そんな鰐が、業深迷宮にも1匹いる。砂漠の魔王『灰燼熱砂王シビケ』から送られてきたそれは、体長6歩半、体重
オンリーワンということで『ニウレ』の名を与えられた彼女は、たっぷりと餌——肉食なので魔淫蟲を提供中——を喰い、媚毒によって発情しつつ、徐々に瘴気と淫気を馴染まされている。
そんな彼女が遂に今日、魔物化の時を迎える事になっていた。
「よーしよしよしよし、ニウレは可愛いなぁ」
「グロロロ……」
「いや、バビロン様。その、ニウレは比喩ではなく人食い鰐なんですけれど……?」
「そうは言うがなキルカ、フルチンで脱走した冒険者のオッサンを食っただけだろうに。ニウレに食われる事を期待してわざとオッサンを逃した淫角大妖鬼達には処罰はしておいたから良いだろう?」
「同じ人間の僕としてはハイとは言えませんね……」
セウロア博士に『魔物化実験立会い』の業務を押し付けられた錬金術師のキルカ。どうも怯えているようだが、一応ニウレは私の制御下にあるのだ。もう少し上司を信用して欲しいところである。
だがまぁ、彼を怯えさせるのは本意ではない。手早く始めるとしようか。
「何せ大物だからな。迷宮最強の戦力を作るつもりで行かねば。……この為に備蓄してきた瘴気と淫気、精気は1ヶ月分の迷宮総生産に匹敵する。……もうすぐ11年目だし、10年目下半期の節目になるような強力な個体を……」
「マンダラさんと、あとドラゴンのエロイーズ姫は……?」
「前者は確かに今年最大の戦力だが上半期の話だし、後者は他所から来た奴だし。というかエロイーズどうしような、マジで。……まぁいい。今はニウレの魔物化だ。始めるぞ」
備蓄庫から解放された莫大なエネルギーを制御し、圧縮し、もはや物質化した粘液のようになるまで濃縮して、ニウレの身体に染み込ませていく。
メキメキ、いやボキボキと骨の砕ける様な音と共にその身を変化させていくニウレ。ベースとなる生物が強大であるほど、魔物化した際の基礎的な能力も高くなる。
その法則に従えば、巨大な鰐から変化した魔物が最強クラスのポテンシャルを秘めるのは当然の事だ。
ただ、業深迷宮ではパワータイプではなく絡め手志向の淫系統となってしまうのが悲しいところだが。
しかし、そんな淫系統というハンディキャップを踏まえた上でも、ニウレの新たな姿は強力だった。
————規定の瘴気と経験を蓄積した為、『ニウレ』が進化します。
————『ニウレ』は【騎鰐姫】に進化した!
————『ニウレ』は経験の蓄積により技能『状態異常完全無効』を手に入れました!
更にその全身は隙間無く装甲板に覆われており、さながら重装騎兵というべき堅牢さである。ワニの頸部から接続している人型の上半身も例外ではなく、巨大な乳房の様に見える部分も極厚の胸部装甲だ。だが、衝撃を吸収するべく装甲板、皮膚、皮下脂肪、鱗板骨、腱と筋肉という順で積層されたその胸甲は、硬さと柔らかさの共存する『装甲おっぱい』であるとも言える。まぁ、谷間がないので乳房と言うよりは『
では、そんな重装備で何を守っているのか? まず第1には心臓と肺。そして第2に、『生殖孔』である。
そう、生殖孔、オマンコ、ヴァギナ、色々と言い方はあるが、騎鰐姫の雌穴は下乳の付け根中央、普段は胴と触れて閉じている部分に開口している。
それに挿入するには、たっぷりとしたその乳袋を持ち上げて、下乳部分に隠れたその場所に到達せねばならない。
だが前述の通り、筋肉を基点に構成されたその装甲は、通常は閉じている。胸を持ち上げるように騎鰐姫が意識しない限り、その穴を塞ぐ胸甲は決して開かないのだ。
普段は垂れ乳だが交尾の際には上向きになるといえば分かるだろうか。或いは風情の無い言い方をすれば、跳ね上げ扉だ。
そんな騎鰐姫には雄はいない。他の生物の精液をスイッチにした雌性発生でメスのみが増殖する。それ故の生殖孔の位置である。
他の生物のオスをその豪腕で拘束し、抱え上げて強制的に生殖行為を行う為に最適化されているのだ。
巨大な胸甲と腕に挟み込まれた獲物に逃げる術はなく、為す術もなく吐精することになるのである。
そしてその為の手段として騎鰐姫が備えるのは『涙』だ。正確に言えば体液全てが強烈な媚薬なのだが、主に涙と言われる所以は、彼女達の目から絶え間なく涙が流れている為である。
無論、人間や他の動物とて涙は常に出ているが、騎鰐姫の場合は『瞬きをしない』という特徴によるものだ。正確に言えばとっさの防御や水泳の為に瞬膜という透明の膜が閉じるが、隙を生じない為に基本的に常時目が開いている。これを保護する為、彼女らは多くの涙を流すことで目を潤しているのだ。また涙は高速で瞬膜を閉じる為の潤滑液としても働き、防御に一役買っている。
そして、そんな涙が揮発することで、騎鰐姫の周囲にいる生き物は媚毒に蝕まれるという訳だ。他にも呼気に含まれる唾液の揮発や、傷から流れる血も媚毒である為、戦闘する程に媚毒を撒き散らす。
挙句に強靭な再生能力を持ち、脳と肺と心臓、つまり上半身部分さえ無事なら再生してしまう。その上半身は凄まじく堅牢な為、実質ほぼ不死身に近い。
「うーむ。これは凄いな。素晴らしいぞニウレ」
「光栄デス、バビロン様」
声はちょっと硬いというか、平坦でゴツゴツした響きだな。掠れているというか。顔も人間と言うよりは爬虫類顔で鼻梁が無いし、口も裂けているから当然か。目が大きめなのも愛嬌と言うよりは戦闘時に視界を確保する為だろうし、淫系統らしい媚びた感じはない。ある意味魔物らしい魔物と言えるだろう。
さて、そんな彼女の試運転と行こう。
「ニウレ、早速で悪いが、お前の力を見せてくれ。第一階層に行けば手頃な獲物が居るだろう。好きにして良いぞ。……ただし、危険な状態になった場合は強制的に回収するので注意しておけ」
「御意ノ儘ニ」
* * * * * *
その日、業深迷宮第一階層に、いつにも増した絶叫が響いた。
「逃げろ逃げろ逃げろッ! 勝てるかあんなもん! 段位持ちじゃねえんだぞ俺らはよぉぉッ!!!!!」
「助けて、助け————ギョポッ」
「ダメだ、もう走れな————ギュェッ」
騎鰐姫ニウレ。巨大にして強大なその魔物が腕を振るうたびに鎧を着込んだ男が宙を飛び、その爪は鋼鉄の大盾を枯れ葉のようにバラバラに切り砕く。
尾が振るわれれば10人纏めて薙ぎ倒され、果敢にも打ち込んだ魔法はその体表を僅かに焦がすのみ。
矢は弾かれ、槍は折れ、剣は砕け散る程の鉄壁の防御と、凄まじい剛力。
両者を兼ね備えるニウレを前に、冒険者は逃げ惑う事しか出来ていない。
そして何より、沼地という環境において、ニウレは凄まじく速かった。身体をうねらせる様にして泥を掻き分けて泳ぐ彼女の速度は平地をギャロップで駆ける馬並みに速い。
そんなものから逃げられる訳もなく、冒険者は軒並み重症を負ってブッ飛ばされては一層の住人である魔淫蟲や淫猥大蟲、夢魔睡蓮、沼稚児、そして性骸婦や憑依霊、娼腐などの淫系統アンデッドに襲われて行く。
殺さない、という意識はある様だが、一撃を食らった冒険者は皆ほぼ瀕死。群がる魔物の媚毒で命をつながれなければまず死んでいる。
まさに圧倒的と言うほかない力を発揮したニウレは、その勢いのまま縦横無尽に第一層を駆け回り、数多の犠牲者を生み出した上で、1人の少年を気絶した状態で生け捕りにし、満足して帰還してきた。
「素晴らしい戦果だったニウレ。瀕死の重症の苦しみによる瘴気と、その後の捕獲による精気回収で今日の収入は爆増だ。……で、それが君のお気に召した少年か? 馬耳の少年とは存外可愛いものが好き……いや、違うか」
「コノ雄ハ優秀ナ精気ト生殖器ヲ持ッテイタノデ、捕獲致シマシタ」
「その様だな。ふむ……なるほど、ただの馬ではないな? シマウマの獣人か」
「ハイ。……バビロン様、早速デスガ、コノ雄ヲ味ワッテモ?」
「見ていても構わんか?」
「勿論デス」
言うなり、ニウレの胸がバルンと持ち上がり、ただでさえ大きな胸が通常ではあり得ない重力に逆らう上向き特大おっぱいへと変形する。
そして気絶したシマウマ獣人の少年の顔を、喰いちぎれそうな程大きく開けた口で覆い、吐息を思い切り吸い込ませることで、媚毒によりその陰茎をボッキさせた。
凄まじい膨張率のそれがズブズブとニウレの胸元にある雌穴へと飲み込まれる様は圧巻である。
ニウレの腕とおっぱいで拘束された少年。ガッチリと彼をホールドするニウレの腕は、とてもではないが彼の身体を揺さぶってパイコキをしようなどという様子ではなく、本気で逃さないためのホールドだ。
ではどうやって彼の陰茎を刺激するのかといえば、胸筋力である。
そもそも、跳ね上げ式のおっぱいを構成できるほどの筋肉量である。精液を絞る為に生殖孔の内部を複雑に蠢かす事など造作もない。
そしてその膣肉と連動するように胸部装甲もバルンバルンと大いに揺れ、鎧の爬虫類系亜人とでもいうべき『硬そうな』見た目に反した女性的な柔らかさを主張する。
その感触にようやく少年が目覚めたらしいが、拘束を解く事は叶わず、もがくのみだ。というか、胸に押し付けられてまともに悲鳴も言えていない。息を吸うのが精一杯といった様子である。
「おっぱいと腕で獲物を固定しつつ、胸部の生殖孔による膣コキで搾精。実に無駄がないな」
「確かに効率的ですね」
「キルカ、居たのか。怖がっていたから逃げたのかと思っていたが」
「ずっと居ましたよ。静かにしてましたが。……ところで、胸に膣口らしきものがあるということは子宮も胸なのでしょうかね?」
「ん? ああ、ニウレの子宮というか卵巣と輸卵管は鰐部分だぞ。ワニの方の尻尾の付け根に産道が開いている。胸で吸い上げた精液は体内の管を通って卵巣まで運ばれる様だ」
「なるほど。……しかし、そうなるとかなりの精液が必要ですね」
「だからこそシマウマ獣人なのだろうな。ワニがシマウマを食うのは魔物になっても変わらんという訳だ。まぁ人間でも絞り倒せば行けそうだが。……と、言ってる間に射精が始まったらしいぞ」
ドクドクという音が聞こえてきそうな大量射精。そしてそれをゴクゴクと音を立てて飲んでいくニウレの胸マンコ。鱗に覆われた胴を伝う白濁液が艶めかしく艶めき、ガクガクと震える少年の肢体が言葉を失って痙攣する。だが悲しいかな、一度出した程度ではニウレが開放してくれる訳もない。
ポタポタと少年の顔を覗き込むニウレの瞳から滴る媚毒の涙。その毒気に中てられて、少年の陰茎は再び屹立し胸の奥へと飲み込まれる。
「————ッ♡♡♡」
「美味イ精気ダ。……ダガ足リナイ」
己が腹を満たすべく一層激しく少年の陰茎を吸い上げる乳マンコは、ほぼ真空という凄まじい減圧性能を発揮して、その媚肉を陰茎に完全密着させる。ツブの様な肉イボを備えたその内部に強く擦られた少年のチンポは吸引も相俟って壊れた様に射精し、体力の限界を迎えて再び気を失うまで、ニウレに精を注ぎ続けた。
「満足ダ。……バビロン様、巣ニ戻ッテ卵ヲ産ミタイノデスガ」
「ああ、帰っても良いぞ。子供は今度見せてくれ。……キルカもそれで良いか?」
「はい、今は特には。何か思いついたら、また連絡します」
「承知シマシタ」
少年を小脇に抱えて立ち去っていくニウレ。圧倒的な戦闘能力を誇る新たな魔物の誕生に、バビロンは確かな手応えを感じていた。
だが。それと同時に、嵐の予感もまた、バビロンの胸中にあるのも事実。
「今回のニウレの武力で、人間達もいよいよ手が無くなったはず。……そろそろ、一悶着あるだろうな」
その日までに、どこまで戦力を強化できるか。そう考えて、バビロンは休む間もなく迷宮運営に勤しむのだった。