業深迷宮バビロン、第四階層。
悪涜神樹・鉢頭摩王ヘラエの支配するその階層は、以前に起こった『陽炎のジェミー』との戦闘の余波で破壊され、その後の改修により様変わりしていた。
その広さは以前の数倍。相変わらず全面が池になっているものの、深さ100歩のその池に満ちるのは以前迄の水ではなく媚毒だ。
この媚毒はヘラエの華の精油で、皮膚や粘膜から容易に吸収される即効性の逸品だ。そして精油は油の一種である関係上、水より比重が軽い為、人体は基本的に沈む。
どんなに泳ぎが上手で媚毒に耐性があったとしても、第四階層で遊泳を試みるのは極めて難しいだろう。
更にそんな精油の池をより効率良く揮発させるために池の温度は風呂程度になっており、階層全体が精油の香気に満ち、呼吸もままならない空間となっている。
まぁ、この迷宮で常人が普通に呼吸できる階層は居住区含めて存在しないのだが。毒と乳と蜜が大気組成の半分以上を占めるこの迷宮においても、第四階層は特に酷いと解釈すれば間違いはないだろう。
そしてこの階層、改築に伴ってヘラエ配下の魔物達も軒並み強化されている。
光源担当は夢幻淫紋蛸、精油プールには貪淫濁液魔が犇めき、空には淫泥魔男爵が飛ぶというその編成は、控えめに言って凶悪だ。
具体的に言えば、目を開けたら幻覚で詰むので、目を閉じた状態で淫泥魔男爵に襲われる羽目になり、落ちたら貪淫濁液魔に喰われる。
そしてそもそも足場がヘラエの葉なので足場すら敵という地獄絵図。
そんな強化されたスケベ地獄の中心部。巨大な城のような花がいくつも咲いたヘラエの中央部に、ジェミーは居た。
「はぁ〜♡ ジェミーたん可愛いんじゃあ〜♡♡♡」
「口調の乱れが著しいな貴様。全く。体力の限界まで私を追い詰め、捕獲し、快楽漬けにした末、邪教徒に鞍替えさせて何をするのかと思えば、日がな一日愛でるだけとは……こんなバカに敗北したとは屈辱だ」
「バカとは失礼な。これでも迷宮のインテリなのですよ、と反駁します。貴方を愛玩する際に余計な事を考えて居ないだけです、と訂正します」
「急にシラフになったな……しかし、私のどこが良いのやらわからんが、戦力を遊ばせている暇があるのか?」
「遊ばせては居ませんよ? 超優秀な精気供給源として働いてもらっているので」
そんな会話を交わすジェミーとヘラエは、ヘラエが咲かせた最大級の花の中、50歩を越える巨大な女体の更に内側、ちょうど子宮に当たる位置に存在している。
今こうしてジェミーと話しているのは、入れ子人形の様に胎内に生じたもう1つのヘラエなのだ。
そして、巨大ヘラエの胎内に囚われているジェミーの身体には無数の極細触手が接続し、その体内に根を張って細胞レベルで同化している。
それら全てはヘラエの蔓。濃厚な媚毒を流し込む極細の輸液装置だ。
その触手群から流し込まれる強烈な媚毒は、迷宮幹部渾身の逸品。極上の媚毒のエッセンス。それにジェミーが耐えられているのは、邪教徒化した彼女が目覚めた職が原因だ。
『
淫魔とのセックスバトルという、机上の空論を実行に移した偉業をたたえた邪神によってジェミーに付与された新たな職業である。
その職に就いた影響で、彼女の習得していた精気の体内循環は凄まじい領域に到達し、固有技能『三重共鳴精気炉心』へと覚醒したのだ。
結果、可視光として観測可能な程に高密度な精気が体内の循環系を駆け巡り、ほんのりと発光する彼女。その肉体はまさに炉心と呼ぶに相応しいものへと変革しているのである。
そして、その炉心からバイパスし、ヘラエは精気を汲み上げているというわけだ。階層を満たすほどの大量の媚毒の精油を放出できているのも、ジェミーの炉心あってのことと言えるだろう。
「ですので、心配は無用であると宣言します。……それよりジェミー」
「どうした」
「エッチしましょう♡」
「貴様は本当にバカだな。だが良いだろう、相手をしてやる。邪神に与した以上、それらしく振る舞わねばな」
「ジェミーちゃん、その辺りフランクですよね。……さぁて、じゃあ何からしましょうか♡♡♡」
両手をワキワキとさせてジェミーに躙り寄る
その醜態に溜息を吐いたジェミーは、流石は元冒険者三段と言うべき神速の早業でヘラエの腕を引き寄せると、よろめくその顎先を手で受け止めて口を開かせ、強引なキスをした。
「んちゅ♡ んんんッ♡ あっ♡ らめっ♡ いっちゃうぅ♡♡♡」
「ぷはっ……貴様、淫系統のプライドだとかは無いのか?」
「んぅん……♡ ド好みの女の子に強引にキスされる事に比べたら、プライドなんてゴミです♡」
「いっそ清々しいな」
「それに、今のジェミーちゃんにキスされてイクぐらいで済むのって私と同格以上の魔物だけですし。普通の淫魔なら漏れてる精気だけでイケますし、キスされれば失神します」
「そういうものか? なかなかに度し難いな淫魔と言う奴は。……で、何をしてくれるんだ、貴様」
「誘い受けなジェミーちゃんもイイですね♡ じゃあ、私も頑張っちゃいますよ〜♡」
ヘラエはそう言うなりその豊満な肢体でジェミーを抱きしめると足を交差させて互いの陰唇を触れさせた。
応じるジェミーも慣れたもので、腰をクイクイと動かして互いのクリトリスを押しつけるようにして快感を増幅させる。
性器を通じてジェミーが練り上げる莫大な精気がヘラエに流れ込み、背筋を雷が突き抜けるような快感がヘラエを襲う。が、彼女は恍惚とした笑みを浮かべてはいるものの意識を保ち、次の手を打った。
全身からの媚毒放出。精油状のその体液は見る間に2人の身体をヌルヌルテカテカの淫靡な姿へと変え、皮膚から吸収される毒がジェミーの精気を一層増幅させる。
しかし、精気コントロールにより快感を制御しているジェミーにとって、まだまだ正気を失うには至らない。
むしろ積極的にヘラエを責め、追い込んでいく彼女のスタイルは業深迷宮において希少な存在だ。淫魔を手玉に取る人間など、アンナと彼女ぐらいのものである。
女陰同士を擦り合わせつつ、短めに揃えた陰毛でヘラエのクリトリスをブラッシングし、ねっとりとナメクジの交尾のように舌を絡ませて、積極的に精気をヘラエに流し込む。
その度に面白い程に反応するヘラエを、ジェミーは愛おしげに嫐り、淫魔をよがらせるという理外の性的充足感に酔いしれる。
「ひぃんっ♡」
「随分可愛い声で鳴くじゃあないか。ほら、此処はどうだ?」
「あっ♡ そこ好きぃ……! でも、乳腺尾部とかマニアックですねっ♡」
「意外と正気……というかそれもそうか。貴様の巨体にとっては1端末に過ぎないだろうしな」
「ふふふ。お互いエッチなのは得意という訳です。お似合いカップルですよね私達」
「そうか? 貴様がそう思うなら貴様の中ではそうなのだろうな。……さて、下になれ。跨ってやる」
「わぁい♡ あ、顔面騎乗がいいです!」
「ん。ほれ。……おい、がっつくな。歯を当てるなよ」
「おいひぃ♡ おいひぃよぉ♡♡♡」
「聞いてないなコイツ」
呆れたように溜息を吐いて、潮と共に濃厚な精気をヘラエの口内へと放出し、しばし彼女を黙らせたジェミー。
そのまま寝そべってシックスナインの形をとったジェミーは、ビシャビシャに濡れたヘラエの蜜壷を飴代わりにチュパチュパとしゃぶりはじめた。
実際、ヘラエの女性器を濡らすのは甘い華の蜜。脳を溶かすほどの媚毒を含んでいることを除けば甘くて美味しいラブジュースサーバーだ。
それを実に美味そうに舐め回すジェミーに応じるかのように、暫しの絶頂から復活したヘラエも熱心にジェミーの膣を舌でほじり、陰核を吸い、陰唇を舐る。
両者共に余裕を保ちつつも、次第に高まる興奮。ジェミーの身体から漏れ出る燐光はもはや閃光の域に達し、いよいよその時が迫って来た。
————性闘士となって強力な精気コントロール能力を得たジェミーがセックスに耽溺する理由。
それは、彼女があの日、敗北と共に体験した強烈な快感に魅了されたという一点に尽きる。限界まで蓄積し、増幅した快感の爆発。
肉体年齢はともかく実年齢はもうすぐ40代に差しかかろうという大の大人が、思春期のようなスケベ心を抱いてしまうほどに、その快楽は強烈だったのだ。
「ああっ、来る、来るっ————来いっ、来てっ、来て、ヘラエ……!」
「ジェミーたん……! 今イキますっ♡♡♡」
ズブリ、と音を立てて、ジェミーの喉奥を貫く巨大化したヘラエのクリトリスと、膣に捩じ込まれる異様に長い淫魔の舌。
その瞬間、限界を迎えたジェミーの炉心は、一気に快楽を爆発させた。
「————————ぁ♡」
ドロリと、強烈な密度の淫気と精気が混じったヘドロのような快感のカタマリが膨張し、巨大なヘラエの子宮部屋を埋め尽くし、尚も外へと溢れ出す。
溶岩流の如きその奔流は第四階層を飲み込み、ヘラエの爆発的増殖を引き起こしながら配管を通じて迷宮全域に流入。
大量の精気は魔物には異常な強化を、人間には『貰いエロ』とでもいうべき異様な催淫効果をもたらし、広大な空間を汚染する。
それと同時に『ドンッ』と大気を突き破る轟音と共に噴き出したジェミーの母乳は、そのあまりの圧と音の数十倍という凄まじい放出速度によってブルブルと乳首を高速振動させながら放たれ、空気との抵抗で霧散した。
それらはやがて、子宮内を白く染め上げた後にヘラエの子宮に空気を取り入れている巨大マンコから漏れ出して、暖かなミルクの霧として第四階層に充満する。
更に彼女は同じく音速を超える勢いで潮を吹き、乳と潮の反動でグルグルと回転しながら飛翔して、ヘラエの子宮内でゴム毬の様に跳ね回りながらイキまくった。
その全身にヘラエの蔦が食い込んでいるからこそ子宮内に留まっているが、その『命綱』がなければ今頃ジェミーは第四階層を縦横無尽に跳ね回る殺人的人型スーパーボールと化していただろう。
そんなジェミーの『狂態』に、ヘラエも負けてはいない。第四階層を埋め尽くすように咲き乱れたヘラエの女体花は、蜜の体液を穴という穴から撒き散らしながら一気に成熟し、実を落として淫精芙蓉樹を生み出しては、また咲き誇る。
そして、産まれたての淫精芙蓉樹達もまたジェミーが溢れさせた精気で一気に成熟するのだ。
女の姿をした花が次々と咲き、母乳や潮の如く淫蜜を撒き散らしながら『ボテ腹臨月妊婦』状の果実へと変わり、ぼとりと精油の池に落ちては新たな花を咲かせていくその光景は、まさに一大スペクタクルと呼ぶべき絶頂の絶景。
迷宮全域に影響をもたらす災害クラスのその絶頂こそ、ジェミーを魅了した究極の快感だ。
核爆発の如き、破壊的アクメ。ジェミーの本気イキのためだけに生態系が左右される、神威の如きオーガズム。それを一度体験すれば、もはや真っ当な人間として得られる快感など塵にも劣る。
「はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡ はーッ♡♡♡」
ドシャリと音を立ててヘラエの子宮の床に落下し、白目を剥いて涙を流し、犬の様に舌を突き出して、ガクガクと震えながら荒い息を吐くジェミー。
そんな彼女に、子宮内で開花した新たなヘラエの女体花がにじり寄り、抱き起こすと、ジェミーはその手脚をヘラエに絡め、熱烈なキスを行った。
「好きぃ♡」
「私もですぅ♡」
睦み合う、規格外な変態2名。イチャイチャと互いに求め合いながら、数日おきに先の様なエロエネルギー奔流を発生させる彼女達の活動は、大河の氾濫の如く豊穣をもたらし、迷宮全域をさらに活性化させていく。
いよいよ以って異界と化しゆく迷宮は、確実に、着実に世界を蝕み始めていた。