがアンナとのセックスを終えて事態に気づくまで、快楽地獄の中に沈む羽目になったのであった。

 

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